JP2013185028A - 耐水化アルミニウム顔料分散液及びその製造方法、並びに水性インク組成物 - Google Patents
耐水化アルミニウム顔料分散液及びその製造方法、並びに水性インク組成物 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の一態様は、
アルミニウム顔料の表面をシリカ膜で被覆した耐水化アルミニウム顔料を水系媒体中に分散させた耐水化アルミニウム顔料分散液であって、
下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
適用例1の耐水化アルミニウム顔料分散液において、
前記一般式(1)において、前記Rが不飽和結合をさらに有することができる。
適用例1または適用例2の耐水化アルミニウム顔料分散液において、
前記耐水化アルミニウム顔料1質量部に対して、前記一般式(1)で表される化合物の含有割合が0.05質量部以上2.5質量部以下であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の耐水化アルミニウム顔料分散液において、
さらに、第三級アミンを含有することができる。
適用例4の耐水化アルミニウム顔料分散液において、
前記耐水化アルミニウム顔料1質量部に対して、前記第三級アミンの含有割合が0.05質量部以上2.5質量部以下であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の耐水化アルミニウム顔料分散液において、
前記アルミニウム顔料が、5nm以上30nm以下の平均厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有する平板状粒子であることができる。
本発明に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法の一態様は、
有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を準備する工程(a)と、
前記アルミニウム顔料分散液中にテトラエトキシシランを添加する工程(b)と、
前記アルミニウム顔料分散液から表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を分離する工程(c)と、
前記表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を下記一般式(1)で表される化合物を含有する水溶液中に分散させる工程(d)と、
を含む。
本発明に係る水性インク組成物の一態様は、
適用例1ないし適用例6のいずれか一例の耐水化アルミニウム顔料分散液を含有する。
適用例8の水性インク組成物において、
さらに、第三級アミンを含有することができる。
本実施の形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法は、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を準備する工程(a)と、前記アルミニウム顔料分散液中にテトラエトキシシランを添加する工程(b)と、前記アルミニウム顔料分散液から表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を分離する工程(c)と、前記表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を下記一般式(1)で表される化合物を含有する水溶液中に分散させる工程(d)と、を含むことを特徴とする。
以下、前述した各工程について詳細に説明する。
工程(a)は、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を準備する工程である。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 ・・・(2)
工程(b)は、前記工程(a)で得られたアルミニウム顔料分散液中にテトラエトキシシラン(以下「TEOS」ともいう。)を添加して攪拌する工程である。TEOSを添加して十分に攪拌することにより、アルミニウム顔料の表面に存在する水酸基とTEOSのシラノール基とが加水分解縮合して、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜が形成される。アルミニウム顔料の表面にシリカ膜が形成されることで、アルミニウム顔料と水とが直接接触することを防止できるため、アルミニウム顔料に耐水性を付与することができる。
工程(c)は、工程(b)で得られたアルミニウム顔料分散液から表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料(以下「耐水化アルミニウム顔料」ともいう。)を分離する工程である。
工程(d)は、工程(c)で得られた耐水化アルミニウム顔料を、下記一般式(1)で表される化合物を含有する水溶液中に添加して分散させる工程である。工程(d)を経ることで、アルミニウム顔料の表面に形成されたシリカ膜の表面及び内部の少なくとも一方に下記一般式(1)で表される化合物が導入されて、耐水化アルミニウム顔料の水分散性を向上(すなわち、耐水化アルミニウム顔料同士の凝集を抑制)させることができる。
本実施の形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液は、上述した製造方法により得られるものであり、以下のような特徴を有している。
本実施の形態に係る耐水化アルミニウム顔料は、上述した製造方法により得られるものであり、以下のような特徴を有している。
本実施の形態に係る水性インク組成物は、前述の耐水化アルミニウム顔料を含有することを特徴とする。本実施の形態に係る水性インク組成物は、水分散性に優れる前述の耐水化アルミニウム顔料を含有するので、インクジェットプリンターに適用した場合においても耐水化アルミニウム顔料同士が凝集することによるノズルの目詰まりが抑制される。おれにより、インクの吐出安定性が良好となる。本願発明において「水性インク組成物」とは、溶媒として水を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有するインク組成物のことをいう。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
5.1.実施例1
5.1.1.工程(a)
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学株式会社製)3.0質量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、株式会社真空デバイス製)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。次いで、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン株式会社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5.0質量%のアルミニウム顔料分散液を得た。
次いで、得られたアルミニウム顔料分散液100質量部をビーカーに投入し、これにテトラエトキシシラン(TEOS)10.4質量部、塩基性触媒である1mol/Lアンモニア水2質量部を添加して、7日間室温で攪拌することにより加水分解縮合させた。これにより、表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を含有するアルミニウム顔料分散液を得た。
次いで、それを遠心分離(10,000rpm、60分間)し、その上澄み液であるアルミニウム顔料分散液中に含まれるジエチレングリコールジエチルエーテルを除去した。このようにして、表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を分離した。
リシノール酸1モルを出発原料に用い、酸触媒として硫酸0.1モル存在下、ポリエチレングリコール1000(平均分子量1000)1モル当量との縮重合を行った。Arガス雰囲気下、70℃48時間反応を行い、生成物を高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製 LC−20AP)を用いて精製することによって、下記一般式(3)表される化合物Aを得た。化合物の同定はNMR(日本電子株式会社製 JNM−ECS400)、FT-IR(デジラボ社製 FTS7000)、ESI-MS(マイクロマス社製 Q-Tof)にて行ったところ、下記一般式(3)におけるnが8〜19となる化合物を含んだ分子量分布を有する混合物であることが判明した。
上記実施例1の工程(d)において、表1に記載の成分及び添加量とした水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜9及び比較例1〜6に係る各耐水化アルミニウム顔料分散液を得た。なお、表1における各成分は以下の通りである。
リノール酸1モルを出発原料に用い、酸触媒として硫酸0.1モル存在下、ポリエチレングリコール1000(平均分子量1000)1モル当量との縮重合を行った。Arガス雰囲気下、70℃48時間反応を行い、生成物を高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製 LC−20AP)を用いて精製することによって、下記一般式(4)表される化合物Bを得た。化合物の同定はNMR(日本電子株式会社製 JNM−ECS400)、FT-IR(デジラボ社製 FTS7000)、ESI-MS(マイクロマス社製 Q-Tof)にて行ったところ、下記一般式(4)におけるnが8〜19となる化合物を含んだ分子量分布を有する混合物であることが判明した。
・「TPA」(関東化学株式会社製、トリプロパノールアミン)
・「PEG400」(商品名「PEG#400」、ライオン株式会社製、ポリエチレングリコール)
・「E1010」(商品名「オルフィンE1010」、日信化学工業株式会社製、アセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物)
・「EDTA」(東京化成工業株式会社製、エチレンジアミン四酢酸)
・「TEGmBE」(関東化学株式会社製、トリエチレングリコールモノブチルエーテル)
・「1,2−HD」(関東化学株式会社製、1,2−ヘキサンジオール)
5.3.1.水分散性評価試験
10μmのフィルター(MILIPORE社製、MITEX MEMBRANE FILTERS(型番:LCWPO4700))に対して、上記で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液がどれだけ通過するかにより、水分散性を評価した。水分散性の評価基準は、以下の通りである。水分散性評価試験の結果を表1に併せて示す。
「A」・・・・フィルター通過量が50mL以上
「B」・・・・フィルター通過量が30mL以上50mL未満
「C」・・・・フィルター通過量が10mL以上30mL未満
「D」・・・・フィルター通過量が10mL未満
サンプル瓶に上記で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液を10mL加え、密栓して25℃恒温下に静置した。その経時変化を目視により観察することで、耐水化アルミニウム顔料分散液の貯蔵安定性を評価した。貯蔵安定性の評価基準は、以下の通りである。耐水性評価試験の結果を表1に併せて示す。
「A」・・・100日後の時点において白色化及び分離せず
「B」・・・30日後の時点において白色化及び分離せず
「C」・・・30日未満で白色化又は分離
上記で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液のいずれか1種を印画紙(「PM写真用紙(光沢)型番:KA450PSK」、セイコーエプソン株式会社製)に滴下・塗布して、室温で1日間乾燥させた。得られたサンプルを目視及び走査型電子顕微鏡(S−4700、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、以下「SEM」ともいう。)により観察することで、耐水化アルミニウム顔料の光沢性を評価した。耐水化アルミニウム顔料の光沢性の評価基準は、以下の通りである。光沢性評価試験の結果を表1に併せて示す。
「A」・・・光沢性が良好(金属光沢性に優れており、鏡面光沢を有する。)
「B」・・・光沢性がやや良好(金属光沢性に優れているが、ややマット調である。)
「C」・・・光沢性が不良(金属光沢性がなく、黒ずんだ灰色を呈している。)
表1に、実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液の水分散性、貯蔵安定性、光沢性の評価試験の結果を示す。なお、表1中の数値の単位は、「質量部」である。
5.4.1.水性インク組成物の調製
以下の組成となるように、耐水化アルミニウム顔料分散液、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2−ヘキサンジオール、オルフィンE1010、トリエタノールアミンを混合し、さらに100質量部となるようにイオン交換水を加えて、混合撹拌した。
耐水化アルミニウム顔料分散液(固形分) 1質量部
グリセリン 10質量部
トリメチロールプロパン 5質量部
1,2−ヘキサンジオール 1質量部
オルフィンE1010 1質量部
トリエタノールアミン 1質量部
イオン交換水 残部
合計 100質量部
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに、上記の水性インク組成物を充填したインクカートリッジを作製した。次に、得られたインクカートリッジをインクジェットプリンターPX−G930のブラック列に装着し、これ以外のノズル列には市販のインクカートリッジを装着した。なお、ブラック列以外に装着した市販のインクカートリッジは、ダミーとして用いるものであり、本実施例の評価では使用しないので、本発明の効果に関与するものではない。
得られた画像について、光沢度計MULTI Gloss 268(コニカミノルタ社製)を用いて、60°の光沢度を測定した。得られた画像の光沢度の評価基準は、以下のとおりである。光沢度評価試験の結果を表2に示す。
「A」:光沢度300以上(クリアな金属光沢)
「B」:光沢度250以上300未満(つや消しの金属光沢)
「C」:光沢度200以上250未満(金属光沢なし)
「D」:測定不能(水性インク組成物を吐出できなかった)
Claims (9)
- 前記一般式(1)において、前記Rが不飽和結合をさらに有する、請求項1に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液。
- 前記耐水化アルミニウム顔料1質量部に対して、前記一般式(1)で表される化合物の含有割合が0.05質量部以上2.5質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液。
- さらに、第三級アミンを含有する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液。
- 前記耐水化アルミニウム顔料1質量部に対して、前記第三級アミンの含有割合が0.05質量部以上2.5質量部以下である、請求項4に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液。
- 前記アルミニウム顔料が、5nm以上30nm以下の平均厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有する平板状粒子である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液を含有する、水性インク組成物。
- さらに、第三級アミンを含有する、請求項8に記載の水性インク組成物。
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