JP2013200349A - 金属管状体、定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属管状体が加圧部材である回転体との間でニップ領域が形成される際に歪んだ場合でも、金属管状体の回転軸方向におけるクラックが抑制される金属管状体を提供する。
【解決手段】金属管状体は、内周面200及び外周面210の表面粗さが、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下であり、内周面200には、平面201と、複数の凹溝202とが形成され、内周面200のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm以上である。
【選択図】図2
【解決手段】金属管状体は、内周面200及び外周面210の表面粗さが、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下であり、内周面200には、平面201と、複数の凹溝202とが形成され、内周面200のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm以上である。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属管状体、定着装置および画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置では、用紙等の記録媒体上に担持された未定着トナー像を記録媒体上に定着させ、画像にするための工程を定着工程と呼んでいる。前記定着工程として、従来、圧力定着、オーブン定着、および、溶剤定着等の方式が用いられているが、熱が有効に伝えられ、トナー像をより強固に定着させられ、かつ比較的安全である観点から、熱圧力定着法がもっとも一般的に用いられている。この熱圧力定着法は、未定着トナー像が担持された記録媒体を、加熱された2本のロールあるいはベルトにより構成されたニップ内を通過させ、ニップ通過時にロールあるいはベルトによって加熱され溶融状態となった未定着トナー像を、ニップ圧力により記録媒体に押圧されることで、記録媒体にトナー像が定着される方法である。
近年、導入が進んでいる電磁誘導加熱定着方式では、従来の加熱された2本のロールあるいはベルトに相当する加熱定着用部材と加圧部材のほかに、コイル及び高周波電源を必要とする。コイルは加熱定着用部材の内部あるいは外部の加熱定着用部材に近接した位置に設置され、高周波電源と電気的に接続される。加熱定着用部材としては、金属発熱層が設けられていれば、ロール形状でもベルト形状でも、どちらでも誘導加熱は可能である。いずれの場合でも加熱定着部材に近接した位置に配置したコイルに高周波電流を流すことで、加熱定着部材の金属発熱層に誘導起電力を生じさせ、渦電流が流れることで、加熱定着部材が加熱されている。
また、ベルト方式の誘導加熱定着部材では、回転可能な回転部材からなる加圧部材と樹脂フィルム管状体(例えば、ベルト)とでニップ領域を形成するために、樹脂フィルム管状体の内側に押圧部材が配置されている。この押圧部材には、通常、加圧部材と同等の圧力で加圧部材と樹脂フィルム管状体(例えば、ベルト)との間にニップ領域を形成し、かつニップ領域を加熱する加熱手段とを有する。
上述したベルト方式の誘導加熱定着部材として、例えば、特許文献1には、加熱手段として電鋳プロセスにより製造した正温度係数抵抗素子発熱体を、定着ベルトに接触させ、未定着トナー像を記録媒体に定着させるベルト式定着装置が開示され、前記定着ベルトが金属製のシームレスベルトであり、正温度係数抵抗素子発熱体に接する、金属製のシームレスベルトの面の表面粗さは0.5μm未満であることが開示されている。また、特許文献2には、回転体と、回転体との間にニップ領域を有し内周面の凹凸の凹面に潤滑剤を保持しながら循環するベルト管状体と、を備えた定着装置で、ベルト管状体の内面の回転方向に凹凸の凹面と凸面との段差が、0.05μm以上0.5μm以下である定着装置が開示されている。
一方、特許文献3には、耐熱性フィルムからなる回転体と、回転体を加圧する加圧部材と、前記回転体を支持する支持部材とを有し、前記支持部材は、前記回転体と前記加圧部材との接触により形成される接触部に相当する部分(ニップ領域)に、前記回転体と摺動する摺動部を有し、前記回転体と前記加圧部材との接触により形成される接触部で被加熱材を狭持搬送して被加熱材を加圧及び加熱する加熱装置が開示され、さらに、前記回転体の回転方向には、溝状の凹部が設けられ、前記凹部は幅0.1mmから1mm、深さ0.005mm以上で、長さが摺動部の幅未満であることが開示されている。また、特許文献4には、トナー像を記録材に定着させる画像形成装置に使用される定着ベルトの内周面に、ピット4mmから5mmで高さ3μmから5μmのうねりが形成されているとともに、ピット0.1mmで高さ3μmから4μmの凹凸が形成されていることが開示されている。
本発明の目的は、従来に比べ、金属管状体が加圧部材である回転体との間でニップ領域が形成される際に歪んだ場合でも、金属管状体の回転軸方向におけるクラックが抑制される金属管状体、定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明に至った。
(1)内周面及び外周面の表面粗さが、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下である金属管状体である。
(2)前記内周面は、平面と複数の凹溝とを有し、前記内周面のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm以上である、上記(1)に記載の金属管状体である。
(3)前記内周面の周回方向に沿った中央帯領域に設けられた複数の凹溝の密度は、前記中央帯領域を挟む両端部帯領域に設けられた複数の凹溝の密度より低い、上記(1)または(2)に記載の金属管状体である。
(4)回転可能な回転部材と、前記回転部材に圧接配置され、前記回転部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持することで前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる、回転可能な、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の金属管状体と、を有する定着装置である。
(5)像保持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記定着手段が、上記(4)に記載の定着装置からなる画像形成装置である。
本願請求項1に記載の発明によれば、内周面及び外周面の表面粗さRaが0.05μmを超える場合に比べ、金属管状体の回転軸方向におけるクラックが抑制される。
本願請求項2に記載の発明によれば、内周面に凹溝のみならず凸部が形成され、且つ内周面のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm未満である場合に比べ、金属管状体が加圧部材である回転体との間でニップ領域が形成される際に、金属管状体の内周面に接触する押圧部材に設けられた摺動シートの損傷が抑制される。
本願請求項3に記載の発明によれば、両端部領域の凹溝の密度が中央帯領域と同じまたは少ない場合に比べ、凹溝に保持された潤滑剤に基づき金属管状体の内周面の端部帯領域の摩擦が低減される。
本願請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、金属管状体の金属管状体の回転軸方向におけるクラックが抑制された定着装置が得られる。
本願請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、金属管状体の金属管状体の回転軸方向におけるクラックが抑制された定着装置を有する画像形成装置が得られる。
本発明の実施の形態における金属管状体、定着装置および画像形成装置について、以下に説明する。
[定着装置]
まず、本実施の形態における定着装置について、図1を用いて以下に説明する。なお、本実施の形態における定着装置として、電磁誘導加熱方式を採用する定着装置を例に挙げて説明する。
まず、本実施の形態における定着装置について、図1を用いて以下に説明する。なお、本実施の形態における定着装置として、電磁誘導加熱方式を採用する定着装置を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の定着装置60は、回転可能な回転部材である加圧ロール62と、回転部材である加圧ロール62に圧接配置され、加圧ロール62との間に形成される加圧部N(以下「ニップ部N」ともいう)に未定着トナー像を保持した記録媒体Pを狭持することで未定着トナー像を記録媒体Pに定着させる、回転可能な金属管状体である定着ベルト61と、金属管状体である定着ベルト61と押圧部材である押圧パッド64との間に介在する摺動シート68とを有する。
摺動シート68としては、例えば、フッ素樹脂のみで形成してもよいが、耐熱性繊維基材の両面にフッ素樹脂層を形成し、これを焼成したものを使用することが好ましい。耐熱性繊維基材としては例えば厚み30μmから600μmのガラスクロスが好適に用いられる。このフッ素樹脂製の摺動シートは、耐熱性繊維基材の両面にフッ素樹脂の水性ディスパージョンを塗布するか、基材を浸漬法により該ディスパージョンに含浸させ、その後に焼成することにより作製される。前記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましく、特に耐熱性、機械特性等の面からポリテトラフルオロエチレンが好適に用いられる。
さらに、図1を用いて、定着装置60の構成を説明する。定着装置60は、金属管状体である定着ベルト61、交流電流により生じる磁界によって定着ベルト61を発熱させる加熱部材の一例としての磁場発生ユニット85、定着ベルト61に対向するように配置する、加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して、回転部材である加圧ロール62から押圧される押圧パッド64を有する。
金属管状体である定着ベルト61は、押圧パッド64とベルトガイド部材63、定着ベルト61の両端部に配置するエッジガイド部材(図示せず)によって回動自在に支持される。そして、加圧部(ニップ部)Nにおいて加圧ロール62に圧接され、加圧ロール62に従動して矢印E方向に回動する。
上述した金属管状体としては、耐久性、熱伝導性の観点から、ステンレス鋼が好ましく、ステンレス鋼としては、例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、析出硬化ステンレス鋼が挙げられる。また、ステンレス鋼として、JIS規格で規定する規格名で挙げるとすれば、例えば、SUS201,SUS202,SUS301からSUS305,SUS316,SUS317などのオーステナイト系ステンレス鋼、SUS329J1のオーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、SUS403,SUS420などのマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS405,SUS430,SUS430LXなどのフェライト系ステンレス鋼、SUS630などのマルテンサイト系析出硬化ステンレス鋼等が挙げられる。但し、これに限るものではなく、定着ベルトとして耐久性及び熱伝導性の条件を満たす金属または金属合金または二層以上の複数層からなる金属板を用いてもよい。
なお、定着ベルト61に用いる金属管状体の構造については後述する。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の内部に配置するホルダ65に取り付ける。そして、ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の回動方向に向けた複数のリブ(図示せず)で形成し、定着ベルト61内周面との接触面積を小さくする。さらに、ベルトガイド部材63は、例えば、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低いPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂で形成する。これにより、ベルトガイド部材63と定着ベルト61内周面との摺動抵抗を低減し、熱の発散を低くするように構成する。
押圧パッド64は、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧されて加圧部Nを形成する。押圧パッド64は、バネや弾性体によって加圧ロール62を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65により支持する。押圧パッド64は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなる。押圧パッド64は、加圧ロール62側に凹部と凸部が形成されている。これにより、定着ベルト61が、押圧パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じ、定着後の記録媒体Pが定着ベルト61から剥離しやすくしている。
加圧部Nの下流側近傍に配設する剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転方向と対向する方向(カウンタ方向)に向け、バッフルホルダ72により保持する。また、押圧パッド64と定着ベルト61との間に摺動シート68を配設し、定着ベルト61内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を低減する。本実施の形態では、摺動シート68は押圧パッド64と別体に構成し、両端をホルダ65に固定する。
ホルダ65に、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67を配設する。潤滑剤塗布部材67は、定着ベルト61内周面に接触し、定着ベルト61と摺動シート68との摺動部に潤滑剤を供給する。なお、潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル等の液体状オイル;固形物質と液体とを混合させたグリース等、さらにこれらを組み合わせたものが挙げられる。
加圧ロール62は、例えば、直径16mmの中実の鉄製のコア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面を被覆する、例えば厚さ12mmのシリコーンスポンジ等のゴム層622と、例えば、厚さ30μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による表面層623とを有する。なお、加圧ロール62の製造方法としては、例えば、PFAチューブ(表面層623になる)の内周面に、接着用プライマーを塗布したフッ素樹脂チューブと中実シャフト(コア621になる)とを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブと中実シャフトとの間に液状発泡シリコーンゴムを注入後、加熱処理(例えば、150℃、2時間)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させてゴム層622を形成する方法が挙げられる。
加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置し、矢印D方向に、例えば140mm/secのプロセススピードで回転し、定着ベルト61を従動させる。また、加圧ロール62と押圧パッド64とにより定着ベルト61を挟持した状態で保持して加圧部Nを形成し、この加圧部Nに未定着トナー像を保持した記録媒体Pを通過させ、熱及び圧力を加えて未定着トナー像を記録媒体Pに定着する。
磁場発生ユニット85は、断面が定着ベルト61の形状に沿った曲線形状を有し、定着ベルト61の外周表面と例えば0.5mmから2mm程度の間隙で設置する。磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とを有する。
励磁コイル851は、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本から20本程度束ねたリッツ線を、長円形状や楕円形状、長方形状等の閉環状に巻いて形成したものを用いる。励磁コイル851に励磁回路853によって予め定められた周波数の交流電流を印加することにより、励磁コイル851の周囲に交流磁界Hが発生する。交流磁界Hが、定着ベルト61の金属層を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10kHzから50kHzに設定する。渦電流Iが定着ベルト61の金属層を流れることによって、金属層の抵抗値Rに比例した電力W(W=I2R)によるジュール熱が発生し、定着ベルト61を加熱する。
コイル支持部材852は、耐熱性を有する非磁性材料で構成する。このような非磁性材料としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂が挙げられる。
なお、本実施の形態では、定着ベルト61を加熱する加熱部材の一例として磁場発生ユニット85を備える電磁誘導加熱方式の定着装置60について説明したが、加熱部材としては、輻射ランプ発熱体、抵抗発熱体を採用することもできる。
輻射ランプ発熱体としては、例えば、ハロゲンランプ等が挙げられる。抵抗発熱体としては、例えば、鉄−クロム−アルミ系、ニッケル−クロム系、白金、モリブデン、タンタル、タングステン、炭化珪素、モリブデン−シリサイド、カーボン等が挙げられる。
定着装置60では、加圧ロール62の矢印D方向への回転に伴い、定着ベルト61が従動回転し、励磁コイル851により発生した磁界に曝される。この際、定着ベルト61中の金属層には渦電流が発生し、定着ベルト61の外周面が定着可能な温度まで加熱される。このようにして加熱された定着ベルト61は、加圧ロール62との加圧部Nまで移動する。搬送手段により、未定着トナー像がその表面に設けられた記録媒体Pが定着入口ガイド56を介して定着装置60に搬入される。記録媒体Pが定着ベルト61と加圧ロール62との加圧部Nを通過した際に、未定着トナー像は定着ベルト61により加熱され記録媒体Pの表面に定着される。その後、画像が表面に形成された記録媒体Pは、搬送手段により搬送され、定着装置60から排出される。また、加圧部Nにおいて定着処理を終え、外周面の表面温度が低下した定着ベルト61は、励磁コイル851方向へと回転し、次の定着処理に備えて再度加熱される。
[金属管状体]
定着ベルトとして、樹脂フィルム管状体の代わりに、熱伝導性の観点から、金属管状体を用いることがある。金属管状体の材質については上述したとおりである。
定着ベルトとして、樹脂フィルム管状体の代わりに、熱伝導性の観点から、金属管状体を用いることがある。金属管状体の材質については上述したとおりである。
図2に示すように、本実施の形態の定着ベルト61に用いる金属管状体は、内周面200及び外周面210の表面粗さが、それぞれ、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下であることが好ましく、さらに、内周面200及び外周面210の表面粗さRaは、0.03μm以下であることが好ましい。金属管状体の内周面200及び外周面210の表面粗さが、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下であるため、図1に示すように、定着ベルト61に用いる金属管状体が、加圧ロール62との間でニップ部N(加圧部N)が形成される際に、金属管状体の内周面に接触する押圧パッド64に設けられた摺動シート68の損傷が抑制され、且つ、金属管状体が加圧ロール62との間でニップ部Nが形成される際に歪んだ場合でも、金属管状体の回転軸方向におけるクラック(金属管状体の割れや裂け目の発生)が抑制されると考えられる。
上述したクラックは、ニップ部での連続した屈曲を受けることで金属疲労が蓄積し発生すると考えられる。一方、摺動抵抗の経時的増加は金属管状体の内周面と摺動シートの摺動では、摺動抵抗を低減するために、金属基管状体の内周面を平滑化することで、ニップ部における潤滑剤(例えば、オイル)の保持性が低下し、経時で摺動抵抗が増加する傾向があると考えられる。
そこで、実施の形態の定着ベルト61に用いる金属管状体の内周面200は、平面201と複数の凹溝202とを有する。ここで、平面とは、際だった凸面を有しない、平らな面をいう。これにより、定着ベルト61に用いる金属管状体が、図1に示すように、加圧ロール62との間でニップ領域(すなわち、加圧部N)が形成される際に、金属管状体の内周面に際だった凸面を有しないことから、特に、金属管状体の内周面に接触する摺動シート68との摺動抵抗が低減され、摺動シート68の経時における損傷が抑制されると考えられる。
図2に示すような、内周面200を有する金属管状体は、まず、例えば、レーザ加工、サンドブラスト処理、エッチング処理などの表面凹凸処理を行い、その後、例えば、電解研磨、レーザ表面改質、バフ研磨、砥石を用いたステンレス研磨などを用いて、際だった凸面を研磨して平面または部分的に鏡面を形成しつつ、凹溝を残留させる。ここで、鏡面とは、表面が滑らかで反射が略均一な面をいう。
さらに、実施の形態の定着ベルト61に用いる金属管状体の内周面200のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm以上であることが好ましく、0.4μm以上6μm以下であることがより好ましい。この内周面200のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm未満であると金属管状体内面のオイル保持性が低下するという不具合がある場合がある。ここで、ろ波中心線うねりWC−aはろ波中心線うねり曲線から中心線の方向に、測定長さLの部分を抜取り、この抜取り部分の中心線とろ波中心線うねり曲線との偏差の絶対値を算術平均した値をいう。WC−aは表面ろ波中心線うねり測定方法のJIS B 0601−1982に規定された光波干渉式表面粗さ測定器により測定されており、いずれの場合も表面粗さの規格に準拠して行っている。なお、本実施の形態では、具体的には、金属管状体の表面を触診式の表面粗さ測定器(サーフコム;東京精密社製)を用いて測定し、そのときの測定条件は、測定長さ10mm、カットオフ波長0.25mmから0.8mm、測定速度0.3mm/s、最小二乗直線算出による傾斜補正、25℃/50%である。
さらに、本実施の形態における金属管状体は、図3に示すように、内周面200の周回方向に沿った中央帯領域に設けられた複数の凹溝202aの密度が、前記中央帯領域を挟む両端部帯領域に設けられた複数の凹溝202bの密度より低いことが好ましい。金属管状体の内周面に接触する押圧パッド64で、金属管状体の両端部帯領域は、金属管状体の中央帯領域に比べ、潤滑剤の保持性が低下する傾向があると推察され、そこで、金属管状体の両端部帯領域に形成される凹溝202bの密度を、中央帯領域に形成される凹溝202aの密度に比べ高くすることで、金属管状体の両端部帯領域に保持された潤滑剤(例えば、オイル)の量が多くなり、その結果、金属管状体の内周面に等間隔に凹溝を形成した場合に比べ、金属管状体の内周面の端部帯領域と摺動シート68との摩擦抵抗が低減されると考えられる。
本実施の形態における金属管状体の中央部帯領域と端部帯領域との幅の比は、3:2から4:5であることが好ましい。この範囲外の場合には、クラックが生じる場合がある。なお、用いる潤滑剤に応じて、金属管状体の中央部帯領域と端部帯領域との幅の比は適宜選択され、また、凹溝の密度も適宜選択される。
なお、本実施の形態では、図3に示すように、中央帯領域と両端部領域で、凹溝の密度を変えたが、これに限るものではなく、金属管状体の中央部から両端部に行くに従って、連続的または段階的に、凹溝の密度が高くなるように、凹溝を形成してもよい。
[画像形成装置]
図4には、本実施の形態の摺動シートならびに定着装置が適用される画像形成装置の概略構成が示されている。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
図4には、本実施の形態の摺動シートならびに定着装置が適用される画像形成装置の概略構成が示されている。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
図4に示す画像形成装置100は、潜像形成手段ならびに現像手段からなる像形成部の一例として、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備える。次に、画像形成装置100は、転写手段の一例として、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成する各色成分トナー像を中間転写ベルト(像保持体)15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写した重畳トナー画像を記録媒体P(記録材)である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写部20とを備える。さらに、画像形成装置100は、定着手段の一例として、二次転写された画像を記録媒体P上に定着する、上述した定着装置60を備える。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を備える。
図4に示すように、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13と、各色成分トナーを収容し感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14とを有する。また、感光体ドラム11上に形成する各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17と、を有する。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に略直線状に配置されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールにより、図4に示す矢印B方向に循環駆動する。各種ロールとして、中間転写ベルト15を駆動する駆動ロール31と、中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に一定の張力を与え蛇行を防止するテンションロール33と、二次転写部20に設けるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けるクリーニングバックアップロール34とを有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟み感光体ドラム11に対向する一次転写ロール16を有する。二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置する二次転写ロール(転写部材)22と、二次転写ロール22の対向電極として中間転写ベルト15の裏面側に配置されたバックアップロール25と、バックアップロール25に二次転写バイアスを印加する給電ロール26とを有する。
二次転写部20の下流側に、中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ35を設ける。イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42を配設する。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43を配設する。
記録媒体搬送系には、記録媒体収容部50と、記録媒体収容部50中の記録媒体Pを取り出して搬送するピックアップロール51と、記録媒体Pを搬送する搬送ロール52と、記録媒体Pを二次転写部20へと送る搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された記録媒体Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、記録媒体Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56とを有する。
画像形成装置100の基本的な作像プロセスについて説明する。図4に示すような画像形成装置100では、画像読取装置(図示せず)等から出力される画像データに画像処理を施した後、画像データをY、M、C、Kの4色の色材階調データに変換し、レーザ露光器13に出力する。レーザ露光器13は、入力される色材階調データに応じ、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの矢印A方向に回転する各感光体ドラム11に照射する。各感光体ドラム11の表面を帯電器12によって帯電した後、レーザ露光器13によって表面を走査露光し、静電潜像を形成する。形成した静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像する。
つぎに、感光体ドラム11上に形成するトナー像を、一次転写部10において中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写を行う。中間転写ベルト15は矢印B方向に移動してトナー像を二次転写部20に搬送する。記録媒体搬送系は、トナー像を二次転写部20に搬送するタイミングに合わせて、記録媒体収容部50から記録媒体Pを供給する。二次転写部20では、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像を、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれた記録媒体P上に静電転写する。その後、トナー像を静電転写した記録媒体Pを搬送ベルト55により定着装置60まで搬送し、定着装置60は、記録媒体P上の未定着トナー像を熱及び圧力で処理し記録媒体P上に定着する。定着画像を形成した記録媒体Pは、画像形成装置の排出部に設けた排紙載置部に搬送する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。また、以下の製造例、実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
[実施例1]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の外周面および内周面に、電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、均等に凹溝が形成された金属管状体Aを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の外周面および内周面に、電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、均等に凹溝が形成された金属管状体Aを得た。
[実施例2]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Bを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Bを得た。
[実施例3]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチから5mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って5mmピッチから1mmピッチに徐々に間隔を縮めながら独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Cを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチから5mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って5mmピッチから1mmピッチに徐々に間隔を縮めながら独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Cを得た。
[実施例4]
SUS316板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、均等に凹溝が形成された金属管状体Dを得た。
SUS316板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、均等に凹溝が形成された金属管状体Dを得た。
[実施例5]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って30mmピッチからの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って20mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Eを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って30mmピッチからの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って20mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Eを得た。
[実施例6]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心から端部にかけて、周回方向に沿って5mmピッチの間隔で、独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Fを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心から端部にかけて、周回方向に沿って5mmピッチの間隔で、独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成した。その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、内周面に密度の異なる凹溝が形成された金属管状体Fを得た。
[比較例1]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体Gとした。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体Gとした。
[比較例2]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、電解研磨を行うことなく、金属管状体Hを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ400μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、電解研磨を行うことなく、金属管状体Hを得た。
[比較例3]
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ800μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ800μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、金属管状体Iを得た。
SUS304板を圧延しシームレスの金属管状体の内周面へ、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工にて、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mm、すなわち中間帯領域:210mmに、周回方向に沿って10mmピッチの独立の凹溝(Φ800μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、さらに、金属管状体の周回方向の中心からそれぞれ105mmから195mmの両端部帯領域に、それぞれ、周回方向に沿って1mmピッチの独立の凹溝(Φ800μm、深さ10μm)をスパイラル状に形成し、その後、精密切削加工された金属管状体の外周面及び内周面に電解研磨を行い、表面加工を行った金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、精密切削加工後の金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、表面を溶解させて、金属管状体Iを得た。
[比較例4]
SUS304板の外周面を樹脂フィルムで覆った後に、内周面のみ電解研磨を行い、金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、内周面を溶解させて金属管状体Jを得た。
SUS304板の外周面を樹脂フィルムで覆った後に、内周面のみ電解研磨を行い、金属管状体を作製した。ここで、電解研磨は、金属管状体を陽極にして、硫酸−リン酸のナトリウム塩からなる電解液を介して直流電流170mAを5分間流し、内周面を溶解させて金属管状体Jを得た。
[評価方法]
実施例及び比較例の金属管状体に対し次の測定を行った。評価結果を表1に示す。
実施例及び比較例の金属管状体に対し次の測定を行った。評価結果を表1に示す。
<表面粗さRaの測定>
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、JIS B 0601に準じて算術平均粗さRa粗さを東京精密社製「サーフコム」を用いて測定した。
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、JIS B 0601に準じて算術平均粗さRa粗さを東京精密社製「サーフコム」を用いて測定した。
<ろ波中心線うねり測定>
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、WC−aは表面ろ波中心線うねり測定方法のJIS B 0601−1982に規定された光波干渉式表面粗さ測定器により測定した。具体的には、金属管状体の外周面及び内周面を触診式の表面粗さ測定器(サーフコム;東京精密社製)を用いて測定し、そのときの測定条件は、測定長さ10mm、カットオフ波長0.25mm、測定速度0.3mm/s、最小二乗直線算出による傾斜補正、25℃/50%である。
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、WC−aは表面ろ波中心線うねり測定方法のJIS B 0601−1982に規定された光波干渉式表面粗さ測定器により測定した。具体的には、金属管状体の外周面及び内周面を触診式の表面粗さ測定器(サーフコム;東京精密社製)を用いて測定し、そのときの測定条件は、測定長さ10mm、カットオフ波長0.25mm、測定速度0.3mm/s、最小二乗直線算出による傾斜補正、25℃/50%である。
<動摩擦係数f>
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、ピン・オン・ディスク摩耗摩擦試験機を用い、条件を2.5kg/cm、線速度225mm/sec、160℃として、摺動シートと金属管状体の内周面との動摩擦係数fを、t=300sec、t=80000sec、t=36000secにて測定した。ここで、摺動シートとしては、厚み80μmのガラスクロスの両面にポリテトラフルオロエチレンからなるフッ素樹脂層を形成し、これを焼成したものを用いた。
得られた金属管状体の外周面と内周面に対し、ピン・オン・ディスク摩耗摩擦試験機を用い、条件を2.5kg/cm、線速度225mm/sec、160℃として、摺動シートと金属管状体の内周面との動摩擦係数fを、t=300sec、t=80000sec、t=36000secにて測定した。ここで、摺動シートとしては、厚み80μmのガラスクロスの両面にポリテトラフルオロエチレンからなるフッ素樹脂層を形成し、これを焼成したものを用いた。
<耐久性試験>
得られた金属管状体のベンチ耐久試験として、富士ゼロックス社製「DocuCentre IV C4470」を改造して画像印刷速度が毎分A4用紙70枚印刷になるようにした装置を用いてクラック発生までの時間(Tk)を測定した。なお、比較例1の金属管状体Gは、内面を未加工であるため、ベンチ耐久試験への適用が難しいことから、金属管状体の内周面にポリイミドワニスを塗布し、360℃にて焼成し、その後、ベンチ耐久試験を行いクラック発生までの時間(Tk)を測定した。
得られた金属管状体のベンチ耐久試験として、富士ゼロックス社製「DocuCentre IV C4470」を改造して画像印刷速度が毎分A4用紙70枚印刷になるようにした装置を用いてクラック発生までの時間(Tk)を測定した。なお、比較例1の金属管状体Gは、内面を未加工であるため、ベンチ耐久試験への適用が難しいことから、金属管状体の内周面にポリイミドワニスを塗布し、360℃にて焼成し、その後、ベンチ耐久試験を行いクラック発生までの時間(Tk)を測定した。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット、10 一次転写部、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 レーザ露光器、14 現像器、15 中間転写ベルト、16 一次転写ロール、17 ドラムクリーナ、20 二次転写部、22 二次転写ロール、25 バックアップロール、26 給電ロール、31 駆動ロール、32 支持ロール、33 テンションロール、34 クリーニングバックアップロール、35 中間転写ベルトクリーナ、40 制御部、42 基準センサ、43 画像濃度センサ、50 記録媒体収容部、51 ピックアップロール、52 搬送ロール、53 搬送シュート、55 搬送ベルト、56 定着入口ガイド、60 定着装置、61 定着ベルト、62 加圧ロール、63 ベルトガイド部材、64 押圧パッド、65 ホルダ、67 潤滑剤塗布部材、68 摺動シート、68a 基材、68b 潤滑性被覆層、70 剥離補助部材、71 剥離バッフル、72 バッフルホルダ、85 磁場発生ユニット、85 発生ユニット、85 磁場発生ユニット、90 スプレーガン、100 画像形成装置、200 内周面、201 平面、202,202a,202b 凹溝、210 外周面、561 定着ベルト、621 コア、622 ゴム層、623 表面層、851 励磁コイル、852 コイル支持部材、853 励磁回路。
Claims (5)
- 内周面及び外周面の表面粗さが、JIS B 0601の算術平均粗さRaで0.05μm以下であることを特徴とする金属管状体。
- 前記内周面は、平面と複数の凹溝とを有し、前記内周面のろ波中心線うねりWC−aが0.4μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の金属管状体。
- 前記内周面の周回方向に沿った中央帯領域に設けられた複数の凹溝の密度は、前記中央帯領域を挟む両端部帯領域に設けられた複数の凹溝の密度より低いことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の金属管状体。
- 回転可能な回転部材と、
前記回転部材に圧接配置され、前記回転部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持することで前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる、回転可能な、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属管状体と、
を有することを特徴とする定着装置。 - 像保持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記定着手段が、請求項4に記載の定着装置からなることを特徴とする画像形成装置。
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