JP2013198235A - モータ駆動装置、及びこれを備えた空気調和機、並びにモータ駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータMの加速レートを制限する際の電流閾値である加速レート制限閾値を、モータ巻線温度検出器50によって検出されるモータ温度に対応して設定する電流閾値設定部45と、電流検出器20によって検出される電流値に対応するモータ電流と、電流閾値設定部45から入力される加速レート制限閾値とを比較し、当該比較結果に応じてモータMの加速レートを設定する加速レート設定部46と、加速レート設定部46によって設定される加速レートに従って、インバータ11に駆動信号を出力する駆動信号発生部44と、を備える。
【選択図】図2
Description
ここで、「減磁」とは、磁石の渦電流損による温度上昇や、電流によって生じる逆磁界などにより、磁石全体の磁気モーメントが減少することを意味している。
このような永久磁石の減磁を防止するための技術として、以下に示すものが知られている。
特許文献1に記載の技術では、電圧比較回路によって決定される過電流保護停止閾値を、減磁電流未満である所定値に変更することによって永久磁石の減磁を防止している。
本発明のその他の態様については、後記する実施の形態において説明する。
<空気調和機の構成>
図1は、本実施形態に係るモータ制御装置を用いた空気調和機のシステム構成図である。空気調和機Aは、室内機Iuと室外機Ouとが冷媒配管Lで接続され、リモコンReから入力される赤外線信号に従って、所定の空調運転を行うようになっている。
室内機Iuは、膨張弁4と、室内熱交換器5と、室内ファン5aと、室内制御装置100aと、を備えている。また、室外機Ouは、圧縮機1と、四方弁2と、室外熱交換器3と、室外ファン3aと、室外制御装置100bと、を備えている。
さらに、室外熱交換器3と室内熱交換器5との間には減圧装置である膨張弁4が接続されている。ちなみに、圧縮機1から四方弁2へ吐出される冷媒の圧力を検知する圧力センサ(図示せず)が設置されている。
このように、圧縮機1と、四方弁2と、室外熱交換器3と、膨張弁4と、室内熱交換器5とは冷媒配管Lで接続され、ヒートポンプサイクルを構成している。
以下の説明において、圧縮機1が備えるモータMの駆動を制御する制御装置(室外制御装置100b)を、「モータ駆動装置100」と記すことがあるものとする。
図2は、圧縮機に設置されたモータを駆動させるモータ駆動装置を含む構成図である。
交流電源200は、発電所(図示せず)などから送配電される交流電力の電源を示している。
コンバータ300は、交流電源200から入力される交流電圧を直流電圧に変換する回路であり、ダイオードD1,D3を順方向に直列接続し、その相互接続点をコンバータ入力端とするダイオードブリッジを備えている。なお、ダイオードD2,D4についても同様である。また、当該直流電圧に含まれる脈動成分を平滑化するための平滑コンデンサCが、前記したダイオードブリッジと並列に接続されている。
したがって、交流電源200に接続されるコンバータ300が「直流電源」を構成している。
モータMは、例えば、永久磁石型同期モータであり、三相巻線を介してインバータ11と接続され、当該三相巻線に流入する交流電流によって生じる回転磁界で永久磁石(図示せず)を吸引することにより回転する。なお、モータMの回転軸は、負荷である圧縮機1(図1参照)の主軸に固定され、モータMの回転に伴って圧縮機1が駆動するようになっている。
本実施形態では、モータMが有する永久磁石として、低温で減磁しやすい低温減磁特性をもつフェライト磁石を用いることとする。
図2に示すように、モータ駆動装置100は、パワーモジュール10と、電流検出器20と、増幅器30と、インバータ制御手段40と、を備えている。
パワーモジュール10は、モータMに所定の交流電圧を出力するための複数のスイッチング素子(図示せず)を含むインバータ11と、スイッチング素子を保護するための素子短絡保護手段12と、スイッチング素子を駆動させるためのインバータ駆動回路13と、が集約的に一体化された構成となっている。
電流検出器(電流検出手段)20は、コンバータ300とインバータ11との間の母線に直列に接続され、インバータ11に供給される電流を検出して増幅器30及び素子短絡保護手段12に時々刻々と出力する。
インバータ制御手段(制御手段)40は、増幅器30から入力される検出信号とモータMの回転速度指令値ωとに基づいて、モータMに印加すべき交流電圧を演算し、駆動信号に変換して出力する。
なお、回転速度指令値ωは、リモコンRe(図1参照)から入力される設定温度情報や、室内機Iuのサーミスタ(図示せず)によって検出される室内温度などに基づいて決定される指令値である。例えば、暖房運転時にリモコンReから入力される設定温度が上昇すると、空気調和機の温調用マイコン(図示せず)が、回転速度指令値ωを増加させる。
モータ巻線温度検出器(モータ温度検出手段)50は、モータMの巻線温度を検出し、電流閾値設定部45に時々刻々と出力する。
パワーモジュール10は、インバータ11と、素子短絡保護手段12と、インバータ駆動回路13と、を備えている。
インバータ11は、複数のスイッチング素子(図示せず)を有し、インバータ駆動回路13から入力されるPWM信号に従って、それぞれのスイッチング素子のON/OFFを切り替え、所定の三相交流電圧をモータMに出力する。そして、当該三相交流電圧に応じた三相交流電流がモータMに流入し、前記した回転磁界を発生させる。
なお、インバータ11が有する複数のスイッチング素子として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。
なお、素子短絡保護手段12の処理は、マイコンを介在させずに実行される。これによって、スイッチング素子が短絡した場合などに、極めて短い時間(数μsec)でインバータ11の駆動を停止させることができる。
インバータ駆動回路13は、駆動信号発生部44から入力される駆動信号に従って、インバータ11が有するそれぞれのスイッチング素子(図示せず)にPWM信号(Pulse Width Modulation:パルス幅変調波信号)を出力する。また、素子短絡保護手段12から停止指令信号が入力された場合、インバータ駆動回路13は、前記したPWM信号の出力を停止する。
インバータ制御手段(制御手段)40は、モータ電流再現部41と、速度指令部42と、駆動信号発生部44と、電流閾値設定部45と、加速レート設定部46と、を備えている。
なお、インバータ制御手段40の処理は、マイコン(Microcomputer:図示せず)により実行される。マイコンは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路(図示せず)を含んで構成され、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
速度指令部42は、モータ電流再現部41から入力されるモータ電流と、前記した温調用マイコン(図示せず)から入力される回転速度指令値ωとに基づいて、モータMに印加すべき三相交流指令電圧、及び、PWM周波数指令値を算出し、駆動信号発生部44に出力する。
電流閾値設定部45は、設定した複数の電流閾値を加速レート設定部46に出力する。
また、加速レート設定部46は、モータ電流再現部41から入力されるモータ電流と、電流閾値設定部45から入力される加速レート制限閾値とを比較し、その比較結果に応じてモータMの加速レートを設定する。すなわち、加速レート設定部46は、モータ電流が、前記した複数の電流閾値間に予め設定される加速レート領域(図4の領域A、領域B参照)のうちいずれに属するかを特定し、その加速レート領域に対応する加速レートを駆動信号発生部44に出力する。
なお、モータ電流がモータ減磁保護閾値を超える場合、加速レート設定部46は、インバータ11の駆動を停止させる停止指令信号を駆動信号発生部44に出力する。
図3は、低温減磁特性を有する永久磁石を用いたモータにおいて、モータ巻線温度に対するモータ減磁電流、及びモータ減磁保護閾値の関係を示すマップである。図3に示すように、低温減磁特性を有する永久磁石(例えば、フェライト磁石)は、その温度が低くなるにしたがってモータ減磁電流の値が小さくなる(つまり、減磁しやすくなる)。なお、「モータ減磁電流」とは、所定温度においてモータ電流を増加させた場合に減磁が起こり始めるときのモータ電流値である。
そして、これらの情報が、予めマイコンが備える記憶手段(図示せず)に記憶されている。
素子短絡保護手段12は、インバータ11のスイッチング素子(図示せず)の短絡を防止するための素子短絡保護閾値を、素子絶対定格よりも低い所定値に設定する(図5参照)。なお、素子絶対定格とは、モータ電流が一瞬たりとも超えてはならない電流値として予め設定されている値である。
素子短絡保護手段12はマイコンを介在することなく処理を実行し、モータ電流が素子短絡保護閾値を超えると、極めて短時間(例えば、数μsec)でインバータ11の駆動を停止させる。
図4は、素子短絡保護閾値、モータ減磁電流、モータ減磁保護閾値、及び加速レート制限閾値と、モータ温度との関係を示すマップである。
なお、以下の説明では、モータMが、低温減磁特性を有するフェライト磁石(図示せず)を有する場合について述べることにする。
つまり、定常領域→領域A→領域Bのように、減磁保護閾値に近づくにつれて加速度レートの値が小さくなるように予め設定されている。なお、これらの情報は、マイコンの記憶手段(図示せず)に予め記憶されている。
これによって、加速レートが低い時の負荷電流の脈動幅(モータ電流のピーク値)が、加速レートが高い時の脈動幅よりも小さいという特性を利用して運転可能なモータ電流の範囲を広げることができる。その結果、偶発的に発生するモータMの減磁保護停止を避けてると共に、スムーズかつ速やかに目標回転速度に到達させることができる。
ステップS101においてインバータ制御手段40は、モータMの駆動開始時刻から所定時間Δt1が経過したか否かを判定する。なお、所定時間Δt1は、予め設定された値(例えば、マイコンのサイクルタイム)であり、記憶手段(図示せず)に記憶させている。
モータMの駆動開始時刻から所定時間Δt1が経過している場合(S101→Yes)、インバータ制御手段40の処理はステップS102に進む。一方、モータMの駆動開始時刻から所定時間Δt1が経過していない場合(S101→No)、インバータ制御手段40はステップS101の処理を繰り返す。
ステップS105においてインバータ制御手段40は、モータ電流Imが加速レート制限閾値I1以上であるか否かを判定する。モータ電流Imが加速レート制限閾値I1以上である場合(S105→Yes)、インバータ制御装置の処理はステップS106に進む。一方、モータ電流Imが第1加速レート制限閾値I1未満である場合(S105→No)、インバータ制御手段40の処理はステップS107に進む。
つまり、モータ電流のピーク値が、モータ減磁保護閾値に近い領域A又は領域B内にある場合でも、インバータ制御手段40は、モータMの回転速度を維持するか、又は、モータ回転速度は上昇させつつも、モータMの加速レートを下げるように制御する。
これによって、モータMが有する永久磁石の減磁を回避しつつ、速やかにモータMを目標回転速度まで到達させるように駆動できる。
さらに、モータ電流がI2(≧I1:図4参照)以上になる時刻t3において領域B(図4参照)に移行し、モータMの回転速度を加速度βより低い加速度αで上昇させる。
そして、モータMの回転速度は、時刻t4で目標回転速度に到達する。
このようにして、モータ減磁保護閾値に近づくにしたがってモータMの加速度を段階的に低減させながら回転速度を上昇させることにより、モータMを停止させることなく速やかに目標回転速度に到達することができる。つまり、加速レート制限処理を実行することにより、モータMは、運転停止及び再始動を繰り返すことなく安定して駆動し、早く目標回転速度に到達することができる。
図7に示す比較例(破線)は、モータ回転速度が所定閾値を超えた場合にモータMを強制減速させる場合である。この場合には、図7に示す時刻t5においてモータ電流が所定の電流閾値に到達するとモータMを減速させ、前記した電流閾値未満となるとモータを加速させる。したがって、強制減速制御を行うと、目標回転速度に到達するのに時間がかかるだけでなく、モータM自身の加減速による負荷変動で電流脈動を引き起こすため、モータMの運転/停止を繰り返すリスクがさらに高くなる。また、モータMの加減速に伴って騒音が発生したりする可能性がある。
したがって、目標回転速度に速やかに到達できると共に、モータMの運転/停止を繰り返すことがない。これによってモータMを安定的に駆動させて騒音を抑制することができる。
本実施形態に係るモータ駆動装置100によれば、モータ減磁保護閾値に近づくにしたがって、モータMの加速度を段階的に低減させながら回転速度を上昇させる制御を行う。これによって、モータMを停止させることなく、モータ電流を最大限に高くしてモータMの回転速度を上昇させることができる。その結果、運転開始から速やかに目標回転速度に到達させることができる。
また、本実施形態に係るモータ駆動装置100を備えた圧縮機1を用いた空気調和機Aを運転すると、例えば、低温環境で暖房運転を行ってモータMを高速回転させる場合でも、安定して速やかに目標回転速度に到達させることができる。したがって、快適性に優れた空気調和機Aを提供することができる。
これに対して本実施形態に係るモータ駆動装置100では、減磁開始電流値より若干低い電流レベルで加速レート制限閾値を設けることによって、モータMの回転速度を上げつつ加速レートを段階的に低減させる。これによって、モータMの減磁保護を行い、さらに、目標回転速度にスムーズかつ速やかに到達することができる。
次に、第2実施形態について説明する。前記した第1実施形態では、複数の領域(領域A、領域B)を設け、モータMの状態(モータ温度及びモータ電流)に応じて加速レートを制限したのに対し、本実施形態では、定常領域を利用して加速度を変化させ、モータMの状態が前記領域の境界線に沿って変化するように制御する点が異なる。
なお、モータ駆動装置100の構成については第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
本実施形態では、モータ減磁保護閾値と、任意のモータ電流において前記モータ減磁保護閾値よりも小さい値となるように設定される加速レート制限閾値I3(図9参照)と、が記憶手段(図示せず)に予め記憶されている。
そして、モータ電流が加速レート制限閾値I3を超えて、図8に示す領域Cに入った場合に、モータMの加速度指令値を所定値δ(≧0)とする。ちなみに、以下では、所定値δ=0とする場合について説明するが、これに限定されない。
そうすると、モータMは略一定の定格速度で駆動するため、モータ電流のピーク値も略一定となる(図8のK部拡大部を参照)。さらに、モータ電流が流れることによってモータ巻線温度が上昇するため、そのモータ巻線温度に対応する加速レート制限閾値との間に余裕ができる。
したがて、図8のK部拡大図に示すように、モータMの状態は領域Cの境界線となる加速度レート制限閾値の直線(又は曲線)に沿って、図の右側に徐々に移動することとなる。
ステップS203においてインバータ制御手段40は、モータ電流Imが加速レート制限閾値I3以上であるか否かを判定する。モータ電流Imが加速レート制限閾値I3以上である場合(S203→Yes)、インバータ制御手段40の処理はステップS204に進む。一方、モータ電流Imが加速レート制限閾値I3未満である場合(S203→No)、インバータ制御手段40の処理は、ステップS205に進む。
図10に示すように、モータ電流のピーク値は、モータMの回転速度に比例して大きくなるとともに、圧縮機1の吐出圧力(圧縮機圧力)の変化により同じ回転速度の条件であっても変化する。すなわち、所定の回転速度でモータMを駆動した場合でも、モータ電流の値が大きいほど圧縮機1(図1参照)の吐出圧力も上昇する。
ここで、前記したようにモータMの加速レートを制限(例えば、δ=0)することによって、モータ減磁保護閾値が、点Pに対応するモータ電流よりも常に上に位置する状態が継続する。加速レートを調整しながらモータMの回転速度を増加させつつ、確実にモータMの減磁を回避することができる。
本実施形態に係るモータ駆動装置100では、モータ減磁保護閾値と加速レート制限閾値I3との間の領域における加速レートδ(≧0)を設定することによって、モータMの状態を領域Cの境界線となる加速レート制限閾値I3に沿うように変化させることができる。
したがって、図8に示すように、モータ電流がモータ減磁保護閾値に達することを確実に防止しつつ、モータMの回転速度を上昇させることができる。つまり、モータMが有する永久磁石の減磁を回避しつつ、速やかにモータMを目標回転速度まで移動させることができる。
次に、第3実施形態について説明する。前記した各実施形態では、モータMの巻線温度とモータ電流値とに対応して加速レートを変化させたのに対して、第3実施形態では膨張弁4の開度を調整することによってモータ電流の値を変化させる場合について説明する。なお、圧縮機1(図1参照)は、圧縮機1が備えるモータMの回転速度を制御することによって圧力が変化するようになっている。
本実施形態では、このようなヒートポンプサイクルを用いて適正な空調能力を得ると共に、圧縮機1の回転速度に応じて膨張弁4の開度を調整する。
電流閾値設定部45は、膨張弁4の開度を変更する際の電流閾値を、モータ温度検出手段によって検出されるモータ温度に対応して設定する。また、膨張弁開度変更部は、電流検出器20によって検出される電流値に対応するモータ電流と、電流閾値設定部45から入力される前記電流閾値とを比較し、当該比較結果に応じて膨張弁4の開度を変更する。ちなみに、電流閾値設定部45が行う処理、及び、膨張弁開度変更部が行う処理は、インバータ制御手段40と連携してマイコンにより実行される。
図11に示すステップS301,S302の処理はそれぞれ、第1実施形態で図5のステップS101,102の処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS303においてインバータ制御手段40は、モータ電流Imが電流閾値I4以上であるか否かを判定する。モータ電流Imが電流閾値I4以上である場合(S303→Yes)、インバータ制御手段40の処理はステップS304に進む。一方、モータ電流Imが電流閾値I4未満である場合(S303→No)、インバータ制御手段40の処理は、ステップS305に進む。
なお、図12(a)は、空気調和機Aに使用される圧縮機1の圧縮方式が、ロータリ方式やレシプロ方式などのように、冷媒圧縮の一過程において大きなトルク脈動を伴う圧縮機1を使用した場合のモータ電流特性を示している。このような場合には、トルク外乱抑制制御(トルク変動抑制制御、及び電流変動抑制制御)を行って、トルク外乱を抑制する。
一方、図12(b)に示す領域Iは高速回転領域であるため、比較的トルク変動は小さいものの、モータ電流の変動を抑制して正弦波に近づけるための電流変動抑制制御を実行する。
本実施形態では、図13の実線で示す実負荷例に示すように、回転速度が加速レート制限閾値に到達したら、膨張弁4の開度を所定値だけ大きくすることによってモータ電流を抑制する。これによって、モータ電流のピーク値を小さくしつつ、モータMの回転速度を徐々に大きくして、トルク変動抑制制御から電流変動抑制制御にスムーズに移行させることができる。したがって、圧縮機1を駆動するモータMの停止リスクは少なくなり、空気調和機Aの低温暖房時の立ち上がり運転時においても安定して圧縮機1を駆動させることができる。
また、発明の実施形態に係る空気調和機Aによれば、膨張弁4の開度を制御することによって、ヒートポンプサイクルでの圧縮機1の圧力を調整する。これによって、モータ電流のピーク値を小さくしつつ、モータMの回転速度を徐々に大きくして、空気調和機Aを安定的かつ継続的に運転することができる。
また、トルク変動抑制制御から電流変動抑制制御に移行する際にはモータMのピーク電流が小さくなることから、高い加速レートを保ちながらモータMを加速することができる。
さらに、モータMの回転速度を維持又は増加させながら、膨張弁4の開度を大きくすることによってピーク電流を小さくすることができる。これによって、モータMが有する永久磁石の減磁を抑制しながら、モータMの目標回転速度に速やかに到達させることができる。
以上、本発明に係るモータ駆動装置100について各実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更などを行うことができる。
例えば、前記した第1実施形態では2つの加速レート領域(領域A、領域B)が設定される場合について説明し、第2実施形態では1つの加速レート領域(領域C)が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、加速レートが設定される領域は3つ以上であってもよい。この場合において、各領域の加速レートの値は、モータ電流の値が前記したモータ減磁保護閾値に近づくにつれて小さくすることが好ましい。
これによって、モータ電流がモータ減磁保護閾値に近づくにしたがって、モータMの回転速度を大きくしながら、段階的に加速レートを小さくすることができる。
これによって、圧縮機1の外郭温度とモータ減磁保護閾値との相関に基づいてモータ減磁保護を行うので、モータMの減磁保護を適切に行うことができる。また、高圧となる圧縮機1の内部に温度検出器を設置する場合と比べて、温度検出器(外郭温度検出手段)の取付構造や信号線の引出構造が簡単になり、製造コストを低減できる。
また、圧縮機1の吐出配管温度を検出する吐出配管温度検出手段(図示せず)によって、モータMの巻線温度を間接的に取得してもよい。
また、前記した各実施形態では、低温減磁特性の永久磁石を有するモータMを用いる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、高温環境で減磁しやすい高温減磁特性(例えば、ネオジム磁石を含む希土類磁石)の永久磁石を用いる場合でも、前記した各実施形態と同様の方法でモータMの駆動を制御することができる。
Iu 室内機
Ou 室外機
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 膨張弁
5 室内熱交換器
L 冷媒配管
100 モータ駆動装置
11 インバータ
12 素子短絡保護手段
13 インバータ駆動回路
20 電流検出器(電流検出手段)
30 増幅器
40 インバータ制御手段(制御手段)
44 駆動信号発生部
45 電流閾値設定部
46 加速レート設定部
50 モータ巻線温度検出器(モータ温度検出手段)
M モータ
Claims (11)
- 直流電源から入力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータの直流側に設けられる電流検出手段と、前記インバータに接続されるモータの温度を検出するモータ温度検出手段と、前記インバータの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記インバータからの交流電力によって前記モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記制御手段は、
前記モータの加速レートを制限する際の電流閾値である加速レート制限閾値を、前記モータ温度検出手段によって検出されるモータ温度に対応して設定する電流閾値設定部と、
前記電流検出手段によって検出される電流値に対応するモータ電流と、前記電流閾値設定部から入力される前記加速レート制限閾値とを比較し、当該比較結果に応じて前記モータの加速レートを設定する加速レート設定部と、
前記加速レート設定部によって設定される前記加速レートに従って、前記インバータに駆動信号を出力する駆動信号発生部と、を備えること
を特徴とするモータ駆動装置。 - 前記モータ温度に応じて所定範囲の前記モータ電流が予め対応付けられると共に、当該範囲のモータ電流に前記加速レートが対応付けられる加速レート領域に関する情報を記憶する記憶手段を備え、
前記加速レート領域の境界は、前記モータを減磁保護するための電流閾値である減磁保護閾値、及び、当該減磁保護閾値より小さい電流閾値として設定される前記加速レート制限閾値を含み、
前記加速レート領域は一つ又は複数設けられると共に、前記減磁保護閾値に近づくにつれて、前記加速レートが小さくなるように予め設定され、
前記加速レート設定部は、前記モータ電流が属する前記加速レート領域を特定し、当該加速レート領域に対応する加速レートを前記駆動信号発生部に出力すること
を特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。 - それぞれの前記加速レート領域に対応付けられる加速レートは、ゼロ以上であること
を特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。 - 前記加速レート設定部は、前記モータの温度上昇に伴って前記加速レート制限閾値が増加する際に、前記モータ電流より大きい前記加速レート制限閾値が存在する場合、前記モータの加速レートを増加させること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ駆動装置。 - 前記加速レート設定部は、前記モータ電流がそれぞれの前記加速レート制限閾値より低い場合、予め設定された定格の加速レートを前記駆動信号発生部に出力すること
を特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。 - 前記加速レート設定部は、前記モータ電流が前記減磁保護閾値に達した場合、前記インバータの駆動を停止させるための指令信号を前記駆動信号発生部に出力すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。 - 前記モータは、低温で減磁しやすい低温減磁特性を有する永久磁石を有すること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。 - 前記永久磁石は、フェライト磁石であること
を特徴とする請求項7に記載のモータ駆動装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のモータ駆動装置を備え、当該モータ駆動装置によって駆動されるモータが設置される圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、四方弁と、が冷媒配管で接続されてヒートポンプサイクルを構成すること
を特徴とする空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記膨張弁の開度を変更する際の電流閾値を、前記モータ温度検出手段によって検出されるモータ温度に対応して設定する電流閾値設定部と、
前記電流検出手段によって検出される電流値に対応するモータ電流と、前記電流閾値設定部から入力される前記電流閾値とを比較し、当該比較結果に応じて前記膨張弁の開度を変更する膨張弁開度変更部と、を備えること
を特徴とする請求項9に記載の空気調和機。 - 直流電源からインバータに入力される直流電圧を交流電圧に変換し、前記インバータに接続されるモータを駆動させるモータ駆動方法であって、
前記モータの加速レートを制限するための電流閾値である加速レート制限閾値を、モータ温度検出手段によって検出されるモータ温度に対応して設定する電流閾値設定処理と、
電流検出手段によって検出される電流値に対応して再現されるモータ電流と、電流閾値設定処理によって設定される前記加速レート制限閾値とを比較し、当該比較結果に応じて前記モータの加速レートを設定する加速レート設定処理と、
前記加速レート設定処理によって設定される前記加速レートに従って、前記インバータに駆動信号を出力する駆動信号発生処理と、を含むこと
を特徴とするモータ駆動方法。
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