JP2006292214A - 空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法、及び、空気調和装置 - Google Patents
空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法、及び、空気調和装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 空気調和装置1は、レシーバ25を有する冷媒回路10を備えたセパレートタイプの空気調和装置であり、ペルチェ素子126と、冷媒量判定手段とを備えている。ペルチェ素子126は、レシーバ25と液側閉鎖弁36との間を接続する冷媒配管の外周部に装着されており、レシーバ25から室内熱交換器41、51に送られる冷媒を冷却する。冷媒量判定手段は、ペルチェ素子126の出口における冷媒の過冷却度SCsに基づいて、冷媒量の適否を判定する。
【選択図】 図17
Description
このようなニーズに対して、今後、新たに設計及び製作する空気調和装置については、冷媒量の適否を判定する機能を付加したものを提供することによって対応することが可能であるが、既設の空気調和装置のような実用に供された履歴を有する空気調和装置において、冷媒量の適否を判定する機能を追加することが容易ではない。特に、レシーバを有する冷媒回路を備えたセパレートタイプの空気調和装置については、冷媒漏洩が生じた際の冷媒量の変化による影響が、熱源側熱交換器の出口における冷媒の過冷却度の変化としてほとんど現れないことから、上述のニーズに対応するための手段が制約されている。
これにより、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成されており、レシーバを有する冷媒回路を備えたセパレートタイプの既設の空気調和装置において、冷媒量の適否を判定する機能を容易に追加することができる。
第3の発明にかかる空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法は、第1の発明にかかる空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法において、過冷却装置は、レシーバと利用側熱交換器とを接続する冷媒配管の外周部に装着可能である。
第4の発明にかかる空気調和装置は、圧縮機と熱源側熱交換器とレシーバとを有する熱源ユニットと、利用側熱交換器とを有する利用ユニットとが、冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成された冷媒回路を備えており、熱源側熱交換器を圧縮機において圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、利用側熱交換器を熱源側熱交換器からレシーバを介して送られる冷媒の蒸発器として機能させる運転を少なくとも行うことが可能な空気調和装置であって、過冷却装置と、冷媒量判定手段とを備えている。過冷却装置は、レシーバと利用側熱交換器とを接続する冷媒配管の外周部に装着可能である。冷媒量判定手段は、過冷却装置の出口における冷媒の過冷却度及び過冷却度の変化に応じて変化する運転状態量の少なくとも1つに基づいて、冷媒量の適否を判定する。
しかも、過冷却装置として、レシーバと利用側熱交換器とを接続する冷媒配管の外周部に装着可能なものを採用しており、その冷媒配管の外側から冷却することが可能であるため、既設のレシーバを有する冷媒回路を備えたセパレートタイプの空気調和装置において、上述の冷媒量の適否を判定する機能を追加する際においても、冷媒配管内から冷媒を抜き取る作業を行うことなく、その追加作業を容易に行うことができる。
この冷媒量判定システムでは、状態量蓄積手段及び冷媒量判定手段が、空気調和装置の遠隔に存在しているため、空気調和装置の過去の運転データを大量に蓄積しておくことが可能な構成を容易に実現できる。これにより、例えば、蓄積手段に蓄積された過去の運転データの中から、状態量取得手段が取得した現在の運転データに類似した運転データを選択し、両データを比較して冷媒量の適否の判定を行うことが可能になる。
第1の発明では、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されることによって構成されており、レシーバを有する冷媒回路を備えたセパレートタイプの既設の空気調和装置において、冷媒量の適否を判定する機能を容易に追加することができる。
第2の発明では、外部からの冷却源を追加することなく、冷媒量の適否を判定する機能を容易に追加することができる。
第4の発明では、既設のレシーバを有する冷媒回路を備えたセパレートタイプの空気調和装置において、上述の冷媒量の適否を判定する機能を追加する際においても、冷媒配管内から冷媒を抜き取る作業を行うことなく、その追加作業を容易に行うことができる。
第6の発明では、空気調和装置の過去の運転データを大量に蓄積しておくことが可能な構成を容易に実現できる。
<第1実施形態>
(1)既設の空気調和装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法によって冷媒量判定機能が追加される前の既設の空気調和装置1の概略の冷媒回路図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
室内ユニット4、5は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、屋内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を備えている。この室内側冷媒回路10aは、主として、利用側膨張弁としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを備えている。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内の空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内の空気を加熱する熱交換器である。
室外ユニット2は、ビル等の屋上等に設置されており、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを備えている。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、熱源側膨張弁としての室外膨張弁24と、レシーバ25と、液側閉鎖弁36と、ガス側閉鎖弁37とを備えている。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
レシーバ25は、室外膨張弁24と液側閉鎖弁36との間に接続されており、室内ユニット4、5の運転負荷に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ28と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ29と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサ32と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ33とが設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc又は暖房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する熱交温度センサ30が設けられている。室外熱交換器23の液側には、液状態又は気液二相状態の冷媒の温度を検出する液側温度センサ31が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、外気温度Ta)を検出する外気温度センサ34が設けられている。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部35を備えている。そして、室外側制御部35は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部35とによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。制御部8は、図2に示されるように、各種センサ29〜34、44〜46、54〜56の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁21、22、24、27a、41、43a、51、53aを制御することができるように接続されている。ここで、図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
次に、本実施形態の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法によって、上述の既設の空気調和装置1に冷媒量判定機能を追加する改造について説明する。
まず、冷媒量判定機能を追加する改造を行う前の既設の空気調和装置1は、実用に供された履歴を有するものとする。ここでは、空気調和装置1は、現地に設置されて冷媒回路10を構成した後に冷房運転や暖房運転等の運転に使用されたことがある状態等のように、少なくとも製作済みのものであって熱源ユニット2に冷媒充填がなされたものであるものとする。
冷媒抜き取り作業は、主として、過冷却装置設置作業時に冷媒回路10内から冷媒が外部に放散されてしまわないようにするために、過冷却装置設置作業に先立って行われる作業である。冷媒抜き取り作業は、例えば、閉鎖弁36、37等に設けられたサービスポート等(図示せず)から冷媒回収装置等(図示せず)を使用して、冷媒回路10の外部に冷媒を抜き取ることによって行われる。
過冷却装置設置作業は、主として、冷媒抜き取り作業の後に、過冷却装置としての過冷却器26(図3参照)と、冷媒回路10内を流れる冷媒を過冷却器26の冷却源として供給する過冷却用冷媒回路としてのバイパス冷媒回路71(図3参照)とを熱源ユニット2内に設ける作業から構成されている。ここで、図3は、本実施形態の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法によって既設の空気調和装置1に冷媒量判定機能を追加する改造を行った後の空気調和装置1の概略の冷媒回路図である。
バイパス冷媒回路71は、室外熱交換器23から室内熱交換器42、52へ送られる冷媒の一部を冷媒回路10から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように冷媒回路10に接続される。具体的には、バイパス冷媒回路71は、レシーバ25の出口と過冷却器26のバイパス冷媒回路側の入口に接続された分岐回路71aと、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すために圧縮機21の吸入側に接続された合流回路71bとを有している。そして、分岐回路71aには、バイパス冷媒回路71を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス側冷媒流量調節弁72が設けられている。ここで、バイパス側冷媒流量調節弁72は、過冷却器26に流す冷媒の流量の調節を行うための電動膨張弁である。尚、以下の説明では、改造後の空気調和装置1において、冷媒回路10からバイパス冷媒回路71を除いた部分を、便宜上、主冷媒回路とする。
冷媒量判定手段設置作業は、主として、過冷却器26の過冷却度又は過冷却度の変化に応じて変化する運転状態量を検出するためのセンサ類を追加する作業と、過冷却器26及びバイパス冷媒回路71を用いたレシーバ25の出口における冷媒を過冷却にする制御を伴う冷媒量判定運転を行う機能(後述)及びこの冷媒量判定運転の際に冷媒量の適否を判定する機能(後述)を制御部8に追加する作業とから構成されている。
次に、本実施形態の改造後の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の改造後の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4、5の各機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の設置後に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了し通常運転を開始した後において室内ユニット4、5を冷房運転しつつ蒸発器として機能する室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度を検出して冷媒回路10内に充填されている冷媒量の適否を判断する冷媒漏洩検知モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、冷房運転と暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、冷媒自動充填運転と制御変数変更運転とが含まれている。
<通常運転モード>
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図3及び図4を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図3の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室内熱交換器52のガス側に接続された状態となっている。また、室外膨張弁24、液側閉鎖弁36、ガス側閉鎖弁37は開にされ、バイパス側冷媒流量調節弁72は閉止されている。このため、過冷却器26においては、主冷媒回路を流れる冷媒と、バイパス冷媒回路71を流れる冷媒との熱交換は行われない状態になっている。さらに、室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度が所定値になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度は、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出されるか、又は、吸入圧力センサ28により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度を検出したり、室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度を検出するようにしてもよい。
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図3の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室内熱交換器52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。また、室外膨張弁24、液側閉鎖弁36、ガス側閉鎖弁37は開にされ、バイパス側冷媒流量調節弁72は閉止されている。このため、過冷却器26においては、主冷媒回路を流れる冷媒と、バイパス冷媒回路71を流れる冷媒との熱交換は行われない状態になっている。さらに、室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度が所定値になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ29により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度を検出するようにしてもよい。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮されて高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となる。ここで、室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における過冷却度が所定値になるように室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の流量を制御しているため、室内熱交換器42、52において凝縮された高圧の液冷媒は、所定の過冷却度を有する状態となる。このように、各室内熱交換器42、52には、各室内ユニット4、5が設置された空調空間において要求される運転負荷に応じた流量の冷媒が流れている。
<試運転モード>
次に、試運転モードについて、図3〜図5を用いて説明する。ここで、図5は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の自動冷媒充填運転が行われ、続いて、ステップS2の制御変数変更運転が行われる。
次に、試運転を行う者が、制御部8に対して直接に、又は、リモコン(図示せず)等を通じて遠隔に、試運転を開始する指令を出すと、制御部8によって、図6に示されるステップS11〜ステップS13の処理が行われる。ここで、図6は、冷媒自動充填運転のフローチャートである。
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット4、5の室内膨張弁41、51が開けられた状態となり、圧縮機21、室外ファン27及び室内ファン43、53が起動されて、室内ユニット4、5の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
まず、冷媒量判定運転の指令がなされると、バイパス側冷媒流量調節弁72が開けられる。すると、レシーバ25の出口から過冷却器26に向かって流れる冷媒の一部が、バイパス側冷媒流量調節弁72によって流量調節されながら、主冷媒回路から分岐されてバイパス冷媒回路71を介して圧縮機21の吸入側に戻される流れが形成される。ここで、バイパス側冷媒流量調節弁72を通過する冷媒は、圧縮機21の吸入圧力Ps近くまで減圧されることによって、その一部が蒸発して気液二相の状態となる。そして、このバイパス冷媒回路71のバイパス側冷媒流量調節弁72の出口から圧縮機21の吸入側に向かって流れる気液二相状態の冷媒は、過冷却器26のバイパス冷媒回路側を通過する際に、過冷却器26の主冷媒回路側を流れる室外熱交換器23から室内熱交換器42、52へ送られる冷媒と熱交換を行うことになる。
このように、室内ユニット全数運転、圧縮機回転数一定制御、及び、レシーバ出口冷媒過冷却制御(必要に応じて、凝縮圧力制御)を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS11の処理が行われる。
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を実施するが、この際、ステップS12において、冷媒の追加充填時における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量を運転データとして取得し、制御部8のメモリに蓄積する。本実施形態においては、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsと、外気温度Taと、室内温度Trと、吐出圧力Pdと、吸入圧力Psとが、冷媒充填時の運転データとして制御部8のメモリに蓄積される。
上述のように、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を開始すると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加するため、この際の冷媒量の増加に応じてレシーバ25の出口における冷媒圧力が増加する(すなわち、冷媒温度が高くなる)傾向が現れる。そうすると、レシーバ25の出口における冷媒温度が高くなり、これにより、過冷却器26において主冷媒回路側に流入する冷媒の温度とバイパス冷媒回路側に流入する冷媒の温度との温度差が大きくなるため、過冷却器26における交換熱量が大きくなり、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における冷媒の過冷却度SCsが増加する傾向が現れる。この傾向は、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsと冷媒回路10内に充填されている冷媒量との間に、図7及び図8に示されるような相関関係があることを意味している。ここで、図7は、冷媒量判定運転における過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsと、外気温度Ta及び冷媒量Chとの関係を示すグラフである。図8は、冷媒量判定運転における過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCs及びレシーバ25の出口における冷媒温度と、冷媒量Chとの関係を示すグラフである。図7の相関関係は、現地に設置され使用が開始された直後の状態の空気調和装置1を用いて上述の冷媒量判定運転を行った場合において、冷媒回路10内に冷媒を予め設定された規定冷媒量になるまで充填した場合における、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの値(以下、過冷却度SCsの規定値とする)と外気温度Taとの関係を示している。すなわち、試運転時(具体的には、冷媒自動充填時)の外気温度Taによって過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの規定値が決定され、この過冷却度SCsの規定値と冷媒充填時に検出される過冷却度SCsの現在値とを比較することによって、冷媒の追加充填により冷媒回路10内に充填される冷媒量の適否が判定できることを意味している。
すなわち、追加充填される冷媒量が少なく、冷媒回路10における冷媒量が初期冷媒量に達していない場合においては、冷媒回路10内の冷媒量が少ない状態となる。ここで、冷媒回路10内の冷媒量が少ない状態とは、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの現在値が、過冷却度SCsの規定値よりも小さいことを意味する。このため、ステップS13において、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの値が規定値よりも小さく、冷媒の追加充填が完了していない場合には、過冷却度SCsの現在値が規定値に達するまで、ステップS13の処理が繰り返される。また、過冷却度SCsの現在値が規定値に達した場合には、冷媒の追加充填が完了し、冷媒量充填運転処理としてのステップS1が終了する。尚、現地において配管長さや構成機器の容量等から算出した規定冷媒量と、冷媒の追加充填が完了した後の初期冷媒量とが一致しない場合もあるが、本実施形態では、冷媒の追加充填が完了した際における過冷却度SCsの値やその他の運転状態量の値を、後述の冷媒漏洩検知モードにおける過冷却度SCs等の運転状態量の基準値としている。
<ステップS2:制御変数変更運転>
上述のステップS1の自動冷媒充填運転が終了したら、ステップS2の制御変数変更運転に移行する。制御変数変更運転では、制御部8によって、図9に示されるステップS21〜ステップS23の処理が行われる。ここで、図9は、制御変数変更運転のフローチャートである。
ステップS21では、上述の冷媒自動充填運転が終了した後、冷媒回路10内に初期冷媒量が充填された状態において、ステップS11と同様の冷媒量判定運転を行う。
そして、ここでは、初期冷媒量まで充填された後の状態で冷媒量判定運転を行っている状態において、室外ファン27の風量を変更することで、この試運転時、すなわち、空気調和装置1の設置後において、室外熱交換器23の熱交換性能が変動した状態を模擬する運転を行ったり、室内ファン43、53の風量を変更することで、室内熱交換器42、52の熱交換性能が変動した状態を模擬する運転を行う(以下、このような運転を制御変数変更運転とする)。
このように、冷媒量判定運転を行いつつ室外ファン27及び室内ファン43、53の風量を変更することで室外熱交換器23や室内熱交換器42、52の熱交換性能が変動した状態を模擬する運転を含む制御変数変更運転を行う制御変数変更運転手段として機能する制御部8により、ステップS21、S23の処理が行われる。また、制御変数変更運転時に冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量を運転データとして蓄積する状態量蓄積手段として機能する制御部8により、ステップS22の処理が行われるため、室外熱交換器23や室内熱交換器42、52の熱交換性能が変動した状態を模擬する運転を行っている場合の運転状態量を運転データとして得ることができる。
次に、冷媒漏洩検知モードについて、図3、図4及び図12を用いて説明する。ここで、図12は、冷媒漏洩検知モードのフローチャートである。
本実施形態において、通常運転モードにおける冷房運転や暖房運転時に、定期的(例えば、休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、不測の原因により冷媒回路10内の冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合を例にして説明する。
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(毎1ヶ月等)経過したかどうかを判定し、通常運転モードにおける運転が一定時間経過した場合には、次のステップS32に移行する。
<ステップS32:冷媒量判定運転>
通常運転モードにおける運転が一定時間経過した場合には、上述の冷媒自動充填運転のステップS11と同様に、室内ユニット全数運転、圧縮機回転数一定制御、及び、レシーバ出口冷媒過冷却制御を含む冷媒量判定運転が行われる。ここで、圧縮機21の回転数fは、冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転における回転数fの所定値と同じ値が使用される。また、レシーバ出口冷媒過冷却制御におけるバイパス冷媒回路71のバイパス側冷媒流量調節弁72の過熱度制御における過熱度SHBの所定値もステップS11の冷媒量判定運転における過熱度SHbの所定値と同じ値が使用される。
<ステップS33〜S35:冷媒量の適否の判定、通常運転への復帰、警告表示>
冷媒回路10内の冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少するため、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの現在値が小さくなる傾向が現れる(図7及び図8参照)。すなわち、過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの現在値とを比較することによって冷媒回路10内に充填されている冷媒量の適否が判定できることを意味している。本実施形態においては、この冷媒漏洩検知運転時における過冷却器26の主冷媒回路側の出口における過冷却度SCsの現在値と、上述の冷媒自動充填運転完了時における冷媒回路10内に充填された初期冷媒量に対応する過冷却度SCsの基準値(規定値)とを比較して、冷媒量の適否の判定、すなわち、冷媒漏洩の検知を行うものである。
一般に、熱交換器の熱交換性能は、伝熱係数K及び伝熱面積Aの乗算値(以下、係数KAとする)によって決定され、この係数KAに熱交換器の内外温度差を乗算することによって熱交換量が決定される。このため、熱交換器の熱交換性能は、係数KAが一定である限りにおいて、内外温度差(室外熱交換器23の場合には、外気温度Taと室外熱交換器23内を流れる冷媒温度としての凝縮温度Tcとの温度差、室内熱交換器42、52の場合には、室内温度Trと室内熱交換器42、52内を流れる冷媒温度としての蒸発温度Teとの温度差)によって決定されることになる。
Ch=k1×SCs+k2×Pd+k3×Ta+×k4×Ps+k5×Tr+k6
という重回帰式からなる関数として表現することができるため、上述の試運転モードの冷媒充填時及び制御変数変更運転時に制御部8のメモリに蓄積された運転データ(すなわち、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCs、外気温度Ta、室内温度Tr、吐出圧力Pd、及び、吸入圧力Psのデータ)を用いて、重回帰分析を行うことにより、各パラメータk1〜k6を演算することで、冷媒量Chの関数を決定することができる。
このように、冷媒漏洩検知モードにおける冷媒漏洩の有無の検知の際に室外熱交換器23及び室内熱交換器42、52の経年劣化や天候による過冷却度SCsへの影響を補償するため関数を決定する状態量補正式演算手段として機能する制御部8により、補正式を決定する処理が行われる。
(4)空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法、及びその冷媒量判定機能が追加された空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法、及びその冷媒量判定機能が追加された改造後の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
本実施形態の改造後の空気調和装置1では、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、利用側熱交換器としての室内熱交換器42、52を室外熱交換器23からレシーバ25及び利用側膨張弁としての室内膨張弁41、51を介して送られる冷媒の蒸発器として機能させる運転を行うことができるが、この際に、冷媒回路10内における冷媒量が減少してくると、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度が小さい状態又は飽和状態になるため、室外熱交換器23において凝縮された冷媒は、室外熱交換器23の出口からレシーバ25の入口に至るまでの間の流路における圧力損失により、レシーバ25の入口に至るまでに飽和状態又は気液二相流の状態となって、レシーバ25に流入することになる。この結果、レシーバ25の出口から過冷却器26の入口に至るまでの流路を流れる冷媒も飽和状態になる。そうすると、過冷却器26の出口における冷媒の過冷却度SCsは、レシーバ25の出口(すなわち、過冷却器26の入口)における冷媒の乾き度が大きくなるにつれて減少し、最終的には、乾き度がゼロの状態(すなわち、飽和液冷媒の状態)になる。このことは、レシーバ25の出口における冷媒が飽和状態になり過冷却器26の出口における冷媒の過冷却度SCsが減少しはじめるころには、ある程度の量の冷媒がレシーバ25内に溜まっているが、過冷却器26の出口における冷媒の過冷却度SCsがゼロに近づくと、レシーバ25内に溜まっている冷媒がわずかな量になることを示している。すなわち、この空気調和装置1では、レシーバ25内における冷媒量の変動により生じるレシーバ25の出口における冷媒の乾き度の変動を、過冷却器SCsの出口における冷媒の過冷却度の変動として捉えることができるようになっている。
(B)
本実施形態の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法では、レシーバ25を有する冷媒回路10を備えたセパレートタイプの既設の空気調和装置1において、冷媒回路10に過冷却装置としての過冷却器26を追加するとともに、制御部8の制御基板の交換等により冷媒量判定手段を追加するという簡単な改造によって、上述の冷媒量の適否を判定する機能を容易に追加することができる。
(C)
本実施形態の改造後の空気調和装置1では、室外熱交換器23及び室内熱交換器42、52(すなわち、空気調和装置1)が現地に設置され使用が開始された直後の状態からの経年劣化の程度に応じて室外熱交換器23及び室内熱交換器42、52の係数KAが変動すること、すなわち、係数KAの変動に伴って、室外熱交換器23における冷媒圧力である凝縮圧力Pcと外気温度Taとの相関関係、及び、室内熱交換器42、52における冷媒圧力である蒸発圧力Peと室内温度Trとの相関関係が変動することに着目して(図13、図14参照)、冷媒量判定手段及び状態量補正手段として機能する制御部8において、冷媒量Chの現在値を過冷却度SCs、吐出圧力Pd、外気温度Ta、吸入圧力Ps、及び、室内温度Trの関数として表現し、冷媒漏洩検知運転時の過冷却度SCsの現在値及びこの時の吐出圧力Pd、外気温度Ta、吸入圧力Ps、及び、室内温度Trの現在値から冷媒量Chの現在値を演算することにより、冷媒量の基準値である初期冷媒量と比較することで、経年劣化による運転状態量としての過冷却度SCsの変動の影響を排除することができる。
また、特に、室外熱交換器23については、係数KAが変動する場合として、雨天や強風等の天候の変動による場合も考えられるが、天候の変動についても、経年劣化と同様に、係数KAの変動に伴って、室外熱交換器23における冷媒圧力である凝縮圧力Pcと外気温度Taとの相関関係が変動することになるため、結果的に、この際の過冷却度SCsの変動の影響も排除することができる。
本実施形態の空気調和装置1では、空気調和装置1の設置後の試運転において、現地における冷媒充填によって初期冷媒量まで充填された後の運転状態量(具体的には、過冷却度SCs、吐出圧力Pd、外気温度Ta、吸入圧力Ps、及び、室内温度Trの基準値)を状態量蓄積手段として機能する制御部8に蓄積し、この運転状態量を基準値として、冷媒漏洩検知モードにおける運転状態量の現在値と比較して、冷媒量の適否、すなわち、冷媒漏洩の有無を判定しているため、実際に装置内に充填されている冷媒量である初期冷媒量と冷媒漏洩検知時の現在の冷媒量との比較を行うことができる。
本実施形態の空気調和装置1では、初期冷媒量まで充填された後の運転状態量(具体的には、過冷却度SCs、吐出圧力Pd、外気温度Ta、吸入圧力Ps、及び、室内温度Trの基準値)だけでなく、室外ファン27や室内ファン43、53のような空気調和装置1の構成機器の制御変数を変更して、試運転時とは異なる運転条件を模擬的に実現する運転を行い、この運転中の運転状態量を状態量蓄積手段として機能する制御部8に蓄積することができる。
上述の空気調和装置1では、冷媒漏洩検知モードのステップS33の冷媒量の適否の判定において、実質的には、初期冷媒量まで充填された後の過冷却度SCsの基準値と、過冷却度SCsの現在値とを比較することで、冷媒漏洩の有無を検知しているが、これに加えて、冷媒自動充填運転のステップS12において、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間の初期冷媒量よりも少ない量の冷媒が冷媒回路10内に充填された状態の運転状態量のデータを利用して、装置内に充填されている冷媒量の適否の判定を行うようにしてもよい。
上述の空気調和装置1においては、室外熱交換器23及び室内熱交換器42、52の両方の経年劣化等を補償するため、吐出圧力Pd、外気温度Ta、吸入圧力Ps及び室内温度Trの4つの運転状態量を使用しているが、室外熱交換器23のみの経年劣化等を補償する場合には、吐出圧力Pd及び外気温度Taのみを考慮すればよい。また、室内熱交換器42、52のみの経年劣化等を補償する場合には、吸入圧力Ps及び室内温度Trのみを考慮すればよい。
(7)変形例3
上述の空気調和装置1においては、圧縮機21の吐出圧力Pdを室外熱交換器23における冷媒圧力としての凝縮圧力Pcに対応する運転状態量として、また、圧縮機21の吸入圧力Psを室内熱交換器42、52における冷媒圧力としての蒸発圧力Peに対応する運転状態量として、状態量蓄積手段として機能する制御部8に蓄積し、室外熱交換器23及び室内熱交換器42、52の経年劣化等を補償する補正式のパラメータの決定に使用したが、圧縮機21の吐出圧力Pdに変えて凝縮温度Tcを使用したり、また、圧縮機21の吸入圧力Psに代えて蒸発温度Teを使用してもよい。この場合においても、上述の空気調和装置1と同様に、経年劣化等の補償を行うことができる。
上述の空気調和装置1においては、室内ユニット全数運転、圧縮機回転数一定制御、及び、レシーバ出口冷媒過冷却制御(必要に応じて、凝縮圧力制御)を含む冷媒量判定運転を行っている際における過冷却器26の主冷媒回路側の出口における冷媒の過冷却度SCsと冷媒回路10内に充填されている冷媒量との間の相関関係(図7参照)を利用して、冷媒自動充填時及び冷媒漏洩検知時における冷媒量の適否の判定を行っているが、過冷却器26の出口における過冷却度SCsの変動に応じて変動する他の運転状態量と冷媒回路10内に充填されている冷媒量との間の相関関係を利用して、冷媒自動充填時及び冷媒漏洩検知時における冷媒量の適否の判定を行ってもよい。
尚、この場合において、状態量蓄積手段として機能する制御部8には、試運転モードにおいて、過冷却器26の主冷媒回路側の出口の冷媒の過冷却度SCsの代わりに、又は、過冷却器26の主冷媒回路側の出口の冷媒の過冷却度SCsとともに室内膨張弁41、51の開度のデータが基準値として蓄積されることになる。
上述の空気調和装置1においては、過冷却器26の冷却源として、室外熱交換器23から室内熱交換器42、52へ送られる冷媒の一部を冷媒回路10から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すバイパス冷媒回路71によって供給される冷媒を利用しているが、これに限定されず、冷媒回路10内を流れる冷媒を冷却源とするものであれば、他の構成を採用してもよい。
この場合においても、上述の実施形態と同様に、過冷却器26の冷却源として冷媒回路10内を流れる冷媒を使用しているため、外部からの冷却源を追加することなく、冷媒量の適否を判定する機能を追加することができる。
次に、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法、及びその冷媒量判定機能が追加された空気調和装置の実施形態について説明する。尚、既設の空気調和装置の構成については、第1実施形態における既設の空気調和装置1と同じであるため、説明を省略する(図1及び図2参照)。
また、改造後の空気調和装置1においては改造時に冷媒抜き取り作業を行っていないため、第1実施形態において、試運転モードの冷媒自動充填運転に先立って行われていた、冷凍サイクル運転を行うことが可能にするための冷媒充填を行う必要がなくなる。また、場合によっては、冷媒の追加充填を行う必要もなくなるため、実質的には、自動冷媒充填運転が、初期冷媒量における運転状態量のデータの蓄積のみを行うための運転になるため、試運転時間の短縮にも寄与できる。
上述の実施形態では、過冷却装置としてペルチェ素子126を使用したが、レシーバ25と室内熱交換器42、52(具体的には、液側閉鎖弁36)とを接続する冷媒配管をその外側から冷却することが可能なものであれば、他の過冷却装置を採用してもよい。
例えば、図18に示されるように、レシーバ25と室内熱交換器42、52(具体的には、液側閉鎖弁36)とを接続する冷媒配管と、ガス側閉鎖弁37と圧縮機21の吸入側とを接続する冷媒配管との間で間接的に熱交換を行わせるために、ヒートパイプ127からなる過冷却装置を室外ユニット2内に設けるようにしてもよい。
これらの場合においても、ペルチェ素子126を採用する場合と同様に、冷媒配管の外側からヒートパイプ127や水配管128を接触させるように取り付けるだけでよいため、冷媒回路10内から冷媒を抜き取る作業を行うことがなく、既設の空気調和装置1に冷媒量判定機能を容易に追加する改造を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、冷房専用の空気調和装置や冷暖同時運転可能な空気調和装置に本発明を適用してもよい。
上述の実施形態では、試運転モードにおいて、制御変数変更運転を行い、この運転によって得られた運転データから経年劣化等の補償に必要な補正式のパラメータを決定しているが、冷媒量の適否の判定における精度が許容される限りにおいて、試運転時に制御変数変更運転を行うことなく、あらかじめ設定された補正式のパラメータを使用して経年劣化等の補償を行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒自動充填運転の際に、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間の初期冷媒量よりも少ない量の冷媒が冷媒回路10内に充填された状態の運転状態量のデータを制御部8のメモリに蓄積するようにしているが、冷媒漏洩検知モードにおいて、これらのデータを使用しない場合には、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間の運転状態量のデータを蓄積することなく、初期冷媒量まで充填された後の運転状態量のデータを蓄積するだけでもよい。
上述の実施形態では、空気調和装置1の制御部8が、各種の運転制御手段、状態量蓄積手段、冷媒量判定手段、状態量補正手段、及び、状態量補正式演算手段のすべての機能を有する冷媒量判定システムを構成しているが、これに限定されず、例えば、図20に示されるように、空気調和装置1に、空気調和装置1の各構成機器を管理する管理装置として常設されるローカルコントローラ61が接続される場合には、空気調和装置1及びローカルコントローラ61によって、上述の制御部8が備えていた各種機能を有する冷媒量判定システムを構成してもよい。例えば、ローカルコントローラ61を空気調和装置1の運転状態量を取得する状態量取得手段として機能させるとともに、状態量蓄積手段、冷媒量判定手段、状態量補正手段、及び状態量補正式演算手段としても機能させる等の構成が考えられる。この場合には、空気調和装置1の制御部8に、状態量補正式のパラメータの決定のみに使用される大量の運転状態量のデータを蓄積したり、冷媒量判定手段、状態量補正手段、及び状態量補正式演算手段としての機能を有しておく必要がなくなる。
また、図22に示されるように、空気調和装置1に、空気調和装置1の各構成機器を管理して運転データを取得する管理装置としてのローカルコントローラ61を接続し、このローカルコントローラ61を空気調和装置1の運転データを受信する情報管理センターの遠隔サーバ64にネットワーク63を介して接続し、遠隔サーバ64に状態量蓄積手段としてのディスク装置等の記憶装置65を接続することによって、冷媒量判定システムを構成してもよい。例えば、ローカルコントローラ61を空気調和装置1の運転状態量を取得する状態量取得手段とし、記憶装置65を状態量蓄積手段とし、遠隔サーバ64を冷媒量判定手段、状態量補正手段及び状態量補正式演算手段として機能させる等の構成が考えられる。この場合にも、空気調和装置1の制御部8に、状態量補正式のパラメータの決定のみに使用される大量の運転状態量のデータを蓄積したり、冷媒量判定手段、状態量補正手段及び状態量補正式演算手段としての機能を有しておく必要がなくなる。
2 室外ユニット(熱源ユニット)
4、5 室内ユニット(利用ユニット)
6、7 冷媒連絡配管
21 圧縮機
23 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
25 レシーバ
26 過冷却器(過冷却装置)
71 バイパス冷媒回路(過冷却用冷媒回路)
126 ペルチェ素子(過冷却装置)
127 ヒートパイプ(過冷却装置)
128 水配管(過冷却装置)
41、51 室内膨張弁(利用側膨張弁)
42、52 室内熱交換器(利用側熱交換器)
Claims (6)
- 圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)とレシーバ(25)とを有しており実用に供された履歴を有する熱源ユニット(2)と、利用側熱交換器(42、52)を有する利用ユニット(4、5)とが、冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されることによって構成される冷媒回路(10)を備えた空気調和装置(1)において、冷媒量の適否を判定する機能を追加する空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法であって、
前記レシーバと前記利用側熱交換器との間を流れる冷媒を冷却する過冷却装置(26、126、127、128)を前記熱源ユニット内に設け、
前記過冷却装置の出口における冷媒の過冷却度及び前記過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量の少なくとも1つに基づいて、冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段を設ける、
空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法。 - 前記過冷却装置(26)は、前記レシーバ(25)と前記利用側熱交換器(42、52)との間に接続される熱交換器であり、
前記過冷却装置を前記レシーバと前記利用側熱交換器との間に接続する前に、前記冷媒回路(10)内から冷媒を抜き取り、
前記過冷却装置を前記レシーバと前記利用側熱交換器との間に接続するとともに、前記冷媒回路を流れる冷媒を冷却源として前記過冷却装置に供給する過冷却用冷媒回路(71)を前記熱源ユニット(2)内に設ける、
請求項1に記載の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法。 - 前記過冷却装置(26)は、前記レシーバ(25)と前記利用側熱交換器(42、52)とを接続する冷媒配管の外周部に装着可能である、請求項1に記載の空気調和装置の冷媒量判定機能追加方法。
- 圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)とレシーバ(25)とを有する熱源ユニット(2)と、利用側熱交換器(42、52)とを有する利用ユニット(4、5)とが、冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されることによって構成された冷媒回路(10)を備えており、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機において圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、前記利用側熱交換器を前記熱源側熱交換器から前記レシーバを介して送られる冷媒の蒸発器として機能させる運転を少なくとも行うことが可能な空気調和装置であって、
前記レシーバから前記利用側熱交換器に送られる冷媒を冷却するために、前記レシーバと前記利用側熱交換器とを接続する冷媒配管の外周部に装着可能な過冷却装置(126、127、128)と、
前記過冷却装置の出口における冷媒の過冷却度及び前記過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量の少なくとも1つに基づいて、冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段と、
を備えた空気調和装置(1)。 - 圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)とレシーバ(25)とを有する熱源ユニット(2)と、利用側熱交換器(42、52)とを有する利用ユニット(4、5)とが、冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されることによって構成される冷媒回路(10)と、前記レシーバから前記利用側熱交換器に送られる冷媒を冷却するために、前記レシーバと前記利用側熱交換器とを接続する冷媒配管の外周部に装着された過冷却装置(126、127、128)と、を備えており、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機において圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、前記利用側熱交換器を前記熱源側熱交換器から前記レシーバ、前記過冷却装置及び前記利用側膨張弁を介して送られる冷媒の蒸発器として機能させる運転を少なくとも行うことが可能な空気調和装置(1)から、運転状態量を取得する状態量取得手段と、
前記状態量取得手段により取得された、前記過冷却装置の出口における冷媒の過冷却度及び前記過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量の少なくとも1つを、運転状態量の基準値として蓄積する状態量蓄積手段と、
前記状態量取得手段が取得する、前記過冷却装置の出口における冷媒の過冷却度及び前記過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量の少なくとも1つの現在値と、前記状態量蓄積手段に蓄積された前記運転状態量の基準値とに基づいて、冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段と、
を備えた空気調和装置の冷媒量判定システム。 - 前記状態量取得手段は、前記空気調和装置(1)を管理しており、
前記状態量蓄積手段及び前記冷媒量判定手段は、前記空気調和装置の遠隔にあり、前記状態量取得手段に通信回線を介して接続されている、
請求項5に記載の空気調和装置の冷媒量判定システム。
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