JP5176069B2 - 接着層付き金属箔、金属張積層板、印刷配線板及び多層配線板 - Google Patents

接着層付き金属箔、金属張積層板、印刷配線板及び多層配線板 Download PDF

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本発明は、接着層付き金属箔、金属張積層板、印刷配線板及び多層配線板に関するものである。
携帯電話に代表される移動体通信機器やその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器、或いは大型コンピュータ等では、大容量の情報を低損失且つ高速で伝送・処理することが要求されている。かかる要求に対応するため、上述のような装置に搭載されるプリント配線板では、扱う電気信号の高周波数化が進んでいる。しかしながら、電気信号は、高周波になるほど減衰し易くなる性質を有することから、高周波の電気信号を扱うプリント配線板には、従来以上に伝送損失を低くすることが求められる。
低伝送損失のプリント配線板を得るため、従来、プリント配線板の基板材料として、比誘電率や誘電正接が低いフッ素系樹脂を含む熱可塑性樹脂材料が使用されてきた。しかし、このフッ素系樹脂は、一般的に溶融粘度が高く、流動性が低いため、プレス成形時に高温高圧条件を設定する必要がある等、必ずしも成形が容易ではない。また、上述したような通信機器等に使用されるプリント配線板用材料としては、加工性に加え、寸法安定性や、金属めっきとの接着性が不十分であるという欠点も有していた。
そこで、熱可塑性樹脂材料に代えて、比誘電率及び誘電正接が低い熱硬化性樹脂組成物を用いることが試みられている。上述した電子機器等の誘電体材料の原料に用いられる熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、以下のようなものが知られている。すなわち、特許文献1〜3には、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートを含有する樹脂組成物が開示されている。また、特許文献1、2、4又は5には、ポリブタジエンを含有する樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献6には、アリル基等のラジカル架橋性の官能基を付与された熱硬化性ポリフェニレンエーテルと、上記トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートとを含有する樹脂組成物が開示されている。そして、これらの特許文献には、概して、上記の熱硬化性樹脂組成物によれば、硬化後に極性基を多く有しないため、低伝送損失化が可能となることが示されている。
また、プリント配線板においては、絶縁層とその上に設けられる導電層との接着性が高いことが望ましい。絶縁層と導電層との接着性が低いと、使用時に両者の剥離が生じる等の不都合が生じ易くなる。プリント配線板は、絶縁層上に導体箔が積層された金属張積層板の導体箔を加工することによって形成されることが多いが、絶縁層と導電層との優れた接着性を得るためには、この金属張積層板における絶縁層と導体箔との接着性が高いことも重要である。
このような観点から、プリプレグシートを、エポキシ、マレイン酸、カルボン酸等で変性されたポリブタジエンでコーティング処理した銅箔とともに積層成形した金属張積層板が知られている(特許文献7、8参照)。また、絶縁層と導体層との間にエポキシ化合物やポリアミドイミド化合物を含む層を介在させたプリント配線板等も知られている(特許文献9,10参照)。
特公平6−69746号公報 特公平7−47689号公報 特開2002−265777号公報 特公昭58−21925号公報 特開平10−117052号公報 特公平6−92533号公報 特開昭54−74883号公報 特開昭55−86744号公報 特開2005−167172号公報 特開2005−167173号公報
ところで、近年では、上述したような電子機器等に対して、電気信号の更なる高周波化への対応が求められている。しかしながら、例えば上記特許文献1〜6に記載されているような低誘電率、低誘電正接の樹脂を誘電体材料に用いて、絶縁層(誘電層)における電気信号の低伝送損失化を図るだけでは、そのような高周波に十分に対応することが困難となってきている。すなわち、電気信号の伝送損失は、絶縁層に起因する損失(誘電体損失)と、導電層に起因する損失(導体損失)との両方に原因があるが、近年の高周波化への対応においては、従来のような誘電体材料の改良によって誘電体損失を低減するだけでなく、導体損失をも低減することが必要となっている。
特に、近年実用化されている大部分のプリント配線板(多層配線板)においては、導電層である信号層とグランド層との間に配置される絶縁層の厚みが200μm以下と薄くなっている。そのため、絶縁層の材料に、ある程度低い誘電率や誘電正接を有する樹脂を採用した場合、この配線板全体の伝送損失としては、誘電体損失よりもむしろ導体損失の方が支配的となる。
ここで、導体損失の低減を図る方法としては、導電層における絶縁層と接着する側の面(粗化処理面、以下、「M面」という。)の表面凹凸が小さい金属箔を用いる方法が挙げられる。具体的には、M面の表面粗さ(十点平均粗さ;Rz)が2μm以下である金属箔(このような金属箔を、以下、「低粗化箔」という。)を備える金属張積層板を用いることが考えられる。
そこで、上記の知見に基づいて、本発明者らは、まず、特許文献1〜6に記載されたような、ビニル基やアリル基等の重合によって硬化する低誘電率及び低誘電正接の樹脂と、上述した低粗化箔とを併用して得られたプリント配線板を作製して詳細に検討を行った。その結果、このようなプリント配線板は、絶縁層の極性が低く、しかも金属箔のM面の凹凸に起因するアンカー効果が低いために、絶縁層及び導電層間の接着力(接合力)が弱く、これらの層間で容易に剥離が生じることが確認された。特に、かかる剥離は、プリント配線板を加熱した際(特に吸湿後に加熱した際)に顕著となる傾向にあった。このように、上述の樹脂を誘電体材料に用いた場合、導体損失を低減するために低粗化箔を採用すると、絶縁層と導電層との接着性を十分に確保するのが困難となることが判明した。
また、特許文献7、8に記載された手段を応用し、絶縁層とM面のRzが2μm以下である低粗化銅箔とを、変性されたポリブタジエンを介して貼り合わせ、プリント配線板を作製した場合は、十分に高い銅箔引き剥がし強さが得られず、また、耐熱性(特に吸湿時の耐熱性)の低下も生じることが判明した。
さらに、特許文献9、10に記載された手段を応用して、M面のRzが2μm以下の低粗化銅箔の表面上に、厚みが0.1〜5μmのポリアミドイミド樹脂を予め設けた接着層付き銅箔を用いてプリント配線板を作製した場合は、高い銅箔引き剥がし強さが得られることが確認された。しかしながら、金属箔のM面の凹凸に起因するアンカー効果が低いために、ポリアミドイミド樹脂と絶縁層との間の接着力が(接合力)が弱くなり、例えば加熱した際(特に吸湿後に加熱した際)等に、これらの層間で容易に剥離が生じるようになることが判明した。
そこで、本発明はこのような事情にかんがみてなされたものであり、高周波帯での伝送損失を良好に低減することができ、耐熱性に優れ、しかも、層間の剥離が十分に生じ難いプリント配線板を製造することができる接着層付き金属箔を提供することを目的とする。本発明はまた、このような接着層付き金属箔を用いて得られる金属張積層板、印刷配線板及び多層配線板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の接着層付き金属箔は、金属箔と、この金属箔上に設けられた接着層とを備える接着層付き金属箔であって、接着層は、(A)成分;多官能エポキシ樹脂、(B)成分;多官能フェノール樹脂、及び、(C)成分;ポリアミドイミドを含有する硬化性樹脂組成物からなり、(C)成分は、その重量平均分子量が5万以上25万以下であることを特徴とする。
本発明の接着層付き金属箔における接着層は、上記(A)〜(C)成分を含む硬化性樹脂組成物からなるものである。この硬化性樹脂組成物の硬化物は、硬化により多官能エポキシ樹脂及び多官能フェノール樹脂の硬化物、並びにポリアミドイミドを含むものとなるため、低粗化箔や低誘電率等の特性を有する絶縁層に対する接着性に極めて優れるものとなる。さらに、この硬化性樹脂組成物の硬化物は、上記3成分の硬化物であることから、優れた耐熱性も有する。
したがって、このような接着層付き金属箔を用いて後述するように金属張積層板や印刷配線板(プリント配線板)の製造を行った場合、絶縁層と導電層とが、本発明の接着層付き金属箔における接着層の硬化物を介して強く接着されるようになり、これらの剥離を大幅に防止できるようになる。また、接着硬化層が有する低誘電率及び低誘電正接の特性により、大幅な低伝送損失化も可能となる。さらに、耐熱性に優れる接着硬化層に起因して、全体としても優れた耐熱性が得られるようになる。なお、以下の説明では、本発明の接着層付き金属箔の接着層が硬化した層を「接着硬化層」とし、金属張積層板や印刷配線板(プリント配線板)等の基板材料である絶縁層を「絶縁層」又は「絶縁樹脂層」として、これらを区別することとする。
上記本発明の接着層付き金属箔において、接着層を構成する硬化性樹脂組成物における(A)成分及び(B)成分は、これらの混合物の硬化後のガラス転移温度が150℃以上であることが好ましい。このような条件を満たすことで、接着硬化層の耐熱性が更に良好となり、本発明の接着層付き金属箔を用いて得られたプリント配線板も、実用的な温度範囲で優れた耐熱性を有するようになる。なお、このガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121−1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
硬化性樹脂組成物において、(A)成分である多官能エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル−アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、低級アルキル基置換フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び多官能脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
また、(B)成分である多官能フェノール樹脂は、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、及び、ノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能フェノール樹脂を含有することが好ましい。
これらの多官能エポキシ樹脂又は多官能フェノール樹脂は、本発明におけるこれら以外の成分と組み合わされることによって、接着硬化層に優れた接着性や耐熱性を付与することができる。
さらに、(C)成分であるポリアミドイミドとしては、飽和炭化水素からなる構造単位を含むものが好ましい。ポリアミドイミドとして飽和炭化水素からなる構造単位を含むものを用いると、接着硬化層による金属箔や絶縁層等への接着性が良好となるのに加え、特に吸湿時においても良好な接着性が維持されるようになる。その結果、本発明の接着層付き金属箔を用いて得られたプリント配線板等は、例え吸湿後であっても層間の剥離を極めて生じ難いという特性を有するものとなる。
接着層を構成する硬化性樹脂組成物においては、(C)成分の配合割合が、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して10〜400質量部であると好ましい。(C)成分の配合割合がこのような範囲であると、良好な接着性が得られるようになるほか、接着硬化層の靭性や耐熱性、耐薬品性等が特に向上する傾向にある。
また、硬化性樹脂組成物は、(D)成分として、架橋ゴム粒子及び/又はポリビニルアセタール樹脂を更に含有することが好ましい。これらの成分を更に含むことにより、接着硬化層による金属箔等への接着性が更に向上するようになる。
なかでも、上記の特性を特に良好に得る観点からは、(D)成分としては、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋ゴム粒子が好適である。
本発明の接着層付き金属箔において、接着層は、硬化性樹脂組成物及び溶媒を含有する樹脂ワニスを、金属箔の表面上に塗布して樹脂ワニス層を形成した後、この樹脂ワニス層から溶媒を除去することにより得られたものであると好ましい。こうして形成された接着層は、厚みや特性が均質な層となり、その硬化後に金属箔等との優れた接着性を発揮し易いものとなる。
また、接着層付き金属箔における接着層の膜厚は、0.1〜5μmであることが好ましい。このような厚さを有する接着層によれば、十分な金属箔との接着性が得られるほか、誘電体損失の低減を良好に図れるようになる。
さらに、金属箔における接着層側の面の十点平均粗さ(Rz)は、2μm以下であることが好ましい。M面の表面粗さが2μm以下であると、この金属箔から形成した導電層による導体損失が小さくなり、本発明の接着層付き金属箔を用いて得られたプリント配線板は、誘電体損失だけでなく導体損失も良好に低減されたものとなる。ここで、十点平均粗さ(Rz)とは、JIS B0601−1994に定義された十点平均粗さをいうものとする。
本発明による金属張積層板は、上記本発明の接着層付き金属箔を用いて好適に得られるものであり、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層上に接着硬化層を介して積層された金属箔と、を備え、接着硬化層及び金属箔は、上記本発明の接着層付き金属箔から形成され、接着硬化層が、接着層付き金属箔における接着層の硬化物からなり、且つ、金属箔が、接着層付き金属箔における金属箔からなることを特徴とする。
このような金属張積層板は、絶縁性を有する樹脂を含む絶縁性樹脂膜の少なくとも片面上に、上記本発明の接着層付き金属箔を、この接着層付き金属箔における接着層が接するように積層して積層体を得た後、この積層体を加熱及び加圧して得られたものであると好適である。
上記本発明の金属張積層板は、絶縁樹脂層(絶縁層)と金属箔とが、本発明の接着層付き金属箔における接着層の硬化物(接着硬化層)を介して接着されたものであるため、金属箔と絶縁層との接着性に優れるものとなる。したがって、金属箔として低粗化箔を用いた場合であっても層間の剥離が生じ難い。また、接着硬化層は、低誘電率及び低誘電正接であるという特性を有する。その結果、このような金属張積層板から得られたプリント配線板は、層間の剥離を極めて生じ難いものとなる。
さらに、本発明による印刷配線板は、プリント配線板としての適用が可能なものであり、本発明の金属張積層板における金属箔を、所定の回路パターンを有するように加工して得られたものである。かかる印刷配線板は、低粗化箔を用いた場合であっても、金属箔からなる回路パターンと絶縁樹脂層との剥離が極めて生じ難いほか、接着硬化層が優れた耐熱性を有することから、全体としても優れた耐熱性を有するようになる。
さらにまた、本発明は、上記本発明の印刷配線板を備えることで、層間の剥離を生じ難く、しかも、高耐熱性を有する多層配線板を提供することができる。すなわち、本発明の多層配線板は、少なくとも一層の印刷配線板を有するコア基板と、このコア基板の少なくとも片面上に配置され、少なくとも一層の印刷配線板を有する外層配線板とを備える多層配線板であって、コア基板における印刷配線板のうちの少なくとも一層は、本発明の印刷配線板であることを特徴とする。
なお、上述したような電子機器に適用される高周波対応の印刷配線板においては、低伝送損失化とともに、良好なインピーダンス制御も求められる。それを実現するためには、印刷配線板の製造時において、導電層の良好なパターン幅を形成するための精度向上が重要となる。ここで、ロープロファイル箔のような表面粗さの小さい金属箔を用いる場合は、導体パターン形成の際の精度向上や、更なるファインパターン化に有利となる傾向にある。
このような状況下、上記本発明の接着層付き金属箔によれば、低粗化箔を用い、且つ、絶縁層に低誘電率及び低誘電正接を有する絶縁性樹脂材料を用いた場合であっても、絶縁層と金属箔との間の十分な接着性が得られるようになる。したがって、本発明の接着層付き金属箔を用いた印刷配線板等によれば、低伝送損失化だけでなく、良好なインピーダンス制御も実現可能となる。
本発明の接着層付き金属箔により、上記のような優れた接着性が得られるようになる要因については、現在のところ詳細には明らかでないが、本発明者らは次のように推測している。例えば、金属箔として低粗化箔を用いる場合は、かかる低粗化箔の絶縁層等に対する接着性が低下する以外に、この低粗化箔を備える金属張積層板を用いて多層化を行った場合であっても層間の剥離が生じ易くなることがある。すなわち、絶縁樹脂層の両面にM面のRzが2μm以下である低粗化箔が積層された金属張積層板の金属箔を除去した後、その面上にプリプレグ及び金属箔を順に重ねることにより多層積層板、更には印刷配線板を作製する場合、低粗化箔によって内層の絶縁樹脂層に転写される粗さも小さいものとなる。
このようにして得られた多層積層板においては、金属張積層板において、一般の銅箔(Rzが6μm以上)を用いた場合と比較して、絶縁樹脂層とプリプレグとの間のアンカー効果も小さくなるため、これによって、絶縁樹脂層とプリプレグとの間の接着力(結合力)が小さくなる。そのため、結果として、プリプレグの表面に配置された金属箔が絶縁樹脂層から剥離し易くなる。特に、このような傾向は、加熱(特に吸湿後に加熱)を行った場合に顕著である。
このような場合、金属張積層板として、絶縁樹脂層の表面に接着層付き金属箔を積層して得られたものを用いることで、上記のような接着力の低下を低減することができる。すなわち、この金属張積層板を用いて多層積層板を形成する場合、絶縁樹脂層とプリプレグとの間には、接着層付き金属箔に由来する接着層が介在することとなるため、これによって両層の接着性がある程度改善される。
しかしながら、この場合、接着層にポリアミドイミドのみ、又は、ポリアミドイミドとエポキシ樹脂とを組み合わせた樹脂材料を適用した場合等は、プリント配線板として適用するのに耐熱性が不十分となる。これは、これらの樹脂材料が、良好な接着性を示すことができるものの、水との水素結合等を生じ易いため吸湿後の耐熱性がそれほど良好ではないことに起因していると考えられる。
これに対し、本発明の接着層付き金属箔においては、接着層に含まれる(A)及び(B)成分が、硬化後の耐熱性(特に吸湿後の耐熱性)に優れるものである。したがって、かかる接着層付き金属箔を用いて得られた多層積層板や印刷配線板は、全体として優れた耐熱性を有するようになる。また、(A)及び(B)成分は、絶縁樹脂層や金属箔に対する接着性にも優れていることから、(C)成分であるポリアミドイミドの添加量を少なくしても、接着硬化層は十分な接着性を維持し得る。そして、通常、ポリアミドイミドは接着硬化層の耐熱性を低下させる傾向にあることから、本発明の接着層付き金属箔によれば、ポリアミドイミドの添加量を必要最小限とすることによっても、一層の耐熱性の向上が図られることになる。
特に、本発明の接着層付き金属箔においては、接着層を構成する硬化性樹脂組成物に含まれる(C)成分(ポリアミドイミド)が、5万以上25万以下の重量平均分子量を有しているため、耐熱性の向上に加え、金属箔や絶縁層との良好な接着強度が得られるようになる。かかる要因については必ずしも明らかではないものの、次のような理由が考えられる。すなわち、本発明の接着層付き金属箔における接着層によれば、硬化後に(A)、(B)及び(C)成分による海島構造が形成される。具体的には、(C)成分の領域からなる海層と、(A)及び(B)成分の領域からなる島層とが形成される。接着硬化層においては、このような海島構造によって、(C)成分による優れた接着性と、(A)及び(B)成分による高い耐熱性との両方が良好に発揮されると考えられる。そして特に、(C)成分の重量平均分子量が5万以上であることにより、上述した海島構造が明瞭に形成され、且つ、25万以下であることにより、接着層中で(C)成分の良好な流動性が維持され、これによって金属箔や絶縁性との接着が良好に行われる。その結果、本発明の接着層付き金属箔を用いることで、接着硬化層の耐熱性、及び、金属箔等に対する接着性が極めて良好に得られると考えられる。
したがって、本発明の接着層付き金属箔を用いて得られた印刷配線板や多層配線板等は、導電層(回路パターン)と絶縁層との間に特定の接着硬化層を有するため、接着面が平滑な導電層、及び、誘電体損失が少ない絶縁層を備える場合であっても、導電層と絶縁層との接着性が良好であり、しかも耐熱性にも優れるものとなる。
本発明によれば、高周波帯での伝送損失を良好に低減することができ、しかも、層間の剥離が十分に生じ難いプリント配線板を製造することができる接着層付き金属箔を提供することが可能となる。また、このような接着層付き金属箔を用いて得られる金属張積層板、印刷配線板及び多層配線板を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。図面の説明中、同一の要素には同一の符号を付すこととし、重複する説明については省略する。
[接着層付き金属箔]
まず、好適な実施形態に係る接着層付き金属箔について説明する。図1は、好適な実施形態の接着層付き金属箔の部分斜視図である。図1に示す接着層付き金属箔1は、金属箔10と、この金属箔10の粗化処理面(M面)12に接するように形成された接着層20とを備えた構成を有している。
(金属箔)
金属箔10としては、従来プリント配線板等の導電層に適用されるものであれば特に限定されず、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミ箔等を適用することができる。なかでも、電界銅箔又は圧延銅箔が好ましい。また、金属箔10は、その防錆性、耐薬品性、耐熱性等を向上させる観点から、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト等によるバリアー層形成処理が施されていると好ましい。また、絶縁層との接着性を向上させる観点からは、表面粗化処理やシランカップリング剤による処理等の表面処理が施されていると好ましい。
これらの表面処理のうち、表面粗化処理に関しては、M面12における表面粗さ(Rz)が好ましくは4μm以下、より好ましくは2μm以下となるように粗化処理が施されていると、高周波伝送特性を更に向上できる傾向にある。また、シランカップルリング剤処理に用いるシランカップルリング剤としては、特に限定されないが、エポキシシラン、アミノシラン、カチオニックシラン、ビニルシラン、アクリロキシシラン、メタクロイロキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン等が挙げられる。
金属箔10は、1種の金属材料からなる単層構造であってもよく、複数の金属材料からなる単層構造であってもよく、更には異なる材質の金属層を複数積層した積層構造であってもよい。また、金属箔10の厚さは特に限定されない。上述した金属箔10のうち、例えば、銅箔としてはF1−WS(古河サーキットフォイル社製、Rz=1.9)、F0−WS(古河サーキットフォイル社製、商品名、Rz=1.0μm)、T9−SV(福田金属箔粉工業社製、Rz=1.8)等が商業的に入手可能であり、好適である。
(接着層)
接着層付き金属箔1における接着層20は、(A)成分;多官能エポキシ樹脂、(B)成分;多官能フェノール樹脂、及び、(C)成分;ポリアミドイミドを含有する硬化性樹脂組成物からなる層である。この接着層20の厚さは、0.1〜5μmであると好ましい。この厚さが0.1μm未満であると、後述する金属張積層板等において、十分な金属箔等の引き剥がし強さを得るのが困難となる傾向にある。一方、5μmを超えると、金属張積層板による高周波伝送特性が低下する傾向にある。以下、接着層20を構成する硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
まず、(A)成分について説明する。
(A)成分である多官能エポキシ樹脂は、一つの分子内に複数のエポキシ基を有する化合物であり、エポキシ基同士の反応によって複数の分子が結合可能な状態にある化合物である。このような(A)成分としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル−アラルキレン骨格エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、低級アルキル基置換フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び多官能脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。(A)成分としては、これらのうち1種を単独で含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
なかでも、(A)成分としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂又はフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。(A)成分としてこれらの多官能エポキシ樹脂を含むことで、接着層20の硬化物(接着硬化層)による優れた接着性及び電気特性が得られ易くなる。
次に、(B)成分について説明する。
(B)成分である多官能フェノール化合物は、1つの分子内に複数のフェノール性水酸基を有する化合物であり、(A)成分である多官能エポキシ樹脂の硬化剤として機能する。このような(B)成分としては、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂の共重合型樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。(B)成分としては、これらの化合物を単独で含有していてもよく、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。上述した(A)成分及び(B)は、これらの混合物の硬化後のガラス転移温度が150℃以上となるように選択することが、接着硬化層の吸湿後の耐熱性を向上する観点から特に好ましい。
次に、(C)成分について説明する。
(C)成分であるポリアミドイミドは、アミド構造及びイミド構造を含む繰り返し単位を有するポリマーである。本実施形態における(C)成分は、5万以上25万以下の重量平均分子量(以下、「Mw」と示す)を有している。ここで、Mwには、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値を適用することができる。
(C)成分の分子量が5万未満であると、この(C)成分を含む硬化性樹脂組成物を用いて得られた接着層付き金属箔、更にはこの接着層付き金属箔を用いて得られたプリント配線板において、接着硬化層と金属箔(導電層)との接着性が不都合に低下する傾向にある。特に、この傾向は、金属箔の厚さを薄くした場合にさらに顕著となる。一方、分子量が25万を超えても、ポリアミドイミドの流動性が悪くなるため、接着硬化層と金属箔(導電層)との接着性が低下する傾向にある。この傾向も同様に、金属箔の厚さが薄くなると顕著である。
(C)成分は、その分子中に飽和炭化水素からなる構造単位を含むことが好ましい。(C)成分が飽和炭化水素を含むことで、接着硬化層による金属箔等への接着性が良好となる。また、(C)成分の耐湿性が向上するため、吸湿後の接着硬化層による接着性も良好に維持されるようになる。その結果、本実施形態の接着層付き金属箔1を用いて得られるプリント配線板等の耐湿耐熱性が向上する。(C)成分は、飽和炭化水素からなる構造単位を主鎖に有している特に好ましい。
この飽和炭化水素からなる構造単位は、飽和脂環式炭化水素基であると特に好ましい。飽和脂環式炭化水素基を有する場合、接着硬化層による吸湿時の接着性が特に良好となるほか、この接着硬化層が高いTgを有するようになり、これを備えるプリント配線板等の耐熱性が更に向上する。そして、上述したような効果は、特に、(C)成分のMwが5万以上である場合に安定して得られる傾向にある。
また、(C)成分は、その主鎖にシロキサン構造を含むとより好ましい。シロキサン構造とは、所定の置換基を有するケイ素原子と酸素原子とが交互に繰り返し結合された構造単位である。(C)成分が主鎖にシロキサン構造を含むことで、接着層20の硬化層の弾性率や可撓性等の特性が向上し、得られるプリント配線板等の耐久性を向上させることができるほか、硬化性樹脂組成物の乾燥効率が良好となって接着層20を形成し易くなる傾向にある。
(C)成分であるポリアミドイミドとしては、例えば、無水トリメリット酸と芳香族ジイソシアネートとの反応による、いわゆるイソシアネート法で合成されるポリアミドイミドが挙げられる。このイソシアネート法の具体例としては、芳香族トリカルボン酸無水物とエーテル結合を有するジアミン化合物とをジアミン化合物過剰存在下で反応させた後、これにジイソシアネートを反応させる方法(例えば、特許2897186号公報に記載の方法)、芳香族ジアミン化合物と無水トリメリット酸とを反応させる方法(例えば、特開平04−182466号公報に記載の方法)等が挙げられる。
また、主鎖にシロキサン構造を含む(C)成分も、イソシアネート法にしたがって合成することができる。具体的な合成方法としては、例えば、芳香族トリカルボン酸無水物、芳香族ジイソシアネート及びシロキサンジアミン化合物を重縮合させる方法(例えば、特開平05−009254号公報に記載の方法)、芳香族ジカルボン酸又は芳香族トリカルボン酸とシロキサンジアミン化合物とを重縮合させる方法(例えば、特開平06−116517号公報に記載の方法)、芳香族環を3つ以上有するジアミン化合物及びシロキサンジアミンを含む混合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られるジイミドジカルボン酸を含む混合物を、芳香族ジイソシアネートと反応させる方法(例えば、特開平06−116517号公報に記載の方法)等が挙げられる。接着層20を構成する本実施形態の硬化性樹脂組成物によれば、これらの公知の方法で合成される(C)成分を用いても、十分に高い金属箔引き剥がし強さが得られる。
以下、(C)成分として好適な、飽和炭化水素からなる構造単位(特に飽和脂環式炭化水素基)を主鎖に有するポリアミドイミドの製造方法の例について詳細に説明する。
このようなポリアミドイミドは、例えば、飽和炭化水素基を有するジアミン化合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られるイミド基含有ジカルボン酸を、酸ハロゲン化物に誘導した後、または縮合剤を用いて、ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。あるいは、飽和炭化水素基を有するジアミン化合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られるイミド基含有ジカルボン酸に、ジイソシアネートを反応させることによっても得ることができる。なお、飽和脂環式炭化水素基を有するポリアミドは、これらの方法において、飽和炭化水素基として飽和脂環式炭化水素基を有するジアミン化合物を用いることによって得ることができる。
飽和炭化水素基を有するジアミン化合物としては、具体的には、下記一般式(1a)又は(1b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005176069

[式(1a)及び(1b)中、Lは、ハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基、カルボニル基、単結合又は下記式(2a)又は(2b)で表される2価の基を示し、Lはハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基又はカルボニル基を示し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、ハロゲン置換されていてもよいメチル基を示す。
Figure 0005176069

ただし、式(2a)中、Lは、ハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基、カルボニル基又は単結合を示す。]
上記式(1a)や(1b)で表されるような、飽和炭化水素基を有するジアミン化合物としては、具体的には、以下に示すような化合物が例示できる。すなわち、例えば、2、2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(3−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、2、2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]メタン、4、4’−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ジシクロヘキシル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]エーテル、ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]ケトン、1、3−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、1、4−ビス(4−アミノシクロヘキシルオキシ)ベンゼン、2、2’−ジメチルビシクロヘキシル−4、4’−ジアミン、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)ジシクロヘキシル−4、4’−ジアミン、2、6、2’、6’−テトラメチル−4、4’−ジアミン、5、5’−ジメチル−2、2’−スルフォニルジシクロヘキシル−4、4’−ジアミン、3、3’−ジヒドロキシジシクロヘキシル−4、4’−ジアミン、(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルスルホン、(4、4’−ジアミノシクロヘキシル)ケトン、(3、3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(3、3’−ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、(3、3’―ジアミノ)ジシクロヘキシルエーテル、2、2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等が例示できる。ジアミン化合物は、これらの化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本実施形態のポリアミドイミドの製造においては、後述するように、他のジアミン化合物、すなわち飽和炭化水素基を有していないジアミン化合物を併用してもよい。
飽和炭化水素基を有するジアミン化合物は、例えば、飽和炭化水素基に対応する構造の芳香環を有する芳香族ジアミン化合物に対し、その芳香環を水素還元することによって容易に得ることができる。このような芳香族ジアミン化合物としては、例えば、2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、「BAPP」と表記する。)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4、4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1、4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2、2’−ジメチルビフェニル−4、4’−ジアミン、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4、4’−ジアミン、2、6、2’、6’−テトラメチル−4、4’−ジアミン、5、5’−ジメチル−2、2’−スルフォニルビフェニル−4、4’−ジアミン、3、3’−ジヒドロキシビフェニル−4、4’−ジアミン、(4、4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4、4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4、4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3、3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4、4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4、4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3、3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等を例示できる。
芳香族ジアミン化合物の水素還元は、芳香環の一般的な還元方法によって行うことができる。この還元方法としては、例えば、ラネーニッケル触媒や酸化白金触媒(D.Varechら, Tetrahedron Letter, 26, 61(1985); R.H.Bakerら, J.Am.Chem.Soc., 69, 1250 (1947))、ロジウム−酸化アルミニウム触媒( J.C.Sircarら, J.Org.Chem., 30, 3206(1965); A.I.Meyersら, Organic SynthesisCollective Volume VI, 371(1988);A. W.Burgstahler, Organic Synthesis Collective Volume V,591(1973); A. J.Briggs, Synthesis, 1988, 66)、酸化ロジウム−酸化白金触媒( S. Nishimura, Bull. Chem. Soc. Jpn., 34,32 (1961); E. J.Coreyら, J.Am.Chem.Soc.101, 1608(1979))、チャコール担持ロジウム触媒(K.Chebaaneら, Bull. Soc. Chim. Fr., 1975、 244)、水素化ホウ素ナトリウム−塩化ロジウム系触媒(P. G. Gassmanら, Organic Synthesis Collective Volume VI, 581 (1988); P. G. Gassmanら, Organic SynthesisCollective Volume VI, 601 (1988))等の触媒の存在下での水素還元等が挙げられる。
(C)成分であるポリアミドイミドが、上述のような飽和炭化水素基を有するジアミン化合物を用いて得られたものである場合、ポリアミドイミドの主鎖には飽和炭化水素からなる構造単位が含まれるようになる。このようなポリアミドイミドは、かかる飽和炭化水素からなる構造単位に起因して、耐吸水性又は撥水性が従来のポリアミドイミドと比較して極めて高いものとなる。そして、飽和炭化水素からなる構造単位を有するポリアミドイミドを含む硬化性樹脂組成物を接着層20に用いた接着層付き金属箔1によれば、例えば芳香環を有するポリアミドイミドを含む樹脂組成物を用いた場合と比べて、金属張積層板を製造した場合に、その吸湿時における金属箔(導電層)と絶縁層等との間の接着性の低下を大幅に抑制することが可能となる。なお、このような効果は、飽和炭化水素基を有するジアミン化合物として、脂環式飽和炭化水素基を有するジアミン化合物を用いた場合に、特に顕著に得られる。
(C)成分であるポリアミドイミドは、その製造段階で、脂環式飽和炭化水素基を有するジアミン化合物以外のジアミン化合物を更に添加してもよい。こうすれば、得られるポリアミドイミド中に、飽和炭化水素からなる構造以外の構造単位が導入され、更に所望とする特性が得られ易くなる。
飽和炭化水素基を有するジアミン化合物以外のジアミン化合物としては、まず、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005176069

[式(3)中、Lはメチレン基、スルホニル基、オキソ基、カルボニル基又は単結合を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、kは1〜50の整数を示す。]
上記式(3)で表されるジアミン化合物において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であると好ましい。このフェニル基に結合していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子等を例示できる。一般式(3)で表されるジアミン化合物においては、低弾性率及び高Tgを両立する観点から、Lがオキシ基であると特に好ましい。このようなジアミン化合物としては、具体的には、ジェファーミンD−400、ジェファーミンD−2000(以上、サンテクノケミカル社製、商品名)等を例示できる。
また、飽和炭化水素基を有するジアミンと組み合わせるジアミン化合物としては、芳香環を有する芳香族ジアミンも好適である。芳香族ジアミンとしては、芳香環に2つのアミノ基が直接結合している化合物や、2つ以上の芳香環が直接又は特定の基を介して結合しており、これらの芳香環のうちの少なくとも2つにそれぞれアミノ基が結合している化合物が挙げられ、このような構造を有する限り、特に制限されない。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、下記一般式(4a)又は(4b)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005176069
式(4a)及び(4b)中、Lはハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基、カルボニル基、単結合、或いは、下記式(5a)又は(5b)で表される2価の基を示し、Lはハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基又はカルボニル基を示し、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、ハロゲン置換されていてもよいメチル基を示す。また、下記式(5a)中、Lはハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基、スルホニル基、オキシ基、カルボニル基又は単結合を示す。
Figure 0005176069
芳香族ジアミンとしては、具体的には、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6、2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニルビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等が挙げられる。芳香族ジアミン化合物は、上述した化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの芳香族ジアミンを併用することで、ポリアミドイミド中には飽和炭化水素からなる構造単位に加え、芳香環構造が導入されることになる。このようなポリアミドイミドを含む硬化性樹脂組成物は、その硬化物(更には接着層の硬化層)のTgを更に向上させることができ、これらの耐熱性を一層良好にすることができる。
さらに、飽和炭化水素基を有するジアミン化合物と併用するジアミン化合物としては、下記一般式(6)で表されるシロキサンジアミンが好適である。
Figure 0005176069
式(6)中、R13、R14、R15、R16、R17及びR18(以下、「R13〜R18」のように表記する。)は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基であると好ましい。フェニル基に結合していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子が好ましい。また、R19及びR20は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基が好ましい。このアリーレン基としては、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン基が好ましい。さらに、このアリーレン基に結合していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子が好ましい。さらに、式(6)中、a及びbはそれぞれ1〜15の整数である。
このようなシロキサンジアミンとしては、特に、R13〜R18がメチル基である化合物、すなわち、ジメチルシロキサンの両末端にアミノ基が結合した構造を有するものが特に好ましい。なお、シロキサンジアミンとしては、1種の化合物を単独で用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(6)で表されるシロキサンジアミンとしては、具体的には、シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450)、X−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)、X−22−9409(アミン当量700)、X−22−1660B−3(アミン当量2200)(以上、信越化学工業社製、商品名)、BY16−853(アミン当量650)、BY16−853B(アミン当量2200)、(以上、東レダウコーニングシリコーン社製、商品名)等として商業的に入手可能であるものが好適である。
ジアミン化合物として上述したシロキサンジアミンを併用することで、(C)成分であるポリアミドイミドは、主鎖にシロキサン構造を有するものとなる。そして、このようなシロキサン構造を有するポリアミドイミドを含む硬化性樹脂組成物は、可撓性に優れ、しかも高温条件での膨れ等を極めて発生し難い硬化物を形成することができ、本実施形態の接着層付き金属箔1を用いて得られたプリント配線板等の耐久性及び耐熱性を更に向上することができる。
飽和炭化水素からなる構造単位を有するポリアミドイミドの製造においては、まず、ジアミン化合物として、少なくとも飽和炭化水素基を有するジアミン化合物を含むジアミン化合物を準備する。次いで、これらのジアミン化合物と、無水トリメリット酸とを反応させる。この際、ジアミン化合物の有するアミノ基と、無水トリメリット酸の有するカルボキシル基又は無水カルボキシル基との間で反応が生じて、アミド基が生成する。かかる反応においては、特に、ジアミン化合物のアミノ基と、無水トリメリット酸の無水カルボキシル基との反応を生じさせることが好ましい。
この反応は、ジアミン化合物と、無水トリメリット酸とを非プロトン性極性溶媒に溶解又は分散させ、70〜100℃で行うことが好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、シクロヘキサノン等が例示できる。なかでも、NMPが特に好ましい。これらの非プロトン性極性溶媒は、1種を単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非プロトン性極性溶媒は、この非プロトン性極性溶媒、ジアミン化合物及び無水トリメリット酸の合計質量に対して、固形分が10〜70質量%となる量であると好ましく、20〜60質量%となる量であるとより好ましい。この溶液中の固形分が10質量%未満となる場合、溶媒の使用量が多過ぎ、工業的に不利となる傾向にある。一方、70質量%を超えると、無水トリメリット酸の溶解性が低下し、充分な反応を行うことが困難となる傾向にある。
次に、上記の反応後の溶液中に、水と共沸可能な芳香族炭化水素を添加し、150〜200℃で更に反応させる。これにより、隣り合うカルボキシル基とアミド基との間で脱水閉環反応が生じ、その結果、イミド基含有ジカルボン酸が得られる。ここで、水と共沸可能な芳香族炭化水素としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等を例示できる。なかでも、トルエンが好ましい。芳香族炭化水素は、非プロトン性極性溶媒100質量部に対して、10〜50質量部に相当する量を添加することが好ましい。この芳香族炭化水素の添加量が、非プロトン性極性溶媒100質量部に対して10質量部未満である場合、水の除去効果が不十分となる傾向にあるほか、イミド基含有ジカルボン酸の生成量が減少するおそれがある。一方、50質量部を超えるようにすると、溶液における反応温度が低下してしまい、イミド基含有ジカルボン酸の生成量が減少する傾向にある。
この脱水閉環反応中には、水とともに溶液中の芳香族炭化水素も留出することにより、反応溶液中の芳香族炭化水素量が上述の好適な範囲よりも少なくなる場合がある。そこで、例えば、コック付きの水分定量受器に水と芳香族炭化水素とを留出させ、芳香族炭化水素を分離した後に反応溶液中に戻す等の操作を行うことにより、反応溶液中の芳香族炭化水素量を一定割合に保つようにしてもよい。なお、脱水閉環反応の終了後には、溶液の温度を150〜200℃程度に保持して水と共沸可能な芳香族炭化水素を除去することが好ましい。
ここまでの反応で得られるイミド基含有ジカルボン酸は、例えば、下記一般式(7)で表される構造を有するものとなる。
Figure 0005176069
式(7)中、Lは、上記一般式(1a)、(1b)、(3)、(4a)、(4b)又は(6)で表されるジアミン化合物のアミノ基を除いた残基を示す。イミド基含有ジカルボン酸としては、原料として用いたジアミン化合物に対応する構造のLを有する各種の化合物が得られる。
このようにして得られたイミド基含有ジカルボン酸を用いてポリアミドイミドを合成する方法としては以下のような方法が挙げられる。すなわち、まず、第1の方法としては、上述したようなイミド基含有ジカルボン酸を酸ハロゲン化物に誘導した後、上述したようなジアミン化合物と共重合させる方法が挙げられる。
イミド基含有ジカルボン酸は、塩化チオニルや三塩化リン、五塩化リン、ジクロロメチルメチルエーテルとの反応によって容易に酸ハロゲン化物に誘導される。そして、こうして得られたイミド基含有ジカルボン酸のハロゲン化物は、室温又は加熱条件下で、容易にジアミン化合物と共重合することができる。
第2の方法としては、イミド基含有ジカルボン酸を、縮合剤の存在下、上述したようなジアミン化合物と共重合させて製造する方法が挙げられる。かかる反応において、縮合剤としては、アミド結合を形成する一般的な縮合剤を用いることができる。なかでも、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はN−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを単独で用いるか、或いは、これらをN−ヒドロキシスクシンイミド又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと併用することが好ましい。
第3の方法としては、イミド基含有ジカルボン酸を、ジイソシアネートを反応させる方法が挙げられる。かかる反応を経由する場合は、イミド基含有ジカルボン酸の原料であるジアミン化合物及び無水トリメリット酸と、ジイソシアネートとの比は、次のように設定することが好ましい。すなわち、(ジアミン化合物:無水トリメリット酸:ジイソシアネート)が、モル比で1.0:(2.0〜2.2):(1.0〜1.5)の範囲となるようにすることが好ましく、1.0:(2.0〜2.2):(1.0〜1.3)の範囲となるようにすることがより好ましい。このようなモル比に調整することによって、より高分子量でフィルム形成に有利なポリアミドイミドを得ることが可能となる。
第3の方法で用いるジイソシアネートとしては、下記一般式(8)で表される化合物を例示できる。
Figure 0005176069
式(8)中、Lは1つ以上の芳香環を有する2価の有機基又は2価の脂肪族炭化水素基である。特に、下記式(9a)で表される基、下記式(9b)で表される基、トリレン基、ナフチレン基、ヘキサメチレン基及び2、2、4−トリメチルヘキサメチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
Figure 0005176069
上記一般式(8)で表されるジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート又は芳香族ジイソシアネートが挙げられ、芳香族ジイソシアネートが好ましく、両者を併用することが特に好ましい。芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が例示できる。なかでも、MDIが特に好ましい。芳香族ジイソシアネートとしてMDIを用いることにより、得られるポリアミドイミドの可撓性を向上させ、さらに結晶性を低減することができる。その結果、ポリアミドイミドのフィルム形成性を向上させることができる。一方、脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を例示できる。
芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートとを併用する場合は、脂肪族ジイソシアネートを芳香族ジイソシアネート100モル部に対して5〜10モル部程度添加することが好ましい。これにより、得られるポリアミドイミドの耐熱性を更に向上させることができる。
第3の方法における、イミド基含有ジカルボン酸とジイソシアネートとの反応は、イミド基含有ジカルボン酸を含む溶液中にジイソシアネートを添加し、反応温度130〜200℃で反応させることにより行うことができる。また、かかる反応は、塩基性触媒を用いて行ってもよい。この場合は、反応温度を70〜180℃とすることが好ましく、120〜150℃とすることがより好ましい。塩基性触媒の存在下でこの反応を行うと、塩基性触媒の不在下で反応を行う場合に比べて、より低い温度で反応を進行させることが可能となるため、高温条件下におけるジイソシアネート同士の反応といった副反応の進行を抑制することができる。その結果、より高分子量のポリアミドイミド化合物を得ることが可能となる。
塩基性触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ(2−エチルへキシル)アミン、トリオクチルアミン等のトリアルキルアミンが例示できる。なかでも、トリエチルアミンは、上述の反応を促進できる好適な塩基性触媒であり、しかも反応後の系内からの除去が容易であることから特に好ましい。
上述した各種の方法によって得られるポリアミドイミドとしては、例えば、下記一般式(10)で表される構造単位を有するものが挙げられる。なお、下記式(10)中、L及びLは、上述のL及びLと同義である。
Figure 0005176069
好適な実施形態における硬化性樹脂組成物は、上述したような(A)〜(C)成分を含有するものである。そして、このような硬化性樹脂組成物において、(A)〜(C)成分は、以下に示すような条件を満たす配合割合で含まれていることが好ましい。
まず、硬化性樹脂組成物中の(B)成分の配合割合は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜200質量部であると好ましく、10〜150質量部であるとより好ましい。(B)成分の配合割合が0.5質量部未満であると、接着層付き金属箔1やこれを用いて得られるプリント配線板において、接着硬化層の靭性や金属箔(導電層)との接着性が低下する傾向にある。一方、200質量部を超えると、接着層20の熱硬化性が低下するほか、接着硬化層と絶縁樹脂層等との反応性が低下するため、後述するような金属張積層板やプリント配線板を形成した場合に、接着硬化層そのものや、接着硬化層と絶縁樹脂層等との界面近傍の耐熱性、耐薬品性及び破壊強度が低下する傾向にある。
また、(C)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、10〜400質量部とすることが好ましい。この(C)成分の配合割合が10質量部未満であると、接着層付き金属箔1やこれを用いて得られるプリント配線板等において、接着硬化層の靭性や、その金属箔(導電層)との接着性が低下する傾向にある。また、400質量部を超えると、接着硬化層そのものや、接着硬化層と絶縁樹脂層との界面近傍の耐熱性、耐薬品性及び破壊強度が低下する傾向にある。
接着層20を構成する硬化性樹脂組成物は、上述した(A)〜(C)成分以外に、必要に応じて所望の成分を更に含んでいてもよい。(A)〜(C)成分以外の成分としては、まず、(A)成分である多官能エポキシ樹脂と、(B)成分である多官能フェノール樹脂との反応を促進する触媒機能を有する硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤としては、特に制限されないが、例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機リン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。硬化促進剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の配合割合は、(A)成分の配合割合に応じて決定することが好ましい。具体的には、(A)成分100質量部に対して、0.05〜10質量部とすることが好ましい。この範囲内で硬化促進剤を配合すると、(A)成分と(B)成分との良好な反応速度が得られ、しかも、接着層20の硬化性樹脂組成物が反応性及び硬化性に一層優れるようになる。その結果、接着層20から得られる硬化層(接着硬化層)が、一層優れた耐薬品性、耐熱性や耐湿耐熱性を有するようになる。
また、(A)〜(C)成分以外の成分としては、(D)成分として、(D1)架橋ゴム粒子及び/又は(D2)ポリビニルアセタール樹脂を含有することが好ましい。
まず、(D)成分としては、(D1)架橋ゴム粒子を含むことが特に好ましい。架橋ゴム粒子としては、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子から選択される少なくとも一種が好適である。
ここで、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子とは、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合させ、しかも共重合する段階で部分的に架橋させて、粒子状にしたものである。また、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子は、上記の共重合において、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を併せて共重合することにより得られるものである。さらに、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子は、乳化重合でブタジエン粒子を重合させ、さらにアクリル酸エステルやアクリル酸等のモノマーを添加して重合を続ける二段階の重合方法で得られるものである。これらの架橋ゴム粒子の大きさは、一次平均粒子径で、50nm〜1μmであると好ましい。架橋ゴム粒子としては、上述したものを単独で添加してもよく、2種以上を組み合せて添加してもよい。
このような架橋ゴム粒子として、より具体的には、例えば、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子としては、日本合成ゴム株式会社製のXER−91が挙げられる。また、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子は呉羽化学工業株式会社製のEXL−2655や武田薬品工業株式会社のAC−3832が挙げられる。
また、(D)成分としては、(D2)ポリビニルアセタール樹脂を含むとより好ましい。特に、(D)成分として(D1)架橋ゴム粒子と、(D2)ポリビニルアセタール樹脂とを併用すると、接着硬化層による金属箔に対する引き剥がし強さや、化学粗化後の無電解めっきに対する引き剥がし強さが向上するため、特に好ましい。
(D2)成分であるポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアセタールやそのカルボン酸変性物であるカルボン酸変性ポリアセタール樹脂が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂としては、種々の水酸基量やアセチル基量を有する各種のものを特に制限なく適用できるが、特に、重合度が1000〜2500であるものが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の重合度がこの範囲であると、接着硬化層のはんだ耐熱性が十分に確保できる。また、硬化性樹脂組成物を含むワニスの粘度、取り扱い性が良好となり、接着層付き金属箔20の製造が容易となる傾向にある。
ここでポリビニルアセタール樹脂の数平均重合度とは、例えば、その原料であるポリ酢酸ビニルの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレンの検量線を用いて測定する)から決定された値を採用することができる。なお、カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂とは、上記のポリビニルアセタール樹脂のカルボン酸変性品であり、ポリビニルアセタール樹脂と同様の条件を満たすものが好適である。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、積水化学工業(株)製の商品名、エスレックBX−1、BX−2、BX−5、BX−55、BX−7、BH−3、BH−S、KS−3Z、KS−5、KS−5Z、KS−8、KS−23Z、電気化学工業(株)製の商品名、電化ブチラール4000−2、5000A、6000C、6000EP等が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂としては、上述したものを単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
硬化性樹脂組成物において、(D)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.5〜100質量部の範囲とすると好ましく、1〜50質量部とするとより好ましい。(D)成分の配合割合が0.5質量部未満であると、接着層付き金属箔1やこれを用いて得られるプリント配線板において、接着硬化層の靭性や、この接着硬化層と金属箔(導電層)との接着性が低下する傾向にある。一方、100質量部を超えると、接着硬化層そのものや、接着硬化層と絶縁樹脂層との界面近傍の耐熱性、耐薬品性及び破壊強度が低下する傾向にある。なお、(D)成分として複数種類の成分を含む場合は、それらの合計が上述した配合割合を満たすようにすることが好ましい。
さらに、硬化性樹脂組成物は、所望の特性に応じて、難燃剤、充填剤、カップリング剤等の各種添加剤を、プリント配線板等を形成した際の接着層20からなる硬化層による耐熱性、接着性、耐吸湿性等の特性を悪化させない程度に含んでいてもよい。
難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤が好適である。より具体的には、臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1、2−ジブロモ−4−(1、2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2、4、6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1、3、5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化スチレン等の不飽和二重結合を含有する臭素化反応型難燃剤等が挙げられる。
また、リン系難燃剤しては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2、6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等のリン系難燃剤を例示できる。さらに、金属水酸化物難燃剤としては水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等が例示される。これらの難燃剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤を添加する場合、その配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、5〜150質量部とすることが好ましく、5〜80質量部とすることがより好ましく、5〜60質量部とすることが更に好ましい。難燃剤の配合割合が5質量部未満であると、接着層20や接着硬化層の耐燃性が不十分となる傾向にある。一方、100質量部を超えると接着硬化層の耐熱性が低下する傾向にある。
また、添加剤である充填剤としては、特に限定されないが、無機充填剤が好適である。無機充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化チタン、マイカ、シリカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。
これらの充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、充填剤の形状、粒径については特に制限はないが、粒径が0.01〜50μmであると好ましく、0.1〜15μmであるとより好ましい。硬化性樹脂組成物における充填剤の配合割合は、例えば、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、1〜1000質量部であると好ましく、1〜800質量部であるとより好ましい。
さらに、カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。シラン系カップリング剤としては、炭素官能性シランが例示できる。具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2−(2,3−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン等のアミノ基含有シラン;3−(トリメトキシリル)プロピルテトラメチルアンモニウムクロリド等のカチオン性シラン;ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン等が挙げられる。一方、チタネート系カップリング剤としては、例えば、チタンプロポキシド、チタンブトキシド等のチタン酸アルキルエステルが挙げられる。これらのカップリング剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂組成物におけるカップリング剤の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.05〜20質量部であると好ましく、0.1〜10質量部であるとより好ましい。
そして、上述した各成分を含む硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及びその他の添加成分を、公知の方法で配合し、混合することによって調製することができる。
[接着層付き金属箔の製造方法]
次に、上述した構成を有する接着層付き金属箔1の好適な製造方法について説明する。接着層付き金属箔1は、例えば、まず、上述した硬化性樹脂組成物を調製し、これをそのまま、又は、これを溶媒に溶解又は分散させたワニスを、上述したような金属箔のM面に塗布した後、乾燥等して接着層20とすることにより得ることができる。この際、硬化性樹脂組成物は半硬化(Bステージ化)させてもよい。
硬化性樹脂組成物やそのワニスの塗布は、公知の方法で行うことができ、例えば、キスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて行うことができる。また、乾燥は、加熱乾燥炉中等で、例えば70〜250℃、好ましくは100〜200℃の温度で、1〜30分間、好ましくは3〜15分間処理する方法により実施することができる。硬化性樹脂組成物を溶解等するために溶媒を使用した場合は、乾燥温度は、溶媒の揮発可能な温度以上とすることが好ましい。
硬化性樹脂組成物をワニス化する場合に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類等の溶媒が挙げられる。ワニス化に際しては、溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの溶媒のうち、含窒素類及びケトン類を併用する場合、これらの配合割合は、含窒素類100質量部に対して、ケトン類が1〜500質量部となるようにすると好ましく、ケトン類が3〜300質量部となるようにするとより好ましく、ケトン類が5〜250質量部となるようにすると更に好ましい。
また、硬化性樹脂組成物をワニス化する際には、ワニス中の固形分(不揮発分)濃度が3〜80質量%となるように溶媒量を調節することが好ましい。接着層付き金属箔1を製造する場合、溶媒量を適度に調節することによって、上述したような好ましい膜厚を有する接着層20が得られるように、固形分濃度やワニス粘度を調整することが容易となる。
上述した構成を有する接着層付き金属箔1は、その接着層20を介して絶縁樹脂層等の上に積層されることで、容易に金属張積層板等を形成することができる。そして、このようにして得られた金属張積層板等は、金属箔1と、絶縁樹脂層とが、接着層20の硬化物(接着硬化層)を介して接着しているため、例えば、絶縁樹脂層の材料に、ポリブタジエン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、官能化ポリフェニレンエーテル等の低誘電率樹脂を採用した場合であっても、優れた導体(金属箔)の引き剥がし強さを発現できる。しかも、この引き剥がし強さは、吸湿時であっても十分に維持されるようになる。その結果、金属張積層板は、層間の剥離を極めて生じ難く、吸湿時においても十分にその特性を維持できるものとなる。
また、これらの特性は、接着層付き金属箔1が、M面の粗さが比較的小さい金属箔10を有する場合であっても十分に得ることができる。したがって、金属張積層板を用いて得られるプリント配線板等は、高周波特性、導電層の接着性、及び、耐熱性の全てを良好に兼ね備えるものとなる。したがって、本実施形態の接着層付き金属箔1は、高周波信号を扱う各種の電機・電子機器に備えられるプリント配線板(印刷配線板)等を形成するための金属張積層板の部材や原料として好適である。
[金属張積層板]
次に、上述した接着層付き金属箔1を用いて好適に得られる金属張積層板について説明する。この金属張積層板は、上述した接着層付き金属箔を用いて得られたものであり、その形成方法や形状、積層構造等は特に制限されない。
図2は、好適な実施形態に係る金属張積層板の部分断面図である。この図2は、好適な実施形態の金属張積層板の断面構成を模式的に示している。図2に示す金属張積層板100は、絶縁樹脂層40と、この絶縁樹脂層40の両面に積層された接着硬化層30と、これらの接着硬化層30における絶縁樹脂層40に対して反対側の面上に積層された金属箔10とを備えた構成を有している。
絶縁樹脂層40は、複数の層が積層されて一体化された構成を有している。また、この絶縁樹脂層40と接着硬化層30とは一体化されており、これらにより絶縁層50が形成されている。金属張積層板100における金属箔10及び接着硬化層30は、上述した実施形態の接着層付き金属箔1から形成されたものである。すなわち、接着硬化層30は、接着層付き金属箔1における接着層20が硬化した硬化層であり、金属箔10は接着層付き金属箔1における金属箔10から形成されたものである。
このような構成を有する金属張積層板100は、以下のようにして得ることができる。まず、絶縁樹脂層40を形成するためのプリプレグを準備する。プリプレグとしては、ポリブタジエン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、官能化ポリフェニレンエーテル等の絶縁性を有する樹脂を、ガラス繊維、有機繊維等の強化繊維に含浸させ、例えば、樹脂を半硬化させる等の公知の方法により作製されたものが挙げられる。
次に、このプリプレグを複数枚重ねて絶縁性樹脂膜を形成し、この絶縁性樹脂膜の両面に、一対の接着層付き金属箔1をこれらの接着層20が絶縁樹脂膜に接するようにしてそれぞれ重ねる。その後、これらを加熱及び/又は加圧することにより、金属張積層板100が得られる。この加熱・加圧により、絶縁性樹脂膜における絶縁性を有する樹脂が硬化するとともに、接着層20を構成している硬化性樹脂組成物が硬化する。その結果、絶縁性樹脂膜から絶縁樹脂層40が形成され、接着層20から接着硬化層30が形成される。
加熱は、150〜250℃の温度で行うことが好ましく、加圧は、0.5〜10.0MPaの圧力で行うことが好ましい。この加熱及び加圧は、真空プレスを用いることにより同時に行うことができる。この場合、真空プレスは、30分〜10時間実施することが好ましい。これにより、接着層20及び絶縁性樹脂膜の硬化が十分に進行するようになり、金属箔10と絶縁層50との接着層に優れ、しかも、耐薬品性、耐熱性及び耐湿耐熱性に優れた金属張積層板100が得られるようになる。
好適な実施形態の金属張積層板100は、上述した構成を有しており、換言すれば、一対の金属箔10間に、絶縁樹脂層40と接着硬化層30とが一体化されてなる絶縁層50が挟まれた構成を有している。このような金属張積層板100は、接着層付き金属箔1を用いて形成されたものであるため、高周波帯での伝送損失を十分に抑制し得るプリント配線板を作製するのに有利であり、しかも、絶縁層50と金属箔10との間の接着性が十分に優れたものとなる。
なお、上述した例では、金属張積層板100として、絶縁性樹脂膜の両面に接着層付き
金属箔100が積層されたものを例示したが、これに限られず、本発明の金属張積層板は、接着層付き金属箔が絶縁性樹脂膜の片面にのみ積層されたものであってもよい。また、絶縁樹脂層40は、複数の層からなる積層構造を有していたが、これに限定されず、単層構造を有するものであってもよい。
[プリント配線板]
次に、好適な実施形態に係るプリント配線板(印刷配線板)について説明する。本発明のプリント配線板は、上述した接着層付き金属箔、好ましくは金属張積層板を用いて得られたものであり、その形成方法や形状、積層構造等は特に制限されない。
図3は、好適な実施形態のプリント配線板の部分的な断面構成を示す図である。図示されるように、プリント配線板200は、絶縁樹脂層40と、この絶縁樹脂層40の両面に積層された接着硬化層30と、これらの接着硬化層30における絶縁樹脂層40に対して反対側の面上に形成された導電層11とを備えた構成を有している。また、このプリント配線板200の所定の位置には、積層方向に貫通するスルーホール70が形成されており、その壁面、及び、当該スルーホール70の開口部分周辺の導電層11の表面上には、めっき皮膜60が形成されている。このめっき皮膜60によって、表裏面の導電層11同士が導通されている。
このプリント配線板200において、接着硬化層30及び絶縁樹脂層40は、上述した金属張積層板100と同様の構成を有している。また、接着硬化層30と絶縁樹脂層40とは一体化されて、基板として機能する絶縁層50を構成している。
このような構成を有するプリント配線板200は、例えば、以下のようにして製造することが好ましい。すなわち、まず、上述した実施形態の金属張積層板100を準備する。次いで、この金属張積層板100に、公知の方法により穴あけ加工を施した後、めっきを施す。これにより、スルーホール70及びめっき皮膜60が形成される。また、金属張積層板100表面の金属箔10を、エッチング等の公知の方法により所定の回路形状に加工する。これにより、金属箔10から導電層11が形成される。こうして、プリント配線板200が得られる。
このようにプリント配線板200は、接着層付き金属箔1を用いて得られた金属張積層板100から形成されたものである。このため、プリント配線板200において、導体箔10から得られる導電層11は、接着硬化層30を介して絶縁樹脂層40と強く接着されている。つまり、導電層11と絶縁層50との接着性が極めて良好となっている。したがって、導電層11を形成するための金属箔10として低粗化箔を用いた場合であっても、導電層11の絶縁層50からの剥離が生じ難い。そして、このようなプリント配線板200は、高周波帯での伝送損失が小さいものとなり得る。
また、絶縁樹脂層40の樹脂材料として、高絶縁性及び高耐熱性を有する樹脂を適用したとしても、導電層11の剥離を十分に低減し得る。さらに、接着硬化層30は、高湿度条件下であっても、優れた接着性を維持することができる。したがって、プリント配線板200は、その絶縁層50が優れた絶縁性を有するため更なる高周波対応が可能なほか、優れた耐熱性、特に高湿条件下での優れた耐熱性を有するものとなる。
[多層配線板]
さらに、好適な実施形態に係る多層配線板は、上述したプリント配線板200を内層コア基板として備えるものである。図4は、好適な実施形態に係る多層プリント配線板の部分的な断面構成を示す図である。
図示されるように、多層プリント配線板300は、内層コア基板210の両面に積層されたプリプレグの硬化物(基材)からなる絶縁樹脂層42と、これらの絶縁樹脂層42の内層コア基板210に対して反対側の面上に形成された接着硬化層32と、これらの接着硬化層32の更に外側表面上に設けられた導電層110とを備えている。ここで、内層コア基板210は、上述したプリント配線板200と同様の構成を有している。
このような構成を有する多層プリント配線板300は、プリント配線板200を用いて形成される。すなわち、まず、プリント配線板200を準備し、これを内層コア基板210とする。この内層コア基板210の両面上に金属張積層板100の製造時に用いたようなプリプレグを一層又は複数層重ねる。次いで、このプリプレグの外側の両表面上に、上述した接着層付き金属箔1を、その接着層20が接するようにして更に重ねる。
次いで、得られた積層体を加熱加圧成形して、各層同士を接着させる。これにより、内層コア基板210上に積層したプリプレグから絶縁樹脂層42が形成され、接着層付き金属箔1における接着層20から接着硬化層32が形成される。それから、プリント配線板200の製造時と同様にして、適宜穴あけ加工及びめっき皮膜を施し、スルーホール72及びめっき皮膜62を形成する。この際、穴あけ加工は、図示のように内層コア基板210上に積層された部分のみに行ってもよく、内層コア基板210を貫通するように行ってもよい。そして、最外層の金属箔(金属箔10)を、公知の方法により所定の回路形状に加工して導電層110を形成し、これにより多層プリント配線板300を得る。
なお、多層プリント配線板は、上述した形態にものに限られず、少なくともプリント配線板200を内層コア基板として有する限り、上記以外の構成を有していてもよい。例えば、多層プリント配線板は、内層コア基板であるプリント配線板200の表面上に、上記プリプレグ、及び、プリント配線板200を交互に積層し、得られた積層体を加熱加圧成型することによって得られたものであってもよい。なお、このような多層プリント配線板において、最外層の導電層は、プリプレグを介して接着された金属箔が加工されたものであってもよく、最表面に積層された接着層付き金属箔1の金属箔10が加工されたものであってもよく、最外層に積層されたプリント配線板200の導電層11であってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態の接着層付き金属箔、金属張積層板、プリント配線板及び多層プリント配線板について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形されたものであってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ポリアミドイミドの合成]
(合成例1)
まず、ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、飽和脂環式炭化水素基を有するジアミン化合物Aとして(4、4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン(ワンダミンHM(WHM)、新日本理化社製、商品名)45mmol、シロキサンジアミン化合物Bとして反応性シリコーンオイル(X−22−161−B、信越化学工業社製、アミン当量:1500、商品名)5mmol、無水トリメリット酸(TMA)105mmol、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)145gを入れ、フラスコ内の温度を80℃に設定して30分間撹拌した。
撹拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを更に添加し、フラスコ内の温度を160℃に昇温して約2時間還流した。水分定量受器に理論量の水が貯留され、水の留出が見られなくなっていることを確認した後、水分定量受器中の水を除去しながら、フラスコ内の温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコ内の溶液を室温まで戻した後、ジイソシアネートとして4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)60mmolを添加し、フラスコ内の温度を190℃に上昇させて2時間反応させた後、NMPで希釈して、合成例1のポリアミドイミドのNMP溶液(固形分濃度30質量%)を得た。このNMP溶液の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、53000であった。
(合成例2)
まず、ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、飽和脂肪族炭化水素基を有するジアミン化合物CとしてジェファーミンD−2000(サンテクノケミカル社製、商品名)30mmol、芳香族ジアミン化合物Dとして(4、4’−ジアミノ)ジフェニルメタン(DDM)120mmol、無水トリメリット酸(TMA)315mmol、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)442gを入れ、フラスコ内の温度を80℃に設定して30分間撹拌した。
撹拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mLを更に添加し、フラスコ内の温度を160℃に昇温して約2時間還流した。水分定量受器に理論量の水が貯留され、水の留出が見られなくなっていることを確認した後、水分定量受器中の水を除去しながら、フラスコ内の温度を190℃まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
フラスコ内の溶液を室温まで戻した後、ジイソシアネートとして4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)180mmolを添加し、フラスコ内の温度を190℃に上昇させて2時間反応させた後、NMPで希釈して、合成例2のポリアミドイミドのNMP溶液(固形分濃度30質量%)を得た。このNMP溶液のMwをゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、74000であった。
(比較合成例1)
MDI量を50mmolに変更したこと以外は、合成例1と同様にしてポリアミドイミドのNMP溶液を得た。なお、このNMP溶液のMwをゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、23000であった。
(比較合成例2)
MDI量を190mmolに変更し、反応時間を3時間に変更したこと以外は、合成例2と同様にしてポリアミドイミドのNMP溶液を得た。このNMP溶液のMwをゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、270000であった。
[接着層用樹脂ワニス(硬化性樹脂組成物)の調製]
(調製例1)
(A)成分であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN−500、東都化成社製、商品名)5.0gに、(B)成分であるノボラック型フェノール樹脂(MEH7500、明和化成社製、商品名)3.1g、及び、(C)成分である合成例1で得られたポリアミドイミドのNMP溶液18g配合し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、N−メチル−2−ピロリドン28g及びメチルエチルケトン13gを配合して、調製例1の接着層用樹脂ワニス(固形分濃度約20質量%)を調製した。
なお、YDCN−500とMEH7500に2E4MZを添加した樹脂を硬化して得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、190℃であった。ここで、ガラス転移温度Tgは、JIS−K7121−1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値である。
(調製例2)
(A)成分であるビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬社製、商品名)5.0gに、(B)成分であるビスフェノールAノボラック樹脂(YLH129、ジャパンエポキシレジン社製、商品名)2.0g、(C)成分である合成例2で得られたポリアミドイミドのNMP溶液38g、及び、(D)成分であるカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂(KS−23Z、積水化学工業株式会社製、商品名)0.8gを配合し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、N−メチル−2−ピロリドン35g及びメチルエチルケトン13gを配合して、調製例2の接着層用樹脂ワニス(固形分濃度約20質量%)を調製した。
なお、NC−3000HとYLH129に2E4MZを添加した樹脂を硬化して得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、170℃であった。
(調製例3)
(A)成分であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(N−770、大日本インキ化学工業社製、商品名)5.0gに、(B)成分であるクレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA−1163、大日本インキ化学工業社製、商品名)3.9g、(C)成分である合成例2で得られたポリアミドイミドのNMP溶液55g、及び、(D)成分であるカルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(XER−91SE−15、JSR株式会社製、商品名、固形分濃度15質量%)を8.5g配合し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、N−メチル−2−ピロリドン39g及びメチルエチルケトン20gを配合して、調製例3の接着層用樹脂ワニス(固形分濃度約20質量%)を調製した。
なお、N−770とKA−1163に2E4MZを添加した樹脂を硬化して得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、190℃であった。
(調製例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DER−331L、ダウケミカル日本社製、商品名
)5.0gに、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA−1163、大日本インキ
化学工業社製、商品名)3.2g、及び、合成例2で得られたポリアミドイミドのNMP溶液50gを配合し、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、N−メチル−2−ピロリドン46g及びメチルエチルケトン15gを配合して、調製例4の接着層用樹脂ワニス(固形分濃度約20質量%)を調製した。
なお、DER−331LとKA1163に2E4MZを添加した樹脂を硬化して得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、135℃であった。
(比較調製例1)
ポリアミドイミドのNMP溶液として、合成例2で得られたものに代え、比較合成例1で得られたものを用いたこと以外は、調製例2と同様にして接着層用樹脂ワニスを調製した。
(比較調製例2)
ポリアミドイミドのNMP溶液として、合成例2で得られたものに代え、比較合成例2で得られたものを用いたこと以外は、調製例2と同様にして接着層用樹脂ワニスを調製した。
[絶縁樹脂層用プリプレグの作製]
(作製例1)
まず、冷却管、温度計、攪拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコ内に、トルエン400gとポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPOノリルPKN4752、日本ジーイープラスチックス社製、商品名)120gを入れ、フラスコ内の温度を90℃に加熱しながら攪拌溶解した。
次に、撹拌しながらフラスコ内にトリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製、商品名)80gを添加し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、ラジカル重合開始剤としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製、商品名)2.0gを添加した後、更にトルエン70gを配合して、固形分濃度約30質量%の絶縁樹脂層用ワニスを得た。
得られた絶縁樹脂層用ワニスを、厚さ0.1mmのガラス繊維(Eガラス、日東紡績社製)に含浸した後、120℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有割合が50質量%である作製例1の絶縁樹脂層用プリプレグを得た。
(作製例2)
まず、冷却管、温度計、攪拌器を備えた10Lのセパラブルフラスコ内に、テトラヒドロフラン(THF)5000mL、ポリフェニレンエーテル樹脂(ノリルPPO646−111、日本ジーイープラスチックス社製、商品名)100gを入れ、フラスコ内の温度を60℃に加熱しながら攪拌溶解した。これを室温に戻した後、窒素気流下でn−ブチルリチウム(1.55mol/L、ヘキサン溶液)540mLを添加し、1時間撹拌した。更に、臭化アリル100gを添加して30分間撹拌した後、適量のメタノールを配合し、沈殿したポリマーを単離してアリル化ポリフェニレンエーテルを得た。
次に、冷却管、温度計、攪拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコ内に、トルエン400gと上述のアリル化ポリフェニレンエーテル100gを入れ、フラスコ内の温度を90℃に加熱しながら攪拌溶解した。次に、撹拌しながらフラスコ内にトリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製、商品名)100gを添加し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、ラジカル重合開始剤としてα、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製、商品名)2.5gを添加した後、更にトルエン70gを配合して、固形分濃度約30質量%の絶縁樹脂層用ワニスを得た。
得られた絶縁樹脂層用ワニスを、厚さ0.1mmのガラス繊維(Eガラス、日東紡績社製)に含浸した後、120℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有割合50質量%の作製例2の絶縁樹脂層用プリプレグを得た。
(作製例3)
まず、冷却管、温度計、攪拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコ内に、トルエン400gとポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPOノリルPKN4752、日本ジーイープラスチックス社製、商品名)120gを入れ、フラスコ内の温度を90℃に加熱しながら攪拌溶解した。次に、撹拌しながらフラスコ内に1、2−ポリブタジエン(B−1000、日本曹達社製、商品名)80g、架橋助剤としてジビニルベンゼン(DVB)10gを添加し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、ラジカル重合開始剤としてα、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製、商品名)2.0gを添加した後、更にトルエン70gを配合して、固形分濃度約30質量%の絶縁樹脂層用ワニスを得た。
得られた絶縁樹脂層用ワニスを、厚さ0.1mmのガラス繊維(Eガラス、日東紡績社製)に含浸した後、120℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有割合50質量%の作製例3の絶縁樹脂層用プリプレグを得た。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
(接着層付き金属箔の作製)
調製例1〜4及び比較調製例1〜2で得られた接着層用樹脂ワニスを、厚さ12μmの電解銅箔(F0−WS−12、ロープロファイル銅箔、古河電気工業社製)のM面(表面粗さ(Rz)=0.8μm)にそれぞれ自然流延塗布した後、150℃で5分間乾燥させて、実施例1〜4及び比較例1〜2の接着層付き金属箔を作製した。乾燥後の接着層の厚さは3μmであった。なお、調製例1〜4のワニスを用いた場合がそれぞれ実施例1〜4に該当し、また比較調整例1〜2のワニスを用いた場合がそれぞれ比較例1〜2に該当する。
(両面銅張積層板の作製)
上述の作製例1〜3のいずれかの絶縁樹脂層用プリプレグ4枚を重ねてなる基材の両面に、実施例1〜4及び比較例1〜2の接着層付き金属箔を、それぞれの接着層が接するように被着させた後、200℃、3.0MPa、70分のプレス条件で加熱加圧成形して、実施例1〜4、比較例1〜2の接着層付き金属箔を用いた両面銅張積層板(厚さ:0.55mm)をそれぞれ作製した。各実施例又は比較例における接着層付き金属箔と絶縁層用プリプレグとの組み合わせは、表1に示す通りとした。
(多層基板の作製)
まず、上記と同様に、実施例1〜4及び比較例1〜2の接着層付き金属箔をそれぞれ用いた両面銅張積層板を形成し、これらの銅箔部分を完全にエッチングにより除去した。その後、銅張積層板の作製時に使用した絶縁樹脂層用プリプレグと同一のプリプレグを、銅箔除去後の両面銅張積層板の両面に1枚ずつ配置し、その外側に接着層を設けていない厚さ12μmの電解銅箔(GTS−12、一般銅箔、古河電気工業社製、M面表面粗さ(Rz)=8μm、商品名)を、そのM面が接するように被着させた後、200℃、3.0MPa、70分のプレス条件で加熱加圧成形して、多層基板を作製した。なお、実施例1〜4及び比較例1〜2の接着層付き金属箔と、作製例1〜3の絶縁樹脂層用プリプレグとの組み合わせについては、表1に示す。
[比較例3〜4]
比較のため、作製例1の絶縁樹脂層用プリプレグ4枚を重ねてなる基材の両面に、接着層を設けていない厚さ12μmの電解銅箔(F0−WS−12、古河電気工業社製、商品名)、又は、接着層を設けていない厚さ12μmの電解銅箔(GTS−12、一般銅箔、古河電気工業社製、M面表面粗さ(Rz):8μm、商品名)を、これらのM面が接するように被着させた後、200℃、3.0MPa、70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.55mm)をそれぞれ作製した。また、この両面銅張積層板から、上記と同様にして多層基板をそれぞれ作製した。これらのうち、前者の電解銅箔を用いた場合が比較例3に、後者の電解銅箔を用いた場合が比較例4に該当する。
[銅張積層板における銅箔引き剥がし強さの測定]
実施例1〜4、比較例1〜4で得られた両面銅張積層板を、その銅箔が線幅5mmの回路形状を有するように不要な銅箔部分をエッチングにより除去する処理を行い、2.5cm×10cmの平面形状を有する積層板サンプルを作製した。こうして作製したサンプルを、常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)用装置(条件:121℃、2.2気圧、100%RH)中で5時間保持した後、銅箔引き剥がし強さ(単位:kN/m)を、以下の条件で測定した。得られた結果を表1に示す。
・試験方法:90℃方向引張試験
・引張速度:50mm/分
・測定装置:島津製作所製オートグラフAG−100C
なお、この銅箔引き剥がし強さについて、表中「−」で示したものは、PCT中で保持した後に、すでに銅箔が剥離していたため、銅箔引き剥がし強さを測定できなかったことを意味する。
[銅張積層板及び多層基板のはんだ耐熱性の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた両面銅張積層板及び多層基板を、それぞれ50mm角に切断した後、両面銅張積層板は、片側の銅箔を所定形状にエッチングし、また多層基板は外層の銅箔をエッチングにより完全に除去した後に、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)用装置(条件:121℃、2.2気圧)中に所定時間(1〜5時間)保持した。その後、これらを、260℃の溶融はんだに20秒間浸漬して、この処理後の両面銅張積層板及び多層基板各3枚の外観を目視で調べた。得られた結果を表1に示す。なお、表中の数字は、はんだ浸漬後の銅張積層板3枚のうち、絶縁層及び銅箔(導電層)間に膨れやミーズリングの発生が認められなかったものの枚数を意味する。この数が多いほど、はんだ耐熱性に優れていることを意味する。
[銅張積層板の伝送損失の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜4の両面銅張積層板の伝送損失(単位:dB/m)を、ベクトル型ネットワークアナライザを用いたトリプレート線路共振器法により測定した。なお、測定条件はライン幅:0.6mm、上下グランド導体間絶縁層距離:約1.04mm、ライン長:200mm、特性インピーダンス:約50Ω、周波数:3GHz、測定温度:25℃とした。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005176069
表1より、実施例1〜4では、比較例1〜4に比して、優れた銅箔引き剥がし強さ及びはんだ耐熱性が得られ、また、低伝送損失化が可能であることが判明した。
この結果から、本発明によれば、特に高周波帯での伝送損失を十分に低減可能であり、しかも絶縁層及び導電層間の接着力を十分に強くしたプリント配線板を形成可能な接着層付き金属箔を提供することができることが確認された。したがって、この金属箔を用いて得られる金属張積層板、印刷配線板、多層配線板も、低伝送損失であり、良好な耐熱特性(特に吸湿後も良好な耐熱特性)を有することができる。
好適な実施形態に係る接着層付き金属箔の部分斜視図である。 好適な実施形態の金属張積層板の部分断面図である。 好適な実施形態のプリント配線板の部分断面図である。 好適な実施形態の多層プリント配線板の部分断面図である。
符号の説明
1…接着層付き金属箔、10…金属箔、11…導電層、12…M面、20…接着層、30、32…接着硬化層、40,42…絶縁樹脂層、50…絶縁層、60、62…めっき皮膜、70、72…スルーホール、100…金属張積層板、110…導電層、200…プリント配線板、210…内層コア基板、300…多層プリント配線板。

Claims (11)

  1. 金属箔と、該金属箔上に設けられた接着層と、を備える接着層付き金属箔であって、
    前記接着層は、(A)成分;多官能エポキシ樹脂、(B)成分;多官能フェノール樹脂、及び、(C)成分;ポリアミドイミドを含有する硬化性樹脂組成物からなり、
    前記(C)成分は、その重量平均分子量が5万以上25万以下である、接着層付き金属箔。
  2. 前記(A)成分及び前記(B)成分は、これらの混合物の硬化後のガラス転移温度が150℃以上となるものである、請求項1記載の接着層付き金属箔。
  3. 前記(A)成分が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル−アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、低級アルキル基置換フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び多官能脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂を含有する、請求項1又は2記載の接着層付き金属箔。
  4. 前記(B)成分が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、及び、ノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能フェノール樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  5. 前記(C)成分が、飽和炭化水素からなる構造単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  6. 前記(C)成分の配合割合が、前記(A)成分及び前記(B)成分の合計100質量部に対して10〜400質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  7. 前記硬化性樹脂組成物が、(D)成分として、架橋ゴム粒子及び/又はポリビニルアセタール樹脂を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  8. 前記(D)成分が、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋ゴム粒子である、請求項7記載の接着層付き金属箔。
  9. 前記接着層が、前記硬化性樹脂組成物及び前記溶媒を含有する樹脂ワニスを、前記金属箔の表面上に塗布して樹脂ワニス層を形成した後、前記樹脂ワニス層から前記溶媒を除去することにより得られたものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  10. 前記接着層の膜厚が、0.1〜5μmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
  11. 前記金属箔の前記接着層が形成される側の面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着層付き金属箔。
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