JP2013184936A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
これまでにない高い安全性及び効果を有する皮膚バリア改善機能を有する化粧料を作成することを課題とする。
【解決手段】
時計遺伝子BMAL-1タンパクの産生促進作用物質である(A)成分と、(B)、(C)を配合してなる化粧料を利用することにより、皮膚細胞に作用して細胞自ら保湿成分の産生を促進し、かつ皮膚のバリア機能を高める作用が強いため、カユミやカサツキといったアトピー症状の改善効果が期待できる。また、本発明の化粧料は安全性が高く、安心して使用することができる。
(A)ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、セージ抽出液から1種以上
(B)脂肪酸のメントールエステル
(C)セバシン酸ジイソプロピル、メントキシプロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから1種以上
【選択図】なし
Description
これは、季節変化によって生ずる肌荒れが皮膚機能の一時的低下によるものであり、これを化粧料の様なもので補えば一時的に回復するものの、アトピー性皮膚炎等に起因する肌荒れは皮膚表面の状態変化によるものではなく、表皮細胞の機能異常が原因となっているためである。
従って、アトピー性皮膚炎等は、皮膚内部から改善する必要があった。
最近においては時計遺伝子の発現リズムにより、病気になり易い時間帯が存在することが明らかになってきた。例えば、心筋梗塞の発症は朝に多く、アトピー性皮膚炎のかゆみは夜間に増悪することが知られている。これは血液凝固系に関連する酵素活性に日周リズムがあるためであり、また細胞におけるホルモンやヒスタミンの感受性が時計遺伝子の作用により、夜間に増大するためであることがわかってきた。
7−O−ルチノシドを含有する組成物が記載されている。
以下、本願においては、BMAL-1が遺伝子を表す場合はBmal-1、タンパクを表す場合はBMAL-1と表記した。
セージ(Salvia
officinalis)は、シソ科アキギリ属の多年草で薬用サルビアとも称される。草丈は50−70cm程で、5-7月に紫または白色の唇状の花を咲かせる。葉を乾燥してハーブティーとして飲用したり、肉の臭み消しに利用し、豚肉と良く合わせられており、ソーセージの語源となったという説もある。中南米やヨーロッパを中心に世界に約900種が分布し、サルビア、セージがこれに含まれる。日本原産の種類としてはアキノタムラソウ、キバナアキギリ(黄花秋桐)などがあるが、いずれの種類でも利用可能である。
パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが使用できる。また、サフラワー油や、菜種油、綿実油、大豆油のような油脂類から酵素合成により、混合脂肪酸のメントールエステルを作成することが可能である。
脂肪酸メントールエステルの配合量は一般に0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1.0質量%の範囲である。
また、セバシン酸ジイソプロピル、メントキシプロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの配合量は、一般に0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜3.0質量%の範囲である。
Bmal-1のRNA干渉を行うsiRNA配列はPNAS August 23, vol.102,
no.34, 12071-12076, 2005に記載された下記の配列のものを用いた。
Bmal-1 siRNA配列
Sense 5’-CCA/CCA/ACC/CAU/ACA/CAG/AAG/CAA/A-3’
Anti
sense 5’-UGC/UUC/UGU/GUA/UGG/GUU/GGU/GGA/A-3’
control配列
Sense 5’-CCA/CCA/AAU/ACA/CAC/GAA/GCC/CAA/A
Anti
sense 5’-UGG/GCU/UCG/UGU/GUA/UUU/GGU/GGA/A
細胞はヒト表皮細胞であるHacat細胞を培養し、実験を行った。培養液1mlに対して、Plus
Reagent 8μl、Lipofectamine 4μlおよび、Bmal-1-siRNA 30 n molを添加調製後、80%程度コンフルーエントになったHacat細胞へ添加した。3時間インキュベートし細胞へのsiRNAの導入を行った。その後、培養液を5%FBS含有D-MEM培地に交換し、21時間後に細胞中からmRNAを抽出した。mRNAの抽出は、RNeasy mini kit(Qiagen)にて行った。
細胞から抽出mRNAから、Prime Script RT reagent kit(Perfect Real time)Takaraを用いてcDNAの作成を行った。表-1に記載したPrimer、調製したcDNA、およびPower SYBR Green PCR Master Mix(Applied biosystem)にてReal time PCRの操作を行った。mRNAの発現量はリファレンス遺伝子としてGAPDHのCt値で補正し、相対定量法であるΔΔCt法により求めた。
表−2にはBmal-1-siRNAを導入したHacat細胞でのmRNA発現量を、コントロール配列を導入した細胞の各mRNA量を100とした相対量を示した。
尚、事前にヒト表皮細胞であるHacat細胞への遺伝子導入効率をX−gal染色により確認した結果、細胞へのsiRNAの導入量が50−60%であった。
RNA干渉を行ったBmal-1のmRNA発現量は58.2%であった。ヒト表皮細胞であるHacat細胞への遺伝子導入効率を考慮すると、siRNAが導入された細胞では、Bmal-1の発現は強く抑制されたものと考えられる。他のmRNA発現量はクローディン1は、58.9%、フィラグリンは、62.1%、カスパーゼ14は、41.0%であった。この結果より、Bmal-1のmRNA量が減少することにより、クローディン1、フィラグリン、カスパーゼ14の各mRNA量も連動して減少することが明らかとなった。
以上のことより、BMAL−1タンパクがフィラグリン、カスパーゼ14、クローディン1タンパクの産生に関与していることが初めて明らかになった。
フィラグリンは皮膚の表皮細胞で産生される高分子タンパク質で、プロフィラグリンとして顆粒層細胞中に存在している。表皮細胞において、プロフィラグリンは酵素により分解され、フィラグリンとなり、カスパーゼ14により分解されて天然保湿因子NMFとなり、皮膚の保湿成分として働くようになる。このため、BMAL-1タンパクが減少することは、フィラグリンおよびカスパーゼ14のタンパク量低下につながり、最終的には皮膚の保湿成分の低下をきたす結果となる。さらに、クローディン1は表皮細胞間の密着結合を構成するタンパク質である。密着結合は表皮細胞同士を結合させることにより、皮膚中の水分が蒸発するのを防御すると共に、外界からの刺激物や異物を防ぐ働きをしている。これらの密着結合の形成が不十分である場合、魚鱗癬様の皮膚状態を示すことからも、皮膚の保湿機能にとって重要な働きを担っている。このため、BMAL-1タンパクの産生を促進することで、皮膚の保湿機能の向上が期待できるものと考えられる。
<A成分の調整>
セージの全草を乾燥し、乾燥物10gに精製水100gを加え、80℃で2時間加熱抽出を行い、冷却後固形物を除去し抽出エキスを得た。
ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウムは和光純薬工業の試薬を購入し、精製水に溶解した物を添加試料とした(濃度は表−3に記載)。
5%FBSを添加したD-MEM培地でHacat細胞を50cm2のplateにてコンフルーエントになるまで培養した。細胞がコンフルーエントになった後、FBSを含有しないD-MEM培地に交換し、上記A成分を表―3の濃度になるように添加した。添加後、48時間37℃で培養し、細胞を回収してBMAL-1量を測定する試料とした。細胞はRIPA buffer 200μlで溶解し、Western blottingにてBMAL-1量の測定を行った。
サフラワー油250gにL−メントール140g、精製水70g、リパーゼ460,000単位を混和し、室温で72時間攪拌することによりメントールエステルを作成した。作成したメントールエステルを精製し、サフラワー油メントールエステルを得た。サフラワー油は、複数の脂肪酸を含んでいるので、最終的には、パルミチン酸メントールエステルが6.71%、ステアリン酸メントールエステルが1.28%、オレイン酸メントールエステルが17.6%、リノール酸メントールエステルが73.7%含まれているを確認した。
(A)ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、セージ抽出液およびBMAL-1産生促進効果の無いが保湿効果があるものとしてメリッサ抽出液のいずれか1種以上。
(B)サフラワー油のメントールエステルおよびリノール酸メントールエステル、脂肪酸のメントールエステルの比較対照物としてリノール酸イソプロピル。
(C)セバシン酸ジイソプロピル、メントキシプロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールおよびセバシン酸ジイソプロピル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの対照物としてコハク酸ジオクチル、メントキシプロパンジオールの対照物としてメントールのいずれか1種以上。
尚(A)、(B)、(C)以外の成分は、グリセリン;5.0、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.);1.0、エタノール;6.0、香料;適量、防腐剤・酸化防止剤;適量、精製水;残部としている。(A)、(B)、(C)成分において配合量が増減する場合は、精製水で調整した。
10mmφの大きさに切ったNo.2ろ紙に5%SDS水溶液20μlを含浸させ、ヒト上腕及び下腕内側皮膚に4時間閉塞貼付を行った後、ろ紙を剥離し洗浄する。その後処方例3の化粧水を塗布した。翌日も同部位に同じ操作を繰り返し、4日間処理を行い、バリア機能が破壊された皮膚部位とした。SDSの塗布を繰り返した皮膚部位では、TEWA値は30−35g/m2hを示し、非処理部位ではTEWA値は5−10g/m2hを示した。TEWA値の測定はVAPO METER(Delfintech)を用いて測定を行った。
10人の被験者の平均を皮膚水分蒸散量ランクとして示した。
比較例2−4には(A)、(B)、(C)群からいずれか2群を組み合わせた化粧水を塗布した場合のTEWA値を示したが、3群を組み合わせた実施例1−3、実施例8、実施例12と比較して、いずれもTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果が弱かった。比較例5−7には(A)、(B)、(C)群からいずれか1群を配合した化粧水を塗布した場合のTEWA値を示したが、3群を組み合わせた実施例1−3、実施例8、実施例12と比較して、いずれもTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果がさらに弱いことを示していた。一方、(A)群の実施例3の比較対照物としてBMAL-1タンパク産生促進効果の無いが保湿効果はあるメリッサ抽出液を加えた比較例8ではTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果がさらに弱いことを示していた。また、(B)群の実施例6のサフラワー油メントールエステルの比較対照物としてリノール酸イソプロピルを添加した比較例9ではTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果がさらに弱いことを示していた。さらに、(C)群のセバシン酸ジイソプロピル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを配合した実施例1、実施例12の比較対照物として同じジカルボン酸エステルであるコハク酸ジオクチルを添加した比較例10ではTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果がさらに弱いことを示していた。同じく、(C)群のメントキシプロパンジオールを配合した実施例8の比較対照物としてメントール添加した比較例11ではTEWA値が大きく、皮膚バリア機能の改善効果がさらに弱いことを示していた。
また、実施例1と比較して、実施例6ではセバシン酸ジイソプロピルの添加量を増加させた化粧料、実施例7はサフラワー油メントールエステルの添加量を増加させたものであるが、TEWA値の値が低く、皮膚バリア機能の改善効果が高くなっていることが認められた。また、この効果は実施例8、11に示したようにメントキシプロパンジオールにおいても認められた。さらに、実施例12、13に示したようにシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールにおいても認められた。
尚、本実施例を使用した者に刺激を訴えるものはいなかった。
化粧料の処方例
(1)化粧用クリーム(質量%)
a)ミツロウ・・・2.0
b)ステアリルアルコール・・・5.0
c)ステアリン酸・・・8.0
d)スクワラン・・・10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)・・・1.0
g)サフラワー油メントールエステル・・・0.5
h)メントキシプロパンジオール・・・1.0
i)セージ抽出液・・・1.0
j)1,3−ブチレングリコール・・・5.0
k)水酸化カリウム・・・0.3
l)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
m)精製水・・・残部
製法
a)〜g)までを加熱溶解し、80℃に保つ。h)〜m)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜g)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。
(2)乳液( 質量% )
a)ミツロウ・・・0.5
b)ワセリン・・・2.0
c)スクワラン・・・8.0
d)ソルビタンセスキオレエート・・・0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)・・・1.2
f)リノール酸メントールエステル・・・5.0
g)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール・・・0.05
h)ニコチン酸アミド・・・0.01
i)1,3−ブチレングリコール・・・7.0
j)カルボキシビニルポリマー・・・0.2
k)水酸化カリウム・・・0.1
l)精製水・・・残部
m)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
n)エタノール・・・7.0
製法
a)〜g)までを加熱溶解し、80℃に保つ。h)〜m)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜g)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃ でn)を添加し、40℃まで攪拌、冷却する。
(3)化粧水(質量%)
a)ニコチン酸アミド・・・1.0
b)グリセリン・・・5.0
c)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.)・・・1.0
d)エタノール・・・6.0
e)香料・・・適量
f)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
g)精製水・・・残部
h)セバシン酸ジイソプロピル・・・0.5
i)オレイン酸メントールエステル・・・・0.1
製法
a)〜i)までを混合し、均一に溶解する。
(4)洗顔料(質量%)
a)ステアリン酸・・・12 .0
b)ミリスチン酸・・・14 .0
c)ラウリン酸・・・5.0
d)ホホバ油・・・3.0
e)サフラワー油メントールエステル・・・0.1
f)セバシン酸ジイソプロピル・・・0.05
g)グリセリン・・・10.0
h)ソルビトール・・・15.0
i)1,3−ブチレングリコール・・・10.0
j)POE(20)グリセロールモノステアリン酸・・・2.0
k)水酸化カリウム・・・5.0
l)水・・・残部
m)香料・・・適量
n)セージ抽出液・・・1.0
製法
a)〜j)までを加熱溶解し70℃に保つ。l)にk)を溶解後a)〜j)に加えケン化する。その後m)、n)を入れ攪拌しながら冷却する。
(3)化粧水(質量%)
a)パントテン酸カルシウム・・・1.0
b)ニコチン酸アミド・・・5.0
c)グリセリン・・・5.0
d)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.)・・・1.0
e)エタノール・・・6.0
f)リノール酸メントールエステル・・・0.01
g)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール・・・1.0
h)香料・・・適量
i)防腐剤・酸化防止剤・・・適量
j)精製水・・・残部
製法
a)〜j)までを混合し、均一に溶解する。
Claims (3)
- 下記の(A)・(B)・(C)を配合してなる化粧料
(A)
ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、セージ抽出液から選択されるいずれか1種以上
(B)
脂肪酸のメントールエステル
(C)
セバシン酸ジイソプロピル、メントキシプロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選択されるいずれか1種以上 - 下記の(A)・(B)・(C)を配合してなる皮膚バリア機能改善用化粧料
(A)ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、セージ抽出液から選択されるいずれか1種以上
(B)脂肪酸のメントールエステル
(C)セバシン酸ジイソプロピル、メントキシプロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選択されるいずれか1種以上 - 前記(B)成分が、オレイン酸メントールエステル、サフラワー油メントールエステル、リノール酸メントールエステルから選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の化粧料
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