上記の特許文献1における内刃の問題は、凹縁部を設けた分だけ小刃の断面面積が小さくなることが避けられず、小刃の構造強度が不足しやすいことにある。すなわち、縦断側面視における、剪断断面の左右側縁で規定される小刃の断面面積が、凹縁部を設けた分だけ小さくなり、構造強度が低下することが避けられない。かかる問題は、例えば剪断面の左右方向の長さ寸法を大きくすることで解決できるが、この場合には外刃に対する内刃の摺動抵抗が増加する。
また、本出願人は、ロータリー式の電気かみそりにおいて、内刃に対して肌面と直交する方向(縦方向)に振動を与えて、ひげを内刃内により深く進入させて、ひげを深剃りできることを考えた。しかしながら、特許文献2の形態において、内刃を縦方向に振動させようとすると、専用の振動機構が別途必要となるため、電気かみそりの製造コストが上昇することが避けられない。
本発明の目的は、シャープな切れ味を発揮しながら、小刃の構造強度を十分に確保することができ、しかも摺動抵抗が増大することの無い内刃を備える電気かみそりを提供することにある。
本発明の他の目的は、内刃が縦方向に振動する内刃振動機構を備える電気かみそりにおいて、専用の振動機構を必要とせず、製造コストの上昇を抑えることにある。
本発明は、アーチ状に保形される外刃7と、外刃7の内面に摺接する内刃8とがかみそりヘッド2に設けられている電気かみそりを対象とする。内刃8は、リブ状の小刃51の一群と、小刃51で区画される刃穴53の一群とを備えている。小刃51は、外刃7の内面に接する剪断面60と、該剪断面60の反対面に位置する非剪断面61と、これら剪断面60と非剪断面61の側縁間を?ぐ側面62とで構成されている。そして、鋭角の切刃63を備える剪断面60の側縁が平面視で凹縁部56と凸縁部57とが交互に連続する波形に形成されており、側面62の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第1補強体65aが設けられていることを特徴とする。
本発明に係る電気かみそりは、ロータリー式の回転内刃を備えるロータリー式の電気かみそりのほか、往復動する内刃を備えるレシプロ式の電気かみそりやドーム状の回転内刃を備える電気かみそりなどにも適用することができる。
隣り合う刃穴53の間には、複数本の小刃51が交差する交差部55が設けられており、交差部55の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第2補強体65bを設けることができる。
第1補強体65aと第2補強体65bとを連続させて、剪断面60から段落ちする段落ち空間66が連続されている形態を採ることができる。
第1補強体65aおよび/又は第2補強体65bの上部には、剪断面60から段落ちする段落ち空間66が形成されており、段落ち空間66に縦リブ67が部分的に形成されている形態を採ることができる。
少なくとも第1補強体65aおよび/又は第2補強体65bの上部には、光触媒69を固定することができる。
また本発明に係る電気かみそりは、アーチ状に保形される外刃7と、外刃7の内面に摺接する内刃8とが、本体部1の上方に装着されたかみそりヘッド2に設けられている電気かみそりを対象とする。内刃8は、断面が円弧状に折り曲げられた切断刃32と、切断刃32を支持する回転軸体29とを備えており、回転軸体29は、軸本体30と、回転軸方向に並ぶ複数のディスク31とを備え、ディスク31の周面に切断刃32が固定されている。そして、回転軸体29を構成する一部又は全部のディスク31を、切欠き44を備える偏心ディスク31bとしたことを特徴とする。
回転軸体29を構成するディスク31が、円盤状の支持ディスク31aと、これら支持ディスク31aの間に形成される、切欠き44を備える偏心ディスク31bとで構成することができる。
偏心ディスク31bが、水流攪拌ディスクを兼ねるものとすることができる。
かみそりヘッド2が、外刃7をアーチ状に保形する支持体27を備え、回転軸体29を構成する軸本体30が支持体27に支持されて、内外刃8・7がユニット部品化されている形態を採ることができる。
かみそりヘッド2が、外刃7を支持する外刃支持体70と、内刃8を支持する内刃支持体71とを備え、両支持体70・71が別々にヘッドケース5に装着されているものとすることができる。
かみそりヘッド2が、本体部1に対して上下にフローティングするように弾性支持されている形態を採ることができる。
本発明に係る電気かみそりにおいては、内刃8の小刃51における鋭角の切刃63を備える剪断面60の側縁を、平面視で凹縁部56と凸縁部57とが交互に連続する波形に形成したので、これら凹縁部56と凸縁部57との間に形成される傾斜する切刃63により、ひげを引き切りしてシャープな切れ味が発揮される。加えて、側面62の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第1補強体65aを設けたので、第1補強体65aの分だけ小刃51の断面面積を大きくして、小刃51の構造強度の増加を図ることができる。さらに、第1補強体65aを側面62の下方部分に設けたので、第1補強体65aが外刃7に接触することは無く、第1補強体65aを設けたことに伴って外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が大きくなることを防ぐことができる。
以上より、本発明によれば、シャープな切れ味を発揮しながら、小刃51の構造強度を十分に確保することができ、しかも摺動抵抗が増大することの無い内刃8を備える電気かみそりを得ることができる。
隣り合う刃穴53の間に設けられた剪断面60同士が交差する交差部55の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第2補強体65bが設けられた形態を採ることができる。このように交差部55に第2補強体65bを設けると、切断時に応力が集中する交差部55の断面面積を大きくして、当該交差部55の構造強度の向上を図ることができる。なお、第1補強体65aと同様に、第2補強体65bも側面62の下方部分に設けられているため、第2補強体65bが外刃7に接触することはなく、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が増加するおそれは無い。
小刃51側の第1補強体65aと交差部55の第2補強体65bとが分断されていると、当該分断部分に応力が集中して、内刃8が破損するおそれがある。これに対して、第1補強体65aと第2補強体65bとを連続させていると、分断部分から内刃8が破損することを防ぐことができる。
第1補強体65aおよび/又は第2補強体65bの上部に、剪断面60から段落ちする段落ち空間66が形成されており、この段落ち空間66に上方に向かって突出する縦リブ67が部分的に形成されている形態を採ることができる。これによれば、縦リブ67を設けた分だけ小刃51の断面面積を大きくすることができるので、小刃51の構造強度を向上させることができる。なお、縦リブ67は第1補強体65a、或いは第2補強体65bの上部に部分的に形成されているため、縦リブ67の外刃7への接触面積は小さく、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗の増加は僅かである。
少なくとも第1補強体65aおよび/又は第2補強体65bの上部に、光触媒69が固定されていると、光触媒69に由来する有機物分解作用によって内刃8に付着の有機物を分解できるので、内刃8を衛生的な状態に維持することができる。有機物の酸化や発酵に伴う異臭の発生も解消することができる。
内刃8を構成する回転軸体29を、軸本体30と、回転軸方向に並ぶ複数のディスク31とを備えるものとし、これら複数のディスク31のうちの一部のディスク31を、切欠き44を備える偏心ディスク31bとする。これによれば、内刃8が軸本体30まわりに回転駆動されたときに、偏心ディスク31bの慣性モーメントによって振動を発生させて、内刃8を強制的に振動させることができる。また、かかる内刃8の振動により、外刃7を含むかみそりヘッド2も前後、上下方向を含む、偏心ディスク31bの回転平面の全方位方向へ振動させることができる。したがって、かみそりヘッド2の振動によって肌面に倒れこんだ癖ひげを起こし、あるいは肌面と直交する向きに外刃7を振動させることができるので、ひげを皮膚の表面に突出させて、ひげをより速やかに、しかもより短く切断でき、従来の一般的な電気かみそりに比べてひげ切断を効果的に行える。ひげを深剃りできる(短く切断できる)利点もある。内刃8を振動させるための専用の駆動要素が不要であり、内刃8の振動機構を与えたことに伴う電気かみそりの製造コストの上昇を抑えることができる点でも優れている。
回転軸体29を構成するディスク31が、切断刃が固定される真円板状の支持ディスク31aと、これら支持ディスク31aの間に形成される、切欠き44を備える偏心ディスク31bとで構成されていると、真円板状の支持ディスク31aにより切断刃32を確実に支持することができるので、切断刃32の真円度をより安定的に保持することができる。したがって、切断時における内刃8の変形を抑えて、信頼性に優れた電気かみそりを得ることができる。
このように切欠き44を備える偏心ディスク31bが回転軸体に装着されていると、内刃8を水中で回転駆動させたとき、偏心ディスク31bにより切断刃32の内部に水流を発生させることができ、この水流を切断刃32の内面や回転軸体29に衝突させることにより、これら切断刃32等に付着した付着物を除去する効果が期待できる。すなわち、偏心ディスク31bに水流攪拌機能を与えて、当該ディスク31bにより発生された水流により、切断刃32の内面や回転軸体29に付着した付着物を効果的に除去することが可能となる。また、別途水流攪拌具を設ける形態に比べて、水流攪拌機構の構造の簡素化を図って、電気かみそりの製造コストを低減できる。
かみそりヘッド2が、外刃7をアーチ状に保形する支持体27を備えるものとし、回転軸体29を構成する軸本体30が、支持体27に支持されて、内外刃8・7がユニット部品化されている形態を採ることができる。これによれば、回転軸体29の回転に伴って発生する振動が支持体27を介して外刃7にも付与されることで、内外刃8・7を同期して振動させることができる。以上より、内刃振動機構を与えたことに伴って内外刃8・7、特に外刃7の耐久性が低下することを効果的に防ぐことができる。すなわち、外刃7が振動しない形態では不可避となる、内刃8が縦方向に振動することによって、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が大きくなることに起因する内外刃7・8の摩耗を抑えることができる。また、内外刃7・8がユニット部品化されていると、これら内外刃7・8の交換が容易となり、メンテナンス性に優れた電気かみそりを実現できる。
かみそりヘッド2が、外刃7を支持する外刃支持体70と、内刃8を支持する内刃支持体71とを備え、両支持体70・71が別々にヘッドケース5に装着されている形態を採ることができる。これによれば、内刃支持体71、ヘッドケース5および外刃支持体70を介して、回転軸体29の回転に伴って発生する振動を外刃7にも付与して、内外刃8・7を非同期状態で振動させることができる。これにより、内刃8の剪断面60と外刃7の内面との間に微小な隙間を不規則に発生させて、両者間にひげの切断屑が膠着するのを防止できる。したがって、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が大きくなることに起因するモーター10の負荷の上昇を抑えることができる。
かみそりヘッド2が、上下にフローティングするように弾性支持されている形態を採ることができる。これによれば、かみそりヘッド2には浮動方向(上下方向)へ振動する傾向が生じ、かみそりヘッド2の浮動動作と、偏心ディスク31bによる振動動作とが融合された動きで外刃7に接する肌面を震わせることができるので、かみそりヘッド2の振動によって肌面に倒れこんだ癖ひげを起こし、あるいは肌面を震わせてひげを皮膚の表面に突出させることができる。したがって、ひげをより速やかに、しかもより短く切断でき、従来の一般的な電気かみそりに比べてひげ切断を効果的に行える。かみそりヘッド2がフローディングすることで、回転軸体29の軸本体30を支持する軸受部の負担を小さくしながら、回転軸体29の上下方向の振動幅を大きくすることができ、ひげをより深く剃ることができる。かみそりヘッド2が弾性支持されているので、かみそりヘッド2を振動させながら、その振動が本体部1へ伝わるのを防止することができる。したがって、本体部1を握る手に振動が伝わるのを確実に防止できる。
(第1実施例) 図1乃至図8に、本発明に係る電気かみそりをロータリー式の電気かみそりに適用した第1実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2、図3および図4に示すように、本実施例に係る電気かみそりは、本体部1と、後述するフロート機構Fを介して本体部1で支持されるかみそりヘッド2とで構成される。本体部1の前面には、後述するモーター10をオン/オフ操作するための電源スイッチ3が配置され、本体部1の後面側にはきわ剃りユニット(図示せず)が配置されている。本体部1の内部には、2次電池4や図外の回路基板などが組み込まれている。
図4に示すように、かみそりヘッド2は、ヘッドケース5と、ヘッドケース5の下面に固定されるモーターホルダー6などを主な外殻構造体にして構成される。ヘッドケース5には、外刃7と内刃8とからなる切断部9と、モーター10の回転動力を内刃8に伝動する内刃駆動機構11などが設けられている。モーターホルダー6内には、出力軸12が縦方向に向く姿勢でモーター10が収容されている。内刃駆動機構11は、モーター10の縦軸まわりの回転動力を左右軸まわりの回転動力に変換する出力ギヤ14およびフェースギヤ15と、フェースギヤ15の回転動力を軸本体30に固定した受動ギヤ16に伝動するギヤトレイン17とで構成される。モーター10の駆動力を受けて、内刃8は図3において矢印で示す向き(反時計回転方向)に回転駆動される。
図4に示すように、かみそりヘッド2を支持するフロート機構Fは、本体ケース1の上端に内向きに突設形成されて、かみそりヘッド2の抜け止めを図る規制座20と、該規制座20の下方に配置されたばね受座21と、モーターホルダー6の底部に外向きに突設形成された左右一対の装着片22・22と、これらばね受座21と装着片22との間に配置された左右一対の圧縮コイル形のフロートばね23・23とで構成される。このフロートばね23・23でモーターホルダー6を押し上げ付勢することにより、かみそりヘッド2の全体は少なくとも上下に移動可能に、本実施形態に係るフロート機構においては、上下動だけでなく、左右傾動可能に支持されている。かみそりヘッド2の上方への移動限界は、装着片22が規制座20の下面に接触することで規制される。
図4に示すように、外刃7と内刃8とからなる切断部9は、刃ユニット25としてユニット部品化された状態でヘッドケース5に対して脱着可能に装着されている。ヘッドケース5には、刃ユニット25を装着するためのユニット支持台26が形成されており、これら刃ユニット25とヘッドケース5との間には、ユニット支持台26に装着した刃ユニット25を分離不能に固定保持するためのロック構造が設けられている。
刃ユニット25は、シート状の網刃である外刃7と、ロータリー刃構造の内刃8と、これら外刃7と内刃8を支持する支持フレーム(支持体)27と、内刃8の一側端に固定される受動ギヤ16などで構成される。外刃7は、エッチング法あるいは電鋳法で形成されており、その前後縁が支持フレーム27に支持されて、逆U字状に保形されている。回転刃である内刃8は、左右方向に伸びる横軸である軸本体30と、回転軸方向に並ぶ複数のディスク31とで構成される回転軸体29と、ディスク31の周囲に固定された切断刃32とで構成される。
図4に示すように、支持フレーム27は左右横長のベース壁34と、ベース壁34の左右の両側上面に突設される軸受壁35・35とを一体に備えた、左右に長い逆門形のプラスチック成形品であり、一対の軸受壁35・35に設けた軸受体35a・35aで軸本体30の左右両端部を支持することにより、内刃8を回転自在に支持している。軸受壁35から突出する内刃8の軸本体30には、ギヤトレイン17に噛み合う受動ギヤ16が装着されている。
ロック構造はヘッドケース5内で左右スライド可能に支持されるロック枠36と、ロック枠36をロック付勢するロックばね37と、ロック枠36の上面に突設された左右一対のロック爪38・38と、これらロック爪38・38に対応して、支持フレーム27のベース壁34の下面に設けられる係合爪39・39などで構成する。ロック枠36の側方側にはロック解除用のノブ40が設けられており、このノブ40はヘッドケース5の側面から露出されている。刃ユニット25をヘッドケース5のユニット支持台26に装着した状態では、ユニット支持台26に設けられた通孔41を介してヘッドケース5内に進入した係合爪39が、ロック爪38と係合することで、刃ユニット25はヘッドケース5にロック固定される。この状態からノブ40をロックばね37の付勢力に抗して押込み操作すると、ロック枠36およびロック爪38が右方へスライド移動されるので、ロック爪38と係合爪39との係合を解除して、刃ユニット25をヘッドケース5のユニット支持台26から取り外すことができる。
上述のように、内刃8は、回転軸体29と、回転軸体29に固定される円筒状の切断刃32とで構成される。より具体的には、図8に示すように、回転軸体29は、軸本体30と、軸本体30に圧嵌固定される計9個のディスク31とで構成される。ディスク31は円盤状の5枚の支持ディスク31aと、切欠き44を備える偏心ディスク31bとで構成されており、回転軸方向に沿って支持ディスク31aと偏心ディスク31bとが交互に配置されている。このような偏心ディスク31bを内刃8に設けることにより、内刃8に起振構造を付与することができる。
軸本体30は丸軸状のマルテンサイト系のステンレス鋼材である。支持ディスク31aはオーステナイト系のステンレス鋼材からなる板材に打抜き加工を施して円盤状に形成してなるものであり、その中央には軸本体30の挿通を許す装填穴43が形成されている。支持ディスク31aの周面は、切断刃32を受ける刃受面とされており、この刃受面に円筒状の切断刃32が溶接固定される。
偏心ディスク31bは、支持ディスク31aよりも小径に設定された周面を備える円盤を基体として、該円盤の一部に扇形の切欠き44を形成してなるものであり、支持ディスク31aよりも小径の周面を有する大径部45と、該周面よりも小径の周面を有する小径部46とを備える。偏心ディスク31bも支持ディスク31aと同様に、オーステナイト系のステンレス板材に打抜き可能を施してなるものである。偏心ディスク31bには、支持ディスク31aと同様の装填穴43が設けられている。以上のような偏心ディスク31bは、重心が軸本体30の中心から離れた偏心位置に位置する状態で、軸本体30の回転に伴って偏心回転される。
なお、これら支持ディスク31aは、ステンレス製の所定の直径値の丸棒に切削加工を施して、所定の直径値の施削ブランクを形成したのち、得られた施削ブランクの中央に施削加工あるいはドリル加工を施して装填穴43を形成し、最後に、得られた長尺のブランクを突っ切りバイトで所定の幅に切断して作成することができる。支持ディスク31aはステンレス板材にエッチングを施して作成することもできる。
偏心ディスク31bは、上述の支持ディスク31aの作成方法と同様に、所定の直径値の施削ブランクの中央に装填穴43を形成したのち、該装填穴43の形成に前後して、施削ブランクの周囲にブローチ加工を施して切欠き44を形成し、最後に、得られた長尺のブランクを突っ切りバイトで所定の幅に切断して作成することができる。偏心ディスク31bはステンレス板材にエッチングを施して作成することもできる。
このように偏心ディスク31bの重心が軸本体30に対して偏心されていると、モーター10の駆動力を受けて内刃8が軸本体30まわりに回転駆動されたときに、偏心ディスク31bの慣性モーメントによって振動を発生させて、内刃8を強制的に振動させることができる。また、かかる内刃8の振動により、外刃7を含むかみそりヘッド2も前後、上下方向を含む、偏心ディスク31bの回転平面の全方位方向へ振動させることができる。このとき、かみそりヘッド2はフロート構造で支持されているため、かみそりヘッド2には浮動方向(上下方向)へ振動する傾向が生じ、かみそりヘッド2の浮動動作と、偏心ディスク31bによる振動動作とが融合された動きで外刃7に接する肌面を震わせることができる。
上記のような起振構造を備えた電気かみそりによれば、かみそりヘッド2の振動によって肌面に倒れこんだ癖ひげを起こし、あるいは肌面と直交する向きに外刃7を振動させることにより、ひげを皮膚の表面に突出させることができるので、ひげをより速やかに、しかもより短く切断でき(深剃りでき)、従来の一般的な電気かみそりに比べてひげ切断を効果的に行える。さらに、かみそりヘッド2がフロートばね23を含むフロート機構Fで少なくとも上下動可能に支持されているので、かみそりヘッド2を振動させながら、その振動が本体部1へ伝わるのを防止することができる。したがって、本体部1を握る手に振動が伝わるのを確実に防止できる。
少なくとも上下動可能に支持されたかみそりヘッド2を、上下振動させて肌面を外刃7で震わせることにより深剃りできる利点もある。起振構造で発生した振動を、かみそりヘッド2を介して外刃7に伝え、外刃7に密着する肌面を震わせるので、外刃7を内刃8に密着させた状態のままで、肌面に振動を与えながらひげ切断を行える。つまり、切れ味を維持した状態のままで、肌面を震わせて効果的にひげ切断を行うことができる。また、内刃8の振動に伴って外刃7を共振させることができるので、内刃8のみが振動する形態では不可避となる、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が大きくなることに起因する両刃7・8の摩耗を抑えることができる。したがって、両刃7・8の耐久性が低下することを効果的に防ぐことができる。
また、内刃8に切欠き44を備える偏心ディスク31bを設けると、内刃8を水中で回転駆動させたとき、切断刃32の内部に水流を発生させることができる。この水流を切断刃32の内面、回転軸体29に衝突させることにより、これらに付着する付着物を効果的に除去できる。切断刃32の内部から水流を発生させるので、切断刃32の内面や回転軸体29に付着した付着物を効果的に除去できる。別途水流攪拌具を設ける形態に比べて、水流攪拌機構の構造の簡素化を図って、電気かみそりの製造コストを低減できる。
切断刃32は、マルテンサイト系のステンレス板材にエッチング加工を施し、さらにロール加工(塑性加工)を施して円筒状に形成される。図5に示すように、エッチング加工を施したシート状ブランク50には、リブ状の小刃51の一群と、小刃51で囲まれる菱形の刃穴53の一群と、これらの周囲を囲む周枠54とが形成されており、展開状態のシート状ブランク50の全体はエキスパンドメタル状の外観を呈している。小刃51は、第1小刃51aの一群と、該第1小刃51aと異なる方向に伸びる第2小刃51bの一群とで構成される。
第1小刃51aの一群と第2小刃51bの一群とは、それぞれ回転軸体29の中心軸に対して傾斜する状態で形成されている。換言すれば、図1に示すように、第1小刃51aの一群と第2小刃51bの一群とは、共に内刃8の回転方向(図1において白抜き矢印で示す方向)に対して傾斜する状態で形成されている。各刃穴53を区画する第2小刃51bの内縁は平行とされているのに対して、第1小刃51aの内縁は非平行に位置ズレして形成されている。以上より、刃穴53は、第2小刃51bで区画される短辺が平行で、第1小刃51aで区画される長辺が位置ズレした千鳥状に配置されている。換言すれば、第2小刃51bの伸び方向で規定される小刃穴の一群を「列」としたとき、第1小刃51aで区画される刃穴53の長辺位置は、隣り合う「列」を構成する刃穴53の長辺位置と一致しておらず、各刃穴53は、隣り合う「列」を構成する刃穴53に対して長辺位置が相互にずれた千鳥状に配置されている。このように、各刃穴53を千鳥状に配置することにより、隣り合う「列」を構成する刃穴53との間には、第1小刃51aと第2小刃51bとが交差する三叉路状の交差部55が形成される。
図1に示すように、各刃穴53の四周縁のうち、内刃8の駆動方向の下流側に位置する二つの周縁は、波状に屈曲されている。より具体的には、各刃穴53の下流側切断領域に位置する第1小刃51a、および第2小刃51bは、内凹み湾曲状の凹縁部56と外凸湾曲状の凸縁部57とが交互に連続する波形の屈曲形状に形成されている。これに対して、各小刃の上流側切断領域に位置する第1小刃51a、および第2小刃51bはストレート状に形成されている。
図6(a)〜(c)に示すように、小刃51の基本的な断面形状は、外刃7の内面に接する剪断面60と、剪断面60の下方側に位置する非剪断面61と、これら面60・61の側縁間を?ぐ側面62とで構成される。剪断面60の下流側切断領域に位置する側縁には、剪断面60と側面62とに挟まれる鋭角の切刃63が形成され、この切刃63が外刃7と協同してひげを切断する。以上のように、小刃51(第1小刃51a、および第2小刃51b)の下流側切断領域を、平面視で凹縁部56と凸縁部57とが交互に連続する波形に形成すると、これら凹縁部56と凸縁部57との間に形成される傾斜する切刃63により、ひげを引き切りすることができるので、シャープな切れ味が発揮される。
このように、小刃51(第1小刃51a、および第2小刃51b)の下流側切断領域を波状に湾曲させて、凹縁部56を形成すると、凹縁部56を形成した分だけ、小刃51の断面面積が小さくなり、小刃51の構造強度が低下することが避けられない(図6(b)参照)。より具体的には、縦断側面視における、剪断面60の側縁60aで規定される小刃51の断面面積が、凹縁部56を形成した分だけ小さくなるため、その構造強度が低下することが避けられない。かかる不具合を解消するため、図1、図6(b)および図7に示すように、剪断面60を挟んで切刃63の形成箇所の反対側に位置する側面62の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第1補強体65aを設けている。これにより、第1補強体65aの分だけ小刃51の断面面積を大きくすることができるので、凹縁部56を形成したことに伴う断面面積の低下を補って、小刃51の構造強度が低下することを防ぐことができる。また、小刃51の曲げ強度を向上して、内刃8の耐久性を向上できる。
また、上記のように、側面62の下方部分に剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出させて第1補強体65aを形成したため、該第1補強体65aの上方には、剪断面60に対して段落ちした段落ち空間66が形成される。このため、第1補強体65aの上面が外刃7に接触することは無く、第1補強体65aを設けたことに伴って、内刃8の外刃7に対する摺動抵抗が増加する不都合は生じない。
図1、図6(a)および図7に示すように、第1補強体65aの上面には、段落ち空間66を部分的に埋めるように縦リブ67が形成されている。縦リブ67の上面位置は、剪断面60と一致している。このように縦リブ67を設けると、小刃51の断面面積をさらに大きくすることができるので、小刃51の構造強度のさらなる向上が期待できる。また、縦リブ67は、第1補強体65aに部分的に形成されているため、縦リブ67を設けたことに伴う内刃8の摺動抵抗の増加は僅かである。
図6(c)に示すように、第1小刃51aと第2小刃51bとが交差する三叉路状の交差部55の下方には、第1補強体65aと同様に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第2補強体65bが設けられている。このように交差部55に進入するように第2補強体65bが設けられていると、この第2補強体65bの分だけ交差部55の断面面積を大きくすることができるので、当該交差部55の構造強度を大きくすることができる。なお、第1補強体65aと同様に、第2補強体65bも側面62の下方部分に設けられているため、第2補強体65bが外刃7に接触することはなく、摺動抵抗が増加するおそれは無い。
図1に示すように、第1補強体65aと第2補強体65bとは連続されている。このように両補強体65a・65bが連続されていると、両補強体65a・65bの分断部分に応力が集中して切断刃32が破損することを効果的に防ぐことができる。
図3に示すように、小刃51の表面には光触媒69が固定されている。かかる光触媒69は、少なくとも第1補強体65aおよび/又は第2補強体65bの上部に固定されている。これによれば、光触媒69に由来する有機物分解作用によって内刃8に付着の有機物を分解できるので、内刃8を衛生的な状態に維持することができる。有機物の酸化や発酵に伴う異臭の発生も解消することができる。
(第2実施例) 図9に本発明の第2実施例を示す。この第2実施例では、外刃7と内刃8のそれぞれを、別々にヘッドケース5に装着した点が、先の第1実施例と相違する。すなわち、この第2実施例では、外刃7が外刃ホルダー(外刃支持体)70に保持されており、回転刃である内刃8が内刃ホルダー(内刃支持体)71に保持されており、これら外刃ホルダー70と内刃ホルダー71が、別々にヘッドケース5に装着されている。
この第2実施例においても、先の第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、モーター10の駆動力を受けて内刃8が軸本体30まわりに回転駆動されたときに、偏心ディスク31bの慣性モーメントによって振動を発生させて、内刃8を強制的に振動させることができる。また、かかる内刃8の振動により、内刃ホルダー71等を介して外刃7を含むかみそりヘッド2も前後、上下方向を含む、偏心ディスク31bの回転平面の全方位方向へ振動させることができる。このとき、かみそりヘッド2はフロート構造で支持されているため、該かみそりヘッド2には、浮動方向(上下方向)へ振動する傾向が生じ、かみそりヘッド2の浮動動作と、偏心ディスク31bによる振動動作とが融合された動きで外刃7に接する肌面を震わせることができる。また、浮動支持されたかみそりヘッド2を、浮動方向へ上下振動させて肌面を外刃7で震わせることにより深剃りできる利点もある。起振構造で発生した振動を、かみそりヘッド5および外刃ホルダー70を介して外刃7に伝え、外刃7に密着する肌面を震わせるので、外刃7を内刃8に密着させた状態のままで、肌面に振動を与えながらひげ切断を行える。つまり、切れ味を維持した状態のままで、肌面を震わせて効果的にひげ切断を行うことができる。また、内外刃8・7を非同期状態で振動させることができるので、内刃8の剪断面60と外刃7の内面との間に微小な隙間を不規則に発生させて、両者間にひげの切断屑が膠着するのを防止できる。これにより、外刃7に対する内刃8の摺動抵抗が大きくなることに起因するモーター10の負荷の上昇を抑えることができる。
(第3実施例) 図10および図11に本発明の第3実施例を示す。この第3実施例では、真円盤状の支持ディスク31aを廃して、回転軸体29を構成するディスク31を、切欠き44を有する偏心ディスク31bのみで構成した点が先の第1実施例と相違する。この第3実施例の偏心ディスク31bは、円盤状のディスクに対して内凹み状の切欠き44を形成してなるものであり、各偏心ディスク31bの重心は軸本体30に対して偏心されている。偏心ディスク31bの最外周面は、切断刃32を受ける刃受面とされており、この刃受面に円筒状の切断刃32が溶接固定される。
本実施例においては、回転軸体29は、5個の偏心ディスク31bを備えるものとなっている。軸本体30に対する偏心ディスク31bの周方向の固定姿勢は、切欠き44の位置が一致する同一姿勢とされている。このように各偏心ディスク31bの周方向の固定姿勢を同一姿勢としていると、各偏心ディスク31bの偏心回転によって生じる偏心ディスク31bの振動を同調させることができるので、より大きな振動モーメントを内刃8と外刃7に付与することができる。
(第4実施例) 図12〜図15に本発明の第4実施例を示す。この第4実施例では、第1実施例に係る小刃51の形態をレシプロ式の電気かみそりに適用している。図12において、電気かみそりは、本体部1と、フロート機構Fを介して本体部1で支持されるかみそりヘッド2とで構成される。本体部1の前面には、モーター10をオン/オフ操作するための電源スイッチ3が配置されて、本体部1の後面側にはきわ剃りユニット(図示せず)が配置されている。本体部1の内部には、2次電池4や図外の回路基板などが組み込まれている。
かみそりヘッド2は、ヘッドケース5と、その下部に固定されるモーター10と、かみそりヘッド2の上部に配置される切断部9と、モーター10の動力を切断部9に伝動する駆動構造と、ヘッドケース5に対して着脱される外刃ホルダー70などで構成される。かみそりヘッド2は、本体部1との間に設けられたフロート機構Fにより、上下動可能に支持されている。かかるフロート機構Fの構造は、第1実施例と同様である。
切断部9は、左右横長の外刃7と、外刃7の内面に沿って左右に往復駆動される左右横長の内刃8とで構成される。外刃7は電鋳法或いはエッチング法で形成されるシート状の網刃からなり、先の外刃ホルダー70で逆U字状に保形されている。内刃8は、図13に示すような内刃ブランク75にプレス加工を施して、逆U字状に折り曲げたスリット刃であり、内刃ホルダー71に固定されて逆U字状に保形されている。内刃ブランク75はエッチング法で形成される。
内刃8を往復駆動する駆動構造は、モーター10の出力軸12に固定される偏心カム76と、振動子77と、振動子77の上部中央に突設される駆動軸78とで構成される。モーター10の回転動力は、偏心カム76と振動子77とで往復動力に変換され、駆動軸78を介して内刃8に伝動される。内刃8は、振動子77と内刃ホルダー71との間に配置された圧縮コイル形のばね79で押し上げ付勢されており、外刃7の内面に常に密着している。
図13に示すように、内刃ブランク75は、左右横長のシート体からなる。内刃ブランク75は、シート体の面壁の前後辺部に沿って、内刃ホルダー71に装着される装着壁80・80を有し、両装着壁80・80の間には、リブ状の小刃51の一群と、小刃51で囲まれる菱形の刃穴53の一群とが形成されており、展開状態のシート状ブランク50の全体はエキスパンドメタル状の外観を呈している。小刃51は、右斜め上方に向かって伸びる第1小刃51aの一群と、左斜め上方に向かって伸びる第2小刃51bの一群とで構成され、刃穴53の間には、第1小刃51aと第2小刃51bとが交差する四叉路状の交差部55が形成される。内刃ブランク75のシート状の長辺部の左右(四隅)には、それぞれ内刃ホルダー71の突起に係合する切欠82がコ字状に形成されている。
図14に示すように、各刃穴53の四周縁の全ては、波状に屈曲されている。すなわち、各刃穴53を区画する第1小刃51a、および第2小刃51bは、内凹み湾曲状の凹縁部56と外凸湾曲状の凸縁部57とが交互に連続する波形の屈曲形状に形成されている。図15(a)に示すように、小刃51の基本的な断面形状は、外刃7の内面に接する剪断面60と、剪断面60の下方側に位置する非剪断面61と、両面60・61の側縁間を?ぐ側面62とで構成される。剪断面60の左右両側縁のそれぞれには、剪断面60と側面62とに挟まれる切刃63が形成され、これら切刃63が外刃7と協同してひげを切断する。
このように、小刃51(第1小刃51a、および第2小刃51b)の下流側切断領域を波状に湾曲させて、凹縁部56を形成すると、凹縁部56を形成した分だけ、小刃51の断面面積が小さくなり、小刃51の構造強度が低下することが避けられない(図15(a)参照)。より具体的には、縦断側面視における、剪断面60の側縁60aで規定される小刃51の断面面積が、凹縁部56を形成した分だけ小さくなるため、その構造強度が低下することが避けられない。かかる不具合を解消するため、図14および図15(a)に示すように、剪断面60を挟んで切刃63の形成箇所の反対側に位置する側面62の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第1補強体65aを設けている。これにより、第1補強体65aの分だけ小刃51の断面面積を大きくすることができるので、凹縁部56を形成したことに伴う断面面積の低下を補って、小刃51の構造強度が低下することを防ぐことができる。また、小刃51の曲げ強度を向上して、内刃8の耐久性を向上できる。
また、上記のように、側面62の下方部分に剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出させて第1補強体65aを形成したため、該第1補強体65aの上方には、剪断面60に対して段落ちした段落ち空間66が形成される。このため、第1補強体65aの上面が外刃7に接触することは無く、第1補強体65aを設けたことに伴って、内刃8の外刃7に対する摺動抵抗が増加する不都合は生じない。
図14および図15(b)に示すように、第1小刃51aと第2小刃51bとが交差する交差部55は、外刃7の内面に接する剪断面60と、剪断面60の下方側に位置する非剪断面61と、これら面60・61の側縁間を?ぐ側面62・62とで構成される。剪断面60の両側縁には、剪断面60と側面62とに挟まれる鋭角の切刃63が形成され、この切刃63が外刃7と協同してひげを切断する。図14および図15(c)に示すように、第1小刃51aと第2小刃51bとが交差する四方路状の交差部55の下方には、第1補強体65aと同様に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する第2補強体65bが設けられている。このように交差部55に進入するように第2補強体65bが設けられていると、この第2補強体65bの分だけ交差部55の断面面積を大きくすることができるので、当該交差部55の構造強度を大きくすることができる。なお、第1補強体65aと同様に、第2補強体65bも側面62の下方部分に設けられているため、第2補強体65bが外刃7に接触することはなく、摺動抵抗が増加するおそれは無い。
図14に示すように、第1補強体65aと第2補強体65bとは連続されている。このように両補強体65a・65bが連続されていると、両補強体65a・65bの分断部分に応力が集中して切断刃32が破損することを効果的に防ぐことができる。
(第5実施例) 図16および図17に、本発明の第5実施例に係る電気かみそりを示す。この第5実施例では、内刃8の形態のみが第4実施例と相違する。図16に示すように、内刃8を構成する内刃ブランク75は左右横長のシート体からなり、シート体の面壁の前後辺部に沿って、内刃ホルダー71に装着される装着壁80・80を有し、両装着壁80を?ぐ前後方向に長いリブ状の小刃51と、隣接する小刃51の間に形成された刃穴53とを左右方向へ交互に設けて形成してある。内刃ブランク75のシート状の長辺部の左右(四隅)には、それぞれ内刃ホルダー71の突起に係合する切欠82がコ字状に形成されている。
図17に示すように、小刃51の基本的な断面形状は、外刃7の内面に接する剪断面60と、剪断面60の下方側に位置する非剪断面61と、両面60・61の側縁間を?ぐ側面62とで構成される。剪断面60の左右両側縁のそれぞれには、剪断面60と側面62とに挟まれる切刃63が形成され、これら切刃63が外刃7と協同してひげを切断する。図16に示すように、小刃51の平面視形状は、内凹み湾曲状の凹縁部56と外湾曲状の凸縁部57とが交互に連続する波形の屈曲形状に形成されている。すなわち、小刃51の切刃63は、凹縁部56と凸縁部57とが交互に連続する波形の屈曲形状とされている。
このように、小刃51の切刃63を波状に湾曲させて凹縁部56を形成すると、凹縁部56を形成した分だけ、小刃51の断面面積が小さくなり、小刃51の構造強度が低下することが避けられない。より具体的には、図17(b)に示すように、縦断側面視における、剪断面60の側縁60aで規定される小刃51の断面面積が、凹縁部56を形成した分だけ小さくなるため、その構造強度が低下することが避けられない。かかる不具合を解消するため、本実施例では、図16および図17(a)・(b)に示すように、側面62の下方部分に、剪断面60の側縁よりも側方側に突出する補強体65を設けている。これにより、補強体65の分だけ小刃51の断面面積を大きくすることができるので、凹縁部56を形成したことに伴う断面面積の低下を補って、小刃51の構造強度が低下することを防ぐことができる。また、小刃51の曲げ強度を向上して、内刃8の耐久性を向上できる。
また、上記のように、側面62の下方部分に剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出させて補強体65を形成したため、該補強体65の上方には、剪断面60に対して段落ちした段落ち空間66が形成される。このため、補強体65の上面が外刃7に接触することは無く、補強体65を設けたことに伴って、内刃8の外刃7に対する摺動抵抗が増加する不都合は生じない。
(第6実施例) 図18乃至図21に本発明の第6実施例を示す。この第6実施例では、第1実施例に係る小刃51の形態を、縦軸まわりに内刃8が回転する内刃回転式の電気かみそりに適用している。図18において電気かみそりは、本体部1と、フロート機構Fを介して本体部1で支持されるかみそりヘッド2とで構成される。本体部1の前面には、モーター10をオン/オフ操作するための電源スイッチ3が配置されている。本体部1の内部には、2次電池4や図外の回路基板などが組み込まれている。
かみそりヘッド2は、ヘッドケース5と、その下部に固定されるモーター10と、かみそりヘッド2の上部に配置される切断部9と、モーター10の動力を切断部に伝動する駆動構造と、ヘッドケース5に対して着脱される外刃ホルダー70などで構成される。かみそりヘッド2は、本体部1との間に設けられたフロート機構Fにより、上下動可能に支持されている。かかるフロート機構Fの構造は、第1実施例と同様である。
切断部9は、ドーム形状に形成した網目状の外刃7と、この外刃7を保持して、ヘッドケース5の上部に着脱自在にねじ込み装着される外刃ホルダー70と、モーター10の出力軸12に接続される内刃ホルダー71と、内刃ホルダー71に保持される内刃8とからなる。モーター10の駆動力を受けて、内刃8は図19に示す白抜き矢印方向に回転駆動される。
図18に示すように、内刃8は、側方視において外刃7の内面に沿うドーム形状に形成されており、ドームの頂点部90から等間隔を置いて放射状に伸びる6本のリブ状の小刃51と、小刃51の外端部を保持する円リング状の装着壁91とで構成されており、これら小刃51と装着壁91との間には、計6個の刃穴53が形成されている。かかるドームの頂点部90が、小刃51が交差する交差部55となっている。
図19および図20に示すように、各小刃51の下流側切断領域に位置する縁辺部は、内凹み湾曲状の凹縁部56と外凸湾曲状の凸縁部57とが交互に連続する波形の屈曲形状に形成されている。これに対して、各小刃51の上流側切断領域に位置する縁辺部は、ストレート状に形成されている。
図21(b)に示すように、小刃51の基本的な断面形状は、外刃7の内面に接する剪断面60と、剪断面60の下方側に位置する非剪断面61と、両面60・61の側縁間を?ぐ側面62とで構成される。剪断面60の下流側切断領域に位置する側縁には、剪断面60と側面62とに挟まれる鋭角の切刃63が形成され、この切刃63が外刃7と協同してひげを切断する。
このように、小刃51の切刃63を波状に湾曲させて凹縁部56を形成すると、凹縁部56を形成した分だけ、小刃51の断面面積が小さくなり、小刃51の構造強度が低下することが避けられない。より具体的には、図21(b)に示すように、縦断側面視における、剪断面60の側縁60aで規定される小刃51の断面面積が、凹縁部56を形成した分だけ小さくなるため、その構造強度が低下することが避けられない。かかる不具合を解消するため、本実施例では、図20および図21(a)・(b)に示すように、側面62の下方部分に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する補強体65(第1補強体65a)を設けている。これにより、第1補強体65aの分だけ小刃51の断面面積を大きくすることができるので、凹縁部56を形成したことに伴う断面面積の低下を補って、小刃51の構造強度が低下することを防ぐことができる。また、小刃51の曲げ強度を向上して、内刃8の耐久性を向上できる。
また、上記のように、側面62の下方部分に剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出させて第1補強体65aを形成したため、該第1補強体65aの上方には、剪断面60に対して段落ちした段落ち空間66が形成される。このため、第1補強体65aの上面が外刃7に接触することは無く、第1補強体65aを設けたことに伴って、内刃8の外刃7に対する摺動抵抗が増加する不都合は生じない。
図20および図21(a)に示すように、補強体65の上面には、段落ち空間66を部分的に埋めるように縦リブ67が形成されている。縦リブ67の上面位置は、剪断面60と一致している。このように縦リブ67を設けると、小刃51の断面面積をさらに大きくすることができるので、小刃51の構造強度のさらなる向上が期待できる。また、縦リブ67は、第1補強体65aに部分的に形成されているため、縦リブ67を設けたことに伴う内刃8の摺動抵抗の増加は僅かである。
図20に示すように、小刃51が交差する交差部55の下方には、第1補強体65と同様に、剪断面60の側縁60aよりも側方側に突出する補強体65(第2補強体65b)が設けられている。このように交差部55に進入するように第2補強体65bが設けられていると、この第2補強体65bの分だけ交差部55の断面面積を大きくすることができるので、当該交差部55の構造強度を大きくすることができる。なお、第1補強体65aと同様に、第2補強体65bも側面62の下方部分に設けられているため、第2補強体65bが外刃7に接触することはなく、摺動抵抗が増加するおそれは無い。