以下に添付図面を参照して、実施形態に係るエンジン制御装置を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るエンジン制御装置1を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るエンジン制御装置1は、センサSE、エンジンE、スタータST、バッテリBと接続され、制御部2と記憶部3とを備える。エンジン制御装置1に接続されるセンサSEは、車両の状態を検知する複数の検知装置を含むものである。
具体的には、センサSEは、エンジンEの回転数、車両の速度、車両の加速度、シフトレバーのポジション、アクセルの操作状態、ブレーキの操作状態等をそれぞれ検知し、各検知結果をエンジン制御装置1へ出力する。また、エンジンEは、車両を駆動する内燃機関であり、バッテリBは、車両に搭載されている各種電子機器へ電力を供給する電源である。
また、スタータSTは、スタータモータ(以下、単に「モータ」と記載する)の回転力をエンジンEの回転軸へ伝達してエンジンEを始動させる始動機構を備えたエンジン始動装置である。かかるスタータSTの始動機構は、モータとエンジンEの回転軸とが連結された連結状態と、モータとエンジンEの回転軸とが連結されていない非連結状態とを切り替えることが可能な構成を備える。
ここで、図2を用い、スタータSTの構成の一例について説明する。なお、スタータSTは、図2に示す構成のものに限定するものではない。図2は、第1の実施形態に係るスタータSTの構成の一例を示す説明図である。
図2に示すように、スタータSTは、エンジンEを始動するモータMと、モータMによって駆動されるピニオンギア41をエンジンEの回転軸に連動するリングギア51へ噛み合わせるソレノイドスイッチ42とを備えている。
ソレノイドスイッチ42は、ソレノイド43と、ソレノイド43へ通電することによって動作するプランジャ44とを備えている。プランジャ44は、連動部材45を介してピニオンギア41の回転軸と連結されている。
また、ソレノイドスイッチ42は、制御部2から入力される制御信号に従ってソレノイドスイッチ42に対する通電のONおよびOFFを切替える第1スイッチ61を介してバッテリBと接続される。
また、モータMは、制御部2から入力される制御信号に従って、モータMに対する通電のONおよびOFFの切り替え、モータMに対する通電量の切り替えを行う第2スイッチ62を介してバッテリBと接続される。つまり、制御部2は、エンジンEを始動させる場合に、バッテリBからの電力を用いてモータMを駆動するスタータ駆動制御を行う。
また、スタータSTでは、ソレノイド43へ通電されていない場合、プランジャ44がソレノイド43内へ後退した状態(以下、「OFF状態」と記載する)となり、ピニオンギア41がリングギア51と噛み合わない状態で保持される。
一方、ソレノイド43へ通電された場合、プランジャ44がソレノイド43から進出した状態(以下、「ON状態」と記載する)となり、ピニオンギア41がリングギア51と噛み合った状態となる。
このように、スタータSTは、モータMとエンジンEの回転軸とが連結された連結状態と、モータMとエンジンEの回転軸とが連結されていない非連結状態とを切り替えることが可能なエンジンEの始動機構を備える。
なお、プランジャ44のON状態とOFF状態との切り替えは、制御部2が第1スイッチ61のONおよびOFFを切り替えることによって行われる。つまり、制御部2は、エンジンEを始動する場合に、バッテリBからの電力を用いて始動機構を非連結状態から連結状態へ変化させる連結制御を行う。
かかるスタータSTは、制御部2による制御に従い、始動させるエンジンEの回転が完全には停止していない場合と、回転が完全に停止している場合とで異なる始動動作を行う。
具体的には、スタータSTは、始動させるエンジンEの回転が完全には停止していない場合、まず、プランジャ44をOFF状態のままモータMを駆動してピニオンギア41を空転させる。以下、このようにスタータSTがプランジャ44をOFF状態のままピニオンギア41を空転させる状態を第1の状態という。
続いて、スタータSTは、ピニオンギア41の回転とエンジンEの回転とが同期した時点で、プランジャ44をON状態とし、モータMの回転速度を上昇させてエンジンEの始動を行う。以下、このように、スタータSTがプランジャ44をON状態としてピニオンギア41を回転させる状態を第2の状態という。
かかるスタータSTによれば、エンジンEの回転が完全に停止する前にエンジンEを再始動させることができるので、エンジンEの再始動に要する時間を短縮することができる。なお、ピニオンギア41の回転とエンジンEの回転との同期判定は、制御部2によって行われる。
ここで、第1の状態と第2の状態とでは、第2の状態の方が第1の状態よりもモータMの消費電力が大きい。つまり、スタータSTは、回転が完全には停止していないエンジンEを始動する場合、消費電力が比較的小さな第1の状態でモータMを駆動した後、第1の状態よりも消費電力が大きな第2の状態でモータMを駆動してエンジンEの始動を行う。
一方、始動するエンジンEの回転が完全に停止している場合、スタータSTは、始めから第2の状態でモータMを駆動してエンジンEの始動を行う。つまり、スタータSTは、まず、プランジャ44をON状態にし、回転が停止しているピニオンギア41と回転が停止しているリングギア51とを噛み合わせてからモータMの駆動を開始してエンジンEの始動を行う。
図1へ戻り、エンジン制御装置1の説明を続ける。エンジン制御装置1は、エンジンEの自動停止および自動始動を行う制御部2と、エンジンEの自動停止および自動始動に用いる始動/停止条件情報31、自動停止許可情報32、閾値情報33を記憶した記憶部3とを備えている。
ここで、始動/停止条件情報31は、エンジンEの停止条件および始動条件を示す情報である。具体的には、記憶部3は、停止条件として、エンジンEの回転数がアイドリング状態、車両の速度および加速度が0、アクセルがOFF、ブレーキがON、シフトポジションがニュートラルまたはパーキング等の条件を記憶している。
そして、制御部2は、エンジンEの自動停止が許可されている状態で、かかる停止条件の全てが成立した場合に、エンジンEを自動停止させる。
また、記憶部3は、始動条件として、ブレーキがONの状態でシフトポジションがニュートラルまたはパーキングからドライブへシフトしたこと等の条件を記憶している。そして、制御部2は、エンジンEを自動停止させた後に始動条件が成立した場合、エンジンEを自動的に再始動させる。
自動停止許可情報32は、エンジンEの自動停止が許可されているか、若しくは、禁止されているかを示す情報である。かかる自動停止許可情報32は、エンジンEの停止条件が成立した場合に、制御部2によって参照される。また、閾値情報33は、制御部2がエンジンEの自動停止に関する禁止判定を行う際に、バッテリBの電圧と比較する閾値を示す情報である。
そして、制御部2は、エンジンEを始動させる始動制御を行う際に、バッテリBの電圧と閾値情報33として記憶されている閾値とを比較して、次回のエンジンEの自動停止を禁止するか否かを判定する。なお、制御部2が実行する始動制御については、図3および図4を用いて後述し、制御部2が実行する処理については、図5および図6を用いて後述する。
かかる制御部2は、エンジン制御装置1全体の動作を統括制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。
そして、制御部2は、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備えている。具体的には、制御部2は、始動/停止判定部21と、停止制御部22と、始動制御部23と、電圧検出部24と、自動停止禁止部25とを備えている。
始動/停止判定部21は、センサSEから入力される各検出結果と、記憶部3に記憶されている始動/停止条件情報31とに基づいて、エンジンEの停止条件または始動条件が成立したか否かを判定する処理部である。
そして、始動/停止判定部21は、エンジンEの停止条件が成立したと判定した場合に、判定結果を停止制御部22へ出力する。一方、始動/停止判定部21は、エンジンEの始動条件が成立したと判定した場合、判定結果を始動制御部23へ出力する。
停止制御部22は、エンジンEを自動的に停止させる処理部である。かかる停止制御部22は、始動/停止判定部21から停止条件が成立したことを示す判定結果が入力されると、記憶部3に記憶されている自動停止許可情報32を参照し、自動停止が許可されている場合に、エンジンEを自動停止させる。
始動制御部23は、エンジンEを自動的に始動させる処理部である。かかる始動制御部23は、始動/停止判定部21から始動条件が成立したことを示す判定結果が入力された場合に、エンジンEを自動始動させる。
このとき、始動制御部23は、エンジンEの回転が完全には停止していない場合、モータMを前述した第1の状態で駆動した後に、モータMを第1の状態よりも消費電力が大きな前述した第2の状態で駆動してエンジンEを始動させる第1始動制御を行う。一方、エンジンEの回転が完全に停止している場合、始動制御部23は、始めから前述した第2の状態でモータMを駆動してエンジンEを始動させる第2始動制御を行う。
すなわち、始動制御部23は、前述のスタータ駆動制御によってモータMを駆動した状態で、前述の連結制御を行う第1始動制御と、前述の連結制御を行った後に前述のスタータ駆動制御を行う第2始動制御とを行うことが可能なエンジン始動制御手段として機能する。
電圧検出部24は、エンジンEの始動時におけるバッテリBの電圧を検出し、検出した電圧に基づいてバッテリBの状態(バッテリ状態)を検出するバッテリ状態検出手段として機能する。そして、電圧検出部24は、検出したバッテリBの最低電圧をバッテリ状態として自動停止禁止部25へ出力する。
かかる電圧検出部24は、始動制御部23がスタータSTに対して第1始動制御を行う場合と、第2始動制御を行う場合とで、バッテリ状態の検出の行い方を異ならせる。例えば、電圧検出部24は、第1始動制御が行われた場合と、第2始動制御が行われた場合とで、モータMの駆動期間中におけるバッテリBの電圧検出開始タイミングを切り替えることにより、電圧を検出する期間を異ならせる。
ここで、図3および図4を用い、電圧検出部24による電圧検出開始タイミングについて説明する。図3は、第1の実施形態に係る始動制御部23が第1始動制御を行う場合の電圧検出開始タイミングを示すタイミングチャートであり、図4は、第1の実施形態に係る始動制御部23が第2始動制御を行う場合の電圧検出開始タイミングを示すタイミングチャートである。
なお、図3および図4には、下から順に、時間軸、バッテリBの電圧の推移、エンジンEの回転数の推移、プランジャ44の状態の推移、モータMの駆動状態の推移、電圧検出部24による電圧検出状態の推移を示している。
図3に示すように、例えば、時刻T1にエンジンEが停止され、その後、時刻T2でエンジンEの回転が停止する前に始動条件が成立した場合、始動制御部23は、時刻T2のタイミングで第1始動制御を開始する。
具体的には、始動制御部23は、時刻T2のタイミングでモータMをON状態にして駆動を開始させる。このとき、ピニオンギア41は、プランジャ44がOFF状態であるため空転する。また、バッテリBは、モータMへピニオンギア41を空転させるための電力を供給するので電圧が低下する。
その後、時刻T3でピニオンギア41の回転とエンジンEの回転とが同期すると、始動制御部23は、時刻T3のタイミングでプランジャ44の状態をON状態へ切り替える。これにより、モータMのピニオンギア41とエンジンEのリングギア51とが噛み合い、モータMに掛かる負荷が増大する。これにより、モータMの消費電力が増大するので、バッテリBの電圧は、時刻T2のときよりも大きく低下する。
その後、時刻T4でエンジンEの始動が完了すると、始動制御部23は、時刻T4のタイミングでモータMをOFF状態とし、プランジャ44をOFF状態へ切り替えて第1始動制御を終了する。これにより、バッテリBでは、電圧が定常状態へ復帰する。
このように、回転が停止していないエンジンEを始動させる場合、モータMの駆動を開始した時刻T2のときよりも、プランジャ44をON状態へ切り替えた時刻T3のときの方がバッテリBの電圧が大きく低下する。つまり、第1の状態でモータMを駆動する場合よりも、第2の状態でモータMを駆動する場合の方がバッテリBの電圧低下量が大きい。
しかも、ピニオンギア41によってリングギア51を回転させている期間に、バッテリBの電圧がエンジンEを始動可能な電圧を下回った場合、エンジンEを始動させることができない。つまり、第2の状態でモータMを駆動している期間のバッテリBの電圧は、第1の状態でモータMを駆動している期間のバッテリBの電圧よりもエンジンEを始動可能か否かに大きく影響する。
そこで、電圧検出部24は、第1始動制御が行われる場合、第1の状態でモータMが駆動されている期間には、バッテリBの電圧検出を行なわず、第2の状態でモータMの駆動が開始される時刻T3のタイミングでバッテリBの電圧検出を開始する。そして、電圧検出部24は、時刻T4にエンジンEの始動が完了したタイミングで電圧検出を終了する。
このように、電圧検出部24は、第1始動制御が行われる場合、モータMの駆動開始タイミングではなく、モータMの状態が第1の状態から第2の状態へ切り替えられたタイミングでバッテリBの電圧検出を開始し、エンジンEの始動完了後に電圧検出を終了する。
これにより、電圧検出部24は、不必要に長時間にわたってバッテリBの電圧を検出することがないので、検出した電圧から最低電圧を判別する処理の高速化を図ることができる。
一方、図4に示すように、例えば、時刻T1にエンジンEが停止され、その後、時刻T2でエンジンEの回転が停止した状態で始動条件が成立した場合、始動制御部23は、時刻T2のタイミングで第2始動制御を開始する。
具体的には、始動制御部23は、時刻T2のタイミングでプランジャ44をON状態へ切り替える。このとき、バッテリBは、プランジャ44を駆動させる電力をスタータSTへ供給するので電圧が一時的に低下する。
その後、始動制御部23は、時刻T3でスタータSTのピニオンギア41がエンジンEのリングギア51と噛み合うと、モータMをON状態にして駆動を開始する。つまり、始動制御部23は、時刻T3に第2の状態でモータMの駆動を開始する。これにより、モータMの消費電力が増大するので、バッテリBの電圧は、時刻T2のときよりも大きく低下する。
その後、時刻T4でエンジンEの始動が完了すると、始動制御部23は、時刻T4のタイミングでモータMをOFF状態にし、プランジャ44の状態をOFF状態へ切り替えて第2始動制御を終了する。これにより、バッテリBでは、電圧が定常状態へ復帰する。
このように、回転が停止したエンジンEを始動させる場合、プランジャ44の状態をON状態へ切り替えた時刻T2のときよりも、モータMの駆動を開始した時刻T3のときの方がバッテリBの電圧が大きく低下する。つまり、第2の状態でモータMを駆動する場合に、バッテリBの電圧が最も低下する。
しかも、ピニオンギア41によってリングギア51を回転させている期間に、バッテリBの電圧がエンジンEを始動可能な電圧を下回った場合、エンジンEを始動させることができない。つまり、第2の状態でモータMを駆動している期間におけるバッテリBの電圧は、エンジンEを始動可能か否かに大きく影響する。
そこで、電圧検出部24は、第2始動制御が行われる場合、プランジャ44をON状態へ切り替える期間には、バッテリBの電圧検出を行なわず、第2の状態でモータMの駆動が開始される時刻T3のタイミングでバッテリBの電圧検出を開始する。そして、電圧検出部24は、時刻T4にエンジンEの始動が完了したタイミングで電圧検出を終了する。
これにより、電圧検出部24は、第2始動制御が行われる場合、エンジンEを始動可能か否かに大きく影響する第2の状態でモータMが駆動されている期間にバッテリBの最低電圧を検出することができる。
このように、電圧検出部24は、第2始動制御が行われる場合、モータMの駆動が開始されたタイミングでバッテリBの電圧検出を開始する。一方、第1始動制御が行われる場合、電圧検出部24は、モータMの駆動が開始されたタイミングではなく、モータMの駆動開始後、プランジャ44の状態がON状態へ切り替えられたタイミングでバッテリBの電圧検出を開始する。
すなわち、電圧検出部24は、始動制御部23が第1始動制御を行う場合と、第2始動制御を行う場合とで、モータMの駆動期間におけるバッテリBの電圧検出タイミングを切り替えてバッテリBの電圧を検出する。
これにより、電圧検出部24は、エンジンEの始動時に変更されるスタータSTの動作状態に応じて、次回エンジンEを始動可能か否か、すなわち、次回、エンジンEの自動停止を許可すべきか否かの判定材料として好適な電圧を検出することができる。
図1へ戻り、制御部2の説明を続ける。制御部2の自動停止禁止部25は、電圧検出部24によって検出されたバッテリ状態に基づいて、エンジンEの自動停止を禁止する自動停止禁止手段として機能する処理部である。かかる自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力されるバッテリBの最低電圧と、記憶部3に記憶されている閾値情報33の閾値とに基づいて自動停止を禁止するか否かを判定する。
具体的には、自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力されるバッテリBの最低電圧が記憶部3に記憶されている閾値以上であった場合、次回のエンジンEの自動停止を許可することを示す自動停止許可情報32を記憶部3へ記憶させる。
一方、電圧検出部24から入力されるバッテリBの最低電圧が記憶部3に記憶されている閾値未満であった場合、自動停止禁止部25は、次回のエンジンEの自動停止を禁止することを示す自動停止許可情報32を記憶部3へ記憶させる。
なお、自動停止禁止部25が最低電圧と比較する閾値は、事前にシミュレーションを行うことによって最適な値を決定する。例えば、閾値の値をそれぞれ変更しながら自動停止禁止部25によって自動停止の禁止判定を行い、自動停止が許可された場合に、エンジンEを自動停止させた後、エンジンEを再始動させるシミュレーションを事前に繰り返し行う。かかるシミュレーションの結果、エンジンEの始動に成功したときに設定されている閾値のうち、最も低い値を閾値として決定する。
このように、制御部2では、電圧検出部24がエンジンEの始動時に変更されるスタータSTの動作状態に応じて、エンジンEの自動停止を許可すべきか否かの判定材料として好適な最低電圧を検出し、自動停止禁止部25へ出力する。
そして、自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力される最低電圧に基づいて、次回のエンジンEの自動停止を禁止するか否かを判定する。これにより、エンジン制御装置1によれば、エンジンEの自動停止に関する禁止判定を適切に行うことができる。
なお、本実施形態では、電圧検出部24がエンジンEの始動時におけるバッテリBの電圧をバッテリ状態として検出するが、エンジンEの始動時におけるバッテリBの充電状態や劣化状態をバッテリ状態として検出するように電圧検出部24を構成してもよい。
かかる構成とする場合、バッテリBの電圧とバッテリBの充電状態または劣化状態を示す所定の値とを対応付けた情報と、バッテリBの充電状態または劣化状態に関する所定の閾値とを予め記憶部3へ記憶させておく。
そして、電圧検出部24は、エンジンEの始動時におけるバッテリBの電圧を検出し、かかる電圧に対応付けられた充電状態または劣化状態を示す値をバッテリ状態として自動停止禁止部25へ出力する。
一方、自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力される充電状態または劣化状態を示す値と所定の閾値とを比較して、バッテリBの充電状態が不十分と判定した場合、または、バッテリBが劣化していると判定した場合に、次回のエンジンEの自動停止を禁止する。
なお、第1始動制御が行われる場合と第2始動制御が行われる場合とで、電圧検出部24がバッテリ状態の検出の行い方を異ならせる手法として、例えば、バッテリBの電圧検出期間を異ならせる手法や、バッテリ状態の算出方法を異ならせる手法を用いてもよい。
次に、図5および図6を用いて、エンジン制御装置1の制御部2が実行する処理について説明する。図5および図6は、第1の実施形態に係る制御部2が実行する処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部2は、車両の走行中に停止条件が成立したか否かを判定し(ステップS101)、停止条件が成立していないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了する。
一方、制御部2は、停止条件が成立したと判定した場合(ステップS101,Yes)、自動停止が許可されているか否かを判定する(ステップS102)。そして、制御部2は、自動停止が許可されていないと判定した場合(ステップS102,No)、処理を終了する。
一方、制御部2は、自動停止が許可されていると判定した場合(ステップS102,Yes)、エンジンEを自動停止させ(ステップS103)、エンジンEの始動条件が成立したか否かを判定する(ステップS104)。
そして、制御部2は、始動条件が成立していないと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS104へ移し、始動条件が成立したと判定した場合(ステップS104,Yes)、エンジンEを自動始動し(ステップS105)、処理を終了する。
また、制御部2は、ステップS105においてエンジンEを自動始動する場合、図6に示す処理を実行する。すなわち、制御部2は、エンジンEの自動始動を開始する場合、図6に示すように、まず、第1始動制御が選択されているか否かを判定する(ステップS201)。
ここで、制御部2は、エンジンEの回転が完全には停止していない場合に、第1始動制御が選択されていると判定し、エンジンEの回転が完全に停止している場合に、第1始動制御が選択されていないと判定する。
そして、制御部2は、第1始動制御が選択されていると判定した場合(ステップS201,Yes)、第1の状態でモータMを駆動させる(ステップS202)。つまり、制御部2は、ピニオンギア41をリングギア51と噛み合わせない状態で空転させる。
その後、制御部2は、ピニオンギア41の回転とエンジンEの回転とが同期したタイミングでモータMを第2の状態で駆動させると共に、バッテリBの最低電圧の検出を開始する(ステップS203)。
つまり、制御部2は、ピニオンギア41をリングギア51と噛み合う位置まで移動させてモータMの回転によりエンジンEを始動させる。なお、制御部2は、エンジンEの始動が完了した場合に最低電圧の検出を終了する。
続いて、制御部2は、ステップS203で検出した最低電圧が記憶部3に記憶されている閾値以上か否かを判定する(ステップS204)。そして、制御部2は、最低電圧が閾値以上であると判定した場合(ステップS204,Yes)、エンジンEの次回の自動停止を許可し(ステップS205)、処理を終了する。
一方、最低電圧が閾値未満であると判定した場合(ステップS204,No)、制御部2は、エンジンEの次回の自動停止を禁止し(ステップS206)、処理を終了する。
また、制御部2は、ステップS201において第1始動制御が選択されていないと判定した場合(ステップS201,No)、第2始動制御を開始して第2の状態でモータMを駆動させると共に、バッテリBの最低電圧の検出を開始する(ステップS207)。
つまり、制御部2は、ピニオンギア41を空転させずにリングギア51へ噛み合わせた後に、モータMの駆動を開始してエンジンEを始動させる。なお、制御部2は、エンジンEの始動が完了した場合に最低電圧の検出を終了する。
続いて、制御部2は、ステップS207で検出した最低電圧が記憶部3に記憶されている閾値以上か否かを判定する(ステップS208)。そして、制御部2は、最低電圧が閾値以上であると判定した場合(ステップS208,Yes)、エンジンEの次回の自動停止を許可し(ステップS209)、処理を終了する。
一方、最低電圧が閾値未満であると判定した場合(ステップS208,No)、制御部2は、エンジンEの次回の自動停止を禁止し(ステップS210)、処理を終了する。
ところで、電圧検出部24は、モータMが第2の状態で駆動されている期間をさらに複数の分割期間へ分割し、各分割期間におけるバッテリBの最低電圧を検出するように構成することもできる。
かかる場合、各分割期間で検出された電圧と比較する閾値を分割期間毎に予め記憶部3へ記憶させておく。なお、各閾値は、事前にシミュレーションを行うことによって分割期間毎に最適な値を決定する。
例えば、各分割期間に対応付ける閾値の値をそれぞれ変更しながら自動停止禁止部25によって自動停止の禁止判定を行い、自動停止が許可された場合に、エンジンEを自動停止させた後、エンジンEを再始動させるシミュレーションを事前に繰り返し行う。かかるシミュレーションの結果、エンジンEの始動に成功したときに設定されている各分割期間の閾値のうち、最も値の低い閾値を各分割期間の閾値として決定する。
そして、自動停止禁止部25は、各分割期間で検出されたバッテリBの最低電圧と、各分割期間に対応する閾値とを比較して自動停止の禁止判定を行う。
例えば、電圧検出部24は、第2の状態でモータMの駆動が開始された時刻(図3、図4に示す時刻T3)から所定時間が経過するまでの期間(以下、「突入期間」と記載する)におけるバッテリBの最低電圧(以下、「突入時最低電圧」と記載する)を検出する。ここでの所定時間は、例えば100msとする。
続いて、電圧検出部24は、突入期間が終了してからエンジンEの始動が完了する時刻(図3、図4に示す時刻T4)までの期間(以下、「突入後期間」と記載する)におけるバッテリBの最低電圧(以下、「突入後最低電圧」と記載する)を検出する。
そして、電圧検出部24は、突入時最低電圧および突入後最低電圧を自動停止禁止部25へ出力する。自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力される突入時最低電圧が突入期間に対応付けられた閾値以上か否かを判定する。さらに、自動停止禁止部25は、電圧検出部24から入力される突入後最低電圧が突入後期間に対応付けられた閾値以上か否かを判定する。
そして、自動停止禁止部25は、突入時最低電圧および突入後最低電圧がいずれも検出された分割期間に対応付けられた閾値以上であった場合に、次回のエンジンEの自動停止を許可する。一方、突入時最低電圧および突入後最低電圧のいずれか一方でも検出された分割期間に対応付けられた閾値未満であった場合、自動停止禁止部25は、次回のエンジンEの自動停止を禁止する。
したがって、自動停止禁止部25は、例えば、突入時最低電圧が閾値以上であり、突入後電圧が閾値未満であった場合、次回のエンジンEの自動停止を禁止する。これにより、エンジン制御装置1では、例えば、バッテリBがリングギア51を回転させることはできるものの、回転速度をエンジンEの始動が可能な速度まで上昇させることができない状態のときに、次回の自動停止が許可されることを防止することができる。
なお、上記した実施形態では、エンジンEを始動中のバッテリBの最低電圧と閾値とを比較してエンジンEの自動停止に関する禁止判定を行う場合について説明したが、自動停止に関する禁止判定の手法は、これに限定するものではない。
例えば、始動途中のエンジンEの回転数毎にバッテリBの電圧がエンジンEを始動するのに十分であるか否かを判定するようにエンジン制御装置1を構成してもよい。かかる構成によれば、自動停止に関する禁止判定をより正確、且つ細やかに判定することができる。
ただし、スタータSTによってエンジンEを始動する場合、バッテリBの電圧の低下量は、始動中のエンジンEの回転数によって変動する。したがって、始動途中のエンジンEの回転数毎にバッテリBの電圧がエンジンEを始動するのに十分であるか否かを判定するためには、エンジンEの回転数毎に電圧と比較する最適な閾値を記憶しておくことが望ましい。
しかし、エンジンEの回転数毎に電圧と比較する最適な閾値を全て記憶させようとすると、その分、記憶容量の増大が必要となるため、回路規模や製造コストの増大につながり好ましくない。
そこで、始動途中のエンジンEの回転数毎にバッテリBの電圧がエンジンEを始動するのに十分であるか否かを判定するようにエンジン制御装置1を構成する場合、エンジンEの回転数に応じて補正したバッテリBの電圧に基づいて自動停止の禁止判定を行う。
以下、図7を用いて自動停止禁止部25がバッテリBから検出された電圧を、始動するエンジンEの回転数に応じて補正し、補正後の電圧に基づいてエンジンEの自動停止の禁止判定を行う場合について説明する。
図7は、第1の実施形態に係るエンジンEの回転数と電圧の補正係数との対応関係を示す図である。補正した電圧に基づいて自動停止の許可および禁止を行う場合、エンジン制御装置1は、例えば、図7(A−1)に示す電圧補正用のテーブルを記憶部3へ記憶させておく。
なお、図7(A−1)に示す電圧補正用のテーブルは、回転が完全に停止しているエンジンEを始動する場合に用いるテーブルである。図7(A−1)に示すように、電圧補正用テーブルでは、スタータSTとエンジンEとが連動連結されている期間におけるエンジンEの回転数(rpm)と、検出されたバッテリBの電圧へ乗ずる補正係数とが対応付けられている。
かかる電圧補正用テーブルを設定する場合、図7(A−1)に示すように、エンジンEの回転数が0(rpm)に対して補正係数1を対応付け、エンジンEの回転数が高くなるほど補正係数の値が小さくなるように設定する。これは、エンジンEの回転数が高くなるほどバッテリBの電圧落ち込みが小さくなる傾向にある点を考慮してのことである。
そして、自動停止禁止部25は、スタータSTによってエンジンEを始動させる場合に、電圧補正用テーブルに基づき、電圧検出部24によって検出された電圧に対してエンジンEの回転数に応じた補正係数を乗じて補正した電圧を算出する。
続いて、自動停止禁止部25は、補正した電圧と予め設定された1種類の閾値とを比較し、補正した電圧が閾値以上であった場合に、エンジンEの自動停止を許可する。このように、電圧補正用テーブルを用いれば、電圧と比較する閾値を予め複数種類記憶しておかなくとも、エンジンEの回転数に応じた自動停止の許可および禁止を適切に判定することができる。
また、エンジン制御装置1は、図7(A−1)に示す電圧補正用テーブルに替えて、図7(A―2)に示すように、エンジンEの回転数と電圧の補正係数との対応関係を示す関数情報を記憶することもできる。
なお、図7(A−2)に示す■は、図7(A−1)に示す電圧補正用テーブルに記載の各回転数に対応する補正係数の値を示している。かかる関数情報を記憶しておけば、エンジン制御装置1は、関数情報を用いて任意の回転数に対応する補正係数を算出できるため、エンジンEの回転数毎にそれぞれ補正係数を記憶しておく必要がない。
また、エンジン制御装置1は、回転が完全には停止していないエンジンEを始動する場合に用いるテーブルとして、図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルを記憶することもできる。
なお、図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルについても、エンジンEの回転数が高いほど補正係数の値が小さくなるように設定する。ただし、かかる電圧補正用テーブルを設定する場合、図7(A−1)に示す電圧補正用テーブルよりも同一回転数における補正係数の値を小さく設定する。
例えば、図7(A−1)に示すように、回転が停止しているエンジンEの始動に用いる電圧補正用テーブルで回転数が200の場合の補正係数を0.97と設定した場合、図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルでは、回転数が200の場合の補正係数として0.97よりも小さい0.92を設定する。
これは、エンジンEの回転数を0から200(rpm)まで上昇させた場合における電圧の低下量よりも、回転中のエンジンEの回転数を200(rpm)まで上昇させた場合における電圧の低下量の方が小さいと予測できるためである。
かかる図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルを用いることにより、自動停止禁止部25は、電圧と比較する閾値を予め複数種類設定しておかなくとも、スタータSTによってエンジンEを始動中に、自動停止の許可および禁止を適切に行うことができる。
また、エンジン制御装置1は、図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルに替えて、図7(B−2)に示す関数情報を記憶しておくこともできる。なお、図7(B−2)に示す□は、図7(B−1)に示す電圧補正用テーブルに記載の各回転数に対応する補正係数の値を示している。
かかる関数情報を記憶しておけば、エンジン制御装置1は、スタータSTによってエンジンEを始動中に、任意の回転数に対応する補正係数を算出することができる。したがって、エンジン制御装置1は、スタータSTによってエンジンEを始動中の期間についてもエンジンEの自動停止の許可および禁止を適切に行うことができる。
なお、ここでは、電圧検出部24によって検出された電圧を始動中のエンジンEの回転数が高いほど低くなるように補正する場合について説明したが、一種類の閾値を記憶しておき、電圧を補正せずにエンジンEの回転数に応じて閾値の方を補正してもよい。
かかる場合、始動中のエンジンEの回転数が高くなるほど、閾値の値が高くなるように閾値を補正する。これによっても、エンジン制御装置1は、始動するエンジンEの回転数毎に複数種類の閾値を記憶しておかなくて済み、しかも、電圧を補正する場合と同様に、自動停止の許可および禁止を適切に行うことができる。
上述したように、実施形態に係るエンジン制御装置1は、所定の停止条件が成立した場合にエンジンEを自動停止させ、所定の始動条件が成立した場合にエンジンEを自動始動させる装置である。
そして、エンジン制御装置1は、バッテリBの電力により駆動してエンジンEを始動させるモータMを第1の状態で駆動した後に、当該第1の状態よりも消費電力が大きい第2の状態に切り替えて駆動することでエンジンEを始動させる第1始動制御と、モータMの駆動を第2の状態から開始させてエンジンEを始動させる第2始動制御とをエンジンEの状態に応じて切り替えるエンジン始動制御手段(始動制御部23)を備える。
さらに、エンジン制御装置1は、エンジン始動制御手段によって第1始動制御が行われる場合と、第2始動制御が行われる場合とで、モータMの駆動期間におけるバッテリBの電圧検出開始タイミングを切り替えてバッテリBの電圧を検出する電圧モニタ手段(電圧検出部24)と、電圧モニタ手段によって検出された電圧に基づいて、エンジンEの自動停止を禁止する自動停止禁止手段(自動停止禁止部25)とを備える。
これにより、エンジン制御装置1は、始動するエンジンEの状態によって変更されるスタータSTの動作状態に応じた適切なタイミングでバッテリBの電圧を検出し、検出した電圧に基づいてエンジンEの自動停止に関する禁止判定を行うことができる。したがって、エンジン制御装置1によれば、エンジンEの自動停止に関する禁止判定を適切に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るエンジン制御装置について説明する。なお、以下では、第2の実施形態に係るエンジン制御手法の概要について図8を用いて説明した後に、第2の実施形態に係るエンジン制御手法を適用したエンジン制御装置について説明することとする。図8は、第2の実施形態に係るエンジン制御手法の概要を示す図である。
第2の実施形態に係るエンジン制御手法(以下、「本制御手法」という)は、所定の停止条件が成立した場合にエンジンを自動停止させ、所定の始動条件が成立した場合にエンジンを自動始動させるものである。
例えば、本制御手法では、運転者による停車操作が行われ、車両が停車した場合にエンジンを自動停止させ、運転者による発車操作が行われた場合にエンジンを自動始動させる所謂アイドリングストップを行う。なお、ここでのエンジンの停止条件および始動条件は、第1の実施形態と同様の条件とする。
そして、本制御手法では、エンジンを始動する際にバッテリの負荷となるエンジン始動装置(以下、「エンジン始動負荷」という)の状態によって変化するバッテリの電圧(以下、「電源電圧」という)に基づいて、次回、車両が停車した場合に、エンジンの自動停止を禁止するか否かを判定する。
具体的には、本制御手法では、エンジン始動負荷を第1の負荷状態で駆動している第1の期間の電源電圧(以下、「第1電圧」という)を検出する(図8の(1)参照)。続いて、本制御手法では、第1の期間で検出した第1電圧と所定の閾値とを比較する(図8の(2)参照)。
その後、本制御手法では、エンジン始動負荷の消費電力が第1の負荷状態とは異なる第2の負荷状態へエンジン始動負荷の駆動制御を切り替えると、エンジン始動負荷を第2の負荷状態で駆動している第2の期間の電源電圧(以下、「第2電圧」という)を検出する(図8の(3)参照)。
続いて、本制御手法では、第2の期間に検出した第2電圧と所定の閾値とを比較する(図8の(4)参照)。このとき、第1電圧と比較する所定の閾値と、第2電圧と比較する所定の閾値とは、それぞれ異なる値に設定している。
かかる所定の閾値を設定する場合、例えば、予めエンジンの自動始動の試験を繰り返し行い、自動始動に成功する毎に、前回の自動始動時に検出された第1電圧および第2電圧を記録しておき、記録した第1電圧および第2電圧の最低電圧を取得する。
こうして取得された第1電圧の最低値を第1電圧と比較する所定の閾値として設定し、取得された第2電圧の最低値を第2電圧と比較する所定の閾値として設定する。
そして、本制御手法では、第1電圧が第1電圧用の所定の閾値以上であり且つ第2電圧が第2電圧用の所定の閾値以上の場合(図8の(5)参照)、次回のエンジンの自動停止を許可する(図8の(6)参照)。
一方、本制御手法では、第1電圧および第2電圧のうち、いずれか一方でも対応する所定の閾値未満であった場合には、次回のエンジンの自動停止を禁止する。
上述したように、本制御手法では、エンジン始動負荷を第1の負荷状態で駆動している期間に検出した電圧と、第2の負荷状態で駆動している期間に検出した電圧とを、それぞれ異なる閾値と比較した結果に基づいて、エンジンの自動停止を禁止する。
このため、本制御手法によれば、エンジンの始動期間中にスタータ等のエンジン始動負荷の駆動状態を切り替えるような始動制御を行う場合であっても、エンジンの自動停止に関する禁止判定を適切に行うことができる。
これにより、本制御手法では、バッテリの状態がエンジンを再始動可能な状態にもかかわらずエンジンの自動停止を禁止してしまい、車両が無駄に燃料を消費してしまうことを抑制することができる。
また、本制御手法では、バッテリの状態がエンジンを再始動不可能な状態にもかかわらずエンジンの自動停止を許可してしまい、車両が再始動不能な故障状態になることを抑制することができる。
また、上記したエンジン始動負荷がエンジンを始動するモータを備えたスタータの場合、本制御手法では、スタータ駆動時のバッテリの電圧に基づいてバッテリの状態を判定する。
かかる場合、スタータ駆動開始直後に電圧が一番落ち込むので、基本的にこのスタータ駆動開始直後の電圧(最低電圧)に基づいてバッテリの状態を判定すると良い。ただし、同じバッテリ状態であっても、例えば、スタータ駆動開始時のエンジンのクランク角位置による駆動負荷の変化によっても、バッテリの落ち込み状態に変化が生じる。
このため、本制御手法では、スタータが駆動状態にあるときの、スタータ駆動開始直後の所定時間における電圧と、この所定時間経過後の電圧とをそれぞれ検出し、それぞれの電圧を予め設定された電圧と比較することで、バッテリ状態の判定精度を向上させることもできる。
次に、図8を用いて説明した本制御手法を適用した第2の実施形態に係るエンジン制御装置について説明する。本実施形態に係るエンジン制御装置は、所定の停止条件が成立した場合にエンジンを自動停止させ、所定の始動条件が成立した場合にエンジンを自動始動させる装置である。
特に、本実施形態に係るエンジン制御装置は、上記背景技術で説明した特許文献1〜3に記載の装置のように、エンジンを自動始動する期間内にスタータの動作状態を変更するエンジン始動装置に対してエンジンの自動停止に関する許可および禁止を行う。
また、本実施形態に係るエンジン制御装置は、単独で上記特許文献1〜3に記載の装置と同様なエンジンの自動停止および自動始動を行い、さらに、自装置で行うエンジンの自動停止に関する許可および禁止を行うように構成してもよい。
ここで、本実施形態に係るエンジン制御装置の説明に先立って、図9および図10を用いて特許文献1〜3に記載の装置の構成について説明する。図9は、特許文献1に記載の装置の構成概要を示す図であり、図10は、特許文献3に記載の装置の構成概要を示す図である。
なお、特許文献2に記載の装置の構成は、特許文献3に記載の装置に類似するものである。このため、特許文献2に記載の装置については、特許文献3に記載の装置を説明した後に、図10を用いて説明する。
図9に示すように、特許文献1に記載の装置100は、エンジンを始動するスタータのモータ102へ電力を供給するバッテリ101とモータ102との間に、2つのスイッチ103、104が直列に接続されている。
これら2つのスイッチ103、104のうち、バッテリ101側に設けられているスイッチ103は、イグニッションキーによってON/OFFが切り替えられるスイッチ(以下、「キースイッチ103」という)である。
一方、モータ102側に設けられているスイッチ104は、ECU(Engine Control Unit)によってON/OFFが切り替えられるスイッチ(以下、「状態切替スイッチ104」という)である。また、特許文献1に記載の装置100は、バッテリ101からモータ102へ供給する電力を低減する抵抗106を備えている。
そして、特許文献1に記載の装置100は、キースイッチ103がONされると、まず、モータ102を第1の状態で駆動した後、第1の状態とは消費電力が異なる第2の状態に駆動制御を切り替えてモータ102を駆動させ、エンジンの始動を行う。
具体的には、特許文献1に記載の装置100では、キースイッチ103がONされた後、ECU105が状態切替スイッチ104を制御してバッテリ101と抵抗106とを接続させることで、抵抗106を経由してバッテリ101からモータ102へ電力が供給される。
これにより、モータ102は、状態切替スイッチ104がONされているときよりも低い回転速度で回転してエンジンを助走させる。続いて、特許文献1に記載の装置100では、ECU105が状態切替スイッチ104を制御してバッテリ101とモータ102とを直接接続させることで、抵抗106を経由させずにバッテリ101からモータ102へ電力が供給される。
これにより、モータ102は、エンジンを助走させているときよりも高い回転速度で回転してエンジンを始動させる。このように、特許文献1に記載の装置100は、エンジンを始動させる期間に、スタータ(ここでは、モータ102)の駆動状態を切り替えるように構成されている。
なお、特許文献1に記載の装置100では、エンジンを自動始動する場合、所定の始動条件が成立すると、ECU105が自動的に状態切替スイッチ104を制御してバッテリ101と抵抗106とを接続し、その後、バッテリ101とモータ102とを直接接続させてエンジンの自動始動を行う。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、エンジンを自動始動する装置が特許文献1に記載の装置の場合、モータ102がバッテリ101から抵抗106を経由して供給される電力によって駆動されている第1の期間のバッテリ101の電圧を検出する。
続いて、本実施形態に係るエンジン制御装置は、モータ102がバッテリ101から抵抗106を経由せずに供給される電力によって駆動されている第2の期間のバッテリ101の電圧を検出する。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、第1の期間に検出した電圧と第2の期間に検出した電圧とを、それぞれ異なる閾値と比較した比較結果に基づいて、エンジンの自動停止に関する許可および禁止を判定する。
次に、図10を用いて特許文献3に記載の装置について説明する。図10に示すように、特許文献3に記載の装置200は、スタータ201の動作を制御することによってエンジン220を始動させる装置である。
スタータ201は、エンジン220を始動するモータ202と、モータ202によって駆動されるピニオンギア203をエンジン220のクランクシャフトに連動するリングギア221へ噛み合わせるソレノイドスイッチ210とを備えている。
ソレノイドスイッチ210は、ソレノイド211と、ソレノイド211へ通電することによって動作する可動部材212とを備えている。可動部材212は、連動部材213を介してピニオンギア203の回転軸と連結されている。
かかるスタータ201では、ソレノイド211へ通電されていない場合、ピニオンギア203がリングギア221と噛み合わない位置に保持され、ソレノイド211へ通電された場合に、ピニオンギア203がリングギア221と噛み合う位置まで移動する。
かかるスタータ201の動作を制御する特許文献3に記載の装置200は、ソレノイド211への通電のON/OFFを切り替える第1スイッチ231と、モータ202への通電のON/OFFを切り替える第2スイッチ232とを備えている。
また、特許文献3に記載の装置200は、イグニッションキーの操作によって第1スイッチ231および第2スイッチ232のON/OFFを切り替えるキースイッチ233を備えている。
また、特許文献3に記載の装置200は、キースイッチ233がONされた場合に、第1スイッチ231がONされた後、所定時間経過後に第2スイッチ232をONさせる遅延回路234、キースイッチ233に代わって第1スイッチ231および第2スイッチ232を順次ONさせるECU235を備えている。
そして、かかる装置200は、エンジン220が完全に停止する前に所定の始動条件が成立すると、まず、スタータ201を第1の状態で駆動した後、第1の状態とは消費電力が異なる第2の状態に駆動制御を切り替えてモータ202を駆動させ、エンジン220の始動を行う。
具体的には、特許文献3に記載の装置200では、所定の始動条件が成立した場合、エンジン220の回転数がピニオンギア203をリングギア221へ噛み合わせることが可能な回転数まで低下すると、ECU235が第1スイッチ231をONする。
これにより、ソレノイドスイッチ210が駆動され、ピニオンギア203がリングギア221と噛み合う位置まで移動してスタータ201が第1の状態となる。続いて、特許文献3に記載の装置200では、所定時間経過後にECU235が第2スイッチ232をONする。これにより、モータ202が駆動されてスタータ201が第2の状態となり、エンジン220が始動される。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、エンジン220を自動始動する装置が特許文献3に記載の装置の場合、スタータ201が第1の状態で駆動されている第1の期間のバッテリ230の電圧を検出する。続いて、本実施形態に係るエンジン制御装置は、スタータ201が第2の状態で駆動されている第2の期間のバッテリ230の電圧を検出する。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、第1の期間に検出した電圧と第2の期間に検出した電圧とを、それぞれ異なる閾値と比較した比較結果に基づいて、エンジン220の自動停止に関する許可および禁止を判定する。
次に、特許文献2に記載の装置について説明する。特許文献2に記載の装置は、遅延回路234を備えていない点と、ECU235による第1スイッチ231および第2スイッチ232の制御手順が異なる点とを除けば、特許文献3に記載の装置200と同様の構成である。
そして、特許文献2に記載の装置は、エンジン220が完全に停止する前に所定の始動条件が成立すると、まず、スタータ201を第1の状態で駆動した後、第1の状態とは消費電力が異なる第2の状態に駆動制御を切り替えてモータ202を駆動させ、エンジン220の始動を行う。
具体的には、特許文献2に記載の装置は、所定の始動条件が成立した場合、まず、ECU235が第2スイッチ232をONする。これにより、ピニオンギア203が空転を開始し、スタータ201が第1の状態となる。
続いて、特許文献2に記載の装置では、ECU235がピニオンギア203の回転とエンジン220の回転とが同期したと判定した場合に、第1スイッチ231をONする。これにより、ソレノイドスイッチ210が駆動され、ピニオンギア203がリングギア221と噛み合う位置まで移動してスタータ201が第2の状態となり、エンジン220が始動される。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、エンジン220を自動始動する装置が特許文献2に記載の装置の場合、スタータ201が第1の状態で駆動されている第1の期間のバッテリ230の電圧を検出する。続いて、本実施形態に係るエンジン制御装置は、スタータ201が第2の状態で駆動されている第2の期間のバッテリ230の電圧を検出する。
そして、本実施形態に係るエンジン制御装置は、第1の期間に検出した電圧と第2の期間に検出した電圧とを、それぞれ異なる閾値と比較した比較結果に基づいて、エンジン220の自動停止に関する許可および禁止を判定する。
次に、図11を用いて、本実施形態に係るエンジン制御装置の構成について説明する。図11は、第2の実施形態に係るエンジン制御装置1aの構成を示すブロック図である。なお、以下では、前述した特許文献1〜3に記載の装置を、エンジンの自動停止および自動始動を行うエンジン始動装置として説明する。
図11に示すエンジン制御装置1aは、所定の停止条件が成立した場合に、エンジン始動装置にエンジンの自動停止を行わせ、その後、所定の始動条件が成立した場合に、エンジン始動装置にエンジンの自動始動を行わせる装置である。
図11に示すように、エンジン制御装置1aは、センサSEa、エンジンEa、エンジン始動負荷(以下、「スタータSTa」という)、バッテリBaと接続されている。なお、スタータSTaは、エンジン始動装置が特許文献1に記載の装置の場合、図9に示すモータ102に相当し、エンジン始動装置が特許文献2または3に記載の装置の場合、図10に示すスタータ201に相当する。
図11では、説明を簡単にするため、スタータSTaとエンジン制御装置1aとが直接接続されているように図示しているが、実際には、スタータSTaとエンジン制御装置1aとはエンジン始動装置のECU105、235を介して接続される。
すなわち、エンジン制御装置1aは、エンジン始動装置のECU105、235へエンジンEaを始動させる制御信号を出力することにより、ECU105、235にスタータSTaの動作を制御させ、エンジンEaを始動させる。
センサSEaは、車両の状態を検知する複数の検知装置を含むものである。具体的には、センサSEaは、エンジンEaの回転数、車両の速度、車両の加速度、シフトレバーのポジション、アクセルの操作状態、ブレーキの操作状態等をそれぞれ検知し、各検知結果をエンジン制御装置1aへ出力する。
また、エンジンEaは、車両を駆動する内燃機関であり、バッテリBaは、スタータSTaをはじめ、車両に搭載されている各種電子機器へ電力を供給する電源である。
また、エンジン制御装置1aは、エンジンEaの自動停止および自動始動を行う制御部2aと、エンジンEaの自動停止および自動始動に用いる始動/停止条件情報31a、自動停止許可情報32a、閾値情報33aを記憶した記憶部3aとを備えている。
始動/停止条件情報31aは、エンジンEaの停止条件および始動条件を示す情報である。具体的には、記憶部3aは、停止条件として、エンジンEaの回転数がアイドリング状態、車両の速度および加速度が0、アクセルがOFF、ブレーキがON、シフトポジションがニュートラルまたはパーキング等の条件を記憶している。
そして、制御部2aは、エンジンEaの自動停止が許可されている状態で、かかる停止条件の全てが成立した場合に、エンジンEaを自動停止させる。
また、記憶部3aは、始動条件として、ブレーキがONの状態でシフトポジションがニュートラルまたはパーキングからドライブへシフトしたこと等の条件を記憶している。そして、制御部2aは、エンジンEaを自動停止させた後に始動条件が成立した場合、エンジンEaを自動的に再始動させる。
自動停止許可情報32aは、エンジンEaの自動停止が許可されているか、若しくは、禁止されているかを示す情報である。かかる自動停止許可情報32aは、エンジンEaの停止条件が成立した場合に、制御部2aによって参照される。
閾値情報33aは、スタータSTaを駆動している期間のバッテリBaの電圧と比較する閾値を示す情報である。具体的には、記憶部3aは、閾値情報33aとして、回転が停止しているエンジンEaを始動する場合に用いられる閾値(以下、「閾値Th」という)と、回転が完全には停止していないエンジンEaを始動する場合に用いられる閾値とを記憶している。
特に、記憶部3aは、回転が停止していないエンジンEaを始動する場合に用いられる閾値として、上記第1の状態でスタータSTaを駆動している第1の期間に用いられる閾値(以下、「閾値Th1a」という)と、上記第2の状態でスタータSTaを駆動している第2の期間に用いられる閾値(以下、「Th2a」という)とを記憶している。
なお、記憶部3aは、スタータSTaを第1の状態で駆動開始後に経過した時間、スタータSTaを第2の状態で駆動開始後に経過した時間、自動始動する際のエンジンEaの回転数等に応じてそれぞれ異なる閾値を記憶しておくこともできる。
制御部2aは、エンジン制御装置1a全体の動作を統括制御するものであり、CPUとROMとRAMとを有する情報処理装置を備えている。そして、制御部2aは、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備えている。具体的には、制御部2aは、始動/停止判定部21aと、停止制御部22aと、始動制御部23aと、電圧検出部24aと、自動停止禁止部25aとを備えている。
始動/停止判定部21aは、センサSEaから入力される各検出結果と、記憶部3aに記憶されている始動/停止条件情報31aとに基づいて、エンジンEaの停止条件または始動条件が成立したか否かを判定する処理部である。
そして、始動/停止判定部21aは、エンジンEaの停止条件が成立したと判定した場合に、判定結果を停止制御部22aへ出力する。一方、始動/停止判定部21aは、エンジンEaの始動条件が成立したと判定した場合、判定結果を始動制御部23aへ出力する。
停止制御部22aは、エンジンEaを自動的に停止させる処理部である。かかる停止制御部22aは、始動/停止判定部21aから停止条件が成立したことを示す判定結果が入力されると、記憶部3aに記憶されている自動停止許可情報32aを参照し、自動停止が許可されている場合に、エンジンEaを自動停止させる。
始動制御部23aは、エンジンEaを自動的に始動させる処理部である。かかる始動制御部23aは、始動/停止判定部21aから始動条件が成立したことを示す判定結果が入力された場合に、エンジンEaを自動始動させる。
電圧検出部24aは、スタータSTaを駆動中の期間におけるバッテリBaの電圧を検出する電圧モニタ手段として機能し、検出結果を自動停止禁止部25aへ出力する処理部である。
自動停止禁止部25aは、エンジンEaの自動停止を禁止するか否かを判定する処理部である。かかる自動停止禁止部25aは、電圧検出部24aから入力されるバッテリBaの電圧、記憶部3aに記憶されている閾値Th1a、Th2aに基づいて自動停止を禁止するか否かを判定する。なお、自動停止禁止部25aの動作については、図13を用いて後述する。
次に、図12を用いて回転が完全には停止していないエンジンEaを始動する場合におけるバッテリBaの電圧変化について説明する。図12は、第2の実施形態に係る回転が完全には停止していないエンジンEaを始動する場合におけるバッテリBaの電圧変化を示す図である。
図12(A)に示すように、時刻T1でエンジンEaが自動停止された後、図12(B)に示すように、時刻T2でエンジンEaの回転が停止する前に始動条件が成立すると、スタータSTaが第1の状態で駆動(ON)され、バッテリBaの電圧は、図12(D)に示すように、時刻T2で低下する。
その後、図12(C)に示すように、時刻T3でスタータSTaの負荷状態が切替(ON)られ、スタータSTaが第2の状態で駆動されるとバッテリBaの電圧は、図12(D)に示すように、時刻T3で低下する。
その後、図12(A)に示すように、時刻T4でエンジンEaの始動に成功し、図12(B)、(C)に示すように、時刻T4でスタータSTaの駆動が停止されると、バッテリBaの電圧は、図12(D)に示すように、スタータSTaを駆動する前の電圧まで復帰する。
このように、回転が完全には停止していないエンジンEaを始動する場合、バッテリBaの電圧は、スタータSTaが第1の状態で駆動開始される時刻T2、およびスタータSTaが第2の状態で駆動開始される時刻T3で大きく低下する(図12の(D)参照)。
また、図12(D)に示すように、スタータSTaが第1の状態で駆動されている期間T2〜T3(以下、「第1の期間」という)と、スタータSTaが第2の状態で駆動されている期間T3〜T4(以下、「第2の期間」という)とでは、バッテリBaの電圧の変動状態が異なる。
そこで、エンジン制御装置1aは、第1の期間におけるバッテリBaの電圧低下と、第2の期間におけるバッテリBaの電圧低下とを考慮して自動停止の許可および禁止を行うように構成している。
次に、図13を用いて自動停止禁止部25aの動作について説明する。図13は、第2の実施形態に係る自動停止禁止部25aの動作の一例を示す図である。なお、図13に示すバッテリBaの電圧変化は、図12(D)に対応するものである。
自動停止禁止部25aは、まず、スタータSTaが第1の状態で駆動されている第1の期間T2〜T3に電圧検出部24aから入力されるバッテリBaの電圧の最低値(以下、「第1最低電圧V1a」という)を取得する(図13の(1)参照)。
続いて、自動停止禁止部25aは、スタータSTaが第2の状態で駆動されている第2の期間T3〜T4に電圧検出部24aから入力されるバッテリBaの電圧の最低値(以下、「第2最低電圧V2a」という)を取得する(図13の(2)参照)。
続いて、自動停止禁止部25aは、第1最低電圧V1aが記憶部3aに記憶されている閾値Th1a以上であり、且つ、第2最低電圧V2aが記憶部3aに記憶されている閾値Th2a以上であった場合に(図13の(3)参照)、次回の自動停止を許可することを示す自動停止許可情報32aを記憶部3aへ記憶させる(図13の(4)参照)。
一方、自動停止禁止部25aは、第1最低電圧V1aが閾値Th1a以上、第2最低電圧V2aが閾値Th2a以上という2つの条件のうちいずれか一方でも成立しなかった場合、次回の自動停止を禁止することを示す自動停止許可情報32aを記憶部3aへ記憶させる。
また、エンジン制御装置1aでは、第1最低電圧V1aと比較する閾値Th1aと、第2最低電圧V2aと比較する閾値Th2aとを異なる値としている(図13の(5)参照)。
かかる閾値Th1a、Th2aは、事前にシミュレーションを行い、その結果に基づいてそれぞれ決定する。例えば、閾値Th1a、Th2aの値をそれぞれ変更しながら自動停止禁止部25aによって自動停止の許可判定を行い、判定結果に従ってエンジンEaを自動停止させた後、エンジンEaを始動させるシミュレーションを事前に行う。
かかるシミュレーションの結果、エンジンEaの始動に成功したときに設定されている閾値Th1a、Th2aの組合せのうち、最も値の低い閾値Th1a、Th2aの組合せを閾値情報33aとして記憶部3aへ記憶させる。
このように、エンジン制御装置1aでは、閾値Th1a、Th2aとして、それぞれ最適な異なる値を閾値情報33aとして記憶部3aへ記憶させることにより、自動停止の許可および禁止を適切に行うことができる。
次に、エンジン制御装置1aの制御部2aが実行する処理について説明する。ここで、制御部2aは、図5に示すフローチャートに従って処理実行するが、ステップS105においてエンジンEaの自動始動を行う際に、第1の実施形態に係るエンジン制御装置1とは異なる処理を実行する。
このため、以下では、図14を用いて、制御部2aがエンジンEaの自動始動を行う際に実行する処理について説明する。図14は、第2の実施形態に係る制御部2aが実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS105においてエンジンEaを自動始動する場合、制御部2aは、図14に示すように、まず、第1始動制御が選択されているか否かを判定する(ステップS301)。ここで、第1始動制御とは、スタータSTaを前述した第1の状態で駆動させた後に第2の状態で駆動させる駆動制御である。
具体的には、第1始動制御は、エンジン始動装置が特許文献1に記載の装置100であった場合、エンジンを助走させるようにモータ102を通常よりも低速で回転駆動させた後に、モータ102の回転数を上昇させてエンジンを始動させる駆動制御である。
また、第1始動制御は、エンジン始動装置が特許文献2に記載の装置であった場合、スタータ201を空転させた後に、空転中のピニオンギア203をエンジン220(ここでは、エンジンEa)のリングギア221と噛み合う位置まで移動させ、エンジン220を始動させる駆動制御である。
また、第1始動制御は、エンジン始動装置が特許文献3に記載の装置200であった場合、スタータ201のピニオンギア203をエンジン220(ここでは、エンジンEa)のリングギア221と噛み合う位置まで移動させた後に、モータ202を駆動してエンジン220(ここでは、エンジンEa)を始動させる駆動制御である。
そして、制御部2aは、第1始動制御が選択されていると判定した場合(ステップS301,Yes)、スタータSTaの第1の状態による駆動(第1始動制御)を開始し(ステップS302)、第1最低電圧V1aを取得する(ステップS303)。
続いて、制御部2aは、スタータSTaを異なる負荷状態である第2の負荷状態に切り替えて駆動させ(ステップS304)、第2最低電圧V2aを取得する(ステップS305)。
その後、制御部2aは、エンジンEaの始動が完了したと判断するとスタータSTaの駆動を停止させ、始動制御を終了させる(ステップS306)。続いて、制御部2aは、第1最低電圧V1aが閾値Th1a以上であり、且つ、第2最低電圧V2aが閾値Th2a以上であるか否かを判定する(ステップS307)。
そして、制御部2aは、第1最低電圧V1aが閾値Th1a以上であり、且つ、第2最低電圧V2aが閾値Th2a以上であると判定した場合(ステップS307,Yes)、エンジンEaの自動停止を許可し(ステップS308)、処理を終了する。
一方、制御部2aは、第1最低電圧V1aが閾値Th1a以上、第2最低電圧V2aが閾値Th2a以上という条件のうち、いずれか一方でも成立していなかった場合(ステップS307,No)、エンジンEaの自動停止を禁止し(ステップS309)、処理を終了する。
また、制御部2aは、ステップS301において第1始動制御が選択されていないと判定した場合(ステップS301,No)、第2始動制御を開始する(ステップS310)。なお、ステップS301で第1始動制御が選択されないのは、例えば、エンジン始動装置が特許文献1に記載の装置100であれば、始動時におけるエンジンの始動温度が高く、スタータを助走させる必要がない場合である。
また、ステップS301で第1始動制御が選択されないのは、エンジン始動装置が特許文献2に記載の装置または特許文献3に記載の装置200であれば、始動するエンジン220(ここでは、エンジンEa)の回転が完全に停止していた場合である。
そして、制御部2aは、ステップS310において以下のような第2始動制御を行う。すなわち、エンジン始動装置が特許文献1に記載の装置の場合、制御部2aは、最初から抵抗106を介さない経路でスタータへの通電を行ってエンジンを始動させる。
もしくは、制御部2aは、第1の状態における抵抗106の抵抗値を小さくし(抵抗106を可変抵抗等で構成することで実現する)、第1の状態と第2の状態とで、スタータへの通電経路の抵抗値にほとんど違いがない状態でエンジンを始動させる。
また、エンジン始動装置が特許文献2に記載の装置の場合、制御部2aは、ピニオンギア203を空転させずにリングギア221へ噛み合わせた後に、モータ202の駆動を開始し、エンジン220(ここでは、エンジンEa)を始動させる。
また、エンジン始動装置が特許文献3に記載の装置200の場合、制御部2は、エンジン220(ここでは、エンジンEa)が完全に停止した状態で、スタータ201(ここでは、スタータSTa)のピニオンギア203をエンジン220(ここでは、エンジンEa)のリングギア221と噛み合う位置まで移動させた後に、モータ202を駆動してエンジン220(Ea)を始動させる。
続いて、制御部2aは、バッテリBaの最低電圧を取得し(ステップS311)、エンジンEaの始動が完了したと判断するとスタータSTaの駆動を停止させ、始動制御を終了させる(ステップS312)。そして、制御部2aは、取得した最低電圧が所定の閾値Th以上であるか否かの判定を行う(ステップ313)。
このとき、電圧と比較する閾値Thは、前述の閾値Th1a、Th2aとは異なる値であり、回転が完全に停止したエンジンEaを始動するために最低限必要なバッテリBaの電圧の値である。
そして、制御部2aは、バッテリBaの電圧が閾値Th以上であると判定した場合(ステップS313,Yes)、エンジンEaの自動停止を許可し(ステップS314)、処理を終了する。一方、制御部2aは、バッテリBaの電圧が閾値Th未満であると判定した場合(ステップS313,No)、エンジンEaの自動停止を禁止し(ステップS315)、処理を終了する。
このように、エンジン制御装置1aでは、スタータSTaが第1、第2、第3の各始動制御で駆動されている期間毎にバッテリBaの電圧を検出し、検出した各電圧と対応する閾値とを比較した結果に基づいて自動停止の許可および禁止を行う。
このため、エンジン制御装置1aによれば、エンジンEaの始動中にスタータSTaの駆動状態(負荷状態)が切り替えられるような場合であっても、エンジンEaの自動停止に関する許可および禁止を適切に行うことができる。
ところで、自動停止禁止部25aは、スタータSTaが第1の状態で駆動されている第1の期間、および、スタータSTaが第2の状態で駆動されている第2の期間をさらに複数の分割期間へ分割し、各分割期間におけるバッテリBaの電圧を用いて自動停止の許可および禁止を行うように構成することもできる。
以下では、図15を用いて自動停止禁止部25aの変形例について説明する。図15は、変形例に係る自動停止禁止部25aの動作を示す図である。なお、図15に示すバッテリBaの電圧変化は、図12(D)に対応するものである。
図15に示すように、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、時刻T2にスタータSTaが第1の状態で駆動開始されると、時刻T2から所定時間経過後の時刻T21までの期間(第1突入期間)におけるバッテリBaの電圧(第1突入時電圧V1b)を取得する(図15の(1)参照)。なお、ここでの所定時間は、例えば100msとする。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、時刻T21からスタータSTaが第2の状態で駆動開始される時刻T3までの期間(第1突入後期間)におけるバッテリBaの電圧(第1突入後電圧V1c)を取得する(図15の(2)参照)。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、時刻T3から所定時間経過後の時刻T31までの期間(第2突入期間)におけるバッテリBaの電圧(第2突入時電圧V2b)を取得する(図15の(3)参照)。なお、ここでの所定時間も100msとする。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、時刻T31からスタータSTaの駆動が停止される時刻T4までの期間(第2突入後期間)におけるバッテリBaの電圧(第2突入後電圧V2c)を取得する(図15の(4)参照)。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、第1突入時電圧V1bと第2突入時電圧V2bとを比較し(図15の(5)参照)、第1突入時電圧V1bおよび第2突入時電圧V2bで最も低かった電圧(最低突入時電圧V3b)を決定する(図15の(6)参照)。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、第1突入後電圧V1cと第2突入後電圧V2cとを比較し(図15の(7)参照)、第1突入後電圧V1cおよび第2突入後電圧V2cで最も低かった電圧(最低突入後電圧V3c)を決定する(図15の(8)参照)。
続いて、本変形例に係る自動停止禁止部25aは、最低突入時電圧V3bが予め設定した閾値Thb以上であり、且つ、最低突入後電圧V3cが予め設定した閾値Thc以上であった場合(図15の(9)参照)、エンジンEaの自動停止を許可する(図15の(10)参照)。
なお、本変形例では、閾値Thb、Thcとして、それぞれ異なる最適な値を予め設定する(図15の(11)参照)。かかる閾値Thb、Thcは、事前に行うシミュレーションによって決定する。
例えば、閾値Thb、Thcの値をそれぞれ変更しながら自動停止禁止部25aによって自動停止の許可判定を行い、判定結果に従ってエンジンEaを自動停止させた後、エンジンEaを始動させるシミュレーションを事前に繰り返し行う。
かかるシミュレーションの結果、エンジンEaの始動に成功したときに設定されている閾値Thb、Thcの組合せのうち、最も値の低い閾値Thb、Thcの組合せを閾値Thb、Thbとして決定する。
このように、エンジン制御装置1aでは、閾値Thb、Thcとして、それぞれ異なる最適な閾値と最低突入時電圧V3bおよび最低突入後電圧V3cとを比較した結果に基づいて自動停止の許可および禁止を行うため、自動停止の許可および禁止をより正確に行うことができる。
ところで、エンジン制御装置1aは、第1突入時電圧V1b、第1突入後電圧V1c、第2突入時電圧V2b、第2突入後電圧V2cを検出する場合、以下のようにエンジンEaの自動停止に関する許可および禁止を行うように構成することもできる。
例えば、エンジン制御装置1aは、第1突入時電圧V1bと第2突入時電圧V2bとを平均化して平均突入時電圧を決定するとともに、第1突入後電圧V1cと第2突入後電圧V2cとを平均化して平均突入後電圧を決定する。
そして、平均突入時電圧と平均突入後電圧とを、それぞれ異なる最適な閾値と比較し、平均突入時電圧が閾値以上であり、且つ、平均突入後電圧が閾値以上であった場合に、エンジンEaの自動停止を許可する。
一方、エンジン制御装置1aは、平均突入時電圧が閾値以上、平均突入後電圧が閾値以上という条件のうち、いずれか一方でも成立しなかった場合に、エンジンEaの自動停止を禁止する。
なお、平均突入時電圧、平均突入後電圧と比較する閾値についても、閾値Thb、Thcと同様に、事前にシミュレーションを繰り返し行うことで決定することができる。かかる構成とすることによってもエンジン制御装置1aは、自動停止の許可および禁止を適切に行うことができる。
また、例えば、エンジン制御装置1aは、第1突入時電圧V1b、第1突入後電圧V1c、第2突入時電圧V2b、第2突入後電圧V2cと、それぞれ異なる最適な閾値とを比較し、各電圧が全て対応する閾値以上であった場合に、エンジンEaの自動停止を許可するように構成することもできる。
かかる構成とした場合、エンジン制御装置1aは、第1突入時電圧V1b、第1突入後電圧V1c、第2突入時電圧V2b、第2突入後電圧V2cのうち、いずれか一つの電圧でも対応する閾値未満であった場合、エンジンEaの自動停止を禁止する。
かかる構成とすることにより、エンジン制御装置1aは、自動停止の許可および禁止をより正確、且つ細やかに判定することができる。
なお、上記した第2の実施形態および変形例では、自動停止禁止部25aが電圧検出部24aによって検出された電圧の実測値に基づいて自動停止の許可および禁止を行っているが、始動するエンジンEaの回転数に応じて補正した電圧に基づいて自動停止の許可および禁止を行ってもよい。
エンジンEaの回転数に応じて補正したバッテリBaの電圧に基づいて自動停止の許可および禁止を行う場合、自動停止禁止部25aは、第1の実施形態と同様に、図7に示す電圧補正用のテーブルや関数情報を用いてバッテリBaの電圧を補正する。
こうして補正した電圧に基づいて自動停止の許可および禁止を行う構成とすれば、エンジン制御装置1aは、第1の実施形態と同様に、電圧と比較する閾値を予め複数種類記憶しておく必要がない。