JP2013208388A - 切断装置、および切断装置のクリーニング装置 - Google Patents

切断装置、および切断装置のクリーニング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】切刃の切断能力を低下させることなく、光触媒膜に由来する良好な有機物分解作用や抗菌作用を発揮する切断装置を提供する。
【解決手段】切刃11に設けられた小刃31を、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有するものとし、小刃31の少なくとも掬い面52の表面に光触媒膜75を形成する。掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54から離れるに従って、徐々に厚くなるものとする。これにて、光触媒膜75が刃先54に付着することに起因して、切刃11の切断能力が低下することを防ぐことができる。以上より、切刃11の切断能力(切れ味)を損なうことなく、光触媒膜75の良好な有機物分解作用や抗菌作用を備えた切断装置を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、切刃を備える切断装置、および切断装置のクリーニング装置に関する。本発明の切断装置は、電気かみそりやバリカンを含む概念であり、その切刃の表面には光触媒膜が設けられている。
本発明のように、切刃の表面に光触媒膜を設けることは特許文献1〜3に公知であり、例えば、特許文献1では、毛屑室の内部に紫外線照射灯を備えている電気かみそりにおいて、外刃の表面と、内刃の表面と、毛屑室の内周面の少なくとも一つに光触媒膜を設けて、光触媒膜の有機物分解作用や抗菌作用によって、毛屑室の内部を衛生的な状態に保持している。
特開2004−105327号公報(請求項7) 特開平11−216276号公報(段落番号0038−0042) 特開2000−94564号公報(段落番号0044−0046)
この種の電気かみそりといった切断装置には、本質的にひげ等を切断するための良好な切断能力が求められ、かかる能力は内刃や外刃の刃先の切断能力に大きく左右される。しかしながら、刃先を覆うように光触媒膜が形成された場合には、刃先の切断能力が大幅に低下することが避けられない。このため、切断能力を損なうことなく、良好な光触媒膜の有機物分解作用や抗菌作用を得るためには、特許文献1等のように、単に切刃に光触媒膜を形成することでは足りず、より厳密に光触媒膜の形成箇所を規定する必要がある。
本発明の目的は、切刃の切断能力を低下させることなく、光触媒膜に由来する良好な有機物分解作用や抗菌作用を発揮する切断装置を提供することにある。本発明の他の目的は、より効率的に光触媒膜に由来する有機物分解作用や抗菌作用を発揮させることができ、洗浄機能に優れるクリーニング装置を提供することにある。
本発明は、切刃11を備える切断装置を対象とする。切刃11に設けられた小刃31は、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有する。小刃31の少なくとも掬い面52の表面に光触媒膜75が形成されている。そして、掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法が、刃先54から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてあることを特徴とする。
掬い面52が、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹みの湾曲状に形成されている形態を採ることができる。
光触媒膜75の表面曲率(R2)が、掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さく設定されている形態を採ることができる。
小刃31は、刃先54を備える外面50と、掬い面52を挟んで外面50と対峙する内面51とを備えており、少なくとも掬い面52の表面に加えて、内面51の表面に光触媒膜75が形成されている形態を採ることができる。
内面51に形成された光触媒膜75の厚み寸法(D3)が、掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法(D1)よりも大きく設定されている形態を採ることができる。
掬い面52と反対側の小刃31の側面には、抉り面53が内凹み状に形成されており、抉り面53の表面にも光触媒膜75が形成されており、抉り面53に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D2)が、掬い面52に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D1)よりも大きく設定されている形態を採ることができる。
掬い面52の表面に形成された光触媒膜75が内凹み状に形成されており、抉り面53の表面に形成された光触媒膜75が外凸状に形成されている形態を採ることができる。
掬い面52の表面には、エッチングにより微小凹凸部82が形成されており、微小凹凸部82に食込むように、掬い面52の表面に光触媒膜75が形成されている形態を採ることができる。なお、かかる微小凹凸部82はμmオーダーの凹凸であって、小刃31を形成する際のエッチング処理、或いは光触媒膜75の形成に先立つ酸性溶液による化学的処理によって形成される。
刃先54を備える小刃31の外面50には凹部81aが形成されており、凹部81aに食込むように、外面50の表面に光触媒膜75が形成されている形態を採ることができる。
凹部81aは、ハーフエッチングにより形成することができる。
切刃11および凹部81aは、電鋳法により形成することができる。
内面51には凹部81bが形成されており、この凹部81bに食い込むように、内面51の表面に光触媒膜75が形成されている形態を採ることができる。この凹部81bは、ハーフエッチングにより形成することができる。
切刃11を備える切断装置であって、切刃11に設けられた小刃31は、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有し、小刃31が、少なくとも掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち、刃先54に向けて風を送給することにより、厚み寸法が刃先54から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜75を掬い面52に形成してなるものとすることができる。
切刃11を備える切断装置であって、切刃11に設けられた小刃31は、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有し、小刃31が、少なくとも掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒71を除去し、さらに刃先54に向けて風を送給することにより、厚み寸法が刃先54から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜75を掬い面52に形成してなるものとすることができる。
切刃11を備える切断装置であって、切刃11に設けられた小刃31は、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して切刃の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有し、小刃31が、少なくとも掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒71を除去することにより、厚み寸法が刃先54から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜75を掬い面52に形成してなるものとすることができる。
本発明は、網目状の固定外刃10と、固定外刃10と協同して切断動作を行う内刃11とを備える切断装置であって、内刃11に設けられた小刃31は、その外面50の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有し、固定外刃10に設けられた小刃140は、刃先144と、刃先144に連続して側面に内凹み状に形成された掬い面143を有し、両小刃31・140の少なくとも掬い面52・143の表面に光触媒膜75・75が形成されており、両掬い面52・143に形成された光触媒膜75の厚み寸法が、刃先54・144から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてあることを特徴とする。
内刃11の小刃31の掬い面52が、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹みの湾曲状に形成されており、しかも固定外刃10の小刃140の掬い面143が、刃先144に連続して小刃140の側面に内凹みの湾曲状に形成されている形態を採ることができる。
内刃11の小刃31に形成された光触媒膜75の表面曲率(R2)が、掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さく設定されており、しかも固定外刃10の小刃140に形成された光触媒膜75の表面曲率(R6)が、掬い面143の表面曲率(R5)よりも小さく設定されている形態を採ることができる。
ヘッド部2に切刃11を備える切断装置に対して、クリーニング処理を実行するためのクリーニング装置を対象とする。このクリーニング装置は、水洗い洗浄されたヘッド部2に対して乾燥処理を行う乾燥手段165と、ヘッド部2に対して紫外線を照射する紫外線照射手段166とを有する。切刃11に設けられた小刃31は、その内外面の突端に設けられた刃先54と、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹み状に形成された掬い面52とを有し、小刃31の少なくとも掬い面52の表面には光触媒膜75が形成されており、掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法が、刃先54から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてある。そして、紫外線照射手段166が、ヘッド部2に対する水洗い洗浄後の乾燥手段165による乾燥処理中に、ヘッド部2に対して紫外線光を照射するように構成する。
乾燥手段165が、ヘッド部2を加熱するヒーター171を備えるものとする。そして、ヒーター171と紫外線照射手段166とを、切断装置のヘッド部2に対向配置する。
本発明においては、切刃11の小刃31の掬い面51の表面に光触媒膜75を形成したので、光触媒膜75の有機物分解作用や抗菌作用により、切断装置の内部を衛生的な状態に保持することができる。加えて、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚みが大きいものとなるとしたので、光触媒膜75が刃先54に付着することに起因して、切刃11の切断能力が低下することを防ぐことができる。以上より、切刃11の切断能力(切れ味)を損なうことなく、光触媒膜75の良好な有機物分解作用や抗菌作用を備えた切断装置を得ることができる。
掬い面52を、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹みの湾曲状に形成すると、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくして、掬い面52から光触媒膜75が脱落することを確実に防ぐことができる。
光触媒膜75の表面曲率(R2)を掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さく設定すると、光触媒膜75の内凹み寸法を小さくすることができる。これにて、光触媒膜75の内凹み部分に毛屑等の汚れが溜まることを効果的に防ぐことができる。
掬い面52の表面に加えて、内面51の表面に光触媒膜75が形成されていると、小刃31の洗浄し難い内面51の部分を光触媒膜75で被覆することができるので、切断装置の内部をより衛生的な状態に保持することができる。
特に、内面51の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法(D3)を、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D1)よりも大きくしていると、内面51側の光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。
掬い面52の表面に形成された光触媒膜75が内凹み状に形成されていると、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくして、掬い面52から光触媒膜75が脱落することを確実に防ぐことができる。加えて、抉り面53の表面に形成された光触媒膜75が外凸状に形成されていると、抉り面53側の光触媒膜75の最大厚み寸法を大きく採ることができるため、より長期に亘って、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を得ることができる。
掬い面52の表面には、エッチングにより微小凹凸部82が形成されており、微小凹凸部82に食込むように、掬い面52の表面に光触媒膜75が形成されていると、掬い面52の表面積を大きくして、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくすることができるので、掬い面52からの光触媒膜75の脱落を効果的に防ぐことができる。これにて、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。ここでいう「エッチング」とは、小刃31を形成するためのエッチング処理のほか、光触媒膜75の形成工程に先立って行われる化学的処理をも含む概念である。尤も、これら小刃31を形成するためのエッチング処理、或いは化学的処理とは別工程のエッチング処理により、微小凹凸部82を形成するようにしてもよい。
刃先54を備える小刃31の外面50に凹部81aを形成し、この凹部81aに食込むように、外面50の表面に光触媒膜75を形成すると、外面50の表面積を大きくして、光触媒膜75と外面50との接触面積を大きくすることができるので、外面50からの光触媒膜75の脱落を効果的に防ぐことができる。これにて、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。外面50の凹部81aは、ハーフエッチングにより、或いは切刃11とともに電鋳法で形成することが好ましく、これにて、外面50に凹部81aを備える切刃11をより低コストに得ることができる。
同様に、内面51に凹部81bを形成し、この凹部81bに食込むように、内面51の表面に光触媒膜75を形成すると、内面51の表面積を大きくして、光触媒膜75と内面51との接触面積を大きくすることができるので、内面50からの光触媒膜75の脱落を効果的に防ぐことができる。これにて、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。凹部81bは、ハーフエッチングで形成することが好ましく、これにて、内面51に凹部81bを備える切刃11をより低コストに得ることができる。
以上のような、厚み寸法が刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるような形態を有する光触媒膜75は、掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち刃先54に向けて風を送給すること、掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒71を除去し、さらに刃先54に向けて風を送給すること、或いは、掬い面52側に液状の光触媒71を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒71を除去することで形成できる。また、上記いずれかの製法を採ることで、より低コストに所定形状の光触媒層75を得ることができる。
また、本発明においては、内刃11の小刃31の掬い面52の表面に光触媒膜75を形成するとともに、固定外刃10の小刃140の掬い面143の表面に光触媒膜75を形成したので、光触媒膜75の有機物分解作用や抗菌作用により、切断装置の内部を衛生的な状態に保持することができる。加えて、掬い面52・143の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法を、刃先54・144側が薄く、刃先54・144から離れるに従って徐々に厚みが大きいものとなるとしたので、光触媒膜75が刃先54・144に付着することに起因して、固定外刃10および内刃11の切断能力が低下することを防ぐことができる。以上より、固定外刃10および内刃11の切断能力(切れ味)を損なうことなく、光触媒膜75の良好な有機物分解作用や抗菌作用を備えた切断装置を得ることができる。
内刃11の小刃31の掬い面52を、刃先54に連続して小刃31の側面に内凹みの湾曲状に形成すると、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくして、掬い面52から光触媒膜75が脱落することを確実に防ぐことができる。同様に、固定外刃10の小刃140の掬い面143を、刃先144に連続して小刃140の側面に内凹みの湾曲状に形成すると、光触媒膜75と掬い面143との接触面積を大きくして、掬い面143から光触媒膜75が脱落することを確実に防ぐことができる。
内刃11における光触媒膜75の表面曲率(R2)を、掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さく設定すると、光触媒膜75の内凹み寸法を小さくすることができるので、内刃11における光触媒膜75の内凹み部分に毛屑等の汚れが溜まることを効果的に防ぐことができる。同様に、固定外刃10における光触媒膜75の表面曲率(R6)を、掬い面143の表面曲率(R5)よりも小さく設定すると、光触媒膜75の内凹み寸法を小さくすることができるので、固定外刃10における光触媒膜75の内凹み部分に毛屑等の汚れが溜まることを効果的に防ぐことができる。
ヘッド部2に切刃11を備える切断装置に対してクリーニング処理を実行するためのクリーニング装置においては、乾燥手段165による乾燥処理を実行しながら、光触媒71に対する紫外線光の照射を行って、光触媒層75を構成する光触媒71を励起する形態を採ることができる。これによれば、乾燥処理前に紫外線光の照射を行う形態に比べて、より良好に光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を得ることができるので、より洗浄機能に優れたクリーニング装置を得ることができる。
乾燥手段165が、ヘッド部2を加熱するヒーター171を備えるものとし、ヒーター171と紫外線照射手段166とが、切断装置のヘッド部2に対向配置されている形態を採ることができる。これによれば、ヘッド部2により近い位置から加熱、および紫外線光の照射を行うことができるので、より効率的にヘッド部2に対する加熱乾燥処理を実行できる。また、より効率的に紫外線光をヘッド部2に照射することができるので、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用の向上が期待できる。
本発明に係る切断装置を電気かみそりに適用した第1実施例における、内刃(切刃)の小刃の縦断側面図である。 第1実施例に係る電気かみそりの正面図である。 図2のA−A線断面図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を示す縦断側面図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を示す平面図である。 (a)、(b)は、第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(c)は、第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、かしめ突起の形成例を示す図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、ディスクと軸本体に対する圧嵌形態を示す断面図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 第1実施例に係る内刃の正面図である。 第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(d)は、第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する下地層の形成手順を説明するための図である。 (a)〜(d)は、第1実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する光触媒層の形成手順を説明するための図である。 第2実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 第3実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 第4実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 第5実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 (a)〜(c)は、第5実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第6実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第7実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 第8実施例に係る電気かみそりの要部の縦断側面図である。 第9実施例に係る電気かみそりの内刃の縦断側面図である。 第10実施例に係る電気かみそりにおける内刃(切刃)の小刃の縦断側面図である。 第10実施例に係る電気かみそりの要部の正面図である。 図25のB−B線断面図である。 内刃の正面図である。 第10実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 第10実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 第10実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図である。 (a)〜(d)は、第10実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する下地層の形成手順を説明するための図である。 (a)〜(c)は、第10実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する光触媒層の形成手順を説明するための図である。 第11実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第12実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第13実施例に係る電気かみそりの要部の正面図である。 第13実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第13実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 第13実施例に係る電気かみそりの内刃の製造方法を示す図である。 (a)〜(d)は、第13実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する下地層の形成手順を説明するための図である。 (a)〜(c)は、第13実施例に係る内刃の製造方法を説明するための図であり、内刃に対する光触媒層の形成手順を説明するための図である。 第14実施例に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。 第14実施例に係る電気かみそりの外刃の製造方法を示す図である。 第14実施例に係る電気かみそりの外刃の製造方法を示す図である。 (a)〜(d)は、第14実施例に係る外刃の製造方法を説明するための図であり、外刃に対する下地層の形成手順を説明するための図である。 (a)〜(d)は、第14実施例に係る外刃の製造方法を説明するための図であり、外刃に対する光触媒層の形成手順を説明するための図である。 本発明の第15実施例に係るクリーニング装置の概略構成図である。 本発明の第16実施例に係る電気かみそりの要部の正面図である。 本発明に係る切断装置をバリカンに適用した第17実施例における、要部の縦断正面図である。 本発明の第17実施例に係るバリカンの要部の正面図である。 本発明の第17実施例に係るバリカンの可動刃の正面図である。
(第1実施例)
図1ないし図14は、本発明に係る切断装置を、ロータリー式の電気かみそりに適用した第1実施例を示す。図2に示すように、電気かみそりは、本体部1と、本体部1で支持されるヘッド部2と、本体部1に装着される外枠3と、本体部1の後面側に配置される図外のきわ剃りユニットなどで構成する。外枠3は電気かみそりの装飾性を向上するために設けられており、本体部1と協同してグリップを構成する。外枠3の一側上部には、モーター4への通電状態をオン・オフ操作するためのスイッチボタン5が設けられている。本体部1の内部には、モーター4のほかに、二次電池6、回路基板7などが組み付けられている。回路基板7には、先のスイッチボタン5で切り換えられるスイッチのほか、表示灯8用のLED、制御回路、電源回路などが実装されている。
ヘッド部2には、外刃10と内刃(切刃)11とからなるメイン刃が設けられおり、さらに内刃11を回転駆動するモーター4と、モーター4の回転動力を回転刃である内刃11に伝動するための駆動構造などが設けられている。モーター4はヘッドフレーム14の下面に固定されており、本体部1の上部内面に収容されている。駆動構造は一群のギヤトレイン9で構成されており、モーター4の縦軸周りの回転動力を横軸周りの回転動力に変換して内刃11に伝動する。内刃11は図3に示す矢印の向き(反時計回転方向)に回転駆動される。外刃10は、エッチング法或いは電鋳法で形成されるシート状の網刃からなり、その前後縁が外刃ホルダー12で支持されて、逆U字状に保形されている。図3には、電鋳法で形成された外刃10を示しており、符号13は外刃10の刃先である。ヘッド部2は、本体部1で上下に移動可能に支持されており、両者1・2の間は防水パッキンでシールされている。
外刃ホルダー12は、ヘッドフレーム14に対して着脱自在に装着されて、図外のロック構造で分離不能にロック保持されている。ヘッドフレーム14に設けた左右一対のロック解除ボタン15・15を同時に押し込み操作すると、ロック構造がロック解除されて、外刃ホルダー12をヘッドフレーム14から取り外して、内刃11を露出させることができる。この状態で、ヘッドフレーム14の上面や、内刃11に付着した毛屑を水洗い清浄することができる。
図3、図10および図11に示すように、内刃11は、回転軸体20と、回転軸体20に固定される切断刃21とで構成される。図7に示すように、回転軸体20は、軸本体22と、軸本体22に圧嵌固定される5個のディスク23とで構成される。軸本体22は、マルテンサイト系のステンレス鋼材に旋削加工を施して丸軸状に形成してあり、ディスク23は、オーステナイト系のステンレス鋼材に旋削加工を施して円盤状に形成してある。
ディスク23を軸本体22に圧嵌固定(かしめ固定)するために、軸本体22の周囲に、各ディスク23の固定位置に対応して複数のかしめ突起24を形成する。かしめ突起24は、軸本体22の周囲にステーキング加工を施して形成してあり、この実施例では各ディスク23の固定位置ごとに、周方向の四箇所にリブ状のかしめ突起24を形成した(図8(c)参照)。図9に示すように、かしめ突起24は、軸本体22の中心軸方向の5箇所に断続する状態で形成してあり、かしめ突起24の中心軸方向の長さは、ディスク23の厚み寸法の2.5倍とした。ステーキング加工の詳細については後述する。
円盤状のディスク23の中央には、軸本体22に挿通される装填穴25が形成されており、装填穴25の内面には、かしめ突起24に対応する逃げ溝が形成されている。ディスク23の周面は、円形の刃受面26が形成されており、この刃受面26の周面に切断刃21が溶接される。
切断刃21は、マルテンサイト系のステンレス板材にエッチング加工を施し、さらにロール加工(塑性加工)を施して円筒状に形成するが、加工の詳細については後述する。図5に示すように、エッチング加工を施したシート状ブランク27には、第1小刃(小刃)31aの一群と、第2小刃(小刃)31bの一群と、両小刃31a・31bで囲まれる菱形の刃穴33の一群と、これらの周囲を囲む周枠34とが形成される。両小刃31(31a・31b)の一群は、それぞれ回転軸体20の中心軸に対して互いに逆向きに傾斜する状態で形成されており、これにより展開状態のシート状ブランク27の全体はエキスパンドメタル状の外観を呈している。
上記のように、シート状ブランク27をエキスパンドメタル状に構成すると、スパイラル刃を切断要素とする従来の回転刃に比べて、切刃の合計長さを増加でき、しかも傾斜方向が異なる両小刃31(31a・31b)により、切断対象を交互に切断できる。さらに、刃穴33の開口面積が格段に大きくなるので、スパイラル刃を切断要素とする内刃と同様に、切断対象を効果的に刃穴33に導入して能率よく切断できる。
次に内刃11の製造方法の詳細を説明する。回転刃である内刃11の製造工程は、回転軸体20を形成する工程と、切断刃21を形成して回転軸体20に固定する工程と、切断刃21に光触媒膜75を形成する工程に大別できる。回転軸体20を形成する工程は、軸本体22の周囲にかしめ突起24を形成する工程と、ディスク23に装填穴25を形成する工程と、ディスク23を軸本体22に挿通して圧嵌姿勢に保持する工程と、ディスク23と軸本体22を相対移動させてかしめ突起24を圧嵌する工程とからなる。
切断刃21を形成する工程は、図4に示すように、ステンレス板材にエッチングを施して、シート状ブランク27を形成する工程と、図6に示すようにシート状ブランク27にロール加工(塑性加工)を施して円筒状の切断刃ブランク28を形成する工程とからなる。こののち、切断刃ブランク28を回転軸体20に溶接する工程を経て回転刃ブランク29を構成し、回転刃ブランク29に焼き入れ処理と研削処理を施して、回転刃である内刃11を完成する。切断刃ブランク28は、ステンレス板材に打抜き加工を施して形成してあってもよい。
(装填穴を形成する工程)
この工程では、ステンレス製の丸軸に切削加工を施して所定の直径値の旋削ブランクを形成し、得られた旋削ブランクの中央に旋削加工あるいはドリル加工を施して装填穴25を形成する。得られた長尺のブランクを突っ切りバイトで所定の幅に切断してディスク23を形成する。ディスク23は、ステンレス板材に打抜き加工を施して形成することができ、あるいはステンレス板材にエッチングを施して形成することもできる。
(かしめ突起を形成する工程)
図8に示すように、かしめ突起24を形成する工程では、定置されたステーキング加工用の固定型35と、固定型35に向かって下降し、あるいは上昇するステーキング加工用の可動型36とで、軸本体22の周面に中心軸方向の長いリブ状のかしめ突起24を形成する。図8(b)に示すように、固定型35および可動型36の対向面の前後には、それぞれ鋭角の切刃37・37が形成されている。固定型35の切刃37で、ディスク23が仮組みされた軸本体22を支持し、固定型35の側端に設けた位置決め枠38で軸本体22を位置決めした状態で、可動型36を軸本体22の周面に食込ませることにより、図8(c)に示すように、軸本体22の周方向の四箇所に逆V字状に突出するリブ状のかしめ突起24を形成できる。かしめ突起24は、各ディスク23の固定位置ごとに、軸本体22の中心軸方向に沿って一定間隔おきに断続的に形成するが、各ディスク23の固定位置における個々のかしめ突起24の位相位置は一定位置に揃えてある。かしめ突起24を形成するのと同時に、切刃37の食込み跡39が形成される。
(かしめ突起を圧嵌する工程)
この工程では、図9に示すように、軸本体22に仮組みした状態のディスク23を治具40の支持壁41で支持する。この状態で、軸本体22を中心軸に沿って下向きに押し込んで、その下端面を治具40の下端のストッパー42に外接させることにより、かしめ突起24と装填穴25を互いに圧嵌する。これにて、装填穴25が通過した部分のかしめ突起24の突端側の部分が装填穴25によって削り取られ、あるいは逆に装填穴25の一部が、残ったかしめ突起24の基部側の圧潰面で削り取られて両者24・25が互いに密着するため、ディスク23を軸本体22に圧嵌固定することができる。
(切断刃を形成する工程)
この工程では、図4および図5に示すようにステンレス板材46にエッチングを施して、切断刃21のシート状ブランク27を形成する。具体的には、厚みが0.3mmのステンレス板材46の表裏両面にエッチング処理を施して、小刃31(31a・31b)などを形成する。エッチング工程においては、図4に示すようにステンレス板材46の表裏両面にレジスト膜47を形成したのち露光し、露光部を除去して、非露光部に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻する。このとき、多数個のシート状ブランク27を同時に形成して、その辺部に設けられた橋絡部48を切断して、ステンレス板材46からシート状ブランク27を分離する。
エッチング処理を施すことにより、図4に示すような断面形状の小刃31が形成される。小刃31は、外面の切断面50と、内面のベース面51と、これら両者50・51の端縁間に係る側面に内凹み状に形成される掬い面52と抉り面53とで4つの隅部を備えた異形断面状に形成される。矢印で示す切断面50の回転方向側の突端(端縁)に刃先54が形成されており、刃先54に連続して内刃11の側面に掬い面52が形成される。また、刃先54の反対側の端縁には、逃げ縁55が形成され、この逃げ縁55に連続して内刃11の側面に抉り面53が形成される。掬い面52および抉り面53は、切断面50の端縁からベース面51の端縁に至る、一つの凹曲面で形成される。エッチング液としては、塩化第二鉄を使用することができる。なお、かかるエッチング処理により、レジスト膜47で覆われていない掬い面52、および抉り面53の表面には微小凹凸が形成される。
(切断刃ブランクを形成する工程)
この工程では、図6(a)、(b)に示すように、シート状ブランク27にロール加工(塑性加工)を施して、円筒状の切断刃ブランク28を形成する。ロール加工は、下側に配置した2個のベースローラ56・56と、両ベースローラ56・56の間の上方に配置される加圧ローラ57とで行い、両ローラ56・57の間にシート状ブランク27を通すことにより、円筒状の切断刃ブランク28を形成する。切断刃ブランク28は、スリット58を有する不完全円筒状に湾曲されている。
(切断刃ブランクを溶接する工程)
この工程では、回転軸体20のディスク23の周面に切断刃21の切断刃ブランク28を溶接する。詳しくは、円筒状の切断刃ブランク28をディスク23に外嵌し、断面が半円状の治具で切断刃ブランク28を抱持してディスク23の刃受面26に密着させる。この状態で、切断刃ブランク28をレーザー溶接機でディスク23に溶接することにより、図11に示すような円筒籠状の回転刃ブランク29が得られる。
(熱処理工程)
熱処理工程においては、回転刃ブランク29を約1000℃にまで加熱し、その状態を所定時間維持したのち、水および加熱された油で順に冷却して焼入れを行う。これにより、切断刃21および軸本体22の金属組織をマルテンサイト化してその表面硬度を増強できる。回転刃ブランク29を加熱することで、レーザー溶接時に溶接部の周辺部で生じた熱による内部歪みを除去できる。必要に応じて焼き戻しを行う。
(研磨工程)
研磨工程では、回転刃ブランク29の周面に粗研削加工と仕上げ研削加工とを順に施して、切断刃21の周面の真円度を向上し、さらに刃先54をシャープに仕上げる。粗研削加工では、溶接部の膨出表面を除去し、同時に切断刃21の表面を研削する。また、仕上げ研削加工では、切断刃21の周面の表面粗さが小さくなるように仕上げ研削を行って、回転刃である内刃11の外周面の直径寸法と、真円度と、表面粗さとを所定の状態に仕上げる。粗研削加工では、腐食しやすい溶接部の膨出表面を除去するので、溶接部の腐食や割れなどを一掃して切断刃21の耐久性を向上できる。かかる研磨工程は、図12に示すように、切断刃21の表面に研磨ローラ59を押し当てた状態で、研磨ローラ59および回転刃ブランク29を同方向に回転させることで行うことができる。尤も、切断刃21に対して電解研磨を行うことで研磨加工を行っても良い。なお、内刃11の真円度に対する要求仕様が低い場合には、研削加工は省略することができる。
(光触媒の形成工程)
光触媒膜の形成工程は、図13(a)〜(d)に示すような下地層60の形成工程と、図14(a)〜(d)に示すような光触媒層61の形成工程とに大別できる。下地層60の形成工程では、まず、回転刃ブランク29を無機酸を主成分とした酸性溶液(化学研磨液)に所定時間浸漬させる化学的処理(エッチング処理)を行う。かかる化学的処理により、小刃31の切断面50、ベース面51、掬い面52、および抉り面53の各面の表面に不動態皮膜が形成されるとともに、その表面にμmオーダーの微小凹凸が形成される。かかる微小凹凸82は、光触媒膜75の形成に先立つ酸性溶液による化学的処理によって形成される。このように不動態皮膜が形成されると、各面が腐食されることを効果的に防ぐことができる。また、微小凹凸が形成されることにより、光触媒膜75の密着性が高まり、光触媒膜75の不用意な脱落を防止できる。加えて、かかる化学的処理においては、回転軸体21の表面にも微小凹凸が形成される。したがって、小刃31と同様に回転軸体21の表面における光触媒膜75の密着性が高まり、光触媒膜75の不用意な脱落を防止できる。化学研磨液の具体例としては、切断刃21のシート状ブランク27を形成する際に用いた塩化第二鉄(エッチング液)のほか、公知のバリ取り剤を挙げることができる。また、化学的処理は、酸性溶液に浸漬させる以外に、回転刃ブランク29に酸性溶液を噴霧装置等で吹き付けることにより実施することができる。
次に、図13(a)に示すように、下地層60を構成するバインダー樹脂62が充填されたバインダー槽63内に回転刃ブランク29を所定時間浸漬させて、回転刃ブランク29の表面全体にバインダー樹脂62を付着させる。これにて、切断面50、ベース面51、掬い面52、および抉り面53とで構成される小刃31の表面に、略均一の厚さ寸法にバインダー樹脂62を付着することができる。
次に、図13(b)に示すように、刃先54に付着している余分なバインダー樹脂62の除去処理、およびバインダー樹脂62で構成される下地層60の薄層化処理を行う。ここでは、まず、回転刃ブランク29を軸本体22を中心に所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力により小刃31の外面側にバインダー樹脂62を移動させるとともに、余分なバインダー樹脂62を除去する。次に、切断刃21の最上部に位置する刃先54に対峙するように、送風機の吹出口65を配置したうえで、内刃11の回転方向と同方向(反時計方向)に、回転刃ブランク29を軸本体22を中心に回転させながら、吹出口65からバインダー樹脂の除去空気66を送給する(約3秒)。扁平なノズル口を有する吹出口65は、切断刃21の最上部から延出される接線上に位置しており、且つ最上部の切断刃21の刃先54の回転方向の下流側(図示例では左側)に位置している。このように、切断刃21を回転させながら、回転方向の下流側から刃先54に向けて除去空気66を送給することにより、刃先54に付着しているバインダー樹脂62を除去することができる。また、除去空気66により、刃先54に付着しているバインダー樹脂62を掬い面52の下方側に押しやることができる。従って、掬い面52に付着しているバインダー樹脂62の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとできる。
次に、図13(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、バインダー樹脂62が付着の回転刃ブランク29に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、バインダー樹脂62を固化させて、小刃31の表面に下地層60を形成する。次に、図13(d)に示すように、60℃に維持された恒温室68内に回転刃ブランク29を所定時間(約10分)収容して、回転刃ブランク29を温める。このように回転刃ブランク29を温めると、次工程における下地層60への光触媒層61の付着が良好となる。
続く光触媒層61の形成工程においては、まず、図14(a)に示すように、前工程で下地層60が形成された回転刃ブランク29を液状の光触媒71が充填された触媒槽70内に所定時間浸漬させて、下地層60の表面全体に光触媒71を付着させる。この状態では、下地層60の表面には、略均一の厚み寸法に光触媒71が付着される。
次に、刃先54に付着している余分な光触媒71の除去処理、および光触媒71で構成される光触媒層61の薄層化処理を行う(図14(b)参照)。かかる除去処理および薄層化処理の方法は、先の図13(b)と同様である。すなわち、まず、回転刃ブランク29を軸本体22を中心に所定時間(約10秒)回転させて、遠心分離力により切断刃21の外面側に光触媒71を移動させるとともに、余分な光触媒71を除去する。次に、切断刃21の最上部の刃先54に対峙するように、送風機の吹出口72を配置したうえで、内刃11の回転方向と同方向(反時計方向)に、回転刃ブランク29を軸本体22を中心に回転させながら、吹出口72から光触媒71の除去空気73を送給する(約3秒)。扁平なノズル口を有する吹出口72は、切断刃21の最上部から延出される接線上に位置しており、且つ最上部の切断刃21の刃先54の回転方向の下流側(図示例では左側)に位置している。このように、切断刃21を回転させながら、回転方向の下流側から切断刃21の刃先54に向けて除去空気73を送給することにより、刃先54に付着している光触媒71を除去することができる。また、除去空気66により、刃先54に付着している光触媒71を掬い面52の下方側に押しやることができる。従って、掬い面52の下地層60の表面に付着している光触媒71の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとすることができる。
次に、図14(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、光触媒71が付着の回転刃ブランク29に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、光触媒71を固化させて、下地層60上に光触媒層61を形成する。最後に、図14(d)に示すように、切断面50を研磨ローラ74に押し当てた状態で、研磨ローラ74および回転刃ブランク29を同方向に回転させることにより、切断面50上に形成された下地層60および光触媒層61を除去する。以上より、図14(d)および図1に示すような内刃11を得ることができる。なお、図14(d)における切断面50上に形成された下地層60および光触媒層61の除去作業は廃することができる。これは外刃10を装着した状態で、内刃11を駆動回転させると、外刃10との接触により、切断面50上に形成された下地層60および光触媒層61は除去されることに拠る。
(内刃の構成)
図1に示すように、内刃11の小刃31(31a・31b)は、外面の切断面50と、内面のベース面51と、これら両者50・51の端縁間に係る側面に内凹み状形成される掬い面52と抉り面53とで4つの隅部を備えた異形断面状に形成され、切断面50の回転方向側の突端に刃先54を備えるものとなる。掬い面52および抉り面53は、切断面50の端縁からベース面51の端縁に至る一つの凹曲面で形成されており、これら掬い面52、抉り面53、およびベース面51の表面に、下地層60と光触媒層61とからなる内凹み状の光触媒膜75が形成される。
加えて、前述の図13(b)および図14(b)の除去処理および薄層化処理を行うことにより、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚みが大きいものとなる。より具体的には、掬い面52における光触媒膜75は、その膜厚寸法が、刃先54側が薄く、掬い面52の最凹部52aに近づくに連れて徐々に厚くなり、最凹部52aを過ぎてベース面51に近づくに連れて徐々に薄くなっている。図1において、寸法(D1)は、最凹部52aにおける光触媒膜75の最大膜厚寸法を示している。また、光触媒膜75の表面曲率(R2)は、掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さくなっている。
抉り面53の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法は均一とされており、図1において寸法(D2)は、抉り面53に形成された光触媒膜75の膜厚寸法を示している。光触媒膜75の表面曲率(R4)は、抉り面53の表面曲率(R3)よりも大きくなっている。ベース面51の表面に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D3)は、掬い面52に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D1)よりも大きくされている。
以上のように、第1実施例に係る電気かみそりによれば、内刃11を構成する掬い面52等に光触媒膜75を形成したので、光触媒膜75の有機物分解作用や抗菌作用により、ヘッド部2の内部を衛生的な状態に保持することができる。加えて、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚みが大きいものとなるとしたので、光触媒膜75が刃先54に付着することに起因して、内刃11の切断能力が低下することを防ぐことができる。以上より、切断能力(切れ味)を損なうことなく、光触媒膜75の良好な有機物分解作用や抗菌作用を備えた電気かみそりを得ることができる。
掬い面52を、刃先54に連続して小刃31(第1小刃31a、第2小刃31b)の側面に内凹みの湾曲状に形成したので、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくして、掬い面52から光触媒膜75が脱落することを確実に防ぐことができる。また、光触媒膜75の表面曲率(R2)を掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さくしたので、光触媒膜75の内凹み寸法を小さくすることができる。これにて、光触媒膜75の内凹み部分へ毛屑等の汚れが溜まることを効果的に防ぐことができる。
掬い面52の表面に加えて、ベース面51の表面に光触媒膜75が形成されていると、内刃11の洗浄し難い部分を光触媒膜75で被覆することができるので、光触媒膜75の有機物分解作用や抗菌作用を利用して、ヘッド部2の内部を殺菌・洗浄することができる。特に、ベース面51の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法(D3)を、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D1)よりも大きくしていると、ベース面51側の光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。
抉り面53に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D2)が、掬い面52に形成された光触媒膜75の最大厚み寸法(D1)よりも大きくしていると、抉り面53側の光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。
また、この電気かみそりによれば、内刃11を構成する回転軸体21の表面にも光触媒膜75が形成される。したがって、小刃31と同様に、回転軸体21に付着する毛屑に対しても光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用が発揮される。加えて、ベース面51の表面に微小凹凸82を形成したうえで、これ(微小凹凸)を覆うように光触媒膜75を形成したので、該微小凹凸82の凹部に食込むように光触媒膜75を形成することができ、ベース面51からの光触媒膜75の脱落を効果的に抑えることができる。
(第2実施例)
図15に、本発明の第2実施例を示す。この図15に示す内刃11の小刃31は、抉り面53を二つの凹曲面でく字に形成した点が先の第1実施例の内刃と相違する。すなわち、抉り面53を、第1抉り面80aと第2抉り面80bとで構成した点が、先の第1実施例と相違する。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
(第3実施例)
図16に、本発明の第3実施例を示す。この図16に示す内刃11の小刃31は、切断面50にハーフエッチングにより凹部81aを形成した点、ベース面51に、ハーフエッチングにより凹部81bを形成した点、および、これら凹部81a・81b内を埋めるように光触媒膜75が形成されている点が、先の第1実施例と相違する。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このように、切断面50およびベース面51に凹部81a・81bを形成してあると、切断面50等からの光触媒膜75の脱落を効果的に抑えることができるので、より長期に亘って、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を得ることができる。
(第4実施例)
図17に、本発明の第4実施例を示す。この図17に示す内刃11の小刃31は、掬い面52の表面に、さらにエッチングにより微小凹凸部82を形成した点が、先の第1実施例と相違する。すなわち、上述の第1実施例に示したように、シート状ブランク27の形成工程におけるエッチング処理、および下地層60の形成工程に先立って行われる酸性溶液による化学的処理により小刃31の表面にはμmオーダーの微小凹凸が形成されるが、本実施例では、さらに別段のエッチング処理を行って掬い面52に、μmオーダーの微小凹凸部82を形成している。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このように、掬い面52の表面に、微小凹凸部82が形成されていると、先の第1実施例と同様に、掬い面52の表面積を大きくして、光触媒膜75と掬い面52との接触面積を大きくすることができるので、掬い面52からの光触媒膜75の脱落を効果的に防ぐことができる。これにて、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を、より長期に亘って得ることができる。
(第5実施例)
図18および図19に、本発明の第5実施例を示す。この第5実施例では、小刃31の側面に形成される掬い面52と抉り面53とを、直線状の斜面で形成した点、および切断面50に凹部81aを形成した点が、先の第1実施例と相違する。それ以外の点は先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
内刃11は、電鋳法で形成したシート状の刃ブランク83に、プレス加工、光触媒膜75の形成、研磨処理などを施して形成することができる。詳しくは、図19(a)に示すように、母型84の上面にフォトレジスト膜を形成し、その表面にパターンフィルムを載置して露光し現像したのち、電鋳パターンに合致するフォトレジスト層85を形成し、1次電鋳層86を形成する。次に、図19(b)に示すように、電鋳液を矢印に示す向きに流しながら、1次電鋳層86の外面に2次電鋳層87を形成する。2次電鋳層87を剥離することにより、断面が不等脚台形状の小刃31を備えた刃ブランク83が得られる。詳しくは、電鋳液の流れ方向上手側の斜面88の傾斜角度が小さく、流れ方向下手側の斜面89の傾斜角度が大きな、不等脚台形状の小刃31を形成できる。
次に、2次電鋳層87を剥離することにより、図19(c)に示すような刃ブランク83が得られる。次に、刃ブランク83にプレス加工を施して、全体を湾曲状に塑性変形させたうえで、先の第1実施例と同様の手順でプレス加工による回転刃ブランク29の形成、光触媒膜75の形成、および研磨処理を行い、図18に示すような内刃11を得ることができる。
図18に示すように、内刃11の小刃31は、傾斜角度の小さな斜面88で構成される掬い面52と、傾斜角度の大きな斜面89で構成される抉り面53とを備え、切断面50の側に1次電鋳層87に対応する凹部81aを備えている。切断面50の突端縁が刃先54となる。ベース面51、掬い面52、抉り面53の表面には、光触媒膜75が形成されている。また、切断面50の凹部81a内にも光触媒膜75が形成されている。掬い面52における光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚み寸法が大きくなるものとなっている。
(第6実施例)
図20に、本発明の第6実施例を示す。この第6実施例では、光触媒膜75を浸漬法(ディッピング法)ではなく、スプレー法により形成した点が、先の第1実施例と相違する。より詳しくは、本実施例に係る内刃11では、バインダー樹脂と光触媒とを混合してなる一液性の溶剤をスプレー90のノズル口から小刃31の掬い面52および抉り面53に噴射したうえで、この光触媒を含む溶剤を固化することにより、光触媒膜75を形成している。スプレー90による掬い面52に対する溶剤の噴射時間を、刃先54側を短く、刃先54から離れるに従って徐々に長くすることにより、掬い面52における光触媒膜75の厚み寸法を制御している。具体的には、掬い面52における光触媒膜75の厚み寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って、徐々に厚くなるようにしている。それ以外の点は、第1実施例と同様である。
(第7実施例)
図21に本発明の第7実施例を示す。この第7実施例では、抉り面53側の光触媒膜75を外凸状に形成した点が、先の第6実施形態と相違する。抉り面53側の光触媒膜75は、抉り面53に沿うように内凹み状にスプレー法により形成された第1層91と、この第1層91の表面にスプレー法により外凸状に形成された第2層92とで構成される。それ以外の点は第6実施例と同様である。このように、抉り面53側の光触媒膜75を外凸状に形成してあると、該抉り面53側の光触媒膜75の最大厚み寸法を大きくすることができるため、より長期に亘って、光触媒膜75に由来する有機物分解作用や抗菌作用を得ることができる。
(第8実施例)
図22に本発明の第8実施例を示す。この第8実施例では、ベース面51の表面に光触媒膜75を形成しない点、第2抉り面80bの表面に形成された光触媒膜75を外凸状に形成した点が、先の第2実施例と相違する。第2抉り面80b側の光触媒膜75は、第2抉り面80bに沿うように内凹み状にスプレー法により形成された第1層91と、この第1層91の表面にスプレー法により外凸状に形成された第2層92とで構成される。それ以外の点は第2実施例と同様である。
(第9実施例)
図23に本発明をロータリー式電気かみそりに適用した第9実施例を示す。この第9実施例では、円柱状のホルダー95の周面に一群の小刃96を植設固定して内刃11を構成している。各小刃96は、ホルダー95から突出する基部97と、基部97の先端に設けられた断面杯状の切断部98とからなる。切断部98は、内刃11の小刃31としての機能を果たすものであり、外突湾曲状に形成された切断面50と、切断面50の回転方向側の端縁から基部97の側面に連続する掬い面52と、切断面50の回転方向反対側の端縁から基部97の側面に連続する抉り面53とを有する。切断面50の回転方向側の端縁と掬い面52とで規定されるコーナー部には、刃先54が形成されており、切断面50の回転方向反対側の端縁と抉り面53とで規定されるコーナー部には、逃げ縁55が形成されている。掬い面52は、刃先54から内凹み状に形成された傾斜面で形成されており、抉り面53は、逃げ縁55から内凹み状に形成された傾斜面で形成されている。
本実施例における光触媒膜75は、内刃11の回転方向側においては、掬い面52と、掬い面52に連続してホルダー95から突出する基部97の側面に形成されており、内刃11の回転方向反対側では、抉り面53と、抉り面53に連続してホルダー95から突出する基部97の側面に形成されている。掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてある。基部97の側面を含む抉り面53側に形成された光触媒膜75は、第1層91と、第2層92とで形成されており、第2層92の最外部における表面は外凸状に形成されている。これら掬い面52および抉り面53における光触媒膜75は、スプレー法により形成されている。
(第10実施例)
図24〜図32は、本発明をレシプロ式の電気かみそりに適用した第10実施例を示す。図25および図26に示すように、電気かみそりのヘッド部2は、ヘッドフレーム14と、その下部に固定されるモーター4と、ヘッド部2の上部に配置される切断機構100と、モーター4の動力を切断機構100に伝動する駆動構造101と、ヘッドフレーム14に対して着脱される外刃ホルダー12などで構成される。切断機構100は、左右横長の外刃10と、外刃10の内面に沿って左右に往復駆動される左右横長の内刃11とからなる。外刃10は電鋳法あるいはエッチング法で形成されるシート状の網刃からなり、先の外刃ホルダー12で逆U字状に保形されている。内刃11は、シート状ブランク108にプレス加工を施して、逆U字状に折り曲げたスリット刃からなり、内刃ホルダー110で逆U字のままで固定されている。シート状ブランク108は、後述するように、エッチング法で形成する。
内刃11を往復駆動する駆動構造101は、モーター4の出力軸に固定される偏心カム102と、振動子103と、振動子103の上部中央に突設される駆動軸104とで構成される。モーター4の回転動力は、偏心カム102と振動子103とで往復動力に変換され、駆動軸104を介して内刃11に伝動される。内刃11は、振動子103と内刃ホルダー110との間に配置された圧縮コイル形のばね105で押し上げ付勢されて、外刃10の内面に常に密着している。
(内刃の製造方法)
次に内刃11の製造方法の詳細を説明する。往復駆動刃である内刃11の製造工程は、シート状ブランク108を形成する工程と、シート状ブランク108にプレス加工を施して切断刃ブランク109を形成する工程と、切断刃ブランク109の表面に光触媒膜75を形成する工程と、光触媒膜75が形成された切断刃ブランク109を内刃ホルダー110に固定する工程とに大別できる。
図29に示すように、シート状ブランク108は、左右横長のシート体からなり、シート体の壁面にはリブ状の小刃31と、スリット状の刃穴112とが左右方向へ交互に形成されている。図24に示すように、小刃31は、外面の切断面50と、内面のベース面51と、内凹み状に湾曲する左右の掬い面52・52とで、断面が逆等脚台形になるように形成される。これに伴い、切断面50の左右両側縁のそれぞれには、鋭角の刃先54が形成され、これら刃先54が外刃10と協同してひげを切断する。また、ベース面51の左右両側縁のそれぞれには、先の刃先54と同様の鋭角の隅部113が形成されている。これら切断面50、ベース面51および左右の掬い面52・52の表面に、光触媒膜75が形成されている。
シート状ブランク108は、厚みが0.25mmのステンレス板材46に、エッチング処理を施して形成するが、その過程で小刃31を構成する各面50・51・52が形成される。まず、図28に示すように、エッチング処理では、ステンレス板材46の表裏両面にそれぞれレジスト膜47・47を形成したのち露光し、露光部分を除去してレジストパターンに囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻する。表側のレジストパターンに比べて、裏側のレジストパターンはひとまわり小さく形成してある。そのため、ステンレス板材46の表面に比べて裏面側の蝕刻の度合いが大きくなる。蝕刻によって表面(切断面50)側から成長した湾曲面と、裏面(ベース面51)側から成長した湾曲面とは、最終的にひとつの湾曲面になって掬い面52を形成するが、裏面側の蝕刻の度合いが大きい分だけ、裏面側へ向かって先窄まり状となる。結果、小刃31の断面の全体が逆等脚台形状に形成される。このとき、図29に示すように、多数個のシート状ブランク108を同時に形成して、その辺部に設けられた橋絡部48を切断して、ステンレス板材46からシート状ブランク108を分離する。図29において、符号114は、内刃ホルダー110への装着用の装着穴を示す。
次に、図30に示すように、U字溝115を有する下型116にシート状ブランク108をセットした状態で、上方から凸球部117を有する上型118をシート状ブランク108に押し当てて、シート状ブランク108にプレス加工を施す。これにて、断面U字状に塑性変形された、切断刃ブランク109を得ることができる。
光触媒膜の形成工程は、図31(a)〜(d)に示すような下地層60の形成工程と、図32(a)〜(c)に示すような光触媒層61の形成工程とに大別できる。下地層60の形成工程では、まず、切断刃ブランク109を無機酸を主成分とした酸性溶液(化学研磨液)に所定時間浸漬させる化学的処理(エッチング処理)を行う。かかる化学的処理により、小刃31の切断面50、ベース面51、および掬い面52・52の各面の表面に不動態皮膜が形成されるとともに、その表面にμmオーダーの微小凹凸が形成される。かかる微小凹凸82は、光触媒膜75の形成に先立つ酸性溶液による化学的処理によって形成される。このように不動態皮膜が形成されると、各面が腐食されることを効果的に防ぐことができる。また、微小凹凸が形成されることにより、光触媒膜75の密着性が高まり、光触媒膜75の不用意な脱落を防止できる。
次に、図31(a)に示すように、下地層60を構成するバインダー樹脂62が充填されたバインダー槽63内に切断刃ブランク109を所定時間浸漬させて、切断刃ブランク109の表面全体にバインダー樹脂62を付着させる。これにて、切断面50、ベース面51、掬い面52・52とで構成される小刃31の表面に、略均一の厚さ寸法にバインダー樹脂62を付着することができる。
次に、図31(b)に示すように、刃先54に付着している余分なバインダー樹脂62の除去処理、およびバインダー樹脂62で構成される下地層60の薄層化処理を行う。ここでは、遠心分離機120の回転中心軸121側にU字の突弧面が指向するように切断刃ブランク109を遠心分離機120にセットし、遠心分離機120を所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力によりベース面側にバインダー樹脂62を移動させるとともに、余分なバインダー樹脂62を除去する。これにて、刃先54に付着しているバインダー樹脂62を掬い面52側に押しやることができる。また、掬い面52に付着しているバインダー樹脂62の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとすることができる。
次に、図31(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、バインダー樹脂62が付着の切断刃ブランク109に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、バインダー樹脂62を固化させて、切断刃21の表面に下地層60を形成する。次に、図31(d)に示すように、60℃に維持された恒温室68内に回転刃ブランク29を所定時間(約10分)収容して、切断刃ブランク109を温める。このように切断刃ブランク109を温めると、次工程における下地層60への光触媒層61の付着が良好となる。
続く光触媒層61の形成工程においては、まず、図32(a)に示すように、前工程で下地層60が形成された切断刃ブランク28を液状の光触媒71が充填された触媒槽70内に所定時間浸漬させて、下地層60の表面全体に光触媒71を付着させる。この状態では、下地層60の表面には、略均一の厚み寸法に光触媒71が付着される。
次に、刃先54に付着している余分な光触媒71の除去処理、および光触媒71で構成される光触媒層61の薄層化処理を行う(図32(b)参照)。かかる除去処理および薄層化処理の方法は、先の図31(b)と同様である。すなわち、遠心分離機120の回転中心軸121側にU字の突弧面が指向するように切断刃ブランク109を遠心分離機120にセットし、遠心分離機120を所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力によりベース面51側に光触媒71を移動させるとともに、余分な光触媒71を除去する。これにて、刃先54に付着している光触媒71を掬い面52側に押しやることができる。また、掬い面52に付着している光触媒71の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとすることができる。
最後に、図32(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、光触媒71が付着の切断刃ブランク119に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、光触媒71を固化させて、下地層60上に光触媒層61を形成する。以上より、図24に示すような小刃31を備えた内刃11を得ることができる。
(内刃の構成)
図24に示すように、内刃11の小刃31は、外面の切断面50と、内面のベース面51と、これら両者50・51の端縁間に係る側面に内凹み状に形成される掬い面52・52で4つの隅部を備えた逆等脚台形状に形成され、切断面50の左右端縁に刃先54・54を備えるものとなる。掬い面52は、切断面50の端縁からベース面51の端縁に至る一つの凹曲面で形成されており、これら掬い面52、切断面50およびベース面51の表面に、下地層60と光触媒層61とからなる内凹み状の光触媒膜75が形成される。
加えて、前述の図31(b)および図32(b)の除去処理および薄層化処理を行うことにより、掬い面52の表面に形成された光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚みが大きいものとなる。より具体的には、掬い面52における光触媒膜75は、その膜厚寸法が、刃先54側が薄く、掬い面52の最凹部52aに近づくに連れて徐々に厚くなり、最凹部52aを過ぎてベース面51に近づくに連れて徐々に薄くなっている。図24において、寸法(D1)は、最凹部52aにおける光触媒膜75の最大膜厚寸法を示している。また、光触媒膜75の表面曲率(R2)は、掬い面52の表面曲率(R1)よりも小さくなっている。
(第11実施例)
図33に、本発明の第11実施例を示す。この第11実施例では、遠心分離機120を使ったバインダー樹脂62と光触媒71の除去処理、および下地層60と光触媒層61の薄層化処理に代えて、送風機を使って除去処理等を行うようにした点が、先の第10実施例と相違する。具体的には、本実施形態では、下地層60の形成工程において、図31(a)と同様の手順でバインダー樹脂62を小刃31の表面に塗布したうえで、小刃31の刃先54に対峙するように送風機の吹出口65を配置し、吹出口65からバインダー樹脂62の除去空気66を送給して、刃先54に付着のバインダー樹脂62を除去するとともに、掬い面52に付着のバインダー樹脂62の層厚寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとする。同様に、光触媒層61の形成工程においては、図32(a)と同様の手順で光触媒71を小刃31の表面に塗布したうえで、小刃31の刃先54に対峙するように送風機の吹出口72を配置し、吹出口72から光触媒71の除去空気73を送給して、刃先54に付着の光触媒71を除去するとともに、掬い面52に付着の光触媒71の層厚寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとする。それ以外の工程は、先の第10実施例と同様である。
(第12実施例)
図34に、本発明の第12実施例を示す。この第12実施例では、送風機の吹出口65・72の配置位置、およびこれら吹出口65・72からの除去空気66・73の送給方法が第11実施例と異なる。具体的には、送風機の吹出口65・72を切断面50の壁面に対峙するように配置し、これら吹出口65・72から除去空気66・73を切断面50に向けて送給することで、刃先54に付着のバインダー樹脂62、或いは光触媒71を除去するとともに、掬い面52におけるバインダー樹脂62および光触媒71の層厚寸法を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとする。それ以外の工程は、先の第11実施例と同様である。
(第13実施例)
図35〜図40に、本発明の第13実施例を示す。図35に示すように、この第13実施例では、左右方向に長い内刃ホルダー110の上面に、多数個の切断刃123を植設固定して内刃11を構成している。各切断刃123は、側面視でU字状に形成されたステンレス製の平板体であり(図38参照)、盤面中央部に凹み形成された薄肉の陥没部124と、外周縁に形成された厚肉の膨出部125とを備えている。切断刃123の膨出部125の上端部が、本発明における小刃31としての機能を果たしており、該膨出部125は、平坦な切断面50と、切断面50の左右周縁から下窄まりのテーパー状に形成された左右一対の掬い面52・52とを有する断面杯状に形成されている(図35参照)。各小刃31の切断面50の端縁と掬い面52とで規定されるコーナー部には刃先54が形成されており、該刃先54が外刃10(図26参照)と協同してひげを切断する。本実施例において、光触媒膜75は、掬い面52を含む小刃31の左右側面に形成される。
(内刃の製造方法)
次に内刃11の製造方法の詳細を説明する。往復動刃である内刃11の製造工程は、板状ブランク126を形成する工程と、板状ブランク126に研磨加工を施して、切断面50を有する切断刃ブランク127を形成する工程と、切断刃ブランク127の表面に光触媒膜75を形成する工程とに大別できる。
まず、図36に示すように、ステンレス板材46を下型128にセットした状態で、上型129を押し当てることにより、直線辺130と、直線辺130の両端を繋ぐように膨出する半円弧状の湾曲辺131とを有する蒲鉾形の板材132を切り出す。次に、図37(a)に示すように、平坦面133と、平坦面133に連続する逃げ面134とを備える上下一対のプレス型135・135を用いて、板材132に対してプレス加工を施す。ここでは、平坦面133によって、板材132の盤面中央部に対してのみ上下方向からプレス加工を施す。これにて、図37(b)に示すように、盤面中央部に陥没部124を有し、湾曲辺131に沿う外周縁に上下方向に突出する膨出部125を有する板状ブランク126を得る。
次に、図38に示すように、板状ブランク126の直線辺130に沿う外周縁を刃ホルダー110に埋設固定したうえで、湾曲辺131の頂点部に係る膨出部125を研磨ローラ136に押し付けて研磨処理を行う。かかる研磨処理により、湾曲辺131の頂点部に係る膨出部125に平坦な切断面50を有する切断刃ブランク127を得ることができる(図35参照)。
光触媒膜の形成工程は、図39(a)〜(d)に示すような下地層60の形成工程と、図40(a)〜(c)に示すような光触媒層61の形成工程とに大別できる。下地層60の形成工程では、まず、切断刃ブランク127を無機酸を主成分とした酸性溶液(化学研磨液)に所定時間浸漬させる化学的処理(エッチング処理)を行う。かかる化学的処理により、小刃31の切断面50、ベース面51、および掬い面52・52の各面の表面に不動態皮膜が形成されるとともに、その表面にμmオーダーの微小凹凸が形成される。かかる微小凹凸82は、光触媒膜75の形成に先立つ酸性溶液による化学的処理によって形成される。このように不動態皮膜が形成されると、各面が腐食されることを効果的に防ぐことができる。また、微小凹凸が形成されることにより、光触媒膜75の密着性が高まり、光触媒膜75の不用意な脱落を防止できる。
次に、図39(a)に示すように、下地層60を構成するバインダー樹脂62が充填されたバインダー槽63内に切断刃ブランク127を所定時間浸漬させて、切断刃ブランク127の表面全体にバインダー樹脂62を付着させる。これにて、切断面50、掬い面52・52等の小刃31の表面に、略均一の厚さ寸法にバインダー樹脂62を付着することができる。
次に、図39(b)に示すように、刃先54に付着している余分なバインダー樹脂62の除去処理、およびバインダー樹脂62で構成される下地層60の薄層化処理を行う。ここでは、遠心分離機120の回転中心軸121側に湾曲辺131の頂点部が指向するように切断刃ブランク127を遠心分離機120にセットし、遠心分離機120を所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力により陥没部124側にバインダー樹脂62を移動させるとともに、余分なバインダー樹脂62を除去する。これにて、刃先54に付着しているバインダー樹脂62を掬い面52側に押しやることができる。また、掬い面52に付着しているバインダー樹脂62の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとすることができる。
次に、図39(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、バインダー樹脂62が付着の切断刃ブランク127に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、バインダー樹脂62を固化させて、小刃123の表面に下地層60を形成する。次に、図39(d)に示すように、60℃に維持された恒温室68内に回転刃ブランク29を所定時間(約10分)収容して、切断刃ブランク127を温める。このように切断刃ブランク127を温めると、次工程における下地層60への光触媒層61の付着が良好となる。
続く光触媒層61の形成工程においては、まず、図40(a)に示すように、前工程で下地層60が形成された切断刃ブランク28を液状の光触媒71が充填された触媒槽70内に所定時間浸漬させて、下地層60の表面全体に光触媒71を付着させる。この状態では、下地層60の表面には、略均一の厚み寸法に光触媒71が付着される。
次に、刃先54に付着している余分な光触媒71の除去処理、および光触媒71で構成される光触媒層61の薄層化処理を行う(図40(b)参照)。かかる除去処理および薄層化処理の方法は、先の図39(b)と同様である。すなわち、遠心分離機120の回転中心軸121側に湾曲辺131の頂点部が指向するように切断刃ブランク127を遠心分離機120にセットし、遠心分離機120を所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力により陥没部124側に光触媒71を移動させるとともに、余分な光触媒71を除去する。これにて、刃先54に付着している光触媒71を掬い面52側に押しやることができる。また、掬い面52に付着している光触媒71の層厚を、刃先54側が薄く、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとすることができる。
最後に、図40(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、光触媒71が付着の切断刃ブランク127に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、光触媒71を固化させて、下地層60上に光触媒層61を形成する。以上より、図35に示すような小刃123の表面に光触媒膜75が形成された内刃11を得ることができる。
(第14実施例)
図41〜図45に、本発明の第14実施例を示す。図41に示すように、この第14実施例では、内刃11の小刃31だけでなく、外刃10の小刃140の表面にも光触媒膜75を形成している。各小刃140は、内面の切断面141と、外面のベース面142と、これら両者141・142の端縁間に係る左右側面に内凹み状に形成される掬い面143・143とで4つの隅部を備えた断面杯状に形成される。切断面141と掬い面143とで規定される隅部には刃先144が形成されており、刃先144に連続して外刃10の側面に掬い面143が形成される。掬い面143は、切断面141の端縁からベース面142の端縁に至る、一つの凹曲面で形成される。ベース面142および掬い面143・143の表面には、光触媒膜75が形成されている。本実施例における内刃11の構成は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、両刃10・11の刃先144・54が協同してひげ切断を行う。
本実施例における外刃10は、小刃140を有するシート状ブランク146を形成する工程と、シート状ブランク146に光触媒膜75を形成する工程とを経て形成される。シート状ブランク146を形成する工程では、図42および図43に示すように、厚みが0.3mmのステンレス板材147の表裏面にレジスト膜148を形成したのち露光し、露光部を除去して、非露光部に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻することにより、多数個の刃穴149と、刃穴149の周縁に形成された小刃140とを備えるシート状ブランク146を形成する。このとき、多数個のシート状ブランク146を同時に形成して、その辺部に設けられた橋絡部150を切断して、周縁のステンレス板材147からシート状ブランク146を分離する。エッチングにより刃穴149の周縁に形成される小刃140は、内側の切断面141と、外側のベース面142と、これら両者の端縁間に係る側面に内凹み状に形成される掬い面143・143とで構成される。
光触媒膜75の形成工程は、図44(a)〜(d)に示すような下地層60の形成工程と、図45(a)〜(d)に示すような光触媒層61の形成工程とに大別できる。下地層60の形成工程では、まず、シート状ブランク146を無機酸を主成分とした酸性溶液(化学研磨液)に所定時間浸漬させる化学的処理(エッチング処理)を行う。かかる化学的処理により、小刃140の切断面141、ベース面142、および掬い面143・143の各面の表面に不動態皮膜が形成されるとともに、その表面にμmオーダーの微小凹凸が形成される。かかる微小凹凸82は、光触媒膜75の形成に先立つ酸性溶液による化学的処理によって形成される。このように不動態皮膜が形成されると、各面が腐食されることを効果的に防ぐことができる。また、微小凹凸が形成されることにより、光触媒膜75の密着性が高まり、光触媒膜75の不用意な脱落を防止できる。
次に、図44(a)に示すように、下地層60を構成するバインダー樹脂62が充填されたバインダー槽63内にシート状ブランク146を所定時間浸漬させて、シート状ブランク146の表面全体にバインダー樹脂62を付着させる。これにて、切断面141、ベース面142、掬い面143・143とで構成される小刃140の表面に、略均一の厚さ寸法にバインダー樹脂62を付着することができる。
次に、図44(b)に示すように、刃先144に付着している余分なバインダー樹脂62の除去処理、およびバインダー樹脂62で構成される下地層60の薄層化処理を行う。ここでは、まず、遠心分離機120の回転中心軸121側にベース面142が指向するように、シート状ブランク146を遠心分離機120にセットし、シート状ブランク146を回転中心軸121を中心に所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力によりシート状ブランク146の外側面にバインダー樹脂62を移動させるとともに、余分なバインダー樹脂62を除去する。次に、刃先144に対峙するように、送風機の吹出口65を配置したうえで、遠心分離機120を刃先144に除去空気66を送給できる位置に停止させ、吹出口65からバインダー樹脂62の除去空気66を送給して(約3秒)、刃先144に付着しているバインダー樹脂62を除去する。また、除去空気66により、刃先144に付着しているバインダー樹脂62を掬い面143の下方側、および切断面141の中央側に押しやることができる。従って、掬い面143に付着しているバインダー樹脂62の層厚を、刃先144側が薄く、刃先144から離れるに従って徐々に厚くなるものとできる。刃先144に付着しているバインダー樹脂62の除去は、遠心分離機120にセットされているシート状ブランク146毎に行なう。
次に、図44(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、バインダー樹脂62が付着のシート状ブランク146に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、バインダー樹脂62を固化させて、小刃140の表面に下地層60を形成する。次に、図44(d)に示すように、60℃に維持された恒温室68内に回転刃ブランク29を所定時間(約10分)収容して、シート状ブランク146を温める。このようにシート状ブランク146を温めると、次工程における下地層60への光触媒層61の付着が良好となる。
続く光触媒層61の形成工程においては、まず、図45(a)に示すように、前工程で下地層60が形成されたシート状ブランク146を液状の光触媒71が充填された触媒槽70内に所定時間浸漬させて、下地層60の表面全体に光触媒71を付着させる。この状態では、下地層60の表面には、略均一の厚み寸法に光触媒71が付着される。
次に、刃先144に付着している余分な光触媒71の除去処理、および光触媒71で構成される光触媒層61の薄層化処理を行う(図45(b)参照)。かかる除去処理および薄層化処理の方法は、先の図44(b)と同様である。すなわち、遠心分離機120の回転中心軸121側にベース面142が指向するように、シート状ブランク146を遠心分離機120にセットし、シート状ブランク146を回転中心軸121を中心に所定時間(約10秒)回転させることで、遠心分離力によりシート状ブランク146の外側面に光触媒71を移動させるとともに、余分な光触媒71を除去する。次に、刃先144に対峙するように、送風機の吹出口65を配置したうえで、遠心分離機120を刃先144に除去空気66を送給できる位置に停止させ、吹出口65から光触媒71の除去空気66を送給して(約3秒)、刃先144に付着している光触媒71を除去する。また、除去空気66により、刃先144に付着している光触媒71を掬い面143の下方側、および切断面141の中央側に押しやることができる。従って、掬い面143に付着している光触媒71の層厚を、刃先144側が薄く、刃先144から離れるに従って徐々に厚くなるものとできる。刃先144に付着している光触媒71の除去は、遠心分離機120にセットされているシート状ブランク146毎に行なう。
次に、図45(c)に示すように、ベーキング装置67を使って、光触媒71が付着のシート状ブランク146に対して加熱処理を行い(120〜150℃)、光触媒71を固化させて、下地層60上に光触媒層61を形成する。最後に、図45(d)に示すように、シート状ブランク146の切断面141を研磨ローラ74に押し当てることにより、切断面141上に形成された下地層60および光触媒層61を除去する。以上より、図41および図45(d)に示すような外刃10を得ることができる。また、前記の薄層化処理により、光触媒膜75の表面曲率(R6)は掬い面143の表面曲率(R5)よりも小さくなっている(図41参照)。
(第15実施例)
図46に本発明の第15実施例を示す。本実施例のクリーニング装置160の洗浄対象となる電気かみそりは、第1実施例に示したものであり、そのヘッド部2には、網刃からなる断面アーチ形の外刃10と、外刃10の内面に摺接するロータリー式の内刃11とが設けられており、モーター4(図2参照)の回転動力で内刃11を回転駆動して、ひげ切断を行う。なお、かかる内刃11の小刃31の掬い面52等には光触媒膜75が形成されていること、掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法が刃先54から離れるに従って徐々に厚くなるものとしてある点などは、上述したとおりである(図1参照)。
クリーニング装置160は、机面161に接するベース壁162と、ベース壁162の外周縁から立設されたハウジング163とを備える。ハウジング163の上面中央には、電気かみそりを天地逆の倒立姿勢で収容するためのポケット164が凹み形成されており、このポケット164を囲むように、ハウジング163の内部には、ヘッド部2を乾燥するための乾燥手段165と、ヘッド部2に対して光触媒励起用の紫外線光を照射するための紫外線照射手段166とが設けられている。ポケット164は、電気かみそりの側面を支持する側壁167と、側壁167の下端に設けられた底壁168とからなり、乾燥手段165および紫外線照射手段166は、ポケット164に収容された電気かみそりのヘッド部2に近接対向する位置に設けられている。
具体的には、乾燥手段165は、ポケット164の側方に配置されて、図外のモーターで駆動されるファン170と、ポケット164の下方に配置されたヒーター171とで構成される。紫外線照射手段166は、ポケット164の下方に配置された紫外線照射ランプで構成される。これらファン170、ヒーター171、紫外線照射手段166は、ポケット164に装着された電気かみそりのヘッド部2に対向配置される。ポケット164の側壁167には、通風穴172が開設されており、ファン170から送出された空気は、通風穴172を介してヘッド部2に送給される。ポケット164の底壁168には、透窓173と伝熱体174とが配置されており、紫外線照射手段166から照射された紫外線光は透窓173を介してヘッド部2に照射され、光触媒膜75を構成する光触媒71を励起する。伝熱体174の下面にはヒーター171が設けられており、ヒーター171からの発熱は、伝熱体174を介してヘッド部2に伝熱される。
以上のような構成からなるクリーニング装置160を使った電気かみそりに対するクリーニング処理方法は、以下のような手順で行われる。まず、手洗い、或いは図外の水洗い洗浄手段により、ヘッド部2の内部洗浄を実行する。次に、水洗い洗浄された電気かみそりが天地逆の倒立姿勢でクリーニング装置160のポケット164に収容されると、ファン170およびヒーター171を駆動して乾燥手段165による乾燥処理を行う。同時に、紫外線照射手段166を駆動させて、透窓173を介してヘッド部2の内刃11に形成された光触媒膜75に対して紫外線光を照射する。このように、乾燥手段165による乾燥処理を実行しながら、光触媒71に対する紫外線光の照射を行うようにしてあると、光触媒71による除菌効果の向上が期待できる。
(第16実施例)
図47に本発明の第16実施例を示す。そこでは、回転刃180の周囲に、回転刃180の食込み量を規制するガード体181を設けて、これら両者180・181をモーター動力で回転駆動するようにした。ガード体181はコイルばね状に形成してあり、コイル部を回転刃180の周面に巻き付けて、その両端が回転刃180に固定してある。回転刃180には、小刃31が設けられており、この小刃31の表面には、上述のような光触媒膜75が形成されている。このように、本発明は、外刃を備えていない電気かみそりにも適用できる。
(第17実施例)
図48〜図50に本発明に係る切断装置をバリカンに適用した第17実施例を示す。図49に示すように、バリカン190は、本体部1と、その内部に配置されるモーター4と、本体部1の前端のヘッド部2に配置されるせん断刃ユニット191などで構成する。せん断刃ユニット191は、固定刃10と可動刃(切刃)11とを備えており、可動刃11はモーター4の出力軸に固定した偏心カム192で左右方向へ往復駆動される。
図50に示すように、可動刃11は、長方形状の基体プレート193と、基体プレート193の前端に配列された複数本の櫛状の小刃31とを備えるステンレス成形品である。各小刃31は、先端側に向かうに従って幅寸法が小さくなる、先窄まりのテーパー状を呈しており、これら小刃31は、基体プレート193の端縁から片持ち状に前方に向かって延出形成されている。小刃31は、基体プレート13の前端に等間隔を置いて配列されており、隣り合う小刃31どうしの間には櫛溝195が形成されている。
図48に示すように、可動刃11の各小刃31は、内面の切断面50と、外面のベース面51と、これら両者50・51の端縁間に係る左右側面に内凹み状に形成される掬い面52・52とで4つの隅部を備えた断面杯状に形成される。切断面50と掬い面52とで規定される隅部には刃先54が形成されており、刃先54に連続して小刃31の側面に掬い面52が形成される。掬い面52は、切断面50の端縁からベース面51の端縁に至る、一つの凹曲面で形成される。ベース面51および掬い面52・52の表面には、光触媒膜75が形成されている。掬い面52に形成された光触媒膜75の厚み寸法は、刃先54から離れるに従って徐々に厚くなっている。
2 ヘッド部
10 外刃
11 内刃
31 小刃
50 切断面
51 ベース面
52 掬い面
53 抉り面
54 刃先
65 吹出口
66 除去空気
71 光触媒
72 吹出口
73 除去空気
75 光触媒膜
81a 凹部
81b 凹部
140 小刃
141 切断面
142 ベース面
143 掬い面
144 刃先
160 クリーニング装置
165 乾燥手段
166 紫外線照射手段

Claims (21)

  1. 切刃(11)を備える切断装置であって、
    切刃(11)に設けられた小刃(31)は、その外面(50)の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、
    小刃(51)の少なくとも掬い面(52)の表面に光触媒膜(75)が形成されており、
    掬い面(52)に形成された光触媒膜(75)の厚み寸法が、刃先(54)から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてあることを特徴とする切断装置。
  2. 掬い面(52)が、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹みの湾曲状に形成されている、請求項1記載の切断装置。
  3. 光触媒膜(75)の表面曲率(R2)が、掬い面(52)の表面曲率(R1)よりも小さく設定されている、請求項2記載の切断装置。
  4. 小刃(31)は、刃先(54)を備える外面(50)と、掬い面(52)を挟んで外面(50)と対峙する内面(51)とを備えており、
    少なくとも掬い面(52)の表面に加えて、内面(51)の表面に光触媒膜(75)が形成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の切断装置。
  5. 内面(51)に形成された光触媒膜(75)の厚み寸法(D3)が、掬い面(52)に形成された光触媒膜(75)の厚み寸法(D1)よりも大きく設定されている、請求項4記載の切断装置。
  6. 掬い面(52)と反対側の小刃(31)の側面には、抉り面(53)が内凹み状に形成されており、
    抉り面(53)の表面にも光触媒膜(75)が形成されており、
    抉り面(53)に形成された光触媒膜(75)の最大厚み寸法(D2)が、掬い面(52)に形成された光触媒膜(75)の最大厚み寸法(D1)よりも大きく設定されている、請求項1乃至5のいずれかに記載の切断装置。
  7. 掬い面(52)の表面に形成された光触媒膜(75)が内凹み状に形成されており、
    抉り面(53)の表面に形成された光触媒膜(75)が外凸状に形成されている、請求項6記載の切断装置。
  8. 掬い面(52)の表面には、エッチングにより微小凹凸部(82)が形成されており、
    微小凹凸部(82)に食込むように、掬い面(52)の表面に光触媒膜(75)が形成されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の切断装置。
  9. 刃先(54)を備える小刃(31)の外面(50)には凹部(81a)が形成されており、
    凹部(81a)に食込むように、外面(50)の表面に光触媒膜(75)が形成されている、請求項1乃至8のいずれかに記載の切断装置。
  10. 凹部(81a)が、ハーフエッチングにより形成されたものである、請求項9記載の切断装置。
  11. 切刃(11)および凹部(81a)が、電鋳法により形成されたものである請求項9記載の切断装置。
  12. 内面(51)には凹部(81b)が形成されており、
    凹部(81b)に食込むように、内面(51)の表面に光触媒膜(75)が形成されている、請求項4記載の切断装置。
  13. 凹部(81b)が、ハーフエッチングにより形成されたものである、請求項12に記載の切断装置。
  14. 切刃(11)を備える切断装置であって、
    切刃(11)に設けられた小刃(31)は、その外面(50)の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、
    小刃(31)が、少なくとも掬い面(52)側に液状の光触媒(71)を塗布したのち、刃先(54)に向けて風を送給することにより、厚み寸法が刃先(54)から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜(75)を掬い面(52)に形成してなるものであることを特徴とする切断装置。
  15. 切刃(11)を備える切断装置であって、
    切刃(11)に設けられた小刃(31)は、その外面(50)の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、
    小刃(31)が、少なくとも掬い面(52)側に液状の光触媒(71)を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒(71)を除去し、さらに刃先(54)に向けて風を送給することにより、厚み寸法が刃先(54)から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜(75)を掬い面(52)に形成してなるものであることを特徴とする切断装置。
  16. 切刃(11)を備える切断装置であって、
    切刃(11)に設けられた小刃(31)は、その外面(50)の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、
    小刃(31)が、少なくとも掬い面(52)側に液状の光触媒(71)を塗布したのち、遠心力により余分な光触媒(71)を除去することにより、厚み寸法が刃先(54)から離れるに従って徐々に厚くなる光触媒膜(75)を掬い面(52)に形成してなるものであることを特徴とする切断装置。
  17. 網目状の固定外刃(10)と、固定外刃(10)と協同して切断動作を行う内刃(11)とを備える切断装置であって、
    内刃(11)に設けられた小刃(31)は、その外面(50)の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、
    固定外刃(10)に設けられた小刃(140)は、刃先(144)と、刃先(144)に連続して側面に内凹み状に形成された掬い面(143)を有し、
    両小刃(31・140)の少なくとも掬い面(52・143)の表面に光触媒膜(75・75)が形成されており、
    両掬い面(52・143)に形成された光触媒膜(75)の厚み寸法が、刃先(54・144)から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてあることを特徴とする切断装置。
  18. 内刃(11)の小刃(31)の掬い面(52)が、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹みの湾曲状に形成されており、
    固定外刃(10)の小刃(140)の掬い面(143)が、刃先(144)に連続して小刃(140)の側面に内凹みの湾曲状に形成されている、請求項17記載の切断装置。
  19. 内刃(11)の小刃(31)に形成された光触媒膜(75)の表面曲率(R2)が、掬い面(52)の表面曲率(R1)よりも小さく設定されており、
    固定外刃(10)の小刃(140)に形成された光触媒膜(75)の表面曲率(R6)が、掬い面(143)の表面曲率(R5)よりも小さく設定されている、請求項18記載の切断装置。
  20. ヘッド部(2)に切刃(11)を備える切断装置に対して、クリーニング処理を実行するためのクリーニング装置であって、
    水洗い洗浄されたヘッド部(2)に対して乾燥処理を行う乾燥手段(165)と、ヘッド部(2)に対して紫外線を照射する紫外線照射手段(166)とを有し、
    切刃(11)に設けられた小刃(31)は、その内外面の突端に設けられた刃先(54)と、刃先(54)に連続して小刃(31)の側面に内凹み状に形成された掬い面(52)とを有し、小刃(31)の少なくとも掬い面(52)の表面には光触媒膜(75)が形成されており、
    掬い面(52)に形成された光触媒膜(75)の厚み寸法が、刃先(54)から離れるに従って、徐々に厚くなるものとしてあり、
    紫外線照射手段(166)が、ヘッド部(2)に対する水洗い洗浄後の乾燥手段(165)による乾燥処理中に、ヘッド部(2)に対して紫外線光を照射するものである切断装置のクリーニング装置。
  21. 乾燥手段(165)が、ヘッド部(2)を加熱するヒーター(171)を備え、
    ヒーター(171)と紫外線照射手段(166)とが、切断装置のヘッド部(2)に対向配置されている、請求項20に記載の切断装置のクリーニング装置。
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