JP2008231064A - カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極めて高純度(好ましくは99重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを工業的な大量合成に適する方法で製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によってカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、該N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、晶析によって精製されたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法に関する。詳細には、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によって、極めて高純度のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法に関する。
カルバゾイル基含有化合物は、光導電性、正孔移送性、高屈折性などの機能を有するため、コピー機の感光体ドラム用材料、液晶ディスプレイ用着色レジスト、光学素子、ホログラム、有機EL用材料など、広範囲な用途での適用が検討されている。
カルバゾイル基含有化合物の中でもカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートは、高機能のカルバゾイル基と高反応性のアクリレート基を備えており、特に、高感光性用途(例えば、樹脂BM,各種レジスト)、高屈折用途(例えば、ハードコート材、ホログラム材料)、正孔輸送用途(例えば、有機EL、フォトリフラクティブ材料)に有用な化合物である。その中でも、原料入手のし易さの面で、2−(9−カルバゾイル)エチル(メタ)アクリレートが特に有用な化合物である。
カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを上記のような用途に用いる場合、極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを用いることが強く望まれる。微量の不純物が存在するだけでも、上記のような用途には適用できない場合があるからである。
カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートは、通常、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によって製造する。このN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの製造方法としては種々の方法が提案されている。例えば、工業的な大量合成に適したN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの製造方法として、カルバゾールとエチレンカーボネートの反応を特定の第3級アミンの存在下で行うことが提案されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の製造方法においては、原料のカルバゾールや、カルバゾールへのエチレンカーボネートの2付加体や3付加体などが、少量ながらも不純物として存在してしまう。このような不純物を含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを用いてカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造すると、製造後に精製を行っても、極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得ることは困難である。また、たとえ高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得られるような精製ができるとしても、その精製工程には多大な時間と労力を要し、工業的な大量合成には不適である。
そこで、高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得るために、上記のような不純物を含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの精製をエステル化反応の前に行うことが考えられる。
工業的な大量合成に適した上記精製手段としては、一般的に蒸留精製が選択される。確かに、蒸留精製によれば、比較的純度の高いN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを得ることは可能である。
しかし、高感光性用途(例えば、樹脂BM,各種レジスト)、高屈折用途(例えば、ハードコート材、ホログラム材料)、正孔輸送用途(例えば、有機EL、フォトリフラクティブ材料)などを目的として、極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートが要求される場合、上記のような蒸留精製で得られた比較的純度の高いN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを用いてエステル化反応させても、要求されるような極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得ることは困難であることが判明した。
特開2006−347916号公報
本発明の目的は、極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを工業的な大量合成に適する方法で製造する方法を提供することにある。
本発明のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によってカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、該N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、晶析によって精製されたものである。
好ましい実施形態においては、上記N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、純度が95重量%以上である。
好ましい実施形態においては、上記晶析の前に、蒸留塔ボトム温度が130〜250℃での蒸留を行う。
好ましい実施形態においては、上記N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応によって得られたものである。
好ましい実施形態においては、得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度が98重量%以上である。
本発明によれば、極めて高純度(好ましくは98重量%以上)なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを工業的な大量合成に適する方法で製造する方法を提供することができる。
このような効果は、カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートをN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によって製造するとともに、該N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールとして、晶析によって精製されたものを用いることによって発現することができる。
本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
本発明のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法は、式(1)で表されるような、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によってカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法である。
Figure 2008231064
(式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
上記カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2−(9−カルバゾイル)エチル(メタ)アクリレート、2−(9−カルバゾイル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記エステル化反応の方法は、任意の適切なエステル化反応の方法を採用し得る。例えば、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライド)によるエステル化反応、(メタ)アクリル酸との脱水エステル化反応、(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応が挙げられる。
上記エステル化反応後は、該反応の種類に応じて、任意の適切な処理を行い得る。
本発明の製造方法で得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートは、極めて高純度のものであり、純度が、好ましくは98重量%以上、より好ましくは98.5重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上、特に好ましくは99.2重量%以上、最も好ましくは99.5重量%以上である。純度の上限は100重量%である。
上記のように極めて高純度なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートは、特に、高感光性用途(例えば、樹脂BM,各種レジスト)、高屈折用途(例えば、ハードコート材、ホログラム材料)、正孔輸送用途(例えば、有機EL、フォトリフラクティブ材料)に有用である。これらの用途においてカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを用いる場合、該カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度が98重量%未満の場合、該用途での各種性能の低下につながるおそれがある。
本発明の製造方法において、上記N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、晶析によって精製されたものである。
上記晶析による精製を行う前のN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、任意の適切な方法で製造し得る。好ましくは、式(2)や式(3)で表されるように、カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応によって製造する。アルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとしては、任意の適切なアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドを採用し得る。好ましくはアルキレンカーボネートであり、より好ましくはエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種であり、取扱い易さの面で、さらに好ましくはエチレンカーボネートである。
Figure 2008231064
(式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。nは0以上の整数である。)
Figure 2008231064
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。nは0以上の整数である。)
式(2)中、R、Rは、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは、R、Rがいずれも水素原子である。原料コストの点で有利だからである。
式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、より好ましくは、R、Rがいずれも水素原子である。原料コストの点で有利だからである。
式(2)や式(3)で表される反応で得られるN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの具体例としては、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾール、N−(2−ヒドロキシ−2−メチルエチル)カルバゾールが挙げられる。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応では、塩基触媒として第3級アミン触媒を用いることが好ましい。第3級アミン触媒を用いれば、比較的穏和な条件で反応を進行させることが可能となり、反応終了後において反応系から容易に除去し得る。上記第3級アミン触媒としては、反応終了後において反応系から容易に除去し得る点で、沸点が50〜250℃である第3級アミン触媒が好ましい。具体的には、トリ(C2−C5アルキル)アミンが好ましく、トリ(C3−C4アルキル)アミンがより好ましい。なお、トリ(C2−C5アルキル)アミンやトリ(C3−C4アルキル)アミンの中の3つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。使用する第3級アミン触媒の量は、カルバゾールに対して、好ましくは0.1〜2のモル比の量であり、より好ましくは0.3〜0.6のモル比の量である。0.1未満では反応が速やかに進行しないおそれがあり、2を超えると反応終了後における触媒の除去効率が低下するおそれがある。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応では、任意の適切な溶媒を使用し得る。好ましくは、非プロトン性極性溶媒である。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、3−ヘプタノンが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとのモル比は、カルバゾールに対するアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドのモル比を0.4〜1.5とすることが好ましい。0.4未満であると収率が低下するおそれがあり、1.5を超えるとカルバゾールへのアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドの2付加体や3付加体などが増加するおそれがある。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応の好ましい実施形態の1つとしては、まず、溶媒にカルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドを溶解させ、必要であれば適度に加熱する。その後、第3級アミン触媒を加えて温度を調整することにより反応を進行させる。反応温度は、好ましくは80〜180℃である。溶媒や第3級アミン触媒などの沸点以上で反応を行なう場合には、還流してもよい。また、上記カルバゾールとアルキレンカーボネートとの反応では炭酸ガスが生成するため、好ましくは開放系で反応を行なう。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応の反応時間は、任意の適切な時間を採用し得る。好ましくは、2〜12時間である。
上記カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応の終了後には、穏和な条件の減圧蒸留によって、溶媒や第3級アミン触媒を除去することが好ましい。例えば、10mmHg程度の減圧下100〜140℃で溶媒や第3級アミン触媒を除去する。
式(2)や式(3)で表される反応により得られる粗生成物は、目的物であるN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾール(n=1)以外に、原料のカルバゾール(n=0)、カルバゾールへのアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドの2付加体(n=2)や3付加体(n=3)などが不純物として含まれ得る。この粗生成物を精製するために、工業的な大量合成に適した精製手段として一般的な蒸留精製を選択して行った場合、原因は定かではないが、十分な精製が達成できず、最終的に極めて高純度のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得ることができないことが判明した。
そこで、上記粗生成物の精製方法について検討を行った結果、晶析によって精製を行うと、高純度のN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールが得られ、かつ、それを用いたエステル化反応によって、最終的に極めて高純度のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得ることができることを見出した。
上記晶析は、任意の適切な溶媒を用いて行い得る。好ましい溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、特に好ましくはトルエンである。十分な晶析効果を発揮し得るからである。
上記晶析に用いる溶媒の量は、上記粗生成物(N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを主成分とする)に対して、重量で、好ましくは1〜100倍、より好ましくは2〜50倍、さらに好ましくは3〜10倍である。上記の量で晶析を行えば、十分な晶析効果を発揮し得るからである。
上記晶析は、上記粗生成物(N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを主成分とする)が完全に溶解する温度(溶解温度)以上の温度から開始して、当該温度から冷却することが好ましい。
上記晶析によって精製を行うことにより、高純度のN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールが得られる。得られるN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの純度は、好ましくは95重量%以上、より好ましくは96重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上、特に好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上である。純度の上限は100重量%である。
上記晶析は、汎用溶媒を用い、穏和な条件で、簡便な操作で行うことができる。したがって、工業的な大量合成に適する。
本発明の製造方法においては、上記晶析の前に、蒸留塔ボトム温度が130〜250℃での蒸留を行っても良い。上記晶析の前に、蒸留塔ボトム温度が130〜250℃での蒸留を行うことによって、該晶析後のN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの純度をより一層高めることができる場合がある。上記蒸留塔ボトム温度は130〜250℃であり、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140〜200℃である。上記蒸留塔ボトム温度が250℃を超えると、たとえその後に晶析を行っても、十分な精製が達成できず、最終的に極めて高純度のカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを得ることができないおそれがある。上記蒸留塔ボトム温度が130℃未満の場合、蒸留効果が発現できないおそれがある。また、留出液が凝固することを防ぐために、塔頂温度を90℃以上として蒸留を行うことが好ましい。なお、蒸留圧力は、好ましくは1Pa以上13.3hPa(10Torr)以下であり、より好ましくは1Pa以上39.9Pa(3Torr)以下である。
上記式(2)や式(3)で表されるカルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応において、反応で得られる粗生成物について蒸留精製のみによって精製N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを得ようとすると、高温(好ましくは250℃より高い温度)での蒸留が必要となる。これは、残存する原料のカルバゾールを留去するために高温で蒸留を行う必要があるからと考えられる。そして、このような高温での蒸留を行うと、目的物であるN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールが熱分解してしまい、該分解物を不純物として含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールが得られてしまうものと考えられる。このような分解物を不純物として含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを用いてエステル化反応すると、おそらく該不純物の除去が非常に困難であることが原因となり、得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度を極めて高いレベルにまで高めることができない。
上記の問題は、カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応の仕込み量において、(アルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシド)/カルバゾール<1.0(モル比)の場合に特に顕著となる。反応で得られる粗生成物中に残存する原料のカルバゾールの量が多くなるため、蒸留精製のみによって精製N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを得ようとすると、必然的に蒸留温度を高温にしなければならないからである。
上記の問題は、カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応の仕込み量において、(アルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシド)/カルバゾール≧1.0(モル比)の場合にも起こりうる。カルバゾールへのアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドの2付加体や3付加体などを不純物として含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールが得られてしまう。このような多付加体は分子量が大きいので、これらを多く不純物として含むN−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールを蒸留精製のみによって精製しようとすると、やはり、必然的に蒸留温度を高温にしなければならないからである。
本発明の製造方法においては、粗N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールに対して上記晶析を行うことにより、得られる精製N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応で得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度を極めて高いものとすることが可能となる。粗N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールの精製を、工業的な大量合成に適した一般的な蒸留精製で行うと、上記のように、得られる精製N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応で得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度を極めて高いレベルにまで高めることができない。
高感光性用途(例えば、樹脂BM,各種レジスト)、高屈折用途(例えば、ハードコート材、ホログラム材料)、正孔輸送用途(例えば、有機EL、フォトリフラクティブ材料)などを目的として、極めて高純度なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートが要求される場合には、本発明の製造方法を好適に採用することが非常に有益なものとなる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
<組成分析>
各種生成物の組成は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
形式:GC−17A(株式会社島津製作所製)
カラム:SPB−5キャピラリー SUPELCO社製
検出器:FID
〔実施例1〕
(精製N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールの製造)
反応容器内に、カルバゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、トリ−n−ブチルアミン、エチレンカーボネートを仕込み、150℃で8時間、反応を行った。エチレンカーボネート/カルバゾール=1.5(モル比)、トリ−n−ブチルアミン/カルバゾール=1.0(モル比)、N,N−ジメチルホルムアミド/カルバゾール=6.0(モル比)であった。
得られた反応生成物について、圧力=13.3hPa(10mmHg)、最終ボトム温度=200℃で、第1の蒸留をバッチ式単蒸留で行った。
回収したボトム液の組成は、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが66.4重量%、カルバゾールが1.9重量%、N,N−ジメチルホルムアミドが1.1重量%、エチレンカーボネートが1.2重量%、2−(2−(9−カルバゾイル)エトキシ)エタノールが19.0重量%、その他の高沸点成分が10.4重量%であった。
次に、上記第1の蒸留で得られたボトム液について、圧力=13Pa、蒸留缶温度=150℃、内部コンデンサー温度=90℃、供給液温度=90℃、供給速度=60mL/時で、第2の蒸留を短行程蒸留装置(UIC GmbH社製、KDL1型)で行った。得られた留出液の組成は、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが81.9重量%、カルバゾールが2.2重量%、2−(2−(9−カルバゾイル)エトキシ)エタノールが15.9重量%であった。
続いて、上記第2の蒸留で得られた留出液について、晶析を行った。すなわち、上記第2の蒸留で得られた留出液に、重量で5倍量のトルエンを加え、60℃で均一溶液とした後、毎分1℃ずつ下げて10℃まで冷却し、結晶を得た。得られた結晶を濾過して真空乾燥した。
得られた結晶の組成は、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが98.0重量%、カルバゾールが0.3重量%、2−(2−(9−カルバゾイル)エトキシ)エタノールが1.7重量%であった。
(高純度2−(9−カルバゾイル)エチルメタクリレートの製造)
反応容器内に、上記で得られた結晶(N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールの純度=98.0重量%)、メタクリル酸、トルエン、パラトルエンスルホン酸1水和物、ヒドロキノンを仕込み、空気流通下で、130℃で8時間、還流脱水を行った。メタクリル酸/結晶=2.5(モル比)、トルエン/結晶=2.8(モル比)、パラトルエンスルホン酸1水和物/結晶=0.1(モル比)、ヒドロキノン/メタクリル酸=0.001(モル比)であった。
反応終了後、反応液の重量に対して1.5倍量のトルエンを加え、室温まで冷却した。
次に、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、さらに中性になるまで純水で洗浄した。相分離して油相を回収し、油相に対して1重量%の無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した。これを濾過した後、濾液に対して1重量%の活性炭を加え、不純物を吸着除去した。活性炭を濾過し、濾液を50℃、37.5hPaで減圧蒸留して、濃度35重量%まで濃縮した。この濃縮液に対して、300重量%のメタノールを加え、50℃で均一溶液とした後、毎分1℃ずつ下げて10℃まで冷却し、結晶を得た。得られた結晶を濾過して真空乾燥した。
得られた結晶の組成は、2−(9−カルバゾイル)エチルメタクリレートが99.8重量%、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが0.2重量%であった。
〔実施例2〕
(精製N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールの製造)
反応容器内に、カルバゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、トリ−n−ブチルアミン、エチレンカーボネートを仕込み、150℃で5時間、反応を行った。エチレンカーボネート/カルバゾール=0.4(モル比)、トリ−n−ブチルアミン/カルバゾール=0.6(モル比)、N,N−ジメチルホルムアミド/カルバゾール=6.0(モル比)であった。
得られた反応生成物について、減圧蒸留によって濃度15重量%まで濃縮した。この濃縮物に対して100重量%のメタノールを加え、50℃で抽出し、抽出液について減圧蒸留を行って濃縮乾固した。
濃縮乾固物の組成は、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが85.9重量%、カルバゾールが8.8重量%、メタノールが5.3重量%であった。
続いて、上記濃縮乾固物について、晶析を行った。すなわち、上記濃縮乾固物に、重量で4倍量のトルエンを加え、60℃で均一溶液とした後、毎分1℃ずつ下げて10℃まで冷却し、結晶を得た。得られた結晶を濾過して真空乾燥した。
得られた結晶の組成は、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが99.5重量%、カルバゾールが0.5重量%であった。
(高純度2−(9−カルバゾイル)エチルメタクリレートの製造)
反応容器内に、上記で得られた結晶(N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールの純度=98.0重量%)、メタクリル酸、トルエン、パラトルエンスルホン酸1水和物、ヒドロキノンを仕込み、空気流通下で、130℃で8時間、還流脱水を行った。メタクリル酸/結晶=2.5(モル比)、トルエン/結晶=2.8(モル比)、パラトルエンスルホン酸1水和物/結晶=0.1(モル比)、ヒドロキノン/メタクリル酸=0.001(モル比)であった。
反応終了後、反応液の重量に対して1.5倍量のトルエンを加え、室温まで冷却した。
次に、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、さらに中性になるまで純水で洗浄した。相分離して油相を回収し、油相に対して1重量%の無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した。これを濾過した後、濾液に対して1重量%の活性炭を加え、不純物を吸着除去した。活性炭を濾過し、濾液を50℃、37.5hPaで減圧蒸留して、濃度35重量%まで濃縮した。この濃縮液に対して、300重量%のメタノールを加え、50℃で均一溶液とした後、毎分1℃ずつ下げて10℃まで冷却し、結晶を得た。得られた結晶を濾過して真空乾燥した。
得られた結晶の組成は、2−(9−カルバゾイル)エチルメタクリレートが99.8重量%、N−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールが0.2重量%であった。
本発明の製造方法によれば、極めて高純度なカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを工業的な大量合成に適する方法で得ることができる。得られる高純度カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートは、高感光性用途(例えば、樹脂BM,各種レジスト)、高屈折用途(例えば、ハードコート材、ホログラム材料)、正孔輸送用途(例えば、有機EL、フォトリフラクティブ材料)などに好適である。

Claims (5)

  1. N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応によってカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、
    該N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、晶析によって精製されたものである、
    カルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの製造方法。
  2. 前記N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、純度が95重量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記晶析の前に、蒸留塔ボトム温度が130〜250℃での蒸留を行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールは、カルバゾールとアルキレンカーボネートおよび/またはアルキレンオキシドとの反応によって得られたものである、請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
  5. 得られるカルバゾイルアルキル(メタ)アクリレートの純度が98重量%以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010525112A (ja) * 2007-04-17 2010-07-22 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリカルバゾリル(メタ)アクリレート発光組成物
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