JP2013202052A - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、サイドシール部13における少なくとも縦方向の一部に、四層以下の不織布からなるとともにその少なくとも前後面をなす各不織布が1kgf荷重伸び4.5%以上の易伸長不織布からなる易伸長領域14を有しており、少なくとも易伸長領域14における幅方向全体、幅方向の一部、又は幅方向内側隣接部が、易伸長不織布の内面に塗布されたホットメルト接着剤層80により難伸長化されている、ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつにより解決される。
【選択図】図9
Description
<請求項1記載の発明>
前身頃の両側部と後身頃の両側部とが溶着接合されてサイドシール部が形成され、それによってウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記サイドシール部における少なくとも縦方向の一部に、四層以下の不織布からなるとともにその少なくとも前後面をなす各不織布が1kgf荷重伸び4.5%以上の易伸長不織布からなる易伸長領域を有しており、
少なくとも前記易伸長領域における幅方向全体、幅方向の一部、又は幅方向内側隣接部が、易伸長不織布の内面に塗布されたホットメルト接着剤層により難伸長化されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
本発明者は鋭意研究の結果、易伸長不織布の存在により易伸長領域が形成されることが、上記課題の根本原因であるとの知見、及び易伸長領域における易伸長不織布の内面にホットメルト接着剤層を設けることによりホットメルト接着剤による硬質化により難伸長化が可能であるとの知見を得て本発明をなすに至った。すなわち、本発明では、易伸長領域をなす易伸長不織布をホットメルト接着剤層により難伸長化することにより、サイドシール部を剥がすために力を加えたとき、易伸長領域でも(換言すれば、柔軟な素材を用いておむつの肌触りを柔軟にした場合でも)サイドシール部の素材が伸び難くなっているため力がしっかりとサイドシール部に加わり、意図せぬ方向に引き裂かれることなくサイドシール部を剥がすことができる。しかも、この効果はサイドシール部の溶着接合パターンに関係なく発揮されるものである。1kgf荷重伸びの定義は後述のとおりである。
前記易伸長不織布は、ポリプロピレン又はそのコポリマーの不織布である、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
ポリプロピレン又はそのコポリマーの不織布は伸び易く柔軟な肌触りが得られるため好ましい素材であるが、前述したとおり伸び易い素材であり、シール強度が高くなることもあって、サイドシール部を剥がすときに、サイドシール部の素材が伸びて意図せぬ方向に引き裂かれ易い。よって、本発明は、このようなポリプロピレン領域に採用するのが望ましい。
前記サイドシール部における前記前身頃の内部及び後身頃の内部には、幅方向に沿って延在する細長状の幅方向弾性伸縮部材が縦方向に間隔を空けて多数固定されており、かつこの幅方向弾性伸縮部材はその周面に塗布された接着剤のみで固定されている、請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
前述のとおり、この種のパンツタイプ使い捨ておむつでは、外装シートを内側不織布層及び外側不織布層を重ねて構成するとともに、両層の間に細長状弾性伸縮部材を幅方向に沿って固定することにより胴周りに伸縮性を付与しており、この弾性伸縮部材の固定は、近年では外装シートの柔軟性を向上させるために細長状弾性伸縮部材の周面にホットメルト接着剤を塗布するのみで行なっているため、サイドシール部も、細長状弾性伸縮部材の配置部分しかホットメルト接着剤が存在しないことにより柔軟性が高いものとなっている。しかし、これが災いして、上述の場合と同様に、サイドシール部を剥がすために力を加えていくと、溶着接合が剥がれるよりも先に、サイドシール部の素材が伸びて意図せぬ方向に引き裂かれてしまうことがある。よって、本発明の難伸長化はこのような幅方向弾性伸縮部材の固定形態を採用する場合に好適である。
前記溶着接合が超音波シールによってなされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
前述のとおり、超音波シールはヒートシールと比べて溶着部周囲への熱影響が殆どなく、サイドシール部の素材が伸び易く柔軟に仕上がる反面、素材の伸びやすさが災いして、サイドシール部を剥がすために力を加えていくと、溶着接合が剥がれるよりも先に、サイドシール部の素材が伸びて意図せぬ方向に引き裂かれてしまうことがある。よって、本発明の難伸長化は超音波シールを採用する場合に好適である。
前記サイドシール部は、前記易伸長領域のウエスト開口部側に、前記易伸長領域よりも不織布積層数が多い多積層領域を有しており、この多積層領域における前記易伸長領域側の端部から前記易伸長領域までの範囲が前記難伸長化されている、請求項1〜4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
サイドシール部を剥がすために力を加えていくと、サイドシール部における不織布積層数が少なくなる位置で、溶着接合が剥がれるよりも先に、サイドシール部の素材が伸びて意図せぬ方向に引き裂かれ易い。よって、この境界よりもウエスト開口部側から易伸長領域までの範囲に本発明の難伸長化を施すのが好ましい。
図1〜図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シート12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口部WOの縁から後身頃Bのウエスト開口部WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、不透液性バックシート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
不透液性バックシート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。不透液性バックシート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、不透液性バックシート11として用いることができる。
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されてサイドシール部13が形成され、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト端縁から後身頃Bのウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100を表面シート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
不透液性バックシート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における不透液性バックシートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
サイドシール部13は、前身頃Fの外装シート12の両側部と後身頃Bの外装シート12の両側部とがヒートシールや超音波シール等の溶着を伴う接合手段により溶着接合されて形成される。溶着接合パターンは、特に限定されず、図9及び図11に示すようにドット状溶着部13bが千鳥状等に配列されているパターンや、図10及び図12に示すように横方向に沿う所定長さの直線状溶着部13bが縦方向に間隔を空けて並ぶ横縞状パターン等を採用することができる。
用語「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分と背側部分を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。
Claims (5)
- 前身頃の両側部と後身頃の両側部とが溶着接合されてサイドシール部が形成され、それによってウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記サイドシール部における少なくとも縦方向の一部に、四層以下の不織布からなるとともにその少なくとも前後面をなす各不織布が1kgf荷重伸び4.5%以上の易伸長不織布からなる易伸長領域を有しており、
少なくとも前記易伸長領域における幅方向全体、幅方向の一部、又は幅方向内側隣接部が、易伸長不織布の内面に塗布されたホットメルト接着剤層により難伸長化されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。 - 前記易伸長不織布は、ポリプロピレン又はそのコポリマーの不織布である、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記サイドシール部における前記前身頃の内部及び後身頃の内部には、幅方向に沿って延在する細長状の幅方向弾性伸縮部材が縦方向に間隔を空けて多数固定されており、かつこの幅方向弾性伸縮部材はその周面に塗布された接着剤のみで固定されている、請求項1又は2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記溶着接合が超音波シールによってなされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記サイドシール部は、前記易伸長領域のウエスト開口部側に、前記易伸長領域よりも不織布積層数が多い多積層領域を有しており、この多積層領域における前記易伸長領域側の端部から前記易伸長領域までの範囲が前記難伸長化されている、請求項1〜4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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