JP2013179025A - アルカリイオン電解質組成物 - Google Patents
アルカリイオン電解質組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013179025A JP2013179025A JP2012157826A JP2012157826A JP2013179025A JP 2013179025 A JP2013179025 A JP 2013179025A JP 2012157826 A JP2012157826 A JP 2012157826A JP 2012157826 A JP2012157826 A JP 2012157826A JP 2013179025 A JP2013179025 A JP 2013179025A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solvent
- compound
- composition
- electrolyte composition
- ion electrolyte
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む化合物、及び溶媒を含み、前記化合物の全て又は一部が前記溶媒に溶解しているアルカリイオン電解質組成物。
【選択図】なし
Description
通常のリチウムイオン電池は、電解質が電解液であるため、安全性に問題が有り、電解質を無機固体電解質にした全固体リチウム電池の実用化が期待されている。
しかしながら、電解質が無機の固体物であるがために電池を作成することが難しい。
従来、固体電解質を用いて電池の固体電解質層等を作成する方法としては、ア)固体電解質粉末を単純な圧密体とする方法(特許文献1)、イ)固体電解質粉末にバインダー等を添加してスラリー状の塗液を作って塗布する方法(特許文献2)、ウ)固体電解質粉末を静電気にて塗布する方法、等が提案されている。
上記イ)は、ア)の電池ほどの圧力をかける必要はないが、固体のスラリーを使用するにすぎず、固体成分の沈降等によるムラが生じ均一な電解質層を形成することが困難であり電解質層を厚くせざるを得ない。
上記ウ)は、均一膜の形成が困難であること、電極材料界面と固体電解質との接触が不十分であること、特殊な設備を必要とすること等の欠点がある。
そこで、本発明は、無機固体電解質を用いた全固体電池の製造を容易にできる電解質に関する材料を提供することを課題とする。
1.リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む化合物、及び溶媒を含み、
前記化合物の全て又は一部が前記溶媒に溶解しているアルカリイオン電解質組成物。
2.化合物の一部又は全部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物であって、前記化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含むアルカリイオン電解質組成物。
3.化合物の全部又は一部とハロゲン化合物の全部又は一部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物であって、前記化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含むアルカリイオン電解質組成物。
4.前記化合物が前記アルカリ金属としてリチウム(Li)を含む1〜3のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
5.前記溶媒が水酸基を有する化合物である1〜4のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
6.前記化合物が、リン(P)、リチウム(Li)、及び硫黄(S)を含む化合物である1〜5のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
7.さらに、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)から選択されるハロゲン元素を含む1〜6のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
8.1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物から前記溶媒を除去することにより得られる固体電解質。
9.1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物、又は8に記載の固体電解質を用いて製造された電解質層と、
1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物、又は8に記載の固体電解質を用いて製造された電極層と、
のうち、少なくとも1つを備える電池。
尚、上記化合物はアルミニウム(Al)、ヒ素(As)、セレン(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、鉛(Pb)及びビスマス(Bi)のうち、少なくとも1つの元素を含んでいてもよい。
本発明のアルカリイオン電解質組成物は、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む化合物(以下、適宜「上記化合物」という。)、及び溶媒を含み、前記化合物の全て又は一部が前記溶媒に溶解していることを特徴とする。
固体電池を作成する際に本発明のアルカリイオン電解質組成物を用いれば、組成物が溶液であることから、均一かつ薄膜の高イオン伝導度の固体電解質を形成することができる。また、ハンドリングが容易で、粉体の飛散、付着、沈降等の恐れが無い。
尚、リン元素に加えて、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeのうち1つ以上の元素を含んでいてもよい。
さらに、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、セレン(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、鉛(Pb)及びビスマス(Bi)のうち少なくとも1つの元素を含んでいてもよい。
さらに、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)から選択されるハロゲン元素を含んでいてもよい。
ハロゲン元素を含む場合には、このハロゲン元素として好ましくは塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)であり、より好ましくは臭素(Br)及びヨウ素(I)、さらに好ましくは臭素(Br)元素である。
以下、上記化合物がリン(P)元素と、アルカリ金属元素と、硫黄(S)元素とを含む場合を例に説明する。
LiaMbPcSd (1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、又はゲルマニウム(Ge)であり、a〜dは各元素のモル組成比を示し、通常a:b:c:d=1.5〜10:0〜0.5:1:3〜9、好ましくは、a:b:c:d=2.8〜7:0〜0.5:1:3.8〜6、さらに好ましくは、a:c:d=3〜6:0:1:4〜5.5である。)
式(2)において、Lは、アルカリ金属であり、リチウム又はナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。
Mは下記式(I)で表される元素を表す。
BfAlgSihGeiAsjSekSnlSbmTenPboBip…(I)
式(I)において、f〜pはそれぞれ各元素の組成比を示す。f、g、h、i、j、k、l、m、o,pは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、f+g+h+i+j+k+l+m+n+o+p=1である。式(I)は、B,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択される1種の元素、又は、2種以上の元素の組み合わせを表す。
式(I)において、i、j、k、l、m、n、o及びpが0である場合、即ち、BfAlgSih(f、g、hは0以上1以下であり、かつf+g+h=1)が好ましい。
式(2)において、Xは下記式(II)を表す。
FsItCluBrv…(II)
式(II)において、s、t、u及びvはそれぞれ各元素の組成比を示す。s、t、u及びvは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、s+t+u+v=1である。式(II)は、F、Cl、Br及びIから選択される1種のハロゲン元素、又は、2種以上のハロゲン元素の組み合わせを表す。
好ましくは、sとtが0である場合、即ち、CluBrv(u、vはそれぞれ0以上1以下であり、u+v=1)である。より好ましくは、sとtとuが0である場合、即ち、Brである場合である。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、特に、I,Br又はClであることが好ましく、より好ましくはBrである。
式(2)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、a:b:c:d:eは1〜12:0〜0.2:1:0〜9:0〜9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d及びeの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5である。最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
また、b=0でc=1であると好ましい。また、d=4であると好ましい。
面積強度の算出は分解能の高い装置を用いて、上記ピークを含む各成分毎にピークを検出することが望ましいが、ピーク分離が不充分であっても、一般、又は装置専用の波形解析ソフトを用いて個別のピークに分離することが可能である。波形解析ソフトとしては、例えば、Thermo SCIENTIFIC社製のGRAMS AIが使用できる。分離されたピークから、各成分の面積値を求めることができる。
さらに、上記原料にハロゲン化リチウムをはじめとするハロゲン化合物を添加することによりハロゲン元素を含む組成物を製造することができる。
ここで、ハロゲン化合物とは、ハロゲン元素を構成元素とする化合物を意味し、ハロゲン元素とそれよりも電気陰性度の小さい元素との化合物、ハロゲン元素同士の化合物であるハロゲン間化合物、ポリハロゲン化物等が含まれる。
ハロゲン化リチウムとしては、例えば、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム等がある。その他のハロゲン化合物としては、BCl3、BBr3、BI3、AlF3、AlBr3、AlI3、AlCl3、SiF4、SiCl4、SiCl3、Si2Cl6、SiBr4、SiBrCl3、SiBr2Cl2、SiI4、PF3、PF5、PCl3、PCl5、POCl3、PBr3、POBr3、PI3、P2Cl4、P2I4、SF2、SF4、SF6、S2F10、SCl2、S2Cl2、S2Br2、GeF4、GeCl4、GeBr4、GeI4、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsI3、AsF5、SeF4、SeF6、SeCl2、SeCl4、Se2Br2、SeBr4、SnF4、SnCl4、SnBr4、SnI4、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、SbF3、SbCl3、SbBr3、SbI3、SbF5、SbCl5、PbF4、PbCl4、PbF2、PbCl2、PbBr2、PbI2、BiF3、BiCl3、BiBr3、BiI3、TeF4、Te2F10、TeF6、TeCl2、TeCl4、TeBr2、TeBr4、TeI4、NaI、NaF、NaCl、NaBr、KI、KF、KCl、KBr、RbI、RbF、RbCl、RbBr、CsI、CsF、CsCl、CsBr、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、SrF2、SrCl2、SrBr2、SrI2、BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2等が挙げられる。好ましくは、LiCl、LiBr、LiIや、ハロゲン化リンである、三フッ化リン(PF3)、五フッ化リン(PF5)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、オキシ三塩化リン(POCl3)、三臭化リン(PBr3)、オキシ三臭化リン(POBr3)、三ヨウ化リン(PI3)、四塩化二リン(P2Cl4)、四ヨウ化二リン(P2I4)等であり、より好ましくは、LiCl、LiBr、LiI、PBr3等である。
また、必要に応じて、ハロゲン化リチウムやその他のリチウム塩等のハロゲン化合物を適宜原料に加えてもよい。
特に式(1)に示す組成を満たす固体電解質である場合には、ハロゲン化リチウムやリチウム塩等のハロゲン化合物を添加することが好ましい。
本発明の組成物を乾燥して得られる固体電解質のイオン伝導度を高くすることができる。ここで、ハロゲン化合物の添加量は、化合物の構成元素と構成元素の割合によって異なるが、アルカリイオン電解質組成物を乾燥して得られる固体電解質が式(2)に示す化合物と同様になるように添加することが好ましい。
言い換えると、アルカリイオン電解質組成物を乾燥して得られる固体電解質を式(2)で表現する場合に、上記したa〜eの割合になるようにハロゲン化合物を添加することが好ましい。
例えば、本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物が硫化リチウムと五硫化二リンを原料として製造され、添加するハロゲン化合物がハロゲン化リチウムである場合には、硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、60:40〜85:15、好ましくは65:35〜85:15、さらに好ましくは67:33〜83:17、特に好ましくは67:33〜80:20であり、最も好ましくは74:26〜81:19である。また、硫化リチウムのモル量と五硫化二リンのモル量の合計とハロゲン元素を含む化合物の割合(モル比)は、50:50〜99:1が好ましく、より好ましくは55:45〜97:3であり、さらに好ましくは60:40〜96:4であり、特に好ましくは70:30〜96:4である。
また、硫化物系固体電解質は、硫化リチウム、五硫化二リン、単体リン、及び/又は単体の硫黄等の原料化合物から製造することが好ましい。
硫化リチウムは、特に制限はなく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましい。
また、硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能でなくても使用できるが、高純度のものが好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報参照)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報参照)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報参照)。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
以上の手法で調製した硫化リチウムは、一旦乾燥してから次の工程に供してもよいが、スラリーのまま、次工程に供してもよい。
溶融急冷法による場合、P2S5とLi2Sを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス固体電解質の製造と同時に、ガラス固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物系ガラス固体電解質の具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
硫化物系結晶化ガラス固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは150℃以上360℃以下であり、より好ましくは160℃以上350℃以下であり、さらに好ましくは180℃〜330℃、特に好ましくは、200℃〜320℃、最も好ましくは、210℃〜310℃である。150℃より低いと結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、360℃より高いと結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
尚、結晶化ピークが二つある場合は、より低温である第一ピークの温度以上で、より高温である第二ピークの温度以下の温度範囲で熱処理することが好ましい。結晶化ピークは、メトラートレド社製TGA‐DSC1を用いて10℃/minで測定する。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
31 July (2011)に記載されているLi10GeP2S12等の化合物も好適に使用することができる。この化合物を使用する際は、ミルにて粉砕し、混合された状態で熱処理を加える前の状態(ガラス)で使用することができる。
溶媒は、好ましくは水酸基を有する化合物である。アルコール類が好ましい。より好ましくは、下記式(3)に従う。
R−OH (3)
式(3)中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基である。エステル基、エーテル基、水酸基、ニトリル基や、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基等の他の置換基を有していてもよく、芳香族環等の環状基であってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。
Rは、好ましくは、炭素数2〜20のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキル基であり、他の置換基を有していてもよく、脂環状であってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。
このようなものを用いることにより、溶媒の使用量を少なくでき、製膜する際の乾燥工程の効率が高まるとともに液粘度の調整も容易になる。
具体的には、例えば、エタノールやイソプロパノール、1−ブタノール、2エチルヘキサノール、1−オクタノール等が好ましい。
溶媒中の水分は50ppm以下に脱水されていることが好ましい。より好ましくは、水分は20ppm以下である。
溶媒は、アルコール類の混合物でもよく、アルコール類と他の有機溶媒との混合物でもよい。
ここで、上記組成物中に含まれる上記化合物の50wt%以上が溶媒に溶解していることが好ましく、上記化合物の70wt%以上が溶媒に溶解していることがより好ましく、上記化合物の90wt%以上が溶媒に溶解していることがさらに好ましく、上記化合物の全てが溶媒に溶解していることが最も好ましい。
上記組成物中の上記化合物の濃度は、上記化合物が溶媒に均一溶解する最大の濃度であることが好ましい。ここで、「均一に溶解する」とは、固体成分の懸濁又は沈殿、膨潤等が観察されず、さらに液相部分においても粘度の異なる相に分離していないことを意味する。
上記化合物の濃度が高いと、上記組成物から溶媒を除去して固体電解質を得る際に必要とするエネルギー量を節約することができ、また塗布膜の厚み制御が容易になる。
バインダーとしては、結着性や柔軟性等の機能を付与できれば特に制限はないが、組成物中に溶解するか、懸濁するものが好ましい。
本発明のアルカリイオン電解質組成物がバインダーを含む場合、バインダーを含まない場合と比較して、当該組成物を塗布乾燥して得られる電解質膜が強固となる。
バインダーを本発明の組成物に溶解する段階は、ガラスを溶解させる前でもよいし、溶解させると同時でもよく、また溶解させた後でもよい。
本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物と上記溶媒を同時に投入して組成物を製造してもよく、本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物中に上記溶媒を添加してもよく、上記溶媒中に本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物を添加してもよく、混合方法は問わない。
また、本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物を上記溶媒に溶解させるため、撹拌することが好ましい。
撹拌するためには撹拌機を用いることができる。特に限定されるものではないが、具体的な翼形状としては、パドル翼、タービン翼、後退翼、アンカー翼、プロペラ翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、ダブルヘリカルリボン翼等を用いることができる。また、撹拌容器にバッフルを設けることも好ましい。そのほかスタティックミキサー等も使用することができる。組成物の粘度等に合わせて適宜選択すればよい。撹拌強度は単位容積あたりの撹拌動力P/V(P=撹拌所要動力Kw、V=撹拌液の容積m3)において通常は0.1〜7.0、好ましくは0.2〜5.0程度である。また、撹拌時には発泡が少なくなる撹拌機、条件を選択することが好ましく、組成物を調製した後に脱泡処理を施すことも好ましい。具体的には静置、超音波、真空、ろ過、遠心、撹拌等の方法を用いることができる。
また窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。硫化水素が存在する雰囲気下でもよい。
温度は特に限定されないが、製造の間、組成物の温度が溶媒の凝固点以上、沸点以下の温度となるよう調整することが好ましい。
また、圧力は常圧環境下のほか、加圧された環境下であってもよい。
本発明の第二のアルカリイオン電解質組成物は、化合物の一部又は全部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物である。
化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む。
本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物は、本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した「本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物」と同様であることからその説明を省略する。
また、溶媒も本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した溶媒と同様であることからその説明を省略する。
また、製造方法も本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した製造方法と同様であることからその説明を省略する。
本発明の第三のアルカリイオン電解質組成物は、化合物の全部又は一部とハロゲン化合物の全部又は一部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物である。
化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む。
本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物は、本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した「本発明のアルカリイオン電解質組成物の構成成分である化合物」と同様であることからその説明を省略する。
ハロゲン化合物も、本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明したハロゲン化合物と同様であることからその説明を省略する。
また、溶媒も本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した溶媒と同様であることからその説明を省略する。
また、製造方法も本発明の第一のアルカリイオン電解質組成物で説明した製造方法と同様であることからその説明を省略する。
本発明のアルカリイオン電解質組成物から溶媒を除去することにより、固体電解質を提供することができる。
溶媒の除去は、組成物を熱処理して溶媒を蒸発させればよい。
溶媒を除去する際の乾燥温度は、使用する溶媒の沸点に依存して適宜変更することができるが、例えば、0℃〜400℃であり、好ましくは80℃〜350℃である。
また、溶媒を除去する前には、真空下で組成物を脱気することが好ましい。
本発明のアルカリイオン電解質組成物に含まれるガラスは、上記の熱処理により溶媒を除去しつつ、結晶化してガラスセラミックスとすることができる。
本発明のアルカリイオン電解質組成物及び固体電解質は、電池に使用する合材、具体的には正極合材、負極合材等に好適に使用できる。
(1)第一の正極合材
本発明のアルカリイオン電解質組成物を活物質と組み合わせることにより、第一の正極合材を提供することができる。この正極合材は溶媒を含む形態であり、これを用いて電池を製造する際に適宜溶媒を除去して固体電解質を提供することができる。
正極活物質は、公知の活物質又は今後開発される活物質のいずれを用いてもよい。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS、FeS2)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni3S2)等が使用できる。好ましくは、TiS2が使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi2O3)、鉛酸ビスマス(Bi2Pb2O5)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V6O13)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe3)が使用できる。
導電助剤は、電子が正極内で円滑に移動するようにするために、電気的に導電性を有す物質である。電気的に導電性を有する物質としては特に限定されないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような導電性物質又はポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールのような導電性高分子を単独又は混合して用いることができる。
活物質は、組成物中1重量%以上80重量%以下含むことが好ましい。
より好ましくは、組成物中5重量%以上70重量%以下含み、さらに好ましくは、組成物中10重量%以上60重量%以下含む。
より好ましくは、組成物中0.1重量%以上10重量%以下含み、さらに好ましくは、組成物中0.5重量%以上5重量%以下含む。
正極合材は、上記組成物を製造してから活物質等を混合することにより、調製することができる。また、上記組成物を製造する際に、活物質等を固体電解質とともに混合してもよい。
本発明のアルカリイオン電解質組成物を活物質と組み合わせることにより、第一の負極合材を提供することができる。この負極合材は溶媒を含む形態であり、これを用いて電池を製造する際に適宜溶媒を除去して固体電解質を提供することができる。
負極活物質は、公知の活物質又は今後開発される活物質のいずれを用いてもよい。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。またはこれらの混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組み合わせた合金を、負極材として用いることができる。
導電助剤は、電子が負極内で円滑に移動するようにするために、電気的に導電性を有す物質である。電気的に導電性を有する物質としては特に限定されないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような導電性物質又はポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールのような導電性高分子を単独又は混合して用いることができる。
より好ましくは、組成物中5重量%以上70重量%以下含み、さらに好ましくは、組成物中10重量%以上60重量%以下含む。
導電助剤は、成物中0.01重量%以上20重量%以下含むことが好ましい。
より好ましくは、組成物中0.1重量%以上10重量%以下含み、さらに好ましくは、組成物中0.5重量%以上5重量%以下含む。
本発明のアルカリイオン電解質組成物から溶媒を除去したものを活物質と組み合わせることにより、第二の正極合材を提供することができる。この正極合材は溶媒を含まない形態である。
その他の特徴については、上記の第一の正極合材と同様である。
本発明のアルカリイオン電解質組成物から溶媒を除去したものを活物質と組み合わせることにより、第二の負極合材を提供することができる。この負極合材は溶媒を含まない形態である。
その他の特徴については、上記の第一の負極合材と同様である。
(1)電解質層
電解質層は、上記組成物、又は上記組成物から溶媒を除去したものを用いて製造される。
本発明の固体電解質組成物(電解質溶液)を適用することにより、課題であった固体電解質スラリー中における固体電解質粒子の分散性や粒子沈降によるスラリーの経時変化を制御する必要が無くなるうえ、塗布性やスラリーの安定化を図るために配合していた増粘材樹脂やバインダー樹脂の配合量を低減若しくは無くすことができる。特に樹脂配合は、可溶化した樹脂が固体電解質粒子の表面を被覆するため、電解質膜を形成した際に粒子間のイオン導電パスを阻害するという問題を抱えており、その使用量の低減が望まれていた。本発明の電解質溶液を用いて製膜した固体電解質層であれば、粒子界面が殆ど無いため、連続したイオン導電パスを形成することが容易となる。
さらにリチウムイオン二次電池のセパレータに使用されているような連続貫通孔を有した多孔質絶縁体への含浸もできることから、強度や柔軟性に優れた連続導電パスを持つ自立型の固体電解質シートを作製することが可能で、電池製造プロセス上、ハンドリングがし易い。
電解質層の膜厚は特に制限はないが、通常0.1〜200μmであり、好ましくは10〜100μmである。このような範囲にすることで、強度と抵抗のバランスに優れたものができる。
また、電解質層は、上記組成物、又上記組成物から溶媒を除去したもの以外にバインダーや多孔質のセパレータ等の物質を含んでいてもよい。
電極層は、上記組成物、上記組成物から溶媒を除去したもの、又は上記合材を用いて製造することができる。
ここで、電極層には、活物質が必要である。活物質としては、正極活物質と負極活物質があり、公知の活物質又は今後開発される活物質のいずれを用いてもよい。
さらに、電解液を用いる液系リチウムイオン電池の電極シートも使用することができるため、既存の製造設備(製造技術)を活用することができる。つまり電極活物質、バインダー樹脂、溶媒、必要に応じて導電助剤を添加した電極スラリーを調製後、塗工装置にて集電体箔上に塗布し、乾燥後に得た電極シートに対して、本発明の電解質溶液を含浸、溶剤除去することで、固体電解質と一体化した電極合材シートを作製することができる。
一方、電解質溶液に電極活物質を分散し、溶媒除去することにより均一性に優れた正極合材粒子を得ることも可能となり、本粒子を用いて製膜化することもできる。
尚、活物質が溶媒に溶解しない場合には、塗布法が好ましい。
電極層の膜厚は特に制限はないが、通常1μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上300μm以下である。このような範囲にすることで、強度と抵抗のバランスに優れたものができる。
また、電極層は、上記組成物、又上記組成物から溶媒を除去したもの、活物質以外に、バインダー、多孔質のセパレータ等の他の物質を含んでいてもよい。
(3)電池
本発明の電池は、上記本発明のアルカリイオン電解質組成物、又は上記本発明のアルカリイオン組成物から溶媒を除去することにより得られる固体電解質を用いて製造された電解質層と、上記本発明のアルカリイオン電解質組成物、又は上記本発明のアルカリイオン組成物から溶媒を除去することにより得られる固体電解質を用いて製造された電極層のうち、少なくとも1つを備えることを特徴とする。組み立てが容易で、電解液を含まないことから、発火や暴走などの安全性に関する恐れが少なく、出力特性に優れた電池が期待できる。
他の構成については公知のものが使用できる。また、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
窒素気流下で非極性溶媒としてトルエン270gを600mlセパラブルフラスコに加え、水酸化リチウム(本荘ケミカル社)30gを投入し、フルゾーン撹拌翼にて300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。スラリー中に硫化水素を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコからは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
製造例1で製造した硫化リチウム(Li2S)と、五硫化二リン(P2S5)(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを75:25のモル比に調製した混合物を約1gと、粒径10mmΦのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型P−7)にて窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラス固体電解質を得た。得られた固体電解質は、X線回折(XRD)からガラス状であり、ラマンスペクトルから、PS4 3−構造に由来する成分の面積強度が76%であった。
窒素雰囲気下において、製造例2で製造した固体電解質1.5gをガラス容器に取り、水分含有量49ppmのイソプロパノール10mlを加えて2時間撹拌したところ、粘度が700mPa・sの均一の溶液が得られた。
この溶液を、真空下室温にて脱気し、さらに温度を150℃にして溶媒を蒸発させて除去した。得られた固体のイオン伝導度を測定したところ、1.4×10−5S/cmであった。
溶媒として使用するイソプロパノールをエタノール(水分含有量48ppm)に変更した以外は実施例1と同じ手順を繰り返した。エタノール添加により、粘度が450mPa・sの均一の溶液が得られ、溶媒除去により得られた固体のイオン伝導度は、2.7×10−5S/cmであった。
溶媒として使用するイソプロパノールを1−ブタノール(水分含有量11ppm)に変更し、溶媒除去の温度を240℃にした以外は実施例1と同じ手順を繰り返した。1−ブタノール添加により、粘度が1000mPa・sの均一の溶液が得られ、溶媒除去により得られた固体のイオン伝導度は、6.9×10−5S/cmであった。
製造例2で製造した固体電解質ガラスを出発原料に用いた。これらを真空下において300℃で2時間加熱することで固体電解質を得た。得られた固体電解質は、X線回折(XRD)からガラスセラミックであり、ラマンスペクトルから、PS4 3−構造に由来する成分の面積強度が82%であった。
製造例1で製造した硫化リチウム(Li2S)と、五硫化二リン(P2S5)(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを77:23のモル比に調製した混合物を約1gと、粒径10mmΦのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型P−7)にてアルゴン中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラス固体電解質を得た。得られた固体電解質は、X線回折(XRD)からガラス状であり、ラマンスペクトルから、PS4 3−構造に由来する成分の面積強度が79%であった。
製造例1で製造した硫化リチウム(Li2S)と、五硫化二リン(P2S5)(アルドリッチ製)及び臭化リチウム(LiBr)(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを77:23:17.3(65.6/19.6/14.8)のモル比に調製した混合物を約1gと、粒径10mmΦのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型P−7)にてアルゴン中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラス固体電解質を得た。得られた固体電解質は、X線回折(XRD)からガラス状であり、ラマンスペクトルから、PS4 3−構造に由来する成分の面積強度が80%であった。
窒素雰囲気下において、製造例3で製造したガラスセラミック固体電解質1.5gをガラス容器に取り、水分含有量49ppmのイソプロパノール10mlを加えて2時間撹拌し、粘度が800mPa・sの均一の溶液が得られた。
この溶液を、真空下室温にて脱気し、さらに温度を150℃にして溶媒を蒸発させて除去した。得られた固体のイオン伝導度を測定したところ、1.5×10−5S/cmであった。
溶媒として使用するイソプロパノールを1−ブタノール(水分含有量11ppm)に変更し、溶媒除去の温度を240℃にした以外は実施例4と同じ手順を繰り返した。1−ブタノール添加により、粘度が950mPa・sの均一の溶液が得られ、溶媒除去により得られた固体のイオン伝導度は、1.9×10−5S/cmであった。
製造例4で作製した固体電解質に変更した以外は実施例5と同様の手順で実施した。その結果、均一な溶液が得られ、溶液の粘度は1100mPa・sであった。溶媒除去後のイオン電伝導度は4.0×10−5S/cmであった。
製造例5で作製した固体電解質に変更した以外は実施例5と同様の手順で実施した。その結果、均一な溶液が得られ、溶液の粘度は1100mPa・sであった。溶媒除去後のイオン電伝導度は1.7×10−4S/cmであった。
窒素雰囲気下において、製造例2で製造した固体電解質1.5gをガラス容器に取り、水分含有量38ppmの2−ブタノール20mlを加えて16時間撹拌したところ、粘度が1200mPa・sの均一の溶液が得られた。真空下室温にて脱気し、さらに温度240℃にして溶媒を蒸発させて除去した。得られた固体のイオン伝導度を測定したところ、5.9×10−5S/cmであった。
窒素雰囲気下において、製造例2で製造した固体電解質1.5gをガラス容器に取り、水分含有量38ppmの2−ブタノール20mlを加えて16時間撹拌したところ、粘度が1200mPa・sの均一の溶液が得られた。これに臭化リチウム(乾燥処理済) 0.18gを添加して、さらに24時間撹拌した。真空下室温にて脱気し、さらに温度を150℃にして溶媒を蒸発させて除去した。得られた固体のイオン伝導度を測定したところ、7.0×10−5S/cmであった。
実施例1〜9の原料組成及び評価結果を表1に示す。
本発明の電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モータを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
Claims (9)
- リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含む化合物、及び溶媒を含み、
前記化合物の全て又は一部が前記溶媒に溶解しているアルカリイオン電解質組成物。 - 化合物の一部又は全部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物であって、
前記化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含むアルカリイオン電解質組成物。 - 化合物の全部又は一部とハロゲン化合物の全部又は一部を溶媒に溶解させたアルカリイオン電解質組成物であって、
前記化合物が、リン(P)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)及びゲルマニウム(Ge)のうち少なくとも1つの元素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち少なくとも1つの元素と、硫黄(S)元素と、を含むアルカリイオン電解質組成物。 - 前記化合物が前記アルカリ金属としてリチウム(Li)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
- 前記溶媒が水酸基を有する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
- 前記化合物が、リン(P)、リチウム(Li)、及び硫黄(S)を含む化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
- 前記化合物が、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)から選択されるハロゲン元素を含む請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物から前記溶媒を除去することにより得られる固体電解質。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物、又は請求項8に記載の固体電解質を用いて製造された電解質層と、
請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリイオン電解質組成物、又は請求項8に記載の固体電解質を用いて製造された電極層と、
のうち、少なくとも1つを備える電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012157826A JP6055618B2 (ja) | 2012-02-03 | 2012-07-13 | アルカリイオン電解質組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012021949 | 2012-02-03 | ||
JP2012021949 | 2012-02-03 | ||
JP2012157826A JP6055618B2 (ja) | 2012-02-03 | 2012-07-13 | アルカリイオン電解質組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013179025A true JP2013179025A (ja) | 2013-09-09 |
JP6055618B2 JP6055618B2 (ja) | 2016-12-27 |
Family
ID=49270474
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012157826A Active JP6055618B2 (ja) | 2012-02-03 | 2012-07-13 | アルカリイオン電解質組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6055618B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014191899A (ja) * | 2013-03-26 | 2014-10-06 | Osaka Prefecture Univ | 全固体リチウム二次電池の固体電解質を含む層の形成用溶液、全固体リチウム二次電池及びその製造方法 |
JP2015144062A (ja) * | 2014-01-31 | 2015-08-06 | 国立大学法人東京工業大学 | 硫化物固体電解質材料、電池および硫化物固体電解質材料の製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05310417A (ja) * | 1992-05-08 | 1993-11-22 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非晶質リチウムイオン導電性固体電解質およびその製造方法 |
JPH06279049A (ja) * | 1993-03-26 | 1994-10-04 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 硫化物系リチウムイオン導電性固体電解質及びその合成法 |
JP2011086556A (ja) * | 2009-10-16 | 2011-04-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 硫化物固体電解質の製造方法、および複合体 |
JP2012199003A (ja) * | 2011-03-18 | 2012-10-18 | Toyota Motor Corp | スラリー、固体電解質層の製造方法および電極活物質層の製造方法 |
-
2012
- 2012-07-13 JP JP2012157826A patent/JP6055618B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05310417A (ja) * | 1992-05-08 | 1993-11-22 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非晶質リチウムイオン導電性固体電解質およびその製造方法 |
JPH06279049A (ja) * | 1993-03-26 | 1994-10-04 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 硫化物系リチウムイオン導電性固体電解質及びその合成法 |
JP2011086556A (ja) * | 2009-10-16 | 2011-04-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 硫化物固体電解質の製造方法、および複合体 |
JP2012199003A (ja) * | 2011-03-18 | 2012-10-18 | Toyota Motor Corp | スラリー、固体電解質層の製造方法および電極活物質層の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014191899A (ja) * | 2013-03-26 | 2014-10-06 | Osaka Prefecture Univ | 全固体リチウム二次電池の固体電解質を含む層の形成用溶液、全固体リチウム二次電池及びその製造方法 |
JP2015144062A (ja) * | 2014-01-31 | 2015-08-06 | 国立大学法人東京工業大学 | 硫化物固体電解質材料、電池および硫化物固体電解質材料の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6055618B2 (ja) | 2016-12-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10090558B2 (en) | Solid electrolyte | |
KR102071846B1 (ko) | 정극 합재 | |
JP6139864B2 (ja) | 固体電解質成形体及びその製造方法、並びに全固体電池 | |
JP6599865B2 (ja) | 固体電解質組成物、その製造方法、固体電解質含有層の製造方法、電解質層及び電池 | |
JP2016134316A (ja) | 固体電解質 | |
JP6181989B2 (ja) | 全固体電池の製造方法 | |
JP2017224474A (ja) | 正極合材 | |
JP6073107B2 (ja) | 固体電解質 | |
JP6088797B2 (ja) | 固体電解質 | |
JP6118521B2 (ja) | 硫化物系固体電解質を含む電極層、硫化物系固体電解質を含む電解質層及びそれらを用いた全固体電池 | |
JP2017033770A (ja) | α−リチウム固体電解質 | |
JP2014192093A (ja) | 負極合材 | |
JP6798477B2 (ja) | 硫化物固体電解質 | |
JP5864993B2 (ja) | 複合電極材料及びその製造方法、並びに該複合電極材料を用いたリチウム電池 | |
JP2010146823A (ja) | 固体電解質シート用組成物、固体電解質シート及び固体二次電池 | |
WO2019003986A1 (ja) | 硫化物固体電解質 | |
JP5921492B2 (ja) | 負極合材、電極及びリチウムイオン電池 | |
JP5940345B2 (ja) | リチウムイオン電池 | |
JP2018005985A (ja) | 正極合材 | |
JP6373417B2 (ja) | 固体電解質 | |
JP6181988B2 (ja) | 全固体電池の製造方法 | |
JP2017183210A (ja) | 硫化物固体電解質、電極合材及びリチウムイオン電池 | |
JP6055618B2 (ja) | アルカリイオン電解質組成物 | |
JP6212592B2 (ja) | 負極合材、電極及びリチウムイオン電池 | |
JP6309344B2 (ja) | 固体電解質及び電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150408 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160209 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160404 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160816 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160920 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20161129 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6055618 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |