JP2007082531A - 食物繊維含有食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
オカラを利用した食物繊維含有食品を製造することを課題とし、詳しくはオカラが多量に使用された場合であっても食品生地の成型性に優れ、食感も良好な食物繊維含有食品を得ることを課題とする。
【解決手段】
食品生地中にオカラを多量に含んだ製品を製造するに際し、オカラと共に水溶性ヘミセルロースを組み合わせて配合することで、食品生地の著しい硬化が抑制され、成型可能な機械適性に優れた生地が得られ、食感も良好な食物繊維含有食品が得られることを見出した。
【選択図】なし

Description

本発明は、食物繊維含有食品の製造法に関するものである。
近年、食物繊維の摂取量は年々減少しており、現在、1日あたりの食物繊維の摂取量は厚生省が設定した目標値を下回っている。一方、食物繊維は健康維持や疾病予防の面で重要な生理的役割を担う点で注目されてきている。そこで、不足しがちな食物繊維をより多く摂取できるように、食品中に添加することが試みられている。特に、食物繊維を3g以上含む食品には、強調表示が可能となり、商品価値が上がる。
食物繊維を含んだ素材は種々あるが、その中でも、不溶性食物繊維であるオカラは、脱脂大豆を原料として分離大豆たん白を抽出した副生されるものであり、食物繊維が乾燥重量あたり50〜60重量%程度含まれ、大豆蛋白質も25重量%含まれるため、栄養学的にも非常に良好な素材である。
またオカラは栄養強化目的以外にも特許文献1記載のように、油揚げのへたりを防止する物性改良剤としても使用されている。
ところが原材料を混合した食品生地を調製し、成型、加工する加工食品中に、オカラを多量に配合しようとした場合、食物繊維及び大豆蛋白質の保水力が強いために、生地中の水分を吸収して著しく硬くなり、成型が困難となり、製造時の作業性が悪くなったり、その後の製品の品質に悪影響を与える問題がある。
上記問題の解決のために、種々検討がなされている。例えば、グルテン含量が高い小麦とHLBが9以上の界面活性剤を食物繊維と共に生地に添加する方法(特許文献2)、油脂で食物繊維を被覆して生地に添加する方法(特許文献3)などが開示されている。
特許文献4では、オカラとは種類が異なるものの、不溶性食物繊維の微細セルロース20〜98重量%と、水溶性ガム類2〜80重量%とからなる乾燥した複合体を食品中に添加することによりざらつきのない滑らかな食感の食品が得られることが記載されている。そしてパンや麺類などの生地調製食品に対しては最終製品の口当たりに影響を与えずにクリスピーな性質、保湿性のある生地、機械的強度のアップ、耐冷凍性の付与に寄与することが列挙されている。
しかしオカラを多量に配合した場合に、併用する水溶性多糖類の種類によっていかなる効果の相違があるかについては具体的に記載されていない。
(参考文献)
特公昭62−15185号公報 特開平2−227020号公報 特開平10−56949号公報 特開平6−335365号公報
本発明は、食物繊維含有食品を製造することを課題とし、詳しくはオカラが多量に使用された場合であっても食品生地の成型性に優れ、食感も良好な食物繊維含有食品を得ることを課題とする。
本発明では食品生地中にオカラを多量に含んだ製品を製造するに際し、オカラと共に水溶性ヘミセルロースを組み合わせて配合することで、食品生地の著しい硬化が抑制され、成型可能な機械適性に優れた生地が得られ、製造効率と品質に優れた食物繊維含有食品を得られることを見出した。
そして、上記食品の生地に、さらにα化した小麦粉、油脂類及び水を含む練製物を添加することにより、食物繊維が多量に含まれる場合であってもザラツキがなく滑らかで、喉通りに優れた食物繊維含有食品を得られることを見出した。
即ち本発明は、
1.オカラ及び水溶性ヘミセルロースを含むことを特徴とする食物繊維含有食品、
2.食物繊維が食品中3重量%以上含まれる前記1.記載の食物繊維含有食品、
3.水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維とオカラ由来の食物繊維の含量比が5:95〜50:50である前記1.記載の食物繊維含有食品、
4.食品が、2以上の原材料を調合して生地を調製し、成形加工して得られる成形加工食品である前記1.記載の食物繊維含有食品、
5.α化した小麦粉、油脂類及び水を含む練製物を含むことを特徴とする前記4.記載の食物繊維含有食品、
6.水溶性ヘミセルロースを含むことを特徴とする食物繊維含有食品用改良剤、
7.オカラを含む原料を混練して食品生地を調製し、成型加工して得られる食物繊維含有食品において、生地に水溶性ヘミセルロースを添加することを特徴とする前記1.記載の食物繊維含有食品の製造法、である。
本発明により、製造時の食品生地の成型性や製造された食品の品質が損なわれることなく、オカラを多量に配合した食物繊維含有食品を製造することが可能となる。
(オカラ)
本発明に使用するオカラは食脱脂大豆から分離大豆蛋白を製造する際に副生する脱脂大豆オカラが好ましい。又、場合によっては、大豆から豆乳や豆腐を製造する際に副生するオカラを使用することもできる。ただし、この場合は油脂が20%程度含まれるため、食物繊維含有量が低く、添加量を多くする必要がある。オカラは含水タイプ、粉末タイプのいずれの形態でも良い。また豆乳とオカラを分離する前の大豆スラリー(大豆磨砕物)を用いても良く、この場合は生地に添加する水の量を適宜減らせば良い。
本発明の食品中のオカラ含有量は、食品中の食物繊維量が水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維量と合わせて所望量、好ましくは3重量%以上となるように適宜調整することができる。オカラ由来の食物繊維は大部分が不溶性食物繊維として分析される。脱脂大豆オカラ粉末の場合、食物繊維含量が約65重量%であるから、仮に食品中における不溶性食物繊維量を3重量%と設定する場合にはオカラを食品中4.6重量%配合すれば良い。豆乳や豆腐を製造する際に副生するオカラを使用する場合は脂質が20%程度含まれ、食物繊維含量は50%程度となるため、その分増量することを要する。
オカラ含有量が少なすぎると食物繊維を強化した旨を謳いにくくなる。またオカラ含有量が過度に多くなりすぎると、食品生地中の水分がオカラに吸収されるためか、食品生地の成形性が損なわれてしまう傾向にある。
(水溶性ヘミセルロース)
水溶性ヘミセルロースは、大豆などの油糧種子や小麦、トウモロコシなどの穀類由来のヘミセルロースを抽出し、水溶化されたものを使用することができる。特に大豆由来が好ましく、中でも子葉由来のものがより好ましい。また、大豆ヘミセルロース中に混在する蛋白質の含量は少ない方が好ましく、具体的には10重量%以下、望ましくは8重量%以下であることが好ましい。
水溶性ヘミセルロースは、その分子量がどのようなな物でも使用可能であるが、高分子であることが好ましく、平均分子量が数千〜数百万、具体的には5 千〜100万であるのが好ましい。分子量が大き過ぎると粘度が上がりすぎて作業性が悪くなる。なお、この水溶性ヘミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工(株)製)を標準物質として0.1 M のNaNO 3 溶液中の粘度を測定する極限粘度法で求めることが可能である。また、ウロン酸の測定は Blumenkrantz 法により、中性糖の測定はアルジトールアセテート化した後に GLC法により行うことができる。
このような水溶性ヘミセルロースは、ヘミセルロースを含む原料から水抽出や場合によっては酸、アルカリ条件下で加熱溶出させるか、酵素により分解溶出させることが出来る。水溶性ヘミセルロース製造法の一例を示すと以下のようである。
油糧種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、コーン、綿実などの油脂や蛋白質を除去した殻、或いは穀類、例えば、米、小麦、ビートなどの澱粉や糖等を除いた粕等の植物を原料にすることが出来る。すなわち例えば原料が大豆であれば、豆腐や、豆乳、分離大豆蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することができる。
これらの原料を酸性もしくはアルカリ性の条件下、好ましくは各々の等電点付近の pH で、好ましくは130 ℃以下80℃以上、より好ましくは130 ℃以下100 ℃以上にて加熱分解し、水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂処理或いはエタノール沈殿処理して疎水性物質或いは低分子物質を除去し乾燥することによって、水溶性ヘミセルロースを得ることができる。また、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等により分解抽出しても良い。
この水溶性ヘミセルロースは、構成糖として、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フコース、グルコース、ラムノース及びガラクツロン酸を含む多糖類であり、大部分が水溶性食物繊維として分析される。なお、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等により加水分解して得られる水溶性ヘミセルロースの構成成分の分析結果の詳細は特開平4−325058号公報に記載されている。
本発明の食品中における水溶性ヘミセルロースの含有量は、オカラを含有する食品生地の成型性及び食品の品質を考慮して設定することができる。特に、水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維とオカラ由来の食物繊維の含量比が5:95〜50:50の範囲であり、かつ両食物繊維の総量が食品中3重量%以上となる量が好ましい。水溶性ヘミセルロースの含量比の下限は10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましい。また、含量比の上限は45重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
水溶性ヘミセルロースの含有量が少なすぎるとオカラの吸水により生地の成型性が著しく損なわれる。
一方、含有量が多すぎると、食品生地が軟化しすぎてまとまりが悪くなる。また、蛋白質の加熱によるゲル化によってボディーが構成される蛋白食品の場合には、生地中の蛋白質がゲル化するのを阻害するためか、得られた蛋白食品の食感が低下する。したがって、蛋白食品の製造においては水溶性ヘミセルロースの含有量が特に重要である。
このように食品中にオカラを多量に配合する場合に、水溶性ヘミセルロースを生地に添加することによって、食品生地の著しい硬化が抑制され、成型可能な機械適性に優れた生地を得ることが可能となる。
(練製物の配合)
一方、オカラの配合量が多くなるほど得られる食物繊維含有食品は食感がざらつき、喉通りが悪くなる傾向にある。そこで、このような場合、生地中にα化した小麦粉、油脂類及び水を含む練製物をさらに配合することが有効である。これによって得られる食物繊維含有食品の食感を滑らかにし、喉通りの良いものとすることが可能である。以下、この発明について詳しく述べる。
本発明の食品生地中に上記練製物を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、3重量%以上が好ましく、7重量%以上がより好ましい。配合量の上限は特にないが、上げすぎると食物繊維量が低下するので、30重量%以下が適当である。
練製物に含まれるα化した小麦粉は、生の小麦粉をα化したものでも良いし、予め焙焼した小麦粉をα化したものでも良い。小麦粉の種類も特に限定されず、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉等をいずれも使用できる。また小麦粉以外に、コーン、ワキシコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘藷といった各種澱粉及びその化工澱粉を用いることもできる。この小麦粉をα化するには通常水の存在化でα化開始温度以上に加熱することが必要である。なお、予めα化処理した化工澱粉であるα化澱粉を使用することも可能である。
練製物に含まれる油脂類としては、食用油脂及び/又は油中水型乳化物が使用できる。例えば、食用油脂としては、大豆油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油、菜種油、椰子油、コーン油、落花生油、ひまし油、綿実油、米糠油、辛子油、胡麻油、椿油、胡桃油、桐油、あまに油、カボック油、茶油、芥子油、かや油、シア脂、カカオ脂、ボルネオ脂等の植物性油脂や、乳脂、牛脂、豚脂、羊脂、魚油、鯨油等の動物性油脂や、これらの油脂を原料としたエステル交換油脂、分別油、硬化油、混合油などが挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて用いることができる。また油中水型乳化物としては、バター、マーガリン等を用いることができ、上記食用油脂との組合せも可能である。
特に本発明においては挽肉加工食品類の生地に添加時において練製物を半固状〜固状にするに足る融点を有する油脂類を用いることが好ましい。そして挽肉加工食品類に加熱する際に融解して練製物が液状あるいはペースト状となるのが好ましい。練製物が生地添加時に液状である場合、生地が軟らかくなり成型性が低下してしまう。
練製物に含まれる水としては、その由来は特に限定されず、例えば水、牛乳、生クリーム、フィルドミルク、フィルドコンデンスミルク、フィルドクリーム、発酵乳、マヨネーズ等の水性原料由来の水が挙げられる。
練製物は、前記α化した小麦粉、油脂類及び水を少なくとも含み、小麦粉中の澱粉がα化処理を経たものである。すなわち練製物はα化後に冷却されて澱粉が β化したものでもよい。小麦粉中の澱粉がα化するには、水の存在下でα化開始温度以上に加熱されることが必要である。ちなみに小麦澱粉のα化開始温度は通常60℃程度であり、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上に加熱されることが適当である。かかる加熱処理により小麦粉中の澱粉がα化し、生地に適度な粘性を付与し、成型性を向上させ、かつ挽肉加工食品類にクリーミーな風味とソフトな食感を付与するものと考えられる。α化した小麦粉、油脂類、及び水を含む練製物を予め調製せずにそのまま小麦粉、油脂類、及び水を生地にそれぞれ添加した場合は小麦粉の粉っぽさが残る風味となり、成型性の改善効果も得がたく、従来の挽肉加工食品類の風味の域を脱しないものとなってしまう。
α化した小麦粉、油脂類、及び水を含む練製物を製造するには、小麦粉、油脂類及び水を加熱混合し、小麦粉をα化すればよい。その手順は、これらを全て一緒に混合する方法でも良いし、先に小麦粉と油脂類を混合しルウを形成させてからルウを水性原料で延ばす方法でも良い。後者の場合はいわゆるルウが形成されるためか、よりクリーミーな風味とソフトで滑らかな食感を付与することができる。
ここでルウは一般的には小麦粉を油脂類で炒めたものであり、炒める時の温度、時間や小麦粉の種類等により白色ルウ、淡黄色のルウ、褐色ルウなどに分類される。本発明においては挽肉加工食品類の好みの風味や色合いに合わせ、いずれのルウにも調製することができる。また小麦粉と油脂類を含む市販のルウも使用することができる。
工業的生産されたルウには予め小麦粉を焙焼したものを30〜70℃程度の低温で油脂類と混合されたものも存在するが、このようにして得られるルウも本発明のルウに含まれる。
ルウを形成させる場合、小麦粉と油脂類を混合加熱する際の温度は、生の小麦粉や焙焼度が低い小麦粉を使用する場合は、70〜200℃、好ましくは80〜170℃、より好ましくは100〜150℃とするのが適当である。この場合加熱温度が低すぎるとルウが形成されにくくなり挽肉加工食品類の食感の滑らかさとクリーミーな風味が付与されにくくなる。逆に温度が高すぎると着色が濃くなりすぎ焦げ臭が出てくる傾向にある。
一方、予め焙焼された小麦粉を使用してルウを形成させる場合には少なくとも使用する油脂類の融点以上、一般的には30℃以上でよく、より好ましくは40℃以上で良い。またあまり高すぎると加熱しすぎるとすでに焙焼されているため焦げ臭が出やすい傾向にあるので70℃未満、より好ましくは60℃以下が適当である。
得られる練製物の性状は成型性の観点から生地に添加時に半固状〜固状であることが好ましい。かかる性状にするには生地添加時の温度と上記油脂類の融点を考慮して種類と量、小麦粉、水の割合を当業者が適宜設定すればよい。挽肉加工食品類の生地調製時の温度は自由に設定できるが、通常は成型性及び微生物制御の観点から10℃以下、より好ましくは5℃以下が適当である。本発明の練製物はかかる温度帯において半固状〜固状であるのが良い。
練製物における小麦粉と油脂類の混合比は、通常30:70〜70:30であり、より好ましくは40:60〜60:40であり、さらに好ましくは50:50〜55:45である。油脂類の混合比が大き過ぎたり小麦粉の固形分が少なすぎると練製物の粘度が出にくくなり適正な性状を得難くなるため、澱粉などの保形剤がさらに必要となる。また挽肉加工食品類に油染みが生じやすくなる。一方、油脂類の混合比が小さすぎると生地添加時の練製物が固状となりにくく、クリーミーな風味が出にくく、小麦粉の粉臭い風味が出やすくなる。
本発明の練製物における水性原料の混合比は、小麦粉と油脂類の合計に対して2〜8重量倍が適当であり、3〜5重量倍がさらに好ましい。水性原料の混合比が少なすぎるとクリーミーさが失われ、食感も軟らかいものが得にくくなる。また水の混合比が多すぎると組成物の粘度が低くなり、ハンバーグへ添加した場合の成型性改良効果が損なわれる。
本発明において、練製物には他に卵黄、全卵、レシチン、脂肪酸エステル等の乳化剤や酵素、糖類、調味料、澱粉類、安定剤、香料等が所望により適量含まれていてもよく、所望の付加的風味、物性を付与することができる。
(食物繊維含有食品)
本発明の食品の種類は特に限定されないが、特に好ましい態様は2以上の原材料を調合して生地を調製し、成型加工する成形加工食品である。特に、水、動植物性蛋白、鳥獣魚介肉、油脂等をフードカッター等で乳化混合して生地を調製し、成型加工する工程を経て製造されるハンバーグ、ソーセージ、ミートボール、つくね、かまぼこ、ちくわなどの練り製品、油揚げ、厚揚げ、がんもどき、ひろうす等の加熱により蛋白質がゲル化することによってボディーが構成される蛋白食品が好ましい。また、パン類、麺類、ピザ、スポンジケーキ、ビスケット、クッキー、フードバー等の澱粉性食品も含まれる。本発明において、上記に例示される食品は、蛋白質が乾燥重量あたり10重量%以上、好ましくは20重量%以上含まれる高蛋白質食品である方が適当である。蛋白質含量が高いほど得られる食品は蛋白質の影響を大きく受け、上記蛋白食品ではゲル化により主要なボディーを構成し、澱粉性食品においては生地の形成に影響を与える。そのためオカラの配合は生地の成型性や食感に対して、より影響を与えやすくなるからである。
また、本発明において「食物繊維強化」は、食物繊維を通常の食品に含まれる食物繊維に加えてさらに付加する意味であり、日本国内では厚生労働省が定める健康増進法に従い、食品中の食物繊維量が3g/100g以上であれば製品に「食物繊維を含む」表示が可能となり、食物繊維量が6g/100g以上であれば製品に「食物繊維が高い」表示が可能となる。
ただし、オカラ由来の食物繊維量を高く設定しすぎると水溶性ヘミセルロースを配合しても食品生地の成型性が改善されにくくなる。また、水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維量を高く設定しすぎると得られる食品の食感が損なわれる。したがって、食品中における食物繊維量の上限は15g/100g以下が好ましく、10g/100g以下がより好ましく、8g以下がさらに好ましい。
なお、食品中に配合したオカラ及び水溶性ヘミセルロースに由来する食物繊維量の分析は酵素−重量法(プロスキー法)に準拠して行うことができる。
本発明の食品は、必須の構成であるオカラ及び水溶性ヘミセルロースの他、一般に使用される公知の原料、製造装置、製造法を使用し、必要に応じて水、乳製品等の水系原料;牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉等の鳥獣魚介肉;人参、タマネギ等の野菜類;海草類;油脂;大豆蛋白、カゼイン、ホエー蛋白、小麦蛋白、卵白等の動植物性蛋白;砂糖、グルコース、オリゴ糖等の少糖類;マルチトール、ソルビトール等の糖アルコール類;澱粉、デキストリン、水溶性多糖類等の多糖類;甘味料、調味料、香料、pH調整剤、乳化剤、増粘剤等の食品添加物などと配合して、混練、乳化、成型、加熱等の操作を行うことによって得られる。
また、オカラと水溶性ヘミセルロース以外に他の食物繊維源を併用し、所定の食物繊維量を満たすよう補填しても良い。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的思想は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部はいずれも重量基準を意味する。
[実施例1] −食物繊維強化食品の調製−
表1の配合表に従い、粉末状大豆蛋白、油脂、水及び風味材をサイレントカッターで混練し、基本生地を得た。次に、不溶性オカラ「DXF−1000」(食物繊維量65%、不二製油(株)製)6部と水溶性大豆多糖類「ソヤファイブ」(食物繊維量65%、不二製油(株)製)1.5部を加え、サイレントカッターにてさらに混練し、生地を作製した。
(表1) 基本生地の配合表
───────────────────
原料 配合量(重量部)
───────────────────
粉末状大豆蛋白 18
油脂(菜種油) 18
水 56.1
澱粉 1
食塩 0.2
砂糖 0.3
人参 6.4
───────────────────
この生地をドラム成形機で1個5gの丸型に成形し、フライ処理し、−35℃で凍結した。
[試験例1]
脱脂大豆オカラ(「DXF−1000」不二製油(株)製)と水溶性大豆多糖類(ソヤファイブ)を表2の比率にそれぞれ調整して表1の基本生地に添加して食品生地を調製後、成型、フライ処理し、食物繊維を強化したがんもどきを得た。生地の成型性および得られた食品の食感について評価した。
成型性の評価は、
◎:非常に良好
○:良好
△:少しかたい
×:非常にかたい
で表し、食感の評価は、
◎:非常に良好
○:良好
△:少しざらついている
×:非常にざらついている
で表した。
(表2) 評価結果
Figure 2007082531
実施例1の通り、水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維とオカラ由来の食物繊維の含量比(以下、本発明において「繊維含量比」という。)を20:80とした場合、食品生地の成型性も、製造後のがんもどきの食感も非常に良好であった。すなわち、水溶性ヘミセルロースをオカラと組み合わせて使用することが本食品の成型性の改善に有効であることが示唆された。
これに対して、水溶性ヘミセルロースを配合しなかった試験例1では混練中に食品生地が著しく硬化してしまい、生地の成型が不可能となり、食感評価もできなかった。
繊維含量比を40:60とした試験例2、60:40とした試験例3の結果より、水溶性ヘミセルロースの比率を高めると成型性は非常に良好であるが、成形後の生地の保形性が低下し、得られたがんもどきの食感も低下する傾向となった。
オカラの配合量を3%に減量した試験例4では、水溶性ヘミセルロースを添加しなくとも成型が可能であったが、がんもどき中の食物繊維量1.9%が低いため、栄養的価値が低くなった。
また、オカラの配合量を11%(オカラ由来食物繊維量7.2%)に増量した試験例5の場合、オカラの含有量が多すぎるためか、水溶性ヘミセルロースを添加しても成型性が損なわれた。そしてさらに水溶性ヘミセルロースを増量しても成型性は改善されにくかった。
[実施例2] −食物繊維強化ハンバーグの製造−
(練製物の調製)
バター10部をニーダーで加熱し、溶解したところへ、薄力粉10部を加え、撹拌しながら加熱した。混合物の品温が120℃に達した後、10分間保持し、加熱を終了してルウ20部を得た。得られたルウ20部を牛乳70部と混合し、90℃達温まで加熱して薄力粉の澱粉をα化した後、5℃に冷却して練製物を得た。
(つなぎ材の調製)
粉末状大豆蛋白「ニューフジプロSE」(不二製油(株)製)10部、水40部、大豆油10部、とり胸肉40部、食塩2部、化工澱粉1部、乾燥卵白1部を混合し、ハンバーグ生地のつなぎ材103.4部を得た。
次に、表3の配合において練製物を0部(テスト1)、10部(テスト2)、15部(テスト3)、20部(テスト4)、30部(テスト5)をそれぞれ配合し、ニーダーでそれぞれ均一に混合し、ハンバーグ生地を得た。この生地を70gずつ成型機にて成型し、オーブンで230℃で8分間焼成し、ハンバーグを得た。得られたハンバーグ中の食物繊維量、生地の成形性と食感の評価を表4に示した。評価は試験例1と同様に行った。なお、評価は本実施例における相対評価であり、試験例1の評価とは直接関係ない。
(表3)
───────────────────────────────────────
原材料 配合割合(部) 備 考
───────────────────────────────────────
練製物 0〜30
つなぎ材 26
豆腐 25
ごぼう 25
玉ねぎ 20
枝豆 15
オカラ 14
植物性油脂 6 ※「ユニショートMJ」(不二製油(株)製)
砂糖 3
粒状大豆蛋白 3 ※「アペックス600」(不二製油(株)製)
凍結全卵 3
醤油 2
水溶性ヘミセルロース 2 ※「ソヤファイブDN」(不二製油(株)製)
食塩 0.5
調味料 0.3
───────────────────────────────────────
(表4)
───────────────────────────────────────
テスト区 テスト1 テスト2 テスト3 テスト4 テスト5
───────────────────────────────────────
練製物配合量 0% 6.5% 9.3% 12.1% 17.2%
食物繊維量 5.0% 4.7% 4.5% 4.4% 4.2%
生地の成形性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
食感 △ △〜○ ○ ◎ ◎
───────────────────────────────────────
表4の通り、錬製物を配合しないテスト1では錬製物を配合した例に比べるとザラツキが感じられ、喉通りがあまり良くなかったが、練製物の配合量を増やしていくにつれ、滑らかな食感となり、喉通りが良くなる傾向となった。
従来、オカラを多量に配合した食物繊維含有食品を製造する場合、食品生地が固くなり、連続的な機械成型が困難であった。しかし、本発明によりオカラが多量に含まれる場合であっても、優れた成型性を発揮し、食物繊維を多量に摂取することが可能な食物繊維含有食品の連続生産を容易に行うことが可能となった。

Claims (7)

  1. オカラ及び水溶性ヘミセルロースを含むことを特徴とする食物繊維含有食品。
  2. 食物繊維が食品中3重量%以上含まれる請求項1記載の食物繊維含有食品。
  3. 水溶性ヘミセルロース由来の食物繊維とオカラ由来の食物繊維の含量比が5:95〜50:50である請求項1記載の食物繊維含有食品。
  4. 食品が、2以上の原材料を調合して生地を調製し、成形加工して得られる成形加工食品である請求項1記載の食物繊維含有食品。
  5. α化した小麦粉、油脂類及び水を含む練製物を含むことを特徴とする請求項4記載の食物繊維含有食品。
  6. 水溶性ヘミセルロースを含むことを特徴とする食物繊維含有食品用改良剤。
  7. オカラを含む原料を混練して食品生地を調製し、成型加工して得られる食物繊維含有食品において、生地に水溶性ヘミセルロースを添加することを特徴とする請求項1記載の食物繊維含有食品の製造法。
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