JP2013194062A - 粘着性組成物、及び粘着性シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量10万〜80万のポリイソブチレン系樹脂(A)、エチレン由来の構成単位(b1)と、プロピレン由来の構成単位(b2)と、特定構造を有するノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)とを有するオレフィン系共重合体(B)、及び3〜6個のヒドロシリル基を有するシラン系化合物(C)を含み、オレフィン系共重合体(B)の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜400質量部である、粘着性組成物。
【選択図】なし
Description
これらの粘着性シートの粘着層は、例えば、アクリル系粘着性組成物、酢酸ビニル系粘着性組成物、ゴム系粘着性組成物、ウレタン系粘着性組成物、シリコーン系粘着性組成物等から形成されている。
これらの粘着性組成物の中でも、アクリル系粘着性組成物、特に、架橋型アクリル系粘着性組成物が多く使用されている。
また、特許文献2には、光線透過率が80%以上の基材フィルムの少なくとも片面にゴムフィルムを積層してなる積層体によって、CRTディスプレイその他の表示装置の表示画面に容易に貼着することができる表示画面用保護フィルムが開示されている。
また、上記の粘着性シートは、被着体である液晶ディスプレイ等の画像表面画面上に粘着性シートを貼着する際、上手く被着体と貼着できなかった際に、剥離して、貼り直しをすることがある。そのため、このような粘着性シートの特性としては、再剥離時に被着体に糊残りが生じず、わずかな剥離力で簡単に剥離できる優れた再剥離性が求められている。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]を提供するものである。
[1]重量平均分子量10万〜80万のポリイソブチレン系樹脂(A)、エチレン由来の構成単位(b1)と、プロピレン由来の構成単位(b2)と、下記一般式(I)又は(II)で表されるノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)とを有するオレフィン系共重合体(B)、及び3〜6個のヒドロシリル基を有するシラン系化合物(C)を含み、オレフィン系共重合体(B)の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜400質量部である、粘着性組成物。
[2]シラン系化合物(C)の含有量が、(A)成分100質量部に対して、1.0〜50質量部である、上記[1]に記載の粘着性組成物。
[3]オレフィン系共重合体(B)における構成単位(b3)の含有割合が、(B)成分の全構成単位に対して、1〜30モル%である、上記[1]又は[2]に記載の粘着性組成物。
[4]さらに、水素化石油樹脂(D)を、(A)成分100質量部に対して、10〜55質量部含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着性組成物。
[5]水素化石油樹脂(D)が、軟化点が90〜135℃であり、且つ、C5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂の水添樹脂、C9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂の水添樹脂、及びC5留分とC9留分の共重合石油樹脂の水添樹脂からなる群より選択される1種以上である、上記[4]に記載の粘着性組成物。
[6]さらに白金系触媒(E)を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着性組成物。
[7]基材上に、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着性組成物から形成される粘着層を有する、粘着性シート。
[8]前記基材と前記粘着層との間に密着層を有する、上記[7]に記載の粘着性シート。
[9]前記粘着層の全光線透過率が85%以上である、上記[7]又は[8]に記載の粘着性シート。
[10]ディスプレイ装置における画像表示画面の保護フィルムとして用いられる、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の粘着性シート。
また、本発明の粘着性組成物を用いた粘着性シートは、再剥離時にはわずかな剥離力で簡単に剥離できる優れた再剥離性を有する。
本発明の粘着性組成物は、重量平均分子量10万〜80万のポリイソブチレン系樹脂(A)、エチレン由来の構成単位(b1)とプロピレン由来の構成単位(b2)と一般式(I)又は(II)で表されるノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)とを含むオレフィン系共重合体(B)、及び3〜6個のヒドロシリル基を有するシラン系化合物(C)を含む。
また、本発明の粘着性組成物は、さらに、軟化点90〜135℃の水素化石油樹脂(D)、白金系触媒(E)を含むことが好ましく、必要に応じて、その他の成分を含有することもできる。
上記問題に対して、本発明者らは、粘着性組成物中に(A)成分と共に、特定量の(B)成分と(C)成分とを含めることで、該組成物から形成される粘着層は、良好な面状態を保ちつつ、再剥離性を向上させ、且つ、濡れ性が良好であるため易貼付性を向上させることを見出した。
その理由としては、(B)成分が(C)成分と架橋して、樹脂(A)の高分子量の重合体間に、擬似的な架橋構造を形成することによると考えられる。つまり、従来は可塑剤的に使用していた低分子量の重合体である(B)成分が、(C)成分と化学的に架橋し、三次元網目構造を形成し、その三次元網目構造に、樹脂(A)の複数の高分子量の重合体を挿入させることで、高分子量の重合体同士を拘束し、樹脂(A)の高分子量の重合体間に擬似的な架橋構造を形成するものと考えられる。このようにして得られた粘着性組成物は、凝集力が向上して再剥離性が向上すると共に、濡れ性が良好となり易貼付性を向上させることができると考えられる。
なお、本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」及び「数平均分子量(Mn)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されるポリスチレン換算の値を意味する。また、「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
本発明で用いるポリイソブチレン系樹脂(A)(以下、「樹脂(A)」ともいう)は、重量平均分子量が10万〜80万であるポリイソブチレン系樹脂である。
重量平均分子量が10万未満であると、粘着性組成物の凝集力が十分に得られず、該組成物から形成される粘着層は、保持力が低下し、また、被着体を汚染してしまう場合もある。なお、基本的に、樹脂(A)の重量平均分子量が高いほど、保持力が向上する傾向にある。
一方、80万を超えると、柔軟性や流動性が劣り、該組成物から形成される粘着層は、濡れ性が劣る傾向にある。また、粘着性組成物を調製する際に、溶媒に対する溶解性が低下する場合がある。
樹脂(A)の重量平均分子量は、凝集力と被着体に対する濡れ性のバランスの観点から、好ましくは12万〜55万、より好ましくは15万〜45万、更に好ましくは18万〜40万である。
これらの中でも、本発明の粘着性組成物からなる粘着層の耐久性及び耐候性を向上させる観点、並びに水蒸気透過率を低下させる観点から、重合した際に密な分子構造を有し、主鎖及び側鎖に重合性二重結合を残さないイソブチレンからなる構成単位を多く含むものが好ましい。
このような主鎖及び側鎖に重合性二重結合を残さないイソブチレンからなる構成単位の含有量は、樹脂(A)全体のうち、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは実質100質量%である。
また、樹脂(A)としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、Vistanex(Exxon Chemical Co.製)、Hycar(Goodrich社製)、Oppanol(BASF社製)等が挙げられる。
つまり、本発明で用いる樹脂(A)は、重量平均分子量が27〜80万のポリイソブチレン系樹脂(A1)(以下、「樹脂(A1)」ともいう)と、重量平均分子量が10〜25万のポリイソブチレン系樹脂(A2)(以下、「樹脂(A2)」ともいう)とを併用することが好ましい。
重量平均分子量の高い樹脂(A1)を用いることで、粘着性組成物からなる粘着層の耐久性及び耐候性を向上させることができる。
また、重量平均分子量の低い樹脂(A2)を用いることで、樹脂(A1)と良好に相溶して、適度に樹脂(A1)を可塑化させることができ、それにより、粘着性組成物からなる粘着層の被着体に対する濡れ性を高め、粘着物性、柔軟性、保持力等を向上させることができる。
樹脂(A1)の重量平均分子量が27万以上であれば、粘着性組成物の凝集力を十分向上させることができ、該組成物から形成された粘着層の水蒸気透過率を低下させることができ、また、被着体への汚染の心配も解消し得る。
一方、樹脂(A1)の重量平均分子量が80万以下であれば、粘着性組成物の凝集力が高くなりすぎることにより柔軟性や流動性の低下という弊害を避けることができ、該組成物からなる粘着層の被着体との濡れを良好にすることができる。また、粘着性組成物を調製する際、溶媒に対する溶解性を良好とすることができる。
重量平均分子量が2万以上であれば、粘着性組成物から形成した粘着層において、樹脂(A2)が低分子成分として分離して被着体が汚染される弊害を回避でき、また、高温下で発生するアウトガス発生量が増加する等の物性に及ぼす影響も回避することができる。一方、25万以下であれば、樹脂(A1)を十分に可塑化させることができ、形成される粘着層の被着体との濡れを良好にすることができる。
5質量部以上であれば、樹脂(A1)を十分に可塑化させることができ、粘着性組成物からなる粘着層の被着体との濡れを良好とすることができ、また、粘着力を向上させることができる。一方、55質量部以下であれば、凝集力を十分に向上させることができるため、優れた粘着力及び保持力を有し、耐久性も良好な粘着性シートの粘着層を形成することができる。
なお、上記の樹脂(A1)及び(A2)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着性組成物には、エチレン由来の構成単位(b1)とプロピレン由来の構成単位(b2)と一般式(I)又は(II)で表されるノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)とを含むオレフィン系共重合体(B)を含有する。
また、R1が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、上記R2〜R7の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
なお、これらのアルキル基は、ハロゲン原子、メチル基、エチル基等の置換基を有していてもよい。
これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン由来の構成単位(b2)の含有割合としては、(B)成分の全構成単位に対して、好ましくは10〜75モル%、より好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
一般式(I)又は(II)で表されるノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)の含有割合としては、形成される粘着層の再剥離性を向上させ、濡れ性を良好にして易貼付性を向上させる観点から、(B)成分の全構成単位に対して、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは2〜20モル%、更に好ましくは3〜12モル%、より更に好ましくは3〜8モル%である。当該範囲であれば、形成される粘着層の再剥離性を向上させ、濡れ性を良好にして易貼付性を向上させることができる。
60質量部未満であると、再剥離性が低下し、再剥離することが困難となりやすい。また、粘着力が高くなる傾向にあるため、被着体に糊残りが発生しやすくなる。さらに、十分な濡れ性を付与できず、貼付性が劣る。
一方、400質量部を超えると、形成される粘着層の面状態が劣り、均一な粘着層を形成することが困難となる。
本発明の粘着性組成物には、3〜6個のヒドロシリル基(SiH基)を有するシラン系化合物(C)を含有する。シラン系化合物(C)は、オレフィン系共重合体(B)中の二重結合と反応し、架橋剤として作用する。
このシラン系化合物(C)は、その分子構造に特に制限はなく、線状、環状、分岐状構造、又は三次元網目状構造の樹脂状物等も使用可能であるが、1分子中に3〜6個のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいることが必要である。
SiH基の数が3個未満であると、形成される粘着層の粘着力が必要以上に向上してしまう場合があり、再剥離時において被着体に糊残りが発生し、再剥離することが困難となる。
一方、SiH基の数が6個を超えると、粘着力が必要以上に低下し、貼付性が劣るため好ましくない。
この1価炭化水素基としては、例えば、前記のR2〜R7が示す炭素数1〜10のアルキル基として列挙した基の他に、フェニル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換のアルキル基等が挙げられる。
これらの1価炭化水素の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましく、Rの一部又は全部がフェニル基であることが更に好ましい。
1.0質量部以上であれば、(B)成分の二重結合と十分に反応させ、前述の擬似的な架橋構造を形成することができ、再剥離性を向上させ、濡れ性を良好にして易貼付性を向上させることができる。
一方、50質量部以下であれば、形成される粘着層の良好な面状態を維持し、均一な粘着層とすることができる。また、粘着層の粘着力及び保持力を保つこともできる。
本発明の粘着性組成物において、(A)成分が高湿熱や紫外線により変色(黄変)することを防ぎ、透明性及び耐候性の優れた粘着層を形成し得る粘着性組成物を得る観点から、水素化石油樹脂(D)を含有することが好ましい。
また、水素化石油樹脂(D)を含有することで、被着体との濡れ性を向上させ、被着体によらず優れた粘着力を付与することもできる。
本発明で用いる水素化石油樹脂としては、(A)成分との相溶性、透明性及び耐候性に優れた粘着層を形成する観点から、完全水添された石油樹脂が好ましい。
なお、水素化石油樹脂(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、粘着性組成物からなる粘着層の低透湿性及び透明性の点から、C5留分とC9留分の共重合石油樹脂の水添樹脂がより好ましい。
軟化点が90℃以上であれば、粘着性組成物の凝集力を向上させることができ、該組成物から形成される粘着層に対して、優れた粘着力を付与することができる。一方、軟化点が135℃以下であれば、粘着性シートの剥離時のジッピングの発生を抑えることができる。
また、軟化点の異なる水素化石油樹脂(D)を2種以上併用することで、粘着力の向上を図ることもできる。
10質量部以上であれば、(A)成分との相溶性、透明性及び耐候性に優れた粘着層を形成することができる。また、形成される粘着層の被着体との濡れを良好にすることができる。一方、55質量部以下であれば、必要以上に粘着力が向上することはない。
本発明の粘着性組成物には、さらに(B)成分の化合物中に含まれる二重結合と、(C)成分のヒドロシリル基との架橋反応を適度に促進させる観点から、白金系触媒(E)を含有することが好ましい。白金系触媒(E)を用いることで、架橋密度が適度で強度特性及び伸び特性に優れた重合体を得ることができる。
白金系触媒としては、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものを用いることができ、例えば、米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書及び米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書及び米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物等が挙げられる。
また、より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、アルミナ、シリカ等の担体に白金を担持させたもの等が挙げられる。
本発明の粘着性組成物は、粘着物性等を阻害しない範囲において、更にその他の添加剤として、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤等を含んでもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらの酸化防止剤の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0〜2質量部である。
樹脂安定剤としては、例えば、イミダゾール系樹脂安定剤、ジチオカルバミン酸塩系樹脂安定剤、リン系樹脂安定剤、硫黄エステル系樹脂安定剤等が挙げられる。これら樹脂安定剤の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0〜3質量である。
有機溶媒を配合する場合の粘着性組成物の固形分濃度は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは10〜45質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。10質量%以上であれば、溶剤の使用量としては十分であり、60質量%以下であれば、適度な粘度となり、優れた塗布作業性を有する溶液となり得る。
本発明の粘着性シートは、上述の本発明の粘着性組成物から形成される粘着層を有する。
本発明の粘着性組成物は、上記のような組成からなるため、被着体に貼付した際に、あたかも液体が平面に濡れ広がるように、被着体に接触した点から外力を伴わないで付着することが可能な程度の易貼付性を有する粘着層を形成することができる。
例えば、図1(B)に示すような、基材11の両面に、粘着層12、12’を有する粘着性シート1bや、図1(C)に示すような、基材11上に形成した粘着層12上に剥離可能な剥離材13を有する粘着性シート1cとしてもよい。
また、図1(D)に示すように、基材11と粘着層12との間に密着層14を設けた粘着性シート1dとすることもできる。
他にも、表面が剥離処理された剥離材の片面に粘着層を設けたものをロール状に巻いたもの等も挙げられる。
なお、本発明の粘着性シートの形状は、特に制限されず、例えば、シート状、ロール状等の形状が挙げられる。
基材としては、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選定される。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等のプラスチックのフィルム、シート及びこれらの樹脂の混合物又は積層物からなるプラスチックフィルム、シート、上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙等や、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の各種紙類、各種合成紙、アルミニウム箔や銅箔や鉄箔等の金属箔、不織布等の多孔質材料等が挙げられる。プラスチックフィルム・シート等の基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向あるいは二軸方向に延伸されていてもよい。
使用する基材は、着色の有無については問わないが、画面保護用として用いる場合には、可視光領域において無色透明であることがより好ましい。
なお、基材には、更に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
また、用途に応じて、基材の一方の面には、印刷、印字等を施してもよい。したがって、粘着性シート用基材の印刷、印字等を施す基材の面上には、感熱記録層、熱転写、インクジェット、レーザー印字等が可能な印字受像層、印刷性向上層等が設けられていてもよい。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、粘着層との密着性の向上効果や操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい
また、基材と粘着層との密着性を向上させる目的で、基材と粘着層との間に密着層を設けてもよい。
密着層は、基材と粘着層との密着性を向上させる観点から、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。シリコーン樹脂としては、重剥離剤に用いられるシリコーン樹脂が好ましい。
密着層中に含まれるシリコーン樹脂としては、密着層を形成する全成分に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%である。
密着層の厚みとしては、基材と粘着層との密着性を向上させる観点から、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜1μmである。
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは20〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
粘着性シートの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。例えば、上述の有機溶媒を配合した本発明の粘着性組成物の溶液を、公知の塗布方法により、基材もしくは剥離材上に塗布、乾燥して製造する方法が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
粘着性シート1aの製造方法としては、例えば、基材11の一方の面に、本発明の粘着性組成物の溶液を、上述の方法により直接塗布し、乾燥させて粘着層12を形成して製造する方法等が挙げられる。
また、基材や剥離材の剥離層面に粘着性組成物の溶液を塗布した後、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐために、80〜150℃の温度で30秒〜5分間加熱して、乾燥させ、粘着層を形成することが好ましい。
[実施例1〜12、比較例1〜13]
表1及び2に示す、ポリイソブチレン系樹脂(A)の総量100質量部(固形分)に対して、表1及び2に示す種類及び質量比(固形分比)(B)〜(E)成分を混合し、トルエンに溶解し、固形分濃度20質量%の粘着性組成物の溶液を調製した。
なお、表2の比較例6,7、12及び13の粘着性組成物においては、(A)成分を配合していないため、(B)成分の総量100質量部(固形分)に対する、各成分の質量比(固形分比)を表している。
次いで、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、製品名「コスモシャインA4100」、厚み50μm)を用い、得られた粘着性組成物の溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように基材上に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を120℃、2分間乾燥させて粘着層を形成させた。
そして、この粘着層の表面上に、軽剥離フィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET381130」、表面がシリコーン剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm)の剥離処理面を貼付し、基材付き粘着性シートを作製した。
(A)成分
・OppanolB30(製品名、BASF社製):重量平均分子量20万。
・OppanolB50(製品名、BASF社製):重量平均分子量34万。
(B)成分
・PX−062(製品名、三井化学社製):エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体(含有比率;エチレン/プロピレン/5−ビニル−2−ノルボルネン=50.0/45.3/4.7(モル%))、Mn=3160、極限粘度[η]=0.27dl/g。
・PX−068(製品名、三井化学社製):エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体(含有比率;エチレン/プロピレン/5−ビニル−2−ノルボルネン=50.0/39.0/11.0(モル%))、Mn=920、極限粘度[η]=0.08dl/g。
(C)成分
・X93−916(製品名、信越化学工業社製):1分子中にSiH基を3つ有するシラン系化合物(上記一般式(8)においてc=1の場合の化合物)。
・X93−1346(製品名、信越化学工業社製):1分子中にSiH基を6つ有するシラン系化合物(上記一般式(1)においてa=6の場合の化合物)。
・X93−1260(製品名、信越化学工業社製):1分子中にSiH基を2つ有するシラン系化合物(下記式(c)で表される化合物)。
・アルコンP−125(製品名、荒川化学工業社製):水素化石油樹脂、軟化点125℃。
(E)成分
・X93−1410(製品名、三井化学社製):白金系触媒
基材として用いたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、製品名「コスモシャインA4100」、厚み50μm)上に、上記実施例及び比較例で調整した粘着性組成物の溶液を塗布し塗膜を形成し、該塗膜を120℃、2分間乾燥させて粘着層を形成させた。その際の粘着層の面状態を目視で観察し、以下の基準で評価を行った。
A:粘着層表面には、ゆず肌が確認されなかった。
B:粘着層表面に、ゆず肌が僅かに確認された。
C:粘着層表面に、ゆず肌が目立つ程度に確認された。
実施例及び比較例で作成した基材付き粘着性シートを、30mm×30mmの大きさに裁断して粘着性シートの剥離フィルムを剥離し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、台座の上に置いたガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、150mm×70mm×2mm)上に、粘着性シートを人間の手でそっと載せるように貼付した。圧力を加えずに、粘着性シートの粘着層の濡れ性だけで気泡混入無く、自然と貼着していく様子を目視により観察し、粘着層の貼付性(濡れ性)を以下の基準で評価を行った。
A+:特に指で圧力を加えずとも、軽く乗せただけで、粘着性シートがガラス板のほぼ全面に自然に貼付され、粘着性シートをガラス板上に載せた後の5秒以内に、粘着性シート面積の9割が貼付された。
A:A+の条件を満たさなかったが、粘着性シートをガラス板上に載せた後の20秒間において、粘着性シート面積の9割以上が自然に貼付された。
B:粘着性シートをガラス板上に載せた後の20秒間において、粘着性シート面積の8割以上9割未満が自然に貼付された。
C:粘着性シートをガラス板上に載せた後の20秒間において、粘着性シート面積の5割以上8割未満が自然に貼付された。
D:粘着性シートをガラス板上に載せた後の20秒間において、自然に貼付された粘着性シート面積が5割未満だった。
濡れ性試験で貼付した粘着性シートを手で剥離し、その剥離のしやすさを以下の基準で評価を行った。
A:剥離時に、抵抗なく剥がせ、被着体のガラス板上には糊残りも生じなかった。
B:剥離時に、少しだけ抵抗があったが、被着体のガラス板上には糊残りは生じなかった。
C:剥離時に、抵抗が有り、場合によっては被着体のガラス板上に糊残りが生じた。
上記実施例及び比較例で作製した粘着性シートを25mm×300mmの大きさに裁断し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、軽剥離シートを剥がし、下記被着体に貼付した。
貼付に際しては、重さ2kgのローラーを用い、1往復させて、被着体に圧着した。その後、23℃、50%RHの環境下で、貼付後24時間放置した後、同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製、製品名「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で測定した値(N/25mm)を粘着力とした。なお、表1及び2には、上記試験を3回行い、測定した値の平均値を各被着体に対する粘着力として記載している。
・ステンレス板(SUS):SUS304鋼板、280番研磨。
・ポリエチレンテレフタレート(PET):東レ社製、製品名「ルミラー」、厚み50μm。
・ソーダライムガラス(ガラス):エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、150mm×70mm×2mm。
上記実施例及び比較例において、基材の代わりに、重剥離シートとして表面がシリコーン剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET38T103−1」、厚み38μm)を用い、得られた粘着性組成物の溶液を乾燥後の厚さが50μmになるように塗布した後、120℃で2分間乾燥させて粘着層を形成させて、2枚の剥離シートに挟持された基材無しの粘着性シートを得た。
この基材無しの粘着性シートの、軽剥離シートを剥離して表出した粘着層に、ガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、150mm×70mm×2mm)でラミネートし、重剥離シートを剥離し、一方の粘着層が剥き出しになったガラス板付き粘着性シートを得た。このガラス板付き粘着性シートの全光線透過率を、全光線透過率測定装置(日本電色工業社製、製品名「NDH−5000」)を用いて、測定した。
一方、表2の比較例1〜13の粘着性シートは、粘着層の面状態、貼付性、再剥離時の剥離性のいずれかにおいて劣る結果となった。
なお、上記の結果からも分かるが、粘着性シートにおける粘着層の再剥離性は、粘着力のみに依存するものではなく、粘着層の濡れ性や粘着層の面状態によっても影響を受ける特性である。
そのため、本発明の粘着性シートは、例えば、携帯電話、ゲーム機、タッチパネル搭載機器等のディスプレイ装置における液晶ディスプレイ等の画像表示画面の保護フィルムとして用いられることが好ましい。
11 基材
12、12’ 粘着層
13、13’ 剥離材
14 密着層
Claims (10)
- 重量平均分子量10万〜80万のポリイソブチレン系樹脂(A)、エチレン由来の構成単位(b1)と、プロピレン由来の構成単位(b2)と、下記一般式(I)又は(II)で表されるノルボルネン化合物由来の構成単位(b3)とを有するオレフィン系共重合体(B)、及び3〜6個のヒドロシリル基を有するシラン系化合物(C)を含み、オレフィン系共重合体(B)の含有量が、(A)成分100質量部に対して、60〜400質量部である、粘着性組成物。
- シラン系化合物(C)の含有量が、(A)成分100質量部に対して、1.0〜50質量部である、請求項1に記載の粘着性組成物。
- オレフィン系共重合体(B)における構成単位(b3)の含有割合が、(B)成分の全構成単位に対して、1〜30モル%である、請求項1又は2に記載の粘着性組成物。
- さらに、水素化石油樹脂(D)を、(A)成分100質量部に対して、10〜55質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着性組成物。
- 水素化石油樹脂(D)が、軟化点が90〜135℃であり、且つ、C5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂の水添樹脂、C9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂の水添樹脂、及びC5留分とC9留分の共重合石油樹脂の水添樹脂からなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載の粘着性組成物。
- さらに白金系触媒(E)を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性組成物。
- 基材上に、請求項1〜6のいずれかに記載の粘着性組成物から形成される粘着層を有する、粘着性シート。
- 前記基材と前記粘着層との間に密着層を有する、請求項7に記載の粘着性シート。
- 前記粘着層の全光線透過率が85%以上である、請求項7又は8に記載の粘着性シート。
- ディスプレイ装置における画像表示画面の保護フィルムとして用いられる、請求項7〜9のいずれかに記載の粘着性シート。
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