JP2013198434A - 乾燥肉様食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は肉原料の使用量が少ない乾燥肉様食品の食感に粗挽き感を付与することを課題とする。
【解決手段】
加熱凝固された蛋白質を含む母材、及び、耐熱性粒状ゲルを少なくとも構成材料とし、該粒状ゲルが該母材中に散在し固定されていることを特徴とする、乾燥肉様食品。
【選択図】図1

Description

本発明は、サラミやジャーキー等の低水分の乾燥肉様食品に関する。更に詳しくは、肉原料を少量しか使用しないか又は全く使用しない植物性の乾燥肉様食品に関する。
低水分の乾燥肉食品には、サラミやジャーキー等のドライソーセージなどが存在する。これは比較的長期の保存に耐えるように製造されたソーセージであり、例えば日本国内では日本農林規格(平成21年7月13日農林水産省告示第936号)により水分含量で規定されている。ドライソーセージは水分含量35%以下のものと規定され、セミドライソーセージはドライソーセージを除く水分含量55%以下のものと規定されている。ドライソーセージ類の一般的な製法としては、原料肉をチョッパーで粗挽きした後塩漬し、塩漬後原料肉をチョッパーにて細切れ、またはサイレントカッターでせん断し、これに調味、香辛料および豚脂肪等の脂肪を加えて練り合わせ、牛腸等のケーシングに充填した後、乾燥して製品を得るものである。(一般的な説明)。
サラミは、一般的に嗜好品であり、おつまみやピザ等の具材として、また長期保存食として好まれる食品である。しかしカロリーの摂取過多や血中コレステロール値の上昇による健康への配慮から、食される機会が少なくなってきている。そのため、肉原料を減らして植物性原料に置き換え、コレステロール値の上昇等を気にすることなく、気兼ねなく食せるような植物性サラミについてのニーズがある。
肉原料の使用量が少ない乾燥肉様食品については、いくつかの例が開示されている。例えば、
(1)大豆を含有水分30〜60重量%に調節後、磨砕して繊維状にした大豆加工品と畜肉の挽肉又は肉ペーストと混和し、成型後乾燥し、乾燥肉様食品を得る技術(特許文献1)、
(2)魚肉すり身、粉末状分離大豆蛋白、油脂及び水等を混合して得た蛋白ペーストに、繊維状大豆蛋白を加え、これを細い棒状に成形し、これを高周波により乾燥し、ドライソーセージタイプ食品を得る技術(特許文献2)、
(3)豆腐を脱水して乾燥し、これにアルコール水溶液に浸漬し、50℃以下で熱風乾燥し、ジャーキー様食感の大豆加工食品を得る技術(特許文献3)、
(4)おからをグルタミン酸又はその塩の存在下に麹で発酵し、乾燥して乾燥肉様食品を得る技術(特許文献4)、
(5)繊維状大豆蛋白、ゲル化剤、凝固剤および水を加え、該ゲル化剤と凝固剤により加熱ゲル化させた大豆蛋白加工食品用組成物を得て、これを調味液に浸漬し、30〜60分間熟成した後に真空乾燥し、短冊状に成形したペミカン類似品を得たり、該食品用組成物に油脂を配合して得た食品用パテに、調味料をまぶし、燻煙して含水量45%のドライソーセージ類似品を得る技術(特許文献5)、
等が挙げられる。
特開昭58−76068号公報 特開昭59−11138号公報 特開平5−66号公報 特開2005−269959号公報 WO2007/13146号公報
特許文献1の技術は、大豆をコロイドミルで繊維状に磨り潰した繊維状大豆加工品を使用するのが特徴であり、この大豆加工品は肉原料や魚肉すり身と混合され、均質化されているため、原料の母体の一部になっている。また挽肉やチキンペースト等の肉原料が必須の原料であり、その配合量も多いものである。
特許文献2の技術は、蛋白質ペーストからなる母材に繊維状大豆蛋白を加えたものであり、この技術により乾燥工程が短縮化され、工程管理上の利点は見いだされたものの、食感は粗挽きソーセージのような肉の粗挽き感に乏しいものであった。
特許文献3の技術は、豆腐を製造してから乾燥し、さらにアルコール溶液に浸漬するという複雑な工程を経るものであり、またその組織も緻密な構造であり、均質化されて粗挽き感に乏しいものである。
特許文献4の技術は、おからを麹菌で発酵させるという特殊な技術であり、豆腐の副産物であるおからの有効利用を図った点で意義を有するが、乾燥肉様食品の粗挽き感を有する食感についてはあまり重視されていない。
特許文献5の技術も特許文献2と同様に繊維状大豆蛋白を使用したドライソーセージやペミカン等を提供するものであるが、これについても乾燥肉様食品の粗挽き感については着目されていない。
以上の技術はいずれも乾燥肉様食品の粗挽き感が不足するという課題を提起しておらず、このような解決法を示唆するものではない。一方、本発明は上記先行技術が提起しない、乾燥肉様食品の食感に粗挽き感を付与することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究するなかで、乾燥肉様食品の製造生地において、耐熱性を有しかつ粒状であるゲル化物を蛋白質に含む母材中に混合し、散在させることにより、従来の滑らかな食感よりも粗挽き感を付与することが出来る知見を得るに到り、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)加熱凝固された蛋白質を含む母材、及び、耐熱性粒状ゲルを少なくとも構成材料とし、該粒状ゲルが該母材中に散在し固定されていることを特徴とする、乾燥肉様食品、
(2)該母材が加熱凝固性蛋白質を含む、前記(1)記載の食品、
(3)該ゲルが加熱凝固性蛋白質を含む、前記(1)記載の食品、
(4)該母材中に、さらに組織状押出物が散在し固定されている、前記(1)記載の食品、
(5)肉類の含有量が食品の乾物換算で1重量%以下である、前記(1)記載の食品、
(6)加熱凝固性の植物性蛋白質を含む加熱凝固された母材、加熱凝固性の植物性蛋白質を含む耐熱性粒状ゲル、及び組織状押出物を少なくとも構成材料とし、肉類の含有量が乾物換算で1重量%以下であり、該粒状ゲルと組織状押出物が該母材中に散在し固定されていることを特徴とする、乾燥肉様食品、
(7)構成材料である母材、耐熱性粒状ゲル及び組織状押出物が、結着剤を介して固定されている、前記(6)記載の乾燥肉様食品、
(8)下記工程を含むことを特徴とする、前記(1)記載の乾燥肉様食品の製造法、
1.蛋白質及び水が含まれる原料を混練し、蛋白質を含む可塑状母材を得る工程、
2.ゲル化材料に水を混合して水和させ、ゲル化させて耐熱性粒状ゲルを得る工程、
3.該母材に、該ゲルを粒状を維持しつつ混合し、可塑状生地を得る工程、
4.該生地を成形後に加熱し、凝固させて肉様食品を得る工程、
5.該肉様食品を乾燥する工程、
(9)該母材中に、組織状押出物を混合する工程をさらに含む、前記(8)記載の食品の製造法、
等を提供するものである。
本発明によれば、肉類の使用率を減らした乾燥肉様食品に、本物の粗挽きソーセージのような肉類の粗挽き感を付与し、よりドライソーセージに近い食感に改良することが可能となる。これによって、ドライソーセージと変わらない食感を嗜好的に楽しみながら、健康にも配慮した乾燥肉様食品を提供することができる。
実施例2で得られた乾燥肉様食品(植物性サラミ)の図面代用写真である。
本発明の加熱凝固された蛋白質を含む母材、及び、耐熱性粒状ゲルを少なくとも構成材料とし、該粒状ゲルが該母材中に散在し固定されていることを特徴とする。以下に本発明の実施形態について具体的に説明する。
(1)乾燥肉様食品
本発明ではドライソーセージ、セミドライソーセージなどを総称してドライソーセージ類といい、各種品質規格に限定されることなくドライソーセージ類のように乾燥工程により乾燥させた食肉製品を乾燥肉製品と称する。そしてこの乾燥肉製品の製品規格は国内外により種々規定されるが、本発明ではこれらの製品規格への適合に関係なく、動物の肉や臓器(以下、「肉類」と称する。)の使用量が少なく、植物性蛋白質や植物性油脂等の他原料で肉類の一部又は全部を置換し、乾燥肉製品の形態と同様に調製したものを、乾燥肉様食品という。
本発明の乾燥肉様食品の水分含量は45重量%以下が好ましく、35重量%以下のものがより好ましい。また水分活性は0.95以下が好ましく、0.87以下がより好ましい。
乾燥肉様食品の全原料中の肉類の含量は40重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、最も好ましくは肉類を含まないことである。
(2)母材
本発明の乾燥肉様食品を構成する母材は、加熱凝固されたものであって、蛋白質を含むものであることを特徴とする。
母材は蛋白質を含有する原料及び水と、必要により副原料が均一に混練され、可塑状に調製したものから得られ、製造時は典型的には均質なペースト状であるが、これを加熱により凝固させ、乾燥させたものが最終製品に含まれる。また水は蛋白質を含有する原料に含まれるものであってもよい。
該母材に使用される蛋白質材料は、典型的には肉原料である。肉原料の種類は牛肉、豚肉、鶏肉に限定されず、羊肉、馬肉、魚肉等も含みうる。
本発明においては、肉原料以外の蛋白質材料を肉原料の一部又は全部と置換して用いるのが好ましい。該蛋白質材料としては各種の加熱凝固性蛋白質を用いることが好ましい。ここで加熱凝固性とは、その溶液あるいは懸濁液を加熱すると凝固してゲルを形成する性質を有し、かつ冷却後再加熱しても溶融することのない熱不可逆性をいう。そのような性質を有する蛋白質素材の種類としては、具体的には大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、キャノーラ蛋白質、小麦蛋白質等の植物性蛋白質素材や、乳蛋白質等の動物性蛋白質素材が例示され、これらは単独又は併用して使用されうる。
蛋白質素材の好ましい形態は、蛋白質を含有する原料から蛋白質が精製された、濃縮蛋白や分離蛋白である。典型的には粗蛋白質含量が固形分重量あたり70重量%以上、より好ましくは80重量%以上の粉末状蛋白質素材が好ましい。さらに蛋白質素材は予め水和物を形成させるため、水に対する溶解性が高いほど好ましく、具体的にはNSI(窒素溶解指数)が80以上、好ましくは90以上のものを用いるのが適当である。
本発明の母材には、副原料として油脂や糖類、調味料、着色料等の種々の原料を含むことができる。使用できる油脂としては、豚脂、牛脂、魚油などの動物性油脂もしくはそれらの硬化油;シア脂、サル脂、イリッペ脂、ココア脂、パーム油等の植物性の固形脂;菜種油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、コーン油、落花生油等の植物性液状油の硬化油脂・分別油脂・エステル交換油脂等が挙げられ、上記油脂を用いたマーガリン等の加工油脂も用いることができる。
本発明の母材に加熱凝固性蛋白質を水と水和させて用いる場合、蛋白質素材と水との重量比率は1:3〜1:10が好ましく、1:3.5〜1:7がより好ましい。蛋白質素材に対する水が1:3未満であると水が少なく流動性が低くなる傾向にあるため、作業性が低下し、また油脂の保持力も低下する傾向となる。また1:10を超える場合は、分散させる油脂を取り囲む蛋白質素材の濃度が薄くなるためか、油脂の保持力が低下する傾向となる。
本発明に使用される母材の原料の混練はミキサーやサイレントカッター等の混練機を用いることができ、特にサイレントカッターは作業効率が良く好適である。
本発明の母材に使用する肉類の割合を減らし、他の蛋白質素材、特に植物性蛋白質素材の置換率を増やすことによって、より植物性志向でヘルシーな乾燥肉様食品を得ることができる。この場合、乾燥肉様食品中の肉類の含有量は、乾物換算で1重量%以下が好ましく、0重量%が最も好ましい。
(3)耐熱性粒状ゲル
本発明の乾燥肉様食品は、前記母材の他に、耐熱性を有しかつ粒状であるゲル化物も構成材料となっていることを必須とし、さらに該粒状ゲルは前記母材中に散在し、固定されていることが特徴である。
本発明の粒状ゲルはゲル化材料に水を混合し、水和させゲル化させて得られるものであるが、得られたゲルが耐熱性を示すことを要する。なお耐熱性とはゲルが食品製造中の加熱や製造後の再加熱により融解しない性質をいい、具体的にはゲルを100℃で加熱したときに融解しない性質をいう。粒状ゲルの耐熱性が低いと、乾燥肉様食品製造の際の加熱工程で融解してしまい、目的の乾燥肉様食品を得られない。
耐熱性のゲルを得るための方法は公知の種々の手段を用いることができ、ゲル化材料として加熱凝固性蛋白質又は多糖類を単独使用するか、あるいは併用し、水と水和させ、これらのゲル化力によってゲル化させればよい。加熱凝固性蛋白質としては、前記母材で記載されるものを使用することができる。加熱凝固性蛋白質と水の混合比率は、その種類にもよるが1:2〜1:4で混合することができる。多糖類としては、ゲルが耐熱性を示すための特定の多糖類を使用することができる。例えば、多糖類自体が加熱凝固性を示すβ−1,3−グルカンを使用することができ、また各種多糖類の耐熱性ゲルの製造技術を利用することもできる(特開平2−27952号公報、特開2003−180265号公報、特開2004−248536号公報、特開2008−118988号公報、特開2009−67886号公報など)。
得られた耐熱性ゲルを本発明で使用される耐熱性かつ粒状のゲルとする。ゲルを粒状に調製するためには、例えばサイレントカッター等の混合機にゲル化材料と水を投入して均一に混合し、水和させた後、約2~3時間程度静置して水和物を寝かせてゲル化物を形成させ、その後ゲル化物を粒状となるようにカットする方法などを用いることができる。またアルギン酸カルシウムのゲルを調製する際のように、アルギン酸等の多糖類の水溶液をこれと反応しゲル化させる性質を持つカルシウム塩等の化合物水溶液中に滴下し、直接粒状のゲルを得る方法などを用いることもできる。
本発明の耐熱性粒状ゲルには、ゲル化材料と水の他に、各種副材料を用いることができる。好ましい副材料としては、濁り剤や色素等が挙げられる。濁り剤を添加するとゲルの透明感を低下させることができ、これによってより肉原料を用いたサラミに近づけることができる。そのような好ましい濁り剤としては、コーンスターチ等の澱粉や油脂が挙げられる。また色素の添加によって特に肉の赤身を表現する色に着色すると、より肉原料を用いたサラミに近づけることができる。そのような好ましい赤系色素としては、アカカブ色素、アカダイコン色素、アカネ色素、紅花色素、紅麹色素などが挙げられる。
本発明で使用される耐熱性粒状ゲルの含量は特に限定されないが、乾燥肉様食品中に10重量%以上有することが粗挽き感を付与する点で適当である。好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上が適当である。この量はハンバーグやミートボール等の一般の畜肉製品で使用される粒状ゲルよりも格段に多い量であり、ハンバーグ等に粒状ゲルを同程度加えると、肉粒感が強くなりすぎて違和感のある食感となり、また生地の結着力が弱まり、成形性が阻害される。
耐熱性粒状ゲルの粒径は特に限定されないが、1〜2mmが粗挽き感を感じやすく、外観的にも違和感を感じにくいため好ましい。
(4)組織状押出物
本発明の構成材料の一つとして、前記母材及び粒状ゲルの他に、組織状押出物を使用することができる。これは該粒状ゲルと同様に母材中に散在し、固定されるものである。組織状押出物の使用は、肉様の繊維感を付与することができる理由で好ましい。
組織状押出物としては、エクストルージョンクッキングによって製造されるものが挙げられ、蛋白質、澱粉や食物繊維を含む押出材料と水を二軸エクストルーダー等の押出機に導入し、加圧加熱して押出機の先端のダイより押出すことによって、内部組織が膨化されたものである。例えば大豆粉、脱脂大豆、粉末状大豆蛋白などの大豆原料を使用した組織状大豆蛋白素材が肉と同様の咀嚼性を有しており好適である。
本発明で組織状押出物を使用する場合の含量は特に限定されないが、乾燥肉様食品中に乾物として1〜20重量%有することが肉様の繊維感を付与できる点で適当である。好ましくは3〜15重量%、より好ましくは4〜8.5重量%が適当である。また組織状押出物の粒径は特に限定されないが、1〜2mmが繊維感を感じやすく、更に口溶け良い食感となりやすいので好ましい。
(5)加熱前の可塑状生地の調製
本発明で使用される粒状ゲル、さらに組織状押出物(以下、「粒状ゲル等」という)は、前記母材とその形状(粒状)を維持しつつ混合され、加熱前の可塑性を有する生地を得る。この際、粒状ゲル等が母材中に十分散在するように混合する。
耐熱性粒状ゲルの母材に対する混合比率は、8以上:10が好ましく、15以上:10がより好ましく、30以上:10がさらに好ましい。また、組織状押出物(乾物として)の母材に対する混合比率は、3:10〜6:10が好ましい。
なお混合の際、母材と粒状ゲル等以外にも別途に副原料を添加することもできる。副原料としては、例えば油脂、結着剤、調味料、糖類、色素等が挙げられる。ここで使用する油脂としては、乾燥肉様食品中の外観を脂肪組織が散在したサラミのような外観にするため、牛脂や豚脂のような固体状の油脂を使用することができるが、固体状の油脂としては植物性の硬化油脂又は分別油脂がより好ましい。その融点は5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上が適当である。
本発明では肉類との代替の趣旨から、大豆蛋白質等の植物性蛋白質素材を使用することが好ましいが、この場合、肉類を使用しないことにより母材の結着性が低下してしまう場合には、卵白、グルテンやホエー蛋白質等の結着剤を用いることが好ましく、添加量は食品中0.5〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。この結着剤を介して構成材料である母材及び耐熱性粒状ゲル(さらに要すれば組織状押出物)を加熱中にばらけることなく強く固定することができる。
(6)生地の成形及び加熱
得られた可塑性生地は成型機等の成形手段で適当な形状に成形され、成形後の生地を加熱処理して凝固させ、これによって粒状ゲル等を母材に固定し、乾燥前の肉様食品を得る。次いでこれを乾燥して本発明の乾燥肉様食品を得ることができる。
生地の成形は、例えばセルロース等のケーシングに充填することにより行うことができる。加熱処理は例えば中心温度80℃以上で蒸煮等により行うことができ、更に必要により風味向上のため70℃程度で燻煙することができる。乾燥は冷蔵で自然乾燥等の手段を用いることができ、室温10℃以下で乾燥を開始することが好ましい。
以下、実施例により本発明の実施態様をより具体的に説明する。なお、実施例中の「%」、「部」は特記しない限り「重量%」、「重量部」を示す。
(製造例1)蛋白質を含む母材の調製
下記表1の配合により、乾燥肉様食品の製造に使用する母材を調製した。
植物性蛋白質素材として分離大豆蛋白「ニューフジプロSE」(不二製油(株)製)、油脂として菜種白絞油を用い、これらと水をサイレントカッターにて混合して分離大豆蛋白の均質なエマルジョンカードを調製し、これを乾燥肉様食品の「母材」とした。
(表1)母材(エマルジョンカード)の配合
(製造例2)耐熱性粒状ゲルの調製
下記表2に示す配合により、乾燥肉様食品の製造に使用する耐熱性粒状ゲルを調製した。
植物性蛋白質素材として分離大豆蛋白「ニューフジプロSE」(不二製油(株)製)、澱粉としてコーンスターチ、色素として赤系色素を用い、これらと水をサイレントカッターを用いて混合し、水和させた後、該水和物を2~3時間静置してゲル化させ、得られたゲル化物をサイレントカッターを用いて約1~2mmの粒径にカッティングし、粒状ゲルを作製した。得られたゲルは加熱によっても融解することがなく、これを乾燥肉様食品の耐熱性粒状ゲルとした。
(表2)粒状ゲルの配合
(実施例1)乾燥肉様食品の調製
製造例1で調製された母材と、製造例2で得られた耐熱性粒状ゲルを用い、表3の配合にて肉類を使用しない乾燥肉様食品を調製した。
調製はミキサーにて母材、耐熱性粒状ゲル、その他の原料を混合した後、セルロースケーシングに充填して70℃で燻煙し、そして中心温度80℃以上の蒸煮により加熱した後に、室温10℃以下の冷蔵条件下で自然乾燥させて、サラミ風の乾燥肉様食品を得た。得られた食品の水分は35.0%、水分活性は0.90%であった。
(表3)乾燥肉様食品の配合
(実施例2)乾燥肉様食品2(組織状大豆蛋白の添加)
母材の一部を組織状大豆蛋白素材に置換して添加する以外は実施例1と同様にして、表4の配合にて肉類を使用しない乾燥肉様食品を得た。組織状大豆蛋白素材としては「アペックス 1000」(不二製油(株)製)を2.5倍量の水で戻し、サイレントカッターで裁断し使用した。
得られた乾燥肉様食品の写真を図1に示した。図1の通り、外観及び断面のサラミと同様の斑(まだら)模様と色調を有し、食欲を増進させるものであった。
(表4)
(実施例3)乾燥肉様食品3(耐熱性粒状ゲルの配合量の変更)
耐熱性粒状ゲルの配合量を減らし、母材と組織状植物蛋白素材の配合量を増やす以外は実施例2と同様にして、表5の配合にて肉類を使用しない乾燥肉様食品を得た。
(表5)
(比較例1)乾燥肉様食品4(耐熱性粒状ゲルを使用しない例)
粒状ゲルの代わりに組織状大豆
蛋白を加えた以外は実施例1と同様にして、肉類を使用しない乾燥肉様食品を得た。組織状大豆蛋白として、粒状大豆たん白「ニューフジニック59」(不二製油(株)製)を2倍量の水で戻し使用した。
(実施例4)乾燥肉様食品5(澱粉を含まない耐熱性粒状ゲル)
製造例2の耐熱性粒状ゲルにおいて、澱粉を添加せずに耐熱性粒状ゲルを調製した(製造例3)。この粒状ゲルを用い、実施例1と同様にして、肉類を使用しない乾燥肉様食品を得た。
(実施例5)乾燥肉様食品6(赤系色素を含まない耐熱性粒状ゲル)
製造例2の耐熱性粒状ゲルにおいて、色素を添加せずに耐熱性粒状ゲルを調製した(製造例4)。この粒状ゲルを用い、実施例1と同様にして、肉類を使用しない乾燥肉様食品を得た。
(品質評価) 実施例、比較例で得られた製品の比較
以上の実施例と比較例により得られた乾燥肉様食品の品質評価を、官能評価として熟練パネラー5名により、肉様の「粗挽き感」について5点評価法で行い、その平均値を採用した(5点:粗挽き感が強い、4点:やや強い、3点:普通、2点:やや弱い、1点:弱い)。
また乾燥肉様食品の断面及び外観の本物のサラミとの類似性についても5点評価法で行い、その平均値を採用した(5点:サラミに非常に近い、4点:やや近い、3点:普通、2点:やや違和感がある、1点:違和感がある)。
(表6)
(考察)
表6の結果より、耐熱性粒状ゲルと組織状植物蛋白素材を併用し、粒状ゲルの割合が多い実施例2が最も食感も外観も粗挽き感のあるものであった。
以上より、加熱凝固された蛋白質を含む母材、及び耐熱性粒状ゲルを少なくとも構成材料とし、該粒状ゲルが該母材中に散在し固定されることにより、粗挽き感のある乾燥肉様食品となることが示された。また、外観上、耐熱性粒状ゲルには澱粉等の濁り剤が含まれる方がよりサラミの組織に近い外観を呈し、さらに、耐熱性粒状ゲルには赤系色素が含まれる方がよりサラミに近い色調を呈することが示された。

Claims (9)

  1. 加熱凝固された蛋白質を含む母材、及び、耐熱性粒状ゲルを少なくとも構成材料とし、該粒状ゲルが該母材中に散在し固定されていることを特徴とする、乾燥肉様食品。
  2. 該母材が加熱凝固性蛋白質を含む、請求項1記載の食品。
  3. 該ゲルが加熱凝固性蛋白質を含む、請求項1記載の食品。
  4. 該母材中に、さらに組織状押出物が散在し固定されている、請求項1記載の食品。
  5. 肉類の含有量が食品の乾物換算で1重量%以下である、請求項1記載の食品。
  6. 加熱凝固性の植物性蛋白質を含む加熱凝固された母材、加熱凝固性の植物性蛋白質を含む耐熱性粒状ゲル、及び組織状押出物を少なくとも構成材料とし、肉類の含有量が乾物換算で1重量%以下であり、該粒状ゲルと組織状押出物が該母材中に散在し固定されていることを特徴とする、乾燥肉様食品。
  7. 構成材料である母材、耐熱性粒状ゲル及び組織状押出物が、結着剤を介して固定されている、請求項6記載の乾燥肉様食品。
  8. 下記工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の乾燥肉様食品の製造法。
    1.蛋白質及び水が含まれる原料を混練し、蛋白質を含む可塑状母材を得る工程、
    2.ゲル化材料に水を混合して水和させ、ゲル化させて耐熱性粒状ゲルを得る工程、
    3.該母材に、該ゲルを粒状を維持しつつ混合し、可塑状生地を得る工程、
    4.該生地を成形後に加熱し、凝固させて肉様食品を得る工程、
    5.該肉様食品を乾燥する工程。
  9. 該母材中に、組織状押出物を混合する工程をさらに含む、請求項8記載の食品の製造法。
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