JP2013213012A - 重合性化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物を、工業的に有利に製造する方法の提供。
【解決手段】下記重合性化合物の製造方法の提供。
Figure 2013213012

(式中、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、Xは硫黄原子、酸素原子、又はN−Rを表す。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数2〜6のアルケニル基を表す。nは1〜20の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを作製することができる重合性化合物を、工業的に有利に製造する方法に関する。
近年におけるモバイルパソコン、携帯電話等携帯型の情報端末の高機能化及び普及に伴い、フラットパネル表示装置の厚みを極力薄く抑えることが求められてきている。その結果、構成部材である位相差板の薄層化も要望されている。
位相差板を薄層化する方法としては、フィルム基材に低分子重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布することにより位相差板を作成する方法が、近年では最も有効な方法とされている。そして、優れた波長分散性を有する低分子重合性化合物又はそれを用いた重合性組成物の開発が多く行われている(特許文献1〜14等)。
しかしながら、これらの文献に記載された低分子重合性化合物又は重合性組成物の多くは、逆波長分散性が不十分である、融点が高くフィルムに塗布することが困難である、液晶性を示す温度範囲が極端に狭い、溶媒への溶解度が低い、非常に高価な試薬を用いる等の、多くの課題を有していた。
特開2002−267838号公報 特開2003−160540号公報 特開2005−208414号公報 特開2005−289980号公報 特開2006−330710号公報 特開2009−179563号公報 特開2010−31223号公報 特開2011−6360号公報 特開2011−42606号公報 特表2010−537954号公報 国際公開第2006/052001号 米国特許第6,139,771号 米国特許第6,203,724号 米国特許第5,567,349号
本出願人は、先に、後述する式(1)で表される重合性化合物が、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、このものを用いることで、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることができることを見出している(特願2011−263047号)。
本発明は、下記式(1)で表される重合性化合物を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
(i)テトラヒドロフラン中、後述する式(2)で表されるカルボン酸と、スルホン酸ハライド又はカルボン酸ハライドとを反応させて、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液を得、得られた反応液と、式(4)で表される化合物とを反応させて、式(5)で表される化合物を含む反応液を得た後、この反応液に、式(6)で表されるヒドラジン誘導体を添加して、このものと式(5)で表される化合物とを反応させて、式(1)で表される重合性化合物を含む反応液を得、次いで、
(ii)得られた反応液に、水及び酢酸エチルを添加して分液処理を行い、有機層に、水及びメタノールを添加するという簡便な操作により、効率よく目的とする式(1)で表される重合性化合物を単離することができることを見出した。そして、これらの知見を一般化することにより本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、〔1〕〜〔7〕の重合性化合物の製造方法が提供される。
〔1〕有機溶媒A中、式(2)
Figure 2013213012

(式中、nは1〜20の整数を表す。)
で示されるカルボン酸と、スルホン酸ハライド又はカルボン酸ハライドとを反応させて、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液を得、得られた反応液と、式(4)
Figure 2013213012
(式中、Rは水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Arは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。)
で示される化合物とを反応させて、式(5)
Figure 2013213012
(式中、R、n、Arは前記と同じ意味を表す。)
で示される化合物を含む反応液を得、この反応液に、式(6)
Figure 2013213012
(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、Xは、硫黄原子、酸素原子、又は、N−Rを表す。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数2〜6のアルケニル基を表す。)
で示されるヒドラジン誘導体を添加して、このものと前記式(5)で示される化合物とを反応させた後、得られた反応液に、水及び所望により水と非混和性の有機溶媒Bを添加して分液処理を行って、下記式(1)で示される重合性化合物を含む有機溶媒溶液を得る工程(I)、及び、
工程(I)で得られた有機溶媒溶液に、水及びアルコールDを添加して、下記式(1)で示される重合性化合物を結晶化させる工程(II)
を有することを特徴とする、式(1)
Figure 2013213012
(式中、R、R、Ar、X、及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示される重合性化合物の製造方法。
〔2〕さらに、前記工程(II)で得られた結晶を有機溶媒Cに溶解し、ろ過助剤による処理を行い、ろ過助剤をろ過により除去した後、ろ液に水及びアルコールEを添加して、前記式(1)で示される重合性化合物を再結晶化させる工程(III)を有する、〔1〕に記載の重合性化合物の製造方法。
〔3〕前記有機溶媒Aとして、エーテル類、エステル類、アミド類及び炭化水素類からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる、〔1〕又は〔2〕に記載の重合性化合物の製造方法。
〔4〕前記有機溶媒Aとして、テトラヒドロフランを用いる、〔1〕又は〔2〕に記載の重合性化合物の製造方法。
〔5〕前記アルコールD及びEとして、式:R−OH(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるアルコールを用いる、〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
〔6〕前記アルコールD及びEとして、メタノールを用いる、〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルムを得ることができる重合性化合物を、工業的に有利に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、
工程(I):有機溶媒A中、前記式(2)で示されるカルボン酸(以下、「カルボン酸(2)」と略記することがある。)と、スルホン酸ハライド又はカルボン酸ハライドとを反応させて、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液を得、得られた反応液と前記式(4)で示される化合物(以下、「化合物(4)」と略記することがある。)を反応させて、前記式(5)で示される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある。)を含む反応液を得、この反応液に、前記式(6)で示されるヒドラジン誘導体(以下、「ヒドラジン誘導体(6)」と略記することがある。)を添加して、このものと化合物(5)とを反応させた後、得られた反応液に、水及び所望により水と非混和性の有機溶媒Bを添加して分液処理を行って、前記式(1)で示される重合性化合物(以下、「重合性化合物(1)」と略記することがある。)を含む有機溶媒溶液を得る工程、及び、
工程(II):工程(I)で得られた有機溶媒溶液に、水及びアルコールDを添加して、重合性化合物(1)を結晶化させる工程、
を有することを特徴とする重合性化合物(1)の製造方法である。
〈工程(I)〉
先ず、有機溶媒A中、カルボン酸(2)と、スルホン酸ハライド又はカルボン酸ハライドとを反応させて、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液を得る。
本発明に用いるカルボン酸(2)において、前記式(2)中、nは1〜20の整数を表す。nとしては、2〜8の整数が好ましく、6であるのがより好ましい。
カルボン酸(2)の多くは公知物質であり、公知の方法で製造し、入手することができる。また、市販品をそのままで、あるいは所望により精製して用いることもできる。
混合酸無水物誘導体(3)は、カルボン酸(2)を、スルホン酸ハライドと反応させた場合には、下記式(3a)で示されるスルホン酸無水物誘導体が得られ、カルボン酸ハライドと反応させた場合には、式(3b)で示されるカルボン酸無水物誘導体が得られる。
Figure 2013213012
上記式中、nは前記と同じ意味を表す。
、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基;を示す。
これらの中でも、収率よく目的物が得られることや、入手容易性、製造コスト等の観点から、式(3a)で示されるスルホン酸無水物誘導体が好ましく、式(3a)で示されるスルホン酸無水物誘導体であって、Rが、炭素数1〜6のアルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基である化合物がより好ましく、式(3a)で示されるスルホン酸無水物誘導体であって、Rが、炭素数1〜6のアルキル基である化合物が特に好ましい。
用いるスルホン酸ハライドは、式:RSOQ(Rは前記と同じ意味を表し、Qはハロゲン原子を表す)で示される化合物である。
具体的には、メタンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライド、フェニルスルホニルクロライド、パラトルエンスルホニルクロライド等が挙げられる。
用いるカルボン酸ハライドは、式:RCOQ(R、Qは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物である。
具体的には、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、ベンゾイルクロライド等が挙げられる。
スルホン酸ハライド又は他のカルボン酸ハライドの使用量は、化合物(2)に対して、通常1〜5倍モルである。
混合酸無水物誘導体(3)を得る反応は、塩基の存在下で行うのが好ましい。
用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、フェニルジメチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;が挙げられる。
これらは1種単独で、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、塩基としては、収率よく目的物が得られる観点から、有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンがより好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して、通常1〜5倍モルである。
用いる有機溶媒Aとしては、エーテル類、エステル類、アミド類及び炭化水素類からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、収率よく目的物が得られ、目的物の単離がより容易であることなどの理由から、有機溶媒Aとしてはエーテル類が好ましく、THFが特に好ましい。
混合酸無水物誘導体(3)を得る反応の反応温度は、通常、−10℃〜+20℃、好ましくは−5℃〜+10℃である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数十時間、好ましくは数十分から数時間である。
目的とする混合酸無水物誘導体(3)が生成していることは、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により確認することができる。
反応終了後においては、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、公知の分離・精製手段により、目的とする混合酸無水物誘導体(3)を得ることができる。
また、上記のようにして得られた混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液をそのまま次の反応に供することもできる。
次いで、有機溶媒A中、混合酸無水物誘導体(3)と化合物(4)とを反応させることにより、化合物(5)を得る。この反応は、塩基の存在下に行うことが好ましい。
混合酸無水物誘導体(3)として、式(3a)で表される化合物を用いる場合の、塩基の存在下での反応式を下記に示す。
Figure 2013213012
本発明に用いる化合物(4)において、前記式(4)中、Rは水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基等が挙げられる。
その置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;シアノ基;等が挙げられる。
これらの中でも、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
Arは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。芳香族基は、炭素環式芳香族基であっても、複素環式芳香族基であってもよい。本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、三価の炭素環式芳香族基が好ましく、下記式に示す三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基がより好ましい。
なお、下記式においては、結合状態をより明確にすべく、OH基を便宜上記載している。また、[−]は結合手を表す(以下にて同じである。)。
Figure 2013213012
上記式に示す三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基の好ましい具体例としては、下記に示す式(Ar1)〜(Ar8)で表される基が挙げられる。これらの中でも、式(Ar1)、(Ar3)、(Ar4)、(Ar7)、(Ar8)で表される基がより好ましく、式(Ar1)で表される基が特に好ましい。
Figure 2013213012
Arの、三価の芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−OR基;−SO基;等が挙げられる。ここでR及びRは、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
化合物(4)の多くは公知物質であり、公知の方法で製造し、入手することができる。
また、市販品をそのままで、あるいは所望により精製して用いても良い。
上記反応に用いる化合物(4)の使用量は、カルボン酸(2)とのモル比〔化合物(4):カルボン酸(2)〕で、通常1:2〜1:3、好ましくは1:2〜1:2.5となる量である。
混合酸無水物誘導体(3)と化合物(4)との反応は、例えば、混合酸無水物誘導体(3)を含有する有機溶媒A溶液に、塩基及び化合物(4)を添加して、全容を攪拌することにより実施することができる。
上記反応に用いる塩基としては、前記混合酸無水物誘導体(3)を得る反応に用いる塩基として例示したのと同様のものが挙げられる。
塩基の使用量は、用いたカルボン酸(2)に対して、通常1〜5倍モルである。
なお、上述のように、混合酸無水物誘導体(3)として、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液をそのまま次の反応に用いることもできるし、あるいは、該反応液に、水及び所望により水非混和性の有機溶媒を添加して分液操作を行って得られる有機層を次の反応に用いることもできる。
また、上記の場合において、混合酸無水物誘導体(3)と化合物(4)とを反応させるに際し、反応系にさらに有機溶媒を追加してもよい。ここで追加する有機溶媒としては、前記有機溶媒Aとして例示したものが好ましい。
有機溶媒Aの使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、カルボン酸(2)1質量部に対し、通常1〜10質量部である。
反応温度は、通常、−10℃〜+60℃、好ましくは0℃〜40℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から48時間、好ましくは30分から数時間である。
以上のようにして、化合物(5)を含む反応液を得ることができる。
目的とする化合物(5)が生成していることは、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により確認することができる。
次いで、得られた化合物(5)を含む反応液から、化合物(5)を単離することなく、前記反応液にヒドラジン誘導体(6)を添加して、化合物(5)とヒドラジン誘導体との反応を行う(下記反応式)。
Figure 2013213012
化合物(5)とヒドラジン誘導体(6)との反応は、例えば、化合物(5)を含有する有機溶媒A溶液に、所定量のヒドラジン誘導体(6)を添加して、全容を攪拌することにより実施することができる。
式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。これらの中でも、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子が好ましい。
の置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基の炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基の炭素数2〜12のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
これらの置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
Xは、硫黄原子、酸素原子、又は、N−Rを表す。ここで、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;を表す。これらの中でも、Xは硫黄原子であるのが好ましい。
ヒドラジン誘導体(6)の使用量は、用いたカルボン酸(2)との使用割合〔ヒドラジン誘導体(6):カルボン酸(2)〕(モル比)が、通常1:2〜1:3、好ましくは1:2〜1:2.5となる量である。
化合物(5)とヒドラジン誘導体(6)の反応は、例えば、化合物(5)を含有する有機溶媒A溶液に、所定量の酸触媒及びヒドラジン誘導体(6)を添加して、全容を攪拌することにより実施することができる。
また、反応系に酸触媒を添加することが好ましい。酸触媒を添加することにより、ハーフエステルの生成が抑制され、結晶化による精製が容易になる。また、反応時間が短縮され、より収率よく目的物を得ることができる。
用いる酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸;(±)−10−カンファースルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;これら有機酸の塩;等が挙げられる。
酸触媒の添加量は、カルボン酸(2)1モルに対して、通常0.001〜1モルである。
反応温度は、通常、−10℃〜+60℃、好ましくは0℃〜40℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から48時間、好ましくは30分から数時間である。
以上のようにして、重合性化合物(1)を含む反応液を得ることができる。
目的とする重合性化合物(1)が生成していることは、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により確認することができる。
なお、上記反応に用いるヒドラジン誘導体(6)は、例えば、次のようにして製造することができる。
Figure 2013213012
(式中、R、Xは前記と同じ意味を表す。Lは、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(7)で表される化合物とヒドラジン化合物(8)を、適当な溶媒中、(化合物(7):ヒドラジン化合物(8))のモル比で、1:1〜1:20、好ましくは1:2〜1:10で反応させることで、ヒドラジン誘導体(6)を得ることができる。
この反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール類、エーテル類、及びアルコール類とエーテル類の混合溶媒が好ましい。
反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。各反応の反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
次いで、上記で得られた重合性化合物(1)を含む反応液に、水及び所望により水と混和しない有機溶媒Bを添加して分液処理を行うが、水、及び、水と混和しない有機溶剤Bの両方を添加することが好ましい。
水と混和しない有機溶媒Bは、水と混合しても相溶することなく分離する性質を有する有機溶媒である。有機溶媒Bは、より効率よく分液操作を行うために添加される。例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;等を用いることができる。また、これらの有機溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を混合して用いても良い。
これらの中でも、エステル類を用いるのが好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
また、用いる水は、より分液性を高める観点から、食塩水、硫酸アンモニウム等の無機塩を水に溶解したものが好ましく、食塩水がより好ましい。
有機溶媒B及び水の添加量は、効率よく分液操作を行うことができる量であれば特に制約はない。有機溶媒B、水の添加量は、それぞれ、用いる化合物(4)1質量部に対し、通常、1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部である。
前記分液処理は、具体的には、上記反応により得られた重合性化合物(1)を含む反応液に、水及び所望により水と混和しない有機溶媒Bを添加し、全容を攪拌した後、静置することにより、分液させ、有機層を分取することにより行う。
前記重合性化合物(1)を含む反応液に、水及び所望により水と混和しない有機溶媒Bを添加し、全容を攪拌する温度は、通常0℃から40℃程度、攪拌する時間は数分から数時間である。また、全容を攪拌した後、静置する時間は、通常数分から数時間程度である。なお、分取した有機層を、さらに水(食塩水等)で洗浄することを繰り返してもよい。
以上のようにして、重合性化合物(1)を含む有機溶媒溶液を得ることができる。
得られる有機溶媒溶液に含まれる重合性化合物(1)の含有量は、有機溶媒溶液全体に対し、通常10〜30質量%であり、工程(II)において、効率よく重合性化合物(1)の結晶化を行うことができる観点から、15〜25質量%であることが好ましい。
<工程(II)>
次いで、工程(I)で得られた有機溶媒溶液に、水及びアルコールDを添加して、重合性化合物(1)を結晶化させる。この工程により、純度の高い目的物を収率よく得ることができる。
ここで用いるアルコールDとしては、特に限定されないが、収率よく目的とする液晶化合物を結晶化させる観点から、式:R−OHで示されるアルコールが好ましい。式中、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基等の、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
これらの中でも、炭素数1〜3の一価のアルコールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。
結晶化の温度は、アルコールDを添加する時点では、通常15〜40℃であり、好ましくは20〜30℃である。その後有機溶媒を冷却するが、その時点では、通常0〜20℃であり、好ましくは5〜15℃である。
アルコールDの添加量は、重合性化合物(1)の種類や用いた有機溶媒の種類にも依存する。
本発明においては、かかるアルコールDの添加量を半経験的に定めることができる。具体的には、反応に用いた化合物(4)1質量部に対して、通常10〜200質量部、好ましくは20〜50質量部である。
水の添加量も、同様に、重合性化合物(1)の種類や用いた有機溶媒の種類にも依存するが、通常、アルコールDの添加量の0.1〜1質量倍である。
水とアルコールDの添加方法は、特に限定はなく、1)アルコールDを添加した後に水を添加する方法、2)水を添加した後にアルコールDを添加する方法、3)アルコールDと水とを混合液として添加する方法があるが、2)の水を先に添加した後にアルコールDを添加する方法が好ましく、アルコールDを1時間程度かけて徐々に添加する方法が効率よく結晶化させることができるので更に好ましい。
〈工程(III)〉
本発明においては、工程(II)の後に、さらに、以下の工程(III)を行うのが好ましい。すなわち、工程(II)で得られた結晶を有機溶媒(以下、「有機溶媒C」ということがある。)に溶解し、ろ過助剤による処理を行った後、ろ過助剤をろ過により除去し、ろ液に水及びアルコールEを添加して、再結晶化させる工程(III)を設けることにより、さらに純度の高い目的物を得ることができる。
有機溶媒Cとしては、重合性化合物(1)の良溶媒であればよく、有機溶媒Bと同じでも異なっていてもよいが、有機溶媒Bと同じものが好ましい。中でも、エステル類及びエーテル類が好ましく、エステル類では酢酸エチルが好ましく、エーテル類ではテトラヒドロフランが好ましい。
ろ過助剤は、一般的には、ろ過が困難な沈殿をろ過する際に、通常のろ過器を用いて操作できるように、懸濁液に添加される吸着剤である。
ろ過助剤としては、例えば、珪藻土系、炭素系、セルロース系、パーライト系の多孔質微粒子を用いることができる。
ろ過助剤による処理を行う方法としては、重合性化合物(1)の有機溶媒C溶液にろ過助剤を接触させるものであれば、特に限定されない。例えば、重合性化合物(1)の有機溶媒C溶液にろ過助剤を添加して、全容を攪拌した後、ろ過する方法、ろ過助剤でフィルタエレメントをプレコートしてから、重合性化合物(1)の有機溶媒C溶液をろ過する方法、あるいは、ろ過助剤でフィルタエレメントをプレコートし、重合性化合物(1)の有機溶媒C溶液にろ過助剤を添加して、全容を攪拌した後、ろ過する方法等が挙げられる。このように処理することで、工程(II)で得られた結晶の有機溶媒C溶液を、目詰まりなく効率よくろ過することができ、溶液中の不純物を除去することができる。
また、ろ過助剤の使用量は、重合性化合物(1)100質量部に対して、通常0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1.5〜5質量部である。
次いで、ろ過助剤をろ過により除去し、工程(II)で行ったのと同様にして、ろ液に水及びアルコールEを添加して、再結晶化させる。
再結晶化の温度は、アルコールEを添加する時点では、通常15〜40℃であり、好ましくは20〜30℃であり、その後有機溶媒を冷却を実施するが、その時点では、通常0〜20℃であり、好ましくは5〜15℃である。
工程(III)を行うことで、より純度の高い重合性化合物(1)を得ることができる。
本発明によって得られる重合性化合物(1)には、Sイオン分がほとんど残存しない。Sイオン分が多量に存在すると、フィルム化した場合において、フィルムの配向状態に悪影響を与えることがある。
本発明によって得られる重合性化合物(1)に含まれるSイオン分の残存量は、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。
Sイオン分の残存量は、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
目的とする重合性化合物(1)の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
また、得られた重合性化合物(1)の純度は、ガスクロマトグラフィーやNMRスペクトルにより測定することができる。
本発明の製造方法によれば、純度の高い重合性化合物(1)を、経済的に簡便に、工業的に有利に製造することができる。
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
Sイオン分の残存量の測定は、以下のようにして行った。
実施例1及び比較例1で得られた重合性化合物の1質量部を、それぞれクロロホルム10質量部に溶解し、さらに超純水30質量部を加え3分間撹拌した。静置後、水層を分離し、その水層を試験液とした。
試験液を自動燃焼装置(ヤナコ社製)にセットし、950℃で燃焼させたガスを、水/1M NaHCO水溶液/1M NaCO水溶液/30%H水溶液=2000/0.6/5.4/0.4(vol/vol/vol/vol)の吸収液に吸収させ、吸収されたガスをイオンクロマト装置〔DIONEX社製:ICS−500、IonPaccAS12A(4.0x250mm)、IonPaccAG12A(4.0x50mm)〕を用いて測定し、Sイオン分残存量を測定した。
(実施例1) 重合性化合物(1a)の合成
Figure 2013213012
窒素気流下、4−(6−アクリロイル−ヘクス−1−イルオキシ)安息香酸(2a)
Figure 2013213012
(DKSH社製)73.1g(0.25mol)をテトラヒドロフラン183gに溶解させ、ここに、メタンスルホニルクロライド 28.7g(0.25mol)を添加し、0℃に冷却し、トリエチルアミン 26.3g(0.26mol)を滴下し、0℃で1時間撹拌して、4−(6−アクリロイル−ヘクス−1−イルオキシ)安息香酸の混合酸無水物誘導体(3c)を得た。そこへ、4−(ジメチルアミノ)ピリジン 1.5g(0.013mol)、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド(4a)
Figure 2013213012
13.8g(0.10mol)を添加し、さらに、トリエチルアミン 23.3g(0.23mol)を滴下し、全容を20℃で1時間撹拌して、式(5a)で示される化合物を得た。
Figure 2013213012
得られた反応混合物に1.0N塩酸 50gを添加し、2−ヒドラジノベンゾチアゾール(6a)
Figure 2013213012
(東京化成工業社製)17.0g(0.10mol)を1時間かけて添加し、全容を20℃で1時間撹拌した。
次に、得られた反応液に、酢酸エチル 183g、及び10%食塩水183gを加え、40℃で分液し、有機層を分取した。得られた有機層に水183gを加え、40℃で分液し、有機層を分取した。得られた有機層に、水 100g、及びメタノール 500gを加えて、全容を10℃に冷却して結晶化を行い、次いで、濾過を行って、重合性化合物(1a)の粗結晶を62.6g得た。
次いで、得られた粗結晶に、酢酸エチル 300g、及び、ろ過助剤としてパーライト(三井金属鉱業社製、商品名:ロカヘルプ479) 1.4gを添加し、40℃で1時間撹拌後、ろ過助剤及び不溶分をろ過により除去した。
得られたろ液に、水 60g、及びメタノール 300gを加えて、全容を10℃に冷却して再結晶化を行い、次いで、濾過を行って、重合性化合物(1a)を59.4g得た(収率71.2%)。
残存Sイオン分は9.8ppmであった。
(比較例1)
窒素気流下、4−(6−アクリロイル−ヘクス−1−イルオキシ)安息香酸 73.1g(0.25mol)をTHF 183gに溶解させた。この溶液に、メタンスルホニルクロライド28.7g(0.25mol)を添加し、全容を0℃に冷却し、攪拌下、トリエチルアミン 26.3g(0.26mol)を滴下し、滴下終了後、さらに0℃で1時間撹拌した。
次いで、得られた反応混合物に、0℃で、4−(ジメチルアミノ)ピリジン 1.5g(0.013mol)、及び、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド 13.8g(0.10mol)を添加し、さらに、トリエチルアミン 23.3g(0.23mol)を滴下し、滴下終了後、全容を20℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に、20℃で、1.0N塩酸50gを添加し、さらに、2−ヒドラジノベンゾチアゾール(東京化成工業社製)17.0g(0.10mol)を1時間かけて添加した。全容を20℃で1時間撹拌した。
その後、分液操作を行うことなく、得られた反応液にメタノール 500gを加えて結晶化を行い、次いで、濾過を行って、重合性液晶化合物(1a)の粗結晶を64.2g得た。
得られた粗結晶に、酢酸エチル 300g、及びろ過助剤 1.4gを添加して、40℃で全容を撹拌したところ、大量の不溶分が残存していた。不溶分をろ別し、得られたろ液に、水 60g及びメタノール 300gを加えて、全容を10℃に冷却して再結晶化を行い、次いで、濾過を行って、重合性化合物(1a)の結晶を25.0g(収率30.0%)得た。
残存Sイオン分は950.8ppmであった。
(比較例2)
窒素気流下、4−(6−アクリロイル−ヘクス−1−イルオキシ)安息香酸 73.1g(0.25mol)をTHF183gに溶解させ、そこへ、メタンスルホニルクロライド 28.7g(0.25mol)を添加し、0℃に冷却した。その溶液に、トリエチルアミン 26.3g(0.26mol)を滴下し、全容を0℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン 1.5g(0.013mol)、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド 13.8g(0.10mol)を添加し、さらに、トリエチルアミン 23.3g(0.23mol)を滴下し、全容を20℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に1.0N塩酸を50g添加し、2−ヒドラジノベンゾチアゾール(東京化成工業社製)17.0g(0.10mol)を1時間かけて添加し、全容を20℃で1時間撹拌した。
得られた反応液に、酢酸エチル182.7g、及び10%食塩水183gを加え、40℃で分液し、有機層を分取した。得られた有機層に水182.7gを加え、40℃で分液し、有機層を分取した。得られた有機層にn−ヘキサン500gを加え、全容を10℃に冷却して結晶化を行なったところ、結晶は析出せず、オイルが分離し、重合性化合物(1a)を結晶として取り出すことができなかった。
以上の実施例及び比較例の結果を下記表1にまとめた。
Figure 2013213012
表1より、実施例1では、収率よく目的物が得られることがわかる。残存Sイオン分は微量であった。
工程(I)の分液処理を行わなかった比較例1では、目的物の収率が低く、残存Sイオン分が多かった。
工程(II)の結晶化の際にアルコールを用いなかった比較例2では、目的物を結晶として分離することはできなかった。

Claims (6)

  1. 有機溶媒A中、式(2)
    Figure 2013213012
    (式中、nは1〜20の整数を表す。)
    で示されるカルボン酸と、スルホン酸ハライド又はカルボン酸ハライドとを反応させて、混合酸無水物誘導体(3)を含む反応液を得、得られた反応液と、式(4)
    Figure 2013213012
    (式中、Rは水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Arは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。)
    で示される化合物とを反応させて、式(5)
    Figure 2013213012
    (式中、R、n、Arは前記と同じ意味を表す。)
    で示される化合物を含む反応液を得、この反応液に、式(6)
    Figure 2013213012
    (式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、Xは、硫黄原子、酸素原子、又は、N−Rを表す。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数2〜6のアルケニル基を表す。)
    で示されるヒドラジン誘導体を添加して、このものと前記式(5)で示される化合物とを反応させた後、得られた反応液に、水及び所望により水と非混和性の有機溶媒Bを添加して分液処理を行って、下記式(1)で示される重合性化合物を含む有機溶媒溶液を得る工程(I)、及び、
    工程(I)で得られた有機溶媒溶液に、水及びアルコールDを添加して、下記式(1)で示される重合性化合物を結晶化させる工程(II)
    を有することを特徴とする、式(1)
    Figure 2013213012
    (式中、R1、R、Ar、X、及びnは前記と同じ意味を表す。)
    で示される重合性化合物の製造方法。
  2. さらに、前記工程(II)で得られた結晶を有機溶媒Cに溶解し、ろ過助剤による処理を行い、ろ過助剤をろ過により除去した後、ろ液に水及びアルコールEを添加して、前記式(1)で示される重合性化合物を再結晶化させる工程(III)を有する、請求項1に記載の重合性化合物の製造方法。
  3. 前記有機溶媒Aとして、エーテル類、エステル類、アミド類及び炭化水素類からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる、請求項1又は2に記載の重合性化合物の製造方法。
  4. 前記有機溶媒Aとして、テトラヒドロフランを用いる、請求項1又は2に記載の重合性化合物の製造方法。
  5. 前記アルコールD及びEとして、式:R−OH(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるアルコールを用いる、請求項2〜4のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
  6. 前記アルコールD及びEとして、メタノールを用いる、請求項2〜4のいずれかに記載の重合性化合物の製造方法。
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