JP2013194164A - プロセスオイルおよびゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロセスオイルは、下記(a)〜(c)の性状を有する。
(a)紫外吸光度(198nm)が3以下
(b)紫外吸光度(228nm)が1以下
(c)40℃動粘度が25mm2/s以上450mm2/s以下
このプロセスオイルを用いたゴム組成物により、耐候性に優れ、型崩れ等の形状変化が起こりにくいゴム製品を製造することができる。
【選択図】なし
Description
一方、近年になって、自動車用内装材としてEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、あるいは、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いたゴム組成物の需要が増加している。
このようなゴム組成物を自動車内装材として用いるには、耐熱性や耐候性が要求されるため、一般に高純度の白色パラフィン系プロセスオイルが使用される。例えば、セーボルト色が+28以上であって、耐熱性と耐候性に優れたプロセスオイルが知られている(特許文献1参照)。
プロセスオイルによりいわゆる油展したゴムは、日光に曝される時間が短い場合には、ゴムの変色のみ発生し、ゴムの型崩れ等の形状変化は発生しない。しかし、ゴムが更に長期間日光に曝されると、ゴムの型崩れ、ひび割れ(表面クラック)等の形状変化が現れ、油展ゴムを使用する場合に支障を来たすおそれがある。
特許文献1のプロセスオイルであっても、油展したゴムの耐候性に関しては必ずしも充分に満足できるものではない。例えば、長期間、ゴムが日光に曝された場合、ゴムの変色に留まらず、ゴムの型崩れ、ひび割れ(表面クラック)等の形状変化が現れるおそれがある。
(a)紫外吸光度(198nm)が3以下
(b)紫外吸光度(228nm)が1以下
(c)40℃動粘度が25mm2/s以上450mm2/s以下
(2)上述の(1)に記載のプロセスオイルを配合したことを特徴とするゴム組成物。
(3)上述の(2)に記載のゴム組成物において、該ゴム組成物のゴム基材がEPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマー、およびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするゴム組成物。
(a)紫外吸光度(198nm)が3以下
(b)紫外吸光度(228nm)が1以下
(c)40℃動粘度が25mm2/s以上450mm2/s以下
プロセスオイルをゴムに配合すると、プロセスオイルに含まれる芳香族分の影響により油展ゴムが紫外線によりゲル化等を起こして変色を生じることはよく知られている。また、紫外線の吸収量は油中の芳香族分の含有量を示しており、紫外吸光度が大きいほど、芳香族分が多く含まれていると考えられる。それ故、単純に考えると、プロセスオイルの耐候性を上げるためには、紫外線による影響を避けるため、紫外線吸収の原因となる芳香族分を減らせばよく、その指標としての紫外吸光度の値を下げればよいということは容易に思いつく。
その一方、プロセスオイルをゴムに配合することを考えると、ゴムとの相溶性も極めて重要であり、単純に芳香族分を減らせばよいわけではない。耐候性に悪影響を与えるであろう特定の微量芳香族分についての指標が必要となる。しかしながら、過酷な条件に放置された場合の油展ゴムの形状変化に影響を与える微量芳香族分についてはこれまで知見がなかった。
本発明は、プロセスオイルにおける波長198nmおよび波長228nmという2つの紫外線吸収波長を規定することで、油展ゴムの色相の変化のみならず紫外線劣化時における形状の変化までも制御可能とするものである。
なお、この紫外吸光度は、JIS K 0115に準拠して測定すればよい。具体的には、試料2.00グラムをヘキサンで希釈して50mlにしたものを10mmセルでヘキサンをブランクとして198nmおよび228nmの波長で測定したときの吸光度である。
また、プロセスオイルとしての性能を発揮するために、40℃動粘度は、25mm2/s以上450mm2/sであり、好ましくは85mm2/s以上400mm2/s以下である。
このプロセスオイルは、ゴム基材であるEPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマー、およびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種に配合することにより、各種ゴム組成物を好適に提供することとなる。また、得られたゴム組成物は、耐候性が要求される自動車用内装材として特に好適に使用される。
また、ゴム組成物を製造する場合には、本発明のプロセスオイルやゴム成分のほかに、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、ワックス類等の劣化防止剤、本発明のゴム配合油以外の軟化剤または可塑剤等の通常ゴム業界で用いられるものを適宜配合してもよい。
例えば、当該(a)から(c)までの性状を有するのであれば、プロセスオイルを得る手段は適宜調整しても問題はない。
〔製造例1(実施例1)〕
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を2段処理して、常圧沸点の範囲が335℃〜491℃の鉱油Aを得た。これを実施例1の試料油とした。その性状を表1に示す。
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を2段処理して、常圧沸点の範囲が367℃〜627℃の鉱油Bを得た。これを実施例2の試料油とした。その性状を表1に示す。
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を2段処理して、常圧沸点の範囲が409℃〜700℃の鉱油Cを得た。これを実施例3の試料油とした。その性状を表1に示す。
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を1段処理して、常圧沸点の範囲が353℃〜513℃の鉱油Dを得た。これを比較例4の試料油とした。その性状を表2に示す。
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を1段処理して、常圧沸点の範囲が405℃〜610℃の鉱油Eを得た。これを比較例5の試料油とした。その性状を表2に示す。
パラフィン系原油を常圧蒸留し、その残さ油を減圧蒸留して得られた留分について水素化改質精製を1段処理して、常圧沸点の範囲が423℃〜732℃の鉱油Fを得た。これを比較例6の試料油とした。その性状を表2に示す。
燃料油製造装置である水素化分解装置からできるボトム油を水素化脱ろう、水素化仕上げ、減圧蒸留することにより、常圧沸点の範囲が446℃〜598℃の鉱油Gを得た。これを実施例7の試料油とした。その性状を表1に示す。
上記製造例で製造した鉱油A〜Fを所定の質量比で混合して試料油とした。その性状を表1、2に示す。
実施例1〜7および比較例1〜6の試料油について耐候性試験を行った後のセーボルト色を測定した。表1、2に、各試料油の性状とともに結果を示す。なお、試験方法は下記の通りである。
(耐候性試験)
50mLのガラス瓶に試料油を50mL入れ、65℃でキセノンランプによる光の照射を10時間行なった後、試料油の色相(セーボルト)を確認した(JIS K 2580準拠)。なお、この時間は、夏場1ヶ月間戸外に晒した条件に相当する。
表1より、実施例1〜7の試料油は、いずれも198nmと228nmの2波長における紫外吸光度が所定値以下であり、耐候性に悪影響を与える芳香族分が少ないため、耐候性試験によるセーボルト色の変化が少なく、耐候性に優れていることがわかる。
一方、表2に示すように、比較例1〜6の試料油は、上記2波長の少なくともいずれかの紫外吸光度を越えており、耐候性が悪いため、耐候性試験後にはいずれも大きな着色が認められた。
前記した各試料油を用いて、以下のようにスチレン系ゴムを製造した。
スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ製セプトン4033)100質量部に試料油500質量部を配合して混練し、ゴム組成物を得た。加温され流動性のある状態のゴム組成物をステンレス容器に入れて室温に冷却して固まった後、油展したゴムを3cm四方の立方体の形状に切り取った。
得られた立方体形状のゴム片を65℃の温度で500時間までキセノンランプにより光を照射して耐候性試験を行い、ゴムの変色と型崩れ等の形状変化の有無を目視観察した。ゴムの変色は、以下の基準で評価した。
○:着色しない
×:着色する
表1に示すように、実施例1〜7の試料油をプロセスオイルとして用いた場合、ゴムは着色せず、ゴムの型崩れ等の形状変化を生じないことも確認できた。それ故、本発明のプロセスオイルによれば、ゴム製品の実質的な寿命を伸ばすことが可能となる。
一方、表2に示すように、比較例1〜6の試料油をプロセスオイルとして用いた場合、ゴムが着色するだけでなく、ゴムの型崩れ等の形状変化が激しく実用上問題がある。
Claims (3)
- 下記(a)〜(c)の性状を有することを特徴とするプロセスオイル。
(a)紫外吸光度(198nm)が3以下
(b)紫外吸光度(228nm)が1以下
(c)40℃動粘度が25mm2/s以上450mm2/s以下 - 請求項1に記載のプロセスオイルを配合したことを特徴とするゴム組成物。
- 請求項2に記載のゴム組成物において、
該ゴム組成物のゴム基材がEPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマー、およびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするゴム組成物。
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