JP2013193359A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反りが抑制された積層体の製造方法の提供。
【解決手段】金属箔11上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層12を備えた長尺の中間構造体10を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体10’を加熱処理することにより、被加熱層12を絶縁層14として積層体1を得るに際し、中間構造体10の巻き取りによって径方向に重なるように配置される被加熱層12と金属箔11との接触を妨げるように、中間構造体10の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサー13,13を互いに重ならないように配置し、被加熱層12が巻き取り時の径方向外側(矢印A方向)を向くように、中間構造体10及びスペーサー13を共に巻き取り、巻き取り体10’を得る第1工程と、巻き取り体10’を加熱処理して、絶縁層14を形成する第2工程と、を行う。
【選択図】図1
【解決手段】金属箔11上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層12を備えた長尺の中間構造体10を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体10’を加熱処理することにより、被加熱層12を絶縁層14として積層体1を得るに際し、中間構造体10の巻き取りによって径方向に重なるように配置される被加熱層12と金属箔11との接触を妨げるように、中間構造体10の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサー13,13を互いに重ならないように配置し、被加熱層12が巻き取り時の径方向外側(矢印A方向)を向くように、中間構造体10及びスペーサー13を共に巻き取り、巻き取り体10’を得る第1工程と、巻き取り体10’を加熱処理して、絶縁層14を形成する第2工程と、を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属箔上に絶縁層を備え、反りの発生が抑制された積層体の製造方法に関する。
フレキシブル配線板(以下、「FPC」という。)は、可撓性を有し、空間的な自由度が大きいことから、高密度の実装が可能であり、そのため、配線、ケーブル又はコネクター機能を有する複合部品等として種々の電子機器に用いられている。
FPCは、通常、金属箔上に樹脂を含む絶縁層が形成された積層体を用い、その金属箔を所望の回路パターンとなるようにパターニングすることで得られる。そして、好適な前記樹脂としては、絶縁性や高周波特性等に優れる液晶ポリエステルが挙げられる。
FPCは、通常、金属箔上に樹脂を含む絶縁層が形成された積層体を用い、その金属箔を所望の回路パターンとなるようにパターニングすることで得られる。そして、好適な前記樹脂としては、絶縁性や高周波特性等に優れる液晶ポリエステルが挙げられる。
樹脂として液晶ポリエステルを用いた積層体は、通常、金属箔上に液晶ポリエステル含有層を形成した後、加熱処理を行うことで、この液晶ポリエステル含有層を絶縁層とする方法で製造される。このような積層体の製造方法としては、銅箔上に液晶ポリエステル溶液を塗布し、乾燥させた後に、加熱処理することで銅張積層板を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。
一方で、積層体は、保管及び搬送が容易である点から、ロール状の形態で供給されることが望まれている。このようなロール状の積層体の製造方法としては、金属箔上に液晶ポリエステル含有層を備えた長尺の中間構造体において、その巻き取り方向に対して平行な、液晶ポリエステル含有層の周縁部に沿ってエンボスを形成し、このエンボスを形成した領域が重なるようにして中間構造体を巻き取り、加熱処理を行うことで、中間構造体の融着を抑制しながら絶縁層を形成して、ロール状の積層体を得る方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかし、特許文献2に記載の製造方法では、液晶ポリエステル含有層と金属箔の線膨張率が異なる場合に、加熱処理後の冷却過程で、得られた積層体に大きな反りが発生することがあるという問題点があった。反りが大きい積層体は、FPCの製造に使用できないことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、反りが抑制された積層体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、金属箔上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層を備えた長尺の中間構造体を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体を加熱処理することにより、前記被加熱層が絶縁層とされた積層体を得る積層体の製造方法であって、前記中間構造体の巻き取りによって径方向に重なるように配置される前記被加熱層と金属箔との接触を妨げるように、前記中間構造体の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサーを互いに重ならないように配置し、前記被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向くように、前記中間構造体及びスペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得る第1工程と、前記巻き取り体を加熱処理して、前記絶縁層を形成する第2工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明は、金属箔上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層を備えた長尺の中間構造体を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体を加熱処理することにより、前記被加熱層が絶縁層とされた積層体を得る積層体の製造方法であって、前記中間構造体の巻き取りによって径方向に重なるように配置される前記被加熱層と金属箔との接触を妨げるように、前記中間構造体の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサーを互いに重ならないように配置し、前記被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向くように、前記中間構造体及びスペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得る第1工程と、前記巻き取り体を加熱処理して、前記絶縁層を形成する第2工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明の積層体の製造方法においては、前記第2工程後に、さらに、加熱処理後の前記巻き取り体を巻き戻す第3工程を有し、該第3工程において、前記絶縁層が巻き戻し時の径方向内側を向くように、前記巻き取り体を巻き戻すことが好ましい。
本発明の積層体の製造方法においては、前記スペーサーが網状であることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法においては、前記スペーサーが網状であることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法においては、前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有し、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記一般式(1)で表される繰返し単位を30〜50モル%有し、下記一般式(2)で表される繰返し単位を25〜35モル%有し、下記一般式(3)で表される繰返し単位を25〜35モル%有することが好ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基又はナフチレン基であり;Ar2は、フェニレン基、ナフチレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;Ar3は、フェニレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基である。)
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基又はナフチレン基であり;Ar2は、フェニレン基、ナフチレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;Ar3は、フェニレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基である。)
本発明によれば、反りが抑制された積層体の製造方法が提供される。
本発明に係る積層体の製造方法は、金属箔上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層(液晶ポリエステル含有層)を備えた長尺の中間構造体を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体を加熱処理することにより、前記被加熱層が絶縁層とされた積層体を得る積層体の製造方法であって、前記中間構造体の巻き取りによって径方向に重なるように配置される前記被加熱層と金属箔との接触を妨げるように、前記中間構造体の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサーを互いに重ならないように配置し、前記被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向くように、前記中間構造体及びスペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得る第1工程と、前記巻き取り体を加熱処理して、前記絶縁層を形成する第2工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、上記のように、スペーサーを用い、巻き取り体を得るときの被加熱層の向きを特定して、巻き取り体を加熱処理することで、得られる長尺の積層体は、繰り出したシート状の状態で、反りが顕著に抑制されたものとなる。
以下、図面を参照しながら、本発明について工程ごとに詳細に説明する。図1は、本発明に係る積層体の製造方法を説明するための概略図である。
本発明においては、上記のように、スペーサーを用い、巻き取り体を得るときの被加熱層の向きを特定して、巻き取り体を加熱処理することで、得られる長尺の積層体は、繰り出したシート状の状態で、反りが顕著に抑制されたものとなる。
以下、図面を参照しながら、本発明について工程ごとに詳細に説明する。図1は、本発明に係る積層体の製造方法を説明するための概略図である。
第1工程では、まず、図1(a)に示すように、金属箔11上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層12を備えた長尺の中間構造体10において、被加熱層12上に、その二つの長辺12a,12aに沿って、二本の長尺のスペーサー13,13を互いに重ならないように配置する。ここで、被加熱層12の二つの長辺12a,12aは、後述する中間構造体10の巻き取り方向に対して平行である。
中間構造体10は、例えば、液晶ポリエステル、無機充填材及び溶媒を含む液晶ポリエステル液状組成物(以下、「液状組成物」ということがある。)を、金属箔11上に塗工し、前記溶媒を除去することで形成できる。
前記液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar2及びAr3は、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基であり;Ar2及びAr3は、それぞれ独立にフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基である。)
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Ar1がフェニレン基又はナフチレン基であるものが好ましく、Ar1が1,4−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びAr1が2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)がより好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Ar2がフェニレン基、ナフチレン基又は前記一般式(4)で表される基であるものが好ましく、Ar2が1,4−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Ar2が1,3−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Ar2が2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びAr2がジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)がより好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Ar3がフェニレン基又は前記一般式(4)で表される基であるものが好ましく、Ar3が1,4−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びAr3が4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)がより好ましい。
前記一般式(4)で表される基において、Zは酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基であることが好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、特に好ましくは30〜50モル%である。
繰返し単位(1)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上し、耐熱性や強度・剛性が向上する傾向にあり、繰返し単位(1)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にある。
繰返し単位(1)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上し、耐熱性や強度・剛性が向上する傾向にあり、繰返し単位(1)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にある。
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは17.5〜35モル%、特に好ましくは25〜35モル%である。
繰返し単位(2)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(2)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
繰返し単位(2)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(2)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは17.5〜35モル%、特に好ましくは25〜35モル%である。
繰返し単位(3)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(3)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
繰返し単位(3)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が向上する傾向にあり、繰返し単位(3)の含有量が少ないほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にある。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。このような範囲とすることで、液晶ポリエステルの液晶性がより向上する。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に二種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
そして、液晶ポリエステルは、繰返し単位として、繰返し単位(1)〜(3)のみを有することが好ましい。
そして、液晶ポリエステルは、繰返し単位として、繰返し単位(1)〜(3)のみを有することが好ましい。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基(−NH−)であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する繰返し単位及び/又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位を有することが好ましく、繰返し単位(3)として、X及び/又はYがイミノ基であるもののみを有することがより好ましい。このようにすることで、液晶ポリエステルは溶媒に対する溶解性がより優れたものとなる。
本発明において好ましい液晶ポリエステルの例としては、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、Ar1がフェニレン基又はナフチレン基である繰返し単位(1)を30〜50モル%有し、Ar2がフェニレン基、ナフチレン基又は前記一般式(4)で表される基であり、Zが酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基である繰返し単位(2)を25〜35モル%有し、Ar3がフェニレン基又は前記一般式(4)で表される基であり、Zが酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基である繰返し単位(3)を25〜35モル%有するものが挙げられる。
液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃〜350℃、さらに好ましくは260℃〜330℃である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、高過ぎると、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりする。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
前記液状組成物の調製に用いる溶媒としては、液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には、液晶ポリエステルが50℃にて1質量%以上の濃度([液晶ポリエステル]/[液晶ポリエステル+溶媒]×100)で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
前記溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等のアミド化合物(アミド結合を有する化合物);テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられ、これらの二種以上を併用してもよい。
溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトンが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。
また、前記非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトンが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。
また、溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3〜5である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、双極子モーメントが3〜5である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、双極子モーメントが3〜5である化合物を用いることが好ましい。
また、溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、溶媒全体に占める、1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
液状組成物において、液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル及び溶媒の合計含有量に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜45質量%である。液晶ポリエステルの含有量は、所望の粘度の液状組成物が得られるように、また、所望の厚さの絶縁層が得られるように、適宜調整すればよい。
液状組成物において、液晶ポリエステルは必ずしも全量が溶解している必要性はないが、溶解していない量が少ないほど好ましく、全量が溶解していることがより好ましい。
前記無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、アルミナ繊維等が挙げられる。
液状組成物において、無機充填材の含有量は、23℃等の常温で液晶ポリエステル及び無機充填材の合計含有量に対して、好ましくは5〜85体積%、より好ましくは20〜80体積%であり、所望の特性の絶縁層が得られるように、適宜調整すればよい。下限値以上とすることで、絶縁層の熱伝導性がより向上し、上限値以下とすることで、絶縁層の強度がより向上する。そして、後述するように、液状組成物が適度な粘度を有するようにするためには、無機充填材の前記含有量は、さらに好ましくは30〜70体積%である。後述する方法で形成された絶縁層において、常温での液晶ポリエステル及び無機充填材の合計含有量に対する無機充填材の含有量は、上記の液状組成物の場合と同じである。
液状組成物は、液晶ポリエステル、無機充填材及び溶媒以外に、前記無機充填材以外の充填材、添加剤、前記液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記無機充填材以外の充填材の例としては、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、スチレン樹脂等の有機充填材が挙げられる。
液状組成物において、前記無機充填材以外の充填材の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
液状組成物において、前記無機充填材以外の充填材の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
前記添加剤の例としては、カップリング剤、沈降防止剤、熱安定剤、レべリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。
液状組成物において、添加剤の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
液状組成物において、添加剤の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部である。
前記液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンエーテルの変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマーが挙げられる。
液状組成物において、液晶ポリエステル以外の樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部である。
液状組成物において、液晶ポリエステル以外の樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部である。
液状組成物は、液晶ポリエステル、無機充填材、溶媒、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製できる。なかでも、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液晶ポリエステル溶液を得、この液晶ポリエステル溶液に無機充填材を分散させることにより調製することが好ましい。他の成分として、無機充填材以外の充填材を用いる場合にも、無機充填剤と同様に混合すればよい。無機充填材等の充填材以外の他の成分を用いる場合には、液晶ポリエステルの溶媒への溶解時、溶解前又は溶解後に、他の成分を溶解又は分散させてもよいし、液晶ポリエステル溶液への充填材の分散時、分散前又は分散後に、他の成分を溶解又は分散させてもよい。
液状組成物は、粘度が0.5〜10Pa・s(5〜100ポイズ)であることが好ましい。下限値以上とすることで、塗工時における金属箔上での液状組成物の過度な流動を抑制する効果が高くなり、塗工一回あたりの塗工厚が向上する。また、上限値以下とすることで、液状組成物の取り扱い性がより向上する。
金属箔11の材質は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀又はこれらから選択される一種以上の金属の合金であることが好ましく、銅又は銅合金であることがより好ましい。
金属箔11の厚さは、好ましくは3〜70μm、より好ましくは9〜40μmである。下限値以上とすることで、例えば、後述するフレキシブル配線板(FPC)を製造したときに、導体回路としての機能がより向上し、上限値以下とすることで、導体回路の屈曲が容易となって、折り曲げ加工性が向上する。
金属箔11の厚さは、好ましくは3〜70μm、より好ましくは9〜40μmである。下限値以上とすることで、例えば、後述するフレキシブル配線板(FPC)を製造したときに、導体回路としての機能がより向上し、上限値以下とすることで、導体回路の屈曲が容易となって、折り曲げ加工性が向上する。
液状組成物の金属箔11上への塗工は、流延塗布で行うことが好ましく、例えば、ローラーコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ディップコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。これらの中でも、制御が容易であり、塗布膜厚を精度よく均一にできることから、ナイフコート法又はスロットコート法が好ましい。
液状組成物の溶媒を除去する方法は、特に限定されないが、溶媒を蒸発させて除去する方法が好ましく、加熱、減圧及び通風のいずれかを単独で、又は二以上を組み合わせて蒸発させる方法が例示できる。なかでも、生産効率及び取扱い性の観点から、加熱して溶媒を蒸発させる方法が好ましく、通風及び加熱しながら蒸発させる方法がより好ましい。このときの加熱は、60〜200℃で5〜60分間行うことが好ましい。なお、ここで「溶媒を除去する」とは、必ずしも「溶媒を全量除去する」ことを意味するものではないが、例えば、被加熱層12の明らかな重量変化が生じない程度にまで、十分に溶媒を除去することが好ましい。
第1工程において、二本の長尺のスペーサー13は、いずれも中間構造体10の被加熱層12上に、その長辺12a,12aに対して平行となるように配置することが好ましい。
スペーサー13の材質の例としては、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル等の単体の金属;これらから選択される一種以上の金属の合金;ステンレス鋼;ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂等が挙げられる。
スペーサー13は、後述する巻き取り体10’において、隣接する(巻き取ることによって、巻き取り体10’の径方向において重なるように配置される)被加熱層12及び金属箔11の接触を妨げる(被加熱層12及び金属箔11の間に空隙部を形成する)構造を有していればよく、例えば、単なる平板状でもよいが、被加熱層12との接触面及び/又は金属箔11との接触面の一部が、これら被加熱層12及び/又は金属箔11とは非接触となるものが好ましく、その例としては、網状のもの、断面が波形のもの等が挙げられる。
ここで、接触を妨げる被加熱層12及び金属箔11とは、巻き取り前の段階で互いに接触して設けられている、中間構造体10での同じ部位における被加熱層12及び金属箔11のことではなく、中間構造体10を巻き取ることによって、はじめて径方向において接触するようになる、中間構造体10での互いに異なる部位における被加熱層12及び金属箔11のことを意味する。このような被加熱層12及び金属箔11の接触が抑制されることで、第2工程で形成された絶縁層と金属箔11との融着が抑制される。
スペーサー13の厚さは、好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは1〜2mmである。下限値以上とすることで、被加熱層12が加熱処理されて形成された絶縁層と、金属箔11との融着を抑制するより優れた効果が得られる。さらに、加熱処理で発生したガスの抜けがより良好となる。また、上限値以下とすることで、後述する巻き取り体10’の構造を、より安定して維持できる。
スペーサー13の幅(短手方向における長さ)W2は、被加熱層12の幅(中間構造体10の短辺方向における被加熱層12の長さ)W1に対して、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜25%である。下限値以上とすることで、被加熱層12の、特に幅(短辺12b)方向における中央領域のたわみが抑制されることで、絶縁層と金属箔11との融着を抑制するより優れた効果が得られる。また、上限値以下とすることで、得られる積層体1において、より広い領域の実使用部を確保できる。
被加熱層12の幅W1は、例えば、取り扱い性の観点から、20〜50cmであることが好ましい。
被加熱層12の幅W1は、例えば、取り扱い性の観点から、20〜50cmであることが好ましい。
スペーサー13は、被加熱層12の長辺(中間構造体10の短辺方向における端部)12aからの距離Dが、被加熱層12の幅W1に対して、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜10%となるように配置する。その理由は、上記のスペーサー13の幅W2の場合と同様であり、下限値以上とすることで、絶縁層と金属箔11との融着を抑制するより優れた効果が得られ、上限値以下とすることで、積層体1において、より広い領域の実使用部を確保できる。
なお、ここでは、金属箔11の幅(中間構造体10の短辺方向における金属箔11の長さ)W3が、被加熱層12の幅W1と同じである場合を示しているが、本発明においてはこれに限定されず、金属箔11の幅W3が被加熱層12の幅W1と異なっていてもよい。
第1工程においては、図1(b)に示すように、スペーサー13を配置した中間構造体10を、被加熱層12が巻き取り時の径方向外側(矢印A方向)を向く(巻き取り体の最外層が被加熱層12となる)ように、スペーサー13と共に巻き取り、図1(c)に示すように巻き取り体10’を得る。
本発明においては、被加熱層12と金属箔11の線膨張率が異なる場合、金属箔11が被加熱層12よりも線膨張率が小さいことが好ましい。このようにすることで、後述するように繰り出したときの積層体1の反りが、より抑制される。
線膨張率は、例えば、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製「TMA−120型」等)を用いることで、周知の方法に従って、測定できる。
線膨張率は、例えば、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製「TMA−120型」等)を用いることで、周知の方法に従って、測定できる。
第1工程においては、精度よく巻き取り体10’を得るために、巻き芯9を用いることが好ましい。
巻き芯9の材質は、後述する条件の加熱処理に耐え得る耐熱性、耐薬品性、加熱処理時に中間構造体10及びスペーサー13の重量に耐え得る強度を有するものが好ましい。このような材質の例としては、スペーサー13の材質と同じものが挙げられる。そして、A5052、A5056、A5083等のマグネシウム系アルミニウム合金や、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のステンレス鋼が好ましい。
巻き芯9の材質は、後述する条件の加熱処理に耐え得る耐熱性、耐薬品性、加熱処理時に中間構造体10及びスペーサー13の重量に耐え得る強度を有するものが好ましい。このような材質の例としては、スペーサー13の材質と同じものが挙げられる。そして、A5052、A5056、A5083等のマグネシウム系アルミニウム合金や、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のステンレス鋼が好ましい。
巻き芯9の外径は、好ましくは30〜500mm、より好ましくは40〜300mm、さらに好ましくは50〜200mm、特に好ましくは60〜158mmである。
また、加熱処理前の巻き取り体10’の外径は、例えば、外径が60〜158mmの巻き芯9を用いた場合であれば、好ましくは60〜2000mm、より好ましくは90〜1500mmである。
また、加熱処理前の巻き取り体10’の外径は、例えば、外径が60〜158mmの巻き芯9を用いた場合であれば、好ましくは60〜2000mm、より好ましくは90〜1500mmである。
本発明においては、第1工程を行った後、得られた巻き取り体10’を加熱処理して、絶縁層を形成する第2工程を行い、図1(d)に示すように積層体1を得る。
加熱処理により、被加熱層12に含まれる液晶ポリエステルがさらに高分子量化されて、絶縁層が形成される。
加熱処理により、被加熱層12に含まれる液晶ポリエステルがさらに高分子量化されて、絶縁層が形成される。
加熱処理時の温度は、200〜350℃であることが好ましい。そして、加熱処理時の温度は、250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましい。また、加熱処理時の温度は、340℃以下であることが好ましく、330℃以下であることがより好ましい。
加熱処理の時間は、10分〜15時間であることが好ましい。そして、加熱処理の時間は、20分以上であることが好ましく、40分以上であることがより好ましい。また、加熱処理の時間は、12時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましい。
加熱処理は、金属箔11の酸化による劣化を防止するために、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス等の不活性ガス雰囲気下や、真空条件下で行うことが好ましい。
第2工程を行って得られた積層体1は、巻き取られた状態から繰り出してシート状のものとすると共に、スペーサー13をすべて取り外すことで、目的とする後の任意の工程にそのまま用いることができる。繰り出されたシート状の積層体1は、スペーサー13が配置されていた領域を除く全ての領域が、後の任意の工程で用いることが可能な実使用部となる。
積層体1は、スペーサー13を用いたことにより、スペーサー13を用いなかった場合には接触したはずの、金属箔11及び被加熱層12の接触が抑制され、その結果、金属箔11及び絶縁層14の融着が抑制される。さらに、積層体1は、中間構造体10において、被加熱層12と金属箔11の線膨張率が異なる場合でも、加熱処理後に冷却して、シート状に繰り出された状態で、反りが顕著に抑制されたものとなる。例えば、JIS C6481(B法)に準じて測定した積層体1の反り率を、45%以下とすることが可能である。このように、積層体1は、反りが抑制されているので、例えば、金属箔11を所望の回路パターンにパターニングして、フレキシブル配線板(FPC)とするのに好適である。また、積層体1は、ロール状の形態で長時間維持可能なので、保管及び搬送が容易である。
本発明においては、第2工程後に、さらに、加熱処理後の巻き取り体10’(すなわち、積層体1)を巻き戻す第3工程を行ってもよい。
そして、第3工程においては、図2に示すように、絶縁層14が巻き戻し時の径方向内側(矢印B方向)を向く(巻き戻し体の最外層が金属箔11となる)ように、積層体1を巻き戻すことが好ましい。図2中、符号1aは、積層体1のうち巻き戻し部分を示す。
第3工程においては、スペーサー13を取り外して積層体1を巻き戻すことが好ましい。
そして、第3工程においては、図2に示すように、絶縁層14が巻き戻し時の径方向内側(矢印B方向)を向く(巻き戻し体の最外層が金属箔11となる)ように、積層体1を巻き戻すことが好ましい。図2中、符号1aは、積層体1のうち巻き戻し部分を示す。
第3工程においては、スペーサー13を取り外して積層体1を巻き戻すことが好ましい。
積層体1の巻き戻しは、室温(例えば、18〜30℃)等の非加熱条件下で行うことが好ましい。
また、積層体1の巻き戻しは、第1工程における中間構造体10の巻き取りの場合と同様の、巻き芯9を用いて行うことが好ましい。
また、積層体1の巻き戻しは、第1工程における中間構造体10の巻き取りの場合と同様の、巻き芯9を用いて行うことが好ましい。
第3工程を行った後の積層体1は、巻き取られた状態から繰り出してシート状のものとしたときに、第3工程を行わなかった積層体よりも、反りがより高度に抑制されたものとなる。
図1及び2では、被加熱層12上に、被加熱層12の幅方向において、被加熱層12からはみ出さない(突出しない)ように、スペーサー13を配置した例を示しているが、本発明においてはこれに限定されず、スペーサー13は、中間構造体の長辺(例えば、被加熱層12の長辺12a)に沿って配置されていればよい。
図3は、スペーサー13の配置位置が上記とは異なる場合の中間構造体を例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3は、スペーサー13の配置位置が上記とは異なる場合の中間構造体を例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
ここに示す中間構造体20においては、二本のスペーサー13,13が、いずれも、被加熱層12の幅方向において、被加熱層12からはみ出して(突出して)、被加熱層12上に配置されている。この点以外は、中間構造体20は、図1及び2に示す中間構造体10と同じである。
スペーサー13のはみ出し部位の幅は特に限定されず、中間構造体20においてスペーサー13が安定して維持される範囲内で、適宜選択すればよい。
なお、ここでは、二本のスペーサー13が、いずれも被加熱層12からはみ出して配置されている例を示しているが、二本のスペーサー13のうち、一本のみが、被加熱層12からはみ出して配置されていてもよい。
なお、ここでは、二本のスペーサー13が、いずれも被加熱層12からはみ出して配置されている例を示しているが、二本のスペーサー13のうち、一本のみが、被加熱層12からはみ出して配置されていてもよい。
図1〜3では、被加熱層上に二本のスペーサーが配置された場合について説明したが、本発明においては、これに限定されず、中間構造体の長辺に沿って配置され、中間構造体の巻き取りによって径方向に重なるように配置される被加熱層と金属箔との接触が妨げられれば、スペーサーの配置位置は、適宜調節できる。
図4は、このような、図1〜3に示すものとはスペーサーの配置形態が異なる中間構造体を例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図4は、このような、図1〜3に示すものとはスペーサーの配置形態が異なる中間構造体を例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
ここに示す中間構造体30においては、金属箔11の幅W3が被加熱層12の幅W1よりも大きく(W3>W1)、金属箔11の幅方向の端部(金属箔11の長辺)の近傍に被加熱層12が設けられておらず、金属箔11の表面が露出されており、この露出面上に二本のスペーサー13,13が配置されている。そして、二本のスペーサー13,13は、いずれも、被加熱層12よりも厚いものであり、被加熱層12の表面に対して垂直で且つ金属箔11から被加熱層12へ向かう方向、すなわち、巻き取り時の径方向外側を向く方向において、二本のスペーサー13,13は、いずれも、被加熱層12よりも突出している。このときの突出部の厚さは、図1及び2を参照して説明したときの、スペーサー13の厚さと同じであることが好ましい。
これらの点以外は、中間構造体30は、図1及び2に示す中間構造体10と同じである。
これらの点以外は、中間構造体30は、図1及び2に示す中間構造体10と同じである。
なお、ここでは、二本のスペーサー13が、いずれも、金属箔11の幅方向において、金属箔11からはみ出さない(突出しない)ように、金属箔11の前記露出面上に配置されている例を示しており、「W3−W1≧2W2」の関係を満たしている。しかし、本発明においては、これに限定されず、例えば、「0<W3−W1<2W2」の関係を満たす場合や、「W3−W1≧2W2」の関係を満たす場合であっても、二本のスペーサー13のうちの少なくとも一本が、金属箔11の幅方向において、金属箔11からはみ出して(突出して)配置されていてもよい。このときの、金属箔11の幅方向におけるスペーサー13のはみ出し部位の幅は、特に限定されず、中間構造体30においてスペーサー13が安定して維持される範囲内で、適宜選択すればよい。
図5は、さらにスペーサーの配置形態が異なる中間構造体を例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
ここに示す中間構造体40においては、二本のスペーサー13のうち、一本が、被加熱層12上ではなく金属箔11上に配置されている。そして、金属箔11上のスペーサー13と、被加熱層12上のスペーサー13とは、中間構造体40の異なる長辺に沿って配置されている。金属箔11上におけるスペーサー13の配置位置は、被加熱層12上におけるスペーサー13の配置位置と同様に調節すればよい。
これらの点以外は、中間構造体40は、図1及び2に示す中間構造体10と同じである。
ここに示す中間構造体40においては、二本のスペーサー13のうち、一本が、被加熱層12上ではなく金属箔11上に配置されている。そして、金属箔11上のスペーサー13と、被加熱層12上のスペーサー13とは、中間構造体40の異なる長辺に沿って配置されている。金属箔11上におけるスペーサー13の配置位置は、被加熱層12上におけるスペーサー13の配置位置と同様に調節すればよい。
これらの点以外は、中間構造体40は、図1及び2に示す中間構造体10と同じである。
なお、中間構造体40において、被加熱層12上のスペーサー13は、図3又は4に示すように配置されていてもよい。そして、金属箔11上のスペーサー13は、例えば、図3で説明した被加熱層12上のスペーサー13と同様に、金属箔11の幅方向において、金属箔11からはみ出して配置されていてもよい。
本発明においては、本発明が奏する効果を損なわない範囲内において、さらに上記製造方法の構成の一部を適宜変更してもよい。
例えば、ここでは、スペーサー13を二本用いた例について説明したが、二本以上であればその数は特に限定されず、互いに重ならないように三本以上用いてもよい。ただし、十分な効果が得られると共に、積層体1の実使用部の領域が大きくなることから、通常は、二本で十分である。
また、スペーサー13は、配置位置が安定して保たれれば、一繋がりの一本のスペーサーを配置する代わりに、複数のスペーサーを縦列に配置してもよい。このとき、隣り合うスペーサーの間に、所定の間隔を設けてもよい。
例えば、ここでは、スペーサー13を二本用いた例について説明したが、二本以上であればその数は特に限定されず、互いに重ならないように三本以上用いてもよい。ただし、十分な効果が得られると共に、積層体1の実使用部の領域が大きくなることから、通常は、二本で十分である。
また、スペーサー13は、配置位置が安定して保たれれば、一繋がりの一本のスペーサーを配置する代わりに、複数のスペーサーを縦列に配置してもよい。このとき、隣り合うスペーサーの間に、所定の間隔を設けてもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度は、以下の方法で測定した。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
<液晶ポリエステル液状組成物の製造>
[製造例1]
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1976g、10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド(1474g、9.75モル)、イソフタル酸(1620g、9.75モル)及び無水酢酸(2374g、23.25モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで十分に置換した後、窒素ガス気流下で攪拌しながら、15分間かけて室温から150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して3時間還流させた。
次いで、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分間かけて150℃から300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点を反応終了時点とみなし、反応器から内容物を取り出した。この内容物を室温まで冷却し、得られた固形物を粉砕機で粉砕し、比較的低分子量の粉末状の液晶ポリエステル(プレポリマー)を得た。このプレポリマーの流動開始温度は235℃であった。このプレポリマーを窒素ガス雰囲気下において、223℃で3時間加熱処理することにより、固相重合を行い、次いで冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
[製造例1]
(液晶ポリエステルの製造)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1976g、10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド(1474g、9.75モル)、イソフタル酸(1620g、9.75モル)及び無水酢酸(2374g、23.25モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで十分に置換した後、窒素ガス気流下で攪拌しながら、15分間かけて室温から150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して3時間還流させた。
次いで、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分間かけて150℃から300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点を反応終了時点とみなし、反応器から内容物を取り出した。この内容物を室温まで冷却し、得られた固形物を粉砕機で粉砕し、比較的低分子量の粉末状の液晶ポリエステル(プレポリマー)を得た。このプレポリマーの流動開始温度は235℃であった。このプレポリマーを窒素ガス雰囲気下において、223℃で3時間加熱処理することにより、固相重合を行い、次いで冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
(液晶ポリエステル液状組成物の製造)
得られた液晶ポリエステル(2200g)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(7800g)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステルが完全に溶解した透明な溶液が得られたことを確認した後、この溶液を撹拌及び脱泡した。
次いで、得られた溶液に、酸化アルミニウム(住友化学社製「AA−5」)を加え、遠心式撹拌脱泡機で5分間に亘って撹拌することで、分散液として液晶ポリエステル液状組成物を得た。ここで、常温(23℃)での酸化アルミニウムの配合量(含有量)は、液晶ポリエステル及び酸化アルミニウムの総配合量(総含有量)に対して50体積%となるようにした。得られた液晶ポリエステル液状組成物の粘度は、東機産業社製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、23℃において測定したところ、1.04Pa・sであった。
得られた液晶ポリエステル(2200g)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(7800g)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステルが完全に溶解した透明な溶液が得られたことを確認した後、この溶液を撹拌及び脱泡した。
次いで、得られた溶液に、酸化アルミニウム(住友化学社製「AA−5」)を加え、遠心式撹拌脱泡機で5分間に亘って撹拌することで、分散液として液晶ポリエステル液状組成物を得た。ここで、常温(23℃)での酸化アルミニウムの配合量(含有量)は、液晶ポリエステル及び酸化アルミニウムの総配合量(総含有量)に対して50体積%となるようにした。得られた液晶ポリエステル液状組成物の粘度は、東機産業社製のB型粘度計「TVL−20型」(ローターNo.21、回転速度5rpm)を用いて、23℃において測定したところ、1.04Pa・sであった。
<積層体の製造>
[実施例1]
図1及び2を参照して説明した製造方法により、積層体を製造した。より具体的には以下の通りである。
製造例1で得られた液晶ポリエステル液状組成物を銅箔(福田金属社製「CF−T8G−UN−35」、厚さ35μm、幅270mm)上にナイフコート法で塗布し、120℃で10分間乾燥させ、液晶ポリエステル及び酸化アルミニウムを含む被加熱層が銅箔上に形成された中間構造体を得た。
次いで、この中間構造体の被加熱層上に、厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーを二本配置した。このとき、網状SUS製スペーサーは、中間構造体の長手方向(後述する中間構造体の巻き取り方向)に対して平行な、被加熱層の二本の長辺に沿って、この長辺から0mmの距離のところに、すなわち長辺に端部を揃えて、一本ずつ配置した。そして、被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向く(銅箔が巻き取り時の径方向内側を向く)ように、外径113mmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得た(第1工程)。得られた巻き取り体の外径は130mmであった。
次いで、得られた巻き取り体を、窒素ガス雰囲気下、300℃で3時間加熱処理することで、被加熱層を絶縁層とし、積層体を得た(第2工程)。
さらに、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り外し、積層体を繰り出した後、絶縁層が巻き戻し時の径方向内側を向く(銅箔が巻き戻し時の径方向外側を向く)ように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、得られた積層体を巻き戻した(第3工程)。
得られた巻き戻し体を、そのままの状態で3日間静置した後、繰り出して、シート状の積層体とした。
[実施例1]
図1及び2を参照して説明した製造方法により、積層体を製造した。より具体的には以下の通りである。
製造例1で得られた液晶ポリエステル液状組成物を銅箔(福田金属社製「CF−T8G−UN−35」、厚さ35μm、幅270mm)上にナイフコート法で塗布し、120℃で10分間乾燥させ、液晶ポリエステル及び酸化アルミニウムを含む被加熱層が銅箔上に形成された中間構造体を得た。
次いで、この中間構造体の被加熱層上に、厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーを二本配置した。このとき、網状SUS製スペーサーは、中間構造体の長手方向(後述する中間構造体の巻き取り方向)に対して平行な、被加熱層の二本の長辺に沿って、この長辺から0mmの距離のところに、すなわち長辺に端部を揃えて、一本ずつ配置した。そして、被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向く(銅箔が巻き取り時の径方向内側を向く)ように、外径113mmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得た(第1工程)。得られた巻き取り体の外径は130mmであった。
次いで、得られた巻き取り体を、窒素ガス雰囲気下、300℃で3時間加熱処理することで、被加熱層を絶縁層とし、積層体を得た(第2工程)。
さらに、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り外し、積層体を繰り出した後、絶縁層が巻き戻し時の径方向内側を向く(銅箔が巻き戻し時の径方向外側を向く)ように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、得られた積層体を巻き戻した(第3工程)。
得られた巻き戻し体を、そのままの状態で3日間静置した後、繰り出して、シート状の積層体とした。
[実施例2]
厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーに代えて、厚さ1.5mmのSUS製シートを断面が波形となるように成形した幅60mmの断面波形SUS製スペーサーを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した。
厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーに代えて、厚さ1.5mmのSUS製シートを断面が波形となるように成形した幅60mmの断面波形SUS製スペーサーを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した。
[実施例3]
第2工程終了後に、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した。
第2工程終了後に、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した。
[実施例4]
第2工程終了後に、得られた積層体から断面波形SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を製造した。
第2工程終了後に、得られた積層体から断面波形SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を製造した。
[比較例1]
被加熱層が巻き取り時の径方向内側を向く(銅箔が巻き取り時の径方向外側を向く)ように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取ったこと以外は、実施例1と同様の方法で、巻き取り体を得て(第1工程)、第2工程終了後に、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した(すなわち、被加熱層が巻き取り時の径方向内側を向くように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取ったこと以外は、実施例3と同様の方法で、積層体を製造した)。
被加熱層が巻き取り時の径方向内側を向く(銅箔が巻き取り時の径方向外側を向く)ように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取ったこと以外は、実施例1と同様の方法で、巻き取り体を得て(第1工程)、第2工程終了後に、得られた積層体から網状SUS製スペーサーを取り除き、繰り出してシート状とし、その後、第3工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した(すなわち、被加熱層が巻き取り時の径方向内側を向くように、直径11.3cmのSUS製円筒の外周面に沿わせて、中間構造体及び網状SUS製スペーサーを共に巻き取ったこと以外は、実施例3と同様の方法で、積層体を製造した)。
[比較例2]
厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーに代えて、厚さ1.5mmのSUS製シートを断面が波形となるように成形した幅60mmの断面波形SUS製スペーサーを用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、積層体を製造した。
厚さ1.5mm、幅60mmの網状SUS製スペーサーに代えて、厚さ1.5mmのSUS製シートを断面が波形となるように成形した幅60mmの断面波形SUS製スペーサーを用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、積層体を製造した。
[比較例3]
網状SUS製スペーサーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で第2工程まで行い、積層体を得た。得られた積層体は、巻き取られた状態で絶縁層と銅箔が融着していたため、繰り出して、シート状の積層体とすることができなかった。
網状SUS製スペーサーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で第2工程まで行い、積層体を得た。得られた積層体は、巻き取られた状態で絶縁層と銅箔が融着していたため、繰り出して、シート状の積層体とすることができなかった。
<積層体の評価>
上記の各実施例及び比較例で得られた積層体を、下記項目について評価した。結果を表1に示す。なお、比較例3の積層体は、絶縁層の表面状態の評価のみ行った。
上記の各実施例及び比較例で得られた積層体を、下記項目について評価した。結果を表1に示す。なお、比較例3の積層体は、絶縁層の表面状態の評価のみ行った。
(反り率の算出)
JIS C6481(B法)に準じて、積層体の反り率を算出した。すなわち、積層体を10cm×10cmの大きさに切り出し、得られた試験片を、凸面が上を向くように定盤の上に静置した後、定盤の試験片の静置面に対して垂直な方向における、前記静置面と、試験片の凹面(前記凸面とは反対側の面)との間の最大の隔たり(距離の最大値)H(cm)を測定した。また、このとき、積層体の反りが生じている辺について、定盤の前記静置面との2箇所の接触部間の距離L(cm)を測定した。そして、下記式により積層体の反り率を算出した。
反り率(%)=H/L×100
JIS C6481(B法)に準じて、積層体の反り率を算出した。すなわち、積層体を10cm×10cmの大きさに切り出し、得られた試験片を、凸面が上を向くように定盤の上に静置した後、定盤の試験片の静置面に対して垂直な方向における、前記静置面と、試験片の凹面(前記凸面とは反対側の面)との間の最大の隔たり(距離の最大値)H(cm)を測定した。また、このとき、積層体の反りが生じている辺について、定盤の前記静置面との2箇所の接触部間の距離L(cm)を測定した。そして、下記式により積層体の反り率を算出した。
反り率(%)=H/L×100
(絶縁層の融点の測定)
積層体から絶縁層を剥離させた。そして、分析示差走査熱量測定システム(セイコーインスツルメンツ社製「DSC6200」)を用いて、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で、剥離させた絶縁層の熱量プロファイルを測定し、得られた吸熱曲線における吸熱ピークの温度を融点(℃)とした。
積層体から絶縁層を剥離させた。そして、分析示差走査熱量測定システム(セイコーインスツルメンツ社製「DSC6200」)を用いて、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で、剥離させた絶縁層の熱量プロファイルを測定し、得られた吸熱曲線における吸熱ピークの温度を融点(℃)とした。
(絶縁層の表面状態の評価)
目視観察により、絶縁層の表面状態について、下記評価基準に従って評価した。
○:絶縁層の表面全面にクラックが見られない。
△:絶縁層の表面のうち、スペーサーとの接触部にのみクラックが見られる。
×:絶縁層の表面が銅箔と融着している。
目視観察により、絶縁層の表面状態について、下記評価基準に従って評価した。
○:絶縁層の表面全面にクラックが見られない。
△:絶縁層の表面のうち、スペーサーとの接触部にのみクラックが見られる。
×:絶縁層の表面が銅箔と融着している。
上記結果から明らかなように、実施例1〜4の積層体は、反りが抑制されていた。また、絶縁層の融点が高く、液晶ポリエステルが十分に高分子量化されていた。そして、絶縁層の表面には、クラックが全く見られないか、又は絶縁層の表面のうち、スペーサーとの接触部にのみクラックが見られるだけであり、実用上全く問題がないものであった。
これに対して、比較例1〜3の積層体は、絶縁層の融点が高く、液晶ポリエステルが十分に高分子量化されていたものの、比較例1〜2の積層体は、反りが大きかった。また、比較例3の積層体は、巻き取られた状態で、上記のように絶縁層と銅箔が融着しており、以降の工程を行うことができず、繰り出して、シート状の積層体を得られなかった。
これに対して、比較例1〜3の積層体は、絶縁層の融点が高く、液晶ポリエステルが十分に高分子量化されていたものの、比較例1〜2の積層体は、反りが大きかった。また、比較例3の積層体は、巻き取られた状態で、上記のように絶縁層と銅箔が融着しており、以降の工程を行うことができず、繰り出して、シート状の積層体を得られなかった。
本発明は、電子機器に組み込まれるフレキシブル配線板(FPC)の製造に利用可能である。
1・・・積層体、10,20,30,40・・・中間構造体、10’ ・・・巻き取り体、11・・・金属箔、12・・・被加熱層、12a・・・被加熱層の長辺、12b・・・被加熱層の短辺、13・・・スペーサー、14・・・絶縁層、A・・・巻き取り時の径方向外側、B・・・巻き戻し時の径方向内側
Claims (4)
- 金属箔上に、液晶ポリエステル及び無機充填材を含む被加熱層を備えた長尺の中間構造体を、その長辺方向に巻き取り、得られた巻き取り体を加熱処理することにより、前記被加熱層が絶縁層とされた積層体を得る積層体の製造方法であって、
前記中間構造体の巻き取りによって径方向に重なるように配置される前記被加熱層と金属箔との接触を妨げるように、前記中間構造体の長辺に沿って、少なくとも二本の長尺のスペーサーを互いに重ならないように配置し、前記被加熱層が巻き取り時の径方向外側を向くように、前記中間構造体及びスペーサーを共に巻き取り、巻き取り体を得る第1工程と、
前記巻き取り体を加熱処理して、前記絶縁層を形成する第2工程と、
を有することを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記第2工程後に、さらに、加熱処理後の前記巻き取り体を巻き戻す第3工程を有し、該第3工程において、前記絶縁層が巻き戻し時の径方向内側を向くように、前記巻き取り体を巻き戻すことを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記スペーサーが網状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 前記液晶ポリエステルが、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される繰返し単位を有し、
前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記一般式(1)で表される繰返し単位を30〜50モル%有し、下記一般式(2)で表される繰返し単位を25〜35モル%有し、下記一般式(3)で表される繰返し単位を25〜35モル%有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、フェニレン基又はナフチレン基であり;Ar2は、フェニレン基、ナフチレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;Ar3は、フェニレン基又は下記一般式(4)で表される基であり;X及びYは、それぞれ独立に酸素原子又はイミノ基であり;前記Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(式中、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニレン基又はナフチレン基であり;Zは、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基である。)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016203448A (ja) * | 2015-04-20 | 2016-12-08 | 京セラ株式会社 | 積層シート巻回体 |
JP2019051710A (ja) * | 2017-09-15 | 2019-04-04 | Jsr株式会社 | 積層体捲回体 |
WO2019077991A1 (ja) * | 2017-10-18 | 2019-04-25 | 日東電工株式会社 | ロール体 |
-
2012
- 2012-03-21 JP JP2012063873A patent/JP2013193359A/ja active Pending
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CN111133844B (zh) * | 2017-10-18 | 2024-03-29 | 日东电工株式会社 | 卷筒体 |
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