JP2013193028A - 濾材及び燃料フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】微小ダストの捕捉効率を高めつつも、カーディングの安定化とフィルタの長寿命化を同時に達成でき、且つ、原料の調達が容易な濾材を提供する。
【解決手段】合成樹脂からなる補強材と、長繊維不織布から構成される表材と、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層を2層以上積層した中間材と、長繊維不織布から構成される裏材とがこの順に積層され、且つ各材間が部分融着されており、前記短繊維層間では、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合が増えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はダストを捕捉する濾材に関し、コンパクトな形状であり、且つ、カーディングの安定性、ダストの捕捉性能にも優れ、さらにフィルタ寿命の長い濾材に関するものである。
自動車用燃料タンクには、燃料ポンプの吸い込み側に、燃料タンク内に混入した異物やカーボンダストを除去するための燃料フィルタ(サクションフィルタ)が設置されている。この燃料フィルタ用濾材としては、例えば、メッシュ構造を有する織物や、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、及びメルトブロー不織布等の不織布を、任意に積層して得られる材料が使用されている。
通常、ダストは不織布層の繊維間に捕捉される。近年では、濾材に更なるダスト捕捉能が求められており、数μm〜50μm程度の微小なダストであっても捕捉できる密な濾材の提供が望まれている。しかし、濾材が密になるほど、捕捉を続けたときに繊維間に蓄積されるダストの量も増加して、濾材の圧力損失が高くなる。そのため、微小ダストを捕捉できる繊維間の密な濾材ほど、長時間に亘って使用することが困難であった。
上記課題に対処するため、不織布層の密度や繊維径に勾配を設けた濾材が知られている。例えば、スパンボンド法により形成される長繊維不織布を複数積層する濾材であって、長繊維不織布を形成する繊維径や、不織布の目付を変えることにより、長繊維不織布間に密度勾配を作り、粒径に応じて段階的にダストを捕捉する自動車用燃料フィルタが提供されている(特許文献1)。
また、中間層における通液性低下の問題に対処するため、短繊維から構成される2層のスパンレース不織布の間に、中間層として熱可塑性長繊維不織布を積層した濾材であって、不織布の厚さ方向に繊維径を変化させて、大きさの異なる粒子を順次捕捉する傾斜機能を有するサクションフィルタ用フィルタ材が提供されている(特許文献2)。
更に、長繊維不織布層の間にスパンレース不織布及びメルトブロー不織布を積層した濾材であって、スパンレース不織布とメルトブロー不織布との間に、繊度勾配を設け、フィルタの上流側に繊維径が大きな層を、下流側に小さな層を配することで、フィルタ寿命を向上させる燃料用フィルタ材も知られている(特許文献3)。
特開2003−236321号公報 特開2011−184832号公報 特開2006−187710号公報
しかしながら、特許文献1に記載される自動車用燃料フィルタは、ダスト捕捉能を有する層がスパンボンド法により形成される不織布であるため、不織布の繊維径を10μm以下に制御することが困難であった。そのため、特許文献1に記載の自動車用燃料フィルタでは、粒径が10μm以下という極めて微小なダストを捕捉することができなかった。
一方、特許文献2に記載されるサクションフィルタ用フィルタ材では、スパンレース不織布の原料として繊維径10μm以下の繊維を用いるものの、繊維径が細すぎるため、安定的にカーディングをすることができず、繊維を均一に分散することが困難であった。
特許文献3に記載される燃料用フィルタ材は、スパンレース不織布とメルトブロー不織布を積層しているものの、メルトブロー不織布を構成する繊維の繊維径を10μm以下に制御すると、繊維間の接合力が弱く、ダストとの接触により繊維が摩耗し、繊維屑が発生するという不具合が生じていた。繊維屑の発生を抑制するには、メルトブロー不織布を熱融着させたり、物理的に圧着せねばならず、フィルタ寿命が短くなるという欠点を有していた。
以上の様に、従来技術では、微小ダストを捕捉するために繊維径を細くしているが、そうするとカーディングやフィルタ寿命に難点が生じる。さらに、いずれの文献に記載されるフィルタも、不織布を構成する繊維径を変化させることにより、不織布間に勾配を設けダストを段階的に捕捉しているため、これらの方法では、原料として径の異なる多数の繊維を揃えねばならず、その調達や在庫量管理が煩雑であった。
このような状況の下、本発明では、微小ダストの捕捉効率を高めつつも、カーディングの安定化とフィルタの長寿命化を同時に達成でき、且つ、原料繊維の種類を低減できる濾材の提供を目的として掲げた。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層を2層以上積層し、短繊維層間において、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合が増やすことにより、上記課題を解決できることを見出した。短繊維層の原料として分割繊維を用いると、分割繊維はカーディング時には太径の繊維であるため、分割繊維が均一に分散されたウェブを形成することができる。そして、その後の工程で繊維を分割することで、繊維径を細くでき、微小ダストの捕捉効率も高めることができる。更に、この細径化を、分割繊維と非分割繊維の混綿により達成しているため、短繊維層に目の細かい部分と目の粗い部分の両方が存在することになり、これによりフィルタの目詰まりを防止することが可能となる。加えて、分割繊維の配合量を段階的に変化させたことにより、原料としては一種の分割繊維を用いたとしても、所望の傾斜特性を持たせることができ、原料繊維の種類を低減できることが分かった。
すなわち、本発明に係る濾材は、合成樹脂からなる補強材と、長繊維不織布から構成される表材と、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層を2層以上積層した中間材と、長繊維不織布から構成される裏材とがこの順に積層され、且つ各材間が部分融着されており、前記短繊維層間では、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合が増えていることを特徴とする。また、前記分割繊維は、長さ方向に剥離された後の極細繊維の状態で存在し、前記極細繊維の繊度が0.10dtex以上0.35dtex以下であり、さらに前記非分割繊維の繊度が1.0dtex以上10dtex以下であることが望ましい。加えて、最表側の短繊維層の分割繊維の割合が、10質量%以上50質量%未満であり、最裏側の短繊維層の分割繊維の割合が、50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。さらに、短繊維層間における、分割繊維の繊度及び非分割繊維の繊度の変化量がいずれも±20%以内に維持されていることが好ましい。また、部分融着されている部分が、濾材の表面に対し、面積比で0.2%以上5.0%以下であることが望ましい。さらに、前記短繊維層がウォーターパンチ加工により製造されていることが好ましい。
また、本発明には前記濾材が配置される燃料フィルタも包含される。
本発明によれば、濾材の短繊維層として、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層を2層以上積層し、短繊維層間において、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合が増やすことにより、小粒径のダストを捕捉でき、且つ、フィルタ寿命を長く維持することが可能となる。また、本発明では、分割繊維の配合割合を変化させることで短繊維層間に勾配を設けるため、原料繊維の調達が簡便である。
図1は、本発明の濾材の一例を示す拡大断面図である。
以下、本発明に係る濾材に関して、実施例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.濾材の構成
図1は、本発明の濾材の一例を示す拡大断面図である。この図1は、濾材10を切断したときの切断面の様子を表している。図示例の濾材10は、合成樹脂からなる補強材1、長繊維不織布から構成される表材2、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層(短繊維不織布)3、4、5を2層以上(図示例では3層に)積層した中間材8、及び長繊維不織布から構成される裏材9がこの順に積層されて形成されている。図示例の濾材10では、別々に製造された各層を順に積層した後、超音波溶着機を用いて部分融着することにより各層を接合している。ダストを含む気体又は液体を補強材1側から流入すると、気体又は液体中のダストは、粒径に応じて濾材10を構成する各材料の繊維間に捕捉される。
2.中間材8
上記濾材10において、中間材8では、表材2に近い短繊維層(図1における短繊維層3)ほど分割繊維の配合量が少なく、裏材9に近い短繊維層(図1における短繊維層5)ほど分割繊維の配合割合が高くなっている。すなわち、図示例の短繊維層3〜5は、濾材10の表側から裏側に向けて順に(短繊維層3、短繊維層4、短繊維層5の順に)、短繊維層中の分割繊維の割合が増えている。この様に、勾配をつけて分割繊維の配合量の異なる短繊維層を積層すると、分割繊維の部分で目を細くすることができるため、粒径に応じてダストを捕捉することが可能となる。
より詳細に説明すると、前記分割繊維は、ウェブから短繊維層を形成する際の機械的な力により長さ方向に剥離される。そのため、分割繊維は、短繊維層3〜5中では剥離後の極細繊維として存在しており、この極細繊維間に形成される微小な隙間の存在により、短繊維層では粒径の小さなダストであっても捕捉することができる。一方、非分割繊維の繊維は極細繊維に比べ太く、非分割繊維の存在する箇所には繊維間空隙が大きくなりやすい。この大きな空隙の存在により、気体や液体を少ない抵抗で通過させることが可能となる。このような分割繊維と非分割繊維とを組み合わせて中間材8を形成しているため、微小ダストの捕捉効率を高めながら、フィルタの目詰まりの防止が可能となる。しかも分割繊維を用いると、単に繊維間の隙間を小さくできるだけでなく、カーディングの安定化や原料繊維の種類の低減にも貢献する。この様に本発明では分割繊維が重要な役割を果たしている。以下に、より詳細を説明する。なお、本明細書において分割繊維とは、繊維の長さ方向に剥離される短繊維を意味し、非分割繊維とは、繊維の長さ方向に剥離できない短繊維を意味する。
2−1.分割繊維
本発明で使用する分割繊維は、第1の樹脂領域(一成分樹脂)と、この第1の樹脂とは異なる第2の樹脂領域(他成分樹脂)を交互に配置することにより形成されており、且つ、繊維表面が保護膜で被覆されている。異なる樹脂領域が存在することで、短繊維層を製造する際(詳細は後述するが、例えば、ウォーターパンチ加工等による機械的絡合時)の機械的な力によって当該樹脂領域の境界に剥離応力が集中し、保護膜による結束を打ち破って、分割繊維が当該境界から長さ方向に分割する。この様な分割繊維を用いて中間材8を形成する場合には、後の製造過程で繊維を分割可能である限り、はじめから分割させておく必要はなく、例えば、分割繊維をそのまま(分割することなく)カーディングすることが可能となる。そうすると、カーディングする繊維を太径にしておくことができ、極細繊維をカーディングする場合に比べ、繊維の取り扱いが容易になる。さらに、非分割繊維と分割繊維の配合量を変更することで、繊維間の目開きの程度を調整することができ、直径の異なる繊維を多数準備しておく必要がなくなる。
分割繊維に関し、分割(剥離)前の繊度は、例えば、1dtex以上8dtex以下であることが好ましく、より好適には2dtex以上5dtex以下である。分割繊維の剥離前の繊度が前記範囲内であれば、カーディング工程を安定して実施することができる。
また、分割(剥離)後の繊度は、例えば、0.10dtex以上0.35dtex以下であることが好ましく、より好適には0.15dtex以上0.25dtex以下である。剥離後の繊度が前記範囲内であれば、小粒径のダストであっても捕捉できるため、捕集効率が向上する。
分割繊維としては、一成分樹脂と他成分樹脂が、花びら型、米字型、中空放射型等の放射状に複合化された繊維;層状に複合化された繊維;等の剥離型複合繊維を適宜使用するとよい。本発明では、中でも、ダストの捕捉効率を上げるため、分割数を上げることのできる中空放射型に複合化された繊維を使用することが望ましい。
分割繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、剥離前の繊維の断面形状が、例えば、丸型、小判型、矩形型、中空型、ドーナツ型等の繊維を使用するとよく、剥離後の繊維の断面形状は、例えば、丸型、かまぼこ型、矩形型、三角型等の繊維を適宜採用するとよい。
分割繊維の原料としては、複合繊維を紡糸できる樹脂が使用され、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン樹脂、アラミド樹脂等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;から選択される樹脂が好適に使用される。一成分樹脂と他成分樹脂として使用される樹脂の組合せは、これらが非相溶性であることが望ましく、中でも、ポリエステル系樹脂とポリアミド系樹脂の組合せ、ポリエステル系樹脂から選択される2種の樹脂の組合せ、又はポリオレフィン系樹脂から選択される2種の樹脂の組合せが好ましい。更に、ポリエチレンテレフタレート樹脂とナイロン樹脂の組合せ、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の組合せ、又はポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の組合せがより好適であり、耐油性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂とナイロン樹脂の組合せが最も好適である。
また分割繊維は、長さ方向に2以上に分割できることが望ましく、8以上に分割できることがより望ましい。また、分割繊維の分割数に上限はないものの、好ましくは長さ方向に24以下に分割できる繊維であり、より好適には16以下である。分割数が前記範囲内であれば、ダストの捕集効率を向上させながら、フィルタの長寿命化を達成できる。
分割繊維の繊維長は、例えば、20〜100mmであることが好ましく、より好適には30〜90mmであり、更に好適には40〜80mmである。
なお、分割繊維は、第1及び第2の樹脂と異なる樹脂から形成される1種又は2種以上の樹脂領域を含有していてもよい。また保護膜は必須ではない。さらに1種又は複数種の分割繊維で各短繊維層を形成してもよく、分割繊維の種類は、短繊維層間で同一であってもよく、異なっていてもよい。
2−2.非分割繊維
次に、短繊維層3〜5に用いる非分割繊維について詳述する。短繊維層3〜5の原料として、本発明では前記分割繊維と共に非分割繊維を用いる。短繊維層を構成する原料として非分割繊維を使用すると、非分割繊維の繊度が高いため、短繊維層に比較的大きな繊維間空隙が形成される。この空隙の存在により、濾材10を通過する気体又は液体の量を調整することができる。加えて、短繊維層3〜5の目付を維持しながら嵩高くできるため、ダストの保持量向上に繋がる。これにより、濾材10のフィルタ寿命をより長く維持できるようになる。また、非分割繊維を配合することにより、分割繊維の配合量を適宜調整することが可能となる。
非分割繊維の繊度は、例えば、1.0dtex以上10dtex以下であることが好ましく、1.5dtex以上3.0dtex以下がより好適である。非分割繊維の繊度が前記範囲内であれば、ダスト保持量が向上するため望ましい。また、非分割繊維がポリエステル繊維である場合、例えば、非分割繊維の繊度は1.0dtex以上5.0dtex以下であることが好ましく、より好適には1.5dtex以上3.0dtex以下である。非分割繊維の繊度が前記範囲内であれば、ダストの捕集効率向上と、フィルタの長寿命化を同時に達成できるため望ましい。
非分割繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維等の合成繊維;レーヨン繊維等の再生繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;を使用するとよい。中でも、耐油性に優れたポリエステル繊維の使用が望ましい。
非分割繊維の断面形状は、特に限定されないが、非分割繊維として、丸型断面形状を有する繊維や、三角型、星型、多角形型、Y型、L型等の異型断面形状を有する繊維を使用するとよい。
非分割繊維の繊維長は、例えば、20〜100mmであることが好ましく、より好適には30〜90mmであり、更に好適には35〜80mmである。
特に、分割繊維と非分割繊維の両方を混綿して形成される短繊維層では、分割繊維と非分割繊維の繊維長の比(分割繊維の繊維長/非分割繊維の繊維長)は、70/30〜30/70であることが好ましく、より好適には50/50である。繊維長の比が前記範囲内であれば、短繊維層に繊維間が密な部分と粗な部分を均一に形成できる。そのため、フィルタの捕捉効率が向上し、且つ、フィルタを長時間に亘って使用することが可能となる。
なお、一つの短繊維層の原料として用いられる非分割繊維は、1種のみであってもよく、複数種を混合したものであってもよい。また、非分割繊維の種類は、短繊維層間で同一であってもよく、異なっていてもよい。
2−3.短繊維層の製造方法
短繊維層3〜5は、それぞれ、前述した分割繊維及び/又は非分割繊維を混綿し、カード機等を用いてカーディングを実施しウェブを形成した後、形成されたウェブを機械的に絡合されることにより製造されることが望ましい。機械的絡合法としては、ウォーターパンチ加工や、ニードルパンチ加工が好適である。中でも、ウォーターパンチ加工であれば、加工時に負荷される圧力により、分割繊維を分割し、極細繊維にすることができる。ノズルから噴射される水の圧力は、特に限定されるものではないが、60kg/cm2以上150kg/cm2以下が好適である。圧力が60kg/cm2を下回ると、分割繊維の剥離状態が充分ではなく、所望のフィルタ性能が得られなくなる虞がある。一方、圧力が150kg/cm2を超えると過剰なエネルギーを要す上、短繊維層の表面に水流の跡が残存し、繊維間が過密になる虞がある。水圧は分割繊維の種類に応じて適宜変更するとよい。
2−4.中間材
中間材8は、分割繊維の配合割合順に製造された短繊維層3〜5を積層することで形成されており、短繊維層3〜5は、濾材10の表側から裏側に向けて順に(短繊維層3、短繊維層4、短繊維層5の順に)、短繊維層中の分割繊維の割合が高くなっている。
短繊維層間での分割繊維の配合割合は、例えば、最表側の短繊維層(図1では短繊維層3)の分割繊維の割合は、10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、また最裏側の短繊維層(図1では短繊維層5)の分割繊維の割合は、50質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。このように、短繊維層3〜5に配合される分割繊維の割合を順に高めることにより、濾材10の使用時において、粒径に応じてダストを捕捉することが可能となる。また、ダストを段階的に捕捉することにより、目詰まりを起こしにくく、且つ、フィルタ寿命の長い濾材10が得られる。なお本発明では、最表側の短繊維層3の分割繊維の割合が、20質量%以上40質量%未満であり、最裏側の短繊維層5の分割繊維の割合が、60質量%以上70質量%以下であることがより好ましい態様である。分割繊維の配合割合が前記範囲内であれば、濾材10が更に高い捕集効率を発揮しながら、濾材の長寿命化を達成できる。
中間材8では表側から裏側に向けて順に分割繊維の配合割合が増えており、裏側に存在する短繊維層ほど繊維間が密になっているため、濾材10の目詰まりを抑制するために、短繊維層3〜5は、表側から裏側に向けて順に(すなわち、短繊維層3、短繊維層4、短繊維層5の順に)、短繊維層を薄くすることが望ましい。最表側の短繊維層3と最裏側の短繊維層5の厚さの関係は、例えば、最裏側の短繊維層5の厚さが、最表側の短繊維層3の厚さに対し、0.4倍以上0.8倍以下が好適であり、より好適には0.5倍以上0.75倍以下である。
また本発明では、分割繊維の配合量を変えることにより中間材8に勾配を設けているため、原料繊維の繊維径が、短繊維層間で同程度であっても、中間材8に勾配を持たせることができる。すなわち、本発明によれば、短繊維層3〜5の原料繊維は、短繊維層間で繊度が大きく変化している必要がなく、例えば、全ての短繊維層で繊度が同じ、又は、短繊維層の最大の繊度を有する繊維と、最小の繊維を有する繊維の繊度差が極めて小さい場合であっても、所望の傾斜特性を有する中間材8を形成できる。
分割繊維の場合、最大の繊度を有する繊維の繊度(最大繊度)と最小の繊度を有する繊維の繊度(最小繊度)の差は、最大繊度に対し、例えば、±20%以内に維持されることが望ましく、±10%以内に維持されることがより望ましく、使用される分割繊維の繊度が、全ての短繊維層で等しいことが更に好ましい。
また、非分割繊維についても、分割繊維の場合と同様に、最大繊度に対する最大繊度と最小繊度の繊度差は、例えば、±20%以内に維持されることが望ましく、±10%以内に維持されることがより望ましい。
なお、分割繊維の繊度には、分割(剥離)前の分割繊維の繊度を適用する。
本発明では、原料として用いる分割繊維と非分割繊維の繊度は繊維層間で一定値以内に維持されている。しかし、分割繊維の配合量を変えているため、短繊維層3〜5は、表側から裏側に向けて順に(すなわち、短繊維層3、短繊維層4、短繊維層5の順に)、繊維の平均繊維径が小さくなっている。最裏側の短繊維層5の平均繊維径は最表側の短繊維層3の平均繊維径に対し、0.20倍以上0.85倍以下であることが望ましく、より好適には0.25倍以上0.60倍以下である。平均繊維径の比が前記範囲内であれば、ダストをその粒径に応じて段階的に捕捉できるため望ましい。平均繊維径の測定方法については実施例の欄で詳述する。
最表側の短繊維層3の平均繊維径は、5.0μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは8.0μm〜15μmである。また、最裏側の短繊維層5の平均繊維径は、1.0μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは2.0μm〜10μmである。
最表側の短繊維層3の厚みは、0.5mm〜1.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.6mm〜0.8mmである。
また、最裏側の短繊維層5の厚みは、0.3mm〜0.8mmであることが好ましく、より好ましくは0.4mm〜0.7mmである。
最表側の短繊維層3の通気量は、50cc/(sec・cm2)〜120cc/(sec・cm2)であることが好ましく、より好ましくは65cc/(sec・cm2)〜100cc/(sec・cm2)である。
また、最裏側の短繊維層5の通気量は、20cc/(sec・cm2)〜70cc/(sec・cm2)であることが好ましく、より好ましくは35cc/(sec・cm2)〜55cc/(sec・cm2)である。
最表側の短繊維層3の目付は、50g/m2〜180g/m2であることが好ましく、より好ましくは70g/m2〜150g/m2である。
また、最裏側の短繊維層5の目付は、40g/m2〜120g/m2であることが好ましく、より好ましくは50g/m2〜100g/m2である。
中間材8の目付は、100g/m2〜600g/m2であることが好ましく、より好ましくは120g/m2〜500g/m2であり、更に好ましくは140g/m2〜450g/m2である。
中間材8を構成する短繊維層3〜5の積層数は、2以上であり、3以上であることがより好ましい態様である。一方、短繊維層の積層数に上限はないが、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。短繊維層の数が前記範囲内であれば、ダストの捕捉効率を高めながら、フィルタを長寿命化することができる、さらに、濾材10の嵩密度が高まり、濾材10の剛性を向上することが可能となる。一方、短繊維層の積層数が10を超えると、濾材10の製造工程が煩雑になるため好ましくない。
また本発明では、短繊維層間で非分割繊維と分割繊維の割合を変化させることが可能である限り、必ずしも全ての短繊維層で非分割繊維と分割繊維の両方が用いられる必要はない。すなわち、中間の短繊維層で非分割繊維と分割繊維の両方が使用されていれば、はしの短繊維層(最表側又は最裏側の短繊維層)を、非分割繊維のみ又は分割繊維のみで形成してもよい。
3.その他の部材
3−1.補強材
濾材10の最外層として、合成樹脂からなる補強材1が配置されている。補強材1を配置することにより、濾材10が、エンジンの振動により燃料タンクの底部と接触するときに生じる摩耗による影響を抑制できる。更に、燃料が燃料ポンプに流入する際に、比較的大きなゴミや、塗料の破片、錆などの異物が濾材10と摩耗することを防止できる。
補強材1は織物、編物、レース、網、不織布、グリッド等で形成されていることが好ましい。中でも織物を使用することが好ましく、メッシュ織物が好適である。
繊維原料として用いる合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂が例示でき、耐油性の良好なポリエステル系樹脂を採用することが好ましい。
補強材1の原料となる繊維は、平均繊維径が50μm〜300μmであることが好ましく、より好ましくは150μm〜250μmである。また、補強材1の原料となる繊維は、繊度が200dtex〜500dtexであることが好ましく、より好ましくは300dtex〜400dtexである。
補強材1の厚さは、0.2mm〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは、0.3mm〜0.7mmである。補強材1の厚さが前記範囲内であれば、濾材10の有する捕集効果を損なうことなく濾材10を保護することができる。
補強材1の目付は、40g/m2〜300g/m2であることが好ましく、より好ましくは80g/m2〜200g/m2であり、更に好ましくは120g/m2〜170g/m2である。
また、補強材1としてメッシュ織物を用いる場合、目の粗さはメッシュカウントで30〜120であることが好ましく、さらに好ましくは35〜60である。メッシュカウントが前記範囲内であれば、濾材10の有する捕集効果を損なうことなく濾材10を保護することが可能となる。
3−2.表材
前記補強材1と中間材8の間には、長繊維不織布から構成される表材2が配置されている。表材2を配置することにより、燃料タンク内に存在する比較的大きな異物、例えば、粒径100μm以上の塵埃や粗粒子を捕捉し、除去することができる。
表材2には、流入側へ繊維が脱落しにくいことから、スパンボンド法により形成される長繊維不織布(スパンボンド不織布)が好適に用いられる。前記長繊維不織布は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸した後、形成されたウェブを機械的に絡合することにより製造される。ウェブの絡合方法としては、ニードルパンチ加工や、ウォーターパンチ加工が好適である。前記加工であれば、気体又は液体の濾過面積の減少を抑え、長繊維不織布の繊維間が過密になることを抑制することができる。
表材2の原料となる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂が例示できる。中でも、補強材1と同様に、耐油性に優れたポリエステル系樹脂の使用が好適である。
表材2の原料となる繊維は、平均繊維径が1μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは7μm〜25μmである。また、表材2の原料となる繊維は、繊度が1dtex〜10dtexであり、好ましくは1.4dtex〜6dtexである。
表材2の厚さは、0.2mm〜3mmであることが好ましく、より好ましくは0.8mm〜2mmである。
表材2の通気量は、50cc/(sec・cm2)〜300cc/(sec・cm2)であることが好ましく、より好ましくは100cc/(sec・cm2)〜200cc/(sec・cm2)である。
表材2の目付は、原料繊維との関係で決定されるものであるが、例えば、50g/m2〜200g/m2であることが好ましく、より好ましくは80g/m2〜150g/m2であり、更に好ましくは100g/m2〜140g/m2である。
3−3.裏材
濾材10の最外層には、長繊維不織布から構成される裏材9が配置されている。裏材9は中間材8の最も分割繊維の配合量が多い短繊維層側に積層されている。濾材10を使用すると、中間材8に存在する極細繊維が気体又は液体の流入に伴い、次第に吸入ポンプ側に移動する。そこで、繊維の脱落防止層として裏材9を配置することにより、極細繊維が燃料ポンプへ流出することを防止する。
裏材9には、表材2と同様に、スパンボンド法により形成される長繊維不織布(スパンボンド不織布)が用いられる。裏材9に使用される長繊維不織布は、熱可塑性樹脂を溶融防止した後、形成されたウェブにエンボス加工を施すことで製造されることが望ましい。エンボス加工を施し、裏材9の繊維を熱圧着することにより、繊維間が密になるため、極細繊維の抜けを防止できる。裏材9の部分熱圧着率は、例えば、5%〜25%であることが好ましく、より好ましくは7%〜15%である。部分熱圧着率の測定方法については、実施例の欄で詳述する。
裏材9の原料となる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂が例示できる。中でも、補強材1や表材2と同様に、耐油性に優れたポリエステル系樹脂の使用が好適である。
裏材9の原料となる繊維は、平均繊維径が1μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは7μm〜25μmである。また、裏材9の原料となる繊維は、繊度が0.5dtex〜10dtexであり、好ましくは0.9dtex〜3dtexである。
裏材9の厚さは、0.05mm〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
裏材9の通気量は、50cc/(sec・cm2)〜300cc/(sec・cm2)であることが好ましく、より好ましくは80cc/(sec・cm2)〜150cc/(sec・cm2)である。
裏材9の目付は、原料繊維との関係で決定されるものであるが、例えば、10g/m2〜150g/m2であることが好ましく、より好ましくは20g/m2〜100g/m2であり、更に好ましくは30g/m2〜70g/m2である。
なお、裏材9は必要に応じて積層すればよく、本発明において必須ではない。
4.濾材の製造方法
本発明の濾材10は、補強材1と、表材2と、中間材8と、裏材9とがこの順に積層され、さらに、各材間が部分融着されることにより接合されている。濾材10を構成する各材料の原料は熱可塑性樹脂であるため、超音波融着法等を採用することで、接合面積を小さくしながら各材料を接合することができる。
補強材1側から観察したときの部分融着されている部分(以降、部分融着部と称することもある)は、濾材10の表面に対し、面積比で0.2%以上5.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4%以上2.0%以下である。部分融着部が0.2%を下回ると、各材料間が充分に接合されず、剥離を起こす虞があるため望ましくない。一方、部分融着部が5.0%を超えると、濾材10の圧力損失が大きくなり、フィルタ寿命が短くなる虞があるため望ましくない。
濾材10の目付は、400g/m2〜1000g/m2であることが好ましく、より好ましくは500g/m2〜900g/m2であり、更に好ましくは600g/m2〜800g/m2である。
濾材10の通気量は、4cc/(sec・cm2)〜20cc/(sec・cm2)であることが好ましく、より好ましくは5cc/(sec・cm2)〜15cc/(sec・cm2)である。
濾材10の厚さは、1mm〜8mmであることが好ましく、より好ましくは2mm〜6mmであり、さらに好ましくは3mm〜5mmである。
5.燃料フィルタ
本発明の濾材10は、自動車等に搭載される自動車用燃料フィルタのフィルタ材料として、好適に使用できる。例えば、濾材10を長方形状に裁断した後、半分に折り、外周部を超音波融着し袋状に加工したものを、燃料タンク内部に配置するとよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
濾材の特性測定及び性能評価方法は、以下の通りである。
(1)厚さ;JIS L1913の6.1A法に準ず
(2)目付;JIS L1913の6.2法に準ず
(3)通気量(通気性);JIS L1096の8.26A法に準じ、フラジール形試験機を用いて濾材の3箇所を測定し、その平均値を通気量の評価に用いた。
(4)濾過性能(濾過効率)の評価
試験液の溶媒として蒸留水を使用し、蒸留水にJIS Z8901の試験用粉体1の8種タイプのダストを、試験液中のダスト濃度が0.5g/L(0.5重量%)となるように添加した。この試験液を1分間超音波振動させてダストを均一に分散することにより、分散試験液を調製した。濁度計を用いて、得られた分散試験液の濁度(T0)を測定した。
分散試験液を、200cc/minの流量で30秒間、濾材に通過させた。このとき、分散試験液を濾材の補強材から裏材に向けて導入した。濾材通過後の試験液を回収し、回収した試験液の濁度(T1)を、濁度計を用いて測定した。濾過効率は下記式(1)に基づき算出される。
濾過効率(%)=(T0−T1)/T0×100 …(1)
(5)フィルタ寿命の評価
試験液の溶媒として蒸留水を使用し、蒸留水にJIS Z8901の試験用粉体1の8種タイプのダストを、試験液中のダスト濃度が0.5g/L(0.5重量%)となるように添加した。この試験液を1分間超音波振動させて、ダストを均一に分散することにより、分散試験液を調製した。
得られた分散試験液を、200cc/minの流量で圧力損失が2.0kPaに到達するまで濾材に通過させた。このとき、分散試験液を濾材の補強材から裏材に向けて導入した。圧力損失が所定の値になるまでに要した時間を、フィルタ寿命として評価した。
(6)部分熱圧着率(%)の測定方法
作製された不織布(試験片:300mm×300mm)のエンボスロールとの接触面を、電子顕微鏡(倍率:100倍)で観察し、観察した不織布(10mm×10mm)に対し、熱圧着された部分の面積の割合を部分熱圧着率(%)とした。
(7)長繊維不織布(スパンボンド不織布)の繊度
長繊維不織布の表面を電子顕微鏡で観察し、繊維径を測定した。同様の方法で他の10箇所での繊維径を測定し、その平均値を長繊維不織布の繊度とした。
なお、長繊維不織布以外の織物・不織布に用いる繊維の繊度は、カタログに記載される値である。
(8)平均繊維径の測定方法
電子顕微鏡(倍率:100倍)で観察される、布帛を構成する任意の繊維30本について、繊維径を30本それぞれについて測定し、測定された繊維径の平均を平均繊維径とした。
なお、メッシュ織物の原料として使用されるモノフィラメントの平均繊維径は、カタログに記載される値である。
(9)融着面積(%)
濾材(試験片:300mm×300mm)の補強材側の表面を電子顕微鏡(倍率:100倍)で観察し、観察した濾材表面(20mm×20mm)に対し、超音波融着されて接合している部分の面積の割合を、融着面積率(%)として評価した。
<メッシュ構造を有する織物の作製>
ポリエチレンテレフタレート(PET)のモノフィラメント(平均繊維径200μm)からなるメッシュカウント40のメッシュ織物を作製した。メッシュ織物の特性は各表に示す通りである。得られたメッシュ織物を、濾材の補強材として用いた。
<長繊維不織布(スパンボンド不織布)の作製>
ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂)を溶融紡糸し、繊維ウェブを形成した。得られた繊維ウェブにニードルパンチ加工を施し、繊維を交絡させることにより長繊維不織布A(スパンボンド不織布;表中では、CN−Aと記載することもある)を作製した。長繊維不織布Aの特性は各表に示す通りである。
ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂)を溶融紡糸し、繊維ウェブを形成した。得られた繊維ウェブをエンボスロールと平滑ロールの一対の熱ロール間を通過させることで熱圧着し、部分熱圧着率が11%の長繊維不織布B(表中では、CN−Bと記載することもある)を作製した。特性は各表に示す通りである。
長繊維不織布Aと同様の製造方法により、表1に示す目付、繊度、平均繊維径、厚さ、及び通気量を有する長繊維不織布C(表中では、CN−Cと記載することもある)、及び長繊維不織布D(表中では、CN−Dと記載することもある)を作製した。特性は各表に示す通りである。
<分割繊維配合不織布の作製>
分割繊維0%配合不織布(SF0)の作製
繊度1.45dtex、繊維長38mmのポリエステル繊維を、カード機で中間ウェブを形成した後、中間ウェブをクロスラッパーでラッピングした。得られた短繊維ウェブを圧力60〜150kg/cm2でウォーターパンチ加工を行い、分割繊維0%配合不織布(SF0)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維20%配合不織布(SF20)の作製
分割繊維として、繊維剥離前の繊度が3.8dtexであり、繊維長51mmのポリエステル/ナイロン6(重量比2/1)から構成される22分割型の中空放射型複合繊維を使用した。また、非分割繊維として、繊度1.6dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維を使用した。分割繊維と非分割繊維の混合割合が、分割繊維/非分割繊維=20/80となるように混綿し、カード機で中間ウェブを形成した後、中間ウェブをクロスラッパーでラッピングした。得られた短繊維ウェブを圧力60〜150kg/cm2で、ウォーターパンチ加工を行い、分割繊維20%配合不織布(SF20)を得た。特性は各表に示す通りである。なお表中、短繊維層が分割繊維を配合する場合、繊度の欄は、剥離後の分割繊維の繊度/非分割繊維の繊度を示す。
分割繊維30%配合不織布(SF30A)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=30/70に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、分割繊維30%配合不織布(SF30A)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維30%配合不織布(SF30B)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=30/70に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、SF30Aとは目付の異なる分割繊維30%配合不織布(SF30B)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維40%配合不織布(SF40A)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=40/60に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、分割繊維40%配合不織布(SF40A)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維40%配合不織布(SF40B)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=40/60に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、SF40Aとは目付の異なる分割繊維40%配合不織布(SF40B)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維50%配合不織布(SF50)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=50/50に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、分割繊維50%配合不織布(SF50)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維60%配合不織布(SF60)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=60/40に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、分割繊維60%配合不織布(SF60)を得た。特性は各表に示す通りである。
分割繊維100%配合不織布(SF100)の作製
分割繊維と非分割繊維の混合割合を、分割繊維/非分割繊維=100/0に変更する以外は、分割繊維20%配合不織布(SF20)と同様の方法により、分割繊維100%配合不織布(SF100)を得た。特性は各表に示す通りである。
実施例1〜5、比較例1〜2
各表に示す層(補強材、表材、中間材(第1層〜第5層)、及び裏材)を補強材から順に積層し、超音波溶着機を用い、各材料を融着させることにより、濾材を作製した。
Figure 2013193028
Figure 2013193028
Figure 2013193028
短繊維層を2層以上積層している実施例1〜5の濾材は、短繊維層を1層しか積層しない比較例1及び比較例2の濾材に比べ、ダストの濾過効率の向上及びフィルタの長寿命化を同時に達成できる。
実施例4で作製した濾材は、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合を増やした短繊維層を5層積層している。このように実施例4の濾材は、他の実施例に比べ短繊維層の積層枚数を増やしているため、各繊維層がダストを効率よく捕捉することが可能となる。これにより実施例4の濾材は、フィルタ寿命を13分以上に保ちながら、濾過効率を42%まで飛躍的に向上できる。
比較例1の濾材は、中間材に分割繊維を配合した短繊維層を使用していないため、濾過効率が低くなった。これは繊維間に空隙が多く、粒径の大きなダストしか捕捉できなかったことが原因と考えられる。
また比較例2の濾材は、中間材として分割繊維の配合割合が100%の短繊維層のみを使用しており、微小なダストを捕捉できる反面、短繊維層のみに集中してダストが堆積するため、濾材の目詰まりが早く、フィルタ寿命が短くなった。
1 補強材
2 表材
3〜5 短繊維層
8 中間材
9 裏材
10 濾材

Claims (7)

  1. 合成樹脂からなる補強材と、長繊維不織布から構成される表材と、分割繊維及び非分割繊維の1つ以上を含む短繊維層を2層以上積層した中間材と、長繊維不織布から構成される裏材とがこの順に積層され、且つ各材間が部分融着されており、
    前記短繊維層間では、濾材の表側から裏側に向けて分割繊維の配合割合が増えていることを特徴とする濾材。
  2. 前記分割繊維は、長さ方向に剥離された後の極細繊維の状態で存在し、
    前記極細繊維の繊度が0.10dtex以上0.35dtex以下であり、さらに
    前記非分割繊維の繊度が1.0dtex以上10dtex以下である請求項1に記載の濾材。
  3. 最表側の短繊維層の分割繊維の割合が、10質量%以上50質量%未満であり、
    最裏側の短繊維層の分割繊維の割合が、50質量%以上100質量%以下である請求項1または2に記載の濾材。
  4. 短繊維層間における、分割繊維の繊度及び非分割繊維の繊度の変化量がいずれも±20%以内に維持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾材。
  5. 部分融着されている部分が、濾材の表面に対し、面積比で0.2%以上5.0%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の濾材。
  6. 前記短繊維層がウォーターパンチ加工により製造されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の濾材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の濾材が配置されることを特徴とする燃料フィルタ。
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