JPH05310417A - 非晶質リチウムイオン導電性固体電解質およびその製造方法 - Google Patents
非晶質リチウムイオン導電性固体電解質およびその製造方法Info
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- JPH05310417A JPH05310417A JP4115695A JP11569592A JPH05310417A JP H05310417 A JPH05310417 A JP H05310417A JP 4115695 A JP4115695 A JP 4115695A JP 11569592 A JP11569592 A JP 11569592A JP H05310417 A JPH05310417 A JP H05310417A
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Abstract
来の課題である低い導電率、あるいは導電率の低下をも
たらす化学的安定性の問題を解決することである。 【構成】一般式a'Li3 PO4 ・b'Li2 S・c'X(式
中、a'+b'+c'が1であって、XがSiS2 、Ge
S2 、P2 S5 およびB2 S3 から成る群より選択され
る一種以上の硫化物を示す)で表される非晶質化合物に
LiIを混合し、該混合物を加熱溶融し、その後急冷す
ることで、一般式aLi3 PO4 ・bLi2 S・cX・
dLiI(式中、a+b+c+d=1)で表される新し
い非晶質リチウムイオン導電性固体電解質を得る。
Description
サ、固体エレクトロクロミック表示素子等の電気化学素
子の電解質として利用されるリチウムイオン導電性固体
電解質に関するものである。
ウム二次電池の開発に関する研究が盛んに行われてい
る。有機電解質を用いたリチウム二次電池の開発には、
正極あるいは負極として可逆性に優れた活物質材料の開
発が必要であり、今日、そうした材料探索が盛んに行わ
れている。例えば、このような電池の負極材料に関する
研究は、リチウム金属単独あるいはリチウム合金を用い
たものから、特殊なカーボンを利用しカーボン層間へリ
チウムを可逆的に出し入れさせることのできる反応を利
用したものへと移行してきている。
の電気化学的酸化還元によって化学変化を伴うものか
ら、電解質中のLiイオンが活物質中へ出入りする材料
へと、用いられる材料が異なってきている。
向上させる為にリチウムイオン導電性固体電解質を必要
としている。しかし、現在の所、優れたリチウムイオン
導電性固体電解質がなく、新しいリチウムイオン導電性
固体電解質材料の研究開発が盛んに行われている。
して、Li2 S・X(XはSiS2、GeS2 、P2 S
5 、B2 S3 のうち少なくとも一種の硫化物)系硫化物
ガラスが優れたイオン導電性を示すことから盛んに研究
されている。
S2 のLi2 S・SiS2 系において特に高い導電率の
値を有し、その値は、5×10-4S/cm程度である。
化リチウムを添加したLiI・Li 2 S・X系ガラスで
は、10-3S/cm程度と比較的高いイオン導電率を持
つことが知られている。
iS2 、GeS2 、P2 S5 、B2 S3 のうち少なくと
も一種の硫化物)系硫化物ガラスの導電率は、前述のよ
うに5×10-4S/cmという高い値を示すが、電気化
学素子に応用するにはこのイオン導電率がまだ低く、更
にこの材料の化学的な安定性も不充分である。
-3S/cm程度と更に高いイオン導電率を示すが、リチ
ウム金属との接触により固体電解質が還元され導電性が
低下するなど化学的な安定性の面が解決されておらず、
全固体リチウム電池などの電気化学素子への応用開発に
はまだ数々の問題を有している。
電率、あるいは導電率の低下をもたらす化学的安定性の
問題を解決し、優れたリチウムイオン導電性固体電解質
を提供することにある。
に、本発明の非晶質リチウムイオン導電性固体電解質
は、一般式aLi3 PO4 ・bLi2 S・cX・dLi
Iで表されるリチウムイオン導電性固体電解質であり、
式中のa+b+c+dが1であって、XがSiS 2 、G
eS2 、P2 S5 およびB2 S3 から成る群より選択さ
れる一種以上の硫化物であることを特徴とするものであ
る。
性固体電解質の製造では、先ず一般式a'Li3 PO4 ・
b'Li2 S・c'X(式中、a'+b'+c'が1であって、X
が前記のものと同じものを示す)で表される非晶質化合
物にLiIを混合し、該混合物を加熱溶融し、その後急
冷することを特徴とするものである。
ることが好ましい。また、前記式中のa、b、cの和が
次式0.9>a+b+c>0.6の関係を満たし、かつ
dが次式0.1≦d≦0.4の関係を満たすことが好ま
しい。
性の高い結晶構造を示すが、室温付近では相転移によっ
て構造が変わり、イオン導電性が低下することが知られ
ている。
状態を示す材料に加え、これらを高温状態で一旦、非晶
質化させた後、室温状態に戻すことにより、Li3 PO
4 の状態を室温においても非晶質状態に保持させること
が可能となり、室温においても高いイオン導電性をもた
せることができることが分かった。
即ち、結晶構造の原子の配列がやや乱れた構造をとるこ
とによって結晶性材料とは異なり、リチウムイオンが自
由に動き得るようになり、その結果、イオン導電性が向
上するものと考えられる。特に、一般式a'Li3 PO4
・b'Li2 S・c'X(式中、a'+b'+c'が1であって、
XがSiS2 、GeS2 、P2 S5 およびB2 S3 から
成る群より選択される一種以上の硫化物を示す)で表さ
れる非晶質化合物にLiIを混合し、該混合物を加熱溶
解し、その後急冷することにより合成される本発明の非
晶質リチウムイオン導電性固体電解質は自由に動き得る
リチウムイオンが多くなる結果、a'Li 3 PO4 ・b'L
i2 S・c'Xで表される前記非晶質化合物材料よりもイ
オン導電率の高いリチウムイオン導電性固体電解質とな
る。
詳細に説明する。
は、一般式a'Li3 PO4 ・b'Li 2 S・c'X(式中、
a'+b'+c'が1であって、XがSiS2 、GeS2 、P
2 S 5 およびB2 S3 から成る群より選択される一種以
上の硫化物)で表される非晶質化合物を母材として用
い、添加する化合物としてヨウ化リチウム(LiI)を
用いた。
び合成した固体電解質とは大気中の酸素や水分によって
容易に分解するため、取扱はすべて乾燥アルゴン雰囲気
下のドライボックス中で行なった。
特級を使用し、特にLiIは減圧下400℃で6時間乾
燥した後使用した。
cSiS2 ・dLiI(式中、a+b+c+d=1)で
表される非晶質リチウムイオン導電性固体電解質を以下
の方法で合成した。
+c"=1)で表される化合物を合成した。この合成で
は、硫化リチウム(Li2 S)と硫化珪素(SiS2 )
をb"=0.3〜0.8となるように混合し、該混合粉末
をガラス状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気
流中950℃で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒
素中に投入して急冷することにより、一般式b"Li2 S
・c"SiS2 (b"+c"=1)で表される化合物を得た。
酸リチウム(Li3 PO4 )を一般式a'Li3 PO4 ・
b'Li2 S・c'SiS2 において、a'=0.01〜0.
3となるように加えて混合し、該粉末をガラス状カーボ
ン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中950℃で
1.5時間溶融し反応させた後、液体窒素中に投入して
急冷し、一般式a'Li3 PO4 ・b'Li2 S・c'SiS
2 (a'+b'+c'=1)で表される化合物を得た。
SiS2 材料y量に対し、ヨウ化リチウム(LiI)d
量をy+dが1となるように混合し、該混合粉末をガラ
ス状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中9
50℃で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒素中に
投入して急冷し、一般式aLi3 PO4 ・bLi2 S・
cSiS2 ・dLiI(a+b+c+d=1)で表され
る固体電解質を得た。
交流インピーダンス法によるイオン導電率の測定を行っ
た。
導電率を示し、横軸は、(0.01Li3 PO4 ・0.
64Li2 S・0.35SiS2 )に対するLiIの添
加量(モル%)を示したものである。図1より導電率は
ヨウ化リチウムの添加と共に増大した後、極大を経て、
減少していることが示されており、イオン導電率が最も
大きくなるのは、0.65(0.01Li3 PO4 ・
0.64Li2 S・0.35SiS2 )・0.35(L
iI)であり、そのイオン導電率の値は2.7×10-3
S/cmであった。
ない0.01Li3 PO4 ・0.64Li2 S・0.3
5SiS2 のイオン導電率は7×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を調べた。この安定性を調べるために、合成し
た各種組成の電解質を厚さ0.5mm、直径10mmのディ
スクにプレス成形し、更に、これらディスクの両面にリ
チウム金属ディスクを圧着し、図2に示すような密封セ
ル1を作成した。図中、2はリチウム金属を、3は電解
質をそれぞれ示す。得られたセルの化学的安定性につい
ては、これらセルを60℃の恒温槽に500時間保存
し、それぞれのセルの内部インピーダンスの経時的変化
を測定することにより評価した。
軸はインピーダンス変化を保存前の内部インピーダンス
で規格化して示したものであり、横軸は保存時間を示し
たものである。本結果から明白なように、ヨウ化リチウ
ムが0.7以上では内部インピーダンスの経時変化が著
しく大きくなり、それ以下では内部インピーダンスの増
加が少ないことが分かった。
を用いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3 PO
4 ・bLi2 S・cGeS2 ・dLiIを以下の方法で
合成した。
S2 ガラスを実施例1と同様の方法で合成した。即ち、
硫化リチウム(Li2 S)と硫化ゲルマニウム(GeS
2 )をモル比で3:2に混合し、該材料粉末をガラス状
カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中950
℃で1.5時間反応させた後、液体窒素中に投入して急
冷し、0.6Li2 S・0.4GeS2 組成の材料を合
成した。続いて、こうして得た材料0.6Li2 S・
0.4GeS2 を粉砕し、リン酸リチウム(Li 3 PO
4 )をモル比で97:3に混合し、該粉末をガラス状カ
ーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中950℃で1.5
時間反応させた。然る後、液体窒素中に投入して急冷
し、0.03Li3 PO4 ・0.58Li2 S・0.3
9GeS2 で表される非晶質材料を合成した。
Li2 S・0.39GeS2 材料yモル%に対し、塩化
リチウム(LiCl)をdモル%を加え、該混合粉末を
ガラス状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流
中950℃で1.5時間溶解し反応させた後、液体窒素
中に投入して急冷し、一般式aLi3 PO4 ・bLi 2
S・cGeS2 ・dLiI(a+b+c+d=1)で表
される固体電解質を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定を行なった。
導電率を示し、横軸は(0.03Li3 PO4 ・0.5
8Li2 S・0.39GeS2 )に対するLiIの添加
量を示したものである。図4には、導電率がヨウ化リチ
ウムの添加と共に増大した後、極大を経て、減少するこ
とが示されている。イオン導電率が最も大きくなるの
は、0.6(0.03Li3 PO4 ・0.58Li2 S
・0.39GeS2 )・0.40(LiCl)のときで
あり、そのときのイオン導電率の値は2.1×10-3S
/cmであった。
ない0.03Li3 PO4 ・0.58Li2 S・0.3
9GeS2 のイオン導電率は7×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
を用いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3 PO
4 ・bLi2 S・cP2 S5 ・dLiIを以下の方法で
合成した。
P2 S5 ガラスを実施例1と同様に合成した。即ち、硫
化リチウム(Li2 S)と硫化燐(P2 S5 )をモル比
で2:1に混合し、該材料粉末をガラス状カーボン坩堝
中に入れ、これを、アルゴン気流中500℃12時間、
続いて800℃で2時間反応させた後、液体窒素中に投
入して急冷し、0.67Li2 S・0.33P2 S5 組
成の材料を合成した。
i2 S・0.33P2 S5 を粉砕し、リン酸リチウム
(Li3 PO4 )をモル比で97:3に混合し、該粉末
をガラス状カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中95
0℃で1.5時間反応させた。然る後、液体窒素中に投
入して急冷し、0.03Li3 PO4 ・0.65Li2
S・0.32P2 S5 で示される非晶質材料を合成し
た。
Li2 S・0.32P2 S5 材料yモル%に対し、塩化
リチウム(LiCl)dモル%を加え、該混合粉末をガ
ラス状カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中950℃
で1.5時間溶解し反応させた後、液体窒素中に投入し
て急冷し、一般式aLi3 PO4 ・bLi2 S・cP 2
S5 ・dLiI(a+b+c+d=1)で表される固体
電解質を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定および本固体電解質のリチウム金属に対する化学的
安定性を調べた。
導電率を示し、横軸は(0.03Li3 PO4 ・0.6
5Li2 S・0.32P2 S5 )に対するLiIの添加
量を示したものである。イオン導電率が最も大きな値を
示した組成は、0.7(0.03Li3 PO4 ・0.6
5Li2 S・0.32P2 S5 )・0.30(LiI)
のときであり、そのときのイオン導電率の値は8.5×
10-4S/cmであった。
ない0.03Li3 PO4 ・0.65Li2 S・0.3
2P2 S5 のイオン導電率は4.2×10-4S/cmで
あった。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
を用いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3 PO
4 ・bLi2 S・cB2 S3 ・dLiIを以下の方法で
合成した。
S5 ガラスを実施例1と同様に合成した。即ち、硫化リ
チウム(Li2 S)と硫化ホウ素燐(B2 S3 )をモル
比で1:1に混合し、該材料粉末をガラス状カーボン坩
堝中に入れ、アルゴン気流中500℃12時間、続いて
800℃で3時間反応させた後、液体窒素中に投入して
急冷し、0.5Li2 S・0.5B2 S3 組成の材料を
合成した。
2 S・0.5B2 S3 を粉砕し、リン酸リチウム(Li
3 PO4 )をモル比で96:4に混合し、該粉末をガラ
ス状カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中800℃で
3時間反応させた。然る後、液体窒素中に投入して急冷
し、0.04Li3 PO4 ・0.48Li2 S・0.4
8B2 S3 で示される非晶質材料を合成した。
Li2 S・0.48B2 S3 材料yモル%に対し、ヨウ
化リチウム(LiI)dモル%を加え、該混合粉末をガ
ラス状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中
800℃で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒素中
に投入して急冷し、一般式aLi3 PO4 ・bLi2S
・cB2 S3 ・dLiI(a+b+c+d=1)で表さ
れる固体電解質を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定および本固体電解質のリチウム金属に対する化学的
安定性を調べた。
導電率を示し、横軸は(0.04Li3 PO4 ・0.4
8Li2 S・0.48B2 S3 )に対するLiIの添加
量を示したものである。イオン導電率が最も大きな値を
示した組成は、0.75(0.03Li3 PO4 ・0.
65Li2 S・0.32B2 S3 )・0.25(Li
I)のときであり、そのときのイオン導電率の値は7.
8×10-4S/cmであった。
ない0.03Li3 PO4 ・0.65Li2 S・0.3
2B2 S3 のイオン導電率は1.9×10-4S/cmで
あった。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
成に際しては、逐次非晶質材料を合成し、目的とする本
発明のリチウム固体電解質を得たが、これらはそれぞれ
において最高の条件を求めるために試行したものであっ
て、電解質組成と合成温度、昇温条件等の諸条件を選択
することにより、簡略化させることができることは勿論
のことである。
体電解質は、Li3 PO4 ・Li2 S・X(XはSiS
2 、GeS2 、P2 S5 およびB2 S3 のうち少なくと
も一種の硫化物)系硫化物非晶質材料にヨウ化リチウム
を添加することによって得られるものであり、母材のL
i2 S・X(Xは前記のものと同じものを示す)系非晶
質材料に比べ、より高いリチウムイオン導電性を示し、
リチウム金属と接触しても化学的変化が少ない。
性固体電解質を電池、コンデンサ、エレクトロクロミッ
ク表示素子等の電気化学素子の電解質に用いた場合に
は、極めて実用性の高い電気化学素子を製造することが
できることが期待される。
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示すグラフ
である。
る。
性を示すグラフである。
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示すグラフ
である。
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示すグラフ
である。
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示すグラフ
である。
サ、固体エレクトロクロミック表示素子等の電気化学素
子の電解質として利用されるリチウムイオン導電性固体
電解質に関するものである。
ウム二次電池の開発に関する研究が盛んに行われてい
る。有機電解質を用いたリチウム二次電池の開発には、
正極あるいは負極として可逆性に優れた活物質材料の開
発が必要であり、今日、そうした材料探索が盛んに行わ
れている。例えば、このような電池の負極材料に関する
研究は、リチウム金属単独あるいはリチウム合金を用い
たものから、特殊なカーボンを利用しカーボン層間へリ
チウムを可逆的に出し入れさせることのできる反応を利
用したものへと移行してきている。
の電気化学的酸化還元によって化学変化を伴うものか
ら、電解質中のLiイオンが活物質中へ出入りする材料
へと、用いられる材料が異なってきている。
向上させる為にリチウムイオン導電性固体電解質を必要
としている。しかし、現在の所、優れたリチウムイオン
導電性固体電解質がなく、新しいリチウムイオン導電性
固体電解質材料の研究開発が盛んに行われている。
して、Li2S・X(XはSiS2、GeS2、P2S5、
B2S3のうち少なくとも一種の硫化物)系硫化物ガラス
が優れたイオン導電性を示すことから盛んに研究されて
いる。
S2のLi2S・SiS2系において特に高い導電率の値
を有し、その値は、5×10-4S/cm程度である。
化リチウムを添加したLiI・Li2S・X系ガラスで
は、10-3S/cm程度と比較的高いイオン導電率を持
つことが知られている。
iS2、GeS2、P2S5、B2S3のうち少なくとも一種
の硫化物)系硫化物ガラスの導電率は、前述のように5
×10-4S/cmという高い値を示すが、電気化学素子
に応用するにはこのイオン導電率がまだ低く、更にこの
材料の化学的な安定性も不充分である。
-3S/cm程度と更に高いイオン導電率を示すが、リチ
ウム金属との接触により固体電解質が還元され導電性が
低下するなど化学的な安定性の面が解決されておらず、
全固体リチウム電池などの電気化学素子への応用開発に
はまだ数々の問題を有している。
電率、あるいは導電率の低下をもたらす化学的安定性の
問題を解決し、優れたリチウムイオン導電性固体電解質
を提供することにある。
に、本発明の非晶質リチウムイオン導電性固体電解質
は、一般式aLi3PO4・bLi2S・cX・dLiI
で表されるリチウムイオン導電性固体電解質であり、式
中のa+b+c+dが1であって、XがSiS2、Ge
S2、P2S5から成る群より選択される一種以上の硫化
物であることを特徴とするものである。
性固体電解質の製造では、先ず一般式a’Li3PO4・
b’Li2S・c’X(式中、a’+b’+c’が1で
あって、Xが前記のものと同じものを示す)で表される
非晶質化合物にLiIを混合し、該混合物を加熱溶融
し、その後急冷することを特徴とするものである。
ることが好ましい。また、前記式中のa、b、cの和が
次式0.9>a+b+c>0.6の関係を満たし、かつ
dが次式0.1≦d≦0.4の関係を満たすことが好ま
しい。
の高い結晶構造を示すが、室温付近では相転移によって
構造が変わり、イオン導電性が低下することが知られて
いる。
態を示す材料に加え、これらを高温状態で一旦、非晶質
化させた後、室温状態に戻すことにより、Li3PO4の
状態を室温においても非晶質状態に保持させることが可
能となり、室温においても高いイオン導電性をもたせる
ことができることが分かった。
即ち、結晶構造の原子の配列がやや乱れた構造をとるこ
とによって結晶性材料とは異なり、リチウムイオンが自
由に動き得るようになり、その結果、イオン導電性が向
上するものと考えられる。特に、一般式a’Li3PO4
・b’Li2S・c’X(式中、a’+b’+c’が1
であって、XがSiS2、GeS2、P2S5およびB2S3
から成る群より選択される一種以上の硫化物を示す)で
表される非晶質化合物にLiIを混合し、該混合物を加
熱溶解し、その後急冷することにより合成される本発明
の非晶質リチウムイオン導電性固体電解質は自由に動き
得るリチウムイオンが多くなる結果、a’Li3PO4・
b’Li2S・c’Xで表される前記非晶質化合物材料
よりもイオン導電率の高いリチウムイオン導電性固体電
解質となる。
詳細に説明する。
は、一般式a’Li3PO4・b’Li2S・c’X(式
中、a’+b’+c’が1であって、XがSiS2、G
eS2、P2S5およびB2S3から成る群より選択される
一種以上の硫化物)で表される非晶質化合物を母材とし
て用い、添加する化合物としてヨウ化リチウム(Li
I)を用いた。
び合成した固体電解質とは大気中の酸素や水分によって
容易に分解するため、取扱はすべて乾燥アルゴン雰囲気
下のドライボックス中で行なった。
特級を使用し、特にLiIは減圧下400℃で6時間乾
燥した後使用した。
SiS2・dLiI(式中、a+b+c+d=1)で表
される非晶質リチウムイオン導電性固体電解質を以下の
方法で合成した。
2(b”+c”=1)で表される化合物を合成した。こ
の合成では、硫化リチウム(Li2S)と硫化珪素(S
iS2)をb”=0.3〜0.8となるように混合し、
該混合粉末をガラス状カーボン坩堝中に入れ、これを、
アルゴン気流中950℃で1.5時間溶融し反応させた
後、液体窒素中に投入して急冷することにより、一般式
b”Li2S・c”SiS2(b”+c”=1)で表され
る化合物を得た。
酸リチウム(Li3PO4)を一般式a’Li3PO4・
b’Li2S・c’SiS2において、a’=0.01〜
0.3となるように加えて混合し、該粉末をガラス状カ
ーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中950℃
で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒素中に投入し
て急冷し、一般式a’Li3PO4・b’Li2S・c’
SiS2(a’+b’+c’=1)で表される化合物を
得た。
c’SiS2材料y量に対し、ヨウ化リチウム(Li
I)d量をy+dが1となるように混合し、該混合粉末
をガラス状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気
流中950℃で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒
素中に投入して急冷し、一般式aLi3PO4・bLi2
S・cSiS2・dLiI(a+b+c+d=1)で表
される固体電解質を得た。
交流インピーダンス法によるイオン導電率の測定を行っ
た。
導電率を示し、横軸は、(0.01Li3PO4・0.6
4Li2S・0.35SiS2)に対するLiIの添加量
(モル%)を示したものである。図1より導電率はヨウ
化リチウムの添加と共に増大した後、極大を経て、減少
していることが示されており、イオン導電率が最も大き
くなるのは、0.65(0.01Li3PO4・0.64
Li2S・0.35SiS2)・0.35(LiI)であ
り、そのイオン導電率の値は2.7×10-3S/cmで
あった。
ない0.01Li3PO4・0.64Li2S・0.35
SiS2のイオン導電率は7×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を調べた。この安定性を調べるために、合成し
た各種組成の電解質を厚さ0.5mm、直径10mmのディ
スクにプレス成形し、更に、これらディスクの両面にリ
チウム金属ディスクを圧着し、図2に示すような密封セ
ル1を作成した。図中、2はリチウム金属を、3は電解
質をそれぞれ示す。得られたセルの化学的安定性につい
ては、これらセルを60℃の恒温槽に500時間保存
し、それぞれのセルの内部インピーダンスの経時的変化
を測定することにより評価した。
軸はインピーダンス変化を保存前の内部インピーダンス
で規格化して示したものであり、横軸は保存時間を示し
たものである。本結果から明白なように、ヨウ化リチウ
ムが0.7以上では内部インピーダンスの経時変化が著
しく大きくなり、それ以下では内部インピーダンスの増
加が少ないことが分かった。
いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3PO4・b
Li2S・cGeS2・dLiIを以下の方法で合成し
た。
S2ガラスを実施例1と同様の方法で合成した。即ち、
硫化リチウム(Li2S)と硫化ゲルマニウム(Ge
S2)をモル比で3:2に混合し、該材料粉末をガラス
状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中95
0℃で1.5時間反応させた後、液体窒素中に投入して
急冷し、0.6Li2S・0.4GeS2組成の材料を合
成した。続いて、こうして得た材料0.6Li2S・
0.4GeS2を粉砕し、リン酸リチウム(Li3P
O4)をモル比で97:3に混合し、該粉末をガラス状
カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中950℃で1.
5時間反応させた。然る後、液体窒素中に投入して急冷
し、0.03Li3PO4・0.58Li2S・0.39
GeS2で表される非晶質材料を合成した。
i2S・0.39GeS2材料yモル%に対し、塩化リチ
ウム(LiCl)dモル%を加え、該混合粉末をガラス
状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中95
0℃で1.5時間溶解し反応させた後、液体窒素中に投
入して急冷し、一般式aLi3PO4・bLi2S・cG
eS2・dLiI(a+b+c+d=1)で表される固
体電解質を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定を行なった。
導電率を示し、横軸は(0.03Li3PO4・0.58
Li2S・0.39GeS2)に対するLiIの添加量を
示したものである。図4には、導電率がヨウ化リチウム
の添加と共に増大した後、極大を経て、減少することが
示されている。イオン導電率が最も大きくなるのは、
0.6(0.03Li3PO4・0.58Li2S・0.
39GeS2)・0.40(LiCl)のときであり、
そのときのイオン導電率の値は2.1×10-3S/cm
であった。
ない0.03Li3PO4・0.58Li2S・0.39
GeS2のイオン導電率は7×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3PO4・b
Li2S・cP2S5・dLiIを以下の方法で合成し
た。
P2S5ガラスを実施例1と同様に合成した。即ち、硫化
リチウム(Li2S)と硫化燐(P2S5)をモル比で
2:1に混合し、該材料粉末をガラス状カーボン坩堝中
に入れ、これを、アルゴン気流中500℃で12時間、
続いて800℃で2時間反応させた後、液体窒素中に投
入して急冷し、0.67Li2S・0.33P2S5組成
の材料を合成した。
i2S・0.33P2S5を粉砕し、リン酸リチウム(L
i3PO4)をモル比で97:3に混合し、該粉末をガラ
ス状カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中950℃で
1.5時間反応させた。然る後、液体窒素中に投入して
急冷し、0.03Li3PO4・0.65Li2S・0.
32P2S5で示される非晶質材料を合成した。
i2S・0.32P2S5材料yモル%に対し、塩化リチ
ウム(LiCl)dモル%を加え、該混合粉末をガラス
状カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中950℃で
1.5時間溶解し反応させた後、液体窒素中に投入して
急冷し、一般式aLi3PO4・bLi2S・cP2S5・
dLiI(a+b+c+d=1)で表される固体電解質
を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定および本固体電解質のリチウム金属に対する化学的
安定性を調べた。
導電率を示し、横軸は(0.03Li3PO4・0.65
Li2S・0.32P2S5)に対するLiIの添加量を
示したものである。イオン導電率が最も大きな値を示し
た組成は、0.7(0.03Li3PO4・0.65Li
2S・0.32P2S5)・0.30(LiI)のときで
あり、そのときのイオン導電率の値は8.5×10-4S
/cmであった。
ない0.03Li3PO4・0.65Li2S・0.32
P2S5のイオン導電率は4.2×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
いたリチウムイオン導電性固体電解質aLi3PO4・b
Li2S・cB2S3・dLiIを以下の方法で合成し
た。
5ガラスを実施例1と同様に合成した。即ち、硫化リチ
ウム(Li2S)と硫化ホウ素(B2S3)をモル比で
1:1に混合し、該材料粉末をガラス状カーボン坩堝中
に入れ、アルゴン気流中500℃で12時間、続いて8
00℃で3時間反応させた後、液体窒素中に投入して急
冷し、0.5Li2S・0.5B2S3組成の材料を合成
した。
2S・0.5B2S3を粉砕し、リン酸リチウム(Li3P
O4)をモル比で96:4に混合し、該粉末をガラス状
カーボン坩堝中に入れ、アルゴン気流中800℃で3時
間反応させた。然る後、液体窒素中に投入して急冷し、
0.04Li3PO4・0.48Li2S・0.48B2S
3で示される非晶質材料を合成した。
i2S・0.48B2S3材料yモル%に対し、ヨウ化リ
チウム(LiI)dモル%を加え、該混合粉末をガラス
状カーボン坩堝中に入れ、これを、アルゴン気流中80
0℃で1.5時間溶融し反応させた後、液体窒素中に投
入して急冷し、一般式aLi3PO4・bLi2S・cB2
S3・dLiI(a+b+c+d=1)で表される固体
電解質を得た。
べるため、交流インピーダンス法によるイオン導電率の
測定および本固体電解質のリチウム金属に対する化学的
安定性を調べた。
導電率を示し、横軸は(0.04Li3PO4・0.48
Li2S・0.48B2S3)に対するLiIの添加量を
示したものである。イオン導電率が最も大きな値を示し
た組成は、0.75(0.03Li3PO4・0.65L
i2S・0.32B2S3)・0.25(LiI)のとき
であり、そのときのイオン導電率の値は7.8×10-4
S/cmであった。
ない0.03Li3PO4・0.65Li2S・0.32
B2S3のイオン導電率は1.9×10-4S/cmであっ
た。
的安定性を実施例1と同様にして調べたところ、得られ
た結果は実施例1と同様、ヨウ化リチウムが0.6以上
では内部インピーダンスの経時変化が著しく大きくな
り、それ以下では内部インピーダンスの増加が少なくな
ることが分かった。
成に際しては、逐次非晶質材料を合成し、目的とする本
発明のリチウム固体電解質を得たが、これらはそれぞれ
において最高の条件を求めるために試行したものであっ
て、電解質組成と合成温度、昇温条件等の諸条件を選択
することにより、簡略化させることができることは勿論
のことである。
体電解質は、Li3PO4・Li2S・X(XはSiS2、
GeS2、P2S5およびB2S3のうち少なくとも一種の
硫化物)系硫化物非晶質材料にヨウ化リチウムを添加す
ることによって得られるものであり、母材のLi2S・
X(Xは前記のものと同じものを示す)系非晶質材料に
比べ、より高いリチウムイオン導電性を示し、リチウム
金属と接触しても化学的変化が少ない。
性固体電解質を電池、コンデンサ、エレクトロクロミッ
ク表示素子等の電気化学素子の電解質に用いた場合に
は、極めて実用性の高い電気化学素子を製造することが
できることが期待される。
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示す図
性を示す図
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示す図
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示す図
(LiI)添加量とイオン導電率との関係を示す図
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式aLi3 PO4 ・bLi2 S・c
X・dLiIで表されるリチウムイオン導電性固体電解
質であり、式中のa+b+c+dが1であって、XがS
iS2 、GeS2 、P2 S5 およびB2 S3 から成る群
より選択される一種以上の硫化物であることを特徴とす
る非晶質リチウムイオン導電性固体電解質。 - 【請求項2】 XがSiS2 である請求項1記載の非晶
質リチウムイオン導電性固体電解質。 - 【請求項3】 a、b、cの和が次式0.9>a+b+
c>0.6の関係を満たし、かつdが次式0.1≦d≦
0.4の関係を満たす請求項1または請求項2記載の非
晶質リチウムイオン導電性固体電解質。 - 【請求項4】 請求項1記載の非晶質リチウムイオン導
電性固体電解質の製造方法において、先ず一般式a'Li
3 PO4 ・b'Li2 S・c'X(式中、a'+b'+c'が1で
あって、Xが前記のものと同じものを示す)で表される
非晶質材料を合成した後、該非晶質材料にLiIを混合
し、該混合物を加熱溶融し、その後急冷することを特徴
とする非晶質リチウムイオン導電性固体電解質の製造方
法。
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