JP2019051710A - 積層体捲回体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る積層体捲回体の一態様は、
23℃において周波数10GHzにおける誘電正接が0.001〜0.01である樹脂層と、金属層とが接して積層された構造を含む高周波回路用積層体が、半径10〜100mmの巻芯に捲回されていることを特徴とする。
適用例1の積層体捲回体において、
前記高周波回路用積層体の厚さが50〜200μmであることができる。
適用例1または適用例2の積層体捲回体において、
前記樹脂層の厚さが10〜100μmであり、かつ、前記金属層の厚さが10〜50μmであることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の積層体捲回体において、
前記樹脂層の弾性率が0.1〜3GPaであることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の積層体捲回体において、
前記高周波回路用積層体の前記樹脂層と前記金属層との剥離強度が5N/cm以上であることができる。
本明細書で用いられる用語を以下のように定義する。
・「高周波信号」とは、10GHz以上の周波数の電気信号または電波のことをいう。
・「高周波回路用積層体」とは、10GHz以上の周波数で駆動する高周波回路を製造する際に使用するための積層体のことをいう。
・「Bステージ樹脂層」とは、樹脂が半硬化した状態の層のことをいう。
・「Cステージ樹脂層」とは、樹脂が完全に硬化した状態の層のことをいう。なお、本願発明において、「Cステージ樹脂層」を単に「樹脂層」ということもある。
・「捲回体」とは、巻芯上に、一様の幅の高周波回路用積層体が所定の長さ分だけ捲回されたものをいう。巻長や幅は特に限定されるものではないが、通常巻長は0.5〜100m、幅は数十〜1000mm程度である。
次に、本実施形態に係る積層体捲回体において、巻芯に捲回される高周波回路用積層体について説明する。
記範囲の剥離強度を有するため、接着剤を使用しなくても金属層と樹脂層との密着性が良好である。なお、剥離強度は、「IPC−TM−650 2.4.9」に記載されている方法に準じて測定することができる。
本実施形態で用いられる高周波回路用積層体は、樹脂層を備える。樹脂層の弾性率は、0.1〜3GPaであることが好ましく、0.2〜2.5GPaであることがより好ましい。樹脂層の弾性率が前記範囲であると、柔軟性に優れた高周波回路用積層体となるため、より自由な条件で回路基板を製造することができる。樹脂層の弾性率とは、引張弾性率のことであり、JIS K 7161に準じて測定することができる。
<重合体>
樹脂層用組成物に含まれ得る重合体としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポ
リアリーレン等、低誘電率かつ低誘電正接の特性を有する公知の材料を適時使用することができるが、特に、下記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)のうちの少なくとも1種で表される繰り返し単位を有する重合体等を好ましく使用することができる。
返し単位を有する重合体のガラス転移温度(Tg)の下限は、150℃が好ましく、180℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)の上限は、320℃が好ましく、300℃がより好ましい。
られる。
硬化性化合物は、熱や光(例えば、可視光、紫外線、近赤外線、遠赤外線、電子線等)の照射により硬化する化合物であり、後述する硬化助剤を必要とするものであってもよい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、シリコーン化合物、オキサジン化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物、ウレタン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、前記重合体との相溶性、耐熱性等の特性上の観点から、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、シリコーン化合物、オキサジン化合物、マレイミド化合物、及びアリル化合物のうちの少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、アリル化合物、及びシリコーン化合物のうちの少なくとも1種であることがより好ましい。
硬化助剤としては、例えば、光反応開始剤(光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤)等の重合開始剤を挙げることができる。硬化助剤の具体例としては、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物、オキシムスルホネート化合物、ヒドラジンスルホネート化合物、トリアジン化合物、ニトロベンジル化合物、ベンジルイミダゾール化合物、有機ハロゲン化物類、オクチル酸金属塩、ジスルホン等が挙げられる。これらの硬化助剤は、種類を問わず、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂層用組成物は、必要に応じて溶媒を含有してもよい。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、1,2−メトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の多官能性溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン系溶媒の他、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数;1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数;1〜4)等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂層用組成物は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、強化剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤、前記重合体以外の他の重合体等が挙げられる。
樹脂層用組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、重合体、硬化性化合物、及び必要に応じて他の添加剤(例えば、硬化助剤、溶媒、酸化防止剤等の他の成分)を均一に混合することによって調製することができる。また、組成物の形態は、液状、ペースト状等とすることができる。
本実施形態で用いられる高周波回路用積層体は、金属層を備える。金属層としては、金属箔やスパッタ膜を使用することが好ましい。金属箔としては銅箔が好ましい。銅箔の種類には電解箔と圧延箔とがあるが、どちらを用いてもよい。
たものをそのまま用いてもよいが、その表面を物理的または化学的に処理して表面粗さRaを前記範囲に制御したものを用いてもよい。金属箔の表面の粗さを制御する方法としては、金属箔にエッチング処理(酸処理など)、レーザー処理、電解メッキ、無電解メッキ、スパッタ処理、サンドブラストなどの方法があるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態で用いられる高周波回路用積層体の製造方法は、樹脂層と金属層とを接して積層させることができればその方法は特に限定されない。「樹脂層と金属層とが接する」とは、樹脂層の一方の面が金属層と全面に接している場合に限られず、樹脂層の一方の面の少なくとも一部が金属層と接している場合を含む。
図4(A)〜図4(D)は、製造例Aの各工程における断面を模式的に示す図である。図4(A)〜図4(D)を参照しながら、製造例Aについて説明する。
図4(A)に示すように、剥離層10上へ樹脂層用組成物を塗工してBステージ樹脂層12を形成し、「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」(「Bステージシート」ともいう。)を作製する。剥離層10としては、PETフィルム等の公知のフィルムを使用することができる。PETフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、パナック株式会社製パナプロテクトMK38S等を使用することができる。樹脂層用組成物の塗工方法は、公知の塗工方法を使用することができるが、例えばバーコーターを用いて膜厚を調整して塗工することが好ましい。
抑制することができる。
図4(B)に示すように、工程A1で作製した「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」の露出した樹脂層面13と金属層14とを貼り合わせて「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」を作製する。樹脂層面13と貼り合わせる金属層14の表面粗さRaは、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましく、30〜100nmであることが特に好ましい。
図4(C)に示すように、工程A2で作製した「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」から剥離層10を剥離し、必要に応じて露出した樹脂層面11と金属箔16とを貼り合わせる。「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」から、剥離層10を剥離し、露出したBステージ樹脂層面11と金属層16とを貼り合わせる場合、露出した樹脂層面11と金属層16とを重ね合わせ、さらに熱ロール等を用いて加熱圧着することが好ましい。加熱圧着は工程A2と同様の条件が好ましい。
図4(D)に示すように、Bステージ樹脂層12を硬化させてCステージ樹脂層18とすることにより、高周波回路用積層体100が得られる。Bステージ樹脂層12を硬化させるために、工程A3で得られた積層体をオーブン等の公知の加熱手段を用いて50〜200℃に加熱することが好ましく、100〜200℃に加熱することがより好ましい。加熱する際、例えば50〜100℃と100〜200℃等の二段階に加熱してもよい。また、加熱時間は5時間未満が好ましく、3時間未満がより好ましい。前記範囲の温度と時間の条件で加熱することにより、Bステージ樹脂層を硬化させた、膜厚均一性の高いCステ
ージ樹脂層を作製することができる。
図5(A)〜図5(C)は、製造例Bの各工程における断面を模式的に示す図である。図5(A)〜図5(C)を参照しながら、製造例Bについて説明する。
図5(A)に示すように、金属層20へ樹脂層用組成物を塗工してBステージ樹脂層22を形成し、「金属層/Bステージ樹脂層積層体」を作製する。樹脂層用組成物の塗工方法は、公知の塗工方法を使用することができるが、例えばバーコーターを用いて膜厚を調整して塗工することが好ましい。
図5(B)に示すように、工程B1で作製した「金属層/Bステージ樹脂層積層体」の露出した樹脂層面23に金属層24を貼り合わせて、「金属層/Bステージ樹脂層/金属層積層体」を作製する。露出した樹脂層面23に金属層24を貼り合わせる場合、露出した樹脂層面23と金属層24とを重ね合わせた後、さらに熱ロール等を用いて加熱圧着することが好ましい。また、加熱圧着は、上記工程A2と同様の条件が好ましい。
図5(C)に示すように、Bステージ樹脂層22を硬化させてCステージ樹脂層26とすることにより、高周波回路用積層体200が得られる。工程B3では、工程B2で作製した「金属層/Bステージ樹脂層/金属層積層体」をオーブン等公知の加熱手段を用いて50〜200℃に加熱することが好ましく、100〜200℃に加熱することがより好ましい。加熱する際、例えば50〜100℃と100〜200℃等の二段階に加熱してもよい。また、加熱時間は5時間未満が好ましく、3時間未満がより好ましい。前記範囲の温度と時間の条件で加熱することにより、Bステージ樹脂層22を硬化させた、膜厚均一性の高いCステージ樹脂層26を作製することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<合成例1>
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(18.6g、60.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(Pym)(8.9g、60.0mmol)、及び炭酸カリウム(11.1g、81.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(64g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(P−1)で表される構造単位を有する重合体P−1を得た(収量;20.5g、収率;90%、重量平均分子量(Mw);32,000、ガラス転移温度(Tg);206℃)。
カラム:東ソー社の「TSKgel α―M」と、東ソー社の「TSKgel guardcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.75質量%
試料注入量:50μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(10.7g、34.5mmol)、3,6−ジクロロピリダジン(Pyd)(5.1g、34.2mmol)、及び炭酸カリウム(6.5g、47.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(36g)を加え、窒素雰囲気下、145℃で9時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(150g)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した後、この
溶液をメタノール(3kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−2)で表される構造単位を有する重合体P−2を得た(収量7.6g、収率48%、重量平均分子量(Mw);30,000、ガラス転移温度(Tg);232℃)。なお、重量平均分子量及びガラス転移温度は合成例1と同様に測定した。
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(18.6g、60.0mmol)、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(PhPym)(13.7g、61.1mmol)、及び炭酸カリウム(11.4g、82.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(75g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−3)で表される構造単位を有する重合体P−3を得た(収量20.5g、収率90%、重量平均分子量(Mw);187,000、ガラス転移温度(Tg);223℃)。なお、重量平均分子量及びガラス転移温度は合成例1と同様に測定した。
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(12.4g、40.0mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(BisA)(2.3g、10.0mmol)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ノナン(BisP−DED)(3.3g、10.0mmol)、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(PhPym)(13.7g、61.1mmol)、及び炭酸カリウム(11.4g、82.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(75g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収し
た後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−4)で表される構造単位を有する重合体P−4を得た(収量23.5g、収率87%、重量平均分子量(Mw);165,000、ガラス転移温度(Tg);196℃)。なお、重量平均分子量及びガラス転移温度は合成例1と同様に測定した。
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(12.4g、40.0mmol)、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール(BisP−MIBK)(2.7g、10.0mmol)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ノナン(BisP−DED)(3.3g、10.0mmol)、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(PhPym)(13.7g、61.1mmol)、及び炭酸カリウム(11.4g、82.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(75g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−5)で表される構造単位を有する重合体P−5を得た(収量23.8g、収率88%、重量平均分子量(Mw);157,000、ガラス転移温度(Tg);190℃)。なお、重量平均分子量及びガラス転移温度は合成例1と同様に測定した。
3.2.1.Bステージ樹脂層/剥離層積層体の作製
重合体P−1を50部、硬化性化合物として2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業社製)を50部、硬化助剤として1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(三菱化学社製、製品名「BMI 12」)を5部、及びシクロペンタノンを160部混合し、樹脂層用組成物を調製した。
層された「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」を得た。
上記で得られた「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」の樹脂層の表面を、白色干渉顕微装置(ZYGO社製 New View 5032)を用いて測定し、JIS B0601−2001に準拠して10μm×10μmの範囲について算出した「算術平均粗さ」を表面粗さRaとした。その結果を表1に示す。
上記で得られた「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」から剥離層(PETフィルム)を剥離し、試験片(幅3mm×長さ2cm)を切り出し、DMS試験器(セイコーインスツル社製)にて、1Hz、10℃/分の測定条件で、50℃以上80℃未満の温度範囲での弾性率(MPa)の最大値及び80℃以上200℃以下の温度範囲での弾性率(MPa)の最小値を測定した。その結果を表1に示す。
上記で得られた「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」の露出した樹脂層上に、厚さ18μmの銅箔(三井金属社製、型番「TQ−M4−VSP」、表面粗さ110nm)を重ね合わせ、さらに150℃の熱ロールで線荷重10kN/mの条件でプレスし、銅箔/Bステージ樹脂層/PETフィルムの積層構造を有する「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」を作製した。なお、銅箔の表面粗さRaは、白色干渉顕微装置(ZYGO社製 New View 5032)を用いて測定し、JIS B0601−2001に準拠して10μm×10μmの範囲について算出した「算術平均粗さ」を表面粗さRaとした。その結果を表1に示す。
上記で得られた「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」から剥離層(PETフィルム)を剥離し、露出した樹脂層の表面を、白色干渉顕微装置(ZYGO社製 New View 5032)を用いて測定し、JIS B0601−2001に準拠して10μm×10μmの範囲について算出した「算術平均粗さ」を表面粗さRaとした。その結果を表1に示す。
上記で得られた「金属層/Bステージ樹脂層/剥離層積層体」から剥離層(PETフィルム)を剥離し、露出した樹脂層面と厚さ18μmの銅箔(三井金属社製、型番「TQ−M4−VSP」、表面粗さ110nm)とを重ね合わせて載置し、150℃の熱ロールで線荷重10kN/mの条件でプレスし、その後オーブンを用いて250℃で3時間加熱して、Cステージ樹脂層の両面に銅箔が積層された「銅箔(膜厚18μm)/Cステージ樹脂層(膜厚25μm)/銅箔(膜厚18μm)」の積層構造を有する高周波回路用積層体を作製した。なお、銅箔(金属層)の表面粗さRaは、白色干渉顕微装置(ZYGO社製
New View 5032)を用いて測定し、JIS B0601−2001に準拠して10μm×10μmの範囲について算出した「算術平均粗さ」を表面粗さRaとした。その結果を表1に示す。
作製した高周波回路用積層体にエッチング処理して銅箔を除去し、評価用樹脂フィルムを作成した。作成した樹脂フィルムからJIS K 7161 7号ダンベル形試験片を用いて試験片を切り出し、島津製作所社製「Ez−LX」を用い、5mm/分で引っ張り、破断した際の応力を引張強度、伸びを引張伸びとして測定した。結果を表1に示す。
作製した高周波回路用積層体にエッチング処理して銅箔を除去し、評価用樹脂フィルムを作成した。作成した樹脂フィルムから試験片(幅3mm×長さ1cm)を切り出し、DMS試験器(セイコーインスツル社製、型番「EXSTAR4000」)にてガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。
作製した高周波回路用積層体にエッチング処理して銅箔を除去し、評価用樹脂フィルムを作成した。作成した樹脂フィルムからJIS K 7161 7号ダンベルを切り出し、島津製作所社製「Ez−LX」を用いて、JIS K 7161に準じて5mm/分で引張試験を行い、引張弾性率を測定した。結果を表1に示す。
作製した高周波回路用積層体にエッチング処理して銅箔を除去し、評価用樹脂フィルムを作成した。作成した樹脂フィルムから試験片(幅2.6mm×長さ80mm)を切り出し、空洞共振器摂動法誘電率測定装置(アジレントテクノロジー社製、型番「PNA−LネットワークアナライザーN5230A」、関東電子応用開発社製、型番「空洞共振器10GHz用CP531)を用いて10GHzにおける比誘電率及び誘電正接の測定を行った。結果を表1に示す。
作製した高周波回路用積層体から試験片(幅1cm×長さ10cm)を切り出し、インストロン社製「Instron5567」を用い、500mm/分の条件で90度方向に引っ張り、「IPC−TM−650 2.4.9」に準拠して剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
上記で作製した高周波回路用積層体を、幅250mm、巻芯半径40mmの厚紙製の巻芯に厚さ10μmの両面テープを幅方向中央に長さ100mmにわたって貼り付けた。その後、作製した高周波回路用積層体を両面テープに接合した後、巻き取り張力150N/mで巻芯に高周波回路用積層体を1,000層に巻き、積層体捲回体を作製した。
上記で作製した高周波回路用積層体の片面を、感光性ドライフィルムを用いて銅箔をパターニングし、ピッチが150μmで線幅がそれぞれ40、45、50、55、60μm、及びピッチが750μmで線幅がそれぞれ200、220、240、260、280μmの銅配線パターンを作製した。次いで、作製した銅配線パターンの表面に、上記で作製した「Bステージ樹脂層/剥離層積層体」をBステージ樹脂層側がパターニングした高周波回路用積層体の銅配線に接するように載置した後、その上に鏡板を乗せ、120℃/3.0MPa/5分のプレス条件で加熱加圧成形後、剥離層(PETフィルム)を剥離して250℃で3時間加熱して、回路基板を作製した。
上記で作製した回路基板について、測定プローブ(カスケードマイクロテック社製、シングル(ACP40GSG250)、ベクトル型ネットワークアナライザー(Keysi
ght technology E8363B)を用いて25℃における周波数20GHzの伝送損失を測定した。伝送損失が−5dB/100mm以上の場合、良好と判断した。結果を表1に示す。
樹脂層用組成物を表1の組成に変更し、金属膜の種類や各種膜厚、積層体捲回体の作製条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様の方法で高周波回路用積層体及び積層体捲回体を作製し評価した。結果を表1に示す。
厚さ18μmの銅箔(三井金属社製、型番「TQ−M4−VSP」、表面粗さ110nm)上に、硬化後の膜厚が25μmとなるように、実施例1で作製した樹脂層用組成物をバーコーターを用いて塗工し、オーブンを用いて70℃で10分間加熱した後、さらに130℃で10分間加熱して、銅箔/Bステージ樹脂層の積層構造を有する「金属層/Bステージ樹脂層積層体」を作製した。
厚さ25μmポリイミドフィルム(東レ社製、商品名「カプトン100H」)の表面に、接着性層を作製するためにマレイン酸変性スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製、商品名「タフテックM1913」)をロ−ル塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置して、100℃で3分間乾燥させて厚さ25μmの被膜(接着性層)を形成し、「接着性層/ポリイミド層積層体」を得た。
その後、厚さ18μmの銅箔(三井金属社製、型番「TQ−M4−VSP」、表面粗さ110nm)の両面を、作製した「接着性層/ポリイミド層積層体」の接着性層の表面に面接触するように重ね合わせて載置し、120℃の熱ロールで線荷重10kN/mの条件でプレスし、その後オーブンを用いて180℃で圧力3MPaの条件で1分間加熱し、その後、180℃で1時間の加熱を行い、ポリイミド層の両面に銅箔が積層された「銅箔(膜厚18μm)/ポリイミド層(膜厚25μm)/銅箔(膜厚18μm)」の積層構造を有する高周波回路用積層体を作製した。このようにして作製された高周波回路用積層体を用いて、実施例1と同様の方法で積層体捲回体を作製し評価した。結果を表1に示す。
表1に、各実施例及び各比較例で使用した樹脂層用組成物の組成、高周波回路用積層体及び積層体捲回体の評価結果を示す。
<硬化性化合物>
・化合物A:2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業社製)
・化合物B:SR−16H(坂本薬品工業社製、エポキシ当量;160g/eq)
・化合物C:HP−4032D(DIC社製、エポキシ当量;141meq/g)
・化合物D:SR−4PG(坂本薬品工業社製、エポキシ当量;305g/eq)
<硬化助剤>
・硬化助剤A:1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(三菱化学社製、製品名「BMI
12」)
・硬化助剤B:2−エチルオクチル酸亜鉛(和光純薬工業社製)
<溶媒>
・溶媒A:シクロペンタノン(東京化成工業社製)
・溶媒B:塩化メチレン(東京化成工業社製)
<金属層種類>
・電解銅箔A:三井金属株式会社製、品番「TQ−M4−VSP」
・電解銅箔B:三井金属株式会社製、品番「3EC−M3S−HTE」
・圧延銅箔A:JX金属株式会社製、品番「GHY5−HA」
Claims (5)
- 23℃において周波数10GHzにおける誘電正接が0.001〜0.01である樹脂層と、金属層とが接して積層された構造を含む高周波回路用積層体が、半径10〜100mmの巻芯に捲回された、積層体捲回体。
- 前記高周波回路用積層体の厚さが50〜200μmである、請求項1に記載の積層体捲回体。
- 前記樹脂層の厚さが10〜100μmであり、かつ、前記金属層の厚さが10〜50μmである、請求項1または請求項2に記載の積層体捲回体。
- 前記樹脂層の弾性率が0.1〜3GPaである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の積層体捲回体。
- 前記高周波回路用積層体の前記樹脂層と前記金属層との剥離強度が5N/cm以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の積層体捲回体。
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