以下、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この例にかかる改札システムの構成を示す概略図である。この改札システムは、鉄道網の各駅で利用者に対して改札処理を行う。この改札システムは、複数のグループに分割している。グループは、駅単位で構成してもよいし、改札口単位で構成してもよい。図1では、駅単位でグループを構成した改札システムを示している。
この改札システムは、乗車券情報を券面に2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))で印刷した乗車券(以下、QR券と言う。)を使用した改札処理が行える。各グループ(各駅)は、使用状態管理装置1(この発明でいう上位装置に相当する。)と、複数の自動改札機2と、を備えている。
使用状態管理装置1は、QR券の使用状態を管理する。QR券は、上述したように、乗車券であり、券面に乗車券情報を2次元バーコード(QRコード(登録商標))で印刷したものである(図2参照)。乗車券には、図2(A)に示すキップや、図2(B)に示す回数券等がある。QRコード(登録商標)には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間等が乗車券情報として含まれている。識別番号は、そのQR券を識別する固有の番号である。有効期間は、そのQR券が有効である期間を示す情報である。有効区間は、そのQR券で入出場できる駅を示す情報であり、QR券がキップの場合、その発行駅と、そのQR券の価値(有効区間)とで示される。発行駅は、QR券の利用開始駅(利用者が入場する駅)である。また、QR券は、乗車券情報を利用者や駅係員が目視確認できるように券面に文字で印刷している。
自動改札機2は、改札口に設置され、QR券を使用して駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。
使用状態管理装置1は、同じグループに属する複数の自動改札機2を高速専用回線3でデータ通信可能に接続している。また、この改札システムは、各グループの使用状態管理装置1を、LAN4で相互にデータ通信可能に接続している。
なお、図1は、この改札システムを適用した鉄道網の3つの駅(駅A、B、C)を例示しているだけであって、この鉄道網の駅の総数が3つであるということを意味するものではない。また、図1では、特に図示していないが、各駅には、券売機、精算機、係員端末等の駅務機器も設置している。これらの機器の中で、QR券の使用状態をリアルタイムに利用する必要がある機器は高速専用回線3に、それ以外の機器はLAN4により使用状態管理装置1とデータ通信可能に接続している。したがって、これらの機器においても、旅客などの要求によりQR券の使用状態を問合せが行える。さらに、LAN4は、駅間通信の必要な他のシステムの通信回線としても利用している。
図3は、使用状態管理装置の主要部の構成を示すブロック図である。使用状態管理装置1は、制御部11と、第1の通信部12と、第2の通信部13と、使用状態管理データベース14(以下、使用状態管理DB14と言う。)と、を備えている。
制御部11は、使用状態管理装置1本体の動作を制御する。
第1の通信部12は、高速専用回線3で接続されている自動改札機2(同じグループに属する自動改札機2)との間におけるデータ通信を制御する。
第2の通信部13は、LAN4で接続されている他の使用状態管理装置1との間におけるデータ通信を制御する。
使用状態管理DB14は、使用状態管理情報記憶領域14aと、テンポラリ領域14bと、を有している。使用状態管理情報記憶領域14aは、QR券毎に、そのQR券の使用状態管理情報を記憶する領域である。この使用状態管理情報は、QR券がキップの場合、QR券の識別番号、入場フラグ、および出場フラグを含んでいればよい。入場フラグは、いずれかの自動改札機2において、駅への入場にかかる改札処理で使用されたかどうか(すなわち未入場であるか、入場済であるか)を示すフラグである。出場フラグは、いずれかの自動改札機2において、駅からの出場にかかる改札処理で使用されたかどうか(すなわち未出場であるか、出場済であるか)を示すフラグである。
また、QR券が回数券の場合、そのQR券の識別番号と、利用履歴とを含んでいればよい。利用履歴は、改札処理で使用された駅と、入出場の種別と、入出場の日時とを対応づけたものであればよい。
また、テンポラリ領域14bは、前回の整合処理の完了から、次回の整合処理までの間に発生したQR券の使用状態管理情報を一時的に記憶する領域である。この整合処理は、それぞれの使用状態管理装置1が使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶している使用状態管理情報を一致させる処理である。この整合処理の詳細については後述する。
また、テンポラリ領域14bには、前回の整合処理が適正に終了したかどうかを示す整合フラグを記憶している。すなわち、この整合フラグは、全ての使用状態管理装置1が使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶している使用状態管理情報が前回の整合処理で一致したかどうかを示すフラグである。
自動改札機2は、出場用ユニット、入場用ユニット、中立ユニットの中から2つの異なるユニットを対向させて配置し、これら2つのユニット間に形成した改札通路における利用者の通行を制限(通行許可/通行禁止)する。出場用ユニットは、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。入場用ユニットは、駅構内に入場する利用者に対して改札処理を行う。中立ユニットは、駅構内から出場する利用者、および駅構内に入場する利用者の双方に対して改札処理を行わない。自動改札機2は、出場用ユニットと、入場用ユニットとを対向させることで、駅構内から出場する利用者、および駅構内に入場する利用者の双方に対して改札処理が行える。自動改札機2は、出場用ユニットと、中立ユニットとを対向させることで、駅構内から出場する利用者に対してのみ改札処理が行える。自動改札機2は、入場用ユニットと、中立ユニットとを対向させることで、駅構内に入場する利用者に対してのみ改札処理が行える。
図4は、自動改札機の出場用ユニットの外観図である。図5は、自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。ここでは、出場用ユニットと、入場用ユニットとを対向させた自動改札機2を例にして説明する。
自動改札機2は、制御部21と、IC券情報読取部22と、QR券情報読取部23と、QR券回収部24と、利用者検知部25と、表示部26と、扉開閉部27と、通信部28と、を備えている。
制御部21は、自動改札機2本体の動作を制御する。
IC券情報読取部22は、改札通路を通行する利用者が無線通信エリア内に翳した非接触IC券との無線通信により、この非接触IC券に対する乗車券情報の読み取りや、乗車券情報の書き込みを行う。この自動改札機2は、2つのIC券情報読取部22を有する。一方のIC券情報読取部22は、駅構内に入場する利用者にとっての改札通路入口側(図4に示していない入場用ユニット)に取り付け、他方のIC券情報読取部22は、駅構内から出場する利用者にとっての改札通路入口側(図4に示す出場用ユニット)に取り付けている。
QR券情報読取部23は、改札通路を通行する利用者が読取エリア内に翳したQR券の券面に印刷されているQRコード(登録商標)を光学的に読み取る。この自動改札機2は、2つのQR券情報読取部23を有する。一方のQR券情報読取部23は、駅構内に入場する利用者にとっての改札通路入口側(図4に示していない入場用ユニット)に取り付け、他方のQR券情報読取部23は、駅構内から出場する利用者にとっての改札通路入口側(図4に示す出場用ユニット)に取り付けている。
なお、IC券情報読取部22、およびQR券情報読取部23は、中立ユニットに取り付けない。したがって、中立ユニットを利用した自動改札機2が備えるIC券情報読取部22、およびQR券情報読取部23は、それぞれ1つである。
QR券回収部24は、今回の使用で、使用済みになったQR券を回収する。このQR券回収部24は、図4に示す出場用ユニットに設けている(図4に示していない入場用ユニットや、中立ユニットは、QR券回収部24を設けていない。)。
利用者検知部25は、改札通路に沿って配置した複数のセンサにより、改札通路内に位置する利用者の位置を検知する。利用者検知部25は、改札通路を挟んで対向させて配置した一方のユニットに、この改札通路に沿って取り付けた複数の発光素子と、他方のユニットに、各発光素子が対向する位置に取り付けた複数の受光素子と、を有する。利用者検知部25は、発光素子から照射されている光を受光していない受光素子があれば、その受光素子に対応する位置に利用者がいると判断する。
表示部26は、改札通路を通行している利用者に対してメッセージを表示する表示器を2つ備えている。一方の表示器は、入場用ユニットに取り付けており、駅構内に入場する利用者に対するメッセージを表示する。他方の表示器は、出場用ユニットに取り付けており、駅構内から出場する利用者に対するメッセージを表示する。
なお、表示器は、中立ユニットに取り付けない。したがって、中立ユニットを利用した自動改札機2が備える表示器は1つである。
扉開閉部27は、改札通路における利用者の通行を許可しないときに、その利用者の出口側に設けた扉27a、27bを閉する。図4に示す扉27aは、駅構内に入場する利用者に対して開閉する扉であり、扉27bは、駅構内から出場する利用者に対して開閉する扉である。入場用ユニットや中立ユニットにも、対向する位置に扉27a、27bを設けている。
通信部28は、高速専用回線3で接続されている、同じグループに属する使用状態管理装置1との間におけるデータ通信を制御する。
図6は、自動改札機の出場用ユニットにおける改札通路入口側の拡大図である。図6に示すように、改札通路入口側から、IC券情報読取部22の無線通信エリア、QR券情報読取部23の光学読取エリア、QR券投入口24aがこの順に並んでいる。
なお、自動改札機2の入場用ユニットの改札通路入口側は、図6に示すQR券投入口24aが形成されていないだけであり、改札通路入口側から、IC券情報読取部22の無線通信エリア、QR券情報読取部23の光学読取エリアがこの順に並んでいる。また、中立ユニットは、IC券情報読取部22の無線通信エリア、QR券情報読取部23の光学読取エリア、およびQR券投入口24aを備えていない。
次に、QR券回収部24の構成について説明する。図7は、この自動改札機の出場用ユニットが備えるQR券回収部の機構部を示す概略図である。QR券投入口24aには、シャッタ31を設けている。このシャッタ31は、ソレノイド32により開閉される。QR券回収部24は、制御部21の指示にしたがって、ソレノイド32をオン/オフし、シャッタ31を開閉する。
また、QR券投入口24aの内側には、このQR券投入口24aに投入されたQR券を挟持して内部に取り込む一対の搬送ベルト33が設けられている。搬送ベルト33が、QR券の搬送路を形成する。搬送ベルト33は、無端ベルトであり、2つのローラに張架している。モータ34が、搬送ベルト33を張架している一方のローラを駆動する。搬送ベルト33によって内部に取り込まれたQR券は、回収ボックス35に搬送され、収納される。QR券回収部24は、制御部21の指示にしたがって、搬送ベルト33を張架している一方のローラの駆動/停止(モータ34の駆動/停止)を制御する。
さらに、搬送ベルト33の端部と、回収ボックス35との間には、QR券が通過する通過路36を形成し、この通過路36を通過するQR券を検知する透過型の光電センサ37を設けている。
また、QR券投入口24aと搬送ベルト33と、の間にも透過型の光電センサ38を備え、この光電センサ38がQR券投入口24aにおけるQR券の投入を検知する。
次に、この改札システムの動作について説明する。この改札システムは、自動改札機2が、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う。自動改札機2は、乗車券として非接触IC券、またはQR券のいずれかを受け付けると、受け付けた乗車券に応じた改札処理を行う。自動改札機2は、IC券情報読取部22が無線通信エリア内に位置する非接触IC券に対するポーリングを一定時間間隔で繰り返し行う。また、自動改札機2は、QR券情報読取部23が光学読取エリア内に位置する物体を検知すると、QRコード(登録商標)の読み取りを行う。
なお、QR券情報読取部23についても、光学読取エリア内に位置するQRコード(登録商標)の読み取りを一定時間間隔で繰り返し行う構成にしてもよい。
自動改札機2は、先に、IC券情報読取部22が無線通信エリア内に位置する非接触IC券からのレスポンスを受信すると、この非接触IC券を所持している利用者に対する改札処理を行う。反対に、自動改札機2は、先に、QR券情報読取部23が光学読取エリア内に位置するQRコード(登録商標)を読み取ると、このQR券を所持している利用者に対する改札処理を行う。非接触IC券による改札処理については公知の自動改札機と同じであるので、ここでは説明を省略し、QR券による改札処理について説明する。
自動改札機2は、QR券を受け付けたとき(QR券情報読取部23が光学読取エリア内に位置するQRコード(登録商標)を読み取ると)、そのQR券に記録されている乗車券情報、および同じグループに属する使用状態管理装置1から取得した、このQR券の使用状態管理情報を用いて、改札通路における利用者の通行可否を判定する。また、自動改札機2は、改札通路における利用者の通行を許可した場合、今回の改札処理で使用されたQR券の使用状態管理情報の更新を、同じグループに属する使用状態管理装置1に通知する。
使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2から更新が通知されたQR券の使用状態管理情報に基づき、使用状態管理DB14を更新する。また、使用状態管理装置1は、他のグループの使用状態管理装置1との間で、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理を行う。
図8は、自動改札機における入場処理を示すフローチャートである。駅構内に入場する利用者は、自動改札機2の入場用ユニットに設けたQR券情報読取部23の光学読取エリア内に、乗車券であるQR券に印刷されているQRコード(登録商標)を翳す。
自動改札機2は、QR券情報読取部23が光学センサによりQRコード(登録商標)(乗車券情報)を読み取ると(s1)、QR券から読み取った乗車券情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する一次判定処理を行う(s2)。s1で読み取った乗車券情報には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間等が含まれている。s2における一次判定処理は、今回乗車券情報を読み取ったQRについて、有効期間、および有効区間が適正であるかどうかを判定する処理である。したがって、この一次判定処理では、今回使用されたQR券がコピー等で作成された偽造券であるかどうかや、使い回しされているQR券であるかどうか等についての判定を行っていない。ただし、後述する二次判定処理において、上述のQR券の不正使用であるかどうかにかかる判定を行う。
自動改札機2は、s2の一次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定すると、扉開閉部27により扉27aを閉する(s3、s4)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正でないQR券で利用者が駅構内に入場するのを防止する。
一方、自動改札機2は、s2における一次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定しなければ(乗車券情報が適正であると判定すると)、高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に対して、今回乗車券情報(QRコード(登録商標))を読み取ったQR券の使用状態管理情報の通知要求を行う(s3、s5)。この使用状態管理情報の通知要求には、s1で乗車券情報を読み取ったQR券の識別番号が含まれている。
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の通知要求を受信すると、この通知要求に含まれているQR券の識別番号をキーにして、使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aを検索する。使用状態管理装置1は、この検索で得た、該当するQR券の使用状態管理情報を自動改札機2に返信する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、未登録を自動改札機2に返信する。一方、使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、それを自動改札機2に返信する。
なお、使用状態管理装置1は、その時点で記憶している整合フラグも自動改札機2に送信している。
自動改札機2は、使用状態管理装置1からの返信により、s1で乗車券情報を読み取ったQR券の使用状態管理情報を取得する(s6)。自動改札機2は、s6で取得したQR券の使用状態管理情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する二次判定処理を行う(s7)。s7では、s6で取得したQR券の使用状態管理情報が未登録であった場合、または入場フラグが未入場を示している場合、利用者の入場を許可すると判定する。一方、s6で取得したQR券の使用状態管理情報の入場フラグが入場済を示している場合、利用者の入場を許可しないと判定する。
この二次判定処理を行うことで、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内に不正に入場するのを防止できる。
自動改札機2は、s7の二次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定すると、扉開閉部27により扉27aを閉する(s8、s4)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正であっても、使い回し等のQR券の不正使用で利用者が駅構内に入場するのを防止する。
自動改札機2は、s7の二次判定処理で、利用者の入場を許可すると判定すると、扉開閉部27により扉27aを開する(s8、s9)。また、自動改札機2は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に送信する(s10)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、入場処理完了と、が含まれている。
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、QR券の識別番号、入場フラグ、出場フラグを対応付けた使用状態管理情報を生成し、これをテンポラリ領域14bに記憶する。使用状態管理装置1は、使用状態管理情報の更新要求が入場処理の完了にかかるものであれば、入場フラグを入場済を示す状態「1」にし、出場フラグを未出場を示す「0」にした使用状態管理情報を生成する。
また、使用状態管理装置1は、作成した使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aにも記憶する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、今回作成した使用状態管理情報を追加登録し、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、これを今回作成した使用状態管理情報に書き換える(更新する)。
したがって、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2が入場を許可したQR券については、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
次に、自動改札機2における出場処理について説明する。図9は、自動改札機における出場処理を示すフローチャートである。駅構内から出場する利用者は、自動改札機2(出場用ユニット)に設けたQR券情報読取部23の光学読取エリア内に、乗車券であるQR券に印刷されているQRコード(登録商標)を翳す。
自動改札機2は、QR券情報読取部23がQR券のQRコード(登録商標)(乗車券情報)を読み取ると(s11)、このQR券から読み取った乗車券情報に基づき、利用者の出場を許可するかどうかを判定する一次判定処理を行う(s12)。この一次判定処理は、上述したs2と同様に、今回乗車券情報を読み取ったQRについて、有効期間、および有効区間が適正であるかどうかを判定する処理である。したがって、この一次判定処理では、今回使用されたQR券がコピー等で作成された偽造券であるかどうかや、使い回しされているQR券であるかどうか等についての判定を行っていない。ただし、後述する二次判定処理において、上述のQR券の不正使用であるかどうかにかかる判定を行う。
自動改札機2は、s12の一次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定すると、扉開閉部27により扉27bを閉する(s13、s14)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正でないQR券で利用者が駅構内から出場するのを防止する。
一方、自動改札機2は、s12の一次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定しなければ(乗車券情報が適正であると判定すると)、高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に対して、今回乗車券情報(QRコード(登録商標))を読み取ったQR券の使用状態管理情報の通知要求を行う(s13、s15)。この使用状態管理情報の通知要求には、s11で乗車券情報を読み取ったQR券の識別番号が含まれている。
使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の通知要求を受信すると、この通知要求に含まれているQR券の識別番号をキーにして、使用状態管理DB14の使用状態管理情報記憶領域14aを検索する。使用状態管理装置1は、この検索で得た、該当するQR券の使用状態管理情報を自動改札機2に返信する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、未登録を自動改札機2に返信する。一方、使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、それを自動改札機2に返信する。
なお、使用状態管理装置1は、その時点で記憶している整合フラグも自動改札機2に送信している。
自動改札機2は、使用状態管理装置1からの返信により、s11で乗車券情報を読み取ったQR券の使用状態管理情報を取得する(s16)。自動改札機2は、s16で取得したQR券の使用状態管理情報に基づき、利用者の出場を許可するかどうかを判定する二次判定処理を行う(s17)。s17における二次判定処理と、上述したs7における二次判定処理と、は異なる処理である。
s17では、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の出場フラグが出場済を示している場合、利用者の出場を許可しないと判定する。これにより、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内から不正に出場するのを防止できる。
また、自動改札機2は、使用状態管理装置1から取得した整合フラグが、前回の整合処理が適正に終了していることを示していれば、s16で取得したQR券の使用状態管理情報が未登録であった場合、または入場フラグが未入場を示している場合、利用者の出場を許可しないと判定する。これにより、QR券のキセル使用によって、利用者が駅構内から不正に出場するのを防止できる。自動改札機2は、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の入場フラグが入場済を示し、且つ出場フラグが未出場を示していれば、利用者の出場を許可すると判定する。
なお、後述する整合処理によって、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させている。
また、自動改札機2は、使用状態管理装置1から取得した整合フラグが、前回の整合処理が適正に終了していないことを示していれば、s16で取得したQR券の使用状態管理情報の出場フラグが出場済でなければ、未登録であったり、入場フラグが未入場であっても利用者の出場を許可すると判定する。LAN4等に生じた障害によって、各グループの使用状態管理装置1間でQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理が適正に行えていない場合、他のグループの自動改札機2で入場処理されたQR券の使用状態管理情報が適正に反映されていない。したがって、適正なQR券で入場し、その後、適正なQR券で出場しようとしている利用者に対して、出場を許可しないとする誤判定が防止できる。
自動改札機2は、s17の二次判定処理で、利用者の出場を許可しないと判定すると、扉開閉部27により扉27bを閉する(s18、s14)。これにより、自動改札機2は、乗車券情報が適正であっても、使い回しやキセル使用等のQR券の不正使用で利用者が駅構内から出場するのを防止する。
自動改札機2は、s17の二次判定処理で、利用者の出場を許可すると判定すると、QR券の回収が必要であるかどうかを判定する(s18、s19)。s19では、キップのように使い切りの乗車券であれば回収が必要であると判定し、1日乗車券のように繰り返し使用できる乗車券であれば回収が必要でないと判定する。また、回数券であれば、その回数券の使用回数が使用可能回数に達したかどうかにより、回収が必要であるか、必要でないかを判定すればよい。回数券の使用回数は、使用状態管理装置1で管理しており、s16で取得した使用状態管理情報に含まれている。
自動改札機2は、s19でQR券の回収が必要でないと判定すると、以下に示すs20、およびs21にかかる処理を行うことなく、扉開閉部27により扉27bを開する(s22)。
自動改札機2は、s19でQR券の回収が必要であると判定すると、QR券回収部24におけるQR券の回収動作を開始する(s20)。s20では、QR券回収部24がソレノイド32をオンし、シャッタ31を開する。また、QR券回収部24がモータ34を駆動し、搬送ベルト33を動作させる。これにより、利用者がQR券をQR券投入口24aに投入すると、この投入されたQR券が通過路36を通って、回収ボックス35に搬送される。
自動改札機2は、s20でQR券の回収動作を開始してから、予め定めた一定時間(例えば1〜2秒)経過するまでに、QR券投入口24aに投入されたQR券を光電センサ38で検知すると(s21)、s22において、扉開閉部27により扉27bを開する。
なお、自動改札機2は、光電センサ37がQR券の後端を検知すると、s20で開始したQR券の回収動作を停止する。具体的には、QR券回収部24は、ソレノイド32をオフし、シャッタ31を閉する。また、QR券回収部24は、モータ34を停止し、搬送ベルト33を停止させる。
また、自動改札機2は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を高速専用回線3で接続されている使用状態管理装置1(同じグループに属する使用状態管理装置1)に送信する(s23)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、出場処理完了と、が含まれている。
一方、自動改札機2は、s20で回収動作を開始してから、光電センサ38がQR券投入口24aに投入されたQR券を検知することなく、予め定めた一定時間(例えば1〜2秒)経過すると、s20で開始したQR券の回収動作を停止し(s24)、s14で扉開閉部27により扉27bを閉する。s24では、QR券回収部24は、ソレノイド32をオフし、シャッタ31を閉するとともに、モータ34を停止して搬送ベルト33を停止させる。
これにより、s17にかかる二次判定処理で出場を許可すると判定した場合であっても、利用者がQR券をQR券投入口24aに投入しなければ、すなわち使用済みのQR券の回収が行えなければ、この利用者が出場するのを禁止する。したがって、使用済のQR券を確実に回収することができる。
また、使用状態管理装置1は、同じグループに属するいずれかの自動改札機2から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、QR券の識別番号、入場フラグ、出場フラグを対応付けた使用状態管理情報を生成し、これをテンポラリ領域14bに記憶する。使用状態管理装置1は、使用状態管理情報の更新要求が出場処理の完了にかかるものであれば、入場フラグを入場済を示す状態「1」にし、且つ出場フラグを出場済を示す「1」にした使用状態管理情報を生成する。また、使用されたQR券が回数券であれば、使用回数を1カウントアップする。
また、使用状態管理装置1は、作成した使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aにも記憶する。使用状態管理装置1は、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していなければ、今回作成した使用状態管理情報を追加登録し、該当するQR券の使用状態管理情報を使用状態管理情報記憶領域14aに記憶していれば、これを今回作成した使用状態管理情報に書き換える(更新する)。
したがって、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2が出場を許可したQR券については、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
このように、使用状態管理装置1は、同じグループに属する自動改札機2における改札処理(入場処理、または出場処理)で使用されたQR券について、その状態を、リアルタイムに更新できる。したがって、同じグループに属する自動改札機2での、QR券の使い回し等に対するセキュリティを十分に確保できる。通常、QR券等の乗車券の使い回しは、同じ駅の改札口で行われるので、駅単位や改札口単位でグループを分割しておけばよい。
ここで、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aで管理しているQR券の使用状態管理情報を整合させる整合処理について説明しておく。
各グループの使用状態管理装置1の中から、1つの使用状態管理装置1を親機として選定し、他の使用状態管理装置1を子機として選定している。ここでは、各グループの使用状態管理装置1の中で、処理負荷が比較的小さい使用状態管理装置1(接続されている自動改札機2の台数が比較的少ない使用状態管理装置1や、乗降客が比較的少ない駅の使用状態管理装置1)を親機として選定している。
図10は、この親機の整合処理を示すフローチャートである。親機である使用状態管理装置1は、整合処理の開始タイミングになるのを待っている(s31)。一般的な鉄道網では、隣接する駅間であっても、利用者が入場駅で駅構内に入場する入場処理の時点から、出場駅で駅構内から出場する出場処理の時点までに、数分(3〜4分)程度の時間がかかる。したがって、この時間よりも短い間隔で、各グループの使用状態管理装置1が使用状態管理情報記憶領域14aで管理しているQR券の使用状態管理情報を定期的に整合させることで、自動改札機2は、出場処理時に、同じグループに属する使用状態管理装置1から適正な使用状態管理情報を取得できる。
親機である使用状態管理装置1は、前回の整合処理の終了から、予め定めた時間(隣接する駅間の移動にかかる時間よりも少し短い時間(1〜3分程度))経過すると、s31で整合処理の開始タイミングになったと判定する。
親機である使用状態管理装置1は、s31で整合処理の開始タイミングになったと判定すると、他のグループの使用状態管理装置1に対して、一斉に、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報の転送を要求する(s32)。
親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1からテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報が転送されてくるか、予め定めた待ち時間経過するのを待つ(s33、s34)。
LAN4は、複数の駅間における通信回線である。このため、LAN4は、他のシステムが通信回線を専有したり、外来ノイズが通信回線に混入したりする等を原因とする、通信障害や通信遅延が発生することがある。この場合、親機である使用状態管理装置1は、他の使用状態管理装置1との間でデータ通信が行えない状態になる。s34は、この状態になった場合に、親機である使用状態管理装置1が、いつまでも待ちつづけるのを防止するために設けた処理である。
親機である使用状態管理装置1からQR券の使用状態管理情報の転送要求を受信した他の使用状態管理装置1は、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報を親機である使用状態管理装置1に転送する。また、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報の転送(親機である使用状態管理装置1への転送)が完了した使用状態管理装置1は、このテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報をリセットする。
親機である使用状態管理装置1は、s24で予め定めた待ち時間経過したと判定すると、この時点で転送されてきているQR券の使用状態管理情報を集計する(s35)。親機である使用状態管理装置1は、s35で集計したQR券の使用状態管理情報をテンポラリ領域14bに追加記憶する(s36)。これにより、QR券の使用状態管理情報の消失を防止している。
親機である使用状態管理装置1は、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットする(s37)。また、親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1に対して、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットすることを通知し(s38)、s31に戻る。
親機である使用状態管理装置1がs38で整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットすることを通知した他の使用状態管理装置1は、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了していない状態にセットする。
親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1からテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報が転送されてくると、転送されてきたQR券の使用状態管理情報と、自装置のテンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報と、を合わせて集計する(s39)。具体的にいえば、同じ識別番号のQR券について、入場フラグが入場済である使用状態管理情報があれば、この識別番号のQR券の入場フラグを入場済にし、同じ識別番号のQR券について、出場フラグが出場済である使用状態管理情報があれば、この識別番号のQR券の出場フラグを出場済にした1つの使用状態管理情報に纏める処理である。
親機である使用状態管理装置1は、s39で集計したQR券の使用状態管理情報に基づき、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を更新する(s40)。また、親機である使用状態管理装置1は、テンポラリ領域14bに記憶しているQR券の使用状態管理情報をクリアする(s41)。
さらに、親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1に対して、s40で更新した使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を更新情報として送信する(s42)。
親機である使用状態管理装置1から使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報の更新情報を受信した他の使用状態管理装置1は、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を、今回受信した更新情報に更新する。また、今回更新した、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を、親機である使用状態管理装置1に返信する。
親機である使用状態管理装置1は、他の使用状態管理装置1から返信されてきたQR券の使用状態管理情報と、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報とが一致しているかどうかを判定する。親機である使用状態管理装置1は、他の全ての使用状態管理装置1から返信されてきたQR券の使用状態管理情報と自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報とが一致していれば(s43)、他の全ての使用状態管理装置1に対して、整合フラグを前回の整合処理が適正に終了した状態にセットすることを通知し(s44)、s31に戻る。
一方、親機である使用状態管理装置1は、自装置の使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報と一致していないQR券の使用状態管理情報を返信してきた使用状態管理装置1があれば、この使用状態管理装置に対して、s42で送信した更新情報の再送信を行い(s45)、s43に戻る。
上述の整合処理により、各グループの使用状態管理装置1が、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させることができる。したがって、適正なQR券で入場した利用者に対する、上述した自動改札機2での出場処理が適正に行える。また、使用状態管理装置1は、QR券の使用状態管理情報の入出力を、同じグループに属する自動改札機2との間で行い、異なるグループに属する自動改札機2との間では行わないので、処理負荷が十分に低減される。
なお、各グループの使用状態管理装置1が、使用状態管理情報記憶領域14aに記憶しているQR券の使用状態管理情報を一致させる整合処理については、図9に示した処理に限らず、他の手法で一致させてもよい。
また、QR券回収部24は、シャッタ31、ソレノイド32、搬送ベルト33、およびモータ34を設けず、QR券投入口24aに投入されたQR券が、重力により、通過路36を通って、回収ボックス35に回収される構成であってもよい。
次に、この発明にかかる自動改札機2の別の例について説明する。この例にかかる自動改札機2は、上述した例の自動改札機2と同じハード構成である。異なる点は、出場処理にかかる改札処理の動作である。
図11は、この例にかかる自動改札機の出場処理を示すフローチャートである。図11では、図9と同じ処理については同じステップ番号(s**)を付している。
この例にかかる自動改札機2は、s20と、s21との間に、s51を設けた点で、上記の例にかかる自動改札機2と異なる。
具体的には、上記の例は、s20でQR券の回収動作を開始したタイミングを基準にし、このタイミングから予め定めた一定時間経過するまでの間に、QR券がQR券投入口24aに投入されるかどうかを判定していた。この例では、s20でQR券の回収動作を開始したタイミングを基準にするのではなく、s51で検出したQR券情報読取部23がQR券から乗車券情報が読み取れなくなったタイミングを基準にし、このタイミングから予め定めた一定時間経過するまでに、QR券がQR券投入口24aに投入されるかどうかを判定する。
QR券情報読取部23は、上述したように、予め定めた読取時間間隔でQRコード(登録商標)の読み取りを繰り返し行っている。利用者は、QRコード(登録商標)を読み取らせてから、そのQR券をQR券投入口24aに投入する。このため、QR券をQR券情報読取部23の読取位置に翳した状態で、しばらくの間、利用者の動作が停止しても(QR券をQR券投入口24aに投入する動作に移行するのに手間取っても)、この動作が停止している時間は、s21における判定に影響を与えない。
このため、s21における一定時間を、上記の例よりも短く設定できるので、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券ではない、異物(別のQR券を含む)がQR券投入口24aに投入されるのを防止できる。
また、別の例にかかる自動改札機2について説明する。図12は、この例にかかる自動改札機の出場用ユニットが備えるQR券回収部の機構部を示す概略図である。この例にかかる自動改札機2は、QR券回収部24が、ストッパ41を備えている点で、上記の例にかかる自動改札機2と相違する。ストッパ41は、回収ボックス35の上方に位置し、通過路36において投入されたQR券を受け止める。このストッパ41は、図示していないソレノイド等の駆動部により、駆動される。
図13は、この例にかかる自動改札機の出場処理を示すフローチャートである。図13では、図9と同じ処理については同じステップ番号(s**)を付している。この例にかかる自動改札機2は、上述したs11〜s21の処理を行い、s21において一定時間以内にQR券が投入されたことを検知すると、この投入されたQR券の搬送方向の長さを検出する(s61)。s61では、光電センサ37がQR券の先端を検出してから、後端を検出するまでの時間を計測し、ここで計測した時間とQR券の搬送速度との積から、投入されたQR券の搬送方向の長さを検出する。
なお、このときストッパ41は解除しておらず、投入されたQR券はストッパ41により通過路36に受け止められる。
自動改札機2は、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券の種類(キップ、回数券等)の長さに対して、s61で検出した長さが適正であるかどうかを判定する(s62)。s62では、検出誤差を考慮して判定すればよい。
自動改札機2は、s62において、検出した長さが適正でないと判定すると、上述したs24以降の処理を行う。このとき、警告報知等を行い、駅係員にその旨を知らせる。
一方、自動改札機2は、s62において、検出した長さが適正であると判定すると、ストッパ41を一時的に解除し(s63)、今回投入されたQR券を回収ボックス35に回収する。自動改札機2は、s63でストッパ41を一時的に解除したのち、上述したs22以降の処理を実行する。
この自動改札機2によれば、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券ではない、異物(別のQR券を含む)がQR券投入口24aに投入された場合であっても、この異物を回収ボックス35に回収するのを防止できる。また、QR券以外の異物をQR券投入口24aに投入した利用者が出場するのを禁止するので、一層確実に、使用済のQR券を確実に回収することができる。
また、上記の例では、QR券投入口24aに投入されたQR券の搬送方向の長さを検出するとしたが、QR券投入口24aに投入されたQR券の搬送方向における、QR券の幅の長さを検出する構成としてもよい。この場合、光電センサ37を、複数の発光素子、および複数の受光素子を搬送路の幅方向に並べたラインセンサで構成すればよい。
また、QR券の搬送方向の長さ、およびQR券の幅の長さの両方を検出し、両方の長さが適正であるかどうかを、s62で判定してもよい。
また、別の例にかかる自動改札機2について説明する。図14は、この例にかかる自動改札機の出場用ユニットが備えるQR券回収部の機構部を示す概略図である。この例にかかる自動改札機2は、QR券回収部24が、確認用読取部42、およびストッパ41を備えている点で、上記の例にかかる自動改札機2と相違する。確認用読取部42は、QR券の券面に印刷されているQRコード(登録商標)を読み取る。確認用読取部42は、QR券情報読取部23が備える光学センサと同じ構成である。
ストッパ41は、回収ボックス35の上方に位置し、通過路36において投入されたQR券を受け止める。このストッパ41は、図示していないソレノイド等の駆動部により、駆動される。
図15は、この例にかかる自動改札機の出場処理を示すフローチャートである。図15は、図9と同じ処理については同じステップ番号(s**)を付している。この例にかかる自動改札機2は、上述したs11〜s21の処理を行い、s21において一定時間以内にQR券が投入されたことを検知すると、ストッパ41により通過路36に受け止められているQR券の券面に印刷されているQRコード(登録商標)を確認用読取部42で読み取る(s71)。自動改札機2は、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、s71でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、が同じQR券であるかを判定する(s72)。s72では、QR券の識別番号の一致、不一致を判定する。
自動改札機2は、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、s71でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、が同じでないと判定すると、上述したs24以降の処理を行う。このとき、警告報知等を行い、駅係員にその旨を知らせる。
一方、自動改札機2は、s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、s71でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券と、が同じであると判定すると、ストッパ41を一時的に解除し(s73)、今回投入されたQR券を回収ボックス35に回収する。自動改札機2は、s73でストッパ41を一時的に解除したのち、上述したs22以降の処理を実行する。
この自動改札機2によれば、出場を許可したQR券(s11でQRコード(登録商標)を読み取ったQR券)を確実に回収することができる。また、出場を許可したQR券と異なる券(別のQR券や紙片)が投入されるのを防止できる。
また、この例においては、上述のQR券の長さの検出も加えて、投入されたQR券が適正であるかどうかを判定するようにしてもよい。また、図11に示したs51を、図13や、図15に示した処理に加えてもよい。
なお、乗車券情報は、QRコード(登録商標)に限らず、一次元のバーコード等で券面に印刷したものであってもよい。
また、上記の例では、使用状態管理装置1は、自動改札機2に対してQR券の使用状態管理情報を通知するとしたが、この使用状態管理装置1が上述の第2の判定処理を行い、その判定結果を自動改札機2に返信する構成としてもよい。また、使用状態管理装置1が、使用状態管理情報を適当なタイミングで各自動改札機2にダウンロードする構成としてもよい。このようにすれば、上述の第2の判定処理の際に、使用状態管理装置1と通信する必要がなく、改札処理にかかる時間の短縮が図れる。