上記従来の室外マルチ型空気調和装置では、複数の室外ユニットの設置条件や運転負荷の違い等によって、冷房運転時に、室外ユニット間で室外熱交換器の凝縮性能やレシーバの液面高さ等にバラツキが発生する。このようなバラツキが大きくなると、ある室外ユニットでは、レシーバの液面高さが非常に低下して室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になってしまい、液冷媒連絡管の液冷媒母管において他の室外ユニットの室外側液冷媒口から流出した冷媒と合流した後においても、合流後の冷媒が気液二相状態になってしまい、液冷媒連絡管が液シールされた状態を維持できなくなるおそれがある。そして、液冷媒連絡管が液シールされた状態を維持できなくなると、液冷媒連絡管を流れる冷媒の圧力損失が増大するため、室内膨張機構の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧の大幅な低下が発生して、安定的な運転を行うことができなくなる。
このように、上記従来の室外マルチ型空気調和装置では、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキによって、液冷媒連絡管における液シール状態が維持できなくなり、これによって、安定的な運転を行うことができなくなるおそれがある。
本発明の課題は、室外マルチ型空気調和装置において、各室外ユニットの室外側液冷媒口における相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることにある。
第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、複数の室外ユニットと、室内ユニットと、液冷媒連絡管と、ガス冷媒連絡管とを有している。複数の室外ユニットは、それぞれ圧縮機と室外熱交換器と室外膨張機構とが順次接続されており、圧縮機の吸入側に室外側ガス冷媒口と室外膨張機構の出口側に室外側液冷媒口とを有している。室内ユニットは、室内膨張機構と室内熱交換器とが順次接続されており、室内膨張機構の入口側に室内側液冷媒口と室内熱交換器の出口側に室内側ガス冷媒口とを有している。液冷媒連絡管は、室外側液冷媒管と液冷媒母管と室内側液冷媒管とを有しており、複数の室外ユニットを並列に接続するとともに複数の室外ユニットと室内ユニットとを接続する冷媒管である。室外側液冷媒管は、複数の室外側液冷媒口にそれぞれ接続される冷媒管である。液冷媒母管は、複数の室外側液冷媒管に接続されており、複数の室外側液冷媒管を流れる冷媒を合流させる冷媒管である。室内側液冷媒管は、室内側液冷媒口に接続されており、液冷媒母管から室内ユニットに冷媒を送る冷媒管である。ガス冷媒連絡管は、室内側ガス冷媒管とガス冷媒母管と室外側ガス冷媒管とを有しており、複数の室外ユニットを並列に接続するとともに複数の室外ユニットと室内ユニットとを接続する冷媒管である。室内側ガス冷媒管は、室内側ガス冷媒口に接続される冷媒管である。ガス冷媒母管は、室内側ガス冷媒管に接続される冷媒管である。室外側ガス冷媒管は、複数の室外側ガス冷媒口にそれぞれ接続されており、ガス冷媒母管から複数の室外ユニットに冷媒を分流させる冷媒管である。この室外マルチ型空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器、室外膨張機構、液冷媒連絡管、室内膨張機構、室内熱交換器、ガス冷媒連絡管の順に冷媒を循環させる冷房運転を行うことが可能である。そして、この室外マルチ型空気調和装置は、冷房運転において、複数の室外ユニットのうち室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度が所定の相状態矯正要求過冷却度以下になる相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行う。
室外マルチ型空気調和装置では、上記のように、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくする必要がある。
これに対して、直感的には、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行うことによって、この室外ユニットの室外熱交換器に溜まっている液冷媒を室外側液冷媒口側に送ることが考えられる。
しかし、室外マルチ型空気調和装置では、複数の室外ユニットからの冷媒が液冷媒連絡管の液冷媒母管において合流するため、液冷媒母管における冷媒の圧力が複数の室外ユニットにとって共通の圧力になっている。このため、室外膨張機構の開度を大きくしたとしても、室外膨張機構の開度を大きくした分だけ、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が低下する傾向になる。そして、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が低下すると、この室外ユニットの室外熱交換器の凝縮能力が低下し、室外熱交換器に溜まっている液冷媒の量が減少してしまうため、室外側液冷媒口側に液冷媒を送ることがさらに難しい状況になる。そして、これによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキがさらに大きくなり、液冷媒連絡管における液シール状態を維持することがさらに難しくなってしまう。
このように、室外マルチ型空気調和装置では、直感的には、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行うことが考えられるところ、このような制御を行うと、逆に、液冷媒連絡管における液シール状態を維持することがさらに難しくなってしまう。
そこで、第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のように、冷房運転において、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度が所定の相状態矯正要求過冷却度以下になる相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うようにしている。すなわち、第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、直感的には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行うことが考えられるところ、この制御とは逆に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うようにしている。
これにより、第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくした分だけ、この室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が上昇する。このため、この室外ユニットの室外熱交換器の凝縮能力が増加して、室外熱交換器に溜まっている液冷媒の量が増加するため、この室外ユニットの室外膨張機構を通過する液冷媒の量が増加して、この室外ユニットの室外側液冷媒口側に液冷媒を送ることができるようになる。そうすると、この室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態から液単相状態に近づくことなり、他の室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態とのバラツキが小さくなる。
このように、第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなっている絞り動作復旧条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行う。
第1相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合には、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなり、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり大きくなっている室外ユニットが存在する可能性がある。そして、このような場合には、別の室外ユニットにおいて、相状態矯正要求条件は満たさない(すなわち、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていない)ものの、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり小さくなる可能性がある。
すなわち、第1相状態矯正制御は、すべての室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒を液単相状態にするという意味で、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくすることができるものの、すべての室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができるものとはいえない。
そこで、第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のように、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなっている絞り動作復旧条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うようにしている。すなわち、第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていないものの、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなっている室外ユニットが存在する場合には、この室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができる。
第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度が下限開度に達している、又は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が所定の絞り動作制限高圧以上になっている絞り動作制限条件を満たす場合には、第1相状態矯正制御を行わずに、複数の室外ユニットのうち相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第2相状態矯正制御を行う。
相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合であっても、この室外ユニットの室外膨張機構の開度が下限開度に達していたり、室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が所定の絞り動作制限高圧以上になっている場合がある。このような場合には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うことができない。
このため、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うことなく、この室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)状況を改善する必要がある。
そこで、第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行う代わりに、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うようにしている。
これにより、第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満さない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくした分だけ、この室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が低下する。このため、この室外ユニットの室外熱交換器の凝縮能力が低下することで、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットと比較して相対的に相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が上昇することになる。その結果、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットに対して第1相状態矯正制御を行った場合に類似した作用が得られることになり、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外熱交換器の凝縮能力が増加して、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外側液冷媒口側に液冷媒を送ることができるようになる。そうすると、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態から液単相状態に近づくことなり、他の室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態とのバラツキが小さくなる。
このように、第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、第1相状態矯正制御を行うことができない状況であるにもかかわらず、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している開動作制限条件を満たす場合には、第2相状態矯正制御を行わない。また、この室外マルチ型空気調和装置は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が所定の開動作必要高圧以上になっている開動作必要条件を満たす場合には、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットが開動作制限条件を満たすかどうかにかかわらず、第2相状態矯正制御を行う。
相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している場合には、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくすることができない。
そこで、第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、まず、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している場合には、第2相状態矯正制御を行わないようにしている。
しかし、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している場合であっても、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が過度に高い場合には、この高圧を低下させる必要がある。
そこで、第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が開動作必要高圧以上になっている開動作必要条件を満たす場合には、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットが開動作制限条件を満たすかどうかにかかわらず、第2相状態矯正制御を行うようにしている。
これにより、第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している場合であっても、室外ユニットの高圧保護を優先することができる。ここで、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行うことも考えられるが、この制御を行うと、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の気液二相状態が悪化するおそれがあるため、ここでは、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行わないようにしている。
このように、第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度が上限開度に達している場合には、原則として、第2相状態矯正制御を行わないようにし、冷凍サイクルの高圧が過度に高い場合だけ、第2相状態矯正制御を行うようにしている。これにより、室外ユニットの高圧保護を優先しつつ、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第3又は第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなっている開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行う。
第2相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合には、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなり、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり小さくなっている室外ユニットが存在する可能性がある。そして、このような場合には、別の室外ユニットにおいて、相状態矯正要求条件は満たさない(すなわち、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていない)ものの、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり大きくなる可能性がある。
すなわち、第2相状態矯正制御は、すべての室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒を液単相状態にするという意味で、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくすることができるものの、すべての室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができるものとはいえない。
そこで、第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のように、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなっている開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うようにしている。すなわち、第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていないものの、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなっている室外ユニットが存在する場合には、この室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキをさらに小さくすることができる。
第6の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、第2相状態復旧制御は、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が所定の復旧動作制限高圧以下になっている開動作復旧高圧条件を満たす場合に行われる。
開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合であっても、この室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧がある程度低下した状態になっていなければ、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うことができない。第2相状態復旧制御を行うことによって冷凍サイクルの高圧が非常に上昇するおそれがある。
そこで、第6の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のように、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧が所定の復旧動作制限高圧以下になっている開動作復旧高圧条件を満たす場合に、第2相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、第6の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、冷凍サイクルの高圧が所定の復旧動作制限高圧以下になっている開動作復旧高圧条件を満たす場合に第2相状態復旧制御を行うことによって、冷凍サイクルの高圧が非常に上昇することを避けつつ、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができる。
第7の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第6の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置において、第1相状態復旧制御は、複数の室外ユニットのうち開動作復旧開度条件及び開動作復旧高圧条件を満たす室外ユニットが存在しない場合に行われる。
第1相状態矯正制御は、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする制御であって、相状態の改善が必要な室外ユニットに対して直接的に作用する制御であるため、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが大きい。これに対して、第2相状態矯正制御は、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていない(又は、そのおそれが小さい)室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御であって、相状態の改善が必要な室外ユニットに対して間接的に作用する制御であるため、第1相状態矯正制御に比べて各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが小さい。
このため、第1及び第2相状態矯正制御の状態を第1及び第2相状態復旧制御によって復旧させる際には、冷房運転の安定性等を考慮して、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが小さい第2相状態矯正制御を復旧させるための第2相状態復旧制御を優先的に行うことが好ましい。
そこで、第7の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、複数の室外ユニットのうち開動作復旧開度条件及び開動作復旧高圧条件を満たす室外ユニットが存在しない場合に第1相状態復旧制御を行うようにしている。すなわち、第7の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、開動作復旧開度条件及び開動作復旧高圧条件を満たす室外ユニットが存在する限り、第2相状態復旧制御を行い、第2相状態復旧制御が必要な室外ユニットが存在しなくなってから、第1相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、第7の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、冷房運転の安定性等を考慮しつつ、相状態矯正制御及び相状態復旧制御を行うことができる。
第8の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第2〜第7の観点のいずれかにかかる室外マルチ型空気調和装置において、第1相状態復旧制御及び/又は第2相状態復旧制御は、複数の室外ユニットのすべてについて、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度が相状態矯正要求過冷却度よりも大きな所定の相状態矯正復旧過冷却度以上になる相状態矯正復旧条件を満たす場合に行われる。
第1相状態矯正制御及び/又は第2相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合に、直ぐに第1相状態復旧制御及び/又は第2相状態復旧制御を行うと、再び、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する状態になってしまうおそれがある。そうすると、相状態矯正制御と相状態復旧制御とが頻繁に繰り返されることになり、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくした状態を安定的に維持することができないおそれがある。
そこで、第8の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、複数の室外ユニットのすべてについて、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度が相状態矯正要求過冷却度よりも大きな所定の相状態矯正復旧過冷却度以上になる相状態矯正復旧条件を満たす場合に、第1相状態復旧制御及び/又は第2相状態復旧制御を行うようにしている。すなわち、第8の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合であっても、各室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度が相状態矯正要求過冷却度よりも大きな相状態矯正復旧過冷却度以上になるまで、第1相状態矯正制御及び/又は第2相状態矯正制御を行わないようにしている。
これにより、第8の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正制御と相状態復旧制御とが頻繁に繰り返されることがなくなり、しかも、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度を、概ね相状態矯正要求過冷却度と相状態矯正復旧過冷却度との間の過冷却度で安定させることができる。
第9の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第1〜第8の観点のいずれかにかかる室外マルチ型空気調和装置において、各室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧に応じて室外膨張機構の開度を制御する高圧制御が行われている。そして、第1相状態矯正制御、第2相状態矯正制御、第1相状態復旧制御、及び/又は、第2相状態復旧制御は、高圧制御によって設定される各室外膨張機構の高圧制御設定開度に対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。
各室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧に応じて室外膨張機構の開度を制御する高圧制御が行われている場合には、このような高圧制御を阻害することなく共存しながら、第1相状態矯正制御、第2相状態矯正制御、第1相状態復旧制御、及び/又は、第2相状態復旧制御を行う必要がある。
そこで、第9の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、高圧制御によって設定される各室外膨張機構の高圧制御設定開度に対して、開度を変更する補正を加えることによって、第1相状態矯正制御、第2相状態矯正制御、第1相状態復旧制御、及び/又は、第2相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、第9の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、室外膨張機構による高圧制御を阻害することなく共存しながら、第1相状態矯正制御、第2相状態矯正制御、第1相状態復旧制御、及び/又は、第2相状態復旧制御を行うことができる。
第10の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第1〜第9の観点のいずれかにかかる室外マルチ型空気調和装置において、各室外ユニットが、室外膨張機構と室外側液冷媒口との間に、室外膨張機構と室外側液冷媒口との間を流れる冷媒を一時的に溜めるレシーバを有している。そして、この室外マルチ型空気調和装置では、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として、レシーバの出口における冷媒の過冷却度を使用している。
各室外ユニットが室外膨張機構と室外側液冷媒口との間にレシーバを有している場合には、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキが、各レシーバにおける液面高さのバラツキとして現れる。
そこで、第10の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、レシーバの出口における過冷却度を、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用するようにしている。
これにより、第10の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、レシーバの出口における過冷却度を室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用することによって、相状態矯正要求条件及び/又は相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。
第11の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第1〜第10の観点のいずれかにかかる室外マルチ型空気調和装置において、各室外ユニットが、室外熱交換器と室外側液冷媒口との間を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機に戻す冷媒戻し管と、冷媒戻し管を流れる冷媒によって室外膨張機構と室外側液冷媒口との間を流れる冷媒を冷却する過冷却熱交換器と、を有している。そして、この室外マルチ型空気調和装置では、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として、過冷却熱交換器の出口における冷媒の過冷却度を使用している。
各室外ユニットが室外膨張機構と室外側液冷媒口との間を流れる冷媒を冷却する過冷却熱交換器を有している場合には、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキが、各過冷却熱交換器の出口における過冷却度のバラツキとして現れる。
そこで、第11の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、過冷却熱交換器の出口における過冷却度を、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用するようにしている。
これにより、第11の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、過冷却熱交換器の出口における過冷却度を室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用することによって、相状態矯正要求条件及び/又は相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。
第12の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置は、第1〜第11の観点のいずれかにかかる室外マルチ型空気調和装置において、室内熱交換器の出口における冷媒の過熱度が所定の目標過熱度になるように室内膨張機構の開度を制御する過熱度制御が行われている。
室外マルチ型空気調和装置が室内膨張機構による過熱度制御を行っている場合において、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキが大きくなることによって液冷媒連絡管における液シール状態が維持できなくなると、室内膨張機構の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧の大幅な低下が発生するとともに、室外膨張機構による過熱度制御がこのような圧力低下に追従できなくなる。そうすると、室内熱交換器における冷却能力が維持できず、安定的な運転を行うことができなくなる。
しかし、第12の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のような相状態矯正制御及び/又は相状態復旧制御を行っているため、室内膨張機構の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧の大幅な低下が発生しにくくなり、室外膨張機構による過熱度制御を安定的に行うことができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第2の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができる。
第3の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、第1相状態矯正制御を行うことができない状況であるにもかかわらず、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第4の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、室外ユニットの高圧保護を優先しつつ、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管における液シール状態が維持されやすくすることができる。
第5の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキをさらに小さくすることができる。
第6の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、冷凍サイクルの高圧が所定の復旧動作制限高圧以下になっている開動作復旧高圧条件を満たす場合に第2相状態復旧制御を行うことによって、冷凍サイクルの高圧が非常に上昇することを避けつつ、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度のバラツキを小さくすることができる。
第7の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、開動作復旧開度条件及び開動作復旧高圧条件を満たす室外ユニットが存在する限り、第2相状態復旧制御を行い、第2相状態復旧制御が必要な室外ユニットが存在しなくなってから、第1相状態復旧制御を行うようにすることによって、冷房運転の安定性等を考慮しつつ、相状態矯正制御及び相状態復旧制御を行うことができる。
第8の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、相状態矯正制御と相状態復旧制御とが頻繁に繰り返されることがなくなり、しかも、各室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度を、概ね相状態矯正要求過冷却度と相状態矯正復旧過冷却度との間の過冷却度で安定させることができる。
第9の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、室外膨張機構による高圧制御を阻害することなく共存しながら、第1相状態矯正制御、第2相状態矯正制御、第1相状態復旧制御、及び/又は、第2相状態復旧制御を行うことができる。
第10の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、レシーバの出口における過冷却度を室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用することによって、相状態矯正要求条件及び/又は相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。
第11の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、過冷却熱交換器の出口における過冷却度を室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度として使用することによって、相状態矯正要求条件及び/又は相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。
第12の観点にかかる室外マルチ型空気調和装置では、上記のような相状態矯正制御及び/又は相状態復旧制御を行っているため、室内膨張機構の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧の大幅な低下が発生しにくくなり、室外膨張機構による過熱度制御を安定的に行うことができる。
以下、本発明の室外マルチ型空気調和装置の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明の室外マルチ型空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)室外マルチ型空気調和装置の構成
図1は、室外マルチ型空気調和装置1の概略冷媒回路図である。
室外マルチ型空気調和装置1は、主として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、建物等の室内の冷房に使用される装置である。室外マルチ型空気調和装置1は、主として、複数(ここでは、2台)の室外ユニット2a、2bと、室内ユニット5と、液冷媒連絡管7と、ガス冷媒連絡管8とを有している。そして、室外マルチ型空気調和装置1は、冷媒連絡管7、8を介して複数の室外ユニット2a、2bが並列に接続されるとともに複数の室外ユニット2a、2bが室内ユニット5に接続されることによって構成されており、蒸気圧縮式の冷媒回路10を形成している。
<室内ユニット>
室内ユニット5は、建物等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等や床面に床置き等により設置されている。室内ユニット5は、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8を介して複数の室外ユニット2a、2bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。尚、ここでは、室内ユニット5が1台だけであるが、複数の室内ユニットが並列に接続されていてもよい。
次に、室内ユニット5の構成について説明する。室内ユニット5は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路50を有している。室内側冷媒回路50は、主として、室内膨張機構51と、室内熱交換器52とが順次接続されることによって構成されている。
室内膨張機構51は、液冷媒連絡管7を介して室外ユニット2a、2bから送られた冷媒を冷凍サイクルの低圧になるまで減圧しつつ、室外熱交換器52を流れる冷媒の流量を調節する機構である。ここでは、室内膨張機構51として、電動膨張弁が使用されている。室内膨張機構51は、室内熱交換器52の入口に接続された室内ユニット液冷媒管53に設けられている。室内ユニット5は、室内膨張機構51の入口側に、すなわち、室内ユニット液冷媒管53の室内膨張機構51の入口側の端部に、液冷媒連絡管7に接続される室内側液冷媒口54を有している。
室内熱交換器52は、室内膨張機構51によって減圧された低圧の冷媒を蒸発させる機器であり、室内膨張機構51の出口に接続されている。室内熱交換器52は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、室内空気を加熱源として低圧の冷媒の蒸発を行うようになっている。室内熱交換器52の入口は、室内ユニット液冷媒管53に接続されており、室内熱交換器52の出口は、室内ユニットガス冷媒管55に接続されている。室内ユニット5は、室内熱交換器52の出口側に、すなわち、室内ユニットガス冷媒管55の室内熱交換器52の出口から遠い側の端部に、ガス冷媒連絡管8に接続される室内側ガス冷媒口56を有している。尚、ここでは、室内熱交換器52として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。そして、室内熱交換器52の加熱源としての室内空気は、室内ファン57によって供給されるようになっている。室内ファン57は、ここでは、室内ファン用モータ58によって回転駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内熱交換器52又は室内ユニット液冷媒管53には、室内熱交換器52の入口における低圧の冷媒の温度Teiを検出する室内熱交入口温度センサ59が設けられている。この温度Teiは、冷媒回路10の蒸発温度Teに相当する。室内熱交換器52又は室内ユニットガス冷媒管55には、室内熱交換器52の出口における低圧の冷媒の温度Teoを検出する室内熱交出口温度センサ60が設けられている。ここで、温度Teoから蒸発温度Te(すなわち、温度Tei)を減算することによって、室内熱交換器52の出口における低圧の冷媒の過熱度SHが得られる。
また、室内ユニット5は、室内ユニット5を構成する各部の動作を制御する室内側制御部61を有している。そして、室内側制御部61は、室内ユニット5の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2a、2bとの間で伝送線91を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<室外ユニット>
室外ユニット2a、2bは、建物等の室外に設置されている。室外ユニット2a、2bは、液冷媒連絡管7及びガス冷媒連絡管8を介して、互いが並列に接続されるとともに室内ユニット5に接続されており、室内ユニット5との間で冷媒回路10を構成している。尚、ここでは、室外ユニット2a、2bが2台だけであるが、3台以上の室外ユニットが並列に接続されていてもよい。
次に、室外ユニット2a、2bの構成について説明する。尚、室外ユニット2aと室外ユニット2bとは同様の構成であるため、ここでは、室外ユニット2aの構成だけを説明し、室外ユニット2bの構成については、室外ユニット2aの各部を示す添字「a」を「b」に読み替えるものとして、説明を省略する。
室外ユニット2aは、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路20aを有している。室外側冷媒回路20aは、主として、圧縮機21aと、室外熱交換器22aと、室外膨張機構23aとが順次接続されることによって構成されている。
圧縮機21aは、冷凍サイクルの低圧の冷媒を冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21aは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機モータ24aによって回転駆動する密閉式構造となっている。ここでは、圧縮機モータ24aとして、インバータにより制御される回転数(周波数)可変式のモータが使用されている。尚、ここでは、圧縮機21aとして、単段圧縮機を採用しているが、多段圧縮機であってもよい。圧縮機21aは、吸入側に室外ユニット吸入ガス冷媒管25aが接続されており、吐出側に室外ユニット吐出ガス冷媒管26aが接続されている。室外ユニット吸入ガス冷媒管25aには、圧縮機21aに吸入される低圧の冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ27aが設けられている。アキュムレータ27aは、ここでは、円筒形状の容器である。室外ユニット2aは、圧縮機21の吸入側に、すなわち、室外ユニット吸入ガス冷媒管25aの圧縮機21aから遠い側の端部に、ガス冷媒連絡管8に接続される室外側ガス冷媒口28aを有している。室外側ガス冷媒口28aには、ガス側閉鎖弁29aが設けられている。
室外熱交換器22aは、圧縮機21aにおいて圧縮された高圧の冷媒を凝縮させる機器である。圧縮機21aの吐出側に接続されている。室外熱交換器22aは、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、室外空気を冷却源として高圧の冷媒の凝縮を行うようになっている。室外熱交換器22aの入口は、室外ユニット吐出ガス冷媒管26aに接続されており、室外熱交換器22aの出口は、室外ユニット液冷媒管30aに接続されている。尚、ここでは、室外熱交換器22aとして、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。そして、室外熱交換器22aの冷却源としての室外空気は、室外ファン31aによって供給されるようになっている。室外ファン31aは、ここでは、室外ファン用モータ32aによって回転駆動されるプロペラファン等である。
室外膨張機構23aは、室外熱交換器22aにおいて凝縮した高圧の冷媒を少しだけ(冷凍サイクルの低圧まで達しない程度の圧力まで)減圧しつつ、室外熱交換器22aを流れる冷媒の圧力(冷凍サイクルの高圧)を調節する機構である。ここでは、室外側膨張機構23aとして、電動膨張弁が使用されている。室外膨張機構23aは、室外ユニット液冷媒管30aに設けられている。室外ユニット液冷媒管30aには、室外膨張機構23aと室外側液冷媒口34aとの間に、室外膨張機構23aと室外側液冷媒口34aとの間を流れる冷媒を一時的に溜めるレシーバ33aが設けられている。レシーバ33aは、ここでは、円筒形状の容器であり、入口が上部に設けられており、出口が下部に設けられている。室外ユニット2aは、室外熱交換器22aの出口側に、すなわち、室外ユニット液冷媒管30aの室外熱交換器22aの出口から遠い側(ここでは、レシーバ33aの出口側)の端部に、液冷媒連絡管7に接続される室外側液冷媒口34aを有している。室外側液冷媒口34aには、液側閉鎖弁35aが設けられている。
また、室外ユニット2aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット吸入ガス冷媒管25a又は圧縮機21には、圧縮機21に吸入される低圧の冷媒の圧力Psを検出する吸入圧力センサ36aが設けられている。ここで、この圧力Psは、冷凍サイクルの低圧Pe(すなわち、冷媒回路10の蒸発圧力)に相当する。また、冷凍サイクルの低圧Pe(すなわち、圧力Ps)を冷媒の飽和温度に換算することによって、冷媒回路10の蒸発温度Teを得るようにしてもよい。室外ユニット吐出ガス冷媒管26a又は圧縮機21には、圧縮機21から吐出される高圧の冷媒の圧力Pdを検出する吐出圧力センサ37aが設けられている。ここで、この圧力Pdは、冷凍サイクルの高圧Pc(すなわち、冷媒回路10の凝縮圧力Pc)に相当する。また、冷凍サイクルの高圧Pc(すなわち、圧力Pd)を冷媒の飽和温度に換算することによって、冷媒回路10の凝縮温度Tcが得られる。レシーバ33aの入口又はレシーバ33aの上部には、レシーバ33aの入口における冷媒の温度Triを検出するレシーバ入口温度センサ38aが設けられている。レシーバ33aの出口又はレシーバ33aの下部には、レシーバ33aの出口における冷媒の温度Troを検出するレシーバ出口温度センサ39aが設けられている。ここで、温度Triから温度Troを減算することによって、レシーバ33aの出口(すなわち、室外側液冷媒口34a)における過冷却度SCが得られる。また、この過冷却度SCは、レシーバ33aにおける冷媒の液面高さに相当している。また、室外側膨張機構23aの出口側に圧力センサを設ける場合には、この圧力センサが検出した圧力を冷媒の飽和温度に換算することによって、温度Triを得るようにしてもよい。
また、室外ユニット2aは、室外ユニット2aを構成する各部の動作を制御する室外側制御部40aを有している。そして、室外側制御部40aは、室外ユニット2aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット5との間で伝送線91を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管7、8は、室外マルチ型空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
液冷媒連絡管7は、室外側液冷媒管71a、71bと液冷媒母管72と室内側液冷媒管73とを有しており、複数(ここでは、2台)の室外ユニット2a、2bを並列に接続するとともに複数の室外ユニット2a、2bと室内ユニット5とを接続する冷媒管である。室外側液冷媒管71a、71bは、複数(ここでは、2つ)の室外側液冷媒口34a、34bにそれぞれ接続される冷媒管である。液冷媒母管72は、複数(ここでは、2つ)の室外側液冷媒管71a、71bに接続されており、複数の室外側液冷媒管71a、71bを流れる冷媒を合流させる冷媒管である。室内側液冷媒管73は、室内側液冷媒口54に接続されており、液冷媒母管72から室内ユニット5に冷媒を送る冷媒管である。
ガス冷媒連絡管8は、室内側ガス冷媒管83とガス冷媒母管82と室外側ガス冷媒管81a、81bとを有しており、複数の室外ユニット2a、2bを並列に接続するとともに複数の室外ユニット2aと室内ユニット5とを接続する冷媒管である。室内側ガス冷媒管83は、室内側ガス冷媒口56に接続される冷媒管である。ガス冷媒母管82は、室内側ガス冷媒管83に接続される冷媒管である。室外側ガス冷媒管81a、81bは、複数(ここでは、2つ)の室外側ガス冷媒口28a、28bにそれぞれ接続されており、ガス冷媒母管82から複数の室外ユニット2a、2bに冷媒を分流させる冷媒管である。
以上のように、室外側冷媒回路20a、20bと室内側冷媒回路50と冷媒連絡管7、8とが接続されることによって、室外マルチ型空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。この冷媒回路10は、圧縮機21、室外熱交換器22a、22b、室外膨張機構23a、23b、液冷媒連絡管7、室内膨張機構51、室内熱交換器52、ガス冷媒連絡管8の順に冷媒を循環させる冷房運転を行うことが可能な冷媒回路構成になっている。尚、ここでは、冷房運転だけが可能な冷媒回路構成になっているが、これに限定されるものではなく、冷房運転と暖房運転とを切り換えて運転することが可能な冷媒回路構成等のように、冷房運転を行うことができる冷媒回路構成であればよい。
<制御部>
室外マルチ型空気調和装置1は、室内側制御部61と室外側制御部40a、40bとから構成される制御部9によって、室外ユニット2a、2b及び室内ユニット5の各機器の制御を行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部61と室外側制御部40a、40bとの間を接続する伝送線91とによって、室外マルチ型空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部9が構成されている。
制御部9は、図2に示すように、各種センサ36a、36b、37a、37b、38a、38b、39a、39b、59、60の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁23a、23b、24a、24b、32a、32b、51、58を制御することができるように接続されている。ここで、図2は、室外マルチ型空気調和装置1の制御ブロック図である。
そして、制御部9は、圧縮機21、室外熱交換器22a、22b、室外膨張機構23a、23b、液冷媒連絡管7、室内膨張機構51、室内熱交換器52、ガス冷媒連絡管8の順に冷媒を循環させる冷房運転を行うことが可能になっている。
(2)室外マルチ型空気調和装置の基本動作
次に、室外マルチ型空気調和装置1の基本動作(後述の相状態制御を除く動作)について、図1を用いて説明する。
圧縮機21a、21bを駆動すると、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管8のガス冷媒母管82からガス冷媒連絡管8の室外側ガス冷媒管81a、81bに分流される。室外側ガス冷媒管81a、81bに分流された低圧のガス冷媒は、室外側ガス冷媒口28a、28b(すなわち、ガス側閉鎖弁29a、29b)を通じて、各室外ユニット2a、2bに送られる。各室外ユニット2a、2bに送られた低圧のガス冷媒は、圧縮機21a、21bに吸入されて圧縮されて、各室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧のガス冷媒となる。
そして、各圧縮機21a、21bにおいて圧縮された高圧のガス冷媒は、室外熱交換器22a、22bにおいて、室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮して、各室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧の液冷媒となる。ここで、各室外熱交換器22a、22bの冷却源となる室外空気は、室外ファン31a、31bを駆動することによって供給されている。
そして、各室外熱交換器22a、22bにおいて凝縮した高圧の液冷媒は、室外膨張機構23a、23bにおいて、少しだけ(冷凍サイクルの低圧まで達しない程度の圧力まで)減圧される。
そして、各室外膨張機構23a、23bにおいて減圧された液冷媒は、レシーバ33a、33bに送られて、一時的に溜められる。
そして、各レシーバ33a、33bにおいて一時的に溜められた液冷媒は、室外側液冷媒口34a、34b(すなわち、液側閉鎖弁35a、35b)を通じて、液冷媒連絡管7の室外側ガス冷媒管71a、71bに送られる。
そして、各室外側ガス冷媒管71a、71bに送られた液冷媒は、液冷媒連絡管7の液冷媒母管72において合流して、液冷媒連絡管7の室内側液冷媒管73に送られる。室内側液冷媒管73に送られた液冷媒は、室内側液冷媒口54を通じて室内ユニット5に送られる。
そして、室内ユニット5に送られた液冷媒は、室内膨張機構51において、冷凍サイクルの低圧になるまで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒となる。
そして、室内膨張機構51において減圧された低圧の気液二相冷媒は、室内熱交換器52において、室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒となる。ここで、室内熱交換器52の加熱源となる室内空気は、室内ファン57を駆動することによって供給されている。
そして、室内熱交換器52において蒸発した低圧のガス冷媒は、室内側ガス冷媒口56を通じて、ガス冷媒連絡管8の室内側ガス冷媒管83に送られる。室内側ガス冷媒管83に送られた低圧のガス冷媒は、ガス冷媒母管82に送られて、再び、室外側ガス冷媒管81a、81bに分流される。このように、室外マルチ型空気調和装置1の冷房運転が行われる。
このような冷房運転において、制御部9は、各室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdに応じて室外膨張機構23a、23bの開度をそれぞれ制御する高圧制御を行っている。具体的には、高圧制御は、各室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の高圧目標値Pdsで一定になるように、室外膨張機構23a、23bの開度を制御するものである。すなわち、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも高い場合には、室外側膨張機構23a、23bの開度を大きくする制御を行っている。逆に、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも低い場合には、室外側膨張機構23a、23bの開度を小さくする制御を行っている。ここで、高圧制御によって設定される各室外膨張機構23a、23bの開度を高圧制御設定開度MVphとする。また、各室外膨張機構23a、23bの開度には、閉め過ぎや開け過ぎを防止するために、下限開度MVL及び上限開度MVHが設定されている。このため、高圧制御や後述の相状態制御のような冷房運転の各種制御において、各室外膨張機構23a、23bの開度は、下限開度MVL及び上限開度MVHの範囲内で設定されるようになっている。
また、冷房運転において、制御部9は、室内熱交換器52の出口における冷媒の過熱度SHが所定の目標過熱度SHsになるように、室内膨張機構51の開度を制御する過熱度制御を行っている。すなわち、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも高い場合には、室内膨張機構51の開度を大きくする制御を行っている。逆に、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも小さい場合には、室内膨張機構51の開度を小さくする制御を行っている。
(3)室外ユニットの室外側液冷媒口における相状態制御
上記の冷房運転中においては、複数(ここでは、2台)の室外ユニット2a、2bの設置条件や運転負荷の違い等によって、室外ユニット2a、2b間で室外熱交換器23a、23bの凝縮性能やレシーバ33a、33bの液面高さ等にバラツキが発生する。このようなバラツキが大きくなると、図3に示すように、ある室外ユニット(例えば、室外ユニット2aとする)では、レシーバ33aの液面高さが非常に低下して室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態になってしまう(図3の線La参照)。このため、液冷媒連絡管7の液冷媒母管72において他の室外ユニット(例えば、室外ユニット2bとする)の室外側液冷媒口34bから流出した冷媒(図3の線Lb参照)と合流した後においても、合流後の冷媒が気液二相状態になってしまう(図1及び図3の点M参照)。これにより、理想的な冷凍サイクルから大きくずれが生じて(図3の二点鎖線で示された冷凍サイクル参照)、液冷媒連絡管7が液シールされた状態を維持できなくなるおそれがある。そして、液冷媒連絡管7が液シールされた状態を維持できなくなると、液冷媒連絡管7を流れる冷媒の圧力損失が増大するため、室内膨張機構51の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧Psの大幅な低下が発生して、安定的な運転を行うことができなくなる。また、上記のように、室内膨張機構51による過熱度制御を行っている場合には、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキが大きくなることによって液冷媒連絡管7における液シール状態が維持できなくなると、室内膨張機構51の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧Psの大幅な低下が発生するとともに、室外膨張機構51による過熱度制御がこのような圧力低下に追従できなくなる。そうすると、室内熱交換器51における冷却能力が維持できず、安定的な運転を行うことができなくなる。さらには、冷凍サイクルの低圧の低下によって、圧縮機21の冷媒循環量が減少するとともに高圧縮比での運転になるため、圧縮機21の吐出温度が上昇してしまう。
このように、室外マルチ型空気調和装置1では、対策を講じなければ、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキによって、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持できなくなり、これによって、安定的な運転を行うことができなくなるおそれがある。
これに対して、直感的には、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニット(例えば、室外ユニット2aとする)の室外膨張機構23aの開度を大きくする制御を行うことによって、この室外ユニット2aの室外熱交換器22aに溜まっている液冷媒を室外側液冷媒口34a側に送ることが考えられる。
しかし、室外マルチ型空気調和装置1では、室外ユニット2a、2bからの冷媒が液冷媒連絡管7の液冷媒母管72において合流するため(図1及び図3の点M参照)、液冷媒母管72における冷媒の圧力が室外ユニット2a、2bにとって共通の圧力になっている。このため、室外膨張機構23aの開度を大きくしたとしても、室外膨張機構23aの開度を大きくした分だけ、室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態になっている室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが低下する傾向になる。そして、室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが低下すると、この室外ユニット2aの室外熱交換器22aの凝縮能力が低下し、室外熱交換器22aに溜まっている液冷媒の量が減少してしまうため、室外側液冷媒口34a側に液冷媒を送ることがさらに難しい状況になる。そして、これによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキがさらに大きくなり、液冷媒連絡管7における液シール状態を維持することがさらに難しくなってしまう。
このように、室外マルチ型空気調和装置1では、直感的には、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を大きくする制御を行うことが考えられるところ、このような制御を行うと、逆に、液冷媒連絡管7における液シール状態を維持することがさらに難しくなってしまう。
そこで、本実施形態の室外マルチ型空気調和装置1では、以下のように、冷房運転において、室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける相状態制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持されやすくなるようにしている。
次に、本実施形態における室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける相状態制御について、図1〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、相状態制御(相状態矯正制御)のフローチャートである。図5は、相状態制御(相状態復旧制御)のフローチャートである。図6は、相状態制御を行った場合の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。尚、以下に説明する相状態制御は、上記の基本動作と同様、制御部9が行う。
<ステップST1>
ステップST1では、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCが所定の相状態矯正要求過冷却度SCA以下になる相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在するかどうかを判定する。すなわち、図4における「SC≦SCA」の条件を満たすかどうかを判定する。ここでは、各室外ユニット2a、2bが室外膨張機構23a、23bと室外側液冷媒口34a、34bとの間にレシーバ33a、33bを有しているため、各室外ユニット2a、3bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキが、各レシーバ33a、33bにおける液面高さのバラツキとして現れる。そこで、ここでは、レシーバ33a、33bの出口における過冷却度を、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCとして使用するようにして、相状態矯正要求条件を満たすかどうかを適切に判定できるようにしている。尚、相状態矯正要求過冷却度SCAは、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒が気液二相状態になる(又は、そのおそれがある)レシーバ33a、33bの液面高さを考慮した値に設定される。また、過冷却度SCの値の安定性を確保するために、過冷却度SCが所定の相状態矯正要求過冷却度SCA以下で所定の矯正時安定化時間t1が経過した場合に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在するものとしている。すなわち、図4における「t1経過」の条件を満たすかどうかを判定する。また、相状態制御は、後述のように、室外膨張機構23a、23bの高圧制御設定開度Xに対して、開度を変更する補正を加えることによって行うようにしているが、相状態制御を頻繁に行うことは、制御安定性の観点から好ましくない。そこで、ここでは、室外膨張機構23a、23bの開度の補正値Yを変更してから所定の制御時間間隔t2が経過した場合に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在するかどうかを判定するようにしている。すなわち、図4における「t2経過」の条件を満たすかどうかを判定する。尚、矯正時安定化時間t1及び制御時間間隔t2は、上記の過冷却度SCの値の安定性や制御安定性の目的を考慮して、数秒から数分程度に設定される。そして、ステップST1の条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、ステップST2の処理に移行する。すなわち、図4における「条件を満たす室外ユニットあり(成立機あり)」の場合には、ステップST2の処理に移行する。また、ステップST1の条件を満たす室外ユニットが存在しない場合には、ステップST9の処理に移行する。すなわち、図4における「条件を満たす室外ユニットなし(すべて未成立機)」の場合には、ステップST9〜ST14の処理に移行する。
<ステップST2>
ステップST2では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度が下限開度MVLに達している、又は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の絞り動作制限高圧HP1以上になっている絞り動作制限条件を満たすかどうかを判定する。すなわち、図4における「EV下限の成立機あり、又は、成立機のPd≧HP1」の条件を満たすかどうかを判定する。
ここで、ステップST2の判定を行うのは、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合であっても、この室外ユニットの室外膨張機構の開度が下限開度MVLに達していたり、室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の絞り動作制限高圧HP1以上になっている場合があり、このような場合には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御(後述のステップST8における第1相状態矯正制御)を行うことが許容されない状況であるからである。
すなわち、ここでは、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御(後述のステップST8における第1相状態矯正制御)を行うことが許容される状況であるかどうかを判定している。このため、絞り動作制限高圧HP1は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御が許容される程度の値に設定される。そして、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bがステップST2の条件を満たさない場合、すなわち、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御が許容される場合には、ステップST8の処理に移行する。また、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bがステップST2の条件を満たす場合、すなわち、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度をこれ以上小さくすることができない場合には、ステップST3〜ST7の処理に移行する。
<ステップST8>
ステップST8では、ステップST1において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行う。すなわち、ステップST1において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、直感的には、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御を行うことが考えられるところ、この制御とは逆に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うようにしている。例えば、室外ユニット2aが相状態矯正要求条件を満たす場合、すなわち、レシーバ33aの液面高さが低くなり外ユニット2aの室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態になる(又は、そのおそれがある)場合には、室外膨張機構23aの開度を小さくする制御を行う(図4における「成立機のEVの補正値Y=P1」の処理を行う)。ここで、室外膨張機構23aの開度は、室外膨張機構23aによる高圧制御を阻害することなく共存させることを考慮して、高圧制御によって設定される室外膨張機構23aの高圧制御設定開度MVphに対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。ここでは、高圧制御設定開度MVphに開度の補正値Y(ここでは、負の開度補正値P1)を加えることによって、室外膨張機構23aの開度を小さくするようにしている。
そして、このような第1相状態矯正制御を行うと、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外膨張機構23aの開度を小さくした分だけ、室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが上昇する。このため、図6に示すように、室外ユニット2aの室外熱交換器22aの凝縮能力が増加して、室外熱交換器22aに溜まっている液冷媒の量が増加する。そして、室外ユニット2aの室外膨張機構23aを通過する液冷媒の量及びレシーバ33aの液面高さが増加して、室外ユニット2aの室外側液冷媒口34a側に液冷媒を送ることができるようになる。そうすると、室外ユニット2aの室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態から液単相状態に近づくことなる(図6の線La参照)。そして、他の室外ユニット2bの室外側液冷媒口34bにおける冷媒の相状態(図6の線Lb参照)とのバラツキが小さくなり、液冷媒連絡管7の液冷媒母管72において室外ユニット2aの室外側液冷媒口34aから流出した冷媒と室外ユニット2bの室外側液冷媒口34bから流出した冷媒とが合流した後の冷媒も液単相状態になる(図1及び図6の点M参照)。これにより、理想的な冷凍サイクルからのずれが小さくなり(図6の二点鎖線で示された冷凍サイクル参照)、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持されやすくなる。そして、液冷媒連絡管7が液シールされた状態を維持できるようになると、液冷媒連絡管7を流れる冷媒の圧力損失が減少するため、室内膨張機構51の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧Psの大幅な低下が発生しにくくなって、室内膨張機構51の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧Psを確保することができるようになり、安定的な運転を行うことができるようになる。また、上記のように、室内膨張機構51による過熱度制御を行っている場合には、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキが小さくなることによって液冷媒連絡管7における液シール状態が維持できるようになると、室内膨張機構51の入口における冷媒の圧力や冷凍サイクルの低圧Psの大幅な低下が発生しにくくなるため、室外膨張機構51による過熱度制御を安定的に行うことができる。そうすると、室内熱交換器51における冷却能力が確保され、安定的な運転を行うことができるようになる。さらには、冷凍サイクルの低圧も確保されるため、圧縮機21の冷媒循環量が確保されるとともに適正な圧縮比で運転がなされるため、圧縮機21の吐出温度も適正なものになる。
このように、室外マルチ型空気調和装置1では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構23a、23bの開度を小さくする第1相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持されやすくすることができる。
<ステップST6>
相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bがステップST2の条件を満たす場合、すなわち、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度をこれ以上小さくすることができない場合であったとしても、第1相状態矯正制御を行うことなく、この室外ユニットの室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)状況を改善する必要がある。
そこで、ステップST6では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度が下限開度MVLに達している、又は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の絞り動作制限高圧HP1以上になっている絞り動作制限条件を満たす場合には、後述のステップST3、ST4の判定条件を満たさない限り、ステップS8の第1相状態矯正制御を行わずに、室外ユニット2a、2bのうち相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うようにしている。例えば、室外ユニット2aが相状態矯正要求条件を満たし、かつ、室外ユニット2bが相状態矯正要求条件を満たさない場合において、室外膨張機構34aの開度が下限開度MVLに達している、又は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の絞り動作制限高圧HP1以上になっている場合には、室外膨張機構23bの開度を大きくする制御を行う(図4における「未成立機のEVの補正値Y=P2」の処理を行う)。ここで、室外膨張機構23bの開度は、ステップST8の第1相状態矯正制御と同様に、室外膨張機構23bによる高圧制御を阻害することなく共存させることを考慮して、高圧制御によって設定される室外膨張機構23bの高圧制御設定開度MVphに対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。ここでは、高圧制御設定開度MVphに開度の補正値Y(ここでは、正の開度補正値P2)を加えることによって、室外膨張機構23bの開度を大きくするようにしている。
そして、このような第2相状態矯正制御を行うと、相状態矯正要求条件を満さない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度を大きくした分だけ、室外ユニット2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdが低下する。このため、室外ユニット2bの室外熱交換器22bの凝縮能力が低下することで、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bと比較して相対的に相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが上昇することになる。その結果、図6に示すように、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットに対して第1相状態矯正制御を行った場合に類似した作用が得られることになり、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外熱交換器23aの凝縮能力が増加して、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外側液冷媒口34a側に液冷媒を送ることができるようになる。そうすると、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態から液単相状態に近づくことなり、他の室外ユニット2bの室外側液冷媒口34bにおける冷媒の相状態とのバラツキが小さくなる。
このように、室外マルチ型空気調和装置1では、第1相状態矯正制御を行うことができない状況であるにもかかわらず、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持されやすくすることができる。
<ステップST3、ST4、ST5、ST7>
ステップST3では、ステップST2において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度をこれ以上小さくすることができないものと判定された場合に、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の開動作必要高圧HP2以上になっている開動作必要条件を満たすかどうかを判定する。すなわち、図4における「成立機のPd≧HP2」の条件を満たすかどうかを判定する。ここで、開動作必要高圧HP2は、室外ユニット2a、2bの高圧保護を考慮して、絞り動作制限高圧HP1よりも高い値に設定される。
ステップST4では、ステップST2において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2a、2bの室外膨張機構23a、23bの開度が上限開度MVHに達しているかどうかを判定する。すなわち、図4における「EV上限の未成立機あり」の条件を満たすかどうかを判定する。
ここで、ステップST4の判定を行うのは、ステップST2において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット(例えば、室外ユニット2aとする)が絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット(例えば、室外ユニット2bとする)の室外膨張機構23bの開度が上限開度MVHに達している場合には、ステップST6において相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度を大きくすることができないからである。
そこで、室外マルチ型空気調和装置1では、まず、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度が上限開度MVHに達している場合には、ステップST5のように、第2相状態矯正制御を行わないようにしている。すなわち、図4における「EVの補正なし」の処理を行う。ここで、室外膨張機構23bの開度は、ステップST6、ST8の第1及び第2相状態矯正制御と同様に、室外膨張機構23bによる高圧制御を阻害することなく共存させることを考慮して、高圧制御によって設定される室外膨張機構23bの高圧制御設定開度MVphに対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。ここでは、高圧制御設定開度MVphに開度の補正値Y(ここでは、正の開度補正値P2)を加えることによって、室外膨張機構23bの開度を大きくするようにしている。
しかし、ステップST4において相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度が上限開度MVHに達している場合であっても、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが過度に高い場合には、この高圧Pdを低下させる必要がある。
そこで、室外マルチ型空気調和装置1では、ステップST3において相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aにおける冷凍サイクルの高圧Pdが開動作必要高圧PH2以上になっている開動作必要条件を満たす場合には、ステップS4の相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bが開動作制限条件を満たすかどうかにかかわらず、ステップST7の第2相状態矯正制御を行うようにしている。すなわち、図4における「未成立機のEVの補正値Y=P2」の処理を行う。
これにより、室外マルチ型空気調和装置1では、ステップST4において相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度が上限開度MVHに達している場合であっても、室外ユニット2a、2bの高圧保護を優先することができる。ここで、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外膨張機構23aの開度を大きくする制御を行うことも考えられるが、この制御を行うと、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外側液冷媒口34aにおける冷媒の気液二相状態が悪化するおそれがあるため、ここでは、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aの室外膨張機構23aの開度を大きくする制御を行わないようにしている。
このように、室外マルチ型空気調和装置1では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2aが絞り動作制限条件を満たす場合であっても、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの室外膨張機構23bの開度が上限開度MVHに達している場合には、原則として、第2相状態矯正制御を行わないようにし、冷凍サイクルの高圧Pdが過度に高い場合だけ、第2相状態矯正制御を行うようにしている。これにより、室外ユニット2a、2bの高圧保護を優先しつつ、相状態矯正要求条件を満たさない室外ユニット2bの開度を大きくする第2相状態矯正制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくして、液冷媒連絡管7における液シール状態が維持されやすくすることができる。
<ステップST13>
ステップST8の第1相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合には、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなり、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり大きくなっている室外ユニットが存在する可能性がある。例えば、室外ユニット2aに対して第1相状態矯正制御を行った場合には、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構23aの開度が小さくなり、室外ユニット2aの室外側液冷媒口34aにおける冷媒の過冷却度SCがかなり大きくなっている可能性がある。そして、このような場合には、別の室外ユニット2bにおいて、相状態矯正要求条件は満たさない(すなわち、室外側液冷媒口34bにおける冷媒が気液二相状態になっていない)ものの、室外側液冷媒口34bにおける冷媒の過冷却度SCがかなり小さくなる可能性がある。
すなわち、第1相状態矯正制御は、すべての室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒を液単相状態にするという意味で、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくすることができるものの、すべての室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCのバラツキを小さくすることができるものとはいえない。
そこで、ステップST13では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなっている絞り動作復旧条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、後述のステップST9、ST12の判定条件を満たし、かつ、ステップS10の判定条件を満たさない限り、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うようにしている。例えば、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構23aの開度が小さくなっている場合には、室外ユニット2aの室外膨張機構34aの開度を大きくする制御を行う(図5における「補正値Y<0の成立機のEVの補正値Y=P2」の処理を行う)。ここで、室外膨張機構23aの開度は、ステップST6〜ST8の第1及び第2相状態矯正制御と同様に、室外膨張機構23aによる高圧制御を阻害することなく共存させることを考慮して、高圧制御によって設定される室外膨張機構23aの高圧制御設定開度MVphに対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。ここでは、高圧制御設定開度MVphに開度の補正値Y(ここでは、正の開度補正値P2)を加えることによって、室外膨張機構23aの開度を大きくするようにしている。すなわち、ここでは、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒が気液二相状態になっていないものの、第1相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が小さくなっている室外ユニットが存在する場合には、この室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、室外マルチ型空気調和装置1では、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCのバラツキを小さくすることができる。
<ステップST11>
ステップST6の第2相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合には、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなり、室外側液冷媒口における冷媒の過冷却度がかなり小さくなっている室外ユニットが存在する可能性がある。例えば、室外ユニット2bに対して第2相状態矯正制御を行った場合には、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構23bの開度が大きくなり、室外ユニット2bの室外側液冷媒口34aにおける冷媒の過冷却度SCがかなり小さくなっている可能性がある。そして、このような場合には、別の室外ユニット2aにおいて、相状態矯正要求条件は満たさない(すなわち、室外側液冷媒口34aにおける冷媒が気液二相状態になっていない)ものの、室外側液冷媒口34aにおける冷媒の過冷却度SCがかなり大きくなる可能性がある。
すなわち、第2相状態矯正制御は、すべての室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒を液単相状態にするという意味で、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくすることができるものの、すべての室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCのバラツキを小さくすることができるものとはいえない。
そこで、ステップST11では、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない場合において、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなっている開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合(後述のステップST10の条件を満たす場合)には、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うようにしている。例えば、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構23bの開度が大きくなっている場合には、室外ユニット2bの室外膨張機構34bの開度を小さくする制御を行う(図5における「補正値Y>0の成立機のEVの補正値Y=P1」の処理を行う)。ここで、室外膨張機構23bの開度は、ステップST6〜ST8、ST13の相状態矯正制御及び第1相状態復旧制御と同様に、室外膨張機構23bによる高圧制御を阻害することなく共存させることを考慮して、高圧制御によって設定される室外膨張機構23bの高圧制御設定開度MVphに対して、開度を変更する補正を加えることによって行われる。ここでは、高圧制御設定開度MVphに開度の補正値Y(ここでは、負の開度補正値P1)を加えることによって、室外膨張機構23bの開度を小さくするようにしている。すなわち、ここでは、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒が気液二相状態になっていないものの、第2相状態矯正制御によって室外膨張機構の開度が大きくなっている室外ユニットが存在する場合には、この室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うようにしている。
これにより、室外マルチ型空気調和装置1では、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする第2相状態復旧制御を行うことによって、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCのバラツキをさらに小さくすることができる。
<ステップST9、ST14>
ステップST8の第1相状態矯正制御、及び/又は、ステップST6、ST7の第2相状態矯正制御を行うことによって相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在しない状態になっている場合に、直ぐに、ステップST13の第1相状態復旧制御、及び/又は、ステップST11の第2相状態復旧制御を行うと、再び、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニットが存在する状態になってしまうおそれがある。そうすると、相状態矯正制御と相状態復旧制御とが頻繁に繰り返されることになり、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキを小さくした状態を安定的に維持することができないおそれがある。
そこで、ステップST9では、室外ユニット2a、2bのすべてについて、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCが相状態矯正要求過冷却度SCAよりも大きな所定の相状態矯正復旧過冷却度SCB以上になる相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを判定するようにしている。すなわち、図5における「SC≧SCB」の条件を満たすかどうかを判定する。ここでは、ステップST1と同様に、レシーバ33a、33bの出口における過冷却度を、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCとして使用するようにして、相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定できるようにしている。尚、相状態復旧要求過冷却度SCBは、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度が過度に大きい状態になる(又は、そのおそれがある)レシーバ33a、33bの液面高さを考慮した値に設定される。また、過冷却度SCの値の安定性を確保するために、過冷却度SCが所定の相状態復旧要求過冷却度SCB以上で所定の矯正時安定化時間t3が経過した場合に、相状態復旧要求条件を満たす室外ユニットが存在するものとしている。すなわち、図5における「t3経過」の条件を満たすかどうかを判定する。また、相状態制御は、上述のように、室外膨張機構23a、23bの高圧制御設定開度Xに対して、開度を変更する補正を加えることによって行うようにしており、制御安定性の観点を考慮して、室外膨張機構23a、23bの開度の補正値Yを変更してから所定の制御時間間隔t2が経過した場合に、相状態復旧要求条件を満たす室外ユニットが存在するかどうかを判定するようにしている。すなわち、図5における「t2経過」の条件を満たすかどうかを判定する。尚、復旧時安定化時間t3及び制御時間間隔t2は、上記の過冷却度SCの値の安定性や制御安定性の目的を考慮して、数秒から数分程度に設定される。そして、すべての室外ユニット2a、2bがステップST9の条件を満たす場合には、ステップST10の処理に移行する。すなわち、図5における「すべての室外ユニットが条件を満たす(すべて成立機)」の場合には、ステップST10の処理に移行する。また、ステップST9の条件を満たさない室外ユニットが存在する場合には、ステップST14の処理に移行して、相状態復旧制御を行わないようにしている。すなわち、図5における「条件を満たさない室外ユニットあり(未成立機あり)」の場合には、ステップST14の処理に移行して、図5における「EVの補正なし」の処理を行う。
これにより、室外マルチ型空気調和装置1では、相状態矯正制御と相状態復旧制御とが頻繁に繰り返されることがなくなり、しかも、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCを、概ね相状態矯正要求過冷却度SCAと相状態矯正復旧過冷却度SCBとの間の過冷却度で安定させることができる。
<ステップST10、ST12>
上記の開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合であっても、この室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧Pdがある程度低下した状態になっていなければ、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくするステップS11の第2相状態復旧制御を行うことができない。第2相状態復旧制御を行うことによって冷凍サイクルの高圧Pdが非常に上昇するおそれがあるからである。
そこで、ステップST10では、上記のように、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在するかどうか、すなわち、図5における「補正値Y>0の成立機あり」の条件を満たすかどうかに加えて、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットにおける冷凍サイクルの高圧Pdが所定の復旧動作制限高圧HP0以下になっている開動作復旧高圧条件を満たすかどうかを判定するようにしている。すなわち、図5における「Pd≦HP0」の条件を満たすかどうかを判定する。
すなわち、ここでは、開動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合であっても、ステップST11の第2相状態復旧制御を行うことが許容される状況であるかどうかを判定している。このため、復旧動作制限高圧HP0は、相状態矯正要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御が許容される程度の値、例えば、絞り動作制限高圧HP1以下の値に設定される。
また、ステップS8の第1相状態矯正制御は、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっている(又は、そのおそれがある)室外ユニットの室外膨張機構の開度を小さくする制御であって、相状態の改善が必要な室外ユニットに対して直接的に作用する制御であるため、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが大きい。これに対して、第2相状態矯正制御は、室外側液冷媒口における冷媒が気液二相状態になっていない(又は、そのおそれが小さい)室外ユニットの室外膨張機構の開度を大きくする制御であって、相状態の改善が必要な室外ユニットに対して間接的に作用する制御であるため、第1相状態矯正制御に比べて各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが小さい。
このため、第1及び第2相状態矯正制御の状態を第1及び第2相状態復旧制御によって復旧させる際には、冷房運転の安定性等を考慮して、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキに与える影響度合いが小さい第2相状態矯正制御を復旧させるための第2相状態復旧制御(ステップST11)を優先的に行うことが好ましい。
そこで、ステップST10では、室外ユニット2a、2bのうち開動作復旧開度条件及び開動作復旧高圧条件を満たす室外ユニットが存在するかどうかを判定するようにしている。そして、ステップST10の条件を満たす場合、すなわち、相状態復旧要求条件及び相状態復旧要求条件を満たす室外ユニット2a、2bが存在し、かつ、これらの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御が許容される場合には、相状態復旧要求条件及び相状態復旧要求条件を満たす室外ユニット2a、2bが存在する限り、ステップST11の処理に移行する。また、相状態復旧要求条件を満たす室外ユニット2a、2bがステップST10の条件を満たさない場合、すなわち、相状態復旧要求条件及び相状態復旧要求条件を満たす室外ユニット2a、2bが存在せず、又は、相状態復旧要求条件及び相状態復旧要求条件を満たす室外ユニット2a、2bの室外膨張機構34a、34bの開度を小さくする制御が許容されない場合には、ステップST12の処理に移行する。そして、ステップST12では、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在するかどうかを判定する。すなわち、図5における「補正値Y<0の成立機あり」の条件を満たすかどうかを判定する。そして、ステップST12において、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在する場合には、ステップST13において、室外膨張機構の開度を大きくする第1相状態復旧制御を行うようにしている。また、ステップST12において、絞り動作復旧開度条件を満たす室外ユニットが存在しない場合には、ステップST14の処理に移行して、相状態復旧制御を行わないようにしている。
これにより、室外マルチ型空気調和装置1では、冷凍サイクルの高圧Pdが所定の復旧動作制限高圧HP0以下になっている開動作復旧高圧条件を満たす場合に第2相状態復旧制御を行うことによって、冷凍サイクルの高圧Pdが非常に上昇することを避けつつ、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCのバラツキを小さくすることができる。また、室外マルチ型空気調和装置1では、冷房運転の安定性等を考慮しつつ、相状態矯正制御及び相状態復旧制御を行うことができる。
(4)変形例
上記の実施形態(図1)の室外マルチ型空気調和装置1において、図7に示すように、各室外ユニット2a、2bに過冷却熱交換器41a、41b及び冷媒戻し管44a、44bを設けることがある。ここで、冷媒戻し管44a、44bは、室外熱交換器22a、22bと室外側液冷媒口34a、34bとの間を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21a、21bに戻す冷媒管である。また、過冷却熱交換器41a、41bは、冷媒戻し管44a、44bを流れる冷媒によって室外膨張機構23a、23bと室外側液冷媒口34a、34bとの間を流れる冷媒を冷却する熱交換器である。過冷却熱交換器41a、41bは、ここでは、プレート型熱交換器であり、高圧側流路42a、42bを流れる冷媒と低圧側流路43a、43bを流れる冷媒とが熱交換するようになっている。高圧側流路42a、42bには、室外ユニット側液冷媒管30a、30bのレシーバ33a、33bの出口側と過冷却熱交換器41a、41bの入口側との間の部分を流れる高圧の冷媒(すなわち、高圧側冷媒)が流れるようになっている。低圧側流路43a、43bには、室外ユニット側液冷媒管30a、30bの室外ユニット側液冷媒管30a、30bのレシーバ33a、33bの出口側と過冷却熱交換器41a、41bの入口側との間の部分から分岐された冷媒戻し管44a、44b(すなわち、低圧側冷媒)が流れるようになっている。また、冷媒戻し管44a、44bには、低圧側流路43a、43bの入口側の部分に、冷媒戻し膨張機構45a、45bが設けられている。冷媒戻し膨張機構45a、45bは、冷媒戻し管44a、44bに分岐された高圧の冷媒を低圧になるまで減圧するための機構である。尚、ここでは、過冷却熱交換器41a、41bとして、プレート型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。
このように、各室外ユニット2a、2bが室外膨張機構23a、23bと室外側液冷媒口34a、34bとの間を流れる冷媒を冷却する過冷却熱交換器41a、41bを有している場合には、各室外ユニット2a、2bの室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の相状態のバラツキが、各過冷却熱交換器41a、41bの出口における過冷却度のバラツキとして現れる。尚、各室外ユニット2a、2bに過冷却熱交換器41a、41b及び冷媒戻し管44a、44bを設けることによって、液冷媒連絡管7の液シール状態が維持されやすくなる。しかし、室外ユニット2a、2b間で室外熱交換器23a、23bの凝縮性能やレシーバ33a、33bの液面高さ等にバラツキが大きくなると、冷媒戻し管44a、44bを流れる冷媒の流量、すなわち、冷却源となる冷媒の流量が確保できなくなる場合が生じて、液冷媒連絡管7の液シール状態が維持できなくなるおそれがある。
そこで、本変形例の室外マルチ型空気調和装置1では、レシーバ33a、33bの出口に設けられたレシーバ出口温度センサ39a、39bを、過冷却熱交換器41a、41bの高圧側流路42a、42bの出口に設けて、過冷却熱交換器41a、41bの出口における過冷却度を、室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCとして使用するようにしている。
これにより、本変形例の室外マルチ型空気調和装置1では、過冷却熱交換器41a、41bの出口における過冷却度を室外側液冷媒口34a、34bにおける冷媒の過冷却度SCとして使用することによって、相状態矯正要求条件及び/又は相状態矯正復旧条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。そして、上記の相状態制御を行うことによって、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。