JP2013199015A - 耐熱透明多層シート及び自動販売機ディスプレイ用のダミー缶 - Google Patents

耐熱透明多層シート及び自動販売機ディスプレイ用のダミー缶 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れるのみらならず、多層シートの生産することに関して安定した製膜性に優れた耐熱透明多層シート及び自動販売機ディスプレイ用のダミー缶を提供する。
【解決手段】固有粘度が0.7〜0.95であるポリエステル系樹脂からなるA層(コア層)の両面に、粘度平均分子量が19,000〜23,000の芳香族ポリカーボネート樹脂からなるB層(スキン層)が積層されてなる耐熱透明多層シートであって、該ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなり、かつその重量比率が0/100〜70/30である耐熱透明多層シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れるのみらならず、製膜時における製膜性に優れた耐熱透明多層シート及び自動販売機ディスプレイ用のダミー缶に関する。
従来、ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートからなる透明シートは透明性や耐衝撃性に優れるが耐熱性不足であった。一方、ポリメチルメタクリレートからなるシートは耐熱性が不十分であり、かつ耐衝撃性に劣り、スチレンからなるシートは耐熱性や耐衝撃性に劣っている。また、芳香族ポリカーボネートからなるシートは透明性、耐熱性及び耐衝撃性に優れているものの、熱成形性に劣っている。このように従来材料からなるシートには様々な問題点があり、これらを解決した耐熱性、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れたシートにより、幅広い用途で利用することのできるシート開発が要望されている。
このような要望に応える耐熱透明シートとして、ポリエチレンテレフタレートによる2軸延伸シートが提案されている(特許文献1参照)。ポリエチレンテレフタレートシートを2軸に延伸することで耐熱性が向上するが、熱成形が実施しにくくなるため、単純な形状に限られており、更に熱成形性に優れるシートの開発が求められている。
一方、単層のシート以外のシート材料として、多層構造によるシートが提案されている。その中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるコア層の両面にポリエチレンナフタレート樹脂からなるスキン層を積層してなる多層ポリエステルシートは、透明性に優れるが耐熱性、耐衝撃性が不足しており、また熱成形時の温度が高くなるとコア層のポリエチレンテレフタレートが結晶化するため熱成形ができなくなるため、耐衝撃性や熱成形性を満足するものが得られていない(特許文献2参照)。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるコア層の両面に芳香族ポリカーボネート樹脂からなるスキン層を積層してなる耐熱透明多層ポリエステルシートは、耐熱性、透明性、衝撃性に優れるが、シートの製膜性に関する提案がされておらず、かつ熱成形時の温度が高くなるとコア層のポリエチレンテレフタレートが結晶化するため、熱成形を十分満足するものが得られていない(特許文献3参照)。同様な構成からなるコア層の両面に芳香族ポリカーボネート樹脂からなるスキン層を積層してなる耐熱透明多層ポリエステルシートであって、スキン層の芳香族ポリカーボネートにポリブチレンテレフタレートを微分散させることで熱成形性が改善された耐熱透明多層ポリエステルシートが開示されているが(特許文献4参照)、シート製膜性と熱成形性の両立については提案がなされていないため改善が求められている。
以上のように、幅方向の厚みが均一であり、シート製膜が安定しており、外観、耐熱性、透明性、および耐衝撃性が良好で、かつ熱成形の可能なシートは開示されていない。
特開2005−144982号公報 特開2004−345098号公報 特開平11−77938号公報 特開2005−280118号公報
本発明の目的は、耐熱製、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れるのみならず、製膜時の製膜性に優れた耐熱透明多層シート及び自動販売機ディスプレイ用のダミー缶を提供することにある。
本発明者らは、検討を重ねた結果、固有粘度が特定の範囲であるポリエステル系樹脂からなるコア層と分子量が特定の範囲である芳香族ポリカーボネートからなるスキン層とからなる多層シートが、耐熱性、耐衝撃性、熱成形性を満足し、製膜時の製膜性に優れた耐熱透明多層シートとなることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、(1)固有粘度(以下IV値と称する場合がある)が0.7〜0.95であるポリエステル系樹脂(A成分)からなるA層(以下コア層)の両面に、粘度平均分子量が19,000〜23,000である芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)からなるB層(以下スキン層)が積層されてなる耐熱透明多層シートであって、該ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなり、かつその重量比率が0/100〜70/30である耐熱透明多層シートが提供される。
本発明の好適な態様の一つは、(2)シートの総厚みに対するコア層の厚みの割合が70〜85%であることを特徴とする上記構成(1)の耐熱透明多層シートである。
本発明の好適な態様の一つは、(3)シートの総厚みが0.2〜0.6mmの範囲にあることを特徴とする上記構成(1)または(2)の耐熱透明多層シートである。
本発明の好適な態様の一つは、(4)B層が、B成分および該B成分100重量部に対し0.1〜5重量部の(C)屈折率1.57〜1.63の範囲内にある有機架橋粒子(C成分)からなることを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれかの耐熱透明多層シートである。
本発明の好適な態様の一つは、(5)上記構成(1)〜(4)のいずれかの耐熱透明多層シートを用いた成形体である。
本発明の好適な態様の一つは、(6)上記構成(1)〜(4)のいずれかの耐熱透明多層シートを用いた自動販売機ディスプレイ用のダミー缶である。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
(コア層について)
本発明の耐熱透明多層シートのコア層は、固有粘度が0.7〜0.95であって、結晶性ポリエステル樹脂(A−a成分)と非晶性ポリエステル樹脂(A−b成分)とからなりかつその重量比率(A−a成分/A−b成分)が0/100〜70/30であるポリエステル系樹脂(A成分)より形成される。
本発明のA−a成分として使用される結晶性ポリエステル樹脂としては結晶性ポリエチレンテレフタレート、結晶性ポリエチレンナフタレート、結晶性ポリトリメチレンテレフタレート、結晶性ポリブチレンテレフタレート、結晶性ポリブチレンナフタレート等があげられ、その中でも結晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく使用される。ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、単に“PET系樹脂”と称する場合がある)とは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであって、そのジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分を好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、およびジオール成分としてエチレングリコール成分を好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有してなるポリエステル樹脂である。
PET系樹脂はテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分をその構成単位として含有してよい。かかるジカルボン酸成分としては、例えばオルトフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ヘキサヒドロテレフタル酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、および4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸が例示される。上記の中でもジカルボン酸成分100モル%中0.5〜8モル%、好ましくは1〜5モル%、更に好ましくは1.5〜4モル%のイソフタル酸成分をその構成単位として含有するPET系樹脂は、耐熱性や耐湿熱性を低下させることなくより改善された熱成形性および透明性を有するため好ましい。
PET系樹脂中に含有されてもよい、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびジエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノールおよびトリシクロデカンジメチロールなどの脂環族ジオール、パラキシレングリコールおよびビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などのアラルキルグリコール、ビスフェノールA、レゾルシン、ハイドロキノン、およびジヒドロキシジフェニルなどの二価フェノール、ポリ(エチレンオキサイド)グリコールおよびポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールなどのポリオール、並びにビスヒドロキシエトキシフェニルフルオレンなどフルオレンなどが例示される。上記の中でもジオール成分100モル%中1〜5モル%、好ましくは2〜4モル%のジエチレングリコール成分をその構成単位として含有するPET系樹脂は、その適度に低下した結晶性により耐熱性や耐湿熱性を低下させることなくより改善された熱成形性および透明性を有するため好ましい。
更に本発明のPET系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲において3官能以上のカルボキシル基または水酸基を含有する化合物をその構成単位として含有することができる。3官能以上のカルボキシル基含有化合物としてはトリメリット酸、トリメシン酸、およびピロメリット酸などが例示され、3官能以上の水酸基含有化合物としてはグリセリン、トリメチルプロパン、ペンタエリスリトール、トリメタノールベンゼン、およびトリエタノールベンゼンなどが例示される。かかる3官能以上のカルボキシル基含有化合物はジカルボン酸成分との合計100モル%中、3官能以上の水酸基含有化合物はジオール成分との合計100モル%中、それぞれ好ましくは2モル%以下、より好ましくは1モル%以下の割合で使用される。
上記より本発明のより好適なPET系樹脂は、ジカルボン酸成分としてジカルボン成分100モル%を基準として92〜99.5モル%のテレフタル酸および0.5〜8モル%のイソフタル酸、並びにジオール成分としてジオール成分100モル%を基準として95〜99モル%のエチレングリコールおよび1〜5モル%のジエチレングリコールをその構成単位とて含有する重合体樹脂であることが好ましい。
PET系樹脂の末端カルボキシル基量は特に制限されないものの、30eq/ton以下が好ましく、25eq/ton以下が更に好ましい。下限としては5eq/ton以上が実用上適切である。
PET系樹脂は従来公知の製造方法によって製造することができる。すなわちジカルボン酸とジオールを直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはジカルボン酸ジメチルエステルとジオールを反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度数を増大させるために固相重合を行うことができる。
上記のエステル交換反応またはエステル化反応および重縮合反応時には、触媒および安定剤を使用することが好ましい。エステル交換触媒としてはMg化合物、Mn化合物、Ca化合物、Zn化合物などが使用され、例えばこれらの酢酸塩、モノカルボン酸塩、アルコラート、および酸化物などが挙げられる。またエステル化反応は触媒を添加せずに、ジカルボン酸およびジオールのみで実施することが可能であるが、後述の重縮合触媒の存在下に実施することもできる。
重縮合触媒としては、Ge化合物、Ti化合物、Sb化合物などが使用可能であり、例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムアルコラート、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、および蓚酸チタンなどが挙げられる。安定剤としてリン化合物を用いることが好ましい。好ましいリン化合物としては、リン酸およびそのエステル、亜リン酸およびそのエステル、次亜リン酸およびそのエステル、並びに次亜リン酸およびそのエステルなどが挙げられる。またエステル化反応時には、ジエチレングリコール副生を抑制するためにトリエチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウム、および炭酸ナトリウムなどの塩基性化合物を添加することもできる。また得られたPET系樹脂には、各種の安定剤および改質剤を配合することができる。特に本発明のPET系樹脂には多層シートおよびその熱成形品の透明感を高めるためブルーイング剤を含有することが好ましい。かかるブルーイング剤は、青色の顔料または染料が好適に使用され、PET系樹脂に好ましくは0.1〜3ppm(重量割合)含有される。
本発明のA−b成分として使用される非晶性ポリエステル樹脂とは、該ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)〜Tg+150℃で加熱したときに結晶化しない樹脂をいう。PET系樹脂との溶融混合時に非相溶であると混錬させても白濁し透明にならないため、PET系樹脂との相溶性が必要であることからPET系樹脂の共重合体が好ましく、その中でも透明性や耐熱性、機械的強度の良いものとしてPET系樹脂のシクロへキサンジメタノール共重合体やPET系樹脂のネオペンチルグリコール共重合体等があげられ、その中でもPET系樹脂のシクロヘキサンジメタノール共重合体が好ましく使用される。
非晶性樹脂としてのPET系樹脂の共重合樹脂としては、例えばグリコール成分に好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上で、最も好ましくは25モル%以上でシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−ビスヒドロキシベンゼンやポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。また、酸成分に好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、最も好ましくは30モル%以上の割合で、エチレン−2,6−ナフタレート、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸等及びそれらのエステル形成誘導体の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。さらに、グリコール成分と酸成分の両方を好ましくは20モル%、より好ましくは30モル%以上を共重合せしめた樹脂があげられる。
A−a成分である結晶性ポリエステル樹脂とA−b成分である非晶性ポリエステル樹脂の組成の比率は0/100〜70/30であり、より好ましくは10/90〜65/35、更に好ましくは30/70〜60/40である。かかる範囲を超えてA−a成分の比率が高い場合は、熱成形時において、耐熱透明多層シートが加熱工程で結晶化しやすくなるため、透明性を失いヘーズが高くなったり、高温高湿下において結晶化するため透明性が悪くなり不具合を招く。本発明のA成分として使用されるポリエステル系樹脂の固有粘度(o−クロロフェノール中、35℃での測定された値)は、0.7〜0.95であり、好ましくは0.7〜0.90、さらに好ましくは0.7〜0.85の範囲である。かかる範囲を超えてコア層の固有粘度が低い場合は、シート製膜時のシリンダー内の溶融状態による樹脂圧力が低いため、シートの外観不良であるフローマークが発生する。また、ダイスの中心部分や両端付近もしくは片側の端部だけに多くの樹脂が流れやすくなり、製品の幅方向で見たときの層による厚みが均一になりにくい。固有粘度が高い場合は、B成分との溶融粘度の違いから、製品の幅方向で見たときスキン層の厚みが位置によって大きく差が生じる。また、シートを生産する上で押出機に高いトルクがかかるため好ましくない。更に好ましくは、使用するA成分の固有粘度の範囲に入るポリマーだけを使用すると、押出混錬時の溶融状態が安定しやすいため、特にシート製膜時の製膜性に優れた耐熱透明多層シートとなり得る。
(スキン層について)
本発明でB成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(以下単に“ポリカーボネート樹脂”と称する場合がある)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも強度に優れ、適度な耐熱性を有し、かつ入手容易でコスト的にも優れる点からビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、ポリカーボネート全量中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、ポリカーボネート全量中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。更にポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ピリジンなどが用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールなどの単官能フェノール類を用いるのが好ましい。更に単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。これらの比較的長鎖のアルキル基を有する単官能フェノール類は、流動性や耐加水分解性の向上が求められる場合に有効である。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
溶融法による反応は、通常二価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールと炭酸ジエステルを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
重合速度を速めるために重合触媒を使用することができ、重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、有機錫化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などの通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒があげられる。触媒は単独で使用しても良いし、二種類以上を併用して使用しても良い。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−6当量の範囲で選ばれる。
また、重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートなどの化合物を加えることができる。
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポリカーボネートに対し、好ましくは0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモニウム塩などが好ましく挙げられる。
上記以外の反応形式の詳細についても、成書及び特許公報などで良く知られている。
B成分である芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、19,000〜23,000であり、好ましくは19,500〜22,500、更に好ましくは20,000〜22,500である。上記ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が上記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。かかる範囲をこえてB成分の粘度平均分子量が大きいと、Tダイからシートを製膜する際、A成分との溶融粘度の違いから、シートの外観不良であるバンクの不安定性からくるシワが発生し、製品の幅方向で見たときスキン層の厚みが位置によって大きく差が生じる。同様に粘度平均分子量が低い場合においても、A成分との溶融粘度の違いから、製品の幅方向で見たときスキン層の厚みが位置によって大きく差が生じ、製品上の不具合を生じる。
従って、A成分の固有粘度およびB成分の粘度平均分子量が適正な範囲である場合にのみ、シート製膜において、スキン層とコア層の厚みがどの位置においても均一であるため、製品の性能としてどこの場所においても同等の性能を示す。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
(有機架橋粒子)
本発明のB層はB成分および該B成分100重量部に対し、0.1〜5重量部の(C)屈折率1.57〜1.63の範囲内にある有機架橋粒子(C成分)からなることが好ましい。
有機架橋粒子とは、多官能ビニルモノマーなどの架橋性モノマーを多量に含むものを、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法などの方法により重合させて得られるものや、ポリウレタンオリゴマーなどのポリオール類やポリアミン類と、それらの官能基と反応する官能基を複数有する化合物との付加反応又は縮合反応により得られるものなど、種々の有機架橋粒子を挙げることができる。前者の例としては、オレフィン系、スチレン系、アクリル系などのビニル系の架橋粒子を挙げることができ、後者の例としては、ポリアミド系、ウレタン系、フェノール系、アミノ系などの有機架橋粒子が挙げられる。本発明に用いる有機架橋粒子は、ビニル系の架橋粒子が好ましく、架橋度が高く強度に優れるという観点でオレフィン系、スチレン系またはアクリル系の架橋粒子がより好ましく、スチレン系樹脂またはアクリル系樹脂が更に好ましい。中でも、耐熱性が高く、加工時の安定性に優れるという点でスチレン系樹脂が特に好ましい。
C成分の含有量はB成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜5重量部であり、より好ましくは0.5〜3重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。含有量が0.1重量部未満の場合は滑り性が悪くなり、5重量部超えるとヘイズが高くなる場合があるため好ましくない。
本発明のA−a成分、A−b成分、およびB成分には、本発明の目的を損なわない範囲で通常の添加剤、例えば酸化防止剤及び熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、離型剤(例えばモンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド、シリコーン樹脂等)、染料および顔料のような着色剤、並びに添加剤展着剤(例えばパラフィンオイルおよびシリコーンオイル等)等を添加することができる。
熱安定剤としては例えば各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物などリン系安定剤を好ましく挙げることができる。
ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2個以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
リン化合物からなる安定剤としては、ホスファイト化合物またはホスホナイト化合物が好ましい。またこれらとホスフェート化合物との併用も好ましい。またリン化合物からなる安定剤の量は100重量部のA−a成分、A−b成分、およびB成分のいずれかを基準として好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることができる。フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネートをより好ましく挙げることができる。
本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
また上記紫外線吸収剤と併用してヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができる。
フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤が配合される場合その量は、それぞれ100重量部のA−a成分、A−b成分、およびB成分のいずれかを基準として、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。紫外線吸収剤および光安定剤が配合される場合その量は、それぞれ100重量部のA−a成分、A−b成分、およびB成分のいずれかを基準として、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部である。
離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられ、例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレートなどグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリルステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類、ポリオレフィン系ワックスを挙げることができる。離型剤が配合される場合その量は、100重量部のA−a成分、A−b成分、およびB成分のいずれかを基準として好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
さらに本発明の効果を発揮する範囲で、A−a成分、A−b成分、およびB成分には、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、および滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等が添加されてよい。
上記耐熱透明多層シートを構成する樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば粒状または粉状の各成分、並びに任意に他の成分をブレンダを用いて混合する方法、また予めブレンドした原料をエクストルーダ、ニーダなどの混練機を用いてペレット化する方法などがあり、特に限定するものではない。
ここで予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができる。
(耐熱透明多層シートの製造)
本発明の耐熱多層シートは上記ペレットを製造装置に供給し製造される。
また、透明多層シートは、上記のペレット化することなく、溶融混練機から直接Tダイなどを用いて耐熱透明多層シートを製造することも可能である。かかる製造法は樹脂組成物に対する熱負荷が低減できることから、透明性や溶融斑がより良好な耐熱透明成形用多層シートを得るのに好ましい方法である。かかる方法においては多軸押出機が好ましく使用することが好ましい。
したがって本発明によれば、第2の多軸押出機に供給して溶融混練してB成分の溶融樹脂を調製し、該溶融樹脂と第1の溶融押出機からのA−a成分とA−b成分との混合物の溶融樹脂とをダイ内部で合流させた後にフラットダイより吐出し製膜して本発明の耐熱透明多層シートを製造する方法、または第1の押出機からのA−a成分とA−b成分との混合物の溶融樹脂をフラットダイから吐出し、第2の多軸押出機からのB成分の溶融樹脂をフラットダイから吐出し、それらを該ダイの開口部において積層した後製膜して本発明の耐熱透明多層シートを製造する方法が、好ましい態様として提供される。
かくして得られる耐熱透明多層シートの厚みは、好ましくは0.2〜0.6mmであり、より好ましくは0.25〜0.55mm、更に好ましくは0.3〜0.5mmである。かかる範囲を超えて耐熱透明多層シートが薄すぎる場合には、該耐熱透明多層シートの厚み不足により耐熱性が発揮できない場合がある。一方、上記の範囲を超えて耐熱透明多層シートが厚すぎる場合には、コア層の厚みが増えることにより、シート製膜時のバンクが不安定になったり、フローマークが出るため製品の外観が悪くなり、また、スキン層の厚みが増えることにより熱成形性であるトレースが悪くなる場合がある。
また、シートの総厚みに対するコア層の厚みの割合は好ましくは70〜85%であり、より好ましくは75〜85%、さらに好ましくは77.5〜85%である。この割合が70%未満ではスキン層である芳香族ポリカーボネートの厚みの割合が多くなることから、シート製膜時において溶融樹脂をダイ内部でコア層と合流させた後にフラットダイより吐出するときに、スキン層である芳香族ポリカーボネートのダイ内部の樹脂圧力が高くなる。よって、コア層との樹脂圧力の差が生じることより、フローマークが発生したり、幅方向で見たときのスキン層の厚みの差が生じるため均一な製膜が得られない場合がある。85%を超えると、スキン層である芳香族ポリカーボネートの厚みの割合が少なくなるため、耐熱性や耐衝撃性が不足する場合がある。
耐熱透明多層シートは、延伸耐熱透明多層シートおよび無延伸耐熱透明多層シートのいずれであってもよいが、無延伸耐熱透明多層シートであることが好ましい。本発明の耐熱透明多層シートにおいては、無延伸耐熱透明多層シートは簡便な工程で製造され、かつ良好な特性を有する。
また、本発明の耐熱透明多層シート表面には、本発明の目的を損なわない範囲でシート製膜後に、通常の防曇剤、および帯電防止剤などが塗布されてもよい。防曇剤としては、各種の陰イオン界面活性剤(例えば、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、ナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩、ナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩のホルマリン縮合物、およびパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩など)、陽イオン界面活性剤(例えば、脂肪族4級アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩基含有パーフルオロアルキルスルホンアミドおよびアクリルアミド−第4級アンモニウム塩基含有アルキル(メタ)アクリレート共重合体など)、両性界面活性剤(例えば、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、およびアルキルアミンオキサイドなど)、並びに非イオン界面活性剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなど)が使用される。
本発明の耐熱透明多層シートは耐熱性、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れるのみならず、均一の厚み精度がある耐熱透明多層シートであるため、シート性能として好適である。特に、透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れることから、近年その要求特性が高度化している自動販売機ディスプレイのダミー缶の成形品に好適な耐熱透明多層シートである。
更に本発明の耐熱透明多層シートは、上記の優れた特性を有することから、カップ成形品、ボトル成形品、PTP包装、インサート成形用の表面フィルム、並びに建材(床材および壁紙など)などの分野にも好適に使用され、したがってその泰する産業上の効果は格別である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中、「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。また、諸物性の測定は以下の方法により実施した。
1.樹脂特性の測定
(1)固有粘度(IV)測定
ポリエステル樹脂0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に加熱溶解した後、室温に冷却し、得られた樹脂溶液の粘度を、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した。得られた溶液粘度のデータから当該樹脂の固有粘度(IV)を算出した。
(2)粘度平均分子量(M)
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
2.シート特性の評価
(1)製膜性に関するバンク評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートを製膜する際、溶融混錬されて送り出された溶融樹脂をダイス内で合流し積層構造とした後、Tダイより吐出された溶融樹脂を2本の冷却ロールで挟んだ時に、ロールに挟む前のバンクの状態を目視により評価を行った。
○:バンクが安定しており、耐熱透明多層シートの表面外観が良好である。
×:バンクが幅方向に動いたり、幅方向での形が異なることにより耐熱透明多層シートの表面外観が悪くなる。
(2)製膜性に関するフローマーク評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートの外観を目視により評価を行った。
○:スキン層とコア層の溶融斑となるフローマークがなく、外観性や透明性が非常に良い。
×:スキン層とコア層の溶融斑となるフローマークがあり、外観性が悪い。
(3)厚み測定
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートの厚みをマイクロメーターを用いて測定した。測定箇所は各サンプルにおいて幅方向に対して中心と中心から左右400mm位置で測定を行った。
(4)コア層およびスキン層の厚み測定
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートの断面から剃刀刃により極薄いサンプルを切り出し、該サンプル片をカバーガラス間に狭持して、コア層とスキン層の厚み測定用のサンプルとした。かかるサンプルをデジタルカメラによる画像の取り込みおよびその処理が可能な偏向顕微鏡((株)キーエンス製)により観察し、該顕微鏡の画像処理装置によりコア層とスキン層の厚みの測定を行った。測定箇所は、各サンプルにおいて幅方向に対して中心と中心から左右400mmの位置の合計3点で測定を行ない、その3点によるスキン層厚み差が10%以内であるものを○として、厚み差が10%以上であるものを×とした。
(5)耐衝撃性評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートより60mm×60mmのサンプル片を切り出し、(株)島津製作所製高速衝撃試験機HTM−1型、ポンチ直径12.7mm(先端半径の半径6.35mm)を使用し、打ち抜き速度4.3m/sec、試験環境温度23℃、湿度50%RHにて打ち抜き衝撃試験を行い、その打ち抜きされたサンプルの状態で、延性破壊したものを○、脆性破壊したものを×として評価を行った。
(6)透明性
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートを村上色彩技術研究所(株)製のヘーズメーターHR−100を使用して、ISO 14782に従いヘイズを測定した。ヘイズの評価として、ヘイズの値が10%以上のものを×とし、10%未満のものを○とした。
3.ダミー缶の評価
(1)熱成形性評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートをMD方向に平行な長さ300mmおよびその直角方向に幅200mmの大きさに切り出し、(株)成和テクニカ製真空成形機を用いて真空成形を行い、その成形性を評価した。かかる真空成形機には最大出力18kWのクォーツヒーターを各9本取り付けたヒーターボックスが上下に配置されており、出力40%の該ヒーターボックス間にシートを置き加熱を行い、直後に真空成形して成形品を得た。成形品がきれいにトレースし結晶化していないものを○として、トレース不足もしくは結晶化したものを×とした。
(2)耐熱性評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートをMD方向に平行な長さ300mmおよびその直角方向に幅200mmの大きさに切り出し、(株)成和テクニカ製真空成形機を用いて真空成形を行い、その成形品を使用して耐熱性の評価を実施した。耐熱性評価として、得られた成形品を温度100℃のギアーオーブンに12時間保持したあと、成形品の変形の有無にて判断を行った。変形しなかったものを○、変形したものを×とした。
(3)耐湿熱性評価
後述される方法により作成された耐熱透明多層シートをMD方向に平行な長さ300mmおよびその直角方向に幅200mmの大きさに切り出し、(株)成和テクニカ製真空成形機を用いて真空成形を行い、その成形品を使用して耐湿熱性の評価を実施した。耐湿熱性評価として、温度90℃、湿度85%の恒温恒湿中に12時間保持し、成形品の変形ならび結晶化の有無にて判断を行った。成形品の変形ならび結晶化しているものを×とし、変形がなく結晶化しなかったものを○とした。
(使用原料)
(コア層)
A−a−1成分:結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 帝人化成(株)製 商品名:TRN−MJ (IV=0.54)
A−a−2成分:結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 協栄産業(株)製 商品名:NA−IJ−7108(IV=0.70)
A−a−3成分:結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 帝人化成(株)製 商品名:TR−BB(IV=0.84)
A−a−4成分:結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 ウツミリサイクルシステムズ(株)製 商品名:SC−13H(IV=1.00)
A−a−5成分:結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 ユニチカ(株)製 商品名:SA1206(IV=1.07)
A−b−1成分:非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂 SKケミカル(株)製 商品名:S2008(IV=0.78)
(スキン層)
B−a−1成分:芳香族ポリカーボネート樹脂 帝人化成(株)製:パンライトL−1225ZE、粘度平均分子量17,000
B−a−2成分:芳香族ポリカーボネート樹脂 帝人化成(株)製:パンライトL−1225L、粘度平均分子量19,700
B−a−3成分:芳香族ポリカーボネート樹脂 帝人化成(株)製:パンライトL−1225、粘度平均分子量22,200
B−a−4成分:芳香族ポリカーボネート樹脂 帝人化成(株)製:パンライトL−1250、粘度平均分子量23,700
B−b−1成分:下記製造法で調製した芳香族ポリカーボネート滑剤マスター:粘度平均分子量22,300
芳香族ポリカーボネート樹脂である、帝人化成(株)製のパンライトL−1225P(分子量22,400)90wt%と架橋ポリスチレン粒子である積水化成品工業製のSBX−8(平均粒子径8μm)10wt%とを日本製鋼所製のTEX‐54αII(L/D=35)のベント付き押出機を用いて、吐出200kg/h、スクリュー回転数200rpm、シリンダー温度290℃の条件下でペレット化した。得られたペレットの粘度平均分子量は、22,300であった。
(実施例1〜10、および比較例1〜6)
上記評価を実施するための耐熱透明多層シートを、多層シート用共押出機を用いて製造した。かかる共押出機は、コア層用としてスクリュー径105mmのベント付き2軸押出機ユニットを、およびスキン層用としてスクリュー径65mmのベント付き2軸押出機ユニットを備えている。それぞれの押出し機ユニットから溶融混錬されて送り出された溶融樹脂を、ダイ内で合流し積層構造とした後Tダイより吐出した。Tダイより吐出された溶融樹脂を2本の冷却ロール間で挟んで通過し、スムージングロールを用いて帯電防止剤を塗布し、実質的に延伸することなく引取りして幅1000mmの連続多層シートを得た。なお、ベント付き2軸押出機ユニットのベント吸引度はいずれも約10kPaとした。各実施例におけるシリンダー温度、およびTダイ温度、冷却ロールの温度(2本とも同一)を表1および表2に示す。
Figure 2013199015
Figure 2013199015
コア層およびスキン層用の押出機ユニットには、表1および表2に記載の実施例1〜10、比較例1〜6の組成になるように配合されるように、振動フィーダーを用いて供給し、押出機にて混錬して耐熱透明多層シートを得た。次に得られた耐熱透明多層シートの評価を実施した。評価結果を表3および表4に示す。
Figure 2013199015
Figure 2013199015
表3において、特定範囲の固有粘度を有し、かつ特定割合の結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなるポリエステル系樹脂からなるコア層と、特定範囲の粘度平均分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂からなるスキン層が積層されてなる多層シートである実施例1〜10は、耐熱性、透明性、熱成形性、耐衝撃性、耐湿熱性を兼ね備えるため、産業上有用でありかつ優れた自動販売機ディスプレイのダミー缶用シートであることがわかる。
表4において、比較例1は、粘度平均分子量が低い芳香族ポリカーボネート樹脂を使用したためスキン層厚みの均一性に劣る。比較例2は、粘度平均分子量が高い芳香族ポリカーボネート樹脂を使用したため、製膜性のバンクの不安定性からくるシワの発生や、スキン層厚みの均一性に劣る。比較例3は、非晶性ポリエステル樹脂が本発明範囲より少ないため、ダミー缶性能である耐湿熱性に劣る。比較例4は、固有粘度が低いポリエステル系樹脂を使用していることから、製膜性であるフローマークやスキン層厚みの均一性に劣る。比較例5は、非晶性ポリエステルを使用していないことから、ダミー缶性能である、耐湿熱性に劣る。比較例6は、固有粘度が高いポリエステル系樹脂を使用していることから、スキン層厚みの均一性に劣る。
更にB−b−1である有機架橋粒子含有マスターバッチを使用した実施例10は、他実施例と同様の耐熱性と透明性を有している。実施例10記載の耐熱透明多層シートを長さ約1050mmに切断し、片面にマスキングシートを付与した後、幅520mm、長さ720mmサイズに合わせるため、シートを25枚重ねて裁断した。シートがあまり滑らないと裁断時に端面が綺麗に断裁できないが、該耐熱透明多層シートは良好であった。その時に、切り出したシートのサイズは、幅が520mm〜520.5mm、長さが720mm〜720.5mmの範囲であった。次に重なった25枚のシートの表面に印刷を実施し、マスキングシートを剥がした後、ダミー缶形状の成形体を得るために真空成形機を通す工程に1枚づつ供給する際に、滑り性が良いため、シートが重なって供給することやシート供給に伴う摩擦音がなく、連続供給できて良好であり、成形品に埃が付着することもなかった。

Claims (6)

  1. 固有粘度が0.7〜0.95であるポリエステル系樹脂(A成分)からなるA層(コア層)の両面に、粘度平均分子量が19,000〜23,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)からなるB層(スキン層)が積層されてなる耐熱透明多層シートであって、該ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなり、かつその重量比率が0/100〜70/30である耐熱透明多層シート。
  2. シートの総厚みに対するコア層の厚みの割合が70〜85%である請求項1に記載の耐熱透明多層シート。
  3. シートの総厚みが0.2〜0.6mmである請求項1又は請求項2に記載の耐熱透明多層シート。
  4. B層が、B成分および該B成分100重量部に対し、0.1〜5重量部の(C)屈折率1.57〜1.63の範囲内にある有機架橋粒子(C成分)からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱透明多層シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐熱透明多層シートを用いた成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐熱透明多層シートを用いた自動販売機ディスプレイ用のダミー缶。
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