JP2013211180A - 温度センサ付きフィルムヒータ - Google Patents

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    • H05B2203/006Heaters using a particular layout for the resistive material or resistive elements using interdigitated electrodes

Abstract

【課題】 面状フィルムヒータ全体の温度を正確に計測可能であると共に、薄型化が可能である温度センサ付きフィルムヒータを提供すること。
【解決手段】 絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム上に形成された温度センサ部TS及びヒータ線6の一方と、該一方の上に絶縁層5を介して形成された温度センサ部及びヒータ線の他方とを備えた温度センサ付きフィルムヒータ1であって、ヒータ線6が、絶縁性フィルム又は絶縁層の上にパターン形成され、温度センサ部が、ヒータ線の発熱領域の直下又は直上であって絶縁性フィルム又は絶縁層の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、少なくとも薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極4とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータ線の温度を高精度に計測可能で耐屈曲性に優れた温度センサ付きフィルムヒータに関する。
従来、フィルムヒータとして、例えば特許文献1には、ポリイミドフィルム上に金属箔層を蒸着形成して、エッチング処理により所望の形状の面状発熱体を得る面状発熱装置が提案されている。この面状発熱装置では、この面状発熱体に通電することで面状発熱体を加熱させて、面状発熱装置を敷設した箇所を加熱するものであり、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の絶縁材料に挟まれた形態として使用されている。
また、特許文献2には、通電することで発熱する金属薄箔を絶縁フィルムで覆い、サーモスタットを絶縁フィルムを介して金属薄膜近傍に配置して充填被覆する面状発熱体が記載されている。この面状発熱体では、金属薄箔上の保護フィルムの上に温度検知素子としてサーモスタットを配置して、自己温度制御機能を持たせている。
さらに、特許文献3では、フィルム上の金属薄箔をエッチング処理により面状発熱体と配線路とを形成して温度検知素子を配線路に配設し、それらの上に被覆部分を配設した温度検知機能を有する面状発熱装置が記載されている。この面状発熱装置では、面状発熱体の横に温度検知素子としてチップサーミスタを実装して自己温度制御機能を持たせている。
特開平6−290859号公報 特開2002−117958号公報 特開2004−186072号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、面状発熱体の温度を計測するために温度検知素子を配置した場合、特許文献2に記載のように、面状発熱体の上にサーモスタットを配置すると、サーモスタットの面積が小さいので、局所的に計測することになり、面状発熱体全体の温度を測定していないという不都合があった。また、保護フィルム越しで温度を測定しているので、サーモスタットと面状発熱体との間に温度の差異が生じ、正確な温度を測定することが難しい。さらに、サーモスタットには体積があるために応答性が低く、面状発熱装置の厚みが増えると共に表面形状として凹凸ができ、狭い空間への収納がし難くなる等の問題があった。
また、特許文献3の技術においても、上記と同様の課題があり、面状発熱体のない箇所にチップサーミスタを実装配置するために、さらに正確な温度を測定していないと共に、チップサーミスタを配置するスペースが必要となり、面状発熱装置の小面積化が困難であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、面状フィルムヒータ全体の温度を正確に計測可能であると共に、薄型化が可能である温度センサ付きフィルムヒータを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルム上に形成された温度センサ部及びヒータ線の一方と、該一方の上に絶縁層を介して形成された前記温度センサ部及び前記ヒータ線の他方とを備え、前記ヒータ線が、前記絶縁性フィルム又は前記絶縁層の上にパターン形成され、前記温度センサ部が、前記ヒータ線の発熱領域の直下又は直上であって前記絶縁性フィルム又は前記絶縁層の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを有していることを特徴とする。
この温度センサ付きフィルムヒータでは、温度センサ部が、ヒータ線の発熱領域の直下又は直上であって絶縁性フィルム又は絶縁層の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、少なくとも薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを有しているので、ヒータ線の発熱領域の直下又は直上に配された薄膜サーミスタ部でヒータ線全体の平均温度を正確に計測可能である。また、薄膜サーミスタ部が、チップサーミスタやサーモスタットに比べて薄く、小さい体積であるため、応答性に優れていると共に表面形状の凹凸が小さく、全体の薄型化が可能であり、狭い空間への設置、収納がしやすい。さらに、薄膜サーミスタ部を、ヒータ線の発熱領域の直下又は直上に形成するので、温度センサ部をヒータ線の無い箇所に設置する必要が無く、全体の小面積化も可能である。
第2の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第1の発明において、前記温度センサ部が、前記絶縁性フィルム上にサーミスタ材料でパターン形成された前記薄膜サーミスタ部と、少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを有し、前記ヒータ線が、前記薄膜サーミスタ部上に形成された前記絶縁層の上にパターン形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ付きフィルムヒータでは、絶縁性フィルムの平坦な面に薄膜サーミスタ部を形成するので、絶縁性フィルム上にヒータ線を形成した上に絶縁層を介して薄膜サーミスタ部を形成する場合に比べて、曲げに対する信頼性が向上する。
第3の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第1又は第2の発明において、一対の前記パターン電極が、前記薄膜サーミスタ部の上又は下に設けられた一対の対向電極部を有し、前記ヒータ線が、一対の前記対向電極部間の領域における直上又は直下に配されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ付きフィルムヒータでは、ヒータ線が、薄膜サーミスタ部の温度検知部分である一対の対向電極部間の領域における直上又は直下に配されているので、ヒータ線の温度を精度良く計測することができる。
第4の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第1から第3のいずれかの発明において、前記絶縁層が、樹脂フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ付きフィルムヒータでは、絶縁層が樹脂フィルムであるので、安価であると共に高い平坦性を得ることができる。
第5の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第1から第3のいずれかの発明において、前記絶縁層が、窒化物からなる絶縁材料で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ付きフィルムヒータでは、絶縁層が、窒化物からなる絶縁材料で形成されているので、保護フィルムを用いた場合に比べて薄くでき、熱伝導性に優れ、ヒータ線と薄膜サーミスタ部との温度差が小さくなって、さらに正確な温度計測が可能になる。
第6の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第5の発明において、前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサ付きフィルムヒータでは、薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成されているので、窒化物の絶縁層との接着性が高く、曲げた際などでも剥離等を防ぐことができる。
第7の発明に係る温度センサ付きフィルムヒータは、第1から第6のいずれかの発明において、前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
本発明者らは、窒化物材料の中でもAlN系に着目し、鋭意、研究を進めたところ、絶縁体であるAlNは、最適なサーミスタ特性(B定数:1000〜6000K程度)を得ることが難しいため、Alサイトを電気伝導を向上させる特定の金属元素で置換すると共に、特定の結晶構造とすることで、非焼成で良好なB定数と耐熱性とが得られることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。
なお、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型相のみの相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(Ti+Al))が0.95をこえると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(Ti+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の正しい化学量論比は、N/(Ti+Al+N)=0.5であることに起因する。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータによれば、温度センサ部が、ヒータ線の発熱領域の直下又は直上であって絶縁性フィルム又は絶縁層の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部を有しているので、ヒータ線の発熱領域全体の平均温度を正確に計測可能であり、応答性に優れていると共に薄型化・小面積化が可能である。
したがって、本発明の温度センサ付きフィルムヒータによれば、フレキシブルで凹凸が少なく、ヒータ温度を正確に計測できるので、薄型バッテリー、薄膜コンデンサ又は小型カメラ等の狭い隙間に挿入して設置することや、曲面に設置して高精度に加熱温度制御することが可能になる。
本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータの第1実施形態において、温度センサ付きフィルムヒータを示す平面図(a)及びA−A線断面図(b)である。 第1実施形態において、金属窒化物材料の組成範囲を示すTi−Al−N系3元系相図である。 第1実施形態において、温度センサ付きフィルムヒータの製造方法において薄膜サーミスタ部形成工程とパターン電極形成工程とを示す平面図である。 第1実施形態において、温度センサ付きフィルムヒータの製造方法において絶縁層形成工程とヒータ線形成工程とを示す平面図である。 本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータの第2実施形態において、温度センサ付きフィルムヒータを示す平面図である。 本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータの実施例において、サーミスタ用金属窒化物材料の膜評価用素子を示す正面図及び平面図である。 本発明に係る実施例及び比較例において、25℃抵抗率とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例及び比較例において、Al/(Ti+Al)比とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、Al/(Ti+Al)=0.84としたc軸配向が強い場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、Al/(Ti+Al)=0.83としたa軸配向が強い場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る比較例において、Al/(Ti+Al)=0.60とした場合におけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、a軸配向の強い実施例とc軸配向の強い実施例とを比較したAl/(Ti+Al)比とB定数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、c軸配向が強い実施例を示す断面SEM写真である。 本発明に係る実施例において、a軸配向が強い実施例を示す断面SEM写真である。
以下、本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータにおける第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ1は、図1に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2上に形成された温度センサ部TSと、該温度センサ部TSの上に絶縁層5を介して形成されたヒータ線6とを備え、ヒータ線6が、絶縁層5の上にパターン形成され、温度センサ部TSが、ヒータ線6の発熱領域の直下であって絶縁性フィルム2の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、少なくとも薄膜サーミスタ部3の上に形成された一対のパターン電極4とを有している。
上記絶縁性フィルム2は、例えばポリイミド樹脂シートで帯状に形成されている。なお、樹脂フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも構わない。
一対の上記パターン電極4は、薄膜サーミスタ部3の上に設けられた一対の対向電極部4aを有している。
これらパターン電極4は、薄膜サーミスタ部3上に形成されたCrの接合層(図示略)と、該接合層上に貴金属で形成された電極層(図示略)とを有している。
一対のパターン電極4は、互いに対向状態に配した櫛形パターンの一対の櫛形電極部である複数対の上記対向電極部4aと、これら対向電極部4aに先端部が接続され基端部が絶縁性フィルム2の端部に配されて延在した一対の直線延在部4bとを有している。
上記絶縁層5は、樹脂フィルムであり、例えばポリイミドカバーレイフィルムなどが採用される。なお、ポリイミドやエポキシ系の樹脂材料を印刷で絶縁層5を形成しても構わないが、平坦性からフィルムが望ましい。
上記ヒータ線6は、一対の対向電極部4a間の領域における直上に配されている。このヒータ線6は、薄膜サーミスタ部3の直上に形成され繰り返して折り返されてミアンダ形状とされたミアンダ部4aと、該ミアンダ部4aに先端部が接続され基端部が絶縁層5の端部に配されて延在した一対のヒータ基端部6bとを有している。すなわち、ミアンダ部4aが、ヒータ線6の発熱領域となり、面状発熱体、すなわち面状フィルムヒータとなっている。なお、図1の(b)に示す断面図では、対向電極部4a及びミアンダ部4aの本数を少なくして図示している。
さらに、直線延在部4b及びヒータ基端部6bの基端側を含む絶縁性フィルム2の端部を除いて該絶縁性フィルム2上にポリイミドカバーレイフィルム7が加圧接着されている。なお、ポリイミドカバーレイフィルム7の代わりに、ポリイミドやエポキシ系の樹脂材料を印刷で絶縁性フィルム2上に形成しても構わない。
上記薄膜サーミスタ部3は、TiAlNのサーミスタ材料で形成されている。特に、薄膜サーミスタ部3は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。
上記薄膜サーミスタ部3は、上述したように、金属窒化物材料であって、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系の結晶系であってウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))の単相である。すなわち、この金属窒化物材料は、図2に示すように、Ti−Al−N系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
なお、上記点A,B,C,Dの各組成比(x、y、z)(原子%)は、A(15、35、50),B(2.5、47.5、50),C(3、57、40),D(18、42、40)である。
また、この薄膜サーミスタ部3は、膜状に形成され、前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶である。さらに、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向していることが好ましい。
なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べることで、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満であることで決定する。
この温度センサ付きフィルムヒータ1の製造方法について、図3及び図4を参照して以下に説明する。
本実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ1の製造方法は、絶縁性フィルム2上に薄膜サーミスタ部3をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、互いに対向した一対の対向電極部4aを薄膜サーミスタ部3上に配して絶縁性フィルム2上に一対のパターン電極4をパターン形成する電極形成工程と、薄膜サーミスタ部3上にパターン電極4を覆って絶縁層5を形成する絶縁層形成工程と、該絶縁層5上にヒータ線6をパターン形成するヒータ線形成工程と、パターン電極4及びヒータ線6の端部を除いて全体をポリイミドカバーレイフィルム7で覆う保護膜形成工程とを有している。
より具体的な製造方法の例としては、厚さ50μmのポリイミドフィルムの絶縁性フィルム2上に、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAl(x=9、y=43、z=48)の薄膜サーミスタ部3となるサーミスタ材料層を膜厚200nmで成膜する。その時のスパッタ条件は、到達真空度5×10−6Pa、スパッタガス圧0.4Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を20%で作製した。
次に、成膜したサーミスタ材料層の上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要なTiAlNのサーミスタ材料層を市販のTiエッチャントでウェットエッチングを行い、図3の(a)に示すように、レジスト剥離にて所望の形状の薄膜サーミスタ部3にする。
次に、薄膜サーミスタ部3及び絶縁性フィルム2上に、スパッタ法にて、Cr膜の接合層を膜厚20nm形成する。さらに、この接合層上に、スパッタ法にてAu膜の電極層を膜厚100nm形成する。
次に、成膜した電極層の上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントの順番でウェットエッチングを行い、図3の(b)に示すように、レジスト剥離にて所望のパターン電極4を形成する。このようにして温度センサ部TSが作製される。
次に、その上に接着剤付きの厚さが12.5μmであるポリイミドカバーレイフィルムを薄膜サーミスタ部3を対向電極部4aと共に覆うように載せ、プレス機にて150℃、2MPaで10min加圧し接着させ、図4の(a)に示すように、絶縁層5を形成する。
さらに、メタルマスクを用いて絶縁層5上にスパッタ法によりヒータ線6となるNiCr膜を500nmを形成する。その上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。
その後、不要なNiCr膜を市販のNiCrエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて、図4の(b)に示すように、ミアンダ部4aを有するヒータ線6が絶縁層5を挟んで薄膜サーミスタ部3の対向電極部4aの間に配置されるように形成する。なお、ヒータ線6は、絶縁層5に対して厚さに大きな差があり、絶縁層5の段差により断線することを防ぐため、ヒータ基端部6bの基端部を含め全体を絶縁層5上に形成している。
次に、直線延在部4b及びヒータ基端部6bの基端部を除いて、保護膜として接着剤付きの厚さ50μmであるポリイミドカバーレイフィルム7を絶縁性フィルム2上に載せ、プレス機にて150℃、2MPaで10min加圧し接着させ、図1に示すように、厚みが150μmの温度センサ付きフィルムヒータ1が作製される。
なお、複数の温度センサ付きフィルムヒータ1を同時に作製する場合、絶縁性フィルム2の大判シートに複数の薄膜サーミスタ部3、パターン電極4及びヒータ線6を上述のように形成した後に、大判シートから各温度センサ付きフィルムヒータ1に切断する。
また、温度センサ付きフィルムヒータ1は、用途に応じて所望の大きさにするためには、ミアンダ部4aの幅と間隔とを調整して大きくし、ミアンダ部4aのサイズに合わせて、薄膜サーミスタ部3の対向電極部4aを所望の抵抗値に合わせながら、対向電極部4aの幅と間隔とを調整すればよい。
このように本実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ1では、温度センサ部TSが、ヒータ線6の発熱領域の直下であって絶縁性フィルム2の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部3と、少なくとも薄膜サーミスタ部3の上に形成された一対のパターン電極4とを有しているので、ヒータ線6の発熱領域の直下に配された薄膜サーミスタ部3でヒータ線6全体の平均温度を正確に計測可能である。
また、薄膜サーミスタ部3が、チップサーミスタやサーモスタットに比べて薄く、小さい体積であるため、応答性に優れていると共に表面形状の凹凸が小さく、全体の薄型化が可能であり、狭い空間への設置、収納がしやすい。さらに、薄膜サーミスタ部3が、ヒータ線6の直下に形成するので、温度センサ部TSをヒータ線6の無い箇所に設置する必要が無く、全体の小面積化も可能である。
また、ヒータ線6が、薄膜サーミスタ部3の温度検知部分である一対の対向電極部4a間の領域における直上に配されているので、ヒータ線6の温度を精度良く計測することができる。
さらに、絶縁層5が樹脂フィルムであるので、安価であると共に高い平坦性を得ることができる。
また、薄膜サーミスタ部3が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系の結晶系であってウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。
また、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
さらに、この金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸を強く配向させることで、a軸配向が強い場合に比べて高いB定数が得られる。
なお、本実施形態のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の製造方法では、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記TiAlNからなる上記金属窒化物材料を非焼成で成膜することができる。
また、反応性スパッタにおけるスパッタガス圧を、0.67Pa未満に設定することで、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向している金属窒化物材料の膜を形成することができる。
したがって、本実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ1では、絶縁性フィルム2上に上記サーミスタ材料層で薄膜サーミスタ部3が形成されているので、非焼成で形成され高B定数で耐熱性の高い薄膜サーミスタ部3により、樹脂フィルム等の耐熱性の低い絶縁性フィルム2を用いることができると共に、良好なサーミスタ特性を有した薄型でフレキシブルな温度センサ部が得られる。
次に、本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータの第2実施形態について、図5を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、絶縁層5が樹脂フィルムで形成されているのに対し、第2実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ21では、図5に示すように、絶縁層25が窒化物からなる絶縁材料で形成されている点である。
この第2実施形態の絶縁層25は、次のように作製される。
すなわち、第1実施形態におけるパターン電極4まで形成した状態で、その上に反応性スパッタ法にて、例えばTiAl(x=1.5、y=50.5、z=48)で形成された抵抗率1×10Ωcmの絶縁層25を200nm成膜する。
この際のスパッタ条件は、到達真空度5×10−6Pa、スパッタガス圧0.8Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を20%で作製する。次に、その上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な上記TiAlの窒化物膜を市販のAlエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて薄膜サーミスタ部3より大きいサイズで絶縁層25を形成する。
このように第2実施形態の温度センサ付きフィルムヒータ21では、絶縁層25が、窒化物からなる絶縁材料で形成されているので、保護フィルムを用いた場合に比べて薄くでき、熱伝導性に優れ、ヒータ線6と薄膜サーミスタ部3との温度差が小さくなって、さらに正確な温度計測が可能になる。
また、薄膜サーミスタ部3が、TiAlNのサーミスタ材料で形成されているので、窒化物の絶縁層25との接着性が高く、曲げた際などでも剥離等を防ぐことができる。
次に、本発明に係る温度センサ付きフィルムヒータについて、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図6から図14を参照して具体的に説明する。
<屈曲試験>
上記第1実施形態に基づいて作製した屈曲用実施例の温度センサ付きフィルムヒータに対して、直径20mmの曲率で凹と凸とに交互に10回ずつ屈曲試験を行い、試験前後における電気特性変化を評価した。
この評価の結果、薄膜サーミスタ部の抵抗値変化率は0.1%、B定数変化率は0.1%、ヒータ線の抵抗値変化率は0.3%と、電気特性変化が小さく、曲げ性に対して優れていることが分かる。
<膜評価用素子の作製>
本発明のサーミスタ材料層(薄膜サーミスタ部3)の評価を行う実施例及び比較例として、図6に示す膜評価用素子121を次のように作製した。
まず、反応性スパッタ法にて、様々な組成比のTi−Al合金ターゲットを用いて、Si基板Sとなる熱酸化膜付きSiウエハ上に、厚さ500nmの表1に示す様々な組成比で形成された金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部3を形成した。その時のスパッタ条件は、到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.1〜1Pa、ターゲット投入電力(出力):100〜500Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を10〜100%と変えて作製した。
次に、上記薄膜サーミスタ部3の上に、スパッタ法でCr膜を20nm形成し、さらにAu膜を200nm形成した。さらに、その上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行った。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントによりウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望の櫛形電極部124aを有するパターン電極124を形成した。そして、これをチップ状にダイシングして、B定数評価及び耐熱性試験用の膜評価用素子121とした。
なお、比較としてTiAlの組成比が本発明の範囲外であって結晶系が異なる比較例についても同様に作製して評価を行った。
<膜の評価>
(1)組成分析
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。その結果を表1に示す。なお、以下の表中の組成比は「原子%」で示している。
なお、上記X線光電子分光法(XPS)は、X線源をMgKα(350W)とし、パスエネルギー:58.5eV、測定間隔:0.125eV、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリアを約800μmφの条件下で定量分析を実施した。なお、定量精度について、N/(Ti+Al+N)の定量精度は±2%、Al/(Ti+Al)の定量精度は±1%ある。
(2)比抵抗測定
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、4端子法にて25℃での比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
(3)B定数測定
膜評価用素子121の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果を表1に示す。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
これらの結果からわかるように、TiAlの組成比が図2に示す3元系の三角図において、点A,B,C,Dで囲まれる領域内、すなわち、「0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1」となる領域内の実施例全てで、抵抗率:100Ωcm以上、B定数:1500K以上のサーミスタ特性が達成されている。
上記結果から25℃での抵抗率とB定数との関係を示したグラフを、図7に示す。また、Al/(Ti+Al)比とB定数との関係を示したグラフを、図8に示す。これらのグラフから、Al/(Ti+Al)=0.7〜0.95、かつ、N/(Ti+Al+N)=0.4〜0.5の領域で、結晶系が六方晶のウルツ鉱型の単一相であるものは、25℃における比抵抗値が100Ωcm以上、B定数が1500K以上の高抵抗かつ高B定数の領域が実現できている。なお、図8のデータにおいて、同じAl/(Ti+Al)比に対して、B定数がばらついているのは、結晶中の窒素量が異なるためである。
表1示す比較例3〜12は、Al/(Ti+Al)<0.7の領域であり、結晶系は立方晶のNaCl型となっている。また、比較例12(Al/(Ti+Al)=0.67)では、NaCl型とウルツ鉱型とが共存している。このように、Al/(Ti+Al)<0.7の領域では、25℃における比抵抗値が100Ωcm未満、B定数が1500K未満であり、低抵抗かつ低B定数の領域であった。
表1に示す比較例1,2は、N/(Ti+Al+N)が40%に満たない領域であり、金属が窒化不足の結晶状態になっている。この比較例1,2は、NaCl型でも、ウルツ鉱型でもない、非常に結晶性の劣る状態であった。また、これら比較例では、B定数及び抵抗値が共に非常に小さく、金属的振舞いに近いことがわかった。
(4)薄膜X線回折(結晶相の同定)
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=20〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で測定した。
その結果、Al/(Ti+Al)≧0.7の領域においては、ウルツ鉱型相(六方晶、AlNと同じ相)であり、Al/(Ti+Al)<0.65の領域においては、NaCl型相(立方晶、Crと同じ相)であった。また、0.65< Al/(Ti+Al)<0.7においては、ウルツ鉱型相とNaCl型相との共存する結晶相であった。
このようにTiAlN系においては、高抵抗かつ高B定数の領域は、Al/(Ti+Al)≧0.7のウルツ鉱型相に存在している。なお、本発明の実施例では、不純物相は確認されておらず、ウルツ鉱型の単一相である。
なお、表1に示す比較例1,2は、上述したように結晶相がウルツ鉱型相でもNaCl型相でもなく、本試験においては同定できなかった。また、これらの比較例は、XRDのピーク幅が非常に広いことから、非常に結晶性の劣る材料であった。これは、電気特性により金属的振舞いに近いことから、窒化不足の金属相になっていると考えられる。
次に、本発明の実施例は全てウルツ鉱型相の膜であり、配向性が強いことから、Si基板S上に垂直な方向(膜厚方向)の結晶軸においてa軸配向性が強いか、c軸配向性が強いかであるかについて、XRDを用いて調査した。この際、結晶軸の配向性を調べるために、(100)(a軸配向を示すミラー指数)と(002)(c軸配向を示すミラー指数)とのピーク強度比を測定した。
その結果、スパッタガス圧が0.67Pa未満で成膜された実施例は、(100)よりも(002)の強度が非常に強く、a軸配向性よりc軸配向性が強い膜であった。一方、スパッタガス圧が0.67Pa以上で成膜された実施例は、(002)よりも(100)の強度が非常に強く、c軸配向よりa軸配向が強い材料であった。
なお、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、同様にウルツ鉱型相の単一相が形成されていることを確認している。また、同じ成膜条件でポリイミドフィルムに成膜しても、配向性は変わらないことを確認している。
c軸配向が強い実施例のXRDプロファイルの一例を、図9に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.84(ウルツ鉱型、六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(100)よりも(002)の強度が非常に強くなっている。
また、a軸配向が強い実施例のXRDプロファイルの一例を、図10に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.83(ウルツ鉱型、六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(002)よりも(100)の強度が非常に強くなっている。
さらに、この実施例について、入射角を0度として、対称反射測定を実施した。この場合も、やはり(002)よりも(100)の強度が非常に強く、基板面に対して垂直な方向(膜厚方向)に対して、c軸配向よりもa軸配向が強かった。なお、グラフ中(*)は装置由来のピークであり、サンプル本体のピーク、もしくは、不純物相のピークではないことを確認している(なお、対称反射測定において、そのピークが消失していることからも装置由来のピークであることがわかる。)。
なお、比較例のXRDプロファイルの一例を、図11に示す。この比較例は、Al/(Ti+Al)=0.6(NaCl型、立方晶)であり、入射角を1度として測定した。ウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))として指数付けできるピークは検出されておらず、NaCl型単独相であることを確認した。
次に、ウルツ鉱型材料である本発明の実施例に関して、さらに結晶構造と電気特性との相関を詳細に比較した。
表2及び図12に示すように、Al/(Ti+Al)比がほぼ同じ比率のものに対し、基板面に垂直方向の配向度の強い結晶軸がc軸である材料(実施例5,7,8,9)とa軸である材料(実施例19,20,21)とがある。
これら両者を比較すると、Al/(Ti+Al)比が同じであると、a軸配向が強い材料よりもc軸配向が強い材料の方が、B定数が100K程度大きいことがわかる。また、N量(N/(Ti+Al+N))に着目すると、a軸配向が強い材料よりもc軸配向が強い材料の方が、窒素量がわずかに大きいことがわかる。理想的な化学量論比:N/(Ti+Al+N)=0.5であることから、c軸配向が強い材料のほうが、窒素欠陥量が少なく理想的な材料であることがわかる。
<結晶形態の評価>
次に、薄膜サーミスタ部3の断面における結晶形態を示す一例として、熱酸化膜付きSi基板S上に成膜された実施例(Al/(Ti+Al)=0.84,ウルツ鉱型、六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図13に示す。また、別の実施例(Al/(Ti+Al)=0.83,ウルツ鉱型六方晶、a軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図14に示す。
これら実施例のサンプルは、Si基板Sをへき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
これらの写真からわかるように、いずれの実施例も高密度な柱状結晶で形成されている。すなわち、c軸配向が強い実施例及びa軸配向が強い実施例の共に基板面に垂直な方向に柱状の結晶が成長している様子が観測されている。なお、柱状結晶の破断は、Si基板Sをへき開破断した際に生じたものである。
<膜の耐熱試験評価>
表3に示す実施例及び比較例において、大気中,125℃,1000hの耐熱試験前後における抵抗値及びB定数を評価した。その結果を表3に示す。なお、比較として従来のTa−Al−N系材料による比較例も同様に評価した。
これらの結果からわかるように、Al濃度及び窒素濃度は異なるものの、Ta−Al−N系である比較例と同じB定数で比較したとき、耐熱試験前後における電気特性変化でみたときの耐熱性は、Ti−Al−N系のほうが優れている。なお、実施例5,8はc軸配向が強い材料であり、実施例21,24はa軸配向が強い材料である。両者を比較すると、c軸配向が強い実施例の方がa軸配向が強い実施例に比べて僅かに耐熱性が向上している。
なお、Ta−Al−N系材料では、Taのイオン半径がTiやAlに比べて非常に大きいため、高濃度Al領域でウルツ鉱型相を作製することができない。TaAlN系がウルツ鉱型相でないがゆえ、ウルツ鉱型相のTi−Al−N系の方が、耐熱性が良好であると考えられる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、上述したように上記TiAlNの薄膜サーミスタ部が好ましいが、他のサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部を採用しても構わない。また、薄膜サーミスタ部の上にパターン電極を形成しているが、薄膜サーミスタ部の下にパターン電極を形成しても構わない。
なお、薄膜サーミスタ部とヒータ線との上下の位置関係は、どちらでも曲げ以外の効果は同じである。ただし、曲げの観点では、絶縁性フィルムの平坦な面に窒化物等のサーミスタ材料層からなる薄膜サーミスタ部を配置した方が、曲げに対する信頼性は向上するので、薄膜サーミスタ部をヒータ線の下に配置する方が望ましい。
1,21…温度センサ付きフィルムヒータ、2…絶縁性フィルム、3…薄膜サーミスタ部、4…パターン電極、4a…対向電極部、5,25…絶縁層、6…ヒータ線、TS…温度センサ部

Claims (7)

  1. 絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルム上に形成された温度センサ部及びヒータ線の一方と、該一方の上に絶縁層を介して形成された前記温度センサ部及び前記ヒータ線の他方とを備え、
    前記ヒータ線が、前記絶縁性フィルム又は前記絶縁層の上にパターン形成され、
    前記温度センサ部が、前記ヒータ線の発熱領域の直下又は直上であって前記絶縁性フィルム又は前記絶縁層の上にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを有していることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  2. 請求項1に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    前記温度センサ部が、前記絶縁性フィルム上にサーミスタ材料でパターン形成された前記薄膜サーミスタ部と、少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを有し、
    前記ヒータ線が、前記薄膜サーミスタ部上に形成された前記絶縁層の上にパターン形成されていることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  3. 請求項1又は2に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    一対の前記パターン電極が、前記薄膜サーミスタ部の上又は下に設けられた一対の対向電極部を有し、
    前記ヒータ線が、一対の前記対向電極部間の領域における直上又は直下に配されていることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    前記絶縁層が、樹脂フィルムであることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    前記絶縁層が、窒化物からなる絶縁材料で形成されていることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  6. 請求項5に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成されていることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の温度センサ付きフィルムヒータにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする温度センサ付きフィルムヒータ。
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