JP2013184856A - 浴室用撥水ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿の環境下およびアルカリ性薬剤に曝されても長期にわたって撥水性の維持が可能な浴室用撥水ガラスを提供する。
【解決手段】ガラス基板表面に下記式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて形成された撥水膜を有する浴室用撥水ガラス。
−(OCFCFCF−{OCF(CF)CF−(OCF−(OCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(1)
(R:パーフルオロアルキル基。a、b、c、d:0または1以上、a+b+c+dは1以上。Q:エーテル結合、エステル結合、フェニレン基を含有してもよい、−CH−または−CF−の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基。R:Hまたは、Hの一部または全部が置換されてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。X:加水分解性基。m:1、2、3。n:1〜10。)
【選択図】なし

Description

本発明は、浴室用撥水ガラスに係り、特に、高温高湿の環境下やアルカリ性薬剤に曝されても長期にわたって撥水性の維持が可能な浴室用撥水ガラスに関する。
従来から、各種技術分野において、ガラス基板の表面に撥水性等の機能を付与するために、該表面に含フッ素有機ケイ素化合物による被膜を形成することが行われている。含フッ素有機ケイ素化合物の中でも特に、パーフルオロポリエーテル基を含有する有機ケイ素化合物は、その表面自由エネルギーが非常に小さいために、得られる被膜が、優れた防汚性、撥水性、表面潤滑性等を有することが知られている。
例えば、特許文献1では、ガラス表面に耐久性、表面潤滑性等に優れた撥水層を形成するために、パーフルオロポリエーテル鎖を有するケイ素含有有機含フッ素ポリマーを用いることが記載されている。また、特許文献2では、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリエーテル基を有する有機ケイ素化合物を用いて、耐候性、防汚染性、撥水性、反射防止性等に優れる硬化膜形成用のフルオロオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法が記載されている。
ところで、近年、浴室等にも、より快適さが求められているため、扉や窓、鏡等に限らず、付加的設備、例えば浴室用テレビの設置のためのガラスケースや、ガラス製壁のシャワールーム等各種形態でのガラスの使用が増加してきている。このような浴室でのガラス使用の増加に伴い、水垢の付着や防黴等の目的で、浴室用ガラスにおいても撥水性が求められるようになった。
ここで、浴室における使用では、ガラス表面に形成された撥水被膜は、長時間、高温かつ高湿な環境下に曝されるため、このような環境下でも撥水性能が低下しない耐久性が求められている。さらに、種々の高機能浴室用洗剤や、機能性せっけん等も普及していることから、これらの各種浴室用洗浄剤やせっけん等のアルカリ性薬剤に曝されても、撥水性能が低下しない耐アルカリ性の撥水被膜付きガラスが求められている。
しかしながら、例えば、上記のようなパーフルオロポリエーテル鎖を有するケイ素含有有機含フッ素ポリマーを用いた撥水被膜付きガラスにおいても、高温高湿の環境下やアルカリ性薬剤に曝されても長期にわたって撥水性の維持が可能な浴室用撥水ガラスは知られていなかった。
特開平9−235142号公報 特開2007−009216号公報
本発明は、高温高湿の環境下に置かれても、さらにアルカリ性薬剤に曝されても、長期にわたって撥水性の維持が可能な浴室用撥水ガラスを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[3]の構成を有する浴室用撥水ガラスである。
[1] ガラス基板の表面に下記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて形成された撥水膜を有する浴室用撥水ガラス。
A−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(1)
ただし、式(1)中の記号は、以下の通りである。
A:下記一般式(2)で表わされる1価の基。
Figure 2013184856
(式(2)中、Rは、パーフルオロアルキル基を示す。a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数を示す。ただし、a+b+c+dは1以上であり、a、b、cおよびdでくくられた各繰り返し単位の存在順序は式(2)中において限定されない。)
Q:エーテル結合、エステル結合、およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含有してもよい、−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基。ただし、−CH−単位の一部または全部が、−CF−単位または−CFCF−単位に置換されていてもよい。
R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
X:アルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基。m個のXは互いに同一であっても異なってもよい。
m:1、2または3。
n:1〜10の整数。
[2] 前記化合物が下記一般式(3)〜(6)のいずれかで表される化合物から選ばれる[1]に記載の浴室用撥水ガラス。
CF−(OCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(3)
CFCF−(OCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(4)
CFCFCF−(OCFCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(5)
CFCFCF−{OCF(CF)CF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(6)
ただし、式(3)〜(6)中の記号は、以下の通りである。
Q:炭素原子数2〜10のアルキレン基または−O(CF−(eは2〜20の整数。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)。
a、b、c、d:1〜50の整数。
R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
X:アルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基。m個のXは互いに同一であっても異なってもよい。
m:1、2または3。
n:1〜10の整数。
[3] 前記化合物が下記一般式(7)で表される化合物である、[1]に記載の浴室用撥水ガラス。
CFCFCF−(OCFCFCF−O−CFCF−{CHCH(SiX3−m)}−H …(7)
式(7)中、Rは、水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基(3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。)を、Xは、アルコキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基(m個のXは互いに同一であっても異なってもよい)を、aは1〜50の整数を、mは、1、2または3を、nは1〜10の整数をそれぞれ示す。
本発明の浴室用撥水ガラスは、高温高湿の環境下に置かれても、さらにアルカリ性薬剤に曝されても、長期にわたって撥水性の維持が可能である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記説明に限定して解釈されるものではない。
本明細書において、式で表される化合物または基は、その式の番号を付した化合物または基としても表記し、例えば式(1)で表される化合物は、化合物(1)とも表記する。
本明細書においては、上記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を基板上に塗布した膜を「塗膜」、それを硬化させて得られる硬化膜を「撥水膜」という。
本発明の浴室用撥水ガラスは、ガラス基板と、その表面に上記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて形成された撥水膜を有する。
化合物(1)を含む液状組成物を用いて形成される撥水膜は、撥水性を有し、その撥水性は高温高湿の環境下での使用においても長期にわたり殆ど低下せず、さらに、アルカリ性薬剤に曝されても長期にわたって撥水性の維持が可能であることから、該撥水膜を有する撥水ガラスは、浴室用として求められる撥水性の耐久性を十分に有するものである。
本発明の浴室用撥水ガラスが有する撥水膜は、化合物(1)が有するケイ素原子に結合するXが加水分解性基として作用し、成膜の際に加水分解反応によりシラノール基が生成し、これらが互いに縮合することにより硬化してガラス基板の表面に酸化ケイ素マトリックスを形成することで得られる。一方、化合物(1)が有するAで示されるパーフルオロポリエーテル基は、成膜の際に塗膜のガラス基板側とは反対の膜表面に位置し硬化によりそのまま固定されて、得られる撥水膜の撥水性に寄与する。
撥水膜表面に存在する撥水性に寄与するパーフルオロポリエーテル基と酸化ケイ素マトリックスを形成しているケイ素原子を結合する部分が高温高湿およびアルカリに耐性を有し、さらにガラス基板表面と酸化ケイ素マトリックスとの密着性も、高温高湿およびアルカリに耐性を有することから、本発明の浴室用撥水ガラスは、高温高湿の環境下に置かれても、さらにアルカリ性薬剤に曝されても、長期にわたって撥水性の維持が可能となる。
(化合物(1))
本発明の浴室用撥水ガラスが有する撥水膜は、下記一般式(1)で表わされる化合物を用いて形成される。
A−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(1)
ただし、式(1)中の記号は、以下の通りである。
A:下記一般式(2)で表わされる1価の基。
Figure 2013184856
(式(2)中、Rは、パーフルオロアルキル基を示す。a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数を示す。ただし、a+b+c+dは1以上であり、a、b、cおよびdでくくられた各繰り返し単位の存在順序は式(2)中において限定されない。)
Q:エーテル結合、エステル結合、およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含有してもよい、−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基。ただし、−CH−単位の一部または全部が、−CF−単位または−CFCF−単位に置換されていてもよい。
R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
X:アルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基。m個のXは互いに同一であっても異なってもよい。
m:1、2または3。
n:1〜10の整数。
上記一般式(1)においてAは、上記一般式(2)で示される基であり、その末端基のRはパーフルオロアルキル基である。Rとしては、通常、有機含フッ素ポリマーを構成するのに用いられるパーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1〜16の直鎖状または分岐状の基が挙げられる。本発明においては、CF−、C−、C−が好ましい。
また、上記一般式(2)において、a、b、cおよびdは、化合物(1)の主骨格を構成するパーフルオロポリエーテル鎖の繰り返し単位数を表し、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、a+b+c+dが1以上であれば特に限定されない。a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200が好ましく、後述する化合物(1)の分子量を考慮すれば、より好ましくは、それぞれ独立して、0〜50である。a+b+c+dは、好ましくは、1〜100である。
また、a、b、cおよびdでくくられた各繰り返し単位の存在順序は、便宜上一般式(1)中においてはこの順に記載したが、通常のパーフルオロポリエーテル鎖の構成に鑑み、これらの各繰り返し単位の結合順序は、この順に限定されるものではない。
上記一般式(1)において、Qは、パーフルオロポリエーテル鎖を有するAと、側鎖に加水分解性シリル基を有するエチレンの繰り返し単位を連結する連結基である。連結基Qは、末端またはその途中にエーテル結合、エステル結合、およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含んでもよい−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価のアルキレン基であり、−CH−単位の一部または全部が、−CF−単位または−CFCF−単位に置換されていてもよい。
Qとして具体的には、−(CH−(CF−(gおよびhは、それぞれ独立して0または1〜4の整数であり、g+hは2〜4であり、g、hでくくられた各繰り返し単位の式中での存在順序は限定されない。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)、−O−(CH−(CF−(eおよびfは、それぞれ独立して0または1〜5の整数であり、e+fは2〜5であり、e、fでくくられた各繰り返し単位および−O−の式中での存在順序は限定されない。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)。−OCO−(CH−(CF−(sおよびtは、それぞれ独立して0または1〜4の整数であり、s+tは2〜4であり、s、tでくくられた各繰り返し単位および−OCO−の式中での存在順序は限定されない。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)等が挙げられる。
これらのなかでも、炭素原子数2〜4のアルキレン基、−O−(CF−(eは2〜5の整数。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)が好ましく、−CHCH−、−OCFCF−がより好ましい。
上記一般式(1)におけるXとしてはアルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。これらは、全て加水分解性基である。アルコキシ基としては−OR(Rは炭素原子数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基)が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。これらの中でも、−ORにおいてRの炭素原子数が1〜2であるアルコキシ基、イソシアネート基および塩素原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子等が特に好ましい。上記一般式(1)におけるmは、ケイ素原子に結合するXすなわち加水分解性基の数を示し、1、2または3であるが、本発明においては2または3が好ましい。Xが2または3の場合、これらのXは互いに同一であっても異なってもよい。なお、加水分解性基Xが結合していない上記ケイ素原子の結合手には、以下のRが結合する。
上記一般式(1)においてRは、水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基である。Rとして具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらは直鎖状であっても分枝状であってもよい。上記ケイ素原子に結合する加水分解性基Xの個数mが1の場合、2個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
上記一般式(1)においてnは、側鎖に加水分解性シリル基を有するエチレンの繰り返し単位の数を示し、1〜10の整数である。
ここで、化合物(1)を本発明に係る撥水膜の成膜に用いる液状組成物に配合する際には、上記nがそれぞれ異なる複数の化合物(1)をその混合物として配合してもよい。
一般式(1)で表される化合物は、通常の製造方法によれば、nの数がそれぞれ異なる化合物(1)の混合物の形で得られる。そのため、化合物(1)は通常の使用に際してもこのような混合物として用いられる。
以下、このような化合物(1)の混合物を、化合物(M1)という。化合物(M1)中においては、上記nは平均値として表される。このような化合物(M1)において、本発明の目的を考慮すれば、nは平均値として、1.3〜3が好ましく、1.5〜2.5が特に好ましい。また、後述の化合物(1)の製造方法に示す通り、出発原料として用いる、A−Q基を有するパーフルオロポリエーテルについても、通常、上記一般式(2)で示されるAにおけるa、b、cおよびdの数がそれぞれ異なる化合物の混合物であり、これらは平均値として示される。したがって、化合物(M1)においては、a、b、cおよびdについても、通常、平均値で示される。ただし、この場合においても、a、b、cおよびdの数値の範囲、関係等は上記同様とすることができる。
また、化合物(M1)の数平均分子量は、5×10〜1×10が好ましく、1×10〜1×10がより好ましい。
本発明に用いる化合物(1)としては、上記一般式(1)で表される化合物のなかでも、下記一般式(3)〜(6)のいずれかの式で表される化合物が好ましい。
CF−(OCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(3)
CFCF−(OCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(4)
CFCFCF−(OCFCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(5)
CFCFCF−{OCF(CF)CF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(6)
上記一般式(3)〜(6)において、Qは、炭素原子数2〜10のアルキレン基または−O(CF−(eは2〜20の整数。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)を示し、−CHCH−、−OCFCF−が好ましい。a、b、cおよびdは、1〜50の整数をそれぞれ示し、2〜30が好ましい。
上記一般式(3)〜(6)におけるそれ以外の記号、具体的には、X、R、mおよびnについては、それぞれ、上記一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい態様も上記同様である。
本発明に用いる化合物(1)として、より好ましくは、上記一般式(5)で示される化合物においてQが−OCFCF−である下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
CFCFCF−(OCFCFCF−O−CFCF−{CHCH(SiX3−m)}−H …(7)
上記一般式(7)においてaは1〜50の整数を示し、2〜30が好ましい。上記一般式(7)におけるそれ以外の記号、具体的には、X、R、mおよびnについては、それぞれ、上記一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい態様も上記同様である。
本発明において、撥水膜の成膜に用いる液状組成物に配合する上記一般式(1)で表される化合物としては、nの数が異なる化合物の混合物である化合物(M1)の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記化合物(3)〜(6)についても、それぞれnの数が異なる化合物の混合物である化合物(M3)〜(M6)のそれぞれについて1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、化合物(M3)〜(M6)から選ばれる2種以上を併用してもよい。化合物(7)についても同様である。
化合物(1)は、通常市販されているパーフルオロポリエーテル、具体的には、A−Q−Y(A、Qは上記一般式(1)におけるものと同様であるが、a、b、cおよびdは平均値として示される。Yはヨウ素等に置換可能な1価の官能基である。)を原料として、末端に例えば、Yに換えてヨウ素を導入した後、これに、例えば、下記一般式(8)で表されるビニルシラン化合物を反応させること等により、式(1)中のnの数が異なる化合物(1)の混合物である化合物(M1)として、得ることができる。
CH=CH(SiX3−m) …(8)
上記一般式(8)における記号、具体的には、X、Rおよびmについては、それぞれ、上記一般式(1)におけるものと同様であり、好ましい態様も上記同様である。
(液状組成物)
本発明の浴室用撥水性ガラスが有する撥水膜は、上記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて形成される。液状組成物は、ガラス基板の表面に撥水膜を形成するために用いる、一般式(1)で示される化合物を主として含む固形分成分を、通常、溶媒により希釈し、ガラス基板表面に塗布できるようにした塗膜形成用の組成物である。
上記液状組成物には、固形分成分として上記一般式(1)で表わされる化合物を配合するが、本発明の効果を損なわない範囲で各種目的に応じて機能性添加剤を含んでもよい。なお、液状組成物中の固形分成分全量に対する上記一般式(1)で表わされる化合物の配合量は、70〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がより好ましい。すなわち、上記機能性添加剤の配合量は、液状組成物中の固形分成分全量に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
機能性添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボン、セメント等の微粉末充填剤、チタン、アルミニウム、ケイ素等のアルコキシド、その他の低分子量ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等の硬度調整剤または増量剤等が挙げられる。また、通常の架橋剤;水、塩酸、硫酸、カルボン酸、スルホン酸等の硬化触媒をさらに加えて、硬度調整を行うこともできる。
ガラス基板への塗工性等の観点から、上記液状組成物が、通常、含有する溶媒としては、上記一般式(1)で表わされる化合物を主体として含有する固形分成分と反応性を有しない溶媒であって、これらを溶解する溶媒であれば、特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3―ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC225)等を挙げることができる。本発明に用いる液状組成物が含有する溶媒の量としては、後述の塗工方法にもよるが、液状組成物全量に対して50〜99質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましい。
本発明に用いる液状組成物は、上記一般式(1)で示される化合物を主として含む固形分成分を、常法にしたがって、上記溶媒に上記所定の割合で溶解させることで調製され、その後、撥水膜を形成するために以下のガラス基板表面に塗布される。
(ガラス基板)
本発明の浴室用撥水性ガラスにおいて、上記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて撥水膜が形成される、ガラス基板としては、通常、浴室用途に用いられるガラス基板であれば特に制限されない。例えば、浴室の扉用、窓用、鏡用等の各種ガラス基板が挙げられる。ガラスとしては、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられ、これらのなかでもソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス基板の形状やサイズは、浴室内の使用箇所および用途に応じて適宜選択される。ガラス基板は、例えば、平板でもよく、全面または一部が曲率を有していてもよい。
本発明に用いるガラス基板としては、目的に応じて、その表面に酸処理(希釈したフッ酸、硫酸、塩酸等を用いた処理)、アルカリ処理(水酸化ナトリウム水溶液等を用いた処理)または放電処理(プラズマ照射、コロナ照射、電子線照射等)等が施されたものを用いてもよい。あるいは、ガラス基板の表面を酸化セリウム等により研磨処理したものであってもよい。
また、ガラス基板は、その表面に蒸着膜、スパッタ膜、湿式法等により形成された各種の中間膜が設けられたものでもよい。ガラス基板がソーダライムガラスである場合は、Naイオンの溶出を防止する膜を設けることが耐久性の点で好ましい。ガラス基板がフロート法で製造されたガラスである場合は、表面錫量の少ないトップ面に撥水膜を設けることが耐久性の点で好ましい。
ガラス基板表面に、すなわちガラス基板と撥水膜の間に配設されてもよい中間膜としては、該撥水膜とは別の酸化ケイ素マトリックスを主な成膜成分とする中間膜であってもよい。このような中間膜を有することで密着性や耐久性等の向上が期待できる。酸化ケイ素マトリックスを主な成膜成分とする中間膜として、具体的には、下記一般式(9)で示される化合物、その部分加水分解縮合物等を用いて形成された中間膜が好ましい。
Si(X …(9)
上記式(9)中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらのなかでも、Xは、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXが同一であることが好ましい。化合物(9)として、具体的には、Si(NCO)、Si(OCH、Si(OC等が好ましく用いられる。
このような中間膜は、公知の方法で形成できる。すなわち、中間膜用の加水分解性シラン化合物、例えば、化合物(9)やその部分加水分解縮合物、と溶媒とを含む組成物をガラス基板表面に塗布し、乾燥により溶媒を除去し、硬化させることで形成できる。形成される中間膜の膜厚は特に制限されないが、通常、0.05〜0.1μmの範囲内である。なお、ガラス基板が中間膜を有する場合には、このように形成された中間膜の表面に、上記液状組成物が塗布される。
(浴室用撥水ガラスの製造)
本発明の浴室用撥水性ガラスは、上記ガラス基板の表面に、または中間膜を有する場合には中間膜の表面に、上記で調製された液状組成物を塗布して塗膜を形成後、塗膜から乾燥により溶媒を除去しさらに硬化させて撥水膜とすることで製造できる。本発明において撥水膜は、ガラス基板の表面に形成されるが、ガラス基板の表面とは上記のように各種処理が施された表面や中間膜が形成されたその表面を含む。すなわち、本発明の浴室用撥水性ガラスにおいて、撥水膜がガラス基板の表面に形成されるとは、ガラス基板の最も外側の表面に形成されることを意味する。
液状組成物を塗布面に塗布する方法としては、均一な塗膜が形成できる方法であれば特に制限されず、通常の方法をとることができる。例えば、上記塗布方法として、刷毛塗り、フローコート、スピンコート、ディップコート、スキージコート、スプレーコート、ダイコート、手塗り等が挙げられる。
塗膜の厚さは最終的に得られる撥水膜の膜厚を勘案して適宜調整される。塗膜から溶媒を除去する乾燥は、次に行う硬化処理と別に行ってもよいが、硬化処理と同時に行うこともできる。乾燥と硬化は同時に行うことが作業効率の点から好ましい。硬化の条件としては、用いる液状組成物の組成、塗膜の膜厚等により適宜制御される。好ましい硬化の条件として、例えば、温度15〜35℃、湿度40〜80%RHの条件が挙げられる。硬化のための時間は、用いる液状組成物の組成、硬化条件、塗膜の膜厚等によるが、概ね5〜60分間が好ましい。
本発明の浴室用撥水ガラスにおける撥水膜の厚さは、特に制限されない。十分な撥水性と、高温高湿下およびアルカリ性薬剤に曝されても十分な撥水性を持続させるために、撥水膜の膜厚は0.003μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましい。また、使用に障害が生じない撥水膜の膜厚として、0.05μm以下が好ましく、0.03μm以下がより好ましい。
このようにして得られる本発明の浴室用撥水ガラスは、上記構成とすることで、高温高湿の環境下における長期間にわたる使用においても撥水性を維持することが可能であり、具体的には、浴室用撥水ガラスを、温度60℃、相対湿度90%の環境下に700hr曝露する耐久試験の後においても外観に変化がなく、さらに、該耐久試験後、25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後に、撥水膜上に蒸留水2μLを滴下して測定した静的接触角を、耐久試験前に同様に測定した静的接触角と比較した際の変化率が3%未満という、高温高湿下での撥水性において優れた耐久特性を有する。
また、本発明の浴室用撥水ガラスにおいては、これを25℃、1規定の水酸化ナトリウム水溶液に24hr浸漬後、蒸留水でリンスし付着水をエアブローにて除去する耐アルカリ試験の後においても外観に変化がなく、さらに、該耐アルカリ試験後、25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後に、撥水膜上に蒸留水2μLを滴下して測定した静的接触角を、耐アルカリ試験前に同様に測定した静的接触角と比較した際の変化率が3%未満であることから、優れた耐アルカリ性を有し、アルカリ性薬剤に曝されても撥水性の維持が可能といえる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。
実施例および比較例における浴室用撥水ガラスの評価は、以下のように行った。
[撥水性の評価]
撥水性は以下の方法で測定した静的接触角値で評価した。
撥水ガラスを25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、携帯式接触角計(PG−X:FIBRO SYSYTEM社製、以下、静的接触角値の測定は全てこの計測器を用いて行った。)を用いて、撥水膜上に蒸留水2μLを滴下した時の静的接触角を測定した。これを静的接触角の初期値として、以下の耐湿性能および耐アルカリ性能の評価に用いた。なお、撥水ガラスにおける撥水性は、静的接触角の値が80°以上であれば、浴室用として十分に機能するといえる。
[耐湿性能の評価]
撥水性における耐湿性能は、以下の方法で耐久試験を行った後の外観観察の結果、および耐久試験後に測定した静的接触角値の初期値からの変化率により評価した。
撥水ガラスを60℃、相対湿度90%の環境下に700hr曝露する耐久試験の後、外観を観察した。上記耐久試験後、さらに、25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、携帯式接触角計を用いて、撥水膜上に蒸留水2μLを滴下した時の静的接触角を測定した。耐久性能に関しては以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:外観に変化がなく、初期値と比較した耐久試験後の静的接触角の変化率が3%未満であった。
△:外観に変化がなく、初期値と比較した耐久試験後の静的接触角の変化率が3%以上10%未満であった。
×:外観に変化があるか、初期値と比較した耐久試験後の静的接触角の変化率が10%以上であるか、の少なくとも一方が観測された。
[耐アルカリ性能の評価]
耐アルカリ性能は、以下の方法で耐アルカリ試験を行った後の外観観察の結果、および耐アルカリ試験後に測定した静的接触角値の初期値からの変化率により評価した。
撥水性ガラスを25℃、1規定の水酸化ナトリウム水溶液に24hr浸漬後、蒸留水でリンスし付着水をエアブローにて除去する耐アルカリ試験の後、外観を観察した。上記耐アルカリ試験後、さらに、25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、携帯式接触角計を用いて、撥水膜上に蒸留水2μLを滴下した時の静的接触角を測定した。耐アルカリ性能に関しては以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:外観に変化がなく、初期値と比較した耐アルカリ試験後の静的接触角の変化率が3%未満であった。
△:外観に変化がなく、初期値と比較した耐アルカリ試験後の静的接触角の変化率が3%以上10%未満であった。
×:外観に変化があるか、初期値と比較した耐アルカリ試験後の静的接触角の変化率が10%以上であるか、の少なくとも一方が観測された。
[合成例]
以下の方法で、上記一般式(7)示される化合物の混合物として、CFCFCF−(OCFCFCFa1−O−CFCF−{CHCH[Si(OCH]}n1−H(a1:平均値として22.4、n1:平均値として2.0:以下、化合物(7a)という)を合成した。
(1)F−(CFCFCFO)a1+1−CFCFIの合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器および温度計を備えたガラス容器中に10.3モルのヨウ素、1.54モルの炭酸カリウム、およびヘキサクロロ−1,3−ブタジエンを仕込み、系の温度を160℃に維持しながら窒素気流下に、化学式F−(CFCFCFO)a1+1−CFCFCOFで表されるω−フルオロポリパーフルオロオキセタンアシルフルオライド(平均分子量3,900)1.03モルを滴下した。
滴下終了後、反応温度を185℃に上昇させ、20時間反応させた。反応終了後、系を冷却したのちカリウム塩を濾別し、2層に分離した液相から分液ロートを用いて下層を分取した。これをアセトンを用いて数回洗浄したのち、パーフルオロヘキサンに溶解し、ガラスフイルターによって微細な不溶物を濾別した。得られた溶液から減圧下揮発分を完全に留去することによって化学式F−(CFCFCFO)a1+1−CFCFIで表されるω−フルオロポリパーフルオロオキセタンヨウ素化物を得た。
(2)CFCFCF−(OCFCFCFa1−O−CFCF−{CHCH(SiCl)}n1−Iの合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器および温度計を備えたガラス容器中に上記(1)にて合成した化学式F−(CFCFCFO)−CFCFIで表されるω−フルオロポリパーフルオロオキセタンヨウ素化物40gをヘキサフルオロテトラクロロブタン(AGFA社製)〕に溶解したもの、および、ジt−ブチルパーオキシド1.5g(1×10−2モル)を仕込み、系内を窒素置換したのち、窒素気流下滴下ロートよりビニルトリクロロシラン10.10モルを滴下した。滴下終了後系内の温度を120℃に昇温させ、4時間反応させた。反応終了後減圧下揮発分を完全に留去することによって末端にヨウ素を有するCFCFCF−(OCFCFCFa1−O−CFCF−{CHCH(SiCl)}n1−Iで表される化合物(A)を得た。
(3)化合物(7a)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器および温度計を備えた200mL4つ口フラスコ中に上記(2)にて合成した化合物(A)34.4g(8×10−3モル)をパーフルオロヘキサン50gに溶解したものを仕込み、亜鉛2.1g(3.2×10−2モル)を強攪拌分散させた。氷水浴で系を冷却し、窒素気流下無水メタノール10gを滴下した。滴下終了後氷水浴を取り除き、加熱還流下2時間反応させた。反応終了後不溶物を濾別し、2層に分離した液相から分液ロートを用いて下層を分取した。得られた溶液を無水メタノールを用いて3回洗浄したのち、減圧下揮発分を完全に留去することによって、末端が水素化された、CFCFCF−(OCFCFCFa1−O−CFCF−{CHCH[Si(OCH]}n1−H(a1:平均値として22.4、n1:平均値として2.0)で示される化合物(7a)を得た。
[実施例1]
上記合成例で得た化合物(7a)をアサヒクリンAK−225(商品名、旭硝子社製、HCFC225)で1質量%溶液に調製して撥水膜形成用の液状組成物1とした。基材となるガラス板(縦横:100×100mm、厚さ:5mm)を酸化セリウムにて洗浄し、水洗後、エアブローにて付着水を除去した。洗浄したガラス板の片面に液状組成物1の2gをスピンコートにより塗布し塗膜を形成した。これを、室温(23℃)で、60分間風乾し硬化させて、膜厚0.01μmの撥水膜を有する浴室用撥水ガラス1を得た。得られた浴室用撥水ガラス1を上記の評価方法にしたがい評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリメトキシシランをアサヒクリンAK−225(商品名、旭硝子社製、HCFC225)で1質量%溶液に調製して撥水膜形成用の液状組成物2とした。実施例1において液状組成物1を液状組成物2にかえた以外は同様にして、膜厚0.01μmの撥水膜を有する浴室用撥水ガラス2を得た。得られた浴室用撥水ガラス2を上記の評価方法にしたがい評価した結果を表1に示す。
Figure 2013184856

Claims (3)

  1. ガラス基板の表面に下記一般式(1)で表わされる化合物を含む液状組成物を用いて形成された撥水膜を有する浴室用撥水ガラス。
    A−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(1)
    ただし、式(1)中の記号は、以下の通りである。
    A:下記一般式(2)で表わされる1価の基。
    Figure 2013184856
    (式(2)中、Rは、パーフルオロアルキル基を示す。a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数を示す。ただし、a+b+c+dは1以上であり、a、b、cおよびdでくくられた各繰り返し単位の存在順序は式(2)中において限定されない。)
    Q:エーテル結合、エステル結合、およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含有してもよい、−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基。ただし、−CH−単位の一部または全部が、−CF−単位または−CFCF−単位に置換されていてもよい。
    R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
    X:アルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基。m個のXは互いに同一であっても異なってもよい。
    m:1、2または3。
    n:1〜10の整数。
  2. 前記化合物が下記一般式(3)〜(6)のいずれかで表される化合物から選ばれる請求項1に記載の浴室用撥水ガラス。
    CF−(OCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(3)
    CFCF−(OCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(4)
    CFCFCF−(OCFCFCF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(5)
    CFCFCF−{OCF(CF)CF−Q−{CHCH(SiX3−m)}−H …(6)
    ただし、式(3)〜(6)中の記号は、以下の通りである。
    Q:炭素原子数2〜10のアルキレン基または−O(CF−(eは2〜20の整数。ただし、−CF−単位のフッ素原子の1つはCF基に置換されていてもよい。)。
    a、b、c、d:1〜50の整数。
    R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基。3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
    X:アルコキシル基、ハロゲン原子またはイソシアネート基。m個のXは互いに同一であっても異なってもよい。
    m:1、2または3。
    n:1〜10の整数。
  3. 前記化合物が下記一般式(7)で表される化合物である、請求項1に記載の浴室用撥水ガラス。
    CFCFCF−(OCFCFCF−O−CFCF−{CHCH(SiX3−m)}−H …(7)
    式(7)中、Rは、水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよい炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基(3−m個のRは互いに同一であっても異なってもよい。)を、Xは、アルコキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基(m個のXは互いに同一であっても異なってもよい)を、aは1〜50の整数を、mは、1、2または3を、nは1〜10の整数をそれぞれ示す。
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