JP2013210603A - 液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1官能基を有するポリオルガノシロキサンと、前記第1官能基と反応して結合し得る第2官能基を2つ以上有する化合物(C)との反応により得られる重合体(S)を液晶配向剤に含有させる。
【選択図】なし
Description
本発明における重合体(S)は、ポリオルガノシロキサンが有する第1官能基と、化合物(C)が有する第2官能基とが反応して結合を形成してなる重合体である。このような重合体(S)を液晶配向剤中に含有させることにより重合体成分の高分子量化を図ることができ、液晶配向膜の耐溶剤性を良好にすることができる。
第1官能基と第2官能基との組み合わせとしては、ポリオルガノシロキサンへの官能基の導入が容易である点及び官能基同士の反応性の点において、中でも、第1官能基及び第2官能基のうちの一方が、カルボキシ基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、他方の官能基が、オキシラニル基、オキセタニル基及びアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。より好ましくは、第1官能基及び第2官能基のうちの一方がカルボキシ基であり、他方がエポキシ基の組み合わせであり、特に好ましくは、第1官能基がエポキシ基であって、第2官能基がカルボキシ基の組み合わせである。すなわち、本発明における重合体(S)は、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン」ともいう。)と、化合物(C)としての多価カルボン酸との反応により得られる重合体であることが特に好ましい。ここで、エポキシ基は、オキシラニル基およびオキセタニル基の双方を含む概念である。
本発明における第1官能基を有するポリオルガノシロキサンとしてのエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、主骨格としてのポリオルガノシロキサンのケイ素原子に対し、エポキシ基が(場合により結合基を介して)結合していればその余の構造は特に制限はない。エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基としてはオキシラニル基が好ましい。このオキシラニル基としては、オキシラニル環を構成する炭素原子のうちの一方のみが結合手を有し、該結合手によって(場合により結合基を介して)ポリオルガノシロキサンのケイ素原子と結合していてもよく、あるいはオキシラニル環を構成する炭素原子のうちの双方が脂環を構成する炭素原子となっている環状オキシラニル構造であってもよい。
加水分解縮合反応における有機溶媒の使用割合は、反応に使用する全シラン化合物100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
上記液晶配向性基としては、例えば下記式(D’)
上記式(D’)におけるRIIのシクロへキシレン基およびフェニレン基は、それぞれ、1,4−シクロへキシレン基および1,4−フェニレン基であることが好ましい。上記式(D’)において「−(RII)n1−」で表される2価の基としては、n1が1である場合として、例えば1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基などを;
n1が2である場合として、例えば4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロへキシレン基、下記式
上記式(D’)におけるn3は、2であることが好ましい。また、n2が1であるか、あるいはn2が0であってRIがステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基であることが好ましい。
上記重合性二重結合を含む基としては、例えば下記式(A)
上記式(A)で表される基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシ)ブチル基、5−((メタ)アクリロキシ)ペンチル基、6−((メタ)アクリロキシ)ヘキシル基、7−((メタ)アクリロキシ)ヘプチル基、8−((メタ)アクリロキシ)オクチル基、9−((メタ)アクリロキシ)ノニル基、10−((メタ)アクリロキシ)デシル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エチル)フェニル基、2−((4−(メタ)アクリロキシ)フェニル)エチル基、4−((メタ)アクリロキシメチル)フェニル基、4−(メタ)アクリロキシフェニルメチル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロピル)フェニル基、3−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)フェニル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)フェニル基、(メタ)アクリロキシメトキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシメトキシ)エチル基、2−(2−((メタ)アクリロキシエトキシ)エチル基、2−(2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エトキシ)エチル基、3−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)プロピル基、アクリロキシメチル基、6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキシル基などを挙げることができる。これらの中でもビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基および6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキシル基を好ましい基として挙げることができる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロ」は「アクリロ」及び「メタクリロ」の両方を含むことを意味する。
上記光配向性基としては、例えば下記式(B1)で表される構造を有することが好ましい。また、下記式(B1)で表される構造とともに、液晶配向剤に含有される重合体(S)に下記式(A1)で表される基をさらに含ませることにより、高速応答性を付与することができる。
上記式(A1)におけるRCは、下記式(A2)で表されることが好ましい。
本発明における化合物(C)は、重合体(S)が有する第1官能基と反応して結合を形成し得る第2官能基を2つ以上有する。当該化合物(C)は、低分子化合物であっても高分子化合物(重合体)であってもよい。
ここで、上記化合物(C)が低分子化合物である場合の具体例としては、例えば複数の第2官能基同士が結合してなる化合物、炭素数1〜40の炭化水素における2つ以上の水素原子がそれぞれ第2官能基で置換された化合物(以下、化合物(c−1)とも言う。)、当該化合物(c−1)における炭素−炭素結合間に、−O−、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−NH−又は−CO−NH−を含む化合物、上記化合物(c−1)が有する1つ以上の水素原子がその他の官能基で置換された化合物などを;
高分子化合物である場合の具体例としては、例えば第2官能基が結合する骨格がポリオルガノシロキサン、ポリアルキレングリコール、(メタ)アクリル系重合体、ポリアミック酸、ポリイミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体又はポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体である化合物などを;それぞれ挙げることができる。化合物(C)としては、第1官能基を有するポリオルガノシロキサンと化合物(C)との反応性が高い点で、分子量1,000以下の低分子化合物であることが好ましく、分子量800以下であることがより好ましい。
上記化合物(C)としての多価カルボン酸は、例えば上記化合物(C)が低分子化合物である場合の具体例として挙げた化合物における第2官能基がカルボキシ基であるもの等が挙げられる。当該多価カルボン酸におけるカルボキシ基の数は、2〜4個であることが好ましく、2個であることが特に好ましい。すなわち、重合体(S)の合成に使用する多価カルボン酸はジカルボン酸であることが特に好ましい。
当該ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式構造を有するジカルボン酸、芳香族環を有するジカルボン酸、脂環式構造および芳香族環の双方を有するジカルボン酸などを挙げることができる。
後者の例として、例えばフマル酸、ムコン酸などを、それぞれ挙げることができる。
上記芳香族環を有するジカルボン酸として、例えばo−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4’’−タ−フェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビベンジルジカルボン酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−トランジカルボン酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、4,4’−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3’−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3’−[4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’−[4,4’−(オキシジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’−[4,4’−(オキシジ−p−フェニレン)]二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、ビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、3,6−ピリジンジカルボン酸などを;
上記脂環式構造および芳香族環の双方を有するジカルボン酸としては、例えば3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−シクロブタンジカルボン酸などを、それぞれ挙げることができる。
上記第1官能基がエポキシ基であって、かつ化合物(C)が多価カルボン酸である場合、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと多価カルボン酸との反応は、好ましくは適当な触媒および適当な有機溶媒の存在下で行われる。
上記有機塩基としては例えば1級または2級の有機アミン、3級有機アミン、4級有機アミン塩などを;上記硬化促進剤としては例えば3級アミン(ただし有機塩基としての3級有機アミンは除く)、イミダゾール誘導体、有機リン化合物、4級ホスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物、ハロゲン化4級アンモニウム、金属ハロゲン化合物、潜在性硬化促進剤等などを、それぞれ挙げることができる。上記潜在性硬化促進剤等としては、例えば高融点分散型潜在性硬化促進剤(例えばアミン付加型促進剤など)、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化剤促進剤、高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤などを挙げることができる。これらのうち、4級有機アミン塩またはハロゲン化4級アンモニウムを使用することが好ましい。
かかる触媒の具体例としては、上記4級有機アミン塩として、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどを;上記ハロゲン化4級アンモニウムとして、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドなどを;それぞれ挙げることができる。上記触媒としては、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
触媒の使用割合は、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部であり、より好ましくは0.1〜20重量部である。
上記エステルとして例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチルなどを;上記アミドとして例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどを;
上記アルコールとして例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
有機溶媒の使用割合は、反応溶液中の有機溶媒以外の成分の合計重量が反応溶液の全量に占める割合として、0.1〜50重量%となる割合とすることが好ましく、5〜50重量%となる割合とすることがより好ましい。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと多価カルボン酸との反応に際しては、上記特定の官能基を重合体(S)に導入することを目的として、上記特定の官能基を有するカルボン酸(以下、特定カルボン酸ともいう。)を使用してもよい。多価カルボン酸とともに上記特定カルボン酸を使用する場合、特定カルボン酸の合計の使用割合を、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.1〜0.6モルとすることがより好ましい。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと多価カルボン酸との反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度において、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間行われる。
本発明の液晶配向剤は、重合体成分として上記重合体(S)以外の重合体(以下、「他の重合体」と称することがある。)を含有していてもよい。当該他の重合体は、液晶配向剤の溶液特性及び得られる液晶表示素子の電気特性をより改善するために使用できる。他の重合体としては、例えば、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(B);上記重合体(S)とは異なるポリオルガノシロキサン、その加水分解物及びその加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(以下、「他のポリオルガノシロキサン」とも称する。);ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体(B)としてのポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得られる。
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の少なくともいずれかを含む場合、その合計の使用量としては、ポリアミック酸の合成に使用する全テトラカルボン酸二無水物に対して、10モル%以上とすることが好ましく、20モル%以上とすることがより好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましい。
有機溶媒の使用量(a)としては、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総量(b)と有機溶媒の使用量(a)の合計(a+b)に対して、0.1重量%〜50重量%とすることが好ましく、5重量%〜30重量%とすることがより好ましい。
本発明の重合体(B)としてのポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸を、水酸基含有化合物又はエーテル化合物を用いてエステル化することにより合成する方法、[II]テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミンとを反応させる方法、によって得ることができる。ここで、方法[II]におけるテトラカルボン酸ジエステル化合物としては、上記テトラカルボン酸二無水物の前駆体であるテトラカルボン酸のジエステル化合物が挙げられ、例えばテトラカルボン酸ジエステルジクロリド、2つのカルボキシル基を有するテトラカルボン酸ジエステル等を挙げることができる。また、方法[II]において使用するジアミンとしては、上記ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとして例示した化合物が挙げられる。なお、重合体(B)としてのポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
本発明における重合体(B)としてのポリイミドは、上記ポリアミック酸の有するアミック酸構造を脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有しているアミック酸構造の全てを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存している部分イミド化物であってもよい。
方法(i)において得られるポリイミドは、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離した上で液晶配向剤の調製に供してもよく、又は得られるポリイミドを精製した上で液晶配向剤の調製に供してもよい。
本発明の液晶配向剤に含有させてもよい他のポリオルガノシロキサンとしては、例えば下記式(a1)で表される構造単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物及びその加水分解物の縮合物等が挙げられる。
一方、本発明の液晶配向剤が、重合体(S)及び他のポリオルガノシロキサンを含有するものである場合、両者の好ましい使用割合としては、重合体(S)100重量部に対して他のポリオルガノシロキサンの合計の使用量が、5重量部〜2,000重量部であることが好ましく、100重量部〜2,000重量部であることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、本発明の効果を損なわない限り、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」とも称する。)、官能性シラン化合物、界面活性剤等のその他の成分を含有してもよい。
硬化剤及び硬化触媒は、第1官能基を有するポリオルガノシロキサンがエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンである場合に、エポキシ構造間の架橋反応を更に促進させる目的で本発明の液晶配向剤に含ませることができる。硬化促進剤は、硬化剤の司る硬化反応を促進する目的で液晶配向剤に含ませることができる。
硬化剤としては、例えばシクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸−3,5−無水物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、下記式(6)
上記エポキシ化合物は、形成される液晶配向膜の基板表面に対する接着性を向上させる観点から液晶配向剤に含ませることができる。エポキシ化合物の具体例としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。なお、液晶配向剤がエポキシ化合物を含有する場合、その架橋反応を効率良く起こす目的で、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等の塩基触媒を併用してもよい。
官能性シラン化合物は、得られる液晶配向膜の基板との接着性を向上する目的で使用することができる。官能性シラン化合物の具体例としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられ、さらに特開昭63−291922号公報に記載されているテトラカルボン酸二無水物とアミノ基を有するシラン化合物との反応物等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。液晶配向剤が界面活性剤を含有する場合、その含有割合としては、液晶配向剤の全体量100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
本発明の液晶配向剤は、上述の通り重合体(S)を含有し、必要に応じてその他の任意成分を含有するものであるが、好ましくは各成分が有機溶媒に溶解された溶液状の組成物として調製される。
本発明の液晶表示素子は、上記のような本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下のいずれかの方法によって製造することができる。
(1)本発明の液晶配向剤を用いて基板上に塗膜を形成する工程、
(2)必要に応じて塗膜面にラビング処理を施す工程、および
(3)一対の基板間に液晶を挟持して液晶セルを構成する工程。
(1’)導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する工程、
(2’)前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構成する工程、および
(3’)前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射
する工程。
以下、上記各製造方法について順に説明する。
上記第1の製造方法における工程(1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(2)および工程(3)は各動作モードに共通である。
[工程(1);塗膜の形成]
先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(1)で形成した塗膜を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対しラビング処理を施してもよい。また、ラビング処理後の液晶配向膜に対して、更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって、液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。なお、塗膜に液晶配向能を付与する処理としては、ラビング処理に代えて光配向法による処理を採用してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。ここで、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
なお、本発明の液晶配向剤が、液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサンを含有するものである場合、該液晶配向剤をVA型液晶表示素子の製造においてODF方式(液晶滴下方式)を採用した場合であっても優れた垂直配向規制力を有し、ODFムラが少なく、本方式の適用に対して特に好適である。
上記第2の製造方法における工程(1’)及び工程(2’)は、それぞれ上記第1の製造方法における工程(1)及び工程(3)と同様にして行うことができる。但し、工程(1’)による形成後の塗膜は、これをそのまま次の工程(2’)に供することができるが、任意的に上記第1の製造方法における工程(2)のようなラビング処理を施してもよい。工程(2’)で使用される液晶分子としては、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。液晶分子の層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。
本実施例において重合体の重量平均分子量Mw及びエポキシ当量、並びに重合体溶液の粘度は、以下の方法により測定した
[重量平均分子量Mw]
重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[合成例1−1]
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)500g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500gおよび触媒としてトリエチルアミン50gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水400gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、80℃にて撹拌し6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液によって洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ構造を有するポリオルガノシロキサン(EPS−1)を粘調な透明液体として得た。このポリオルガノシロキサン(EPS−1)のMwは3,100、エポキシ当量は181.3g/モルであった。
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)250g(合成に使用する全シラン化合物の50モル%相当)および3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS)252g(合成に使用する全シラン化合物の50モル%相当)、溶媒としてメチルイソブチルケトン502gおよび触媒としてトリエチルアミン50gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水402gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、80℃において還流下で撹拌しつつ6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液によって洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ構造を有するポリオルガノシロキサン(EPS−2)を粘調な透明液体として得た。このポリオルガノシロキサン(EPS−2)のMwは2,900、エポキシ当量は182.4g/モルであった。
[合成例2−1]
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を11.2g、メチルイソブチルケトン85g、液晶配向性基を有するカルボン酸として4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸(PCPA)3.48g、化合物(C)としてアジピン酸0.278g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して3モル%に相当)、および触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド1.1gを仕込み、90℃で8時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−1)の白色粉末14.7gを得た。この重合体(S−1)のMwは12,800であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−2で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−2)を11.26g、メチルイソブチルケトン85g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 3.46g、化合物(C)としてアジピン酸0.277g(ポリオルガノシロキサン(EPS−2)が有するエポキシ基に対して3モル%に相当)、および触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド1.13gを仕込み、90℃で8時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−2)の白色粉末14.6gを得た。この重合体(S−2)のMwは9,800であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を11.322g、メチルイソブチルケトン85g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 3.505g、ジカルボン酸としてシュウ酸0.173g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して3モル%に相当)、および触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド1.132gを仕込み、90℃で8時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−3)の白色粉末14.8gを得た。この重合体(S−3)のMwは13,500であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を8.318g、メチルイソブチルケトン85g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 6.438g、ジカルボン酸としてマロン酸0.244g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して3モル%に相当)、および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド0.8gを仕込み、90℃で12時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−4)の白色粉末14.1gを得た。この重合体(S−4)のMwは12,600であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を11.355g、メチルイソブチルケトン85g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 3.515g、ジカルボン酸としてセバシン酸0.13g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して5モル%に相当)、および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド1.1gを仕込み、90℃で10時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−5)の白色粉末14.1gを得た。この重合体(S−5)のMwは34,000であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を3.554g、メチルイソブチルケトン95g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 1.10g、ジカルボン酸として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸0.345g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して1モル%に相当)、および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド0.4gを仕込み、90℃で8時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−6)の白色粉末13.9gを得た。この重合体(S−6)のMwは9,600であった。
300mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとして上記合成例1−1で合成したポリオルガノシロキサン(EPS−1)を28.504g、メチルイソブチルケトン60g、液晶配向性基を有するカルボン酸としてPCPA 8.824g、ジカルボン酸としてテレフタル酸2.671g(ポリオルガノシロキサン(EPS−1)が有するエポキシ基に対して10モル%に相当)、および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド2.85gを仕込み、90℃で8時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶媒を留去することにより重合体(S−7)の白色粉末38.1gを得た。この重合体(S−7)のMwは120,000であった。
[比較合成例2−8]
ポリオルガノシロキサン(EPS−1)の添加量を11.454gおよびテトラブチルアンモニウムブロミドの添加量を1.4gとした点、並びに化合物(C)としてのアジピン酸を添加しなかった点以外は、上記合成例1と同様の方法により合成を行い、液晶配向性基含有ポリオルガノシロキサン(S−8)の白色粉末12.6gを得た。この液晶配向性基含有ポリオルガノシロキサン(S−8)のMwは6,800であった。
300mLの三口フラスコに、テトラエトキシシラン55.6g、ドデシルトリエトキシシラン22.2g、並びに溶媒としてブチルセロソルブ66.9gを仕込み、室温で撹拌した。この溶液に、あらかじめブチルセロソルブ33.4g、水30.0g及び触媒としてシュウ酸0.3gを混合したシュウ酸溶液を室温下で滴下し、滴下終了後30分攪拌した。その後、溶液温度70℃で1時間加熱してから放冷した。ついで、酢酸エチル500gを加え、蒸留水にて分液精製し、脱触した後に、有機層を取り出し、ブチルセロソルブ5000gを加え、減圧下で溶媒および水を留去することより、液晶配向性基含有ポリオルガノシロキサン(S−9)を10重量%含む溶液を得た。得られた液晶配向性基含有ポリオルガノシロキサン(S−9)のMwは3,000であった。
[合成例P−1]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物19.61g(0.1モル)、及びジアミンとして4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル21.23g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)367.6gに溶解し、室温で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥することにより、ポリアミック酸(PA−1)を35g得た。
[合成例P−2]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物 18.85g、並びにジアミンとして下記式(G−4)で表される化合物8.84g及びp−フェニレンジアミン7.31gをNMP140gに溶解し、60℃で4時間反応を行った。反応後、この重合液の粘度を測定したところ、2,150mPa・sであった。反応溶液を大過剰のメチルアルコール中に注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で24時間乾燥させることによりポリアミック酸を得た。得られたポリアミック酸を全てNMP465gに再溶解させ、ピリジン6.65g及び無水酢酸8.59gを添加し110℃で4時間脱水閉環させ、上記と同様にして沈殿、洗浄、減圧乾燥を行い、イミド化率50%のポリイミド(PI−1)を23.1g得た。
<液晶配向剤の調製>
他の重合体として、上記合成例P−1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液のうち、この溶液に含有されるポリアミック酸(PA−1)に換算して100重量部に相当する量をとり、ここに重合体(S−1)5重量部を加え、さらにNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加えて、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(E−1)を調製した。
[垂直配向型液晶表示素子の製造]
上記実施例1で調製した液晶配向剤(E−1)を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間プレベークを行った後、窒素に置換したオーブン中で200℃で1時間ポストベークすることにより、膜厚0.1μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)作成した。
次いで、上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を、そのラビング方向が逆平行となるように対向させて重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、さらに液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分間加熱した後に室温まで徐冷した。その後、さらに基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が液晶配向膜のラビング方向と45°の角度をなし且つ2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶表示素子を製造した。
上記で製造した液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を目視により観察した。電圧OFF時にセルから光漏れが観察されず、且つ電圧印加時にセル駆動領域が白表示、それ以外の領域から光漏れがない場合を液晶配向性「良好(○)」、電圧OFF時にセルから光漏れが観察されるかまたは電圧ON時にセル駆動領域以外の領域から光漏れが観察された場合を液晶配向性「不良(△)」、液晶が配向しなかった場合を「特に不良(×)」として評価した。本実施例で製造した液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。評価は、電圧保持率が98%以上であった場合を「良好」、98%未満であった場合を「不良」として行った。本実施例で製造した液晶表示素子の電圧保持率は99%であり、電圧保持率「良好」であった。なお、電圧保持率の測定装置としては(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を使用した。
[イオン密度の評価]
上記で製造した液晶表示素子に、10V、0.01Hzの三角波を印加し、得られた電流−電圧波形の0〜1Vの範囲に観察されたピークの面積からイオン密度を算出したところ、イオン密度は10pCであった。
上記と同様にして製造した液晶表示素子につき、100℃のオーブン内で1,000時間静置してから上記と同様にして電圧保持率を測定したところ、この電圧保持率は90%であった。
[耐光性の評価]
上記と同様にして製造した液晶表示素子を40ワット型白色蛍光灯下5cmの距離に配置し、1,000時間光を照射してから上記と同様にして電圧保持率を測定したところ、この電圧保持率は91%であった。
[残像特性の評価]
上記と同様にして製造した液晶表示素子につき、100℃の環境温度において直流17Vの電圧を20時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)をフリッカ−消去法により求めたところ、残留DC電圧は100mVであった。
上記実施例1で調製した液晶配向剤(E−1)を、2cm×6cmからなるガラス基板にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間プレベークを行った後、窒素に置換したオーブン中に200℃で1時間ポストベークすることにより、膜厚100nmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この塗膜をイソプロピルアルコールに60℃で10時間浸漬させた。その後、塗膜を窒素に置換したオーブン中に200℃で1時間乾燥させた。その後、膜厚(残膜厚)を測定することにより塗膜の洗浄耐性(耐溶剤性)の評価を行った。評価は、塗膜が99nm以上の場合を耐溶剤性「良好」、99nm未満97nm以上の場合を耐溶剤性「可」、97未満の場合を耐溶剤性「不良」として行ったところ、この塗膜は100nmであり、塗膜の洗浄耐性が良好であった。
上記実施例1で調製した液晶配向剤(E−1)を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが僅かに観察された場合を印刷性「可」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが多く見られた場合を印刷性「不良」として行った。本実施例では、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
上記実施例1において、ポリアミック酸(PA−1)の代わりにポリイミド(PI−1)を用い、重合体(S−1)の代わりに重合体(S−2)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶配向剤(E−2)を調製した。また、得られた液晶配向剤(E−2)について、上記実施例1と同様に各種評価を行った。その結果、電圧保持率99%、液晶配向性「良好」、イオン密度10pC、耐熱評価での電圧保持率90%、耐光性評価での電圧保持率91%、残留DC電圧100mVであった。また、溶剤による洗浄後の膜厚は100nmであり、印刷性は「良好」であった。
使用する重合体を下記表2の通り変更した以外は上記実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、それぞれ液晶配向剤(E−3)〜(E−9)とした。また、上記液晶配向剤(E−1)に代えて液晶配向剤(E−3)〜(E−9)をそれぞれ用いて、上記実施例1と同様にして、液晶配向性、電圧保持率、塗膜の耐溶剤性及び印刷性について評価した。それらの結果を下記表2に示す。
Claims (7)
- 第1官能基を有するポリオルガノシロキサンと、前記第1官能基と反応して結合し得る第2官能基を2つ以上有する化合物(C)と、の反応により得られる重合体(S)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
- 前記重合体(S)の含有量が、前記液晶配向剤に含まれる全重合体100重量部に対して0.1〜30重量部である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- さらに、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルおよびポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(B)を含有する、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 反応に使用する前記化合物(C)の量が、前記ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基に対して0.1〜30モル%である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(S)が重合性二重結合を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜。
- 請求項6に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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