JP2009149784A - 成型用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】低い温度及び低い圧力下での成型性、透明性、耐溶剤性、耐熱性、取扱い性に優れ、かつ蒸着層、スパッタリング層、又は、印刷層を設けた際の意匠性に優れた成型用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 縦方向及び横方向の100%伸張時応力が25℃で40〜300MPa、100℃で1〜100MPaであり、面配向度が0.095以下であり、ヘーズが2%以下であり、長径150μm以上の輝点が0.2個/cm 以下であることを特徴とする成型用ポリエステルフィルム。例えば、溶融押出機の圧縮部温度を計量部温度より15〜25℃高くすることで輝点の少ない成型用ポリエステルフィルムを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、低い温度、及び、低い圧力下での成型性、透明性、耐溶剤性、耐熱性に優れ、家電、自動車の銘板用、又は、建材用部材などに好適な成型用ポリエステルフィルムに関する。
従来の成型用フィルム(成型用シートとも呼ぶ)は加工性などの点から代表的な素材として、ポリ塩化ビニルが挙げられる。しかし、該素材は使用面では可塑剤が析出する、火災や焼却時における燃焼ガスが有毒であるなどの問題があり、近年の環境面に関するニーズからより環境負荷の小さい素材が求められている。
上記の観点からポリ塩化ビニルに変わって、ポリアクリル樹脂などによる未延伸フィルム(シート)が幅広く使用されるようになってきており、特に、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂による未延伸フィルム、及び、シートは力学特性、透明性などが良好であることから注目されている。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂におけるエチレングリコール成分の約30mol%を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した、実質的に非結晶のポリエステル系樹脂を主とした構成成分とする未延伸シートが開示されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。但し、上記の未延伸シートは、成型性やラミネート適性に関しては未延伸であるため、耐熱性や耐溶剤性の面で、近年の高度な要求を満足させるまでには不充分である。
特開平9−156267号公報 特開2001−71669号公報 特開2001−80251号公報 特開2001−129951号公報 特開2002−249652号公報
上記の課題を解決するために、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献6〜9を参照)。但し、これらの事例では耐熱性や耐溶剤性は改善されるが、成型性に不充分な点があり、総合的な品質の観点から、高度な市場要求を満足させるものではなかった。
特開平9−187903号公報 特開平10−296937号公報 特開平11−10816号公報 特開平11−268215号公報
そこで、更に、上記の課題を解決するために、フィルムの100%伸張時応力を特定化する方法などが開示されており(例えば、特許文献10〜12を参照)、高度な市場要求を達成しつつある。
特開平2−204020号公報 特開2001−347565号公報 特開2004−075713号公報
上記のような事例を実現するに当たり、一般には、主とするポリエステル系樹脂に対して、異なるポリエステル系樹脂から1種類以上を選択し、ペレット、あるいは、チップなどの状態で混合したもの(ドライブレンド)を溶融押出する方法が用いられる。これは、樹脂の組合せや配合比により、容易に所望の樹脂が得られるため、極めて有用な手段である。
溶融押出にあたっては、スクリュー式押出機が代表として挙げられ、単軸タイプが広範囲に使用されている。単軸タイプは、シリンダーに1本のスクリューを装着した押出機で、その先端にアダプターや定量供給のためのギアポンプなどを介して所望のダイを設置して成形を行なうものである。しかし、このような溶融押出では混合(混練)の不足による結晶性樹脂の未溶融物による輝点が発生し、これが品位の低下として課題に挙がる場合がある。また、結晶性樹脂と非晶性樹脂を混練する場合、その傾向は顕著になる。
上記の課題に対して、設備な対応が考えられる。一般的な単軸スクリューは、供給部、圧縮部、計量化部の3ゾーンに分かれるが、混練効果を上げるために計量化部の一部、あるいは、全体が混練部(ミキシング部)となるように、種々の形状の凹凸や溝形状及びピン形状を付けたダルメージ型、ローター型、フルートミキシング型などの適用が挙げられる。加えて、シリンダーにベント孔を設けると共にスクリューも中間部に徐圧縮部を設けたベント式スクリューを使用することも挙げられるが、スクリュー設計と操作の調整が困難になり、設備的に高価になるという欠点がある。また、溶融押出機の多軸化、多段化などが考えられるが、設備的に高価になり、実現性が低下する。
一方、押出条件での対応が考えられる。
押出温度の上昇は、その手段の一つである。一般に、押出温度は高分子の流動開始温度と分解開始温度の間に設定され、より厳密には高分子の溶融粘度の温度依存性を加味して設定されるが、結晶性高分子を含む場合には、簡便的に結晶融解温度より10℃ほど高い温度で設定されることがある。この押出温度を高くすることで高分子の流動性が向上し、混練不足が解消するが、樹脂の分子量低下による力学特性の低下や着色などの品位の低下が認められるようになる。また、混練を行なうスクリュー回転数の上昇による剪断力の増大が挙げられるが、これも発熱により、力学特性の低下や着色などを招き、押出機のスクリュー回転数の上限もあり、充分に行なえない場合がある。
本発明の目的は、前記の背景技術に記載する問題点を解決するものであり、低い温度、及び、低い圧力下での成型性、透明性、耐溶剤性、耐熱性に優れ、かつ未溶融物に起因する異物などが極めて少ないため、蒸着層、スパッタリング層、又は印刷層を設けた際の意匠性に優れた成型用ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記の課題を解決することができる本発明の成型用ポリエステルフィルムは、以下の構成からなる。
(1) 縦方向及び横方向の100%伸張時応力が25℃で40〜300MPa、100℃で1〜100MPaであり、面配向度が0.095以下であり、ヘーズが2%以下であり、長径150μm以上の輝点が0.2個/cm 以下であることを特徴とする成型用ポリエステルフィルム。
(2) 少なくとも1種類の結晶性のポリエステル系樹脂とこれと異なる1種類以上のポリエステル系樹脂を溶融押出機内で混練したポリエステル系樹脂から主になることを特徴とする(1)に記載の成型用ポリエステルフィルム。
(3) 少なくとも1種類の結晶性のポリエステル系樹脂と1種類以上の非晶性ポリエステル系樹脂を溶融押出機内で混練したポリエステル系樹脂から主になることを特徴とする(1)又は(2)いずれかに記載の成型用ポリエステルフィルム。
(4) 溶融押出機の圧縮部温度を計量部温度より15〜25℃高くすることによって製造された請求項1〜3いずれかに記載の成型用ポリエステルフィルム。
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、低温、低圧での加熱成型時の成形性に優れているので幅広い成型方法に適用でき、かつ、成型品として常温雰囲気下で使用する際に、弾性及び形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れ、更にそのうえ耐溶剤性、耐熱性に優れ、また、後加工時にロール状に巻き取った長尺のフィルムを巻き出す際に、ブロッキングや破れが起こりにくいため、生産性に優れているなどの、従来の特徴を維持しており、更に、未溶融物に起因する異物などが極めて少ないため、平滑性と透明性が良好で、蒸着層、スパッタリング層、又は印刷層を設けた際の意匠性に優れる。そのため、家電製品の筐体や銘板用の部材、自動車の部品や銘板用の部材又は建材用部材として好適である。また、フィルム中に紫外線吸収剤などを含有させ、紫外領域の透過率を低減させるなど、耐光性を付与することが可能であり、屋外で使用される用途(自動車の外装用、又は、建材用部材)の成型材料としても好適である。
まず、本発明の成型用ポリエステルフィルムについて、規定した物性、ならびに製造方法に関する技術的意義について説明する。なお、本発明の成型用ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、10〜5000μmであり、一般にシートと呼ばれるものも含まれる。以下、シートもフィルムも、フィルムと呼ぶ。
(本発明に記載の物性の技術的意味と意義)
本発明において、成型用ポリエステルフィルムのヘーズの値は金属などの蒸着加工やスパッタリング加工、印刷加工などによる意匠性に関連するものであり、この数値が高いとくすんで見える。従って、ヘーズは0.1〜2%がくすみを感じさせない範囲であり、より好ましくは0.3〜1.5%である。なお、ヘーズが0.1%未満のフィルムは、工業的規模で通常の生産性で生産することが困難となる。
概略、成型用ポリエステルフィルムの欠点としては、汚れのように光を減衰させるもの、異物のように光を散乱させるもの、未溶融物による欠点のように光を反射するものがあり、本発明における輝点は未溶融物による欠点を云い、成型用ポリエステルフィルムを金属などの蒸着加工やスパッタリング加工、又は印刷加工などした場合に意匠性に大きな影響を与えるものである。
輝点は、長径150μm以上のものが、0.2個/cm 以下あると欠点として捉えられ易く、0.1個/cm 以下が望ましい。また、長径150μm以下のものでも、50μm以上のものが多数あればくすみを感じさせる場合があるので、長径50μm以上の場合は1.5個/cm 以下が好ましく、1.0個/cm 以下が更に好ましい。
本発明において、成型用ポリエステルフィルムの100%伸長時応力は、成形性に関連するものである。適用する加熱条件により、実際の範囲は異なるが、基本的には、この値が高い場合、変形しにくいため、所定の形状が得られず、また、低い場合、均一な伸長にならず、成型品の肉厚にムラが生じたりする。加えて、低い場合、簡単に破断し、作業性が低下する。従って、本発明にあっては、成型用ポリエステルフィルムの25℃における100%伸長時応力、100℃における100%伸長応力を規定することが必須である。25℃での100%伸張時応力が40〜300MPaであることが重要で、下限値は、好ましくは50MPa、より好ましくは60MPa、また、上限値は、好ましくは250MPa、より好ましくは200MPa、さらに好ましくは180MPaである。一方、100℃における100%伸長応力は1〜100MPaであることが重要であることが重要で、下限は5MPaが好ましく、更には10MPaがより好ましく、上限は、90MPaが好ましく、80MPaがより好ましく、70MPaが特に好ましい。
本発明において、150℃における長手方向、及び、幅方向の熱収縮率は意匠性に関連するものであり、高い場合、金属などの蒸着加工、スパッタリング加工又は印刷加工などの熱のかかる処理工程でひずみが発生しやすくなる。なお、低い場合は、特に、問題は発生しないが、実質的な生産性が低下する。 従って、150℃における長手方向、及び、幅方向の熱収縮率は5.0%以下であることが重要であり、下限値は、0%である。0.1%が好ましく、より好ましくは0.5%であり、一方、上限値は、4.5%が好ましくは、より好ましくは4.1%、さらに好ましくは3.2%である。
従って、150℃における長手方向、及び、幅方向の熱収縮率は−5.0〜5.0%であることが重要であり、下限値は、−0.1%が好ましく、より好ましくは0.0%であるが、二軸延伸フィルムであるために0.01%が実際的下限値である。一方、上限値は、4.5%が好ましくは、より好ましくは4.1%、さらに好ましくは3.2%である。
本発明において、成型用ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)は、成形性と関連のある物性であり、面配向度が高いほど分子鎖が面方向に配列し、成形性が低下する。本発明では、成型用ポリエステルフィルムの面配向度は0.095以下である。好ましくは0.085以下である。また、成型用ポリエステルフィルムの面配向度は小さいほど成型性は良くなるが、フィルムの強度が低下する場合や厚み斑などの平面性が悪化する場合があるので、面配向度の下限は0.001とすることが好ましく、0.01がより好ましく、0.04が特に好ましい。
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、ポリエステル系樹脂を主とする樹脂を溶融押出機で溶融押出しし、未延伸のフィルムを得た後、未延伸フィルムを長手方向、及び、幅方向のニ軸に延伸して必要に応じて熱処理を行い得られる。本発明においては、押出機における圧縮部温度と計量部温度の関係が、大きく意匠性に関わるものである。押出機における圧縮部温度が計量部温度より低い場合、前述のように混練不足による未溶融物による輝点の発生や押出負荷によるスクリューの損傷、更には、著しい剪断発熱による高分子の劣化などが生じる。また、押出機における圧縮部温度が計量部温度より高すぎる場合、高分子の熱劣化などにより、黄変などの問題も生じる。従って、押出機における圧縮部温度が計量部温度より15〜25℃高くなることがより好ましい。
(本発明の着想点)
本発明は、従来技術に記載した特許文献12の改良発明であり、主とするポリエステル系樹脂に対して、異なるポリエステル系樹脂から1種類以上を選択し、ペレット、あるいは、チップなどの状態で混合したもの(ドライブレンド)を溶融押出する方法が用いられたで成型用ポリエステルフィルムにおいて、混合(混練)の不足による未溶融物による輝点の発生という課題に対するものであり、この課題に対して、押出機における圧縮部温度が計量部温度より15〜25℃高くすることで改善するものである。そのメカニズムは以下のように考えている。
前述したとおり、結晶性高分子を含む場合、簡便的に融解温度より10℃ほど高い温度で設定し、この押出温度を高くすることで高分子の流動性が向上する。そして、主とするポリエステル系樹脂に対して、異なるポリエステル系樹脂から1種類以上を選択し、ドライブレンドする場合も、最も流動開始温度の低いポリエステル系樹脂を基準に実質的に混練する計量部以降の温度を設定し、それ以前の圧縮部は計量部以降の温度と同等、あるいは、それ以下に設定するが、その場合、基準とするポリエステル系樹脂の粘度が最も高い、あるいは、未溶融状態で混練されることになると考える。そこで、基準とするポリエステル系樹脂が充分に混練される溶融状態となるように、押出機における圧縮部温度が計量部温度より15〜25℃高くすることで、混練の不足による未溶融物による輝点発生の課題が改善すると考える。
(本発明の好適な製造方法)
本発明で使用するポリエステル系樹脂は、一般的なジカルボン酸構成単位とジオール構成単位からなる樹脂であり、ジカルボン酸構成単位に適用できるモノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の飽和脂環族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また、ジオール構成単位に適用できるモノマーとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール類やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテル化合物類、また、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノールなどの脂環族ジオール類、更に、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)などのビスフェノール類、及び、前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。加えて、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、及び、前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物などや環状アセタール骨格を有するジオールなども挙げられる。
上記のポリエステル系樹脂にあっては、ジカルボン酸構成単位として芳香族ジカルボン酸、及び、これらのエステル形成性誘導体が汎用性の観点から好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸類、又は、それらのエステル形成性誘導体が好適であり、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸、及び/又は、イソフタル酸、及び/又は、ナフタレンジカルボン酸類は70mol%以上、好ましくは85mol%以上、特に好ましくは95mol%以上が好ましい。
また、上記のポリエステル系樹脂におけるジオール構成単位としては、汎用性の観点から、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール類が好ましく、分岐状脂肪族グリコールであるネオペンチルグリコールと脂環族グリコールである1,4−シクロヘキサンジメタノールの適用が透明性、成型性の観点から好ましく、全ジオール成分中に15〜60mol%が好ましく、20〜50mol%が特に好ましい。更に、これらのジオール構成単位に加えて、1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを適用することが成型性の観点から望ましく、全ジオール成分中に70mol%以上が好ましく、特に好ましくは90mol%以上が好ましい。
上記のポリエステル系樹脂の製造方法に制限はなく、公知の方法を適用することが可能である。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法又は溶液重合法を挙げることが可能であり、エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、また重合に用いる重合触媒、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来の既知のものを用いることが可能である。エステル交換触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、またエステル化触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム等の化合物、またエーテル化防止剤としてアミン化合物等が例示できる。重縮合触媒としてはゲルマニウム、アンチモン、スズ、チタン等の化合物が例示される。また熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸等の各種リン化合物を加えることも有効である。その他に光安定剤、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤等を加えても良い。また、直接エステル化法において、スラリー性改善のために水を加えても良い。
また、上記のポリエステル系樹脂は詳細には、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位に適用するモノマーの種類などに依るが、大凡、固有粘度が0.50dl/g未満では製膜時に破断しやすく、固有粘度が1.25dl/gを超えると溶融押出時に吐出安定性が損なわれる場合がある。従って、固有粘度は0.50〜1.25dl/g以上が好ましく、0.55〜1.15dl/gがさらに好ましく、0.60〜1.00dl/gが特に好ましい。
なお、このようなポリエステル系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類やトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸を原料モノマーとして用いることができ、更に、必要に応じて、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、増量剤、つや消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、熱可塑性オリゴマーなどの成形助剤や添加剤を含むことができる。
本発明おける原料としては、上記のポリエステル系樹脂の1種類以上を単独、又は、ドライブレンドして、最も流動開始温度の低いポリエステル系樹脂を基準に実質的に混練する計量部以降の温度を制御して押出し、それを長手方向、及び、幅方向のニ軸に延伸してフィルムを得るが、その押出された樹脂の融点が200℃未満であると耐熱性が低下する傾向にあるので、成型性の観点から200〜245℃であることが好ましく、下限の温度は210℃が更に好ましく、特に好ましくは230℃である。なお、他の機能を付与するために、更に種類の異なるポリエステル系樹脂を用い、コンバイニングアダプタ法、マルチスロット法、マルチマニホールド法などの公知の方法で例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成の積層構造にすることができる。
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、二軸に延伸されて得られることが重要である。本発明においては、二軸方向への延伸による分子配向により、未延伸フィルムの欠点である耐溶剤性や寸法安定性が改善される。
その延伸方法は特に限定されないが、Tダイ法から静電印加法、エアチャンバ法などにより冷却ロールに密着させた未延伸フィルムを長手方向(MD)、及び、幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有するポリエステルフィルムを得る方法がある。ここで、フィルム品質の観点から、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式、長手方向、及び、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。また、同時二軸延伸法の場合、リニアモーターで駆動するテンターを用いてもよい。さらに、必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸法を用いてもよい。この場合、延伸倍率としては、長手方向、幅方向共に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
その際の延伸温度は、未延伸フィルムのガラス転移温度に対して+10〜+50℃の温度、所望の延伸倍率に至る伸張区間で伸張応力の変動が小さい温度などを設定することが厚さの斑が小さくできるので好ましい。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における100%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
なお、本発明のポリエステル系樹脂の場合、延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激が低下し、特に、延伸の後半でも応力が高くなり難いため、配向が高くならず、25℃における100%伸張時応力が低下する。このような現象は、厚さが60〜500μmで発生しやすく、特に厚みが100〜300μmで顕著に見られる。そのため、本発明の場合、横方向の延伸温度では、予熱温度を未延伸フィルムのガラス転移温度に対して+10〜+50℃の温度範囲で行ない、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して−20〜+15℃とし、横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して0〜−30℃の温度範囲とすることが好ましく、より好ましくは−10〜−20℃とする。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。なお、横方向の延伸倍率は、2.5〜5.0倍とすることが好ましい。
そして、上記の延伸終了後に引き続きテンター内で熱処理するが、この熱処理条件は、ヘーズと表面粗さを両立させるために重要な条件で、この場合、熱処理は2段階以上に分けて行うことが重要である。まず、二段目の熱処理温度(TS2)は未延伸フィルムの融点の−10〜−35℃の範囲が好ましく、更には、−5〜−30℃が好ましい。一方、一段目の熱処理温度(TS1)は、二段目の熱処理温度(TS2)の−15〜−30℃の範囲が好ましく、更には、−10〜−25℃が好ましい。なお、TS1とTS2の間に中間の熱処理ゾーンを設けることも、またTS2の後に熱処理ゾーンを設けることも可能である。この場合、TS2は最高の熱処理温度を示す。上記の延伸条件と熱処理条件を設定することにより、ヘーズが低く、滑り性が良好なフィルムが得られ、また、本発明で規定した25℃と100℃の100%伸張時応力を満足することが可能である。
なお、成型用ポリエステルフィルムの表面粗さは、フィルムの滑り性、ひいては取扱い性に関係し、表面粗さが小さすぎると滑りにくくなり、逆に大きすぎると滑りすぎるためにフィルムの取扱い性が悪くなる。一般にヘーズを小さい場合は表面粗さが小さく滑りにくくなる。本発明においては、ヘーズを小さくし、かつ必要な表面粗さを得るために、上記熱処理条件の採用が好ましい。
以上説明したように、本発明の成型用ポリエステルフィルムを用いることで、従来の二軸配向ポリエステルフィルムでは成型することが困難であった、成型時の成型圧力が10気圧以下の低圧下での真空成型や圧空成型などの成型方法においても、仕上がり性の良好な成型品を得ることができる。また、これらの成型法は成型コストが安いので、成型品の製造における経済性において優位である。
したがって、これらの成型法に適用することが本発明の成型用ポリエステルフィルムの効果を最も有効に発揮することができ、プレス成型、ラミネート成型、インモールド成型、絞り成型、折り曲げ成型などの成型方法を用いて成型する成型用フィルムとして好適であり、家電製品の筐体や銘板用の部材、自動車の部品や銘板用の部材、ダミー缶、建材、化粧板、化粧鋼鈑、転写シートなどに適用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定した。
(1)ヘーズ
JIS K 7105「プラスチックの光学特性試験方法」に準拠して、積分球式光線透過率測定装置により得られる全光線透過率と拡散透過率より得た曇価(ヘーズ)について、下記の判断を行なった。
◎: 〜0.5% (透明性が非常に高い)
○:0.5%〜2.0% (透明性が高い)
×:2.0%〜 (透明性が低い)
(2)輝点
キズや汚れのない部位から採取したB4判サイズの試料(測定部位A4判)に対して、下記の装置と条件に基づき測定した輝点の数量に対して、下記の判断を行なった。
装置:竹中システム機器製「透明フィルム輝点検出装置(TP−9723C)」
条件:コンベア速度 5.5m/min
スライスレベル 1.8V
輝点サイズ(大) 長径150μm以上
輝点サイズ(小) 長径50〜150μm
判断
◎: 未検出
○:(大)0.2個/cm 以下かつ(大)+(小)1.0個/cm 以下
×:(大)0.2個/cm 以上あるいは(大)+(小)1.0個/cm 以上
(3)成型性(真空成型性)
フィルムに5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で真空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で真空成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けを行った。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、または印刷ずれが0.
1mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、または破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i) 角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii) 大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv) 印刷のずれが0.2mmを超えるもの
(4)100%伸張時応力、破断伸度
JIS K 7127「プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」に準拠して、加熱槽を有した引張試験機を用い、下記の条件で得た応力−ひずみ曲線から各方向の100%伸張時応力(MPa)、及び、破断伸度(%)を求めた。なお、100℃での測定では、予め温度が安定する時間(30sec)を確認し、試験を実施した。
試験片 :1号形試験片(幅10mm)
試験速度:100mm/min
試験温度:25℃、100℃
(5)収縮率
JIS C 2318「電気用ポリエチレンテレフタレートフィルム(寸法変化)」に準拠して、150℃加熱前後の寸法変化率を収縮率とした。
(6)面配向度
JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法(A法)」に準拠して、長手方向の屈折率(Nz)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)の値より下記の式から面配向度(ΔP)を算出した。
ΔP=((Nx+Ny)/2)−Nz
(7)結晶融解温度、ガラス転移温度
JIS K 7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠した示差走査熱量測定(DSC)のDSC曲線より得られる融解ピーク温度を融解温度(Tm)、中間点ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(8)固有粘度
JIS K 7367−5「プラスチック−毛細管形粘度計を用いた希釈溶液の粘度の求め方―第5部:熱可塑性ポリエステル(TP)ホモポリマー及びコポリマー」に準拠して得た粘度数に対して、下記の測定条件で、溶液の質量濃度c に対する粘度数の関係から質量濃度c=0としたときの値を固有粘度とした。
溶媒:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40(質量%)
管:ウベローデ粘度管
温度:30±0.1(℃)
(実施例1)
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)をエステル化反応釜に仕込み、圧力0.25MPa、温度220〜240℃の条件下で120分間エステル化反応を行なった後、反応釜内を常圧にして、重合触媒としてチタニウムテトラブトキシドなどを加えて、撹拌しながら反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5hPaとすると共に、温度を280℃に昇温して、280℃で溶融粘度が所定の値となるまで撹拌を続けて重合反応を行ない、その後、水中に吐出して冷却し、ポリエステル系樹脂Aを得た。また、テレフタル酸(TPA)、ならびに、エチレングリコール(EG)、ネオペンチルグリコール(NPG)をそれぞれ、所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、以降は前述のポリエステル系樹脂Aを参考に、ポリエステル系樹脂Dを得た。
これらのポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドし、三菱重工製ME型単軸押出機(ダムフライト付きメタリングタイプスクリュー、外径65mm)を使用し、押出機の圧縮部285℃、計量部270℃、スクリュー回転数50rpmで混合したものを吐出量50kg/hrでギアポンプにより、Tダイのスリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させながら未延伸フィルムを得た。そして、得られた未延伸フィルムを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向にガラス転移温度に対して、+10〜+50℃の温度範囲を基準に100℃で3.5倍に延伸した後、ガラス転移温度に対して+10〜+50℃の温度範囲を基準に100℃で約10sec予熱して、前半では予熱温度に対して−20〜+15℃の温度範囲を基準に100℃、後半部では前半の温度に対して0〜−30℃の温度範囲を基準に90℃で、最終的に3.8倍に延伸し、次に、融解温度に対して−10〜−35℃の温度範囲を基準に3%の弛緩を行ないながら、面配向度が0.085〜0.095になるように熱処理を実施して、厚さが25μmのフィルム1を得た。
(実施例2)
ポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部295℃にすること以外は実施例1と同様にしてフィルム2を得た。
(比較例1)
ポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部270℃にすること以外は実施例1と同様にしてフィルム3を得た。
(比較例2)
ポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部305℃にすること以外は実施例1と同様にしてフィルム4を得た。
(比較例3)
ポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部285℃、計量部285℃にすること以外は実施例1と同様にしてフィルム5を得た。
(比較例4)
ポリエステル系樹脂AとDをA/D=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部270℃、計量部285℃にすること以外は実施例1と同様にしてフィルム6を得た。
なお、フィルム1〜6は、100%伸張時応力が25℃で70〜100MPa近傍、100℃で20〜35MPa近傍、収縮率が150℃で0.5〜2.5%近傍であった。
(実施例3)
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)をエステル化反応釜に仕込み、圧力0.25MPa、温度220〜240℃の条件下で120分間エステル化反応を行なった後、反応釜内を常圧にして、重合触媒としてチタニウムテトラブトキシドなどを加えて、撹拌しながら反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5hPaとすると共に、温度を280℃に昇温して、280℃で溶融粘度が所定の値となるまで撹拌を続けて重合反応を行ない、その後、水中に吐出して冷却し、実施例1と同等のポリエステル系樹脂Aを得た。また、テレフタル酸ジメチル(DMT)、1,3−プロパンジオールを反応釜に仕込み、常圧、170〜210℃で180分間、エステル交換反応を行なった後は前述のポリエステル系樹脂Aと同様にしてポリエステル系樹脂Bを得た。更に、テレフタル酸(TPA)、ならびに、エチレングリコール(EG)、ネオペンチルグリコール(NPG)をそれぞれ、所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、以降は前述のポリエステル系樹脂Aと同様に、実施例1と同等のポリエステル系樹脂Dを得た。
これらのポリエステル系樹脂AとBとDをA/B/D=30質量%/40質量%/30質量%の配合比でドライブレンドし、実施例1と同様に三菱重工製ME型単軸押出機(ダムフライト付きメタリングタイプスクリュー、外径65mm)を使用し、押出機の圧縮部285℃、計量部270℃、スクリュー回転数50rpmで混合したものを吐出量50kg/hrでギアポンプにより、Tダイのスリットから溶融押出し、表面温度30〜40℃のチルロール上で急冷固化させると同時に静電印加法により密着させながら未延伸フィルムを得た。そして、得られた未延伸フィルムを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に、90℃で3.5倍に延伸した後、90℃で約10sec予熱して、前半では80℃、後半部でも80℃で、最終的に3.8倍に横方向延伸し、次に、融解温度に対して−10〜−35℃の温度範囲を基準に3%の弛緩を行ないながら、面配向度が0.085〜0.095になるように熱処理を実施して、厚さが25μmのフィルム7を得た。
(比較例5)
ポリエステル系樹脂AとBとDをA/B/D=30質量%/40質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の計量部285℃にすること以外は実施例3と同様にしてフィルム8を得た。
(比較例6)
ポリエステル系樹脂AとBとDをA/B/D=30質量%/40質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部275℃、計量部285℃にすること以外は実施例3と同様にしてフィルム9を得た。
なお、フィルム7〜9は、100%伸張時応力が25℃で70MPa近傍、100℃で10MPa近傍、収縮率が150℃で2.0%近傍であった。
(実施例4)
テレフタル酸ジメチル(DMT)、1,4−ブタンジオールを反応釜に仕込み、常圧、170〜210℃で180分間、エステル交換反応を行なった後は実施例1のポリエステル系樹脂Aと同様にしてポリエステル系樹脂Cを得た。また、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)ならびに、エチレングリコール(EG)を所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、後は実施例1のポリエステル系樹脂Aと同様にしてポリエステル系樹脂Eを得た。
これらのポリエステル系樹脂CとEをC/E=45質量%/55質量%の配合比でドライブレンドし、三菱重工製ME型単軸押出機(ダムフライト付きメタリングタイプスクリュー、外径65mm)を使用し、押出機の圧縮部255℃、計量部240℃にすることと
得られた未延伸フィルムを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に、90℃で3.5倍に延伸した後、90℃で約10sec予熱して、前半では80℃、後半部でも80℃で、最終的に3.8倍に横方向延伸すること以外は実施例1と同様に行ない、厚さが25μmのフィルム10を得た。
(実施例5)
ポリエステル系樹脂CとEをC/E=45質量%/55質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部270℃、計量部255℃にすること以外は実施例4と同様にしてフィルム12を得た。
ポリエステル系樹脂CとEをC/E=45質量%/55質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の計量部255℃にすること以外は実施例4と同様にしてフィルム11を得た。
(比較例7)
ポリエステル系樹脂CとEをC/E=45質量%/55質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の計量部255℃にすること以外は実施例4と同様にしてフィルム12を得た。
(比較例8)
ポリエステル系樹脂CとEをC/E=45質量%/55質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の計量部270℃にすること以外は実施例5と同様にしてフィルム13を得た。
なお、フィルム11〜13は、100%伸張時応力が25℃で70〜90MPa近傍、100℃で30〜35MPa近傍、収縮率が150℃で0.0〜2.0%近傍であった。
(実施例6)
テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)ならびに、エチレングリコール(EG)を所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、後は実施例1のポリエステル系樹脂Aと同様にして実施例4と同等のポリエステル系樹脂Eを得た。また、テレフタル酸(TPA)、ナフタレンジカルボン酸(NDA)ならびに、エチレングリコール(EG)を所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、以降は実施例1のポリエステル系樹脂Aと同様にしてポリエステル系樹脂Fを得た。
これらのポリエステル系樹脂EとFをE/F=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドし、三菱重工製ME型単軸押出機(ダムフライト付きメタリングタイプスクリュー、外径65mm)を使用し、押出機の圧縮部290℃、計量部275℃にすることと
得られた未延伸フィルムを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に、110℃で3.0倍に延伸した後、120℃で約10sec予熱して、前半は110℃、後半部でも110℃で、最終的に3.2倍に延伸すること以外は実施例1と同様に行ない、厚さが25μmのフィルム14を得た。
(比較例9)
ポリエステル系樹脂EとFをE/F=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の計量部290℃にすること以外は実施例6と同様にしてフィルム15を得た。
(比較例10)
ポリエステル系樹脂EとFをE/F=50質量%/50質量%の配合比でドライブレンドしたポリエステル系樹脂を押出す時に押出機の圧縮部275℃、計量部290℃にすること以外は実施例6と同様にしてフィルム16を得た。
なお、フィルム14〜16は、100%伸張時応力が25℃で70MPa近傍、100℃で10MPa近傍、収縮率が150℃で2.0%近傍であった。
(実施例7〜10)
厚さが100μmであること以外は、実施例1、実施例3、実施例4、実施例6と同様にして、フィルム17〜20を得た。
上記のポリエステル系樹脂A〜Fに関する情報を表1に示す。
Figure 2009149784
上記のフィルム1〜20に関するポリエステル系樹脂A〜Fの配合比、押出温度などの情報を表2に示す。
Figure 2009149784
ダムフライト付きメタリングタイプスクリューは主フライトの間に主フライトより外径を小さくしたフライト(ダムフライト)を圧縮部に設けた二重溝タイプのスクリューで、ダムフライトにより異なる樹脂や添加剤を混練するにあたり、高い混錬性と分散性が望めるものである。しかし、フィルム1〜6にあって、本発明のフィルム1〜2以外は輝点において所定のものが得られず、例え、所定の輝点のものが得られても、外観では黄変などの問題、また、100%伸張時応力の低下などが発生し、詳細な確認は不充分であるが、厚さ斑の発生、巻取り時のシワ発生の兆候が認められる。これは、異なる結晶性の樹脂が増えても同様の傾向があり、フィルム7〜9に見られるように本発明のフィルム7以外は上記と同様に、輝点や外観で問題が発生する。更に、融解温度が低い場合(フィルム10〜13)、融解温度が高い場合(フィルム14〜16)においても、本発明であるフィルム10〜11、フィルム14のみが同様に輝点や外観で問題が発生せず、本発明が優れていると考えられる。なお、所定の条件が整えば、厚さが大きくなる場合(フィルム17〜20)も、輝点や外観で問題は発生せず、本発明は優れていると考えられる。
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、未溶融物に起因する異物などが極めて少ないため、平滑性と透明性が良好で、蒸着層、スパッタリング層、又は、印刷層を設けた際の意匠性に優れる。そのため、家電製品の筐体や銘板用の部材、自動車の部品や銘板用の部材又は建材用部材として好適である。また、フィルム中に紫外線吸収剤などを含有させ、紫外領域の透過率を低減させるなど、耐光性を付与することが可能であり、屋外で使用される用途(自動車の外装用、又は、建材用部材)の成型材料としても好適であり、産業界への寄与は大きい。

Claims (4)

  1. 縦方向及び横方向の100%伸張時応力が25℃で40〜300MPa、100℃で1〜100MPaであり、面配向度が0.095以下であり、ヘーズが2%以下であり、長径150μm以上の輝点が0.2個/cm 以下であることを特徴とする成型用ポリエステルフィルム。
  2. 少なくとも1種類の結晶性のポリエステル系樹脂とこれと異なる1種類以上のポリエステル系樹脂を溶融押出機内で混練したポリエステル系樹脂から主になることを特徴とする請求項1に記載の成型用ポリエステルフィルム。
  3. 少なくとも1種類の結晶性のポリエステル系樹脂と1種類以上の非晶性ポリエステル系樹脂を溶融押出機内で混練したポリエステル系樹脂から主になることを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の成型用ポリエステルフィルム。
  4. 溶融押出機の圧縮部温度を計量部温度より15〜25℃高くすることによって製造された請求項1〜3いずれかに記載の成型用ポリエステルフィルム。
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