JP2013184615A - 非空気入りタイヤおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジェクション成型法により作製したコード入り非空気入りタイヤ提供する。
【解決手段】本発明は、補強部材が埋設された内部コアおよび内部コアの少なくとも一部を被う外表層部を有する非空気入りタイヤであって、内部コアにおいて補強部材を支持するために使用される支持体の跡として形成された切り欠き部は、補強部材の少なくとも一部と接するとともに、タイヤ周方向に断続的に存在し、外表層部によって被覆されていることを特徴とする非空気入りタイヤである。本発明の非空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する補強部材を第1の型内表面から第1の型内部に伸びる支持体によって第1の型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出して内部コアをインジェクション成型により作製する工程、および内部コアを第2の型内部に固定配置した状態でタイヤ材料を射出して外表層部をインジェクション成型により作製する工程を含む製造方法により作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、補強部材を内蔵する非空気入りタイヤに関するもので、特に、自転車、車椅子、ゴルフカートなどの軽車両用の非空気入りタイヤに関する。
自転車用、車椅子用、ゴルフカートなどの軽車両用タイヤは空気入りタイヤが主に使用されているが、近年、特にパンクレスなどの利点があることから非空気入りタイヤが実用化されてきている。
この非空気入りタイヤは、通常、所謂ソリッドタイヤであり、図16は、従来の円環状(チューブ状)の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。図16に示す非空気式タイヤ201は、タイヤ本体202およびそれを組み付けたリム205からなる。図16(a)において、タイヤ本体202はゴム材等から成る中実構造の円環状体から構成されている。タイヤ本体202の両側面にはリム嵌合溝部203がタイヤ一周にわたり形成される。タイヤ本体202のリム嵌合溝部203がリム205のフランジ凸部206に嵌合し、タイヤ本体202とリム205が固定されている。また、タイヤの接地面には必要に応じて、トレッド溝204が設けられる。ここで使用される材料は、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)やポリウレタンエラストマーなどである。図示していないが、リム205はタイヤを嵌めている車輪であるホイールと一体となっており、ホイールはリム205、スポーク、ハブ等から構成されている。(特許文献1)
図16(a)に示す非空気入りタイヤは、タイヤ本体202をリム205に押し込んでリム205に締結しているだけのものが多い。そのためタイヤ本体202をリム205に組み付けた後で、図16(b)に示すように据え切りや旋回時にリム外れが発生する可能性がある。さらに、長時間運行しているときや、長期間使用しているときに、経時変化によりタイヤ本体202が弛んできてタイヤ本体202がリム205から外れやすくなってしまう事がある。このように図16(a)に示すような従来の非空気入りタイヤは耐リム外れ性が低い。
そこで、耐リム外れ性を改良するために、締付材で補強した非空気入りタイヤが提案されている。これは、タイヤ本体のリム組み付け部の内部に補強コードをタイヤ周方向に入れて、タイヤ本体のリム組み付け部の強度を増すとともにリムを内側から締め付ける力を増大させて耐リム外れ性を向上させたものである。たとえば、図17に示すように、非空気式タイヤ本体1がホイール4(図18を参照)に組付けられて構成される非空気式タイヤのタイヤ/ホイール組立体において、タイヤ本体1内にその周方向にわたって埋設された締付材(補強コード)7によりタイヤ本体1とホイール4とを締付し、溝部2での嵌合固定力に締付材(補強コード)7による締付力を加えることによってタイヤ本体1とホイール4間の固定を強固にしている。
タイヤ本体1内に埋設された締付材7は、タイヤ本体1内にタイヤ周方向に穿設された中空孔6の内部に通されて配されている。すなわち、図18に示すように、タイヤ内周面に開口した締付材通し孔(切り欠き部)8(図18(a))またはタイヤ外周面に開口した締付材通し孔8から締付材(補強コード)7を挿入して一周させた後、締付材(補強コード)7の先端部を締付材通し孔8から出して、締付材(補強コード)7の片端の鋸歯状部7bを締付材(補強コード)7の他端のロック用部品7aに通して結束し、その鋸歯状部7bを引くことにより締付力を大きくすることでき、逆戻りしないようにしている。
特願2011−091603 特開2011−143874
図18に示すようなタイヤ内周面に締付材通し孔(切り欠き部)8を開口する方法では、切り欠き部が外部へ露出しているため、水分等が切り欠き部から浸入し、補強コード7の劣化を加速させるという問題がある。特許文献2では、補強コード7の締付部分をタイヤ本体の中空孔6内に戻し、切り欠き部8に熱可塑性エラストマー組成物等からなる充填物を充填しシールして、外部への露出部分が存在しないようにすることが記載されている。しかしながら、タイヤ本体を形成してから切り欠き部8を充填物で埋める方法では、タイヤ本体と充填物との接着を確実に行なうことが困難であり、走行時に充填物が外れてしまうという問題がある。あるいは、タイヤ本体と充填物との境界面に大きな歪が発生して欠陥が生じ、この欠陥から水分が入るという問題の他に、繰り返し疲労によりタイヤが裂けてしまうという問題が発生する可能性がある。また、締付材7を中空孔6の内部に通すのは作業性が悪く、生産性悪化の原因となっている。また、締付材7の両端をタイヤ外部で結合する方法も困難な作業で作業性が悪く、生産性を落とすとともに、結合した締付材7を切り欠き部8の中に押入れることも同様に困難な作業である。さらに、切り欠き部8に充填物を充填する方法も自動化が困難であり、補強コード入りタイヤのコストアップの一因となっている。
以上のように、補強コード入りの非空気入りタイヤは耐リム外れ性に優れているので、タイヤ本体内部に補強コードを入れる生産性の高い方法が要求されているが、補強コード入り非空気入りタイヤを一体成型する生産性の高い適切な方法は、これまでの先行文献および先行技術において開示されていない。
本発明は、補強コードをタイヤ本体内部に埋設する生産性の高い方法であり、補強部材(コード)を支持したインジェクション成型を用いるとともに、外部に切り欠き部を露出させない補強コード入り非空気入りタイヤおよびその製造方法を提供するものである。本発明のタイヤは補強部材を埋設した内部コア部を外表層部によって被覆した非空気入りタイヤであり、最初に内部コア部をインジェクション成型法により作製し、次に内部コア部を被覆した外表層部をインジェクション成型法により作製する。内部コア部は補強部材が埋設されており、内部コア部作製用の金型側面等を用いて、当該金型内表面から金型内部に伸びる支持体によって、タイヤ周方向に延在する補強部材を金型内部の所定位置に係止した状態で内部コア部用のタイヤ材料を射出し、インジェクション成型することで補強部材を一体成型した円環状の内部コア部を作製する。次に内部コア部作製用の金型を取り外すと支持体も一緒に引き抜かれる。その支持体の跡として円環状の内部コア部に切り欠き部が形成される。すなわち、この段階では、内部コア部は補強部材を埋設しているとともに、内部コア部の周方向に断続して切り欠き部が存在する。次にタイヤ本体(タイヤ外表層部)作製用の金型内に内部コア部を所定位置に配置し、外表層部用のタイヤ材料を射出し、インジェクション成型することで補強部材を埋設した内部コア部を外表層部で被覆して一体成型した円環状の非空気入りタイヤを作製する。この2回目のタイヤ本体(タイヤ外表層部)作製時に、内部コア部の切り欠き部にもタイヤ材料がインジェクション注入される。
本発明のタイヤは、補強部材を埋設した非空気入りタイヤであるから、タイヤをリム組みしたときに、タイヤ本体の強度が増大しタイヤの伸長性が小さくなるとともに、タイヤ本体の内側からリムを締めつける力が増してリム外れが発生し難くなる。すなわち耐リム外れ性が向上する。この結果、非空気入りタイヤをリムに組み付けた時に、タイヤがリムに確実に固定されるので、通常の走行時はもちろん、据え切りや旋回時においてもリム外れし難くなる。
また切り欠き部がタイヤ外部に露出していないので、水分や異物等が外部から浸入することがなくタイヤ内部を劣化させたりすることもない。切り欠き部がタイヤ外部に露出している場合は、タイヤの裂傷や剥離の起点になる可能性があるが、このような問題は殆ど起こらない。また内部コア部およびそれを被うタイヤ外表層部は共にタイヤ材料で構成されているので、これらの界面の密着性も極めて良好にでき、内部コア部/外表層部の界面強度が向上する。従って、耐疲労性や耐候性に優れており長寿命の非空気入りタイヤを実現できるとともに、高速耐久性が向上する。また作製方法は単純であり自動化も容易でありインジェクション成型によって大量に迅速に製造できるので、生産性を向上することができる。
図1は、本発明の補強コード入り内部コア部を有する非空気入りタイヤを示す図である。 図2は、本発明の補強コード入り内部コア部15を示す図である。 図3は、本発明の内部コアの製造方法に用いる金型を示す図である。 図4は、割型21および22を合わせて金型内空間23を構成している図である。 図5は、内部コア作製用の金型内における補強部材と支持体の配置状態を示す図である。 図6は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図である。 図7は、インジェクション成型により作製した円環状の内部コアの断面図である。 図8は、本発明の非空気入りタイヤ(外表層部)を作製する金型を示す図である。 図9は、本発明の非空気入りタイヤ作製用の金型に内部コアが配置された状態を示す図である。 図10は、図8および図9に示す金型を用いて作製した本発明の非空気入りタイヤを示す図である。 図11は、補強コード入り内部コアを有する非空気入りタイヤにおける補強部材の位置を示す図である。 図12は、上部に凹部を形成した内部コアを示す図である。 図13は、内部コアの種々の断面形状を示す図である。 図14は、切り欠き部が片側だけに存在する内部コアを有する非空気入りタイヤを示す図である。 図15は、複数の補強部材を有する非空気入りタイヤを示す図である。 図16は、従来の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。 図17は、従来のコード入り非空気式タイヤのタイヤ本体と締付材との関係を示した一部破砕断面斜視図である。 図18は、従来のコード入り非空気式タイヤの締付材通し孔付近を示した要部断面図である。 図19は、割型位置を移動させて内部コアの固定配置を容易にした図9と異なる実施形態を示す図である。
本発明の非空気入りタイヤは補強部材を有する内部コア部とその内部コア部を被う外表層部との2つの層から構成される。その作製方法も2段階、すなわち内部コア部の作製および外表層部の作製の2ステップとなる。補強部材を支持する支持体は内部コア部作製用の金型内に配置されており、この支持体の跡として内部コア部に切り欠き部が形成されるが、2ステップ目の外表層部の作製時に切り欠き部はタイヤ材料で充填され、実際のタイヤ外表面には切り欠き部は存在しないようになる。本発明の構成要件は次のようになる。
(1)本発明は、補強部材が埋設された内部コアおよび前記内部コアの少なくとも一部を被う外表層部を有する非空気入りタイヤであって、前記内部コアにおいて補強部材を支持するために使用される支持体の跡として形成された切り欠き部は、前記補強部材の少なくとも一部と接するとともに、タイヤ周方向に断続的に存在し、さらに前記外表層部によって被覆されていることを特徴とする非空気入りタイヤである。
(2)本発明は、補強部材が埋設された内部コアおよび前記内部コアの少なくとも一部を被う外表層部を有する非空気入りタイヤの製造方法において、タイヤ周方向に延在する補強部材を第1の型(内部コア作製用の金型)内表面から第1の型内部に伸びる支持体によって第1の型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出して前記内部コアをインジェクション成型等により作製する工程、および前記内部コアを第2の型内部(タイヤ外表層部、すなわちタイヤ本体作製用の金型)に配置した状態でタイヤ材料を射出して前記外表層部をインジェクション成型等により作製する工程を含むことを特徴とする非空気入りタイヤの製造方法であり、前記支持体の跡として形成された前記内部コアの切り欠き部は、前記補強部材の少なくとも一部と接するとともに、タイヤ周方向に断続的に存在し、さらに前記外表層部によって被覆されていることを特徴とする。
(3)本発明は、(1)または(2)に加えて、タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径から半径方向に20〜95の範囲に前記補強部材が係止されたことを特徴とする。
(4)本発明はさらに、前記内部コアおよび/または前記外表層部はインジェクション射出成型によって作製可能なタイヤ材料であり、前記タイヤ材料は、熱可塑性エラストマー組成物、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物で構成されていることを特徴する。好ましくは、前記熱可逆架橋エラストマーは、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とし、さらに好ましくは、前記含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、前記オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、前記スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする。
次に図面に基づいて本発明の実施形態や実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の補強コード入り内部コア部を有する非空気入りタイヤを示す図である。本発明の非空気入りタイヤ11は、円環状に成型されたパンクレスタイヤである。図1においては、内部構造が分かるように一部切断して示しているが、この非空気入りタイヤ11は、タイヤ周方向に連続して円環状に形成されている。切断面の構造から分かるように、非空気入りタイヤ11の内部は二層の中実構造であり、内側層(内部コア(部)と称する)15を外側層(外表層(部)と称する)16が被っていて、内部コア15の内部に補強部材であるコード12が入っている。この補強部材12もタイヤ周方向に連続して円環状に非空気入りタイヤ11の内部コア15の内部に配置されている。非空気入りタイヤ11の表面には窪み部(リム嵌合溝)14があり、リムフランジ凸部が嵌合してリムに非空気入りタイヤ11が固定される。補強部材12は、非空気入りタイヤ11のタイヤ材料の中に埋設されて固定されており、タイヤ材料の強度を増加させるとともに、タイヤをリムに締めつける力を増大させる(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させる。内部コア15の側面には切り欠き部13が配置されている。図1では、切断面に切り欠き部が配置されているが、切り欠き部13は内部コア15だけに形成されている。切り欠き部13は内部コア15の中でタイヤ周方向の一部に断続的に一定間隔をおきながら存在しているが、図1では切り欠き部13が存在する部分を切断して示している。
この内部コア部15の状態を良く分かるように、図2に外表層部16を被覆する前の内部コア部作製後における内部コア部15を示す。図2に示すように内部コア15の側面には切り欠き部13がタイヤ周方向に複数配置されている。この切り欠き部13は後述する金型内で補強部材を係止支持する支持体を引き抜いた跡である空洞として形成される。空洞は内部コア15の中心部まで存在し、中心部付近に配置される補強部材12の周囲(側面および下部)にも空洞が形成されていて、金型内で支持体の上および支持体の間に補強部材12が載置されていたことが分かる。この切り欠き部13の空洞は、内部コア15を外表層部16で被覆するときに外表層部の材料で埋められ、隙間は殆どなくなってしまうので、この部分が欠陥となり、あるいは欠陥の起点となることはない。
本発明のコード入り非空気入りタイヤは、上記の構造からも明らかなように2段階の製造方法によって作製される。第1段階では、タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む内部コアを作製する。すなわち、内部コア作製用の金型内部に伸びる支持体によってタイヤ周方向に延在する補強部材を係止した状態で、内部コア用のタイヤ材料を金型内に射出して円環状の内部コアをインジェクション成型する。金型を取り外すときに支持体も引き抜くので、円環状の内部コアの側面には切り欠き部が形成される。第2段階では、この円環状の内部コアをタイヤ用の金型内部に配置した状態で、タイヤ外表層部の材料を金型内に射出して円環状のタイヤをインジェクション成型する。以下に図面を用いて上記の製造方法を詳細に説明する。
図3は、本発明の非空気入りタイヤの内部コアの製造方法に用いる金型を示す図である。金型20は割型になっていて、図3では2分割で構成されているがもっと多分割しても良い。図3は、非空気入りタイヤの内部コアの断面形状に合わせた形状を有する環状の金型の一部断面図を示している。従ってこの内部コア作製用の金型は周方向に一続きの金型となっていても良いし、タイヤ周方向に複数に分割していても良い。金型20の一方の割型21の内表面21Sの側面の一部から支持体24が金型20の内部23へ伸びている。支持体24の先端部には補強部材27を係止配置する補強部材係止部25がある。金型20の他方の割型22の内表面22Sの側面の一部から支持体26が金型20の内部23へ伸びている。支持体24および26は、金型21および22が合わさったときに、それらの先端が接触または近接するようになっており、補強部材係止部25に配置された補強部材27が係止支持されるように作られている。支持体24および26は、金型内でタイヤ周方向に断続して複数箇所に配置され、補強部材27をタイヤ周方向に環状に係止支持している。
図4は、金型20の割型21および22を合わせて金型内空間23を構成している図である。割型21および22を合わせると支持体24および26も合わさり、補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、内部コア用のタイヤ材料が金型内23に射出されても補強部材27は動かないようになっている。(尚、支持体24および26の先端部は接触し、あるいは完全に接触しなくても良いが、補強部材係止部25に補強部材27が固定された状態にする。)金型20の金型内空間23は円環状につながっているので、射出されたタイヤ材料は金型内空間23と同形状の円環状の内部コアとなる。射出されたタイヤ材料が冷却されて固化した後に割型21および22を離型すると、図2に示すような円環状の内部コア内部に補強部材27が埋設された内部コア15が作製される。支持体24および26は割型21および22の一部であるからタイヤから引き抜かれて、内部コア15に図2に示すような切り欠き部13を作る。離型性を向上するために支持体24および26の周囲や、金型20の内表面21Sおよび22Sに表面処理を施しても良いし、一般的に射出成型用金型に用いられる製品取出し用のエジェクター機構を設けても良い。
補強部材はコード、あるいはコードをゴムや樹脂でコーティングしたものである。補強コードとしては、有機繊維コードやスチールコードなどで構成される。有機繊維コードの種類は、特に限定されないが、たとえば、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アラミド繊維等である。補強コードは、単線コードでも良いしあるいは複線コードでも良い。複線コードの場合は、撚りコードや重ねたり束ねたり横に並べたコードでも良く、ゴムや樹脂等でコードをコーティングしたものでも良い。また、コードをゴムでコーティングしたものは、金型20内に挿入する前に予め加硫しておいても良い。補強コードやゴム入りコード層等を支持体に配置し周方向に環状に形成する場合は、これらの端末部を溶接または融着等で結合したり、接着剤を用いたり、あるいは結んだりして結合することができる。
図5は、内部コア作製用の金型内における補強部材と支持体の配置状態を示す図である。図5において、(A)図は、金型内の支持体の状態を把握するために、内部コア用の金型内の一部を平面に投影した図である。内部コア用金型内空間23(タイヤ材料を射出した後は、タイヤ材料で充填された内部コア15となる)は円環状であるから、金型内に多数配置された支持体24および26は同一平面上にはないが、(A)図のように一平面上に投影すれば、隣接する支持体24(24−1、24−2、24−3)および26(26−1、26−2、26−3)は同一平面上で描くことができる。金型内に配置された支持体24および26はタイヤ周方向に連続して延在しているわけではなく、図5に示すようにタイヤ周方向に断続して飛び飛びに(好適には等間隔に)配置される。タイヤ材料が射出されて内部コアが円環状に成型された後は、支持体24および26は金型と一緒に取り除かれる。このとき支持体24および26は切り欠き部13(図1)となって内部コア内に残り、この切り欠き部13は補強部材27と接した状態になっている。すなわち、補強部材27における支持体24と接触している部分は切り欠き部13の空洞の一部と接している。(あるいは接触している。)しかし、この切り欠き部13は、第2段階のタイヤ外表層部の作製時にインジェクション注入されたタイヤ材料が入り込み充填される。従って、内部コア作製時に切り欠きが形成されてもタイヤ強度が低下したり、切り欠き部からタイヤに亀裂が入るようなこともない。仮に、第2段階で切り欠き部に完全にタイヤ材料が満たされなくても、少なくとも切り欠き部13の開口部は被覆されるので、タイヤ外部からの異物や汚染水等の浸入によってタイヤが劣化する可能性は極めて低い。尚、支持体24および26は、補強部材27を支持して射出成型時に補強部材が動かないように固定できさえすれば、そのサイズは小さい方が望ましい。
図5(a)は、支持体24に補強部材係止部25があるときの支持体の配列を示す図である。補強部材係止部25を有する複数の支持体24(24−1、24−2、24−3、・・・)がタイヤ周方向に一定の間隔で金型(割型)21の内表面21Sに配置されている。(B)図は、(A)図における支持体24−2および26−2のX−X’断面を示す図である。割型21と22が合わさったときに支持体24および26も合わさり、補強部材27は窪み部となった補強部材係止部25に嵌る。この状態を示したものが(B)図であるが、他の支持体においても支持体24および26の関係は同じであり、(B)図と同様の配置となり、補強部材27は補強部材係止部25に嵌り、係止固定される。金型内空間23はタイヤ周方向に円環状に作製されており、その金型内空間内の所定位置に多数配置された支持体24および26で形成された窪み部である補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、補強部材27はタイヤ周方向に連続して円環状につながっている。補強部材27は多数の補強部材係止部25に係止固定され、タイヤ材料が射出されてもその圧力によっても動かないようになっている。補強部材27のテンションを利用すれば、多数の補強部材係止部25において、補強部材27は、タイヤ径内側へ締めつける力が働くので、さらに移動し難くなる。
図5(b)は、別の支持体の配列を示す図である。(A)図は、タイヤの金型内の一部を平面に投影した図である。(B)図は支持体24−2および26−2におけるX−X’断面を示す図であり、(C)図は支持体24−1および26−1におけるY−Y’断面を示す図である。(B)図においては図5(a)と同様に補強部材係止部25が支持体24(24−2)にあるが、(C)図においては図5(a)とは逆に補強部材係止部25が支持体26(26−1)にある。このように図5(b)では補強部材係止部25が支持体24および26に交互に存在しながら、支持体24および26が周方向に配置されている。このような支持体でも補強部材27を金型の所定箇所に配置し係止固定することができる。
図5(a)および図5(b)に示す支持体の配置形態では、金型20の(割型21および22の)内表面の両側から支持体が金型内空間23へ伸びているので、金型20(割型21および22の)を射出したタイヤから離型した後の支持体の跡は貫通孔として内部コアの内部に残る。この支持体の跡が内部コアでは切り欠き部13(図2)となっているが、図2では見えない反対側にも同じ位置に切り欠き部13があり、これらの切り欠き部は貫通孔(これも支持体による、空洞と言っても良い)でつながっている。逆に貫通孔でつながっているということは、図5に示すような金型20の割型21および22の両方の内表面21Sおよび22Sからそれぞれ支持体24および26が金型内部へ伸びており、補強部材27が補強部材係止部25に係止支持されているということを示す。
図6は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図であり、支持体が一方の割型の内表面だけから伸びている場合を示す図である。すなわち、支持体は割型21または22に対して片持ち状態となっている。図6(a)は、支持体24だけの場合であり、支持体26は存在しない。(A)図はタイヤの金型内の一部を平面に投影した図であり、(B)図は支持体24−2におけるX−X’断面図を示す。支持体26は存在しないので、補強部材27は支持体24だけから係止されている。図5においては、支持体24および26の両側から押さえられていて安定して係止固定されていたが、図6の場合には図5と比較して少し安定性が悪い。しかし、補強部材27のテンションを高めてタイヤ径方向へ補強部材を締めつけて係止固定したり、あるいは補強部材係止部25にさらに窪み部を設けて補強部材27をその窪み部へ嵌めて係止固定したり、あるいは射出圧力を調節したりすることにより、射出成型時の補強部材27の移動を抑えることができる。あるいは補強部材係止部25に接着剤を用いて補強部材を固定するということもできる。
図6(b)は、支持体24および26が交互に(左右互い違いに)配置される場合を示す図である。支持体24−1がある場合には支持体26が存在せず、その周方向の隣において支持体26−2はあるが支持体24は存在しない。さらにその周方向の隣において支持体24−3はあるが支持体26は存在しない。このように周方向に隣接する支持体は、同じ割型から伸びていない。図6(b)の(B)図は、(A)図における支持体26−2のX−X’断面図であり、図6(b)の(C)図は、(A)図における支持体24−1のY−Y’断面図である。これらの図から分かるように、補強部材27は片側からの支持体だけに支えられている。このような支持体の交互配置でも補強部材を金型内に配置固定してインジェクション成型することができる。
内部コア用のタイヤ材料を射出して金型内空間23をタイヤ材料で充填した後、割型を外し支持体24または26を抜いたとき、図6(a)に示す場合は切り欠き13が内部コアの片側面だけに存在するが、図6(b)に示す場合は切り欠き13は内部コアの両側面に存在する。図6(b)に示す場合の方が外観的にも強度的にもバランスが取れている。ただし、図6(a)の場合も図6(b)の場合も貫通孔ではなく、片側面だけに抜けた孔でその表面部が切り欠き部13となっている。
図7は、インジェクション成型により作製した円環状の内部コアの断面図である。図7に示す内部コアは、図3〜図5に示すような両側に支持体が存在する金型を用いて作製されたものである。図7(a)は支持体が存在する部分におけるタイヤ幅(内部コア幅)方向の断面図で、図3および図4示すような補強部材が両側からの支持体の係止部で支持された部分における内部コアの断面図である。あるいは、図5(a)のX−X’部分において作製された内部コアの断面図である。あるいは、図5(b)のX−X’部分やY−Y’部分において作製された内部コアの断面図と考えれば良い。図7(b)は、支持体が存在しない部分において作製された内部コアの断面図である。図7において、補強部材32は内部コア31の内部に埋設されており、内部コア31の幅方向においてほぼ中央付近に配置される。補強部材32が複数ある場合、好適にはそれらの中心(重心)が内部コア31の幅方向のほぼ中央付近に存在する。内部コア31はタイヤの幅方向にはほぼ中央付近に配置されるので、補強部材32もタイヤの幅方向においてほぼ中心に配置される。この結果、補強部材32はリムを内側から均等に締め付けるので、締め付け力の対称性により耐リム外れ性を向上させる。
図7(a)において、内部コア31用のタイヤ材料がない部分(すなわち、切り欠き部)33および34は支持体の跡である。たとえば、切り欠き部34は図5における支持体26の跡で、切り欠き部33は図5における支持体24の跡である。これらの切り欠き部33および34によって、内部コア31は上側の内部コア31−1と下側の内部コア31−2に分かれているが、支持体のなかった部分では図7(b)に示すように、内部コア31は(上下部分で)一体となり、補強部材32は内部コア内に埋設されて固定されている。図5からも分かるように、支持体の存在する領域は支持体のない領域よりはるかに少ないので、切り欠き部が存在しても補強部材32は内部コア内に固定されていて動かない。尚、図6に示すような支持体が片側だけに存在する場合は、当然切り欠き部も片側だけに存在する。
図8は、本発明の非空気入りタイヤ(外表層部)を作製する金型を示す図である。図8は、非空気入りタイヤの断面形状に合わせた形状を有する環状の金型の一部断面図を示している。金型40は割型になっていて、図8では2分割で構成(金型41および42で構成)されているがもっと多分割しても良い。金型41および42の内表面41Sおよび42Sは非空気入りタイヤの外表面と同じ形状を有している。既に作製した環状の補強コード入り内部コア31を金型内空間43にセットする。たとえば、内部コア31の底面を非空気入りタイヤの金型41および42の底面45および44と同じ形状に作製しておけば、図9に示すように特別の支持体を使用せずに金型40に合わせて配置することができる。内部コア31の底面の半分を一方の金型の底面(たとえば割型41の底面45)にセットした後に、他方の金型を合わせて、その底面(たとえば割型42の底面44)に内部コア31の底面の残り半分を配置しても良い。
図8(および割型を合わせた図9)では、金型41および42の底面部の幅が同定度に形成されている(図9に示すように、金型40の割型位置47が底面部の中央部に配置されている)ため内部コア31の底面が金型41および42の底面部に跨って配置されているが、図19に示すように、金型40の割型位置を49のように移動させて(図9で示す割型位置47を破線で示す)、一方の金型(図19では割型42)の底面部(図19においては割型42の底面44)の幅を大きく作製しておけば、内部コア31の底面を簡単に固定配置することができる。また、図19に示すように底面部を広くしておけば、円環状の内部コア31のテンションを効かせて固定配置することも容易になる。
図9は、本発明の非空気入りタイヤ作製用の金型を構成する割型41および42が合わさり、金型内空間43を作り、その金型内空間43に内部コア31が配置された状態を示す図である。内部コア31の底面が割型41および42の底面45および44に載置されている。図8および図9では、内部コア31の切り欠き部33および34が存在する部分について描写しているが、図7(b)で示すような切り欠き部がない部分についても、当然、金型内空間43に内部コア31が配置される。図9に示す状態は、タイヤ材料をインジェクション注入する前の金型40の状態を示すが、インジェクション注入中に内部コア31が金型内空間43で動かないようにすることが重要であり、インジェクション注入時の圧力や温度を最適化する必要がある。また、内部コア31の底面が割型41および42の底面45および44の形状に合わせるように作製して、内部コア31の底面が割型41および42の底面45および44に適合して固定されるようにしても良い。あるいは、内部コア31の底面の一部に凹凸形状を付け、その凹凸に嵌るように割型41および42の底面45および44に凸凹形状を付けても良い。非空気入りタイヤの幅方向は対称性を持つように、内部コア31も幅方向に対称性を持たせるとともに、内部コア31が非空気入りタイヤの幅方向に対してほぼ中央付近に配置し金型内空間43に固定されることが望ましい。従って、補強部材32は、金型内空間43の非空気入りタイヤの幅方向においてほぼ中央に配置されることが望ましい。補強部材32が複数の場合には、補強部材32の重心が金型内空間43の非空気入りタイヤの幅方向においてほぼ中央に配置されることが望ましい。
内部コア31の切り欠き部33および34は、その開口部が金型内空間43の内部にあること、すなわち切り欠き部の開口部が金型内空間43に開口していることが重要である。インジェクション注入時に非空気入りタイヤ材料を切り欠き部33および34の開口部から入れて、切り欠き部33および34の空洞部を非空気入りタイヤ材料で充填することが望ましい。図9では、内部コア31の底面が金型40の内表面と合わせて固定しているが、内部コアの側面や上面を金型40の内表面と合わせて固定することもできるが、このとき内部コア31に存在する切り欠き部33および34の開口部は金型内空間43の内部に存在するようにし、これらの開口部から切り欠き部33および34の内部空間(空洞)へタイヤ材料をインジェクション注入できるようにする。図8および9では内部コア31の底面が金型40の底面に配置されているが、タイヤ周方向に見たときに、この配置状態はタイヤ周方向全体に形成されている必要はなく、インジェクション注入時に動かないように内部コア31を固定できれば、タイヤ周方向の一部だけでも良い。内部コア31の一部の底面だけが金型40の底面に配置されている場合、完成品の非空気入りタイヤは、その下面における内部コアの底面が露出する。
図10は、図8および図9に示す金型を用いて作製した本発明の非空気入りタイヤを示す図である。図10に示す本発明の非空気入りタイヤ50は、補強部材32が埋設された内部コア31およびこの内部コア31を被う外表層部51からなる。図9で示す金型内空間43はインジェクション注入されたタイヤ材料で充填され、内部コア31の周囲を囲んで外表層部51を形成する。内部コア31の切り欠き部33や34は金型内空間に開口した開口部を有するので、インジェクション注入されたタイヤ材料はこれらの切り欠き部33や34に入り、切り欠き部33や34の空洞を充填する。従って、切り欠き部33や34では補強部材32が一部露出しているが、これらの部分も外表層部51と同じ材料で満たされる。インジェクション注入されるタイヤ材料の温度・粘度・注入圧力等、また金型温度等のインジェクション注入条件を適度に設定して、タイヤ材料が切り欠き部33や34内に注入されるようにする。金型内空間43を減圧状態にすることにより切り欠き部33や34の空洞内にタイヤ材料がさらに入りやすくなる。
内部コア31と外表層部51との密着性は重要であるから、内部コア31と外表層部51との密着性の良い材料を選定する。たとえば、内部コア31と外表層部51を同じ材料で構成したり、融着する温度が近い材料を選択する。金型温度を内部コアの表面が融着可能な温度にしても良い。また、内部コア31の周囲に接着向上剤を事前にコーティングしても良い。内部コア31には切り欠き部33や34が形成されているので、外表層部材料が入り込み、この充填された切り欠き部33や34がアンカー効果(たとえば、接触面積が増大し、互いに対して食い込み度が増大し、お互い同士の抜けを防止する効果)を発揮して、内部コア31と外表層部51との結合を向上させる。内部コア31の一部(図10では内部コア31の底面)は外側に露出しているが、それ以外の部分は外表層部51によって被覆(カバー)されている。内部コア31は、非空気入りタイヤ50を作製する金型(図8および図9に示す金型40で、外表層部51を作製する金型と同じである)内の空間に何の支持体もなく浮かせて固定することはできないので、また、本発明では内部コア31を支持するための支持体を金型の内部空間(図8および図9における43)には設けないので、内部コア31は、図8および図9で説明したように、金型の内表面(図8および図9における41Sや42S)に密着して支持されるが、この密着した部分において内部コア31は外部に露出する。
図10(a)は、切り欠き部33や34が存在する部分の断面図を示し、図10(b)は切り欠き部が存在しない部分の断面図を示す。内部コア31は、非空気入りタイヤ50の幅方向において非空気入りタイヤ50の中心部(赤道)55に対してほぼ対称位置に配置されている。また、内部コア31の形状も中心部55に対して対称な形状となることが望ましい。さらに、補強部材32も中心部55に対してほぼ対称位置に配置されている。この結果、タイヤをリム組みしたときに、(図10において52および53はリム嵌合溝部でここにリムフランジ凸部が嵌合する)タイヤ本体の内側からリムを締めつける力(タガ効果)が均等にバランス良く増大しタイヤの伸長を防止してリム外れが発生し難くなる。すなわち耐リム外れ性が向上する。この結果、高速耐久性も向上する。
内部コア31に形成される切り欠き部33や34は、アンカー効果によって内部コア31と外表層部51との結合性を高めるので、切り欠き部33や34とは異なる場所の内部コア31に凹凸部を形成することもできる。たとえば、図12は上部に凹部を形成した内部コアを示す図である。図12に示すように、内部コア31の表面部に凹部61や62を形成して、外表層部51をインジェクション成型するときに、この凹部61や62にタイヤ材料を入れ込む。この凹部によるアンカー効果により、内部コア31と外表層部51との結合をさらに強めることができる。図12(a)は内部コア31の上部に凹部61を2箇所、図12(b)は内部コア31の上部に凹部62を1箇所形成している。切り欠き部33や34の存在する部分および存在しない部分の両方に凹部を形成しているが、もっと多く形成することもできる。タイヤ周方向には、凹部は1部だけでも効果がある。このようにタイヤ周方向に断続的または連続した凹部(溝部と呼んでも良い)を形成して、内部コア31と外表層部51との結合性を高めることができる。これらの凹部は、金型20の内面21Sや22Sの表面に凸部を形成して作製することができる。また、凹部ではなく、逆に内部コア31に凸部を形成しても、やはりアンカー効果によって内部コア31と外表層部51との結合性を高めることができることも当然である。凸部に関しても金型20の内面21Sや22Sの表面に凹部を形成して作製することができ、タイヤ周方向に断続的または連続した凹部を複数形成することもできる。
図14は、図6に示すような支持体が片側だけに存在する金型で作製した切り欠き部33または34が片側だけに存在する内部コア31を有する非空気入りタイヤを示す図である。切り欠き部による空洞が片側だけに存在する場合でも、切り欠き部の開口側よりタイヤ材料がインジェクション注入され、切り欠き部内部の空洞はタイヤ材料で充填させることができる。両側に切り欠き部が存在する場合よりアンカー効果は弱いが、タイヤ外表層部51と内部コア部31との結合は充分確保できる。切り欠き部が互い違いになっている場合は、図14(a)と図14(b)の状態が断続的に交互に現われる。
次に本発明の非空気入りタイヤにおける補強部材の位置について説明する。図11は補強コード入り内部コアを有する非空気入りタイヤにおける補強部材(コード)の位置を示す図である。図11では切り欠き部のない内部コアが存在する部分の断面図を示すが、補強部材の位置については切り欠き部の有り無しでは変動はない。本発明の非空気入りタイヤ50の断面高さをSHとする。断面高さSHは、非空気入りタイヤの底部から非空気入りタイヤの接地面までの距離である。タイヤの接地面は非空気入りタイヤの最外径となる部分と定義する。図11では、非空気入りタイヤの最外径となる部分は、幅方向の中心線55(タイヤ周方向も考慮すれば面で、タイヤ赤道に相当する)と外表層部51の外表面の交点(タイヤ周方向も考慮すれば面)と一致する。補強部材32がタイヤ50の内部に配置される部分(補強部材の底部)のタイヤ接地面(タイヤ最外径)からの距離をmとしたとき、m/SH(×100)は20〜95の範囲に存在することが望ましく、好適には30〜95、もっと好適には35〜90の範囲に存在することが望ましい。
実際には、内部コア31内に補強部材32が配置固定され、その内部コア31がタイヤ50内に配置固定されるので、内部コア31内に配置固定する補強部材32の位置を逆算して設定する必要がある。たとえば、内部コア31の最外径となる部分は、幅方向の中心線55と内部コアの外表面との交点と一致するから、この交点から内部コア31の底面までの距離(これを内部コア31の断面高さと考えても良い)をSHc、交点から補強部材32の底部までの距離をnとすると、m/SHとn/SHcとの関係を考慮して、各値を設定する必要がある。従って、補強部材32の位置を決定する内部コア金型20の支持体24および26の位置を上記の範囲内に来るように管理する必要がある。補強部材がこれらの範囲内に配置されれば、リムをタイヤ径方向へ締めつける力が増大する(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させることができる。
図13は、内部コアの種々の断面形状を示す図である。図13(a)は断面形状が長方形状の内部コア、図13(b)は断面形状が六角形状の内部コア、図13(c)は断面形状が台形状の内部コア、図13(d)は断面形状が十字形状の内部コア、図13(e)は断面形状が星形状の内部コアを示す。他に三角形状、半円形状、半楕円形状等いろいろな断面形状の内部コアを作製できる。これらの内部コアは内部に補強部材を有するが、この補強部材は非空気入りタイヤの幅方向においてほぼ中央部に配置されていることが望ましい。従って、略対称な形状を有する内部コアにおいても、その幅方向(図13において、X方向が幅方向、Y方向がタイヤ径方向となる)においてほぼ中央部に配置されていることが望ましい。リムを締めつけるタガ効果をタイヤ幅方向に均等に及ぼすために、内部コアは幅方向において対称性を有した形状が望ましい。また、図8および図9で説明したように、金型40内で固定されている必要があるので、金型40内に載置したときに安定して載置できる形状が望ましい。図13で示す種々の形状はこれらの条件を満足する。図13(e)に示す星形状の内部コアは、その中心に補強部材を配置することにより、表面に凹凸が存在するので、金型40内での安定性、外表層部との結合性を高め、タイヤ外部に露出する内部コアの領域を最小限にすることができる。
図15は、タイヤ幅方向に複数の補強部材を有する非空気入りタイヤを示す図である。内部コア31内に複数の(図15では4本)補強部材32が配置され、これらの補強部材32を支持していた切り欠き部33および34の空洞は外表層部51の材料によって充填されている。複数の補強部材32は、その中心(重心)がタイヤ幅方向の中央線(タイヤの赤道)55とほぼ一致している。内部コア31内でも補強部材32が対象に配置されていることが望ましい。このように複数の補強部材を内部コア内に配置することもできるので、さらにタガ効果を増大させ耐リム外れ性を向上させることができる。尚、補強部材32を複数配置する場合には、タイヤ径方向(図15では縦方向)にも複数配置することができる。その場合には中央線15に沿って複数の補強部材を配置すれば良く、これによって補強部材の幅方向における対称性を確保できる。さらに複数の補強部材を内部コア内に分散することもできる。その場合も複数の補強部材の重心が幅方向の中央になるようにするのが、対称性の観点から望ましい。尚、このように複数の補強部材を縦方向に配置したり、分散させたりする場合には内部コア形成時に多数の支持体が必要となり、その結果多数の切り欠き部が形成されるが、これらの切り欠き部は2回目のインジェクション注入時(タイヤ外表層部作製時)にタイヤ材料で充填されるのでタイヤの強度上は問題なく、アンカー効果や耐リム外れ性をさらに向上させることができる。
本発明の補強コード入り内部コアを含む非空気入りタイヤは、補強コードによる耐リム外れ性を向上しつつ、切り欠き部がタイヤ外側に露出しないことによる高寿命性を実現した優れた非空気入りタイヤであるが、内部コアおよびその外側を少なくとも一部被覆する外表層部は、インジェクション成型が可能なタイヤ材料で構成される。内部コア(図10等における31)の材料と外表層部(図10等における51)の材料を同一か類似した材料で構成しても良いし、異なる材料で構成することもできる。異なる材料で構成した場合は容易に内部コアと外表層部の物性値を変化させることができる。あるいは、同じ材料でも異なる条件で作製して内部コアと外表層部の物性値を変えても良い。たとえば、内部コアを低硬度(たとえば、JISK6253準拠のJISA硬度20〜65)にして比較的柔軟な状態にし、路面に接触する外表層部を高硬度(たとえば、JISK6253準拠のJISA硬度65〜90)にすることにより、摩耗に強く乗り心地性も良い長寿命の非空気入りタイヤを作製できる。このように本発明の補強コード入り内部コアを含む非空気入りタイヤは、内部コア部および外表層部の物性値を種々変化させて特性チューニングが可能であり、両者の優れた性質を合わせ持つ所望の非空気入りタイヤを実現できる。
内部コアおよび外表層部、すなわち本発明の円環状の補強コード入り非空気入りタイヤは、インジェクション(射出)成型によって作製される。内部コアおよび外表層部を構成するタイヤ材料として、天然ゴム、種々の合成ゴム(たとえば、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム)、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物を使用することができる。
熱可塑性エラストマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなど種々使用できる。オレフィン系エラストマーとしては、たとえばエチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)等を使用できる。スチレン系エラストマーとしては、たとえばスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS、SBSの水素添加物)、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)等を使用できる。
熱可逆架橋エラストマー組成物は、溶融成型しながら、物性を低下させずに繰り返して使用することができる為、マテリアルリサイクルが可能である。また、熱可逆架橋エラストマー組成物は、高い柔軟性や良好な低温特性を持ち、フィラーにより補強することもでき、加硫ゴムに近い性質を持つエラストマーであり、熱可塑性樹脂のように、射出(インジェクション)成型が可能で、加硫工程が不要であるという特徴がある。さらに、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂との接着性も有するため、これらの材料の併用が可能である。
熱可逆架橋エラストマー組成物としては、カルボニル基・ヒドロキシ基・オキシ基・エポキシ基・フェニル基など種々の官能基またはこれらの官能基か含窒素複素環を含む架橋部位、或いはこれらを側鎖として含有することができる。特に、このエラストマー組成物として、好適には水素結合を用いた熱可逆架橋エラストマー組成物であるTHCラバー(Thermoreversible Hydrogen-bond Crosslinking Rubber)を用いることができる。THCラバーは、少なくともカルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖もしくはその水素結合性架橋部位と共有結合性架橋部位とを併有する側鎖を有する熱可逆架橋エラストマー組成物であり、熱可逆架橋性を良好に発揮しタイヤのリサイクル性を向上させることが可能となる。
カルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位は、カルボニル含有基が有するカルボニル基と、含窒素複素環が有するアミノ基とが水素結合を形成する。含窒素複素環は、架橋剤として含窒素複素環含有化合物を加えることにより配合してもよい。水素結合性架橋部位を構成するカルボニル化合物としては、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミド基が挙げられる。
熱可逆架橋エラストマー組成物は、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むものであることが好ましい。このように熱可逆架橋エラストマー組成物を構成することにより、良好な物性を持つとともに、高流動性で成型性が良好になる。上記した含窒素複素環化合物は、好適には含窒素複素環多官能アルコールであり、オレフィン系樹脂は好適にはポリプロピレンであり、スチレン系エラストマーは好適には水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることが好ましい。
熱可逆架橋エラストマー組成物は上記の種々の材料を混合して用いることもできる。たとえば、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー100重量部に対し、含窒素複素環化合物を0.1〜3重量部、オレフィン系樹脂を50〜150重量部、スチレン系エラストマーを20〜80重量部、パラフィンオイルを50〜150重量部配合するのがよい。熱可逆架橋エラストマー組成物をタイヤに使用すると、環状に成型することが簡単であり、また、熱を加えることで架橋が外れるため、タイヤの成型性に加え、マテリアルリサイクルも容易になるので好ましい。
本発明は、補強部材を支持する支持体を金型機構に組み込むことにより、インジェクション成型方法を用いて補強材を含み一体成型とした内部コア部を作製した後に、この内部コア部をさらにタイヤ本体用の金型に固定配置して内部コア部を被う外表層部を形成して、切り欠き部が外側へ露出しない非空気入りタイヤを実現したもので、これにより安全性および信頼性の高いコード入り非空気入りタイヤを作製できる。
尚、明細書のある部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
本発明の非空気入りタイヤは、軽荷重下での低速走行などが通常である自転車用、車椅子用、ゴルフカート用、リヤカー用など、各種の軽車両用の非空気入りタイヤとしても使用することができる。
1・・・非空気式タイヤ本体、2・・・溝部、
4・・・ホイール、6・・・中空孔、
7・・・締付材、8・・・締付材通し孔、
11・・・非空気入りタイヤ、12・・・補強部材、
13・・・切り欠き部、14・・・リム嵌合溝、
15・・・内部コア(部)、16・・・外表層(部)、
20・・・金型、21・・・割型、
22・・・割型、23・・・金型内空間、
24・・・支持体、25・・・補強部材係止部、
26・・・支持体、27・・・補強部材、
31・・・内部コア、32・・・補強部材、
33・・・切り欠き部、34・・・切り欠き部、
40・・・金型、41・・・割型、
42・・・割型、43・・・金型内空間、
44・・・金型底面、45・・・金型底面、
50・・・非空気入りタイヤ、51・・・外表層部、
52・・・リム嵌合溝部、53・・・リム嵌合溝部、
55・・・タイヤ中心部(赤道)61・・・凹部、
62・・・凹部、201・・・非空気入りタイヤ、
202・・・タイヤ本体部、203・・・リム嵌合溝、
204・・・トレッド溝、205・・・リム、
206・・・リムフランジ凸部

Claims (14)

  1. 補強部材が埋設された内部コアおよび前記内部コアの少なくとも一部を被う外表層部を有する非空気入りタイヤであって、前記内部コアにおいて補強部材を支持するために使用される支持体の跡として形成された切り欠き部は、前記補強部材の少なくとも一部と接するとともに、タイヤ周方向に断続的に存在し、さらに前記外表層部によって被覆されていることを特徴とする非空気入りタイヤ。
  2. タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径から半径方向に20〜95の範囲に前記補強部材が係止されたことを特徴とする請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
  3. 前記内部コアおよび/または前記外表層部は、熱可塑性エラストマー組成物、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物で構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の非空気入りタイヤ。
  4. 前記熱可逆架橋エラストマーは、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とする、請求項3に記載の非空気入りタイヤ。
  5. 前記含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、前記オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、前記スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする、請求項4に記載の非空気入りタイヤ。
  6. 前記非空気入りタイヤは軽車両用であることを特徴とする、請求項1〜5に記載の非空気入りタイヤ。
  7. 補強部材が埋設された内部コアおよび前記内部コアの少なくとも一部を被う外表層部を有する非空気入りタイヤの製造方法において、
    タイヤ周方向に延在する補強部材を第1の型内表面から第1の型内部に伸びる支持体によって第1の型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出して前記内部コアをインジェクション成型により作製する工程、および
    前記内部コアを第2の型内部に固定配置した状態でタイヤ材料を射出して前記外表層部をインジェクション成型により作製する工程
    を含むことを特徴とする非空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記支持体の跡として形成された前記内部コアの切り欠き部は、前記補強部材の少なくとも一部と接するとともに、タイヤ周方向に断続的に存在し、さらに前記外表層部によって被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
  9. タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径から半径方向に20〜95の範囲に前記補強部材が係止されたことを特徴とする請求項7または8に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
  10. 前記内部コアを作製する工程および/または前記外表層部を作製する工程において、前記射出したタイヤ材料は、熱可塑性エラストマー組成物、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物で構成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
  11. 前記熱可逆架橋エラストマーは、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とする、請求項10に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
  12. 前記含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、前記オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、前記スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする、請求項11に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
  13. 請求項7〜12のいずれかの項に記載の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤ。
  14. 軽車両用であることを特徴とする、請求項13に記載の非空気入りタイヤ。
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