JP2012122028A - インク組成物および記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体に印刷されたときに着色の少ない金属光沢を発現するインク組成物および記録方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるインク組成物は、アルミニウム顔料、白色顔料および分散溶媒を含み、前記アルミニウム顔料が前記分散溶媒に分散された構造を含み、前記白色顔料の含有量は、前記アルミニウム顔料の含有量に対して、0.01%以上10%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、インク組成物および記録方法に関する。
従来から、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成するためには、真鍮、アルミニウム微粒子等から作成された金粉、銀粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられている。
しかしながら、金粉、銀粉を用いた印刷インキによる塗膜は、使用される金属粉の平均粒子径が10μmから30μmと大きく、つや消し調の金属光沢は得られるが、鏡面光沢を得ることは難しいものであった。また、金属箔を使用する箔押し又は熱転写では、印刷媒体に接着剤を塗布し、その上に平滑な金属箔を押し付け、記録媒体と金属箔を密着させ加熱し、金属箔と記録媒体を熱融着させるといった方法をとる。そのため、比較的良好な光沢は得られるが、製造工程が多くなり製造工程中で圧力や熱が加わるため、記録媒体に関して、熱や変形に強い記録媒体などに限られるという制限があった。
近年、印刷におけるインクジェットの応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例として、メタリック印刷がある。例えば、特許文献1には、平板状の形状を有するアルミニウム顔料を含む分散液、およびインク組成物が提案されている。
特開2008−174712号公報
しかしながら、メタリック印刷の金属光沢は、微細な金属の粉体を記録媒体に塗布して得られるため、粉体が光に及ぼす作用を完全には除去できていない。すなわち顔料が粉体であることから、粉体の光学的性質が印刷後にも残存することがあり、例えば、金属光沢に黒色や褐色といった粉体の色合いがついてしまうことがあった。アルミニウム顔料においても、インクに粉体として配合されるため、同様に粉体の色合いが問題となる場合があった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、記録媒体に印刷されたときに着色の少ない金属光沢を発現するインク組成物および記録方法を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明にかかるインク組成物の一態様は、アルミニウム顔料と、白色顔料と、を含み、前記白色顔料の含有量は、前記アルミニウム顔料の含有量に対して、0.01倍以上10倍以下であることを特徴とする。
本適用例のインク組成物によれば、記録媒体に印刷されたときに、着色の少ない良好な金属光沢を有する画像を記録することができる。
[適用例2]上記適用例において、前記白色顔料の含有量は、前記アルミニウム顔料の含有量に対して、0.25倍以上0.05倍以下であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、白色顔料の分散性が良好であり、白色顔料の含有量を低減することができるとともに、記録媒体に付着されたときの金属光沢の着色をさらに抑制することができる。
[適用例3]上記適用例のいずれか一例において、前記アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の円相当径の50%平均粒子径を有する平板状粒子であることを特徴とする、アルミニウム粒子分散液であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、アルミニウム顔料の分散性が良好であり、記録媒体に付着されたときに、より良好な金属光沢を呈することができるとともに、保存安定性を高めることができる。
[適用例4]上記適用例のいずれか一例において、前記アルミニウム顔料の含有量は1質量%以上10質量%以下であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、アルミニウム顔料の分散性がより良好となり、保存安定性をさらに高めることができる。
[適用例5]上記適用例のいずれか一例において、前記白色顔料の平均粒子径が100nm以上2μm以下であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、白色顔料の分散性がより良好となり、保存安定性をさらに高めることができる。
[適用例6]上記適用例のいずれか一例において、水を含み、前記水の含有量が50質量%以上95質量%以下であることを特徴とするインク組成物。
本適用例のインク組成物によれば、アルミニウム顔料および白色顔料の分散性がより良好となり、保存安定性をさらに高めることができる。
[適用例7]上記適用例のいずれか一例において、前記アルミニウム顔料は、テトラエトキシシランで表面処理されたことを特徴とする、耐水化アルミニウム顔料であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、アルミニウム顔料の水中での分散性がより良好となり、水中での保存安定性をさらに高めることができる。
[適用例8]上記適用例のいずれか一例のインク組成物において、該インク組成物から白色顔料を除去した組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α1)及び光沢度(β1)と、該インク組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α2)及び光沢度(β2)とした場合に、(α2/α1)×(β2/β1)において算出される値が1超であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、アルミニウム顔料の分散性が良好であり、記録媒体に付着されたときに、より良好な金属光沢を呈することができるとともに、保存安定性を高めることができる。
[適用例9]上記適用例のいずれか一例においてのインク組成物を備え、前記インク組成物は印刷媒体に吐出可能な印刷装置であることができる。
本適用例のインク組成物によれば、記録媒体に付着されたときに、より良好な金属光沢を呈することができるとともに、印刷装置の吐出安定性を高めることができる。
実施例および比較例の記録物の白色度のduty依存性を示すプロット。 実施例および比較例の記録物の60°光沢度のduty依存性を示すプロット。
本実施形態に係るインク組成物は、アルミニウム顔料と白色顔料を含むものである。以下、各成分について説明をする。
1.1.アルミニウム顔料分散液
1.1.1.アルミニウム顔料分散液の製造方法
該金属箔片を製造するための複合化顔料原体の金属又は金属化合物層に用いられる金属又は金属化合物は、金属光沢を有する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等が使用され、これらの単体金属、金属化合物又はこれらの合金およびそれら混合物の少なくとも一種が使用される。
前記金属又は金属化合物層は、真空蒸着、イオンプレーティング又はスパッタリング法による形成が好ましい。これらの金属又は金属化合物層の厚さは、特に限定されないが、30〜100nmの範囲が好ましい。30nm未満では反射性、光輝性に劣り、金属顔料としての性能が低くなり、100nmを超えると見かけ比重が増加し、メタリック顔料の分散安定性が低下する。金属又は金属化合物層の不必要な増大は、粒子の重量増加を招くだけであり、これより厚い膜厚であっても、反射性、光輝性はあまり変化しない。
該メタリック顔料を製造するための複合化顔料原体における剥離用樹脂層は、前記金属又は金属化合物層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。該メタリック顔料を製造するための複合化顔料原体における剥離用樹脂層は、前記金属又は金属化合物層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記樹脂の一種または二種以上の混合物の溶液を塗布し、乾燥等を施して層が形成される。塗布液には粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等により形成される。塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行う。
剥離用樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層との界面で剥離し易いものとなってしまう。
該メタリック顔料を製造するための複合化顔料原体におけるシート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。
好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。
これらのシート状基材の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましい。10μm以上であれば、工程等で取り扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
また、前記金属又は金属化合物層は、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に限定されるものではないが、ゾル−ゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシド又はその重合体から形成されることが好ましい。
上記シリコンアルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗膜形成する方法等が挙げられる。
保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
上記樹脂一種または二種以上の混合物の水溶液を塗布し、乾燥等を施した層が形成される。塗布液には粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
上記酸化ケイ素および樹脂の塗布は、上記剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
上記保護層の厚さは、特に限定されないが、50〜150nmの範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなり過ぎるため粉砕・分散が困難となり、また金属又は金属化合物層との界面で剥離してしまう場合がある。該メタリック顔料は、前記複合化顔料原体の金属又は金属化合物層を、剥離用樹脂層を境界として前記シート状基材より剥離し、粉砕し微細化して得ることができる。
剥離処理法としては、特に限定されないが、前記複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法、また液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い、剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られるメタリック顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。また該メタリック顔料を用いたインク組成物においては、前記剥離用樹脂層由来の樹脂は紙等の記録媒体に対する接着性を付与する機能も担う。
1.1.2.耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法
本発明の一実施形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法は、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液中に、テトラエトキシシランを添加して、前記アルミニウム顔料の表面に存在する水酸基と前記テトラエトキシシランとを反応させ、前記アルミニウム顔料の表面にシリカ膜を形成する第1工程と、
前記有機溶媒の少なくとも一部を除去する第2工程と、
下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(3)で表される構造単位と、を含有する共重合体A、
下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位と、を含有する共重合体B、
および下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位と、下記一般式(5)で表される構造単位と、を含有する共重合体C、
から選択される少なくとも1種を含む水溶液を添加する第3工程と、
を有することを特徴とする。
なお、下記に耐水化処理を行ったアルミニウム顔料について説明を行うが、特に限定されず、耐水化処理を行っていないアルミニウム顔料を用いたいわゆる非水系(溶剤系)のインク組成物であってもよい。
アルミニウム顔料のインク組成物中の添加量は特に限定されないが、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、一層好ましくは、1質量%以上5質量%以下である。
Figure 2012122028

Figure 2012122028

Figure 2012122028

Figure 2012122028

Figure 2012122028

以下、前述した各工程について詳細に説明する。
1.1.第1工程
まず、下記の(1)および(2)の工程により、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を調製する。
(1)シート状基材面に剥離用樹脂層とアルミニウムまたはアルミニウム合金層(以下、単に「アルミニウム層」という。)とが、順次積層された構造からなる複合化顔料原体をする。
シート状基材としては、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ナイロン66、ナイロン6などのポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルムなどの離型性フィルムが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体が好ましい。
シート状基材の厚さは、特に制限されないが、好ましくは10μm以上150μm以下である。10μm以上であれば、工程等で取扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
剥離用樹脂層は、アルミニウム層のアンダーコート層であり、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、アクリル酸重合体または変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記例示した樹脂の1種または2種以上の混合物の溶液をシート状基材に塗布し乾燥させることにより、剥離用樹脂層を形成することができる。塗布後は、粘度調整剤などの添加剤を添加することもできる。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法などの公知の技術を用いることができる。塗布・乾燥後、必要であればカレンダー処理により表面の平滑化を行うことができる。
剥離用樹脂層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層との界面で剥離しやすいものとなってしまう。
アルミニウム層を積層させる手段としては、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法を適用することが好ましい。
また、アルミニウム層は、特開2005−68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾル−ゲル法によって、テトラアルコキシシランなどのシリコンアルコキシドまたはその重合体から形成されることが好ましい。シリコンアルコキシドまたはその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗膜を形成する。
保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体等を挙げることができる。これらのうち、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体から形成されることが好ましい。
上記例示した樹脂1種または2種以上の混合物の水溶液を塗布し乾燥させると、保護用樹脂層を形成することができる。塗布液には、粘度調整剤などの添加剤を添加することができる。酸化ケイ素および樹脂の塗布は、剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
保護層の厚さは、特に制限されないが、50nm以上150nm以下の範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなりすぎるため粉砕・分散が困難となり、またアルミニウム層との界面で剥離してしまう場合がある。
また、特開2005−68251号公報に例示されるように、「保護層」と「アルミニウム層」との間に色材層を有していてもよい。
色材層は、任意の着色複合顔料を得るために導入するものであり、本実施形態に使用するアルミニウム顔料の金属光沢、光輝性、背景隠蔽性に加え、任意の色調、色相を付与できる色材を含有できるものであれば特に制限されるものではない。この色材層に用いる色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。また、染料、顔料としては、公知のものを適宜使用することができる。
この場合、色材層に用いられる「顔料」とは、一般的な工学の分野で定義される、天然顔料、合成有機顔料、合成無機顔料等を意味する。
色材層の形成方法としては、特に制限されないが、コーティングにより形成することが好ましい。また、色材層に用いられる色材が顔料の場合は、色材分散用樹脂をさらに含むことが好ましく、該色材分散用樹脂としては、顔料と色材分散用樹脂と必要に応じてその他の添加剤等を溶媒に分散または溶解させ、溶液としてスピンコートで均一な液膜を形成した後、乾燥させて樹脂薄膜として作製されることが好ましい。なお、複合化顔料原体の製造において、上記の色材層と保護層の形成がともにコーティングにより行われることが、作業効率上好ましい。
複合化顔料原体としては、剥離用樹脂層とアルミニウム層との順次積層構造を複数有する層構成も可能である。その際、複数のアルミニウム層からなる積層構造の全体の厚み、すなわち、シート状基材とその直上の剥離用樹脂層を除いた、アルミニウム層−剥離用樹脂層−アルミニウム層、または剥離用樹脂層−アルミニウム層の厚みは5000nm以下であることが好ましい。5000nm以下であると、複合化顔料原体をロール状に丸めた場合でも、ひび割れ、剥離を生じ難く、保存性に優れる。また、顔料化した場合も金属光沢性に優れており好ましいものである。また、シート状基材面の両面に、剥離用樹脂層とアルミニウム層とが順次積層された構造も挙げられるが、これらに制限されるものではない。
(2)次いで、複合化顔料原体を有機溶媒中で、複合化顔料原体のシート基材面と剥離用樹脂層との界面を境界として、複合化顔料原体から剥離し、それを粉砕または微細化処理することにより、粗大粒子を含むアルミニウム顔料分散液が得られる。さらに、得られたアルミニウム顔料分散液をろ過し粗大粒子を除去することで、アルミニウムの平板状粒子を含有するアルミニウム顔料分散液を得ることができる。
有機溶媒としては、アルミニウム顔料の分散安定性や、後述するテトラエトキシシランとの反応性を損なわないものであればよいが、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
以上例示した極性有機溶媒の中でも、常温常圧下で液体であるアルキレングリコールモノエーテルまたはアルキレングリコールジエーテルであることがより好ましい。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、アルミニウム顔料の分散安定性に優れる観点から、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルであることがさらに好ましい。また、アルミニウム顔料に光沢性および耐水性を付与する観点から、ジエチレングリコールジエチルエーテルであることが特に好ましい。
シート状基材からの剥離処理法としては、特に制限されないが、複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法や、液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られた平板状粒子からなるアルミニウム顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。また、該アルミニウム顔料をインク組成物に用いる場合には、前記剥離用樹脂層由来の樹脂が記録媒体に対する接着性を付与する機能も担うことができる。
以上の工程により得られたアルミニウム顔料分散液中のアルミニウム顔料の形状は、良好な耐水性や金属光沢性を付与する観点から平板状粒子であることが好ましい。
ここで、「平板状粒子」とは、アルミニウム顔料の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。より詳しくは、該アルミニウム顔料の略平坦な面(X−Y平面)の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50(以下、単に「R50」ともいう。)が0.5μm以上3μm以下であって、かつ、厚み(Z)が5nm以上30nm以下であることを満たすものをいう。長径X、短径Y、厚みZを測定する装置は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM,JEOL,JEM−2000EX)、電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM,Hitachi,S−4700)などが挙げられる。
「円相当径」とは、アルミニウム顔料の略平坦な面(X−Y平面)を、該アルミニウム顔料の投影面積と同じ投影面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、アルミニウム顔料の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、そのアルミニウム顔料の円相当径という。
平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は、良好な金属光沢性および印字安定性を確保する観点から、好ましくは0.5μm以上3μm以下であることが好ましく、0.75μm以上2μm以下であることがより好ましい。R50が0.5μm未満の場合には、金属光沢が不足することがある。一方、R50が3μmを超える場合、印字安定性が低下することがある。
平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)の面積より求めた円相当径の最大粒子径は、10μm以下であることが好ましい。最大粒子径を10μm以下にすることで、インクジェット記録装置のノズルや、インク流路内に設けられた異物除去フィルター等に該平板粒子が目詰まりすることを防止することができる。
平板状粒子の平面上の長径X、短径Y、円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000S(以上、シスメックス株式会社製)が挙げられる。
平板状粒子の粒度分布(CV値)は、下記式(5)より求めることができる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 ・・・(6)
ここで、得られるCV値は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、特に好ましくは40以下である。CV値が60以下の平板状粒子を選択することで、印字安定性に優れるという効果が得られる。
厚み(Z)は、金属光沢性を確保する観点から、5nm以上30nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上25nm以下である。厚み(Z)が5nm未満であると、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜を形成したときに金属光沢性が低下する傾向がある。一方、厚み(Z)が30nmを超えても、金属光沢性が低下する傾向がある。
アルミニウム顔料は、コストの観点および金属光沢性を確保する観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウム以外に添加する他の金属元素または非金属元素としては、例えば、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などが挙げられる。
ここで、アルミニウム顔料分散液に含まれるアルミニウム顔料を、洗浄する工程を設けてもよい。アルミニウム顔料の洗浄には、前述した有機溶媒を用いることができる。
アルミニウム顔料分散液には、前述の剥離用樹脂層が含まれていたり、剥離用樹脂層がアルミニウム顔料に付着していたりする場合がある。剥離用樹脂層に含まれる成分は、後述するテトラエトキシシランとアルミニウム顔料との反応を阻害する場合がある。そのため、アルミニウム顔料を洗浄することによって、剥離用樹脂層の成分を除去して、後述するテトラエトキシシランとアルミニウム顔料との反応性を向上させることができる。
アルミニウム顔料の洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下のように行うことができる。
まず、上記のアルミニウム顔料分散液から有機溶媒の少なくとも一部を除去する。有機溶媒の除去は、ろ過、遠心沈降または遠心分離等の操作により、有機溶媒とアルミニウム顔料とを分離してアルミニウム顔料分散液に含まれる有機溶媒を除去する。
次に、アルミニウム顔料に洗浄用の有機溶媒を加えて、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させた後、洗浄用の有機溶媒を除去する。なお、アルミニウム顔料を洗浄用の有機溶媒に分散して、洗浄用の有機溶媒を除去する工程は、複数回行ってもよい。
その後、アルミニウム顔料に前述した有機溶媒を加えて分散させることによって、アルミニウム顔料の洗浄されたアルミニウム顔料分散液を得ることができる。
(3)次いで、アルミニウム顔料分散液中にテトラエトキシシラン(以下、「TEOS」ともいう。)を添加して撹拌する。これにより、アルミニウム顔料の表面に存在する水酸基とTEOSとが加水分解反応して、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜を形成することができる。アルミニウム顔料を水中に分散させると、水素ガスの発生を伴い、アルミナの生成によりアルミニウム顔料が白色化する。そのため、アルミニウム顔料の表面をシリカ膜で覆うことにより耐水性を付与し、白色化によるアルミニウム顔料の金属光沢の消失を防ぐことができる。
加水分解反応における反応温度は、好ましくは10℃以上150℃以下、より好ましくは20℃以上130℃以下である。10℃未満では、加水分解反応の進行が遅くなり、アルミニウム顔料表面のシリカ膜の形成が不十分となりやすい。150℃を超えると安全上格別の注意を要する。
前記加水分解反応における反応時間は、好ましくは0.5時間以上200時間以下、より好ましくは1時間以上180時間以下である。反応時間が0.5時間未満では、加水分解反応が十分に完結しない場合があり、十分な耐水性および水分散性が得られない場合がある。200時間を超えると、アルミニウム顔料が凝集することがある。
TEOSの添加量は、シリカ膜の厚みが0.5nm以上10nm以下、好ましくは5nmとなるような量を計算して決定すればよい。シリカ膜の厚みが10nmを超えると、金属光沢性が低下することがあるからである。
TEOSの添加量は、具体的には、アルミニウム顔料1質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上4質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上3質量部以下を添加する。TEOSの添加量が5質量部を超えると、未反応のTEOSによりアルミニウム顔料分散液が白濁化することがある。一方、0.2質量部未満では、アルミニウム顔料の表面に存在する水酸基を完全に被覆できないことがある。
第1工程において、TEOSの添加後、さらに塩基性触媒としてアンモニアを添加することができる。アンモニアは、TEOSの加水分解反応を促進することができる。
アンモニアの添加量は、アルミニウム顔料10質量部に対して、好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。アンモニアの添加量が上記範囲を超えると、アルミニウム顔料分散液の粘度が上昇し、アルミニウム顔料分散液中のアルミニウム顔料が凝集し、金属光沢を維持できなくなる。
1.2.第2工程
本実施形態に係る第2工程では、アルミニウム顔料分散液から有機溶媒の少なくとも一部を除去する。
有機溶媒の除去は、ろ過、遠心沈降または遠心分離等の操作により、有機溶媒とシリカ膜の形成されたアルミニウム顔料とを分離してアルミニウム顔料分散液に含まれる有機溶媒を除去する。上記の操作の中でも簡便であることから、遠心分離により分離して有機溶媒を除去する方法が好ましい。これらの方法により、アルミニウム顔料分散液に含まれる有機溶媒の70%以上除去することが好ましく、80%以上除去することがより好ましい。
1.3.第3工程
本実施形態に係る第3工程では、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cから選択される少なくとも1種を含む水溶液(以下、「界面活性剤水溶液」ともいう。)を添加する。共重合体A、共重合体B、および共重合体Cは、それぞれ単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る第3工程では、アルミニウム顔料分散液に、界面活性剤水溶液を添加し十分に攪拌する。本実施形態において、第1工程、第2工程、第3工程の順に行うことが好ましい。第2工程後に、第3工程の界面活性剤水溶液の添加を行うことによって、アルミニウム顔料の凝集を効果的に防ぐことができ、耐水化アルミニウム顔料分散液の分散性を向上できるためである。
本工程によって、前記工程で得られたアルミニウム顔料分散液中の有機溶媒を水系溶媒へと溶媒置換することができ、水分散性に優れた耐水化アルミニウム顔料分散液が得られる。また、本工程により得られた耐水化アルミニウム顔料分散液の溶媒は、水系溶媒をベースとするものであるため、容易に水性インク組成物に適用することができる。
界面活性剤水溶液の添加後の撹拌時間は、特に限定されないが、3時間〜120時間程度であることが好ましい。撹拌時間が前記範囲内であると、金属光沢性を損なわずに水分散性に優れた耐水化アルミニウム顔料分散液を得ることができる。撹拌時間が120時間を超えると、アルミニウム顔料の凝集により金属光沢性が損なわれることがある。
共重合体Aは、下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(3)で表される構造単位と、を有する。共重合体Bは、下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位と、を有する。共重合体Cは、下記一般式(1)または下記式(2)で表される構造単位と、下記一般式(4)で表される構造単位と、下記一般式(5)で表される構造単位と、を有する。
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cは、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの共重合体であってもよい。
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cは、嵩高い分子構造を有している。そのため、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cは、シリカ膜の形成されたアルミニウム顔料の表面に吸着後、分子構造に由来する立体障害作用により、シリカ膜の形成されたアルミニウム顔料同士の凝集を効果的に抑制させることができる。
Figure 2012122028

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上記一般式(3)におけるmは、1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数であることが好ましい。また、上記一般式(4)におけるnは、1以上5以下であり、好ましくは1以上3以下である。また、上記一般式(5)におけるoは、1以上5以下であり、好ましくは1以上3以下である。
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cのそれぞれの重量平均分子量は、好ましくは2000以上50万以下であり、さらに好ましくは1万以上10万以下である。共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの重量平均分子量が上記範囲を超えると、耐水化アルミニウム顔料分散液の粘度が高くなり、分散性が悪化する。一方、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの重量平均分子量が上記範囲未満であると、界面活性剤の立体障害効果が期待できなくなり、耐水化アルミニウム顔料分散液の分散性が悪化する。
なお、重量平均分子量は、例えば、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算分子量によって求めることができる。
共重合体Aとしては、例えば、構造単位としてマレイン酸およびオレフィン(登録商標)を有する共重合体であるポリスターOM(商品名、日本油脂株式会社製)が挙げられる。共重合体Bとしては、例えば、構造単位としてマレイン酸およびスチレンを有する共重合体であるDSKディスコート(登録商標)N−10(商品名、第一工業製薬株式会社)が挙げられる。共重合体Cとしては、例えば、構造単位として無水マレイン酸、およびポリオキシプロピレンアルキルエーテルを有する共重合体であるマリアリムAKM−0531(商品名、日本油脂株式会社製)が挙げられる。
共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの添加量の合計は、アルミニウム顔料1質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上1.5質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上1.3質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上1.2質量部以下である。共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの添加量の合計が上記範囲を超えると、耐水化アルミニウム顔料分散液の分散性が悪化する場合がある。一方、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cの添加量の合計が上記範囲未満であると、アルミニウム顔料の凝集が発生し、金属光沢を維持できなくなる。
界面活性剤水溶液の添加量は、耐水化アルミニウム顔料分散液の全質量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
2.耐水化アルミニウム顔料分散液
本実施の形態にかかる耐水化アルミニウム顔料分散液は、上述した製造工程により製造することができる。すなわち、本実施の形態にかかる耐水化アルミニウム顔料分散液は、アルミニウム顔料をシリカ膜で被覆した耐水化アルミニウム顔料が、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cから選択される少なくとも1種を含む水溶液中に分散されてなることを特徴とする。
本実施の形態にかかる耐水化アルミニウム顔料分散液によれば、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜が形成されることにより耐水性が付与され、水性塗料や水性インク組成物に配合された時においても金属光沢性を損なわない。また、シリカ膜で被覆されたアルミニウム顔料を、共重合体A、共重合体B、および共重合体Cから選択される少なくとも1種を含む水溶液中に分散させることで、耐水性や金属光沢性を損なわずに水分散性に優れた耐水化アルミニウム顔料分散液となる。
耐水化アルミニウム顔料は、テトラエトキシシランで表面処理されたものであることができる。前述したように、テトラエトキシシランでアルミニウム顔料の表面を処理することによって、耐水性の優れた耐水化アルミニウム顔料を得ることができる。
アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径(R50)を有する平板状アルミニウム顔料であることが好ましい。
前述したように、アルミニウム顔料の厚みが5nm以上30nm以下であると、優れた金属光沢性を有する耐水化アルミニウム顔料を形成することができる。一方、厚みが5nm未満では金属光沢性が低下する傾向があり、30nmを超えても金属光沢性が低下する傾向がある。
前述したように、アルミニウム顔料のR50が0.5μm以上3μm以下であると、良好な金属光沢性および印字安定性を確保することができる。R50が0.5μm未満の場合には、金属光沢性が不足することがある。一方、R50が3μmを超える場合、印字安定性が低下することがある。
シリカ膜の厚みは、好ましくは0.5nm以上10nm以下であり、より好ましくは1nm以上9nm以下である。シリカ膜の厚みが0.5nm未満であると、アルミニウム顔料に十分な耐水性や水分散性を付与することができない。一方、シリカ膜の厚みが10nmを超えると、アルミニウム顔料に耐水性や水分散性を付与することはできるが、金属光沢性が低下する傾向がある。
本実施の形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液は、X線光電子分光法(以下、「XPS」という。)による元素分析によって、その表面状態を特定することができる。XPSの原理は、概ね以下の通りである。
XPSは、X線の照射により試料から放出される光電子のエネルギーを測定する分光法である。光電子は、大気中ではすぐに分子と衝突して散乱されてしまうため、装置を真空にしておく必要がある。また、固体試料の奥深くで放出された光電子は、試料内で散乱されて表面から脱出することができない。したがって、XPSは、試料表面からのみの光電子を測定することになるので、表面分析法として有効である。XPSでは、試料表面からおおよそ数nm以内の範囲を分析することができる。
観測される光電子の運動エネルギーEは、hν−EKから、さらに結晶内の電子を試料表面の外に移すためのエネルギーφを引いた値、すなわち、
E=hν−EK−φ …(7)
と表すことができる。但し、h:プランク定数、ν:振動数、EK:電子の結合エネルギーである。前記式(7)から、Eの値は励起源のX線のエネルギーにより異なることが分かる。励起X線には、通常アルミニウムやマグネシウムをターゲットとするX線管からの特性X線を使用する。電子エネルギーの測定法は、特に制限されないが、代表的なものとして電子を静電場中に導き一定軌道を描くもののみを検出する静電場型がある。
XPSにより、電子の結合エネルギーEKを測定することができる。かかる結合エネルギーは、基本的に元素固有の値であるから元素の種類を特定することができる。また、光電子スペクトルの強度から各元素を定量することもできる。
1.2.白色顔料
本実施形態のインク組成物に含有される白色顔料としては、二酸化チタン、二酸化ジルコニア等の第IV族元素酸化物が挙げられる。白色顔料としては、その他にも、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、白土、水酸化アルミ、炭酸マグネシウム、中空樹脂等が挙げられ、好ましくはこれらからなる群から選択される1種または2種以上の混合物であってもよい。中空樹脂は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、米国特許第4,880,465号や特許第3,562,754号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の白色インク組成物に含有される白色顔料としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
インク組成物に含有される白色顔料の含有量は、アルミニウム顔料の含有量に対して0.01倍以上10倍以下である。すなわち、インク組成物全体に対するアルミニウム顔料の含有量が、例えば0.1質量%以上5質量%以下である場合には、インク組成物全体に対する白色顔料の含有量は、0.001質量%以上50質量%以下である。また、白色顔料の水溶性インク組成物における分散性の観点からは、白色顔料の含有量は0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。さらに、白色度を高めること、および、水溶性インク組成物における分散性を高めること、の少なくとも一方の観点からは、白色顔料の含有量は0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
また、インク組成物から白色顔料を除去した組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α1)及び光沢度(β1)と、該インク組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α2)及び光沢度(β2)とした場合に、(α2/α1)×(β2/β1)において算出される値が1超であることが好ましく、より好ましくは1.5以上である。なお、(α1/α2)はL*値の上昇率であり、(β2/β1)は60°光沢度の低下率である。印刷媒体については特に限定されないが、例えば写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社)が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、例えば用途が、インクジェット記録方式の印刷である場合、記録媒体に付着されて光沢画像を提供することができる。その際、記録媒体に付着される濃度は、例えば、dutyによって定義されうる。
「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=実印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印刷ドット数」は単位面積当たりの実印刷ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。100%dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。)
体積基準の平均粒子径(以下、平均粒子径)として、特に限定されないが、白色顔料は好ましくは100nm以上1200nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。平均粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インクジェット式記録ヘッドが目詰まりしたりする等、信頼性を損なうことがある。一方、平均粒子径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。白色顔料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
白色顔料を用いることにより、白色度(L値)の高く、金属光沢を有するインク組成物を得ることが出来る。
1.3.水
本実施形態のインク組成物は特に限定はされないが、水を含んでいてもよい。用いられる水は、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水などである。アルミニウム顔料の分散の妨げにならない程度であれば、水中にはイオン等が存在してもよい。
本実施形態の水系インク組成物において、水を含有させる場合の水の含有量は、アルミニウム顔料の分散が維持できる範囲で限定されないが、インク組成物の全量に対して50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。また、70質量%以上95質量%以下であるのがより一層好ましい。インク組成物における水の含有量が、この範囲内であると、アルミニウム顔料および白色顔料の分散性がより良好となり、保存安定性をさらに高めることができる。
また本実施形態の非水系インク組成物における水の含有量は、アルミニウム顔料の分散が維持できる範囲で限定されないが、インク組成物の全量に対して50質量%未満であることがより好ましい。インク組成物における水の含有量が、この範囲内であると、アルミニウム顔料および白色顔料の分散性がより良好となり、保存安定性をさらに高めることができる。
1.4.その他の成分
本実施形態のインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、樹脂類、色材等を含有してもよい。本実施形態に用いられる液媒は水系のものであっても、有機系のものであってもよい。
界面活性剤としては、例えばアセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、被記録面への濡れ性を高め、インクの浸透性を向上させる効果がある。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えばオルフィン(登録商標)E1010、STG、Y(以上、日信化学株式会社製)、サーフィノール(登録商標)104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えばBYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、本実施形態のインク組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のその他の界面活性剤を添加してもよい。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、本実施形態のインク組成物をインクジェット記録装置に適用した場合に、インク組成物の乾燥を防止し、インクジェット記録ヘッド部分における目詰まりを防止する効果がある。
これらのうち、特に、アルカンジオールは、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める作用が強く好ましい。このようなアルカンジオールとしては、炭素数が6以上8以下の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が特に高いためより好ましい。
pH調整剤としては、特に制限されず、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
樹脂類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。これらの樹脂類は、銀粒子を記録媒体上に強固に定着させるために添加されることができる。
色材としては、顔料および染料が挙げられ、通常のインクに使用することのできる色材を特に制限なく用いることができる。本実施形態のインク組成物に添加することができる色材の色としては、有彩色、無彩色であってもよいが、インク組成物が白色顔料を含有するため、有彩色であることが好ましい。インク組成物に色材を含有させる場合には、例えば、記録媒体に塗布されたときに形成される画像に、金属光沢とともに、光沢の色彩を付与することができる。
本実施形態のインク組成物に使用可能な染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用される各種染料を使用することができる。
本実施形態のインク組成物に使用可能な顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などを使用することができる。顔料の色としては、イエロー、マゼンタ、シアンなどが挙げられる。本実施形態のインク組成物に色材を含有させる場合、色材を複数含有するものであっても良い。例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの基本3色に加えて、それぞれの色毎に同系列の濃色や淡色を加えることができる。すなわち、マゼンタに加えて淡色のライトマゼンタ、濃色のレッド、シアンに加えて淡色のライトシアン、濃色のブルーを含有させることが例示できる。
本実施形態のインク組成物に顔料を含有させる際には、顔料はその平均粒子径が10nm以上200nm以下の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50nm以上150nm以下程度のものである。本実施形態のインク組成物に色材を含有させる場合は、色材の添加量は、0.1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下程度の範囲である。
また、インク組成物に顔料を含有させる場合には、当該顔料を分散させるための顔料分散剤をさらに添加してもよい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するために慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、通常のインクにおいて用いられている任意の分散剤を用いることができる。インク組成物に顔料分散剤を含有させる場合の含有量としては、インク組成物中の色材の含有量に対して、5質量%以上200質量%以下、好ましくは30質量%以上120質量%以下であり、分散すべき色材によって適宜選択するとよい。
また、本実施形態のインク組成物は、水溶性ロジンなどの定着剤、安息香酸ナトリウムなどの防黴剤・防腐剤、アロハネート類などの酸化防止剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、防腐剤、防かび剤などの添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることができ、2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、本実施形態のインク組成物は、有機系の液媒として、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、又はフッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、又はプロピオン酸エチル等)、又はエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等)等を用いることができる
有機系液媒を用いる場合は、他に、非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン誘導体を含むことができる。前記のポリオキシエチレン誘導体としてアセチレングリコール系界面活性剤を用いることができる。その具体例としてはサーフィノール104、82、465、485、又はTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(いずれも日信化学社製の商品名)を挙げることができる。
また、前記のポリオキシエチレン誘導体として、その他の市販品を利用することも可能であり、その具体例としては、ニッサンノニオン(登録商標)A−10R,A−13R(日本油脂株式会社)、フローレンTG−740W,D−90(共栄社化学株式会社)、エマルゲン(登録商標)A−90,A−60(花王株式会社)、又はノイゲン(登録商標)CX−100(第一工業製薬株式会社)を挙げることができる。
加えて、非イオン性の界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤を添加することができる。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。
有機系液媒を用いる場合は、本発明のインク組成物において、非イオン系界面活性剤の含有量は、適宜選択することができるが、インク組成物中の顔料の含有量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜3.0重量%である。
有機系液媒を用いる場合は、本発明のインク組成物は、その他に、通常のインク組成物に含まれているその他の添加剤を含むことができる。こうした添加剤としては、例えば、安定剤(例えば、酸化防止剤、又は紫外線吸収剤)を挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、BHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)又はBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を用いることができ、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。また、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性、又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができる。
本発明のインク組成物にはグリコールエーテルが含有されていてもよい。本発明のインク組成物に含有されるグリコールエーテルとは、メチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、そして2−エチルヘキシルの脂肪族、二重結合を有するアリル並びにフェニルの各基をベースとするエチレングリコール系エーテルとプロピレングリコール系エーテルがあり、無色で臭いも少なく、分子内にエーテル基と水酸基を有しているので、アルコール類とエーテル類の両方の特性を備えた、常温で液体のものである。
例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
1.5.インク組成物の用途および物性
本実施形態のインク組成物の用途は、特に限定されるものではなく、筆記具、スタンプ、記録計、ペンプロッター、インクジェット記録装置等に適用することができる。
例えば用途が、インクジェット記録方式の印刷である場合、インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。インク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルからインク組成物が適量吐出され、インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。
本実施形態のインク組成物は、インクジェット記録装置によって、記録媒体に対して吐出され、塗布されることができる。そして、本実施形態のインク組成物は、上述の銀粒子を含んでいる。そのため、インクジェット記録方法によって、塗布されたときに、その塗膜に良好な金属光沢を発現させることができる。
また、本実施形態のインク組成物は、上述の白色顔料を含んでいる。そのため、インクジェット記録方法によって、塗布されたときに、その塗膜の金属光沢の着色を抑制することができる。すなわち、銀粒子が粉体であることによって生じる黒色ないし褐色の色合いを、白色顔料によって抑え、より白色度の強い(着色の少ない)金属光沢を発現させることができる。
なお、インク組成物によって、記録媒体に形成された画像の光沢度は、日本工業規格(JIS)Z8741:1997「鏡面光沢度−測定方法」の方法に従って評価することができる。光沢度は、例えば、画像の形成された面に対して、例えば、20°、45°、60°、75°および85°の入射角で光を入射させ、その反射角の方向に光検出器を設置して光の強度を測定した結果に基づいて算出されることができる。このような測定が可能な装置としては、例えば、コニカミノルタ株式会社製MULTI GLOSS 268、日本電色工業株式会社製GlossMeter型番VGP5000などがある。
また、インク組成物によって、記録媒体に形成された画像の白色度は、例えば、画像のL*値を用いて評価することができる。画像のL*値は、例えば、「938 Spectrodensitometer」(X−rite社製)等の市販の分光装置を用いて測定することができる。
2.記録方法
本実施形態の記録方法は、インクジェット式記録ヘッドによって、上述のインク組成物を吐出させ、記録媒体に付着させることを含む。以下では、インクジェット記録装置を用いて、記録媒体上にインク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させてドット群を形成する記録方法の一例を示す。
2.1.インクジェット式記録ヘッド
インクジェット式記録ヘッドの方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式(ピエゾ方式)、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。本実施形態の記録方法は、上記いずれのインクジェット式記録ヘッドを用いてもよい。
本実施形態で用いるインクジェット記録装置としては、上記のインクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジなどを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドには、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの少なくとも4色のインクセットを収容するインクカートリッジを備えて、フルカラー印刷ができるように構成されてもよい。本実施形態では、これらのインクカートリッジの少なくとも1つ、あるいはさらに専用のカートリッジを設けて、上述のインク組成物を充填し設置する。また、それ以外のカートリッジには、通常のインクなどが充填されてもよい。インクジェット記録装置は、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。
2.2.記録媒体
本実施形態の記録方法でインク組成物が付着される記録媒体の種類は、特に限定されない。本実施形態の記録方法に用いられる記録媒体としては、例えば、紙、多孔性フィルム、布等の吸収性記録媒体が挙げられ、またプラスチック等のインク吸収性を有さない基材を有する記録媒体であってもよい。
記録媒体は、グロス系、マット系、ダル系のいずれであってもよい。記録媒体の具体例としては、例えば、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の表面加工紙、および、インク受容層などが形成された塩化ビニルシートやPETフィルム等のプラスチックフィルムなどを挙げることができる。
本実施形態の記録方法によれば、上述のインク組成物を用いているため、記録媒体上に良好な金属光沢を有するとともに、着色の少ない(白色度の良好な)画像を記録することができる。また、インク組成物に含有される白色顔料の一次粒子径を100nm以上2μm以下とすれば、白色顔料の含有量を低減できるとともに、白色度と金属光沢のバランスに優れた画像を記録することができる。
3.実施例および比較例
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
3.1.インク組成物
3.1.1.アルミニウム顔料分散液1
実施例1〜5および比較例1〜2のインク組成物に用いるアルミニウム顔料分散液1は、上記実施形態の「1.1.1.アルミニウム顔料分散液の製造方法」および「1.1.2.耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法」に従って調製した。
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学社製)3.0質量%およびジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。
次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、真空デバイス社製)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
次いで、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。
得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5.0質量%のアルミニウム顔料分散液を得た。
次いで、得られたアルミニウム顔料分散液5.0gをビーカーに投入し、これにシリカ原料であるTEOS0.57g、塩基性触媒である1モル/Lアンモニア水0.1gを添加して、7日間室温で攪拌することにより加水分解反応させた。これにより、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜を形成させたアルミニウム顔料分散液を得た。
次いで、それを遠心分離(10,000rpm、60分間)し、シリカ膜を形成させたアルミニウム顔料分散液に含まれる溶媒を除去した。その後、撹拌しながら、界面活性剤として0.2質量%のポリスターOMを含む水溶液(以下、「0.2%ポリスターOM水溶液」ともいう。)を、アルミニウム顔料の濃度が1.7質量%となる量を計算し添加した。このようにして、耐水化アルミニウム顔料分散液Aを得た。
3.1.2.アルミニウム顔料分散液2
実施例6のインク組成物に用いるアルミニウム顔料分散液2は、以下のように調製した。
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学社製)3.0質量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥する事で、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。
次に、真空蒸着装置(真空デバイス社製VE−1010型真空蒸着装置)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
次に、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン社製)を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作成した。
得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5質量%濃度のアルミニウム顔料分散液1を得た。
次いで、株式会社セイシン企業製 レーザー回折散乱式粒度分布測定器 LMS−2000eを用いて、アルミニウム顔料の光散乱法による球換算50%平均粒子径(d50)を測定した結果、1.001μmであった。
3.1.3.二酸化チタン分散液1
二酸化チタン分散液1については以下のように調整を行った。
ガラス転移温度40℃、質量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体の25質量部を水酸化ナトリウム3.2質量部と水71.8質量部の混合溶液に溶解させて樹脂固形分25質量%の高分子分散剤溶液1を得た。
前記高分子分散剤溶液1の36質量部に水19質量部を加え混合し、二酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに二酸化チタン(CR−90、アルミナシリカ処理(アルミナ/シリカ≧0.5)、平均一次粒子径0.25μm、吸油量21ml/100g、石原産業(株)製)45質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、二酸化チタン分散液1を得た。
3.1.4.二酸化チタン分散液2
ガラス転移温度40℃、質量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体の25質量部をジエチレングリコールジエチルエーテル75質量部の混合溶液に溶解させて樹脂固形分25質量%の高分子分散剤溶液2を得た。
前記高分子分散剤溶液2の36質量部にジエチレングリコールジエチルエーテル19質量部を加え混合し、二酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに二酸化チタン(CR−90、アルミナシリカ処理(アルミナ/シリカ≧0.5)、平均一次粒子径0.25μm、吸油量21ml/100g、石原産業(株)製)45質量部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、二酸化チタン分散液2を得た。
3.1.3.インク組成物
実施例1〜5および比較例1〜2に用いたインク組成物は、上記アルミニウム顔料分散液1、および白色顔料としては、二酸化チタン1(体積基準の平均粒子径250nm)、二酸化チタン2(体積基準の平均粒子径250nm)、中空粒子(SX8782(D)、JSR株式会社製、体積基準の平均粒子径1000nm)を用いて調製した。具体的には、上記のアルミニウム顔料水分散液を用意し、表1に記載した配合となるように、二酸化チタン、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、界面活性剤(BYK−348:ビックケミー・ジャパン株式会社製)、およびイオン交換水を混合し、常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・攪拌して調製した。ここで、表1中、アルミニウム顔料、二酸化チタンおよび中空粒子の含有量については、水を除く固形分の量を記載した。また、各実施例および各比較例のインク組成物におけるアルミニウム顔料の含有量に対する白色顔料の含有量の比率(%)についても表1及び表2に併記した。
また、実施例6に用いたインク組成物は、上記アルミニウム顔料分散液2を用意し、表1に記載した配合となるように、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)、γ−ブチロラクトン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMB)、BYK−UV3500(商品名、ビックケミー・ジャパン社製)およびイソプロピルアルコールを混合し、常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・攪拌して調製した。ここで、表1中、アルミニウム顔料および二酸化チタンの含有量については、分散溶媒を除く固形分の量を記載した。また、各実施例および各比較例のインク組成物におけるアルミニウム顔料の含有量に対する白色顔料の含有量の比率(%)についても表1及び表2に併記した。
Figure 2012122028

Figure 2012122028

3.2.評価試料の作成
各実施例および各比較例の記録物は、インクジェット記録装置として、インクジェットプリンター型式PX−G930(セイコーエプソン株式会社製)を用いて作成した。各実施例および各比較例のインク組成物を、該プリンターの専用カートリッジのブラックインク室に充填し、これをプリンターに装着して印刷することによって作製した。記録媒体は写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社)を用いた。
いずれの試料においても、印刷条件として、用紙選択を写真用紙光沢に設定し、色補正なし、フォト−1440dpi、単方向印刷に設定して印刷した。画像は、dutyが20%から100%まで、20%ずつ変化させたものとし、各実施例および比較例について、各dutyにおける評価を行うことができるようにした。
3.3.評価方法
得られた各実施例および各比較例の試料につき、光沢度および白色度を評価した。光沢度は、コニカミノルタ社製、MULTI GLOSS 268型光沢計を用いて、入射角20°および60°の光沢度を測定した。表1には、入射角20°および60°でduty20%、40%、60%、80%および100%での測定結果を記載した。
白色度は、「938 Spectrodensitometer」(X−rite社製)を用いて測定した。光源はD50とし、duty20%、40%、60%、80%および100%における明度(L*)を白色度の指標とした。白色度の評価基準は、duty100%でのL*が57以上であるものをA、L*が50以上57未満のものをB、L*が50未満のものをCとして、表3に記載した。
また、白色度と光沢度のバランスを評価するために、各dutyにおいて、L*値の上昇率および60°光沢度の積「(L*値上昇率)×(60°光沢低下率)」の値を求めた。L*値の上昇率および60°光沢度の低下率の基準は、二酸化チタン粒子を含まない比較例1を用いた。すなわち、「(L*値上昇率)×(60°光沢低下率)」は、比較例1を基準としたときの白色度および光沢度のバランスの向上の度合いを示すことになる。
「(L*値上昇率)×(60°光沢低下率)」の評価基準は、各dutyにおける最大値が1.1以上であるものをAとし、各dutyにおける最大値が1.05以上1.1未満であるものをBとし、各dutyにおける最大値が1以上1.05未満であるものをCとし、1.0未満であるものをDとした。
光沢の感応評価を行なった。A4サイズの写真用紙にduty100%のベタ印刷を行なった評価試料を10人に光沢感を0、1、2、3点の点数をつけてもらい平均点を計算した。平均点数が2.0以上3.0以下であるものをAとし、平均点数が1.0以上2.0未満であるものをBとし、平均点数が1.0未満であるものをCとした。
また白さと光沢感の総合評価として、「(L*値上昇率)×(60°光沢低下率)」の評価および光沢の感応評価の結果を総合して評価を行なった。2つの評価を比較して、評価の低い評価を光沢感の総合評価とした。
3.4.評価結果
Figure 2012122028

Figure 2012122028

表3をみると、アルミニウム顔料の含有量に対する二酸化チタンの含有量が0.01倍以上10倍以下のインク組成物を用いた各実施例の試料は、白色度および光沢度ともに優れていた。一方、白色顔料を含有しない比較例1の試料は、白色度が不十分となっていた。また、アルミニウム顔料の含有量に対する二酸化チタンの含有量が15倍のインク組成物を用いた比較例2の試料は、白色度は良好であったが、光沢度が不十分で、白色度および光沢度のバランスにおいても劣っていた。
これらの結果から、アルミニウム顔料の含有量に対する二酸化チタンの含有量が0.01倍以上10倍以下のインク組成物によれば、光沢性および白色度を両立させることができることが判明した。すなわち、アルミニウム顔料の含有量に対する二酸化チタンの含有量が0.01倍以上10倍以下のインク組成物によれば、着色の少ない(白色度の良好な)金属光沢を有する画像を形成できることが判明した。
一方、各実施例および各比較例におけるL*値のduty依存性を調べた。図1は、各実施例および各比較例の試料において、dutyに対して、L*値をプロットしたグラフである。図1をみると、実施例3〜5のインク組成物では、広いdutyの範囲において、比較例1よりも白色度が向上していることが判明した。これに対して、比較例1のインク組成物では、各dutyにおいて白色度が不十分で、着色が生じていることが判明した。
さらに、各実施例および各比較例における60°光沢度のduty依存性を調べた。図2は、各実施例および各比較例の試料において、dutyに対して、60°光沢度をプロットしたグラフである。図2をみると、実施例1および実施例2のインク組成物において、dutyが20%程度から、アルミニウム顔料の効果の一つである光沢度が顕著に発現していることが判明した。実施例1のインク組成物では、比較例1に近い良好な60°光沢度を有していることが判明した。また比較例2においては、光沢度が比較例1より顕著に低下していることが判明した。
実施例1のインク組成物は、高いdutyの範囲においては、比較例1のインク組成物に比較的近い白色度および光沢度を有することがわかるが、一方、表1をみると、実施例1の試料は、duty20%、40%において、(L*値上昇率)×(60°光沢低下率)の値が特に良好であることがわかる。すなわち、アルミニウム顔料の含有量に対する二酸化チタンの含有量を0.25倍程度とすることにより、低いdutyにおける白色度と光沢度のバランスにおいて顕著な効果を奏することが判明した。低いdutyの画像を形成する場合に実施例2のインク組成物は、実用的で優れた効果を有していることが判明した。
また、表2及び表4より、アルミニウム顔料の添加量を変更した実施例7から10についても良好な結果が得られた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (9)

  1. アルミニウム顔料と、白色顔料と、を含み、
    前記白色顔料の含有量は、前記アルミニウム顔料の含有量に対して、0.01倍以上10倍以下であることを特徴とするインク組成物。
  2. 請求項1において、
    前記白色顔料の含有量は、前記アルミニウム顔料の含有量に対して、0.25倍以上0.05倍以下であることを特徴とするインク組成物。
  3. 請求項1または2において、
    前記アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の円相当径の50%平均粒子径を有する平板状粒子であることを特徴とする、アルミニウム粒子分散液。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記アルミニウム顔料の含有量は1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするインク組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記白色顔料の平均粒子径が100nm以上2μm以下であることを特徴とするインク組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    水を含み、前記水の含有量が50質量%以上95質量%以下であることを特徴とするインク組成物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記アルミニウム顔料は、テトラエトキシシランで表面処理されたことを特徴とする、耐水化アルミニウム顔料である、インク組成物。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項のインク組成物において、
    該インク組成物から白色顔料を除去した組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α1)及び光沢度(β1)と、
    該インク組成物をduty60%で印刷した場合のL*値(α2)及び光沢度(β2)とした場合に、
    (α2/α1)×(β2/β1)において算出される値が1超であることを特徴とするインク組成物。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項においてのインク組成物を備え、
    前記インク組成物は印刷媒体に吐出可能な印刷装置。
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