JP6337576B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子及び液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
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Description
で表される基である。「*」は結合手を示す。)
で表される2価の基である。)
上記式(0)において、複数のE1のうちの少なくともいずれか1個は、エポキシ基、酸無水物基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基及びイソシアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する。E1が有する官能基は、互いに同じでもよいし異なっていてもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含む意味である。
Z1の炭素数1〜6のアルカンジイル基は、例えばメチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基を挙げることができ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。Z1は、好ましくは酸素原子、メチレン基又はエチレン基である。
上記化合物(C)を液晶配向剤中に含有させる態様は特に制限しない。例えば、上記化合物(C)を、分子内に上記特定構造(0)を1個有する化合物(以下、「化合物(C−1)」ともいう。)とし、これを添加剤の如く配合してもよい。あるいは、上記化合物(C)を、上記特定構造(0)を主鎖に有する重合体(以下、「重合体(C−2)」ともいう。)とし、これを重合体成分の少なくとも一部として配合してもよい。なお、本明細書において重合体の「主鎖」とは、モノマーが結合を繰り返すことで形成される構造のことを指す。
上記特定構造(0)を有する化合物(C−1)の具体例としては、上記式(3)で表される化合物が挙げられる。
ここで、上記式(3)中のE1の説明は、上記式(0)のE1の説明を適用することができる。上記式(3−1)及び式(3−2)において、R4、R5、R6及びZ1についてはそれぞれ、上記式(Y−1)及び式(Y−2)のR4、R5、R6及びZ1の説明を適用することができる。R3の1価の有機基の具体例としては、上記E1の1価の有機基で例示した基などが挙げられ、その好ましい例示についてはR5と同様である。なお、上記式(3−2)中の複数のR5は互いに同じでも異なっていてもよい。
上記式(3)で表される化合物は、例えば下記スキーム0のように合成することができる。
上記合成反応は水の存在下で行うことが好ましい。水の使用割合は、出発原料(0−1)100重量部に対して、通常1〜100重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。反応温度は室温〜200℃とすることができ、50〜100℃が好ましい。反応時間は0.1〜48時間、好ましくは1〜12時間である。
上記重合体(C−2)を合成する方法は特に制限はなく、有機化学の定法に従って適宜選択することができる。例えば、上記式(1−1)で表される化合物と、ビニル基を複数個有する多官能ビニル化合物とを反応させる方法(下記スキーム1);上記式(1−2)で表される化合物と、シロキサン結合を有する化合物とを反応させる方法(下記スキーム2);上記式(1−3)で表される化合物と、チオール基及びアミノ基のいずれかを複数個有する多官能性化合物とを反応させる方法(下記スキーム3);上記式(1−4)で表される化合物と、(メタ)アクリロイル基を複数個有する多官能(メタ)アクリル化合物とを反応させる方法(下記スキーム4);上記式(1−5)で表される化合物と、ジオール化合物又はジチオール化合物とを反応させる方法(下記スキーム5);上記式(1−4)で表されるジアミンと、ジカルボン酸とを反応させる方法(下記スキーム6);上記式(1−4)で表されるジアミンと、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法(下記スキーム7);上記式(1−6)で表される化合物と、芳香族ジアミンとを反応させる方法(下記スキーム8);などが挙げられる。
上記スキーム1によれば、上記式(1−1P)で表される繰り返し単位を有する重合体を合成することができる。
スキーム1において、R11の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、−OSi(R23)3(R23は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基)等を挙げることができ、中でもメチル基が好ましい。1分子内の複数のR11は、互いに同じでも異なっていてもよい。
E1は、上記式(0)の説明を適用することができる。中でも、グリシジロキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基又は(メタ)アクリロキシプロピル基が好ましく、特に好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基である。
上記式(4−1)におけるR8の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜12のアルカンジイル基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、下記式(8−1A)
で表される基などが挙げられる。
好ましいR8は、炭素数2〜6のアルカンジイル基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、又は上記式(8−1A)のR31がグリシジル基である2価の基である。
化合物(1−1)と化合物(4−1)との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。重合触媒は、塩化白金やカールステッド触媒、スペイヤル触媒などの白金触媒を用いるのが好ましい。触媒の使用量は、化合物(1−1)に対して10ppm〜100,000ppm、好ましくは50ppm〜1,000ppmである。
上記有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;が好ましい。反応温度は、通常、室温〜200℃であり、50〜150℃とすることが好ましい。反応時間は0.1〜48時間、好ましくは1〜12時間である。
上記スキーム2によれば、上記式(1−2P)で表される繰り返し単位を有する重合体を合成することができる。
スキーム2において、R11は上記スキーム1の説明を適用でき、メチル基が好ましい。R9の炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基などのアルカンジイル基;1,4−シクロへキシレン基などのシクロアルキレン基;1,4−フェニレン基などのアリーレン基などが挙げられる。R9は、単結合、炭素数1〜10のアルカンジイル基又はフェニレン基が好ましく、単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基がより好ましい。なお、1分子内の2つのR9は、互いに同じでも異なっていてもよい。
上記式(4−2)におけるR21は、メチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基が好ましい。ただし、1分子内の複数のR21は、互いに同じでも異なっていてもよい。nは0〜6が好ましい。
化合物(1−2)と化合物(4−2)との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。このとき使用することができる触媒、溶媒及び温度等の反応条件はスキーム1と同様である。
上記スキーム3によれば、上記式(1−3P)で表される繰り返し単位を有する重合体を合成することができる。
スキーム3において、上記式(1−3)中のR11は上記スキーム1の説明を適用でき、メチル基が好ましい。R19は、炭素数1〜4が好ましく、プロパンジイル基がより好ましい。
上記式(4−3)におけるR13としては、例えば1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、炭素数1〜12のアルカンジイル基、下記式(13−1)〜式(13−8)のそれぞれで表される2価の基などを挙げることができる。
上記式(4−3)におけるR14は、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基などを挙げることができ、中でもメルカプト基が好ましい。
化合物(1−3)と化合物(4−3)との反応は、必要に応じて、塩基及び有機溶媒の少なくともいずれかの存在下で行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジアザビシクロウンデセン、イミダゾール、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化セシウムなどを挙げることができる。これらの中でもトリエチルアミンが好ましい。塩基の使用量は、化合物(1−3)100モルに対して、通常50〜300モルであり、好ましくは80〜200モルである。
反応に使用する溶媒は、非プロトン性の有機溶剤であればよいが、中でもアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフランが好ましい。反応温度は、通常0〜200℃であり、好ましくは20〜100℃である。反応時間は、通常0.1〜48時間であり、好ましくは1〜12時間である。
上記スキーム5によれば、上記式(1−5P)で表される繰り返し単位を有する重合体を合成することができる。
スキーム5において、上記式(1−5)中のR11は上記スキーム1の説明を適用できる。中でもメチル基が好ましい。R19は、炭素数1〜3が好ましい。ただし、1分子内の2つのR19は、互いに同じでも異なっていてもよい。
上記式(4−5)におけるX5は、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。X5が酸素原子の場合、R17は、2価の芳香族炭化水素基又は下記式(17−1)で表される2価の基であることが好ましい。なお、本明細書における「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
X5が硫黄原子の場合、R17としては任意の2価の有機基を用いることができ、具体的には、例えば1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、炭素数1〜12のアルカンジイル基、上記式(13−1)〜式(13−8)のそれぞれで表される基などを挙げることができる。
化合物(1−5)と化合物(4−5)との反応は、必要に応じて、塩基及び有機溶媒の少なくともいずれかの存在下で行うことができる。上記塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、フッ化セシウムを挙げることができる。塩基の使用量は、化合物(1−5)100モルに対して、通常50〜300モルであり、好ましくは80〜200モルである。
反応に使用する溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン又は水を好ましく使用することができる。反応温度は、通常0〜300℃であり、好ましくは20〜200℃である。反応時間は、通常0.1〜48時間であり、好ましくは1〜12時間である。
反応性化合物(D)としては、E1が有する官能基(エポキシ基、酸無水物基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基又はイソシアネート基)と反応可能な官能基を有していれば、その余の構造は特に制限しない。反応性化合物(D)は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
R2の架橋基としては、例えば(メタ)アクリル酸又はその誘導体を基本骨格とする(メタ)アクリル含有基、ビニル基を有する基、エチニル基を有する基などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル含有基が好ましい。なお、上記液晶配向基が(メタ)アクリロイル基やビニル基などの官能基を有していてもよい。こうした液晶配向基は、液晶配向能を示すと共に架橋性を示す。
化合物(C)と反応性化合物(D)との反応は、有機化学の定法を用いて適宜行うことができる。E1がエポキシ基含有基であってW1がカルボキシル基である場合を一例に挙げて説明すると、上記反応は、好ましくは有機溶媒中、必要に応じて触媒の存在下で実施することができる。
上記反応に使用する触媒としては、例えば有機塩基、エポキシ化合物の反応を促進するいわゆる硬化促進剤として公知の化合物などを用いることができる。ここで、上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ピペラジン、ピペリジンなどの1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、ピリジンなどの3級有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級有機アミン;などを挙げることができる。有機塩基としては、これらのうち、3級有機アミン又は4級有機アミンが好ましい。
上記触媒は、化合物(C)100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜100重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部の割合で使用することができる。
有機溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の合計重量が溶液の全重量に占める割合)が、0.1重量%以上となる割合で使用することが好ましく、5〜50重量%となる割合で使用することがより好ましい。反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜50時間であり、より好ましくは0.5〜20時間である。
上記化合物(C)としては、長期信頼性を得る観点から重合体(C−2)とすることが好ましい。なお、上記化合物(C)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記化合物(C)と共に、上記化合物(C)とは異なる重合体として上記特定構造(0)を実質的に有さない重合体を含有することが好ましい。ここで、本明細書において「上記特定構造(0)を実質的に有さない」とは、重合体1分子中における上記特定構造(0)の占める割合が1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.3モル%以下であることを意味する。
上記化合物(C)とは異なる重合体の主骨格は特に制限はなく、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体等とすることができる。これらの中でも、本発明の液晶配向剤は、上記化合物(C)とは異なる重合体として、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種である重合体(P)を含有することが好ましい。
[ポリアミック酸]
本発明におけるポリアミック酸は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより合成することができる。
ポリアミック酸の合成に用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;
それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸などのその他のジアミン、などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。ジアミンは、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、必要に応じて末端封止剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
上記末端封止剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。末端封止剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と他の有機溶媒との混合物を、上記割合の範囲で使用することが好ましい。
有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。
本発明におけるポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸と、水酸基含有化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等とを反応させることにより合成する方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、などによって得ることができる。
方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、例えば上記ポリアミック酸の合成で例示したテトラカルボン酸二無水物を、上記のアルコール類を用いて開環することにより得ることができる。方法[II]の反応は、適当な脱水触媒の存在下で行うことが好ましい。脱水触媒としては、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤などが挙げられる。方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、例えば上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。
方法[II]及び方法[III]で使用するジアミンとしては、ポリアミック酸の合成で例示したジアミンを挙げることができる。なお、ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明の液晶配向剤は、上記化合物(C)及び必要に応じて配合される上記重合体(P)が好ましくは有機溶媒中に溶解されて構成される。本発明の液晶配向剤の調製に使用される溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分の好ましい具体例としては、例えば分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であって上記化合物(C)に該当しない化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」ともいう。)、分子内に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であって上記化合物(C)に該当しない化合物(以下、「多価カルボン酸」ともいう。)等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。またその他、エポキシ基含有化合物の例としては、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンも用いることができる。
これらエポキシ化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
多価カルボン酸は、液晶配向膜の液晶配向性を向上させる目的で使用することができる。多価カルボン酸の具体例としては、例えばフマル酸、マロン酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸;1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等のトリカルボン酸;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸などを挙げることができる。
多価カルボン酸を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤(固形分)中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
本発明の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、TN型、STN型、垂直配向型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の動作モードに適用できる。中でも垂直配向型に適用することが好ましい。
液晶表示素子の製造に用いる基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックなどからなる透明基板などを用いることができる。上記導電膜としては、透明導電膜を用いることが好ましく、例えばSnO2からなるNESA(登録商標)膜、In2O3−SnO2からなるITO膜などを用いることができる。この導電膜はそれぞれ、複数の領域に区画されたパターン状導電膜であることが好ましい。このような導電膜とすることにより、下記の工程(3)で導電膜間に電圧を印加する際に領域ごとに異なる電圧を印加することによって、液晶分子のプレチルト角の方向を領域ごとに変えることができる。これにより、視野角特性をより広くすることが可能となる。
次いで、塗膜を形成した一対の基板を、液晶層を介して塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを形成する。ここで使用する液晶分子としては、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。液晶層の厚さは1〜5μmとすることが好ましい。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)で示される式によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A1/A2×α)×100 …(1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体の重量平均分子量Mw]
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準じて測定した値である。
以下の合成例は、必要に応じて下記の合成スケールで繰り返すことにより、以降の合成例、実施例及び比較例で使用する必要量の生成物を確保した。
[化合物(1−1−1)の合成]
下記スキーム9に従って化合物(1−1−1)を合成した。
窒素導入管及び還流管を備えた100mLの三口フラスコに、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン6.0g、水酸化ナトリウム0.64g、水0.50g及びイソプロパノール24mLを仕込み、8時間、還流させた。反応終了後、上澄みを除去し、分取のGPCにて化合物(0A−1)の粗精製物を得た後、トルエンで再結晶を行うことで化合物(0A−1)の白色結晶を0.85g得た。
窒素導入管、滴下ロート及び温度計を備えた200mLの三口フラスコに、化合物(0A−1)6.8g、テトラヒドロフラン80mL及びトリエチルアミン1.6gを仕込み氷冷した。次に、滴下ロートにメチルジクロロシラン0.92g及びテトラヒドロフラン20mLを仕込み、ゆっくり滴下した後、室温に戻して一昼夜撹拌した。反応終了後、反応液を400mLのメタノールに注いで生じた沈殿をろ過にて回収し、トルエンで再結晶を行うことで化合物(1−1−1)の白色結晶を3.4g得た。
下記スキーム10に従って重合体(1−1P−1)を合成した。
下記スキーム11に従って化合物(1−5−1)を合成した。
下記スキーム12に従って化合物(1−5P−1)を合成した。
100mLの三口フラスコに、化合物(1−1P−1)を1.9g、メチルイソブチルケトン15g、下記式(2−2−2−1)で表される化合物0.44g、下記式(2−4−3−1)で表される化合物1.37g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール20mg及び商品名「UCAT 18X」(サンアプロ(株)製、エポキシ化合物の硬化促進剤)0.19gを仕込み、90℃で48時間反応させた。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、配向基含有ポリオルガノシロキサン(S−1)の白色粉末1.5gを得た。この重合値体のMwは24,200であった。
100mLの三口フラスコに、化合物(1−5P−1)を1.9g、メチルイソブチルケトン15g、化合物(2−2−2−1)0.44g、化合物(2−4−3−1)1.37g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール20mg及び硬化促進剤「UCAT 18X」0.19gを仕込み、90℃で48時間反応させた。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、配向基含有ポリオルガノシロキサン(S−2)の白色粉末1.5gを得た。この重合体のMwは20,800であった。
[合成例1]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物19.1g、並びにジアミンとして、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン(下記式(DA−1)で表される化合物)を8.49g及びp−フェニレンジアミン7.42g、をNMP 140gに溶解し、60℃で4時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えて固形分濃度10%の溶液で粘度を測定したところ、溶液粘度は100mPa・sであった。得られたポリアミック酸溶液に、NMP 325g、ピリジン6.74g及び無水酢酸8.69gを添加し、110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなNMPで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した。)、イミド化率約50%のポリイミド(PI−1)を約15重量%含有する溶液を得た。
[合成例2:エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄したのち、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(EPS−1)を粘調な透明液体として得た。
このポリオルガノシロキサン(EPS−1)について、1H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このポリオルガノシロキサン(EPS−1)のMwは2,200、エポキシ当量は186g/モルであった。
100mLの三口フラスコに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(EPS−1)を1.8g、メチルイソブチルケトン16g、化合物(2−2−2−1)0.55g、化合物(2−4−3−1)1.72g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール20mg及び硬化促進剤「UCAT 18X」0.18gを仕込み、90℃で48時間反応させた。反応終了後、反応混合物にメタノールを加えて沈殿を生成させ、この沈殿物を酢酸エチルに溶解して得た溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(R−1)の白色粉末1.4gを得た。配向基含有ポリオルガノシロキサン(R−1)のMwは7,900であった。
(1)液晶配向剤の調製
重合体成分として、配向基含有ポリオルガノシロキサン(S−1)を200重量部及びポリイミド(PI−1)を1,000重量部を混合し、これに溶剤としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加えて、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(A−1)を調製した。
上記で調製した液晶配向剤(A−1)を用いて、パターンなし透明電極を有する液晶表示素子を製造した。まず、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ITO膜からなる透明電極(パターンなし)を有するガラス基板の透明電極面上に液晶配向剤(A−1)を塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。
この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間、超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより液晶セルを製造した。
上記で得た3個の液晶セルのそれぞれについて、電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外腺照射装置を用いて、紫外線を100,000J/m2の照射量にて液晶セルの外側から照射した。なお、この照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
上記で製造した3個の液晶セルについて、電圧無印加状態における光漏れ及び配向乱れの有無をバックライト照射下で目視により観察した。評価は、光漏れ及び配向乱れのない場合を配向性「良」とし、光漏れ及び配向乱れが存在する場合を配向性「不良」として行った。その結果、実施例1の液晶表示素子は3個とも配向性「良」であった。
(4)プレチルト角の評価
上記で製造した各液晶セルについて、それぞれ非特許文献2(T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p. 2013(1980))に記載の方法に準拠してHe−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した液晶分子の基板面からの傾き角の値をプレチルト角とした。光照射した3個の液晶セルについてプレチルト角をそれぞれ測定し、平均値を求めたところ87°であった。
上記で製造した液晶セルを交流7Vで24時間印加した後のプレチルト角を測定し、電圧印加前後のプレチルト角の変化によりプレチルト角安定性を評価した。電圧印加前のプレチルト角から電圧印加後のプレチルト角を減算した値が0.4°未満のものを「良好」、0.4°以上2°未満を「可」、2°以上のものを「不良」と評価した。その結果、この実施例ではプレチルト角安定性「良好」の結果であった。
上記で製造した液晶セルについて、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率[%]を測定した。測定装置としては(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。3個の液晶セルについて電圧保持率をそれぞれ測定し、平均値を求めたところ99%であった。
上記で調製した液晶配向剤(A−1)を用いて、パターニングされた透明電極を有する液晶表示素子を製造した。まず、図1に示したようなスリット状にパターニングされ、複数の領域に区画されたITO電極をそれぞれ有する一対のガラス基板(基板A,B)の各電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて液晶配向剤(A−1)を塗布した。次いで、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜につき、超純水中で1分間超音波洗浄を行った後、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで、上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより液晶セルを製造した。
上記で製造した3個の液晶セルのそれぞれにつき、先ず電圧を印加せずに可視光ランプを照射し、液晶セルを透過した光の輝度をフォトマルチメーターにて測定した。このときの測定値を相対透過率0%とした。次に、液晶セルの電極間に交流60Vを5秒間印加したときの透過率(液晶セルを透過した光の輝度)を上記と同様にして測定し、この値を相対透過率100%とした。そして、各液晶セルに対して交流60Vを印加したときに、相対透過率が10%から90%に移行するまでの時間を測定し、この時間を応答速度[msec]と定義して評価した。3個の液晶セルの応答速度の平均値を求めたところ、8msecであった。
使用するポリオルガノシロキサンの種類を下記表2のように代えた以外は実施例1Bと同様に液晶配向剤の調製及び評価を行った。結果を下記表2に示す。
Claims (12)
- 下記式(0)で表される構造を有する化合物(C)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
で表される基である。「*」は結合手を示す。) - 前記複数のE1の一部が、液晶配向能を発現する基を有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
- ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、前記化合物(C)とは異なる重合体(P)を更に含む、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 前記化合物(C)は、前記式(0)で表される部分構造を主鎖に有する重合体(C−2)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(C−2)は、下記式(1−1)で表される化合物と下記(4−1)で表される化合物とを反応させて得られる重合体である、請求項4に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(C−2)は、下記式(1−2)で表される化合物と下記(4−2)で表される化合物とを反応させて得られる重合体である、請求項4に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(C−2)は、下記式(1−3)で表される化合物と下記(4−3)で表される化合物とを反応させて得られる重合体である、請求項4に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(C−2)は、下記式(1−5)で表される化合物と下記(4−5)で表される化合物とを反応させて得られる重合体である、請求項4に記載の液晶配向剤。
- 前記化合物(C)は、下記式(3)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
で表される2価の基である。E1は、上記式(0)と同義である。) - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板の該導電膜上にそれぞれ塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構築する工程と、
前記一対の基板が有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程と、を含む液晶表示素子の製造方法。
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