JP5780389B2 - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子の製造方法に関する。さらに詳しくは、垂直配向性に優れるとともに高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を備えた液晶表示素子の製造方法に関する。
液晶表示素子としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などに代表される、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる水平配向モードの液晶表示素子のほか、負の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる垂直(ホメオトロピック)配向モードのVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子が知られている。
このような液晶表示素子は、液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を具備している。この液晶配向膜を構成する材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルガノシロキサンなどが知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜が、耐熱性、機械的強度、液晶分子との親和性に優れることなどから、古くから好ましく使用されている(特許文献1〜3)。
また、特許文献4には、3官能および4官能の加水分解性シラン化合物の混合物をシュウ酸およびアルコールの存在下に反応させて得られたポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤が開示され、かかる液晶配向剤から形成された液晶配向膜が垂直配向性および耐熱性に優れると説明されている。
液晶表示素子の進展は近年著しく、高精細な表示が可能であり高速の動画応答性に優れる高品位な表示が可能となり、テレビジョンのほか、車載型表示装置、ゲーム機、携帯型動画再生機などへの適用が広くなされていることは周知のとおりである。また、高輝度の表示が可能となるのに伴い、上記の如き液晶表示素子が昼間の屋外で使用される場面が増加することによって、液晶表示素子およびこれに具備される液晶配向膜は、従来の使用態様では考えられなかったほどの強い紫外線を長時間浴びることとなってきた。このため、従来知られている液晶配向膜材料では、現在の使用態様に適応しうる紫外線耐性を有しておらず、液晶配向膜の耐紫外線性の向上が望まれている。
ところで近年、PSA(Polymer Sustained Alignment)モードの液晶表示素子が提案された。PSAモードは、パターン状導電膜付き基板およびパターンを有さない導電膜付き基板からなる一対の基板の間隙、あるいは2枚のパターン状導電膜付き基板からなる一対の基板の間隙に重合性の化合物を含有する液晶組成物を狭持し、導電膜間に電圧を印加した状態で紫外線を照射して重合性化合物を重合し、これによりプレチルト角特性を発現して液晶の配向方向を制御しようとする技術である。この技術によると、導電膜を特定の構成とすることにより視野角の拡大および液晶分子応答の高速化を図ることができ、MVA型パネルにおいて不可避であった透過率およびコントラストの不足の問題も解消される。しかしながらPSAモードでは、前記重合性化合物の重合のために例えば10,000J/m以上の多量の紫外線の照射が必要である。そのため紫外線照射工程中に液晶配向膜が劣化する不具合が生ずる場合があることが明らかとなっている。
この点ごく最近になって、上記PSAモードに代わるさらに新たな表示モードに関する技術が提案された(特許文献5)。この技術は、光官能性を有するシンナメート構造を有するポリイミド薄膜に無偏光の紫外線を照射し、前記シンナメート構造の光異性化による分子の回転を利用して所望のプレチルト角発現性を付与することを意図したものである。しかしながら所望のプレチルト角発現性を付与するためには相当量の紫外線を照射することを要し、液晶表示素子製造時のタクトタイムが長くなり、あるいは強烈な紫外線のために形成される液晶配向膜の電気特性、特に電圧保持率が損なわれるなどの弊害が生じている。
以上述べてきたとおり、液晶表示素子の使用態様の変化、新たな表示モードの開発に伴い、液晶配向膜材料における紫外線耐性向上の要請が大きくなってきており、早急な対策が切望されている。
一方、近年、液晶表示素子の製造工程は大きな進歩を遂げている。特に、基板の大型化とともに採用されてきた大型基板搬送技術や液晶滴下方式(One Drop Fill方式、当業界で「ODF方式」と略称される。)といった技術が注目されている。このうちODF方式は、液晶配向膜が形成された基板上の所定の数箇所に液晶を必要量滴下し、真空中でもう一方の基板と貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げた後、液晶を密閉するためのシール剤をUV硬化することにより、パネル全面に液晶を充填する方法であり、従来行われていた真空注入方式に比べて液晶充填工程のプロセス時間を大幅に短縮することの可能な技術である。しかしながら、従来知られている液晶配向膜を有するVA型液晶表示素子の製造においてODF方式を採用すると、「ODFムラ」と呼ばれる表示ムラが生ずる不具合が発生することがある。この現象は、液晶配向膜の垂直配向規制力が不足することに起因すると信じられている。
そこで、液晶配向剤に要求される種々の要求性能を損なうことなく、上記ODFムラの発生しない液晶配向膜を与える液晶配向剤および表示品位に優れる液晶表示素子が求められている。
特開平4−153622号公報 特開昭56−91277号公報 特開平11−258605号公報 特開平9−281502号公報 米国特許出願公開第2009/0325453号明細書 特開平6−222366号公報 特開平6−281937号公報 特開平5−107544号公報 特開2010−97188号公報
T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977) F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、
特に垂直配向性に優れるとともに高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を備えた液晶表示素子の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、本発明の上記課題は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有するポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤を用いる方法によって達成される。ただし、このポリオルガノシロキサンは、側鎖にシクロヘキサン環およびベンゼン環から選択される1種以上の環構造を有するものであるか、あるいは下記式(1)で表される化合物および下記式(2)で表される化合物を含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンではないものである。
Si(OR (1)
Si(OR (2)
(式(1)中、Rはフッ素原子で置換されていてもよい、炭素原子数8〜30の炭化水素基であり、RBは炭素原子数1〜5のアルキル基であり;
式(2)中、Rはアクリル基またはメタクリル基で置換されたアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
本発明で用いられる液晶配向剤(以下、本発明の液晶配向剤という)は、垂直配向性に優れるとともに高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を与えることができる。
従って本発明の液晶配向剤は、従来から知られているVA型の液晶表示素子に適用することができるほか、その製造工程において強い紫外線の照射を要するPSAモードまたはさらに新しい表示モードの液晶表示素子に適用しても製造工程中に液晶配向膜が劣化することがなく、所期の表示品位を実現することができる。
本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は高度の紫外線耐性を有するから、かかる液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、強い紫外線照射条件下、例えば昼間の屋外において長時間使用しても、その表示品位が劣化することがない。
また、本発明の特に好ましい態様によれば、本発明の液晶配向剤をVA型液晶表示素子の製造に用いると、液晶充填工程において液晶滴下方式(ODF方式)を採用した場合であっても優れた垂直配向規制力を有し、ODFムラの現れることのない液晶配向膜を確実に形成することができるから、製品歩留まりの観点から極めて有利である。


実施例および比較例で製造した、パターニングされた透明導電膜を有する液晶セルにおける透明導電膜のパターンを示す説明図である。 実施例および比較例で製造した、パターニングされた透明導電膜を有する液晶セルにおける透明導電膜のパターンを示す説明図である。
上記のとおり、本発明の液晶配向剤は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(A)」ともいう。)を含有する。
<ポリオリガノシロキサン(A)>
本発明の液晶配向剤に含有されるポリオルガノシロキサン(A)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有する。ポリオルガノシロキサン(A)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基のほかに、さらに液晶分子を配向する機能を有する基(以下、「液晶配向性基」という。)およびエポキシ基よりなる群から選択される少なくとも一種の基を、さらに有していてもよい。
このポリオルガノシロキサン(A)は、側鎖にシクロヘキサン環およびベンゼン環から選択される1種以上の環構造を有するものであることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(A)におけるこれらの環構造の含有割合としては、0.2ミリモル/g以上であることが好ましく、0.3〜6ミリモル/gであることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の有する重合性炭素−炭素二重結合を含む基としては、例えば下記式(A)
(式(A)中、Rは水素原子またはメチル基であり、
およびXIIは、それぞれ、1,4−フェニレン基、メチレン基または炭素数2〜8のアルキレン基であり、
Zは酸素原子、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がXII側である。)であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ、0または1であり、
ただし、cが0であってdが1であるとき、XIIは1,4−フェニレン基であり、
bが0であるとき、dは0である。)
で表される基などを挙げることができる。
上記式(A)で表される基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシ)ブチル基、5−((メタ)アクリロキシ)ペンチル基、6−((メタ)アクリロキシ)ヘキシル基、7−((メタ)アクリロキシ)ヘプチル基、8−((メタ)アクリロキシ)オクチル基、9−((メタ)アクリロキシ)ノニル基、10−((メタ)アクリロキシ)デシル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エチル)フェニル基、2−((4−(メタ)アクリロキシ)フェニル)エチル基、4−((メタ)アクリロキシメチル)フェニル基、4−(メタ)アクリロキシフェニルメチル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロピル)フェニル基、3−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)フェニル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)フェニル基、(メタ)アクリロキシメトキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシメトキシ)エチル基、2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エチル基、2−(2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エトキシ)エチル基、3−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)プロピル基、アクリロキシメチル基、6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキシル基などを挙げることができる。これらの中でもビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基および6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキシル基を好ましい基として挙げることができる。
上記式(A)における基Zは、酸素原子であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリオルガノシロキサン(A)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基、好ましくは上記式(A)で表される基、より好ましくは上記に例示した具体的な基のうちから選択される1種以上の基を、ポリオルガノシロキサン(A)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.60モルの割合、より好ましくは0.02〜0.50モルの割合、さらに好ましくは0.02〜0.30モルの割合で含有する。
ポリオルガノシロキサン(A)が、任意的に有することのできる液晶配向性基としては、例えば下記式(D’)
(式(D’)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のフルオロアルキル基、シアノ基もしくはフッ素原子であるか、またはステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基であり;
は単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がR側である。)であり、
IIはシクロへキシレン基またはフェニレン基であり、ただしこのシクロへキシレン基またはフェニレン基はシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜3のアルキル基によって置換されていてもよく、
n1は1または2であり、
ただしn1が2であるとき、2個のRIIは互いに同一であっても異なっていてもよく、
n2は0または1であり;
IIは単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がR側である。)であり、
n3は0〜2の整数であり、
n4は0または1である。)
で表される基などを挙げることができる。
上記式(D’)におけるRの炭素数1〜40のアルキル基として具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基などを;
炭素数1〜40のフルオロアルキル基として具体的には、例えばトリフルオロメチルプロピル基、トリフルオロメチルブチル基、トリフルオロメチルヘキシル基、トリフルオロメチルデシル基、ペンタフルオロエチルプロピル基、ペンタフルオロエチルブチル基、ペンタフルオロエチルオクチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基などを;
上記ステロイド骨格を有する17〜51の炭化水素基としては、例えば3−コレスタニル基、3−コレステニル基、3−ラノスタニル基、3−コラニル基、3−プレグナル基、3−アンドロスタニル基、3−エストラニル基などを、それぞれ挙げることができる。
上記式(D’)におけるRIIのシクロへキシレン基およびフェニレン基は、それぞれ、1,4−シクロへキシレン基および1,4−フェニレン基であることが好ましい。上記式(D’)において−(RIIn1−で表される2価の基としては、n1が1である場合として、例えば1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基などを;
n1が2である場合として、例えば4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロへキシレン基、下記式
(上記式中、「*」を付した結合手がR側である。)
のそれぞれで表される基などを、それぞれ好ましいものとして挙げることができる。
上記式(D’)におけるn3は、2であることが好ましい。
上記式(D’)において、n2が1であるか、あるいはn2が0であってRがステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基であることが好ましい。
ポリオリガノシロキサン(A)がこのような上記式(D’)で表される基を有することにより、これを含有する液晶配向剤から形成された膜は良好な液晶配向能を発揮することとなり、好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)における液晶配向性基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(A)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.7モル以下の割合であることが好ましく、0.5モル以下の割合であることがより好ましく、特に0.1〜0.5モルの割合であることが好ましい。
また、ポリオリガノシロキサン(A)がエポキシ基を有することにより、これを含有する液晶配向剤から形成された膜は強靭な機械的特性を有し、耐熱性、耐光性などの諸性能に優れることとなり、好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)におけるエポキシ基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(A)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.7モル以下の割合であることが好ましく、0.5モル以下の割合であることがより好ましく、特に0.1〜0.5モルの割合であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、さらに1,000〜50,000であることが好ましい。
<ポリオルガノシロキサン(A)の製造法>
このようなポリオルガノシロキサン(A)は、上記のような特徴を有するものである限り、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、ただし下記式(1)で表される化合物および下記式(2)で表される化合物を含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンではないものであることが好ましい。
Si(OR (1)
Si(OR (2)
(式(1)中、Rはフッ素原子で置換されていてもよい、炭素原子数8〜30の炭化水素基であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基であり;
式(2)中、Rはアクリル基またはメタクリル基で置換されたアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
本発明におけるポリオルガノシロキサンとして、上記式(1)で表される化合物および上記式(2)で表される化合物を含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンを使用すると、VA型液晶表示素子の製造において、ODF方式を採用した場合にODFムラが発生する不都合が生じるため、好ましくない。その理由は詳らかではないが、上記の方法によって形成される液晶配向膜と液晶分子との親和性が不十分であるため、液晶混合物のうちの特定の成分がセル内に偏在することに起因するものと推察される。
ポリオルガノシロキサン(A)は、例えば重合性炭素−炭素二重結合を含む基およびアルコキシル基を有するシラン化合物(以下、「シラン化合物(a1)」という。)、またはシラン化合物(a1)と他のアルコキシシラン化合物(以下、「シラン化合物(a2)」という。)との混合物を重縮合する工程を経ることによって製造することができる(製造法1)。
ここで、シラン化合物(a1)のほかにシラン化合物(a2)を使用し、且つ、シラン化合物(a2)の少なくとも一部としてエポキシ基およびアルコキシル基を有するシラン化合物(以下、「シラン化合物(a2−1)」という。)を使用し、先ず重合性炭素−炭素二重結合を含む基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆ポリオルガノシロキサン(A)」という。)を製造し、次いでこれと液晶配向性基およびカルボキシル基を有する化合物(以下、「カルボン酸(1−1)」という。)を含むカルボン酸と反応させることにより、重合性炭素−炭素二重結合を含む基および液晶配向性基の双方を有するポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる(製造法2)。
さらに、シラン化合物(a1)、またはシラン化合物(a1)とシラン化合物(a2)との混合物を重縮合して、先ず重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆ポリオルガノシロキサン(AII)」という。)を製造し、次いでこれとアミンおよびチオールよりなる群から選択される少なくとも1種の求核性化合物、ただしこの求核性化合物は液晶配向性基を有する求核性化合物(以下、「求核性化合物(1)」という。)を含む、とを反応させることによっても重合性炭素−炭素二重結合を含む基および液晶配向性基の双方を有するポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる(製造法3)。
ポリオルガノシロキサン(A)は、さらに、シラン化合物(a2−1)、またはシラン化合物(a2−1)とこれ以外のシラン化合物(a2)(以下、シラン化合物(a2−2)」という。)との混合物を重縮合して先ずエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)」という。)を製造し、次いでこれと重合性炭素−炭素二重結合を含む基およびカルボキシル基を有する化合物(以下、「カルボン酸(1−2)」という。)を含むカルボン酸と反応させる工程を経ることによって製造することができる(製造法4)。ここで、カルボン酸として、カルボン酸(1−2)とともにカルボン酸(1−1)を併用することによって、重合性炭素−炭素二重結合を含む基のほかに液晶配向性基をも有するポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる(製造法5)。
あるいは、上記のようにして前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)を製造し、次いでこれとカルボン酸(1−2)を含むカルボン酸と反応させた後に、さらに求核性化合物(1)と反応させることによっても重合性炭素−炭素二重結合を含む基のほかに液晶配向性基をも有するポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる(製造法6)。
上記いずれの場合であっても、シラン化合物(a2)として、シラン化合物(a2−1)以外のシラン化合物(a2)であって、炭素原子数8〜30の炭化水素基およびフッ化炭化水素基のいずれも有さないシラン化合物(以下、「シラン化合物(a2−2)」という。)を併用してもよい。
以上の製造方法をまとめると、下表のように整理される。
上記製造法1〜6について、以下に順次に説明する。
[原料として使用されるシラン化合物]
上記シラン化合物(a1)としては、例えば下記式(a1)
(式(a1)中、R、X、XII、Z、a、b、cおよびdは、それぞれ、上記式(A)におけるのと同義であり、Rは炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、eは1〜3の整数である。)
で表される化合物などを挙げることができる。
上記式(a1)におけるRの炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、その具体例として例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができ、好ましくはメチル基、エチル基またはn−プロピル基であり、特に好ましくはエチル基である。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基などを挙げることができる。
上記式(a1)におけるeは、1または2であることが好ましく、特に好ましくは1である。
シラン化合物(a1)の具体例としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリイソブトキシシラン、ビニルトリ−tret−ブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシラン、アリルトリイソブトキシシラン、アリルトリ−tret−ブトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリプロポキシシラン、p−スチリルトリイソプロポキシシラン、p−スチリルトリ−n−ブトキシシラン、p−スチリルトリイソブトキシシラン、p−スチリルトリ−tret−ブトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−n−プロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−iso−プロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−n−ブトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−n−プロポキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−iso−プロポキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−n−ブトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリエトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−n−プロポキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−iso−プロポキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−n−ブトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−n−プロポキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−iso−プロポキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−n−ブトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。より好ましくはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシランおよび3−(メタ)アクリロキシプロミルトリメトキシシランよりなる群から選択される1種以上である。
上記シラン化合物(a2−1)は、エポキシ基およびアルコキシル基を有するシラン化合物であり、好ましくは下記式(a2−1)
(R(RSi(OR4−h−i (a2−1)
(式(a2−1)中、Rはエポキシ基を有する1価の基であり、
は炭素数1〜3のアルキル基であり、
は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、hは1〜3の整数であり、iは0〜2の整数であり、ただし、h+i≦3である。)
で表される化合物である。
式(a2−1)中のRとしては、例えば3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などを挙げることができる。Rとしては、メチル基が好ましい。Rについては、上記式(a1)中のRについて上記したところと同様である。hは1であることが、iは0または1であることが、それぞれ好ましい。
シラン化合物(a2−1)の具体例としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
上記シラン化合物(a2−2)は、シラン化合物(a2−1)以外のシラン化合物(a2)であって、炭素原子数8〜30の炭化水素基およびフッ化炭化水素基のいずれも有さないシラン化合物である。このシラン化合物(a2−2)としては、例えば下記式(a2−2)
(RSi(OR4−j (a2−2)
(式(a2−2)中、Rは炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基であり、
は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、jは0〜3の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。上記式(a2−2)中のRについては、上記式(a1)中のRについて上記したところと同様である。
シラン化合物(a2−2)の具体例としては、jが0である化合物として例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−sec−プポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシランなどを;
jが1である化合物として例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシシラン、メチルトリ−n−ペントキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシシラン、エチルトリ−n−ペントキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−プロピルトリ−n−ペントキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリ−p−メチルフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ブチルトリ−n−ペントキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ペンチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ペンチルトリ−n−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリ−n−ペントキシシラン、n−ペンチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリフェノキシシラン、n−ペンチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシランなどを;
jが2である化合物として例えばジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシランなどを;
jが3である化合物として例えばトリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−iso−プロピルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−iso−プロピルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロピル−n−プロポキシシラン、トリメチル−iso−プロポキシシラン、トリエチル−iso−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−iso−プロポキシシラン、トリ−iso−プロピル−iso−プロポキシシラン、トリメチル−sec−ブトキシシシラン、トリエチル−sec−ブトキシシシラン、トリ−n−プロピル−sec−ブトキシシシラン、トリ−iso−プロピル−sec−ブトキシシシランなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
式(a2−2)中のRとしては、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。シラン化合物(a2−2)としてより好ましくは、上記式(a2−2)においてjが0または1である化合物を使用することであり、さらにエチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましく、特に上記式(a2−2)においてjが0である化合物を使用することが好ましく、就中テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリオルガノシロキサン(A)を製造法1によって製造する場合、その原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a1)を、シラン化合物の全体に対して、1モル%以上含むものであることが好ましく、1〜60モル%含むものであることがより好ましく、2〜50モル%含むものであることがさらに好ましく、特に2〜30モル%含むものであることが好ましい。製造法1においては、上記のシラン化合物のほかにシラン化合物(a2−2)を併用することが好ましい。その使用割合は、シラン化合物の全体に対して、60モル%以下とすることが好ましく、0〜40モル%とすることがより好ましく、特に0〜20モル%とすることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造を製造法2による場合には、その原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a1)を、シラン化合物の全体に対して、1モル%以上含むものであることが好ましく、1〜60モル%含むものであることがより好ましく、2〜50モル%含むものであることがさらに好ましく、特に2〜30モル%含むものであることが好ましい。ポリオルガノシロキサンの製造を製造法2による場合には、上記シラン化合物(a1)のほかにシラン化合物(a2−1)が使用される。このシラン化合物(a2−1)の使用割合は、シラン化合物の全体に対して、10モル%以上とすることが好ましく、20〜90モル%とすることがより好ましく、特に30〜60モル%とすることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造を製造法3による場合には、前駆ポリオルガノシロキサン(AII)の有する炭素−二重結合の一部は求核性化合物(1)との反応によって消費されるため、原料として使用されるシラン化合物の使用割合は、この消費分を勘案して設定されるべきである。この観点から、製造法3において原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a1)を、シラン化合物の全体に対して、10モル%以上含むものであることが好ましく、10〜80モル%含むものであることがより好ましく、特に20〜70モル%含むものであることがさらに好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造を製造法4による場合には、その原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a2−1)を、シラン化合物の全体に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、40モル%含むものであることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造を製造法5による場合には、前駆ポリオルガノシロキサン(A)の有するエポキシ基は、カルボン酸(1−1)との反応およびカルボン酸(1−2)との反応の双方に供されることとなる。そのため、製造法5において原料として使用されるシラン化合物の使用割合は、この消費分を勘案して設定されるべきである。この観点から、製造法5において原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a2−1)をシラン化合物の全体に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、40モル%含むものであることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造を製造法6による場合、その原料として使用されるシラン化合物は、上記の如きシラン化合物(a2−1)を、シラン化合物の全体に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、40モル%含むものであることがより好ましい。
製造法2〜6においては、シラン化合物(a2−2)を使用しないことが好ましい。
[シラン化合物の重縮合]
上記製造法1におけるポリオルガノシロキサン(A)、製造法2における前駆ポリオルガノシロキサン(A)、製造法3における前駆ポリオルガノシロキサン(AII)または製造法4〜6における前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)は、上記の如きシラン化合物(またはその混合物)を重縮合することによって製造することができる。シラン化合物の重縮合は、上記の如きシラン化合物を、例えば
ジカルボン酸およびアルコールの存在下に反応させる方法(重縮合法1)、
加水分解・縮合する方法(重縮合法2)
などによって、それぞれ製造することができる。
以下、重縮合法1および重縮合法2について順に説明する。
[重縮合法1]
重縮合法1は、上記の如きシラン化合物を、ジカルボン酸およびアルコールの存在下に反応させる方法である。
ここで使用されるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、炭素数2〜4のアルキレン基に2つのカルボキシル基が結合してなる化合物、ベンゼンジカルボン酸などであることができる。具体的には例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることが好ましい。特に好ましくはシュウ酸である。
ジカルボン酸の使用割合は、原料として使用するシラン化合物の有するアルコキシル基の合計1モルに対するカルボキシル基の量が、0.2〜2.0モルになる量とすることが好ましく、0.5〜1.5モルになる量とすることがより好ましい。
上記アルコールとしては、1級アルコールを好適に使用することができる。その具体例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tret−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、tret−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。ここで使用されるアルコールとしては、炭素数1〜4の脂肪族1級アルコールであることが好ましく、タノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール、iso−ブタノール、sec−ブタノールおよびtret−ブタノールよりなる群から選択される1種以上を使用することがより好ましく、特にメタノールおよびエタノールよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
重縮合法1におけるアルコールの使用割合は、反応溶液の全量に占めるシラン化合物およびジカルボン酸の割合が、3〜80重量%となる割合とすることが好ましく、25〜70重量%となる割合とすることがより好ましい。
反応温度は、1〜100℃とすることが好ましく、より好ましくは15〜80℃である。反応時間は0.5〜24時間とすることが好ましく、より好ましくは1〜8時間である。
重縮合法1においては、上記の如きアルコール以外に他の溶媒は使用しないことが好ましい。
上記の如き重縮合法1では、シラン化合物とジカルボン酸との反応によって生成した中間体にアルコールが作用することにより、シラン化合物(a1)の縮合体であるか、あるいはシラン化合物(a1)とシラン化合物(a2)との共縮合体であるポリオルガノシロキサンが生成するものと推察される。
[重縮合法2]
重縮合法2は、上記の如きシラン化合物を、加水分解・縮合する方法である。
この加水分解・縮合反応は、シラン化合物と水とを、好ましくは触媒の存在下に、好ましくは適当な有機溶媒中で、反応させることにより行うことができる。
ここで使用される水の割合は、原料として使用するシラン化合物の有するアルコキシル基の合計1モルに対する量として、0.5〜2.5モルとすることが好まし。
上記触媒としては、酸、塩基、金属化合物などを挙げることができる。このような触媒の具体例としては、酸として例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸などを挙げることができる。
塩基としては、無機塩基および有機塩基のいずれをも使用することができ、無機塩基として例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどを;
有機塩基として例えばトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンの如き3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどを、それぞれ挙げることができる。
金属化合物として例えばチタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。
触媒の使用割合は、原料として使用するシラン化合物の合計100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましく、0.001〜10重量部とすることがより好ましく、さらに0.001〜1重量部とすることが好ましい。
上記有機溶媒としては、例えばアルコール、ケトン、アミド、エステルおよびその他の非プロトン性化合物を挙げることができる。上記アルコールとしては、水酸基を1個有するアルコール、水酸基を複数個有するアルコールおよび水酸基を複数個有するアルコールの部分エステルのいずれをも使用することができる。上記ケトンとしては、モノケトンおよびβ−ジケトンを好ましく使用することができる。
このような有機溶媒の具体例としては、水酸基を1個有するアルコールとして例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tret−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、tret−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどを;
水酸基を複数個有するアルコールとして例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどを;
水酸基を複数個有するアルコールの部分エステルとして例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどを;
モノケトンとして例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどを;
上記β−ジケトンとして例えばアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどを;
アミドとして例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどを;
エステルとして例えばジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどを;
その他の非プロトン性溶媒として例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N’,N’−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
有機溶媒の使用割合としては、反応溶液中の有機溶媒以外の成分の合計重量が反応溶液の全量に占める割合として、1〜90重量%となる割合とすることが好ましく、10〜70重量%となる割合とすることがより好ましい。
重縮合法2においてポリオルガノシロキサンの製造に際して添加される水は、原料であるシラン化合物中にまたはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に、断続的にまたは連続的に添加することができる。
触媒は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に予め添加しておいてもよく、あるいは添加される水中に溶解または分散させておいてもよい。
反応温度は、1〜100℃とすることが好ましく、より好ましくは15〜80℃である。反応時間は0.5〜24時間とすることが好ましく、より好ましくは1〜8時間である。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法1を採用する場合には、上記のようにしてポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法2を採用する場合には、上記のようにして得た前駆ポリオルガノシロキサン(A)を、さらにカルボン酸(1−1)を含むカルボン酸と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法3を採用する場合には、上記のようにして得た前駆ポリオルガノシロキサン(AII)を、さらに求核性化合物(1)と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法4を採用する場合には、上記のようにして得た前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)を、さらにカルボン酸(1−2)を含むカルボン酸と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法5を採用する場合には、上記のようにして得た前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)を、さらにカルボン酸(1−1)およびカルボン酸(1−2)の双方を含むカルボン酸と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の製造方法として製造法6を採用する場合には、上記のようにして得た前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)を、カルボン酸(1−2)を含むカルボン酸と反応させて、先ず前駆ポリオルガノシロキサン(AIV)を得た後、さらにこれと求核性化合物(1)と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
なお、前駆ポリオルガノシロキサン(AII)としては、上記方法によって製造されたもののほか、例えばAC−SQ TA−100(東亞合成(株)製)などの市販品を用いてもよい。
[カルボン酸]
上記製造法2および5で使用されるカルボン酸(1−1)は、液晶配向性基およびカルボキシル基を有する化合物である。カルボン酸(1−1)の有する液晶配向性基については、ポリオルガノシロキサン(A)が任意的に有することのできる液晶配向性基について上記に説明したところと同様である。
製造法3において用いられるカルボン酸(1−1)としては、上記式(D’)で表される基を有するカルボン酸であることが好ましく、下記式(b2−1)
D’−COOH (b2−1)
(式(b2−1)中、D’は上記式(D’)で表される基である。)
で表される化合物であることがより好ましい。このようなカルボン酸(1−1)としては、例えば長鎖脂肪酸、長鎖アルキル基を有する安息香酸誘導体、長鎖アルコキシル基を有する安息香酸誘導体、ステロイド骨格を有する安息香酸誘導体、ステロイド骨格を有するその他のカルボン酸、多環構造を有する安息香酸誘導体、多環構造を有するその他のカルボン酸、フルオロアルキル基を有するカルボン酸などを挙げることができる。これらの具体例としては、
長鎖脂肪酸として、例えばカプロン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、n−ヘキサデカン酸、ステアリン酸などを;
長鎖アルキル基を有する安息香酸誘導体として、例えば4−n−ヘキシル安息香酸、4−n−オクチル安息香酸、4−n−デシル安息香酸、4−n−ドデシル安息香酸、4−n−ヘキサデシル安息香酸、4−ステアリル安息香酸などを;
長鎖アルコキシル基を有する安息香酸誘導体として、例えば4−n−ヘキシロキシ安息香酸、4−n−オクチロキシ安息香酸、4−n−デシロキシ安息香酸、4−n−ドデシロキシ安息香酸、4−n−ヘキサデシロキシ安息香酸、4−ステアリロキシ安息香酸などを;
ステロイド骨格を有する安息香酸誘導体として、例えばコレスタニルオキシ安息香酸、コレステニルオキシ安息香酸、ラノスタニルオキシ安息香酸、コレスタニルオキシカルボニル安息香酸、コレステニルオキシカルボニル安息香酸、ラノスタニルオキシカルボニル安息香酸、コハク酸−5ξ−コレスタン−3−イル、コハク酸−5ξ−コレステン−3−イル、コハク酸−5ξ−ラノスタン−3−イルなどを;
ステロイド骨格を有するその他のカルボン酸として、例えば下記式(1)または(2)
のそれぞれで表される化合物などを;
多環構造を有する安息香酸誘導体として、例えば4−(4−ペンチル−シクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ヘキシル−シクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ヘプチル−シクロヘキシル)安息香酸、4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸、4’−ヘキシル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸、4‘−ヘプチル−ビシクロヘキシル−4−カルボン酸、4’−ペンチル−ビフェニル−4−カルボン酸、4’−ヘキシル−ビフェニル−4−カルボン酸、4’−ヘプチル−ビフェニル−4−カルボン酸、4−(4’−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ヘキシル−ビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ヘプチル−ビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸などを;
多環構造を有するその他のカルボン酸としては、例えば6−(4’−シアノビフェニル−4−イロキシ)ヘキサノイック酸、3−カルボキシクリセンなどを;
フルオロアルキル基を有するカルボン酸として、例えば下記式(b2−1−1)および(b2−1−2)
(式(b2−1−1)および(b2−1−2)中、kは、それぞれ、0〜2の整数であり、nは、それぞれ、3〜18の整数である。)
のそれぞれで表される化合物などを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
製造法2および5で使用されるカルボン酸(1−1)としては、多環構造を有する安息香酸誘導体、ステロイド骨格を有する安息香酸誘導体およびステロイド骨格を有するその他のカルボン酸よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
上記製造法4〜6で使用されるカルボン酸(1−2)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基およびカルボキシル基を有する化合物であり、上記式(A)で表される基を有するカルボン酸であることが好ましく、上記式(A)で表される基にカルボキシル基が直接結合してなるカルボン酸(すなわち、下記式(b2−2)
A−COOH (b2−2)
(式(b2−2)中、Aは上記式(A)で表される基である。)
で表される化合物)であることが特に好ましい。
このようなカルボン酸(1−2)の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、α−n−プロピルアクリル酸、α−n−ブチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキサン酸、リノール酸、リノレン酸、ケイ皮酸などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
上記製造法2においては、上記の如きカルボン酸(1−1)のみを;
製造法4および6においては、上記の如きカルボン酸(1−2)のみを;
製造法5においては、上記の如きカルボン酸(1−1)およびカルボン酸(1−2)のみを、それぞれ用いてもよく、あるいはこれらのカルボン酸のほかに、カルボン酸(1−1)およびカルボン酸(1−2)以外のカルボン酸(以下、「カルボン酸(2)」という。)を併用してもよい。このカルボン酸(2)は、重合性炭素−炭素二重結合および液晶配向性基のいずれをも持たないカルボン酸であり、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、アントラキノン−2−カルボン酸、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸などを挙げることができこれらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
製造法2におけるカルボン酸(1−1)の使用割合としては、前駆ポリオルガノシロキサン(A)の有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.2〜0.8モルとすることがより好ましく、さらに0.25〜0.75モルとすることが好ましい。ここで、カルボン酸(1−1)とともにカルボン酸(2)を使用する場合には、
カルボン酸(1−1)および(2)の合計の使用割合を、前駆ポリオルガノシロキサン(A)の有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.1〜0.6モルとし、且つ
カルボン酸(1−1)および(2)の合計に対するカルボン酸(1−1)の使用割合を、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上100モル%未満とすることが望ましい。
製造法4におけるカルボン酸(1−2)の使用割合としては、前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)の有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.2〜0.6モルとすることがより好ましい。ここで、カルボン酸(1−2)とともにカルボン酸(2)を使用する場合には、
カルボン酸(1−2)および(2)の合計の使用割合を、前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)の有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.1〜0.6モルとし、且つ
カルボン酸(1−2)および(2)の合計に対するカルボン酸(1−2)の使用割合を、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60〜95モル%とすることが望ましい。
製造法5におけるカルボン酸の使用割合は、以下のとおりである。
カルボン酸の合計の使用割合:前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)の有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.2〜0.7モル、さらに好ましくは0.3〜0.5モル。
カルボン酸(1−1):全カルボン酸に対して、好ましくは50モル%以下、より好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは5〜10モル%。
カルボン酸(1−2):全カルボン酸に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上。
カルボン酸(2):全カルボン酸に対して、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下。
製造法4および5においては、カルボン酸(2)を使用しないことが最も好ましい。
製造法6においては、使用されるカルボン酸(1−2)の一部を後に行われる求核性化合物(1)との反応に供する必要があるため、このことを考慮したうえでカルボン酸(1−2)の使用割合を設定する必要がある。このような観点から、製造法6におけるカルボン酸(1−2)の使用割合としては、前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)の有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.2〜0.6モルとすることがより好ましい。ここで、カルボン酸(1−2)とともにカルボン酸(2)を使用する場合には、
カルボン酸(1−2)および(2)の合計の使用割合を、前駆ポリオルガノシロキサン(AIII)の有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.1〜0.6モルとし、且つ
カルボン酸(1−2)および(2)の合計に対するカルボン酸(1−1)の使用割合を、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60〜95モル%とすることが望ましい。
[前駆ポリオルガノシロキサン(A)または(AIII)とカルボン酸との反応]
前駆ポリオルガノシロキサン(A)または(AIII)(以下、これらをまとめて「前駆ポリオルガノシロキサン」という。)とカルボン酸との反応は、好ましくは適当な触媒および適当な有機溶媒の存在下で行われる。
前駆ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応において使用される触媒としては、例えば有機塩基を好適に使用することができるほか、エポキシ化合物と酸無水物との反応を促進するいわゆる硬化促進剤を本反応における触媒として使用することができる。上記有機塩基としては例えば1級または2級の有機アミン、3級有機アミン、4級有機アミン塩などを;
上記硬化促進剤としては例えば3級アミン(ただし有機塩基としての3級有機アミンは除く)、イミダゾール誘導体、有機リン化合物、4級ホスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物、ハロゲン化4級アンモニウム、金属ハロゲン化合物、潜在性硬化促進剤等などを、それぞれ挙げることができる。上記潜在性硬化促進剤等としては、例えば高融点分散型潜在性硬化促進剤(例えばアミン付加型促進剤など)、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化剤促進剤、高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤などを挙げることができる。
かかる触媒の具体例としては、上記1級または2級の有機アミンとして例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールなどを;
上記3級有機アミンとして例えばトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンなどを;
上記4級有機アミン塩として例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどを;
上記3級アミン(ただし有機塩基としての3級有機アミンは除く)として例えばベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミンなどを;
上記イミダゾール誘導体として例えば2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物などを;
上記有機リン化合物として例えばジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニルなどを;
上記4級ホスフォニウム塩として例えばベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムo,o−ジエチルフォスフォロジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレートなどを;
上記ジアザビシクロアルケンとして例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、その有機酸塩などを;
上記有機金属化合物として例えばオクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体などを;
上記ハロゲン化4級アンモニウムとして例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドなどを;
上記金属ハロゲン化合物として例えば三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニルの如きホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二スズなどを;
上記高融点分散型潜在性硬化促進剤として例えばジシアンジアミドまたはアミンとエポキシ樹脂との付加物などを;
上記マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤として例えば上記イミダゾール誘導体、有機リン化合物、4級ホスフォニウム塩などの硬化促進剤の表面をポリマーで被覆した潜在性硬化促進剤などを;
上記高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤として例えばルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
これらのうち、4級有機アミン塩またはハロゲン化4級アンモニウムを使用することが好ましい。
触媒の使用割合は、前駆ポリオルガノシロキサンの100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部であり、より好ましくは0.1〜20重量部である。
前駆ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応において使用される有機溶媒としては、例えばケトン、エーテル、エステル、アミド、アルコールなどを挙げることができる。かかる有機溶媒の具体例としては、上記ケトンとして例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどを;
上記エーテルとして例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを;
上記エステルとして例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチルなどを;
上記アミドとして例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどを;
上記アミドとして例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどを;
上記アルコールとして例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
有機溶媒の使用割合は、反応溶液中の有機溶媒以外の成分の合計重量が反応溶液の全量に占める割合として、0.1〜50重量%となる割合とすることが好ましく、5〜50重量%となる割合とすることがより好ましい。
前駆ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度において、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間行われる。
製造法2、4および5においては、以上のようにして、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
製造法6においては、以上のようにして、前駆ポリオルガノシロキサン(AIV)を得ることができ、さらにこれを求核性化合物(1)と反応させることにより、ポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。
[求核性化合物]
製造法3および製造法6において使用される求核性化合物(1)は、アミンおよびチオールよりなる群から選択される少なくとも1種の求核性化合物、ただしこの求核性化合物は液晶配向性基を有する、である。このような求核性化合物(1)は、上記式(D’)で表される基を有する求核性化合物であることが好ましい。
求核性化合物(1)が、上記式(D’)で表される基を有するアミン(以下、「化合物(c1)」という。)である場合、上記式(D’)中のRとしては、炭素数4〜20のアルキル基または炭素数4〜20のフルオロアルキル基であることが好ましい。
化合物(c1)としては、1級アミンまたは2級アミンを使用することが好ましい。1級アミンである化合物(c1)としては、例えばオクチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)−フェニルアミン、4−オクチロキシフェニルアミンなどを;
2級アミンである化合物(c1)としては、例えばジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジノナデシルアミンなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。
化合物(c1)における式(D’)中のRとしては、炭素数4〜12のアルキル基または炭素数4〜12のフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記の化合物(c1)のうち、(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンと反応する際にゲル化しにくいこと、および合成が容易であるとの観点から2級アミンである化合物(c1)を使用することが好ましい。
化合物(c1)の使用割合としては、前駆ポリオルガノシロキサン(AII)または(AIV)が有する重合性炭素−炭素二重結合に対する化合物(c1)のモル数の割合として、好ましくは1モル%以上100モル%未満であり、より好ましくは3〜50モル%であり、さらに好ましくは5〜30モル%である。
本発明における求核性化合物であるアミンとしては、上記の如き化合物(c1)とともに、これら以外の他のアミンを併用することができる。このような他のアミンとしては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、フェニルアミンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を、好ましくはアミンの合計に対して40モル%以下の範囲で使用することができる。しかしながら本発明においては、アミンとしては上記の如き化合物(c1)のみを使用することが好ましい。
求核性化合物(1)が、上記式(D’)で表される基を有するチオール(以下、「化合物(c2)」という。)である場合、上記式(D’)中のRとしては、炭素数4〜20のアルキル基もしくは炭素数4〜20のフルオロアルキル基であるか、炭素数2〜12のアルキル基もしくは炭素数2〜12のフルオロアルキル基を有する置換フェニル基であるか、または炭素数2〜12のアルキル基もしくは炭素数2〜12のフルオロアルキル基を有する多環構造を有する基であることが好ましい。この多環構造としては、例えばビシクロヘキシル構造、ビフェニル構造、シクロヘキシルフェニル構造などを挙げることができる。
化合物(c2)としては、例えばブチルチオール、ペンチルチオール、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール、ヘキサデシルチオール、ヘプタデシルチオール、オクタデシルチオール、ノナデシルチオール、4−ブチルフェニルチオール、4−ペンチルフェニルチオール、4−ヘキシルフェニルチオール、4−ヘプチルフェニルチオール、4−オクチルフェニルチオール、4−ノニルフェニルチオール、4−デシルフェニルチオール、4−ウンデシルフェニルチオール、4−ドデシルフェニルチオール、4−トリデシルフェニルチオール、4−テトラデシルフェニルチオール、4−ペンタデシルフェニルチオール、4−ヘキサデシルフェニルチオール、4−ヘプタデシルフェニルチオール、4−オクタデシルフェニルチオール、4−ノナデシルフェニルチオール、4−ブトキシフェニルチオール、4−ペンチロキシフェニルチオール、4−ヘキシロキシフェニルチオール、4−ヘプチロキシフェニルチオール、4−オクチロキシフェニルチオール、4−ノニロキシフェニルチオール、4−デシロキシフェニルチオール、4−ドデシロキシフェニルチオール、4−ウンデシロキシフェニルチオール、4−ドデシロキシフェニルチオール、4−(4’−ブチルシクロヘキシル)フェニルチオール、4−(4’−ペンチルシクロヘキシル)フェニルチオール、4−(4’−ヘキシルシクロヘキシル)フェニルチオール、4−(4’−ヘプチルシクロヘキシル)フェニルチオール、4−(4’−オクチルシクロヘキシル)フェニルチオールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。
化合物(c2)の使用割合としては、前駆ポリオルガノシロキサン(AII)または(AIV)が有する重合性炭素−炭素二重結合に対する化合物(c2)のモル数の割合として、好ましくは1モル%以上100モル%未満であり、より好ましくは3〜50モル%であり、さらに好ましくは5〜30モル%である。
本発明における求核性化合物であるチオールとしては、上記の如き化合物(c2)とともに、これら以外の他のチオールを併用することができる。このような他のチオールとしては、例えばメチルチオール、エチルチオール、プロピルチオール、フェニルチオールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を、好ましくはチオールの合計に対して40モル%以下の範囲で使用することができる。しかしながら本発明においては、チオールとしては上記の如き化合物(c2)のみを使用することが好ましい。
[前駆ポリオルガノシロキサン(A)または(AIII)と求核性化合物との反応]
前駆ポリオルガノシロキサン(A)または(AIII)(以下、これらをまとめて「前駆ポリオルガノシロキサン」という。)と求核性化合物との反応について、求核性化合物が化合物(c1)を含むアミンである場合と化合物(c2)を含むチオールである場合とに分けて、順次に説明する。
{求核性化合物が化合物(c1)を含むアミンである場合}
求核性化合物が化合物(c1)を含むアミンである場合における前駆ポリオルガノシロキサンとの反応は、両者を、好ましくは有機溶媒の存在下、任意的に触媒の存在下に反応させることにより、行うことができる。
前駆ポリオルガノシロキサンとアミンとの反応において使用することのできる有機溶媒としては極性化合物を好ましく使用することができ、例えばニトリル、スルホキシド、エーテル、エステル、アルコールなどを挙げることができる。これらの具体例としては、上記ニトリルとして、例えばアセトニトリルなどを;
上記スルホキシドとして、例えばジメチルスルホキシドなどを;
上記エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどを;
上記エステルとして、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを;
上記アルコールとして、例えばトリフルオロエタノール、ヘキサフルオロエタノールなどを、それぞれ挙げることができる。これらのうち、ニトリルまたはスルホキシドを使用することが、反応の安定性の観点から好ましい。溶媒は、反応速度の観点から、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の合計重量が溶液の全重量に占める割合)が、40重量%以上となる割合で使用することが好ましく、より好ましくは50〜90重量%となる割合である。
前駆ポリオルガノシロキサンとアミンとの反応において任意的に使用することのできる触媒としては、例えば塩化アルミニウム、ギ酸などを挙げることができる。
反応温度は、好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは60〜100℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜8時間であり、より好ましくは1〜6時間である。
{求核性化合物が化合物(c2)を含むチオールである場合}
一方、求核性化合物が化合物(c2)を含むチオールである場合における前駆ポリオルガノシロキサンとの反応は、両者を、好ましくは有機溶媒および触媒の存在下に反応させることにより、行うことができる。
前駆ポリオルガノシロキサンとチオールとの反応において使用することのできる有機溶媒としては、例えば極性化合物を好ましく使用することができ、例えばニトリル、スルホキシド、エーテル、エステルなどを挙げることができる。これらの具体例としては、上記ニトリルとして、例えばアセトニトリルなどを;
上記スルホキシドとして、例えばジメチルスルホキシドなどを;
上記エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどを;
上記エステルとして、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを、それぞれ挙げることができる。溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の合計重量が溶液の全重量に占める割合)が、40重量%以上となる割合で使用することが好ましく、より好ましくは50〜90重量%となる割合である。
前駆ポリオルガノシロキサンとチオールとの反応において好ましく使用される触媒としては、例えば有機塩塩基などを挙げることができ、より詳しくは3級アミン、具体的にはトリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどを挙げることができる。触媒の使用割合は、チオールの100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10〜30重量部である。
反応温度は、好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは40〜80℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜8時間であり、より好ましくは1〜6時間である。
上記製造法1〜6のいずれかの方法により、本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を好ましく製造することができる。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、好ましくは上記の如くして製造されるポリオルガノシロキサン(A)を必須の成分として含有するが、本発明の効果を減殺しない限り、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、ポリオルガノシロキサン(A)以外の重合体(以下、「その他の重合体」という。)、重合性不飽和化合物、光重合開始剤、ラジカル捕捉剤、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物、界面活性剤、潜在性硬化剤などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、得られる液晶配向剤の溶液特性ならびに形成される液晶配向膜の電気特性および液晶配向性のさらなる向上のために使用することができる。かかるその他の重合体は、上記の如きポリオルガノシロキサン(A)以外の重合体であり、例えばポリオルガノシロキサン(A)以外のポリオルガノシロキサン(以下、「他のポリオルガノシロキサン」という。)、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明において他の重合体を使用する場合、他のポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
−他のポリオルガノシロキサン−
上記他のポリオルガノシロキサンは、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有さないポリオルガノシロキサンであり、任意的に液晶配向性基およびエポキシ基から選択される少なくとも1種の基をさらに有していてもよい。
液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサンとする場合には、該ポリオルガノシロキサン中の液晶配向性基の存在割合は、液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサンに含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.2モル以上の割合であることが好ましく、0.3〜0.8モルの割合であることがより好ましく、特に0.4〜0.7モルの割合であることが好ましい。
他のポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、さらに1,000〜50,000であることが好ましい。
このような他のポリオルガノシロキサンは、原料として上記シラン化合物(a1)およびカルボン酸(1−2)の使用が禁止され、原料のシラン化合物として上記式(1)で表される化合物の使用が許容されるほかは、上記のポリオルガノシロキサン(A)の製造法に準じて製造することができる。
他のポリオルガノシロキサンは、好ましくは、シラン化合物(a2−2)、またはシラン化合物(a2−2)と液晶配向性基およびアルコキシル基を有するシラン化合物(以下、「シラン化合物(a3)」という。)との混合物を重縮合する方法(製造法7)によって製造することができるほか、
上記において、原料化合物の少なくとも1部にシラン化合物(a2−1)を使用して、先ずエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを製造し、次いでこれと上述のカルボン酸(1−1)を含むカルボン酸(ただし、このカルボン酸はカルボン酸(1−2)を含まない。)と反応させる方法(製造法8)によっても製造することができる。
上記シラン化合物(a3)としては、例えば下記式(a3−1)
(R(RSi(OR4−f−g (a3−1)
(式(a3−1)中、Rは炭素数8〜30のアルキル基、炭素数8〜30のフルオロアルキル基であるか、またはステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基であり、
は炭素数1〜3のアルキル基であり、
は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、
fは1〜3の整数であり、gは0〜2の整数であり、ただし、f+g≦3である。)
で表される化合物、下記式(a3−2)
(式(a3−2)中、R、RII、Z、ZII、n1、n3およびn4については、それぞれ、上記式(D’)におけるのと同義であり、n2は1であり、R10は炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(a3−1)で表される化合物としては、例えばn−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリ−n−プロポキシシラン、n−オクチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−オクチルトリ−n−ブトキシシシラン、n−オクチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−オクチルトリ−n−ペントキシシラン、n−オクチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−オクチルトリフェノキシシラン、n−オクチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリ−n−プロポキシシラン、n−デシルトリ−iso−プロポキシシラン、n−デシルトリ−n−ブトキシシシラン、n−デシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−デシルトリ−n−ペントキシシラン、n−デシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−デシルトリフェノキシシラン、n−デシルトリ−p−メチルフェノキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリ−n−プロポキシシラン、n−ドデシルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ドデシルトリ−n−ブトキシシシラン、n−ドデシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ドデシルトリ−n−ペントキシシラン、n−ドデシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ドデシルトリフェノキシシラン、n−ドデシルトリ−p−メチルフェノキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ−n−プロポキシシラン、n−オクタデシルトリ−iso−プロポキシシラン、n−オクタデシルトリ−n−ブトキシシシラン、n−オクタデシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−オクタデシルトリ−n−ペントキシシラン、n−オクタデシルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−オクタデシルトリフェノキシシラン、n−オクタデシルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−コレスタニルトリメトキシシラン、3−コレスタニルトリエトキシシラン、3−コレスタニルトリ−n−プロポキシシラン、3−コレスタニルトリ−iso−プロポキシシラン、3−コレスタニルトリ−n−ブトキシシラン、3−コレスタニルトリ−sec−ブトキシシラン、3−コレステニルトリメトキシシラン、3−コレステニルトリエトキシシラン、3−コレステニルトリ−n−プロポキシシラン、3−コレステニルトリ−iso−プロポキシシラン、3−コレステニルトリ−n−ブトキシシラン、3−コレステニルトリ−sec−ブトキシシランなどを;
上記式(a3−2)で表される化合物としては、例えば4−ペントキシフェニルトリメトキシシラン、4−ペントキシフェニルトリエトキシシラン、4−へキシロキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヘキシロキシフェニルトリエトキシシラン、4−オクチロキシフェニルトリメトキシシラン、4−オクチロキシフェニルトリエトキシシラン、4−ドデシルオキシフェニルトリメトキシシラン、4−ドデシルオキシフェニルトリエトキシシランなどを、それぞれ挙げることができる。
上記製造法7におけるシラン化合物(a3)の使用割合は、原料シラン化合物の全量に対して、好ましくは70モル%以下であり、より好ましくは5〜70モル%であり、特に5〜50モル%とすることが好ましい。製造法7における重縮合は、上記のようなシラン化合物を原料として使用するほかは、ポリオルガノシロキサン(A)を製造する場合の重縮合と同様にして行うことができる。
上記製造法8においてエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成する際に使用されるシラン化合物(a2−1)の使用割合は、原料シラン化合物の全量に対して、20モル%以上とすることが好ましく、30〜70モル%とすることがより好ましく、さらに40〜60モル%とすることが好ましい。製造法8における重縮合は、上記のようなシラン化合物を原料として使用するほかは、ポリオルガノシロキサン(A)を製造する場合の重縮合と同様にして行うことができる。
製造法8においては、上記のようにして得られたエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを、次いでカルボン酸(1−1)を含むカルボン酸(ただし、このカルボン酸はカルボン酸(1−2)を含まない。)と反応させることにより、液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサンとすることができる。ここで、カルボン酸としては、カルボン酸(1−1)のみを使用してもよく、あるいはカルボン酸(1−1)と上述のカルボン酸(2)とを併用してもよい。
カルボン酸(1−1)の使用割合は、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.2〜0.8モルとすることがより好ましく、さらに0.25〜0.75モルとすることが好ましい。カルボン酸(1−1)とともにカルボン酸(2)を使用する場合には、
カルボン酸(1−1)および(2)の合計の使用割合を、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.1〜0.6モルとし、且つ
カルボン酸(1−1)および(2)の合計に対するカルボン酸(1−1)の使用割合を、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上とすることが望ましい。
製造法8におけるエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応は、製造法2および4〜6における前駆ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応と同様にして行うことができる。
本発明の液晶配向剤が他のポリオルガノシロキサンを含有するものである場合、その含有割合は、ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して、80重量部以下とすることが好ましく、50重量部以下とすることがより好ましい。
−ポリアミック酸およびポリイミド−
上記ポリアミック酸は、例えば特許文献9(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを使用して、これらを公知の方法により反応させることにより、製造することができる。
ポリイミドは、上記ポリアミック酸を公知の方法により脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。
本発明の液晶配向剤がポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される1種以上の重合体を含有するものである場合、その含有割合は、ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対するポリアミック酸およびポリイミドの合計量として、60重量部以下とすることが好ましく、30重量部以下とすることがより好ましい。
[重合性不飽和化合物]
本発明において任意的に用いられる重合性不飽和化合物は、分子中に下記式(B−I)
−X−Y−X− (B−I)
(式(B−I)中、XおよびXは、それぞれ独立に、1,4−フェニレン基または1,4−シクロへキシレン基であり、Yは単結合、炭素数1〜4の2価の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子または−COO−であり、ただし上記XおよびXは1個または複数個の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。)
で表される2価の基の少なくとも1個と下記式(B−II)
(式(B−II)中、Rは水素原子またはメチル基であり、YおよびYは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子である。)
で表される1価の基の少なくとも2個とを有する化合物で表される2価の基の少なくとも1個と上記式(B−II)で表される1価の基の少なくとも2個とを有する化合物(以下、「化合物(B−1)」という。)を含む不飽和化合物であることが好ましい。この不飽和化合物としては、化合物(B−1)のみを用いてもよく、化合物(B−1)とその他の不飽和化合物とを併用してもよい。
化合物(B−1)における上記式(B−II)で表される1価の基の数は、2個であることが好ましい。
上記式(B−I)における炭素数1〜4の2価の炭化水素基としては、例えばメチレン基、ジメチルメチレン基などを挙げることができる。上記式(B−I)で表される2価の基としては、例えば下記式(B−I−1)〜(B−I−6)
のそれぞれで表される基などを挙げることができる。上記式(B−I−1)〜(B−I−6)におけるベンゼン環およびシクロヘキサン環は、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子またはシアノ基で置換されていてもよい。
上記式(B−II)におけるYとしては、酸素原子であることが好ましい。
本発明において用いられる化合物(B−1)としては、
ビフェニル構造を有するジ(メタ)アクリレート(上記式(B−I)で表される2価の基が上記式(B−I−1)で表される基であり、上記式(B−II)におけるYおよびYが、それぞれ、酸素原子である。)、
フェニル−シクロヘキシル構造を有するジ(メタ)アクリレート(上記式(B−I)で表される2価の基が上記式(B−I−2)で表される基であり、上記式(B−II)におけるYおよびYが、それぞれ、酸素原子である。)、
2,2−ジフェニルプロパン構造を有するジ(メタ)アクリレート(上記式(B−I)で表される2価の基が上記式(B−I−3)で表される基であり、上記式(B−II)におけるYおよびYが、それぞれ、酸素原子である。)、
ジフェニルメタン構造を有するジ(メタ)アクリレート(上記式(B−I)で表される2価の基が上記式(B−I−4)で表される基であり、上記式(B−II)におけるYおよびYが、それぞれ、酸素原子である。)、
ジフェニルチオエーテル構造を有するジ−チオ(メタ)アクリレート(上記式(B−I)で表される2価の基が上記式(B−I−5)で表される基であり、上記式(B−II)におけるYが酸素原子であり、Yが硫黄原子である。)および
その他の化合物(B−1)
を挙げることができる。
これらの具体例としては、ビフェニル構造を有するジ(メタ)アクリレートとして、例えば4’−アクリロイロキシ−ビフェニル−4−イル−アクリレート、
4’−メタクリロイロキシ−ビフェニル−4−イル−メタアクリレート、
2−[4’−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−ビフェニル−4−イロキシ]−エチルアクリレート、
2−[4’−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−ビフェニル−4−イロキシ]−エチルメタクリレート、
ビスヒドロキシエトキシビフェニルジアクリレート、
ビスヒドロキシエトキシビフェニルジメタクリレート、
2−(2−{4’−[2−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−ビフェニル−4−イロキシ}−エトキシ)−エチルアクリレート、
2−(2−{4’−[2−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−ビフェニル−4−イロキシ}−エトキシ)−エチルメタクリレート、
ビフェニルのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビフェニルのエチレンオキシド付加物のジメタクリレート、
ビフェニルのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビフェニルのプロピレンオキシド付加物のジメタクリレート、
2−(4’−アクリロイロキシ−ビフェニル−4−イロキシ)−エチルアクリレート、
2−(4’−メタクリロイロキシ−ビフェニル−4−イロキシ)−エチルメタクリレートなどを;
フェニル−シクロヘキシル構造を有するジ(メタ)アクリレートとして、例えば4−(4−アクリロイロキシ−フェニル)−シクロヘキシルアクリレート、
4−(4−メタクリロイロキシ−フェニル)−シクロヘキシルメタクリレート、
2−{4−[4−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−フェニル]−シクロヘキシロキシ}−エチルアクリレート、
2−{4−[4−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−フェニル]−シクロヘキシロキシ}−エチルメタクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−フェニル}−シクロヘキシロキシ)−エトキシ]−エチルアクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−フェニル}−シクロヘキシロキシ)−エトキシ]−エチルメタクリレートなどを;
2,2−ジフェニルプロパン構造を有するジ(メタ)アクリレートとして、例えば4−[1−(4−アクリロイロキシ−フェニル)−1−メチル−エチル]−フェニルアクリレート、
4−[1−(4−メタクリロイロキシ−フェニル)−1−メチル−エチル]−フェニルメタクリレート、
2−(4−{1−[4−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−エチルアクリレート、
2−(4−{1−[4−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−エチルメタクリレート、ビスヒドロキシエトキシ−ビスフェノールAジアクリレート、
ビスヒドロキシエトキシ−ビスフェノールAジメタクリレート、
2−{2−[4−(1−{4−[2−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−エトキシ}−エチルアクリレート、
2−{2−[4−(1−{4−[2−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−エトキシ}−エチルメタクリレート、
ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジメタクリレート、
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジメタクリレート、
2−(4−{1−[4−(2−アクリロイロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−1−メチル−エチルアクリレート、
2−(4−{1−[4−(2−メタクリロイロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−1−メチル−エチルメタクリレート、
2−{2−[4−(1−{4−[2−(2−アクリロイロキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−1−エチル)−フェノキシ]−1−メチル−エトキシ}−1−メチル−エチルアクリレート、
2−{2−[4−(1−{4−[2−(2−メタクリロイロキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−1−エチル)−フェノキシ]−1−メチル−エトキシ}−1−メチル−エチルメタクリレート、
3−{4−[1−(3−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェニル)−1−メチル−エチルフェノキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−{4−[1−(3−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェニル)−1−メチル−エチルフェノキシ−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
3−(4−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3−シクロヘキシル−フェニル]−1−メチル−エチル}−2−シクロヘキシル−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−プロピルアクリレート、
3−(4−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3−シクロヘキシル−フェニル]−1−メチル−エチル}−2−シクロヘキシル−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−プロピルメタクリレート、
3−(5−{1−[6−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ビフェニル−3−イル]−1−メチル−エチル}−ビフェニル−2−イロキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−(5−{1−[6−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ビフェニル−3−イル]−1−メチル−エチル}−ビフェニル−2−イロキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
3−{4−[1−(4−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3−メチル−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェニル)−1−メチル−エチル]−2−メチル−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−{4−[1−(4−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3−メチル−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェニル)−1−メチル−エチル]−2−メチル−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
3−(4−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−(4−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
3−{4−[1−(4−{3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、
3−{4−[1−(4−{3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−エチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−フェニル}−1−メチル−エチル)−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−プロピルメタクリレート、
1−(2−{4−[1−(4−{2−[2−ヒドロキシ−3−(1−メチレン−アリロキシ)−プロポキシ]−プロポキシ}−フェニル)−1−メチル−エチル]−キシ}−1−メチル−エトキシ)−3−(1−メチレン−アリロキシ)−プロパン−2−オールなどを;
ジフェニルメタン構造を有するジ(メタ)アクリレートとして、例えば4−(4−アクリロイロキシ−ベンジル)−フェニルアクリレート、
4−(4−メタクリロイロキシ−ベンジル)−フェニルメタクリレート、
2−{4−[4−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−ベンジル]−フェニル}−エチルアクリレート、
2−{4−[4−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−ベンジル]−フェニル}−エチルメタクリレート、
ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジメタクリレート、
ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物のジメタクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−アクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−ベンジル}−フェノキシ)−エトキシ]−エチルアクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−メタクリロイロキシ−エトキシ)−エトキシ]−ベンジル}−フェノキシ)−エトキシ]−エチルメタクリレート、
2−{4−[4−(2−アクリロイロキシ−プロポキシ)−ベンジル−フェノキシ}−1−メチル−エチルアクリレート、
2−{4−[4−(2−メタクリロイロキシ−プロポキシ)−ベンジル−フェノキシ}−1−メチル−エチルメタクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−アクリロイロキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−ベンジル}−フェノキシ)−1−メチル−エトキシ]−1−メチル−エチルエチルアクリレート、
2−[2−(4−{4−[2−(2−メタクリロイロキシ−プロポキシ)−プロポキシ]−ベンジル}−フェノキシ)−1−メチル−エトキシ]−1−メチル−エチルエチルメタクリレートなどを;
ジフェニルチオエーテル構造を有するジ−チオ(メタ)アクリレートとして、例えば4−(4−チオアクリロイルサルファニル−フェニルサルファニル)−フェニルジチオアクリレート、
4−(4−チオメタクリロイルサルファニル−フェニルサルファニル)−フェニルジチオメタクリレート、
ビス(4−メタクロイルチオフェニル)スルフィドなどを;
その他の化合物(B−1)として、例えば2,5−ビス{4−(3−アクリロイロキシ−プロポキシ)−安息香酸}トルエンなどを、それぞれ挙げることができる。
かかる化合物(B−1)は、有機化学の定法を適宜に組み合わせることにより合成することができるほか、市販品として入手することができる。化合物(B−1)の市販品としては、例えばビスヒドロキシエトキシBPジアクリレート、ビスヒドロキシエトキシBis−Aジアクリレート(本州化学工業(株)製);
アロニックスM−208、M−210(東亞合成(株)製);
SR−349、SR−601,SR−602(サートマー社製);
KAYARAD R−712、R−551(日本化薬(株)製);
NKエステルBPE−100、NKエステルBPE−200、NKエステルBPE−500、NKエステルBPE−1300、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業(株)製)、Actilane420(日本シイベルヘグナー(株)製):
ライトエステルBP−2EM、ライトアクリレートBP−4EA、ライトアクリレートBP−4PA、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A(共栄社化学(株)製);
V#540、V#700(大阪有機化学工業(株)製);
FA−321M(日立化成工業(株)製);
MPSMA(住友精化社製);
リポキシVR−77(昭和高分子(株)製)などを挙げることができる。
本発明において用いられる化合物(B−1)としては、上記に例示した化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記その他の不飽和化合物は、プレチルト角を90°により近づけ、これによって本願が所期する効果をより効率的に発現させる目的で本発明における液晶配向剤に含有されることができる。このようなその他の不飽和化合物は、好ましくは炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であり、より好ましくは炭素−炭素二重結合の1個と上記で説明した如き液晶配向性基とを有する化合物である。このようなその他の不飽和化合物の具体例としては、例えばメタクリル酸−5ξ−コレスタン−3−イル、メタクリル酸 4−(4’−フェニル−ビシクロヘキシル−4−イル)フェニルエステル、メタクリル酸4−オクチロキシフェニルエステル、メタクリル酸4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェニルエステルなどを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤中における重合性不飽和化合物の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)およびその他の重合体の合計100重量部に対して、1〜100重量部とすることが好ましく、5〜50重量部とすることがより好ましい。
重合性不飽和化合物として、化合物(B−1)とともにその他の不飽和化合物を使用する場合、その使用割合としては、不飽和化合物の全量に対して50重量部以下とすることが好ましく、25重量部以下とすることがより好ましい。その他の不飽和化合物は、これを重合性不飽和化合物の全量に対して5重量部以上用いることにより、その所期する効果を発現することができる。
[光重合開始剤]
上記光重合開始剤としては例えばα−ジケトン、アシロイン、アシロインエーテル、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、キノン化合物、ハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド、有機過酸化物などを挙げることができる。これらの具体例としては、α−ジケトンとして例えばベンジル、ジアセチルなどを;
アシロインとして例えばベンゾインなどを;
アシロインエーテルとして例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどを;
ベンゾフェノン化合物として例えばチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、フェニル−(4−p−トリルスルファニル−フェニル)−メタノンなどを;
アセトフェノン化合物として例えばアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4−(α,α’−ジメトキシアセトキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルフォリノ−1−(4−メチルチオフェニル)−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどを;
キノン化合物として例えばアントラキノン、1,4−ナフトキノンなどを;
ハロゲン化合物として例えばフェナシルクロリド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを;
アシルホスフィンオキシドとして例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドなどを;
有機過酸化物として例えばジ−tert−ブチルペルオキシドなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
光重合開始剤の市販品としては、例えばIRGACURE−124、同−149、同−184、同−369、同−500、同−651、同−819、同−907、同−1000、同−1700、同−1800、同−1850、同−2959、Darocur−1116、同−1173、同−1664、同−2959、同−4043(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);
KAYACURE−BMS、同−DETX、同−MBP、同−DMBI、同−EPA、同−OA(以上、日本化薬(株)製);
LUCIRIN TPO(BASF社製);
VICURE−10、同−55(以上、STAUFFER社製);
TRIGONALP1(AKZO社製);
SANDORAY 1000(SANDOZ社製);
DEAP(APJOHN社製);
QUANTACURE−PDO、同−ITX、同−EPD(以上、WARD BLEKINSOP社製)などを挙げることができる。
光重合開始剤としては、熱安定性が高いとの観点からベンゾフェノン化合物を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤中における光重合開始剤の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)および存在する場合には重合性不飽和化合物の合計100重量部に対して、30重量部以下とすることが好ましく、0.5〜30重量部とすることがより好ましく、特に1〜20重量部とすることが好ましい。
[ラジカル捕捉剤]
上記ラジカル捕捉剤は、基板上に本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜とする際に好ましく行われる加熱により、重合性炭素−炭素二重結合が好ましくない反応を起こすことを回避するために、本発明の液晶配向剤中に含有されることができる。
このようなラジカル捕捉剤の具体例としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、3,3’,3”,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
これらの市販品としては、(株)ADEKA製のアデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330;
住友化学(株)製のsumilizerGM、sumilizerGS、sumilizerMDP−S、sumilizerBBM−S、sumilizerWX−R、sumilizerGA−80;
チバジャパン(株)製のIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1330、IRGANOX1726、IRGANOX1425WL、IRGANOX1520L、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX3114、IRGANOX565、IRGAMOD295;
(株)エーピーアイコーポレーション製のヨシノックスBHT、ヨシノックスBB、ヨシノックス2246G、ヨシノックス425、ヨシノックス250、ヨシノックス930、ヨシノックスSS、ヨシノックスTT、ヨシノックス917、ヨシノックス314などを挙げることができる。
本発明における液晶配向剤中のラジカル捕捉剤の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)および存在する場合には重合性不飽和化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.1〜5質量部である。
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物は、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物であるが、上記のポリオルガノシロキサン(A)および存在する場合には他のポリオルガノシロキサンがエポキシ基を有する場合は除かれる。
かかるエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのほか、N,N−ジグリシジルアミノ基を有する化合物を挙げることができる。
本発明におけるエポキシ化合物としては、N,N−ジグリシジルアミノ基を有する化合物が好ましく、その具体例として例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下である。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以下である。
[界面活性剤]
上記界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が界面活性剤を含有する場合、その含有割合としては、液晶配向剤の全体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
[潜在性硬化剤]
上記潜在性硬化剤は、液晶配向剤の保存中には硬化性を持たないが、液晶配向剤を塗布した後の加熱によって硬化性能を発揮する機能を獲得する成分である。本発明の液晶配向剤は、このような潜在性硬化物を含有することにより、耐熱性および耐光性に優れる液晶配向膜を形成しうるとともに保存安定性に優れることとなり、好ましい。
本発明における潜在性硬化剤としては、例えば分子内に、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構造を2個以上有する化合物を、好ましく使用することができる。潜在性硬化剤は、これらの構造のうちの同じ種類の構造を2個以上有する化合物であってもよく、これらの構造のうちの異なる種類の構造を合わせて2個以上有する化合物であってもよい。
上記カルボン酸のアセタールエステル構造を形成する基としては、下記式(C−1)および(C−2)
(式(C−1)中、RαおよびRβは、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基であり、
式(C−2)中、m1は2〜10の整数である。)
のそれぞれで表される基を挙げることができる。ここで、上記式(C−1)におけるRのアルキル基としてはメチル基が;
脂環式基としてはシクロヘキシル基が;
アリール基としてはフェニル基が;
アラルキル基としてはベンジル基が、それぞれ好ましく、
のアルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が;
脂環式基としては炭素数6〜10の脂環式基が;
アリール基としてはフェニル基が;
アラルキル基としてはベンジル基または2−フェニルエチル基が、それぞれ好ましく、
式(C−2)におけるm1としては、3または4であることが好ましい。
上記式(C−1)で表される基としては、例えば1−メトキシエトキシカルボニル基、1−エトキシエトキシカルボニル基、1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−i−プロポキシエトキシカルボニル基、1−n−ブトキシエトキシカルボニル基、1−i−ブトキシエトキシカルボニル基、1−sec−ブトキシエトキシカルボニル基、1−t−ブトキシエトキシカルボニル基、1−シクロペンチルオキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1−ノルボルニルオキシエトキシカルボニル基、1−ボルニルオキシエトキシカルボニル基、1−フェノキシエトキシカルボニル基、1−(1−ナフチルオキシ)エトキシカルボニル基、1−ベンジルオキシエトキシカルボニル基、1−フェネチルオキシエトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(メトキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(エトキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(n−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(i−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(フェノキシ)メトキシカルボニル基、(シクロヘキシル)(ベンジルオキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(メトキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(エトキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(n−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(i−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(フェノキシ)メトキシカルボニル基、(フェニル)(ベンジルオキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(メトキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(エトキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(n−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(i−プロポキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(フェノキシ)メトキシカルボニル基、(ベンジル)(ベンジルオキシ)メトキシカルボニル基などを;
上記式(C−2)で表される基としては、例えば2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基などを、それぞれ挙げることができる。これらのうち、1−エトキシエトキシカルボニル基、1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基などが好ましい。
上記カルボン酸のケタールエステル構造を形成する基としては、例えば、下記式(C−3)〜(C−5)
(式(C−3)中、Rγは炭素数1〜12のアルキル基であり、RδおよびRεは、それぞれ、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、
式(C−4)中、RΦは炭素数1〜12のアルキル基であり、m2は2〜8の整数であり、
式(C−5)中、Rηは炭素数1〜12のアルキル基であり、m3は2〜8の整数である。)
のそれぞれで表される基を挙げることができる。ここで、上記式(C−3)におけるRγのアルキル基としてはメチル基が好ましく、
δのアルキル基としてはメチル基が;
脂環式基としてはシクロヘキシル基が
アリール基としてはフェニル基が;
アラルキル基としてはベンジル基が、それぞれ好ましく、
εのアルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が;
脂環式基としては炭素数6〜10の脂環式基が;
アリール基としてはフェニル基が;
アラルキル基としてはベンジル基または2−フェニルエチル基が、それぞれ好ましく、
式(C−4)におけるRΦのアルキル基としてはメチル基が;
m2としては3または4であることが、それぞれ好ましく、
式(C−5)におけるRηのアルキル基としてはメチル基が;
m3としては3または4であることが、それぞれ好ましい。
上記式(C−3)で表される基としては、例えば1−メチル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−エトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−i−プロポキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−n−ブトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−i−ブトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−sec−ブトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−t−ブトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロペンチルオキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−ノルボルニルオキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−ボルニルオキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−フェノキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−(1−ナフチルオキシ)エトキシカルボニル基、1−メチル−1−ベンジルオキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−フェネチルオキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−エトキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−i−プロポキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−フェノキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシル−1−ベンジルオキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−エトキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−i−プロポキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−フェノキシエトキシカルボニル基、1−フェニル−1−ベンジルオキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−エトキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−i−プロポキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−フェノキシエトキシカルボニル基、1−ベンジル−1−ベンジルオキシエトキシカルボニル基などを;
上記式(C−4)で表される基としては、例えば2−(2−メチルテトラヒドロフラニル)オキシカルボニル基、2−(2−メチルテトラヒドロピラニル)オキシカルボニル基などを;
上記式(C−5)で表される基としては、例えば1−メトキシシクロペンチルオキシカルボニル基、1−メトキシシクロヘキシルオキシカルボニル基などを、それぞれ挙げることができる。これらのうち、1−メチル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基などが好ましい。
上記カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造を形成する基としては、例えば下記式(C−6)
(式(C−6)中、Rκは炭素数1〜12のアルキル基であり、m4は1〜8の整数である。)
で表される基を挙げることができる。ここで、上記式(C−6)におけるRκのアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記式(C−6)で表される基としては、例えば1−メチルシクロプロポキシカルボニル基、1−メチルシクロブトキシカルボニル基、1−メチルシクロペントキシカルボニル基、1−メチルシクロへキシルオキシカルボニル基、1−メチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−メチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−メチルシクロノニロキシカルボニル基、1−メチルシクロデシロキシカルボニル基、1−エチルシクロプロポキシカルボニル基、1−エチルシクロブトキシカルボニル基、1−エチルシクロペントキシカルボニル基、1−エチルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−エチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−エチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロノニロキシカルボニル基、1−エチルシクロデシロキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)プロピルシクロデシロキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)ブチルシクロデシロキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)ペンチルシクロデシロキシカルボニル基、
1−(イソ)ヘキシルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロデシロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロデシロキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロプロポキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロブトキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロペントキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロヘキシロキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロヘプチロキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロオクチルオキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロノニロキシカルボニル基、1−(イソ)オクチルシクロデシロキシカルボニル基などを挙げることができる。
上記カルボン酸のt−ブチルエステル構造を形成する基とは、t−ブトキシカルボニル基である。
本発明における潜在性硬化剤としては、下記式(C)
BlR (C)
(式(C)中、Blは上記式(C−1)〜(C−5)のいずれかで表される基またはt−ブトキシカルボニル基であり、mが2であってRが単結合であるか、あるいはmが2〜10の整数であってRが炭素数3〜10の複素環化合物からm価の水素を除去して得られる基または炭素数1〜18のm価の炭化水素基である。)
で表される化合物が好ましい。mとしては、2または3であることが好ましい。
上記式(C)におけるRの具体例としては、mが2である場合として、単結合、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレニル基、5−ナトリウムスルホ−1,3−フェニレン基、5−テトラブチルホスホニウムスルホ−1,3−フェニレン基などを;
mが3である場合として、下記式
で表される基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基などを、それぞれ挙げることができる。上記アルキレン基としては、直鎖のものが好ましい。
本発明の液晶配向剤における潜在性硬化剤の使用割合としては、ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して40重量部以下とすることが好ましく、5〜20重量部とすることがより好ましい。
潜在性硬化剤は、ポリオルガノシロキサン(A)がエポキシ基を有するものである場合にその所期の効果を最大限に発揮することができる。この場合における潜在性硬化剤の好ましい使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)の有するエポキシ基1モルに対する、潜在性硬化剤の有するカルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造の合計モル数が、0.1〜10モルとなる割合とすることが好ましく、0.4〜4モルとなる割合とすることがより好ましく、さらに1.5〜2モルとなる割合とすることが好ましい。従って、潜在性硬化剤として上記式(C)で表される化合物を使用する場合、この上記式(C)で表される化合物の使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)の有するエポキシ基1モルに対して、0.1/m〜10/mモルとすることが好ましく、0.4/m〜4/mモルとすることがより好ましく、さらに1.5/m〜2/mモルとすることが好ましいこととなる。ただし以上において、mは上記式(C)におけるのと同義である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、ポリオルガノシロキサン(A)および任意的に使用されるその他の成分が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されてなる液状の組成物として構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、モノプロピレングリコール、モノヘキシレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができないものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜7.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を6〜15重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を8〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を3〜10重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下のいずれかの方法によって製造することができる。
従来から知られている動作モードの液晶表示素子は、例えば以下の工程(1)ないし(3)を経て製造することができる(液晶表示素子の製造方法1)。
(1)本発明の液晶配向剤を用いて基板上に塗膜を形成する工程、
(2)必要に応じて塗膜面にラビング処理を施す工程、および
(3)一対の基板間に液晶を挟持して液晶セルを構成する工程。
上記のようにして得られた液晶セルの両面に偏光板を配置することにより、液晶表示素子を製造することができる。
また、PSAモードに代わる新しい表示モードの液晶表示素子は、例えば以下の工程(1’)ないし(3’)を経て製造することができる(液晶表示素子の製造方法2)。
(1’)導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する工程、
(2’)前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構成する工程、および
(3’)前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程。
そして上記のようにして得られた光照射後の液晶セルの両面に偏光板を配置することにより、液晶表示素子を製造することができる。
以下、上記各製造方法について順に説明する。
[液晶表示素子の製造方法1]
液晶表示素子の製造方法1における工程(1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(2)および(3)は各動作モードに共通である。
(1)先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1)TN型、STN型またはVA型液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、さらにポリオルガノシロキサン(A)の製造において製造方法1を採用した場合には残存するジカルボン酸を除去することを目的として、焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であるポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(1−2)一方、IPS型液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の導電膜形成面と、導電膜が設けられていない対向基板の一面とに、本発明の液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
このとき使用される基板および透明導電膜の材質、透明導電膜のパターニング方法、基板の前処理、液晶配向剤の塗布方法および塗布後の加熱方法ならびに形成される塗膜の好ましい膜厚については上記(1−1)と同様である。
(2)本発明の方法により製造される液晶表示素子がVA型の液晶表示素子である場合には、上記のようにして形成された塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、所望に応じて次に述べるラビング処理を行った後に使用に供してもよい。
一方、VA型以外の液晶表示素子を製造する場合には、上記のようにして形成された塗膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜とする。
ラビング処理は、上記のようにして形成された塗膜面に対し、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
さらに、上記のようにして形成された液晶配向膜に対し、例えば特許文献6(特開平6−222366号公報)および特許文献7(特開平6−281937号公報)に示されている如き、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理、特許文献8(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって得られる液晶表示素子の視界特性を改善することなどが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。なお、本発明の液晶配向剤が、製造法2、3、5または6によって製造されたポリオルガノシロキサン(A)を含有するものである場合、該液晶配向剤をVA型液晶表示素子の製造においてODF方式を採用した場合であってもODFムラの現れることがないから、本方式の適用に対して特に好適である。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができ、これらのうちネマティック型液晶が好ましい。VA型液晶セルの場合、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合には、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名C−15、CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。この偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
[液晶表示素子の製造方法2]
(1’)先ず導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。形成語の塗膜は、これをそのまま次の工程(2’)に供することができるが、任意的に製造方法1における工程(2)の如きラビング処理を施してもよい。
(2’)前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構成する。
これらの工程は、製造方法1における工程(1)ないし(3)と同様にして行うことができる。ここで使用される液晶分子としては、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。液晶分子の層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。液晶分子の層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。
そして
(3’)前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する。
照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量としては、好ましくは1,000J/m以上100,000J/m未満であり、より好ましくは1,000〜50,000J/mである。従来知られているPSAモードの液晶表示素子の製造においては、100,000J/m程度の光を照射することが必要であったが、本発明の方法においては、光照射量を50,000J/m以下、さらに10,000J/m以下とした場合であっても所望の液晶表示素子を得ることができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資するほか、強い光の照射に起因する電気特性の低下、長期信頼性の低下を回避することができる。
そして、上記のような処理を施した後の液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。この偏光板は、製造方法1におけるのと同様のものを使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。以下において、ポリオルガノシロキサン重合体の重量平均分子量は以下の方法により評価した。
[重量平均分子量]
ポリオルガノシロキサン重合体の重量平均分子量は、以下の装置を用い、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した結果から、標準物質として単分散ポリスチレンを用いてポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:東ソー(株)製、型式「8120−GPC」
カラム:東ソー(株)製、「TSKgelGRCXLII」
溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:5重量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
カラム圧力:68kgf/cm
<ポリオルガノシロキサン(A)の合成(1)>
合成例A−1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シュウ酸13.9gおよびエタノール19.5gを投入し、攪拌してシュウ酸のエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液を窒素雰囲気下、70℃まで加熱した後、ここに原料であるシラン化合物として、テトラエトキシシラン15.1gおよびビニルトリエトキシシラン1.6gからなる混合物を滴下した。滴下終了後、70℃の温度を6時間維持した後に25℃まで冷却し、次いでブチルセロソルブ40.0gを加えることにより、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−1)を含有する溶液を調製した。
この溶液に含有されるポリオルガノシロキサン(A−1)の重量平均分子量Mwは12,000であった。
合成例A−2〜A−10
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したシュウ酸およびエタノールの量をそれぞれ第1表の1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−2)〜(A−10)をそれぞれ含有する溶液を調製した。
合成例A−7およびA−8においては、シラン化合物(a2−3)を、それぞれ2種類ずつ使用した。
各溶液に含有される各ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwを、第1表の1に合わせて示した。
なお、合成例A−9およびA−10は、参考合成例である。
<他のポリオルガノシロキサンの合成(1)>
合成例B−1およびB−2
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したシュウ酸およびエタノールの量をそれぞれ第1表の1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(B−1)および(B−2)をそれぞれ含有する溶液を調製した。
各溶液に含有される各ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwを、第1表の1に合わせて示した。
合成例D−1
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したシュウ酸およびエタノールの量をそれぞれ第1表の1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(D−1)を含有する溶液を調製した。本合成例においては、シラン化合物(a2−3)を2種類使用した。
上記溶液に含有されるポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwを、第1表の1に合わせて示した。
第1表の1におけるシラン化合物の略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
VTES:ビニルトリエトキシシラン
STMS:スチリルトリメトキシシラン
ATES:アリルトリエトキシシラン
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
APTMS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2−1)]
TEOS:テトラエトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
PTES:フェニルトリエトキシシラン
[その他のシラン化合物(シラン化合物(a3−1))]
ODES:オクタデシルトリエトキシシラン
DDES:ドデシルトリエトキシシラン
第1表の1のシラン化合物欄における「−」は、当該欄に該当する原料を使用しなかったことを示す。
<他のポリオルガノシロキサンの合成(2)>
合成例C−1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン99g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500gおよび触媒としてトリエチルアミン10gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、80℃の還流下で撹拌しつつ6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンについて、H−NMR分析を行なったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことを確認した。
次いで200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン、溶媒としてメチルイソブチルケトン30g、カルボン酸として4−オクチロキシ安息香酸30g(上記エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基に対して30モル%に相当する。)および触媒としてUCAT 18X(商品名。サンアプロ(株)製のエポキシ化合物の硬化促進剤である。)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層を3回水洗し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶剤を留去することにより、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(C−1)を得た。このポリオルガノシロキサン(C−1)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7,200であった。
<ポリオルガノシロキサン(A)の合成(2)>
合成例A−11〜A−16
上記合成例C−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したカルボン酸の種類および量を、それぞれ第1表の2に記載の通りとしたほかは上記合成例C−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−11)〜(A−16)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の2に合わせて示した。
合成例A−14〜A−16においては、カルボン酸を、それぞれ2種類ずつ使用した。
第1表の2におけるシラン化合物およびカルボン酸の略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2−1)]
ECETS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
[カルボン酸(1−1)]
OCTBA:4−n−オクチロキシ安息香酸
PCHBA:4−(4−n−ペンチル−シクロヘキシル)安息香酸
SACE:コハク酸−5ξ−コレスタン−3−イル
[カルボン酸(2)]
AQCA:アントラキノン−2−カルボン酸
DAHBBA:2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸
第1表の2のシラン化合物欄およびカルボン酸欄における「−」は、当該欄に該当する原料を使用しなかったことを示す。
<ポリオルガノシロキサン(A)の合成(3)>
合成例A−17
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)124.2gおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)123.2g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄したのち、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンについて、H−NMR分析を行なったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。
次いで200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン、溶媒としてメチルイソブチルケトン30g、カルボン酸として4−n−ペンチル−4’−カルボキシビシクロヘキシル(PBCHCA)42.1g(上記エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基に対して60モル%に相当する。)および触媒としてUCAT 18X(商品名。サンアプロ(株)製のエポキシ化合物の硬化促進剤である。)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層を3回水洗し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶剤を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−17)を得た。このポリオルガノシロキサン(A−17)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは4,500であった。
合成例A−18〜A−23
上記合成例A−17において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したカルボン酸の種類および量を、それぞれ第1表の3に記載の通りとしたほかは上記合成例A−17と同様にして、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−18)〜(A−23)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の3に合わせて示した。
合成例A−22およびA−23においては、カルボン酸を、それぞれ2種類ずつ使用した。
第1表の3におけるシラン化合物およびカルボン酸の略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
APTMS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2−1)]
ECETS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2−2)]
TEOS:テトラエトキシシラン
[カルボン酸(1−1)]
PBCHA:4−n−ペンチル−4’−カルボキシビシクロヘキシル
OCTBA:4−n−オクチロキシ安息香酸
PCHBA:4−(4−n−ペンチル−シクロヘキシル)安息香酸
SACE:コハク酸−5ξ−コレスタン−3−イル
CNPPA:2E−3(4−(((3−シアノフェニル)カルボニル)オキシ)フェニル)プロパ−2−エン酸
[カルボン酸(1−2)]
ACDHA:6−{[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノイル]オキシ}ヘキサン酸
<ポリオルガノシロキサン(A)の合成(4)>
合成例A−24
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シラン化合物として3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(APTMS)67g、溶媒としてメチルイソブチルケトン125gおよびトリエチルアミン2.5gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水25gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄したのち、減圧下で溶媒および水を留去することにより、炭素−炭素二重結合を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
次いで200mLの三口フラスコに、上記で得た炭素−炭素二重結合を有するポリオルガノシロキサン、溶媒としてアセトニトリル40mL、求核性化合物としてチオールである3−メルカプトコレスタン(CHOSH)34.7gおよび触媒としてトリエチルアミンを6.68gを仕込み、50℃に昇温して90分攪拌し、反応を実施した。反応終了後、メチルイソブチルケトン1,000gを加えた後、減圧下で溶媒および触媒を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−24)を得た。このポリオルガノシロキサン(A−24)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは4,100であった。
合成例A−25
上記合成例A−24において、シラン化合物として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(APTMS)67gおよびテトラエトキシシラン(TEOS)14.9gを混合使用したほかは上記合成例A−24と同様にして、ポリオルガノシロキサン(A)であるポリオルガノシロキサン(A−25)を得た。このポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは4,800であった。
<他のポリオルガノシロキサンの合成(4)>
合成例E−1およびE−2
上記合成例A−24において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したチオールの種類および量を、それぞれ第1表の4に記載の通りとしたほかは上記合成例A−24と同様にして、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(E−1)および(E−2)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の4に合わせて示した。
第1表の4におけるシラン化合物およびチオールの略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
APTMS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2−3)]
TEOS:テトラエトキシシラン
[チオール]
CHOSH:3−メルカプトコレスタン
TGA:チオグリコール酸
MPA:3−メルカプトプロピオン酸
実施例1
<液晶配向剤の調製>
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−1で得たポリオルガノシロキサン(A−1)を含有する溶液にブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<VA型液晶表示素子の製造および評価>
[VA型液晶表示素子の製造]
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、80℃にて1分間プレベークした後、窒素に置換したオーブン中で200℃で1時間ポストベークすることにより、膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)作成した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向させて重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、さらに液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分間加熱した後に室温まで徐冷した。
さらに基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより、VA型液晶表示素子を製造した。
[VA型液晶表示素子の評価]
上記で製造したVA型液晶表示素子につき、以下のように評価した。評価結果は第2表に示した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を目視により観察した。
このとき、電圧OFF時に光漏れが観察されず、且つ電圧印加時に駆動領域が白表示、それ以外の領域から光漏れがなかった場合を液晶配向性「良」とし、光漏れが観察された場合を液晶配向性「不良」とした。
(2)耐紫外線性の評価
上記で製造した液晶表示素子に、70℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.67ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から16.67ミリ秒後の電圧保持率を測定した(初期電圧保持率VHRBI)。測定装置は(株)東陽テクニカ製、「VHR−1」を使用した。
上記初期電圧保持率測定後の液晶表示素子に、800W/mの照度のメタルハライドランプにより、10,000J/mの紫外光を照射した後、室温に静置して室温まで自然冷却した。次いで、上記と同様にして再度電圧保持率を測定した(照射後電圧保持率VHRAI)。
このときの電圧保持率の変化率を、下記数式(1)
によって算出し、この値が95%以上であった場合を耐紫外線性「優良」、90%以上95%未満であった場合を耐紫外線性「良」、90%未満であった場合を耐紫外線性「不良」として評価した。
実施例2〜8、11および12ならびに比較例1および2
使用したポリオルガノシロキサン(A)の種類および量を、それぞれ第2表に記載のとおりとしたほかは、上記実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。なお表中の「−」は、当該欄に該当する成分を使用しなかったことを示す。
評価結果は第2表に示した。
なお、実施例11および12は参考例である。
実施例9
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−1で得たポリオルガノシロキサン(A−1)を含有する溶液に、他のポリオルガノシロキサンとして上記合成例C−1で得たポリオルガノシロキサン(C−1)を、上記溶液中のポリオルガノシロキサン(A−1)100重量部に対して5重量部加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例10
使用したポリオルガノシロキサン(A)および他のポリオリガノシロキサンの種類および量を、それぞれ第2表に記載のとおりとしたほかは、上記実施例9と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例13
他のポリオルガノシロキサンとして上記合成例D−1で得たポリオルガノシロキサン(D−1)を含有する溶液に、ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−11で得たポリオルガノシロキサン(A−11)を、上記溶液中のポリオルガノシロキサン(D−1)90重量部に対して10重量部加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例14〜18
使用した他のポリオルガノシロキサンの量およびポリオリガノシロキサン(A)の種類および量を、それぞれ第2表に記載のとおりとしたほかは、上記実施例13と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例19
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−6で得たポリオルガノシロキサン(A−6)を含有する溶液に、その他の添加剤として、重合性不飽和化合物である、後述の式(B−1−1)で表される化合物を、ポリオルガノシロキサン(A−6)の100重量部に対して8重量部加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例20〜23
使用したその他の添加剤の種類および量を、それぞれ第2表に記載のとおりとしたほかは、上記実施例19と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。これらの実施例においては、それぞれ2種類ずつのその他の添加剤を使用した。
評価結果は第2表に示した。
実施例24
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−17で得たポリオルガノシロキサン(A−17)をブチルセロソルブに溶解し、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例25〜32
使用したポリオルガノシロキサンの種類および量を、それぞれ第2表に記載のとおりとしたほかは、上記実施例24と同様にして液晶配向剤を調製し、これを用いて実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例33および34
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−12で得たポリオルガノシロキサン(A−12)を含有する溶液(ポリオルガノシロキサン(A−12)90重量部に相当する量)に、他のポリオルガノシロキサンとして、上記合成例F−1で得たポリオルガノシロキサン(F−1)(実施例33)またはポリオルガノシロキサン(F−2)(実施例34)10重量部加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例35
ポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−12で得たポリオルガノシロキサン(A−12)を含有する溶液(ポリオルガノシロキサン(A−12)100重量部に相当する量)に、その他の添加剤として潜在性硬化剤であるトリス(1−ブトキシエチル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸10重量部を加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表に示した。
第2表における各成分の略称は、それぞれ以下の意味である。
[その他の添加剤]
種別α:重合性不飽和化合物
A−BP−2EO:下記式(M−1−1)で表される化合物
M−211B:下記式(M−1−2)において、nが2〜4である化合物の混合物
MACE:メタクリル酸−5ξ−コレスタン−3−イル
PBCHPM:メタクリル酸 4−(4’−n−ペンチル−ビシクロヘキシル−4−イル)フェニルエステル
種別β:光重合開始剤
K−BMS:KAYACURE BMS(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
種別γ:ラジカル捕捉剤
GA−80:Sumilizer GA−80(住友化学(株)製)
種別δ:潜在性硬化剤
TBEBC:トリス(1−ブトキシエチル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸
実施例36
<液晶セルの製造>
上記実施例2で調製した液晶配向剤を用いて、透明電極のパターン(3種類)および紫外線照射量(3水準)を変更して、計9個の液晶表示素子を製造し、下記のように評価した。
[パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造]
上記実施例2で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極を有するガラス基板の透明電極面上に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。
この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行ない、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
なお上記ラビング処理は、液晶の倒れ込みを制御し、配向分割を簡易な方法で行う目的で行った弱いラビング処理である。
次に、上記一対の基板のうちの1枚につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
上記の操作を繰り返し行い、パターンなし透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述のプレチルト角の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、それぞれ下記の方法により導電膜間に電圧を印加した状態で光照射した後にプレチルト角および電圧保持率の評価に供した。
上記で得た液晶セルのうちの2個について、それぞれ電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外腺照射装置を用いて、紫外線を10,000J/mまたは100,000J/mの照射量にて照射した。なおこの照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
[プレチルト角の評価]
上記で製造した各液晶セルについて、それぞれ非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))および非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠してHe−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した液晶分子の基板面からの傾き角の値をプレチルト角とした。
光未照射の液晶セル、照射量10,000J/mの液晶セルおよび照射量100,000J/mの液晶セルのそれぞれのプレチルト角を第3表に示した。
[パターニングされた透明電極を有する液晶セル(1)の製造]
上記実施例2で調製した液晶配向剤を、図1に示したようなスリット状にパターニングされ、複数の領域に区画されたITO電極をそれぞれ有するガラス基板AおよびBの各電極面上に液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜につき、超純水中で1分間超音波洗浄を行なった後、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで、上記一対の基板のうちの1枚の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
上記の操作を繰り返し行い、パターニングされた透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述の応答速度の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、上記パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造におけるのと同様の方法により、導電膜間に電圧を印加した状態で10,000J/mまたは100,000J/mの照射量にて光照射した後に応答速度の評価に供した。
なお、ここで用いた電極のパターンは、PSAモードにおける電極パターンと同種のパターンである。
[応答速度の評価]
上記で製造した各液晶セルをクロスニコル状態に配置した2枚の偏光板で挟持したうえで、先ず電圧を印加せずに可視光ランプを照射して液晶セルを透過した光の輝度をフォトマルチメーターにて測定し、この値を相対透過率0%とした。次に液晶セルの電極間に交流60Vを5秒間印加したときの透過率を上記と同様にして測定し、この値を相対透過率100%とした。
このとき各液晶セルに対して交流60Vを印加したときに、相対透過率が10%から90%に移行するまでの時間を測定し、この時間を応答速度と定義して評価した。
光未照射の液晶セル、照射量10,000J/mの液晶セルおよび照射量100,000J/mの液晶セルのそれぞれの応答速度を第3表に示した。
[パターニングされた透明電極を有する液晶セル(2)の製造]
上記実施例2で調製した液晶配向剤を用い、図2に示したようなフィッシュボーン状にパターニングされたITO電極をそれぞれ有するガラス基板AおよびBを使用したほかは、上記パターニングされた透明電極を有する液晶セル(1)の製造と同様にして、光未照射の液晶セル、照射量10,000J/mの液晶セルおよび照射量100,000J/mの液晶セルを製造し、それぞれ上記と同様にして応答速度の評価に供した。評価結果は第3表に示した。
実施例37〜67および比較例3〜5
液晶配向剤として、第3表で示した実施例または比較例で調製した液晶配向剤をそれぞれ用いたほかは、上記実施例23と同様にして、各計9個の液晶表示素子を製造し、評価した。
評価結果は第3表に示した。
以下の実施例68〜85ならびに比較例6および7では、本発明の液晶配向剤が極めて良好な垂直配向規制力を有することを確認するための実験を行った。垂直配向性の過酷試験として、本来は水平配向する傾向のあるTN型液晶を使用し、形成した液晶配向膜の垂直配向性を評価した。
実施例68
液晶配向剤として上記実施例11で調製した液晶配向剤を用い、液晶としてメルク社製のTN型液晶「ZLI−5081」を使用したほかは、上記実施例1の[VA型液晶表示素子の製造]と同様にしてVA型液晶表示素子を製造し、「(1)液晶配向性の評価」と同じ評価を行った。
その結果、上記の液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したとき、電圧OFF時に光漏れが観察されず、且つ電圧印加時に駆動領域が白表示、それ以外の領域から光漏れがなく、液晶配向性は「良」であった。
実施例69〜85ならびに比較例6および7
液晶配向剤として、第4表で示した実施例または参考例で調製した液晶配向剤をそれぞれ用いたほかは、上記実施例68と同様にして、VA型液晶表示素子を製造し、液晶配向性の評価を行った。
評価結果は第4表に示した。
上記の第4表から理解されるように、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、液晶としてTN型液晶を使用した場合であっても優れた垂直配向規制力を示す。このような結果を示す液晶配向膜は、液晶充填工程において液晶滴下方式(ODF方式)を採用した場合であってもODFムラが発生しないことが、経験的に明らかになっている。
1:ITO電極
2:スリット部
3:遮光膜

Claims (3)

  1. 導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、下記式(1)で表される化合物および下記式(2)で表される化合物を含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンを除く、重合性炭素−炭素二重結合を含む基を有するポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、
    Si(OR (1)
    Si(OR (2)
    (式(1)中、Rはフッ素原子で置換されていてもよい、炭素原子数8〜30の炭化水素基であり、RBは炭素原子数1〜5のアルキル基であり;
    式(2)中、Rはアクリル基またはメタクリル基で置換されたアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
    前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを形成し、
    前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程を経ることを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
  2. 上記ポリオルガノシロキサンが、下記式(a1)
    (式(a1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、R は炭素数1〜12のアルキル基であり、X およびX II は、それぞれ、1,4−フェニレン基、メチレン基または炭素数2〜8のアルキレン基であり、
    Zは酸素原子、−COO− または−OCO− (ただし、「*」を付した結合手がX II 側である。)であり、
    a、b、cおよびdは、それぞれ、0または1であり、eは1〜3の整数であり、
    ただし、cが0であってdが1であるとき、X II は1,4−フェニレン基であり、
    bが0であるとき、dは0である。)
    で表わされる化合物と
    下記式(a2−2)
    (R(RSi(OR4−h−i (a2−2)
    (式(a2−2)中、Rはエポキシ基を有する1価の基であり、
    は炭素数1〜3のアルキル基であり、
    は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、hは1〜3の整数であり、iは0〜2の整数であり、ただし、h+i≦3である。)
    で表される化合物とを含むシラン化合物を重縮合した後に、さらに
    カルボン酸、ただしこのカルボン酸は下記式(D’)
    (式(D’)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のフルオロアルキル基、シアノ基もしくはフッ素原子であるか、またはステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基であり;
    は単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がR側である。)であり、
    IIはシクロへキシレン基またはフェニレン基であり、ただしこのシクロへキシレン基またはフェニレン基はシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基または炭素数1〜3のアルキル基によって置換されていてもよく、
    n1は1または2であり、
    ただしn1が2であるとき、2個のRIIは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    n2は0または1であり;
    IIは単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がR側である。)であり、
    n3は0〜2の整数であり、
    n4は0または1である。)
    で表される基を有し且つカプロン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、n−ヘキサデカン酸、ステアリン酸、4−n−ヘキシル安息香酸、4−n−オクチル安息香酸、4−n−デシル安息香酸、4−n−ドデシル安息香酸、4−n−ヘキサデシル安息香酸、4−ステアリル安息香酸、4−n−ヘキシロキシ安息香酸、4−n−オクチロキシ安息香酸、4−n−デシロキシ安息香酸、4−n−ドデシロキシ安息香酸、4−n−ヘキサデシロキシ安息香酸、4−ステアリロキシ安息香酸、コレスタニルオキシ安息香酸、コレステニルオキシ安息香酸、ラノスタニルオキシ安息香酸、コレスタニルオキシカルボニル安息香酸、コレステニルオキシカルボニル安息香酸およびラノスタニルオキシカルボニル安息香酸よりなる群から選ばれるカルボン酸を含む、と反応させる工程を経て得られたものである、請求項に記載の液晶表示素子の製造方法
  3. 上記ポリオルガノシロキサンが、上記式(a1)で表わされる化合物と上記式(a2−2)で表わされる化合物とを含むシラン化合物を重縮合した後に、さらに
    アミンおよびチオールよりなる群から選択される少なくとも1種の求核性化合物、ただしこの求核性化合物は上記式(D’)で表される基を有する求核性化合物を含む、と
    を反応させる工程を経て得られたものである、請求項に記載の液晶表示素子の製造方法
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