JP2013176737A - 塗工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工装置100は、乾きやすく凝縮しやすいなどの性質を有するペーストであっても、エアーなどの噛み込みや凹凸を低減した塗面を得ることができる。
【解決手段】塗工装置100は、ダイ110から吐出したペーストを基材PM上に、基材の塗布方向d1と直角である幅方向d2にわたって吐出通路120の吐出口180から吐出する。ダイ110は、断面台形に突出したリップ部202を有する。リップ部202は、上流リップ面212と、上流傾斜面214と、下流リップ面222と、下流傾斜面224とを備え、吐出口180の塗布方向の距離h1が0.1〜0.6mm、上流リップ面212の塗布方向の長さL11が2.0〜3.0mm、下流リップ面222の搬送方向の長さL12が2.0〜3.0mm、L13が30〜50μmに設定されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、基材上にペーストを塗布する塗工装置に関する。
塗工装置は、例えば、燃料電池を構成するガス拡散層を製造するために使用されている。すなわち、一般的に、固体高分子型燃料電池等の燃料電池では、膜電極接合体の表面にガス拡散層が接合されている。このガス拡散層に関して、製造時に、カーボン繊維等からなるガス拡散層基材の表面に、カーボン粒子、樹脂粒子および分散剤を含むペーストを塗工することで、表面に多孔質の撥水層を形成する技術が知られている。撥水層は、燃料電池において触媒電極層との間の接触抵抗を低減させ、電気化学反応によって生成された生成水の排水性を向上させて、フラッディングを抑制することができる。
こうした撥水層を塗布するための塗工装置として、搬送用ローラで基材を搬送しつつダイの吐出口からペーストを吐出することで、ペーストを基材上に塗布する装置が知られている(特許文献1,2)。
しかし、上述したガス拡散層を製造するためのペーストは、カーボン粒子や樹脂粒子などの固形分を含んでおり、また、撥水性樹脂を含んでいることから、乾きやすく、凝縮しやすく、流動性を低下させるダイラタンシーの性質を有する。こうした性質を有するペーストは、ダイの狭いスリット状の吐出口から吐出される場合に、基材上のペーストにエアーの噛み込みや、その表面に凹凸を生じて、均一の厚さで平滑な面に塗布することが難しい。このため、このようなガス拡散層を燃料電池に用いた場合には、電流のリークやガス拡散性の低下などの燃料電池の発電性能の低下を招くおそれがあった。しかし、特許文献1,2の塗布装置では、上述したペーストに十分に対応できないという課題があった。
特開2007−144362号公報 特開平08−229481号公報
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、乾きやすく凝縮しやすいなどの性質を有するペーストであっても、基材上に塗布されたペーストにエアーなどの噛み込みがなく、平滑な塗面に形成することができる塗工装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
適用例1は、ダイから吐出したペーストを基材上に塗布方向へ塗布するとともに、上記塗布方向と直角である幅方向にわたって塗布する塗工装置において、
上記ダイは、
ダイ本体から断面台形に突出したリップ部と、
ペースト供給部から供給されるペーストを、上記基材に対向する上記リップ部の面に設けた吐出口から吐出するためのノズル通路と、を備え、
上記リップ部は、
上記吐出口に対して上記塗布方向の上流側に配置された上流リップ面と、上記上流リップ面の上流側の端部に連続しかつ上記基材から離れる方向へ形成された上流傾斜面と、上記吐出口に対して上記塗布方向の下流側に配置された下流リップ面と、上記下流リップ面の下流側の端部に連続して形成されかつ上記基材から離れる方向へ下流傾斜面とを有し、上記下流リップ面が上記上流リップ面より上記基材側に突出したリップ段差を設けて形成され、
上記塗布方向における上記吐出口の距離をh1、上記塗布方向における上記上流リップ面の長さをL11とし、上記塗布方向における下流リップ面の長さをL12とし、上記下流リップ面の直角方向に対して上記下流傾斜面がなすエッジ角度をθ2とし、上記リップ段差をL13とすると、
h1が0.1〜0.6mm、L11が2.0〜3.0mm、L12が2.0〜3.0mm、θ2が20〜30゜、L13が30〜50μmに、それぞれ設定されていること、を特徴とする塗工装置である。
適用例1において、ノズル通路の吐出口からのペーストは、基材に向けて吐出され、上流リップ面および下流リップ面の付近に溜まりつつ、基材上に塗布される。このとき、ペーストは、リップ部の上流リップ面および下流リップ面に接する位置であって、塗布方向に所定範囲で満たされていない場合には、基材上に形成された塗面にエアーの噛み込みや、凹凸などを生じ易い。しかし、リップ部の形状を上述した値に設定することにより、上述した不具合を低減することができる。
[適用例2]
適用例2は、適用例1または適用例に記載の塗工装置において、
上記ノズル通路は、上記ペーストが吐出される方向への長さが10mm以上であり、上記吐出口は、上記幅方向の長さが280mmである、塗工装置。
本実施例の塗工装置が適用される燃料電池の概略構成を説明する説明図である。 塗工装置を説明する斜視図である。 塗工装置のダイの付近を説明する説明図である。 図3の4−4線に沿った断面で示す説明図である。 吐出通路の形状を説明する説明図である。 ダイのヘッドの部分を拡大した断面図である。 図6のヘッドの吐出口の付近を拡大した断面図である。 リップ部の形状を説明する説明図である。 吐出口の塗工位置の違いによる吐出流量を説明する説明図である。 吐出口の塗工位置の違いによるペーストの塗布量を説明する説明図である。 ペーストの塗面の不良率を説明する説明図である。 ヘッドの付近におけるペーストが基材に塗布される様子を説明する説明図である。 ヘッドの付近におけるペーストが基材に塗布される様子を説明する説明図である。 ヘッドの形状を求めるための手法を説明する説明図である。 ヘッドの形状を求めるための手法を説明する説明図である。
(1) 燃料電池10の概略構成
図1は本実施例の塗工装置が適用できる燃料電池の概略構成を説明するための説明図である。燃料電池10は、固体高分子型燃料電池であり、複数の単セル14が積層されたスタック構造を有している。単セル14は、燃料電池10における発電を行う単位モジュールであり、水素ガスと空気に含まれる酸素との電気化学反応により発電を行う。各単セル14は、電解質膜21の各面に触媒電極層(アノード22anおよびカソード22ca)が形成された膜電極接合体(MEAとも呼ばれる)23の両側に一対のガス拡散層(アノード側拡散層24anおよびカソード側拡散層24ca)を配置した発電体20と、発電体20を挟持する一対のセパレータ(アノード側セパレータ30anおよびカソード側セパレータ30ca)によって構成されている。
電解質膜21は、固体高分子材料としてのフッ素系スルホン酸ポリマーにより形成された高分子電解質膜(例えばナフィオン(登録商標)膜:NRE212)であり、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を有する。触媒電極層23(アノード22anおよびカソード22ca)は、電解質膜21の両側にそれぞれ配置され、燃料電池に使用されたときに一方がアノード電極として機能し、他方がカソード電極として機能する。触媒電極層23は、例えば、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば、白金)を担持したカーボン粒子(触媒担持担体)と、プロトン伝導性を有する高分子電解質(例えばフッ素系樹脂)を含んで構成されている。
セパレータ30(アノード側セパレータ30anおよびカソード側セパレータ30ca)は、ガス遮断性および電子伝導性を有する部材によって構成されており、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン等のカーボン製部材や、プレス成形したステンレス鋼などの金属部材によって形成されている。
ガス拡散層(アノード側拡散層24anおよびカソード側拡散層24ca)は、電極反応に用いられる反応ガス(アノードガスおよびカソードガス)を電解質膜21の面方向に沿って拡散させる層であり、多孔質のガス拡散層基材により構成されている。ガス拡散層基材としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体を用いることができる。ガス拡散層基材24aとしてTKK01A(商品名;三菱レイヨン)のカーボンペーパーを使用することができる。
また、ガス拡散層24は、撥水性を得るために、ガス拡散層基材24a上に撥水ペーストが形成されている。撥水層24bは、ガス拡散層基材24aよりも微細な気孔を有するいわゆるMPL層(Micro Porous Layer)である。撥水層24bは、微細な気孔における毛細管現象を利用して、電気化学反応で生じた生成水をガス拡散層基材24aへと排出する役割を果たす。
(2) 塗工工程
(2)−1 塗工装置100の構成
次に、ガス拡散層24の撥水層24bを作成するために、ペーストを塗布する工程について説明する。図2は塗工装置を説明する斜視図である。図2において、塗工装置100は、搬送ローラ102と、搬送ローラ102に対向して配置されたダイ110とを備えており、駆動装置(図示省略)により回転駆動される搬送ローラ102により基材PMを搬送しつつ基材PM上にダイ110から吐出されるペーストを塗布する装置である。
図3は塗工装置100のダイ110の付近を説明する説明図である。ダイ110は、第1ダイブロック112と、第2ダイブロック114と、シム116とを備え、これらによりペースト供給部118から供給されるペーストを基材PM上に吐出するための吐出通路120を形成している。シム116は、U字形の形状であり、第1ダイブロック112と第2ダイブロック114とにより挟持されることにより、吐出通路120を構成している。なお、本実施例では、シムを用いた構成について説明したが、シム116を用いなくても、第1ダイブロック112と第2ダイブロック114とを合わせる対向面に吐出通路120を形成してもよい。
吐出通路120は、導入通路122と、第1マニホールド130と、接続通路140と、第2マニホールド150と、ノズル通路160とを備え、ノズル通路160の先端が吐出口180になっている。なお、以下の説明において、図1に示すように、塗布方向d1とは、基材PMが搬送される方向をいい、幅方向d2とは、塗布方向d1と直角であって基材PMの幅方向をいい、吐出方向d3とは、ペーストが吐出口180から吐出される方向をいう。
図3において、導入通路122は、一端部がペースト供給部118に接続され、他端部が第1マニホールド130の中央部の導入口122aに接続されている。第1マニホールド130は、基材PMの幅方向d2とほぼ同じ長さに伸びて形成された断面円形の通路130aであり、第1ダイブロック112および第2ダイブロック114の対向面に形成された断面半円の溝を合わせることで構成されている。
接続通路140は、第1マニホールド130と第2マニホールド150とを接続する通路であり、シム116の厚さで第1マニホールド130と第2マニホールド150の幅方向d2と同じ長さに形成されている。
第2マニホールド150は、第1マニホールド130とノズル通路160とを接続する通路150aであって、シム116の厚さで第2マニホールド150の幅方向d2に形成された断面円形の通路であり、第1ダイブロック112および第2ダイブロック114の対向面に形成された断面半円の溝を合わせることで構成されている。
ノズル通路160は、第2マニホールド150に接続され、その先端が吐出口180となっている通路であり、シム116の厚さ高さ第2マニホールド150の幅方向d2に形成されている。
図4は図3の4−4線に沿った断面で示す説明図である。図4において、吐出通路120の形状および寸法は、後述するペーストの組成および物性を考慮するとともに基材PMにペーストを均一の厚さに塗布するために、以下に述べる値に設定されている。すなわち、第1マニホールド130、接続通路140、第2マニホールド150およびノズル通路160の幅方向d2における寸法は、ペーストの塗布幅と同じ幅W1で280mmに規定されている。なお、図4では、ダイ110は、幅方向d2で半分だけ示している。また、第1マニホールド130は、その中央部を中心に対称になっており、図5に示すように、導入通路122が接続された導入口122aにおける半径R1aは、6.2mmであり、幅方向d2の両端部の半径R1bは、4.7mmであり、中央部から端部に向けて連続的に縮径した曲面になっている。接続通路140は、距離h1が0.5mm、長さL1が10mmに形成されている。
第2マニホールド150は、幅方向d2の全長にわたって同じ断面円形であり、その半径R2が6.0mmである。ノズル通路160は、距離h2が0.5mm、長さL2が10mmに形成されている。吐出口180は、ノズル通路160の一端の開口であり、高さが0.5mmである。
図6はダイ110のヘッド200の部分を拡大した断面図である。ダイ110のヘッド200は、断面台形のリップ部202を備えており、ノズル通路160を中心に塗布方向d1に分けて定めると、上流リップ部210と、下流リップ部220とを備えている。上流リップ部210は、搬送ローラ102に対向する上流リップ面212と、上流リップ面212の端部から上流側であって基材PMから離れる方向に傾斜した上流傾斜面214とを備えている。また、下流リップ部220は、搬送ローラ102に対向する下流リップ面222と、下流リップ面222から下流側であって基材PMから離れる方向に傾斜した下流傾斜面224とを備えている。
上流リップ面212と搬送ローラ102の外周面との間隙は、上流液溜まり216になっており、また、下流リップ面222と搬送ローラ102の外周面との間隙は、下流液溜まり226になっている。上流液溜まり216および下流液溜まり226は、ノズル通路160に接続されている。図7は図6のヘッド200の吐出口180の付近を拡大した断面図である。下流リップ面222は、上流リップ面212に対して、搬送ローラ102に近づく方向へ、つまり下流液溜まり226の厚みを小さくする方向へ、リップ段差L13が形成されている。
ヘッド200のリップ部202の各部の寸法は、図6および図8に示すように設定されている。すなわち、上流リップ面212の塗布方向d1における上流リップ長さL11は2.5mmであり、下流リップ面222の塗布方向d1における下流リップ長さL12は2.7mmである。また、上流リップ部210における上流傾斜面214のエッジ角度θ1は、25゜であり、下流リップ部220におけるエッジ角度θ2が25゜である。また、図6に示すリップ段差L13は、−40μmである。なお、リップ段差は、基材から吐出口180に向かう方向を正の値としているから、この場合には、下流リップ面222が上流リップ面212より基材へ向かっているから、負の値で示している。
(2)−2 塗工装置のダイの吐出通路の評価
次に、塗工装置100において、以下の条件にて、塗布工程を行なった。すなわち、図3において、塗布工程は、搬送ローラ102で基材PMを搬送しつつペースト供給部118から吐出通路120の導入通路122、第1マニホールド130、接続通路140、第2マニホールド150、ノズル通路160を通じて、吐出口180から基材PMに向けて吐出することにより行なう。
ここで、塗工条件として、ペーストの吐出流量を45mml/分で、塗工速度を2m/分に設定し、その厚みは60〜100μmとなるように塗布する。
ペーストは、例えば、カーボン粉末、撥水性樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、分散剤、水などを含んだ混合溶液を用いることができる。カーボン粉末は、粒径が20〜150nmであり、燃料電池用途に使用可能な導電性を有し、金属コンタミネーションが低減されたものを使用することが望ましい。カーボン粉末は、例えば、デンカブラック(商品名;電気化学工業)を使用することができる。撥水処理材としてのPTFE樹脂は、45JR(商品名;三井デュポンFC)のPTFEディスパージョンを使用することができる。分散剤は、N1310(商品名;日本乳化剤)を使用することができる。ペーストは、その組成として、カーボンが全固形分に対して70〜90wt%、PTFEは全固形分比に対して10〜30wt%、分散剤はカーボン固形分比に対して5〜15wt%に調製し、さらにペーストの固形分比が15〜25wt%になるように水や分散剤で調製する。このときのペーストの物性は、粘度が500〜2500[aPa/s]であり、貯蔵弾性率が500〜5500Paに調製する。
このようにペーストは、吐出通路120を通じて基材上に塗布されるが、吐出通路120の形状変更による作用を調べて、以下の評価を得た。なお、吐出通路120のうち実施例にかかる形状および寸法は、図4および図5に示した通りであり、図5に実施例とともに比較例を示す。
図9は吐出口の塗工位置の違いによる吐出流量を説明するグラフである。図9において、縦軸は吐出口からの吐出流量を示し、横軸は吐出口の幅方向d2の位置を示す。ここで、実線は実施例を示し、一点鎖線は比較例を示す。図9において、比較例は、吐出流量が塗工位置の違いにより9.1%のバラツキを生じているのに対して、上記実施例は、吐出流量が塗工位置の違いによっても1.0%以内の範囲に抑制されている。
図10は吐出口の塗工位置の違いによるペーストの塗布量を説明する説明図である。図10において、縦軸は単位面積当たりのペーストの塗布量を示し、横軸は塗工位置を示す。図10において、塗工位置における塗布量との関係においても、比較例(1点鎖線)では3.3〜4.6mg/cmのバラツキを生じているが、本実施例(実線)では、4mg/cmの目標値にほぼ収まっていることが分かる。
このように、吐出口からのペーストの吐出流量および塗布量を、塗工位置の全体にわたって改善できるのは、以下の理由によると考えられる。すなわち、図3および図4において、導入通路122から第1マニホールド130に流入するペーストは、第1マニホールド130の中央部から幅方向d2の外方へ流れる。このとき、第1マニホールド130は、幅方向d2に向けて縮径されているので、つまり、R1a>R1bであるから、ペーストの流れに伴う流体圧の低下を補う。しかも、第1マニホールド130が幅方向d2に縮径した形状は、図5に示す値に設定されているので、接続通路140、第2マニホールド150、ノズル通路160を流れたペーストは、幅方向に均一の圧力となって、吐出口180から吐出される。このように、吐出口から吐出されるペーストの流体圧を、幅方向d2への均圧化を実現でき、よってペーストの吐出流量を均一化できるとともに、基材上に塗布される吐出量を幅方向でほぼ同じにでき、よって安定したガス拡散層24を得ることができる。
ここで、図4および図5の吐出通路120の寸法としては、上記実施例で説明した範囲に限らず、その発明の作用効果を損なわない限りに、以下の範囲をとることができる。なお、吐出圧が均一であるか否かは、直接、センサなどで測定することが難しいが、吐出圧は、上述した、塗工幅、ペーストの流量、塗工速度などのパラメータを定めることにより、一義的に定めることができる。また、こうした吐出圧の均一化に貢献できるダイ110の形状としては、実験、コンピュータによるシミュレーションにより求めることができる。例えば、均圧化を実現できる範囲は、第1マニホールド130の形状として、半径R1a/R1bが、1.25〜1.35に設定することができる。また、第1マニホールド130と第2マニホールド150との関係において、半径R2≦半径R1aに設定することができる。さらに、シム116(図3)の厚さで定まる接続通路140およびノズル通路160の距離h2は、0.5mm、ノズル通路160の長さL2は、10mm以上、第2マニホールド150の半径R2は、5.0mm以上に設定することができる。
(2)−3 塗工装置のダイのヘッドの評価
次に、図6および図7で説明したヘッド200の形状について評価する。ペーストは、吐出通路120からヘッド200を通じて基材上に塗布されるが、ヘッド200のリップ部202の形状変更による作用を調べて、以下の評価を得た。なお、ヘッド200のうち実施例にかかる形状および寸法は、上述した通りであり、図8に比較例とともに示す。塗工工程における条件は、上述したと同様である。
図11は図8のヘッド200の形状につき実施例と比較例の形状を作成し、ペーストの塗面における不良率を調べた説明図である。図11において、ペーストの塗面の不良は、4つの評価項目について調べた。すなわち、(a)ペースト内の凝集ダマにより塗面が凸となる場合、(b)ヘッド先端部でペーストが乾燥してダマとなり、それが塗面上に脱落して凸となる場合、(c)ペーストに泡が噛み込み、塗面が凹となる場合、(d)ペーストに筋状の模様ができて塗面が凹となる場合である。図11に示すように、いずれの評価項目においても、実施例は、比較例に比べて不良率を減少させることができた。
このような塗面の不良率を減少させることができたのは、以下の理由によると考えられる。図12はヘッドの付近におけるペーストが基材PMに塗布される様子を説明する説明図である。図12において、ノズル通路160から吐出されるペーストは、搬送ローラ102で搬送される基材PMに向けて吐出され、下流液溜まり226および上流液溜まり216に溜まりつつ、基材PM上に塗布される。このとき、ペーストが上流液溜まり216の所定以上の長さL21で満たされていない場合や、ペーストが下流液溜まり226に所定以上の長さL22を超えた場合には不良率が上昇する。すなわち、コンピュータのシミュレーションによると、上流液溜まり216は、所定の長さ5.0〜8.0mmの範囲でペーストが溜まらないと、主にエアーを噛み込み易くなる。一方、下流液溜まり226は、所定の長さ10.5mmを越えると、主に凹凸を生じやすくなり、10.0〜10.5mmの範囲であると、塗面の不良を減少するということが分かった。
すなわち、図13はヘッドの付近におけるペーストが基材に塗布される状態を説明する説明図であり、図13(A)が比較例、図13(B)が実施例をそれぞれ示す。図13(A)に示すように、上流液溜まり216が短くなると、エアーが噛み込み易くなる。また、下流液溜まり226が長くなりかつエッジ角度θ2が大きいと、下流傾斜面224をペーストがせり上がって、塗面にダマや凹凸を生じやすい。これに対して、図13(B)に示す実施例では、上流液溜まり216および下流液溜まり226に上述した範囲でペーストが溜まり、図11で説明したように塗面の不良を減少させることができる。
こうした上流液溜まり216および下流液溜まり226にペーストを溜めることができる条件は、コンピュータのシミュレーションにより得ることができる。すなわち、図6の上流リップ面212の上流リップ長さL11、下流リップ面222の下流リップ長さL12、下流リップ部220のエッジ角度θ2、図7のリップ段差L13をパラメータとして、算出式に基づいて計算すると、斜線で示すパラメータの範囲の値にて、適正な塗面が得られることが分かった。例えば、図15に示すように、泡噛み率について、要求される値が図示左側の範囲であり、下流液溜まりに要求される値が図示右側の範囲であると、その重なり合った範囲にて、適正なパラメータの範囲として算出することができる。
このように得られたヘッド200の形状として好適な範囲は、ノズル通路160の距離h1が0.1〜0.6mmに設定することができる。また、上流リップ長さL11は、2.0〜3.0mmに、下流リップ長さL12は、2.0〜3.0mmに、下流のエッジ角度θ2は、20〜30゜にそれぞれ設定することができる。さらに、リップ段差L13が−30〜−50μmに設定することができる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。すなわち、上記実施例にかかる塗工装置は、燃料電池のガス拡散層を製造するためのペーストを塗布する装置に適用したが、これに限らず、ペーストの組成や物性が同様である各種の装置の製造に適用することができる。
10…燃料電池
14…単セル
20…発電体
21…電解質膜
22ca…カソード
22an…アノード
23…触媒電極層
24…ガス拡散層
24ca…カソード側拡散層
24an…アノード側拡散層
24a…ガス拡散層基材
24b…撥水層
30…セパレータ
30ca…カソード側セパレータ
30an…アノード側セパレータ
100…塗工装置
102…搬送ローラ
110…ダイ
112…第1ダイブロック
114…第2ダイブロック
116…シム
118…ペースト供給部
120…吐出通路
122…導入通路
122a…導入口
130…第1マニホールド
130a…通路
140…接続通路
150…第2マニホールド
150a…通路
160…ノズル通路
180…吐出口
200…ヘッド
201…ダイ本体
202…リップ部
210…上流リップ部
212…上流リップ面
214…上流傾斜面
216…上流液溜まり
220…下流リップ部
222…下流リップ面
224…下流傾斜面
226…下流液溜まり
PM…基材

Claims (2)

  1. ダイから吐出したペーストを基材上に塗布方向へ塗布するとともに、上記塗布方向と直角である幅方向にわたって塗布する塗工装置において、
    上記ダイは、
    ダイ本体から断面台形に突出したリップ部と、
    ペースト供給部から供給されるペーストを、上記基材に対向する上記リップ部の面に設けた吐出口から吐出するためのノズル通路と、を備え、
    上記リップ部は、
    上記吐出口に対して上記塗布方向の上流側に配置された上流リップ面と、上記上流リップ面の上流側の端部に連続しかつ上記基材から離れる方向へ形成された上流傾斜面と、上記吐出口に対して上記塗布方向の下流側に配置された下流リップ面と、上記下流リップ面の下流側の端部に連続して形成されかつ上記基材から離れる方向へ下流傾斜面とを有し、上記下流リップ面が上記上流リップ面より上記基材側に突出したリップ段差を設けて形成され、
    上記塗布方向における上記吐出口の距離をh1、上記塗布方向における上記上流リップ面の長さをL11とし、上記塗布方向における下流リップ面の長さをL12とし、上記下流リップ面の直角方向に対して上記下流傾斜面がなすエッジ角度をθ2とし、上記リップ段差をL13とすると、
    h1が0.1〜0.6mm、L11が2.0〜3.0mm、L12が2.0〜3.0mm、θ2が20〜30゜、L13が30〜50μmに、それぞれ設定されていること、を特徴とする塗工装置。
  2. 請求項1に記載の塗工装置において、
    上記ノズル通路は、上記ペーストが吐出される方向への長さが10mm以上であり、上記吐出口は、上記幅方向の長さが280mmである、塗工装置。
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