JP2004273392A - 固体高分子電解質形の燃料電池、固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層、固体高分子電解質形のガス拡散層の製造方法 - Google Patents
固体高分子電解質形の燃料電池、固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層、固体高分子電解質形のガス拡散層の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】この燃料電池は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の厚み方向の片側に設けられ燃料ガスが供給される燃料極と、固体高分子電解質膜の厚み方向の他の片側に設けられ酸化剤ガスが供給される酸化剤極とを有する。燃料極及び酸化剤極のうちの一方または双方は、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層を有する。ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されている。ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されている。
【選択図】 図10
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質形の燃料電池、固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層、固体高分子電解質形のガス拡散層の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体高分子電解質形の燃料電池は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の厚み方向の片側に設けられ燃料が供給される燃料極と、固体高分子電解質膜の厚み方向の他の片側に設けられ酸化剤ガスが供給される酸化剤極とを有する。燃料極及び酸化剤極は、それぞれ、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層を有する。
【0003】
燃料電池では、発電反応に伴い、カソードである酸化剤極では水が生成する。生成水は主にカソード側に、生成水の一部は電解質膜を透過しアノード側へ、ガス拡散層を通して排出され、これにより燃料電池内における酸化剤ガスの水分、燃料ガスの水分を増加させる。この場合、ガス排出口側である下流領域では、ガス供給口側である上流領域に比較して水蒸気分圧が高いため、ガス拡散層内において水が凝縮し易い。このためガス排出口側である下流領域では、水がガス拡散性を妨げ(フラッディング現象ともいう)、ガス拡散層の下流領域におけるガス拡散性の低下が起こりやすい傾向がある。
【0004】
ガス排出口側である下流領域においてガス拡散性の低下が起こらないような燃料電池の運転条件(ガス加湿条件、温度など)に設定すると、逆に、ガス供給口側である上流領域において電解質膜が乾燥し、上流領域における電解質膜のプロトン伝導性が低下し、セル出力の低下を招くおそれがある。
【0005】
また燃料電池では、酸化剤ガス、燃料ガスは、発電反応により次第に消費されるため、酸化剤ガスに含まれている活物質濃度、燃料ガスに含まれている活物質濃度は、ガス供給口である上流領域から、排出口である下流領域に向かうにつれて次第に減少していく。このためガス拡散層のうち、ガス排出口側である下流領域では、ガス供給口側である上流領域に比較して発電性能が低下するおそれがある。
【0006】
上記したガス拡散層は、酸化剤ガスや燃料ガスを酸化剤極や燃料極に拡散させる役割の他に、酸化剤ガスに含まれる水分、イオン交換膜の水分、触媒層の水分を調整する役割を担うが、従来から使用されている通常のガス拡散層は2次元方向において一様の物性 構造を有している。
【0007】
上記のような下流領域におけるガス拡散性の低下、上流領域における電解質膜の乾燥を防ぐ方法として、ガス拡散層のガス拡散性(透気度)を上流領域から下流領域へ向けて徐々に高くするものが、近年、開発されつつある。
【0008】
即ち、カーボンペーパーに微細な孔を形成し、孔の数を下流に向けて次第に増加させる技術、カーボンクロスの集合密度を上流から下流にかけて疎にする技術(特開平8−124583号公報、特開平11−154523号公報、特開2001−6708号公報、特開2001−135326号公報)が提案されている。また、PTFE等の撥水剤を含有量を上流と下流とで変化させて後加工により付着させる技術(特開2001−236976号公報)が提案されている。また、気孔率の異なる拡散層を張り合せる技術(特開2001−6698号公報)が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−124583号公報
【特許文献2】特開平11−154523号公報
【特許文献3】特開2001−6708号公報
【特許文献4】特開2001−135326号公報
【特許文献5】特開2001−236976号公報
【特許文献6】特開2001−6698号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した固体高分子電解質形の燃料電池の分野では、発電出力を高めるべく、酸化剤ガスや燃料ガスの下流領域におけるガス拡散性や排水性の更なる向上が要望されている。
【0011】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、ガス拡散層の下流領域におけるガス拡散性や排水性の更なる向上を図るのに有利な固体高分子電解質形の燃料電池、固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層、固体高分子電解質形のガス拡散層の製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記した課題のもとに鋭意開発を進めている。そして、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材としてガス拡散層を構成する第1手段と、ガス拡散層の下流領域の透気度をガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定する第2手段とを併用すれば、ガス拡散層の下流領域におけるガス拡散性や排水性の更なる向上を図るのに有利であることを知見し、本発明を開発した。
【0013】
その理由としては次のように推察される。即ち、図17(A)に概念的に示すように、ガス拡散層を構成するカーボン短繊維は繊維長が短いため、図17(B)に概念的に示すカーボン繊維が長い場合に比較して、ガス透過路や水排出路となる通路の不規則方向性、多方向性を高めることができる。この結果、ガスや水を透過させる際に障害物が存在したとしても、その迂回する距離を短くでき、ガスや水をできるだけ短距離で透過させ得るためと推察される。またカーボン短繊維は繊維長が短いため、アトランダム配向性が高く、この結果、図17(B)に模式的に示すカーボン繊維が長い場合に比較して、ガス拡散層の下流領域においてガスや水をより逃がし易い方向に透過させ、できるだけ短距離で逃がすのに有利となる。このようなことがガス拡散層の下流領域において一層有効に寄与してくるものと推察される。
【0014】
(1)第1様相の本発明に係る固体高分子電解質形の燃料電池は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の厚み方向の片側に設けられ燃料ガスが供給される燃料極と、固体高分子電解質膜の厚み方向の他の片側に設けられ酸化剤ガスが供給される酸化剤極とを有する固体高分子電解質形の燃料電池において、
燃料極及び酸化剤極のうちの一方または双方は、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層を有し、
ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されており、
ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
第2様相の本発明に係る固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層は、固体高分子電解質形の燃料電池を構成する燃料極及び酸化剤極のうちの一方または双方を構成し、且つ、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層であり、ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されており、
ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
第1様相、第2様相の本発明によれば、ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されているため、下流領域におけるガス拡散性や排水性の更なる向上を図り得る。
【0017】
更に、ガス拡散層を構成するはカーボン短繊維は繊維長が短いため、ガス透過路または及び水排出路となる通路の長さが過剰に長くなることが抑えられ、ガス透過路及び水排出路となる通路の不規則方向性、多方向性を高めることができる。またカーボン短繊維は繊維長が短いため、アトランダム配向性が高い。この結果、ガス拡散層に下流領域においてガスや水を、より逃がし易い方向に透過させて逃がすのに有利となる。ひいてはガス拡散層の下流領域におけるガスや水の透過性を一層向上させることができる。
【0018】
これによりガス拡散層の下流領域におけるフラッディング現象が抑制される。またガス拡散層の下流領域においては発電反応の進行に伴い、活物質濃度が減少しているが、ガス拡散層の下流領域は前述したようにガス透過性が相対的に高められているため、活物質の拡散性を一層向上させることができ、ガス拡散層の下流領域における活物質と触媒との接触確率を向上させることができ、活物質濃度の減少に伴う発電出力の低下を補うことができる。
【0019】
(2)第3様相の本発明に係る固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法は、導電性をもつカーボン短繊維を含む液状物と、抄紙用の網状部材とを準備する工程と、液状物を網状部材に透過させることにより、液状物に含まれているカーボン短繊維を抄紙用の網状部材に堆積させて堆積物を形成し、堆積物を網状部材から分離させてガス拡散層用のシートを形成する工程とを含む固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法において、液状物に対する網状部材の厚み方向の通液抵抗は、
ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定され、
ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
第3様相の本発明に係る製造方法によれば、前述したように、液状物に対する網状部材の厚み方向の通液抵抗は、ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されており、ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されている。このため、網状部材のうちガス拡散層の下流領域に相当する領域では、単位時間当たりの液状物の透過流量は相対的に少なく、ひいては、網状部材におけるカーボン短繊維の堆積量も相対的に少ない。この結果、ガス拡散層の下流領域においてカーボン短繊維の割合は相対的に疎となり、ガス拡散層の下流領域の透気度、気孔率は相対的に高くなる。
【0021】
これに対して、網状部材のうちガス拡散層の上流領域に相当する領域では、通液抵抗が相対的に小さいため、単位時間当たりの液状物の透過流量は相対的に多くなり、ひいては、網状部材に堆積されるカーボン短繊維の堆積量も相対的に多くなる。この結果、ガス拡散層の上流領域のカーボン短繊維の割合は相対的に密となり、ガス拡散層の上流領域の透気度、気孔率は相対的に低くなる。
【0022】
また、第3様相の本発明に係る製造方法においても、ガス拡散層を構成するカーボン短繊維は繊維長が短いため、ガス透過路または及び水排出路となる1本の通路の長さが過剰に長くなることが抑えられ、ガス透過路及び水排出路となる通路の不規則方向性、多方向性を高めることができる。また前述したようにカーボン短繊維は繊維長が短いため、アトランダム配向性が高い。この結果、ガス拡散層に下流領域においてガスや水をより逃がし易い方向に透過させ、できるだけ短い距離で逃がすのに有利となる。ひいてはガス拡散層の下流領域におけるガスや水の透過性を向上させることができる。
【0023】
(3)第4様相の本発明に係る固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法は、導電性をもつカーボン短繊維を含む液状物を貯留可能な容器と、抄紙用の網状部材とを準備する工程と、液状物を網状部材に透過させることにより、液状物に含まれているカーボン短繊維を抄紙用の網状部材に堆積させて堆積物を形成し、堆積物を網状部材から分離させてガス拡散層用のシートを形成する工程とを含む固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法において、容器内における液状物の液面と網状部材との間の距離をLとすると、
距離Lは、
ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に小さく設定され、ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0024】
第4様相の発明の製造方法によれば、前述したように、距離Lは、ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に小さく設定され、ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されている。このように網状部材のうちガス拡散層の下流領域に相当する領域では、距離Lは相対的に小さく設定されているため、単位時間あたりに液状物が網状部材を透過する透過流量は相対的に少なくなり、ひいては、網状部材に堆積されているカーボン短繊維の堆積量も相対的に少なくなる。この結果、ガス拡散層の下流領域のカーボン短繊維の割合は相対的に疎となり、ガス拡散層の下流領域の透気度、気孔率は相対的に高くなる。また、網状部材のうちガス拡散層の上流領域に相当する領域では、距離Lは相対的に大きく設定されているため、単位時間あたりに液状物が網状部材を透過する透過流量は相対的に多くなり、ひいては、網状部材に堆積されているカーボン短繊維の堆積量も相対的に多くなる。この結果、ガス拡散層の上流領域のカーボン短繊維の割合は相対的に密となり、透気度、気孔率は相対的に低くなる。
【0025】
これによりガス拡散層の下流領域におけるフラッディング現象が抑制される。またガス拡散層の下流領域においては発電反応に伴い活物質濃度が減少しているが、ガス拡散層の下流領域はガス透過性が相対的に高められているため、活物質の拡散性を向上させることができ、ガス拡散層の下流領域における活物質と触媒との接触確率を向上させることができ、活物質濃度の減少に伴う発電出力の低下を補うことができる。
【0026】
ガス拡散層を構成するはカーボン短繊維は繊維長が短いため、ガス透過路または及び水排出路となる通路の長さが過剰に長くなることが抑えられ、ガス透過路及び水排出路となる通路の不規則方向性、多方向性を高めることができる。また前述したようにカーボン短繊維は繊維長が短いため、アトランダム配向性が高い。この結果、ガス拡散層に下流領域においてガスや水を、より逃がし易い方向に透過させて逃がすのに有利となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、ガス拡散層は、ガスを拡散させると共に導電性をもつ。ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されている。
【0028】
ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されている。カーボン短繊維は剛直性が高い繊維である。カーボン短繊維の長さとしては、8mm以下、7mm以下、5mm以下、4mm以下、2mm以下を例示できる。カーボン短繊維の径としては、200μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、10μm以下を例示できる。ガス拡散層は、カーボン短繊維の他に、カーボンブラック等の導電物質、これらを結合させる結合材を含むことができる。結合材としては、撥水性を有するフッ素樹脂を例示できる。フッ素樹脂としては、フッ素樹脂系としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を採用することができ、場合によっては、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のうちの少なくとも1種を例示できる。
【0029】
第3様相の本発明に係る製造方法によれば、前述したように、液状物に対する網状部材の通液抵抗は、ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定され、ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されている。液状物に対する網状部材の通液抵抗は、網状部材の網目のサイズを変えたり、あるいは、網状部材を複数枚積層させたりすることにより調整できる。即ち、網状部材の通液抵抗は、前記網状部材の積層枚数または単位面積当たりの網目密度を変更することにより実現されている形態を例示できる。
【0030】
第4様相の本発明に係る製造方法によれば、前述したように、容器内における液状物の液面と網状部材との間の距離をLとすると、距離Lは、ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に小さく設定され、ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されている。
【0031】
前記距離Lの大小関係は、液状物を貯留可能な容器を仮想水平線に対して傾斜させることにより実現されている形態を例示できる。なお、液状物は、導電性をもつカーボン短繊維を分散媒に含む他に、有機繊維を分散媒に含む形態を例示できる。有機繊維としては例えばパルプ等の繊維を採用することができ、場合によっては木綿等の植物性繊維、羊毛等の動物性繊維等を採用することもできる。分散媒としては一般的には水を採用でき、場合によっては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の有機溶媒でも良い。
【0032】
【実施例】
(第1実施例)
以下、第1実施例を図面を参照して説明する。
【0033】
導電性をもつカーボン短繊維(径:14μm、長さ:2〜3mm)と有機繊維としてのパルプとを重量比で6:4で混合し、水中で叩解することにより、カーボン短繊維とパルプとを均一に分散した液状物1を作製した。この場合、カーボン短繊維とパルプとの合計100重量部に対して、水は99.0〜99.9重量部とした。パルプの繊維はカーボン短繊維よりも長さ及び径が大きい。パルプは気孔率を高めるべく焼成時に焼失して気孔を形成するため、焼失物質(消失物質)として機能することができる。
【0034】
そして、図1(A)〜(C)に示すように、その液状物1を平坦な抄紙用の網状部材2の上面に供給して網状部材2に透過させた。これにより液状物1に含まれているカーボン短繊維及びパルプを主要成分とする堆積物を、網状部材2の上面に堆積させ、紙状シート3A(平均厚み:250〜300μm)を形成した。その紙状シート3Aを網状部材2から分離させた。即ち、紙状シート3Aは抄紙法で形成された。
【0035】
ここで、網状部材2が細かいほど、液状物1に対する網状部材2の通水抵抗は大きくなるため、単位時間当たりに網状部材2に透過される液状物1の透過流量は少なくなり、液状物1の水分が徐々に下方に排出されることになり、結果として、網状部材2の上面に堆積して形成された紙状シート3Aの密度が低くなる。
【0036】
これに対して網状部材2が粗いほど、液状物1に対する網状部材2Aの通水抵抗は小さくなるため、単位時間当たりに網状部材2に透過される液状物1の透過流量が多くなる。この結果、網状部材2の上面に堆積して形成された紙状シート3Aの密度が高くなる。
【0037】
本実施例では、導電物質としてのカーボンブラック(キャボット株式会社製 バルカン XC−72)と、撥水剤(PTFE分散液 ダイキン工業 D−1)とを水に分散させたペーストを予め作製した。図1(D)に示すように、上記したように形成された紙状シート3Aにペーストを通常のロールコート法により含浸させた。
【0038】
図2はロールコート装置4を示す。図2に示すように、ロールコート装置4は、第1ロール面40xをもつ第1ロール40と、第1ロール40に並設された第2ロール面41xをもつ第2ロール41と、第1ロール40に付設され第1ロール40よりも径小の厚み調整ロール43と、ペーストを第1ロール面40xに供給する塗布部44とをもつ。厚み調整ロール43の軸心は第2ロール41の軸芯に対して傾斜可能とされており、隙間46の隙間幅を調整可能とされている。厚み調整ロール43の軸心を傾斜させることにより、紙状シート3Aに塗布する塗布分布量は、第2ロール41の軸長方向において調整可能とされている。第1実施例では、図3に示すように、厚み調整ロール43の軸心は第2ロール41の軸芯に対して平行に配置されている。隙間46の隙間幅を均等化しているため、ペーストの塗布量は上流領域と下流領域とで基本的には均等である。
【0039】
上記したようにロールコート装置4によりペーストを含浸させた紙状シート3Aを、所定時間乾燥させた。その後、ペーストを含浸させた紙状シート3Aを380℃で焼成した。焼成時には、紙状シート3Aに含まれているパルプ成分を焼成により焼失させ、気孔を有するシートを形成した。その後、シートに対してプレス工程を行い、シートの厚みの均等化を図り、第1実施例に係るガス拡散層6(図1(E)参照、平均厚み:190〜210μm)を得た。なおパルプ成分は焼成により焼失しているため、焼失跡はガス拡散層3において気孔となり、厚み方向及び面方向におけるガス透過性及び水排水性が確保される。
【0040】
(ガス拡散層6の下流領域に相当する領域の説明)
第1実施例では、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域については、図5に示すように、次のような形態となる。
▲1▼液状物1に対する網状部材2の通水抵抗は、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されている。
▲2▼従って、単位時間当たりに網状部材2を透過する液状物1の透過流量は相対的に少ない。
▲3▼従って、単位面積当たりの網状部材2の上面における堆積物(カーボン短繊維+パルプ)の堆積量も相対的に少ない。
▲4▼従って、紙状シート3のうちのカーボン短繊維の集積密度は相対的に低くなる。
▲5▼従って、ガス拡散層6の構造は相対的に疎となる。
▲6▼従って、ガス拡散層6の透気度、気孔率は相対的に大きくなる。
【0041】
(ガス拡散層6の上流領域に相当する領域の説明)
第1実施例では、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域については、図5に示すように、次のような形態となる。
▲1▼液状物1に対する網状部材2の通水抵抗は、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されている。
▲2▼従って、単位時間当たりに網状部材2を透過する液状物1の透過流量は相対的に多い。
▲3▼従って、単位面積当たりの網状部材2の上面における堆積物(カーボン短繊維+パルプ)の堆積量も相対的に多い。
▲4▼従って、紙状シート3のうちのカーボン短繊維の集積密度は相対的に高くなる。
▲5▼従って、ガス拡散層6の構造は相対的に密となる。
▲6▼ガス拡散層6の透気度、気孔率は相対的に小さくなる。
【0042】
(第2実施例)
第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成である。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例では、上記したように抄紙法により得られた紙状シート3A(平均厚み:250〜300μm)を用いた。そして、第1実施例と同様に、カーボンブラックと撥水剤とを分散させたペーストをロールコートにより紙状シート3Aに含浸させた。この場合、図4に示すように、厚み調整ロール43の軸心を第2ロール41の軸芯に対して傾斜させることにより、隙間46の隙間幅に差を形成し、紙状シート3Aに塗布する塗布分布量に差を付けた。即ち、図4に示すように、厚み調整ロール43と第2ロール41との間のギャップである隙間46の隙間幅に偏りを設け、ロールコートによりコートされるペーストの塗布層の厚みに100〜300μmの範囲で左右に差をつけ、これによりペーストの塗布量が左右で異なるように調整した。つまり、ペーストの塗布量を上流領域と下流領域とで異ならせた。
【0043】
具体的には、ガス拡散層6において下流領域となる部分ではペーストを薄く塗布含浸すると共に、ガス拡散層6で上流領域となる部分ではペーストを厚く塗布含浸させた。ここで、ペーストの塗布量が左右で異なるようペーストを含浸させることを、ギャップコートという。
【0044】
上記したようにペーストを含浸させた紙状シート3Aを所定時間乾燥させた後に、第1実施例と同様に380℃で焼成し、紙状シート3Aに含まれているパルプ成分を焼成により焼失させてシートを形成した。その後、シートに対してプレス工程を行ない、シートの厚みの均等化を図り、第2実施例に係るガス拡散層6(平均厚み:190〜210μm)を得た。
【0045】
本実施例によれば、ガス拡散層6で下流領域となる部分では、ペーストが薄く塗布されているため、必然的にガス拡散層6のペースト部分の密度が低くなり、透気度、気孔率が相対的に高くなる。これに対して、ガス拡散層6において上流領域となる部分では、ペーストを厚く塗布した後にプレス工程により厚みを下流領域と均等化させるため、ペースト部分の密度が必然的に密度が高くなり、透気度、気孔率が相対的に低くなる。
【0046】
(第3実施例)
第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成である。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、図6に示すように、カーボン短繊維とパルプからなる液状物1を貯留可能な容器4を用い、容器4に貯留されている液状物1を網状部材2の上面に供給するとき、容器4を仮想水平線に対して傾斜させることにより、網状部材2を仮想水平線に対して傾斜させた。この結果、ガス流れに沿って堆積物(カーボン短繊維+パルプ)の坪量が連続的に異なる紙状シート3B(平均厚み:230〜310μm)を抄紙法により形成した。
【0047】
換言すると、図6に示すように、容器4内における液状物1の液面1fと網状部材2との間の距離をL(L1、L2)とすると、容器4を仮想水平線に対して傾斜させることにより、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では距離L1は相対的に小さく設定されており、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では距離L2は相対的に大きく設定されている。
【0048】
このように網状部材2のうちガス拡散層6の下流領域に相当する領域では、距離L1は相対的に小さく設定されているため、単位時間あたりに網状部材2を透過する液状物1の透過流量、液状物1の透過速度は相対的に少なくなり、ひいては、液状物1に含まれているカーボン短繊維が網状部材2の上面に堆積する堆積量も相対的に少なくなる。この結果、ガス拡散層6の上流領域のカーボン短繊維の割合は相対的に疎となり、気孔率が相対的に高くなり、透気度は相対的に高くなる。
【0049】
また、網状部材2のうちガス拡散層6の上流領域に相当する領域では、距離L2は相対的に大きく設定されているため、単位時間あたりに液状物1が網状部材2を透過する透過流量が相対的に多くなる。ひいては、液状物1に含まれているカーボン短繊維が網状部材2の上面に堆積する堆積量が相対的に多くなる。この結果、ガス拡散層6の上流領域のカーボン短繊維の割合は相対的に密となり、気孔率が相対的に低くなり、透気度は相対的に低くなる。このようにして紙状シート3B(図6(B)参照,平均厚み:230〜310μm)を形成した。
【0050】
そして紙状シート3Bに対してロールコートを行い、ペーストを含浸させた。即ち、第1実施例と同様に、カーボンブラックと撥水剤を分散させたペーストを紙状シート3Bに通常のロールコート法(図3参照)により含浸させた。コートする厚みは上流領域と下流領域とでほぼ均等とした。
【0051】
そして、ペーストを含浸させた紙状シート3Bを、所定時間乾燥させた。その後、ペーストを含浸させた紙状シート3Bを第1実施例と同様に380℃で焼成し、シートを形成した。シートに対してプレス工程を行って厚み調整を行い、第3実施例3に係るガス拡散層6を得た。パルプ成分の焼失跡は気孔となり、ガス透過性及び水排水性を確保できる。
【0052】
(第4実施例)
第4実施例は第3実施例と基本的には同様の構成である。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、第3実施例と同様に、カーボン短繊維とパルプからなる分散液を網状部材2に供給するとき、容器4を傾斜させた。この結果、ガス流れの方向に沿って堆積物の坪量が連続的に異なる紙状シート3B(平均厚み:230〜310μm)を抄紙法により形成した。
【0053】
そして、第2実施例と同様にカーボンブラックと撥水剤とを分散させたペーストをギャップコート法(図4参照)により、紙状シート3Bに塗布含浸させた。この場合、ロールコートによりコートされる層の厚みに100〜300μmの範囲で左右に差をつけ、ペーストの塗布量が左右で異なるように調整した。つまり、ペーストの塗布量を上流領域と下流領域とで異ならせた。具体的には上流領域ではペースト量を8mg/cm2とし、下流領域ではペースト量を3mg/cm2とした。そして、ペーストを含浸させた紙状シート3Bを所定時間乾燥させた後に、第1実施例と同様に380℃で焼成して、焼成によりパルプ成分を焼失させシートを形成した。更にシートに対してプレス工程を行い、第4実施例に係るガス拡散層6を得た。
【0054】
(第5実施例)
第5実施例は第4実施例と基本的には同様の構成である。以下、第4実施例と相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、液状物1を平坦な抄紙用の網状部材2Cの上面に供給して網状部材に透過させた。この網状部材2Cの網穴分布は均等とされている。これにより液状物1に含まれているカーボン短繊維及びパルプを主要成分とする堆積物を、網状部材2Cの上面に堆積させ、抄紙法により紙状シート3C(平均厚み:260〜280μm)を形成した。その紙状シート3Cを網状部材から分離させた。
【0055】
そして、第4実施例と同様にカーボンブラックと撥水剤とを分散させたペーストをギャップコート法(図4参照)により、紙状シート3Bに塗布含浸させた。この場合、ロールコートによりコートされる層の厚みに100〜300μmの範囲で左右に差をつけ、ペーストの塗布量が左右で異なるように調整した。つまり、ペーストの塗布量を上流領域と下流領域とで異ならせた。具体的には上流領域ではペースト量を8mg/cm2とし、下流領域ではペースト量を3mg/cm2とした。そして、ペーストを含浸させた紙状シート3Cを所定時間乾燥させた後に、第1実施例と同様に380℃で焼成して、焼成によりパルプ成分を焼失させシートを形成した。更にシートに対してプレス工程を行い、第5実施例に係るガス拡散層6(平均厚み:190〜210μm)を得た。
【0056】
(試験例)
上記したように製造した第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層6を固体高分子電解質形の燃料電池のセルに組み込み、発電性能を調べた。図7は第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層6の概念図を示す。図7に示すように、第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層6によれば、ガス拡散層6の下流領域の厚み方向の透気度は、ガス拡散層6の上流領域の厚み方向の透気度よりも相対的に大きく設定されている。厚み方向の透気度が高ければ、面方向の透気度も高くなる。 図8は、第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層6の上流領域から下流領域にかけて厚み方向の透気度を測定した試験結果を示すグラフである。この場合、上記した紙状シート3Aについて、これの上流領域から下流領域にわたる位置から複数(5点以上)の試験片を切り出した。図9は透気度測定の概念図を示す。そして図9に示すように、1個の試験片の厚み方向の片側を圧力室とし、試験片の厚み方向の他の片側を開放室とするように試験片を試験装置にセットし、圧力室に試験ガス(窒素ガス)を供給し、試験片の透気度を測定した。この場合、圧力室に10−3m3/minの窒素ガスを流し、開放室との差圧を測定して行った。紙状シート3B,3Cについても同様に行った。
【0057】
図8に示すように、ガス拡散層6の下流領域の厚み方向の透気度は、ガス拡散層6の上流領域の厚み方向の透気度よりも相対的に大きく設定されている。図8において、特性線M1は第2実施例、第4実施例、第5実施例を示し、特性線M2は第1実施例、第3実施例を示す。ここで、ガス拡散層6の最上流の厚み方向の透気度を1とすると、ガス拡散層6の最下流の厚み方向の透気度は8以上、殊に10以上とされていた。殊に、第2実施例、第4実施例5ではガス拡散層6の最下流の厚み方向の透気度は80以上とされていた。
【0058】
従って、ガス拡散層6の上流領域の厚み方向の透気度を1とすると、ガス拡散層6の下流領域の厚み方向の透気度は8〜150倍の範囲内に設定されている。
【0059】
比較例に係るガス拡散層についても同様な条件で透気度を調べた。比較例に係るガス拡散層では、従来同様に、カーボン短繊維の密度及びペーストの塗布密度は上流領域と下流領域とで同じ程度とされている。
【0060】
上記した第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層6をセパレータと共に燃料電池セルに(セル数:1)に組み込み、電流−電圧特性を試験した。更に、比較例に係るガス拡散層をセパレータと共に燃料電池セルに組込み、同様に試験した。(セル数:1)。 図10はこの試験例で用いた燃料電池セルの概念を示す。酸化剤ガスと燃料ガスは基本的には逆の流れとしている。この試験例では、ガス拡散層6のサイズは12cm×12cmとした。セパレータはカーボン焼成品とした。
【0061】
この試験例では、図10に示すように、空気極側(カソード)については、酸化剤ガスの流れの入口(上流)から出口(下流)にかけて、ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されている。換言すると、空気極側については、酸化剤ガスの流れの入口(上流)から出口(下流)にかけて、ガス拡散層の構造は密から粗となるように連続的に変化している。
【0062】
また図10に示すように、燃料極側(アノード)については、燃料ガスの流れの入口(上流)から出口(下流)にかけて、ガス拡散層の下流領域の透気度は、ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されている。換言すると、燃料極側については、酸化剤ガスの流れの入口(上流)から出口(下流)にかけて、ガス拡散層の構造は密から粗となるように連続的に変化している。
【0063】
図11は発電性能の結果を示す。図11の横軸は電流密度(相対表示)、図10の縦軸は電圧(相対表示)を示す。図11に示すように、第1実施例〜第5実施例に係るガス拡散層を搭載した燃料電池によれば、比較例に係るガス拡散層を搭載した燃料電池よりも良好な発電性能が得られた。
【0064】
(他の例)
前述したように、液状物1に対する網状部材2の厚み方向の通水抵抗は、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定され、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されている構造が採用されている。かかる構造を実現する網状部材2の例を図12、図13に示す。図12は網状部材2Dの概念の平面を示す。図12に示すように、網状部材2Dの網材の密度は、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では相対的に高く設定され、網状部材2Dの通水抵抗が相対的に大とされている。一方、網状部材2Dの網材の密度は、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では相対的に低く設定され、網状部材2Dの通水抵抗が相対的に小さくされている。
【0065】
図13は他例に係る網状部材2Eの概念の断面を示す。図13に示すように、網状部材2Eによれば、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では、網の積層枚数が相対的に増加しており、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では、網の積層枚数が相対的に減少している。これにより液状物1に対する網状部材2の厚み方向の通水抵抗は、ガス拡散層6の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定され、ガス拡散層6の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されている構造が採用されている。
【0066】
図14は燃料電池に搭載するガス配流板として機能するセパレータ9の一例の平面図を示す。図14に示すようにこのセパレータ9の表出面において、酸化剤ガスや燃料ガスは、入口200から出口202に向けて矢印方向にほぼU字形状に流れる。このようにセパレータ9と共に使用されるガス拡散層6を形成するための網状部材2Fにおいて、ガス流れ方向(ほぼU字形状に沿った方向)に沿った局部的な通水抵抗(厚み方向の通水抵抗)をα1〜α6とすると、網状部材2Fのうち上流領域に相当する通水抵抗α1は小さく設定され、この結果、網状部材2Fを透過させる単位時間当たりの液状物1の透過流量は大きく設定されている。また、ガスの下流領域に相当する通水抵抗α6は大きく設定され、網状部材2Fを透過する単位時間当たり液状物1の透過流量は小さく設定されている。具体的には、網状部材2Fにおいて、ガス流れ方向(ほぼU字形状に沿った方向)に沿った部分的な通水抵抗(厚み方向の通水抵抗)α1〜α6については、α1<α2<α3<α4<α5<α6の関係に設定されている。
【0067】
(適用例)
上記した製造方法に基づいて製造したガス拡散層を燃料電池のセルに組み込んだ状態を図16に模式的に示す。図16は模式図であるため、厚みの大小関係まで特定するものではない。この燃料電池は固体高分子電解質形の燃料電池である。図16に示すように、燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子膜形の固体電解質膜10(米国デュポン社製 ナフィオン)を挟む燃料極用のガス拡散層20と酸化剤極用のガス拡散層30とを備えている。
【0068】
燃料極用のガス拡散層20及び酸化剤極用のガス拡散層30は、上記した製造方法により製造されたガス拡散層に基づいて形成されている。燃料極用のガス拡散層20と固体電解質膜10との間には、触媒金属を有する触媒層22が固体電解質膜10に対面するように設けられている。ガス拡散層20と触媒層22とで燃料極が形成されている。
【0069】
酸化剤極用のガス拡散層30と固体電解質膜10との間にも、触媒金属を有する触媒層32が固体電解質膜10に対面するように設けられている。ガス拡散層30と触媒層32とで酸化剤極が形成されている。
【0070】
燃料極用のガス拡散層20は、負極活物質としての水素を含む水素含有ガス(純水素ガスでも良い)が流れるガス通路25を形成するセパレータ26に対面する。酸化剤極用のガス拡散層30は、正極活物質としての酸素を含む酸素含有ガス(純酸素ガスでも良い)が流れるガス通路35を形成するセパレータ36に対面する。
【0071】
上記した燃料電池によれば、水素を含む水素含有ガス(種類:純水素、水素利用率80%)をガス通路25に供給すると共に、酸素含有ガス(種類:空気、空気利用率25%)をガス通路35に供給して試験を行ったところ、燃料電池の発電性能は良好であった。
【0072】
(他の例)明細書全文に表れる部材の形容はあくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の厚み方向の片側に設けられ燃料ガスが供給される燃料極と、前記固体高分子電解質膜の厚み方向の他の片側に設けられ酸化剤ガスが供給される酸化剤極とを有する固体高分子電解質形の燃料電池において、
前記燃料極及び前記酸化剤極のうちの一方または双方は、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層を有し、
前記ガス拡散層の下流領域の厚み方向の透気度は、前記ガス拡散層の上流領域の厚み方向の透気度よりも相対的に大きく設定されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池。
(付記項2)固体高分子電解質形の燃料電池を構成する燃料極及び酸化剤極のうちの一方または双方を構成し、且つ、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層であり、前記ガス拡散層の下流領域の厚み方向の透気度は、前記ガス拡散層の上流領域の厚み方向の透気度よりも相対的に大きく設定されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層。
(付記項3)ガス拡散層のガス流れ方向(例えばほぼU字形状に沿った方向)において上流から下流に向けて、単位面積当たりの通水抵抗は次第に大きくなるように設定されていることを特徴とする網状部材。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、下流領域におけるガス拡散性や排水性の更なる向上を図るのに有利な固体高分子電解質形の燃料電池、固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層、ガス拡散層の製造方法を提供することができる。
【0074】
殊に、ガス拡散層はカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されており、ガス拡散層においてカーボン短繊維のアトランダム配向性が高く、カーボン短繊維は四方八方に指向しているため、ガス拡散層に下流領域においてガスや水を逃がし易い方向に透過させ逃がすのに有利となる。ひいてはガス拡散層の下流領域におけるガスや水の透過性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボン短繊維及びパルプを含む液状物を網状部材に透過させる形態を示す構成図である。
【図2】ペーストを紙状シートにロールコート法により塗布含浸させる形態を示す構成図である。
【図3】ペーストを紙状シートにロールコート法により均等に塗布含浸させる形態を示す構成図である。
【図4】ペーストを紙状シートにロールコート法により塗布量に差をもたせて塗布含浸させる形態を示す構成図である。
【図5】液状物を網状部材に透過させる形態において、各特性を示す構成図である。
【図6】網状部材を傾斜させつつ、カーボン短繊維を含む液状物を網状部材に透過させる形態を示す構成図である。
【図7】上流領域と下流領域とで透気度に差をつけたガス拡散層の概念図である。
【図8】ガス拡散層における透気度の大小関係を示すグラフである。
【図9】ガス拡散層における透気度を測定する試験形態を示す概念図である。
【図10】実施例に係るガス拡散層を搭載した燃料電池の概念図である。
【図11】実施例に係るガス拡散層を搭載した燃料電池についての電流密度と電圧との関係を表す試験結果を示すグラフである。
【図12】上流領域と下流領域とで通水抵抗が異なる網状部材の形態を示す概念図である。
【図13】上流領域と下流領域とで通水抵抗が異なる網状部材の他の形態を示す概念図である。
【図14】セパレータの一例を示す平面図である。
【図15】上記セパレータと共に装備されるガス拡散層を形成する網状部材の通水抵抗の分布を示す平面図である。
【図16】適用例に係る燃料電池の概念図である。
【図17】(A)はカーボン短繊維を用いたときの通路形態を示す概念図であり、(B)は長さが長いカーボン繊維を用いたときの通路形態を示す概念図である。
【符号の説明】
図中、1は液状物、2は網状部材、3は紙状シート、6はガス拡散層、2030はガス拡散層、10は固体電解質膜を示す。
Claims (6)
- 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の厚み方向の片側に設けられ燃料ガスが供給される燃料極と、前記固体高分子電解質膜の厚み方向の他の片側に設けられ酸化剤ガスが供給される酸化剤極とを有する固体高分子電解質形の燃料電池において、
前記燃料極及び前記酸化剤極のうちの一方または双方は、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層を有し、
前記ガス拡散層の下流領域の透気度は、前記ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されており、
前記ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池。 - 固体高分子電解質形の燃料電池を構成する燃料極及び酸化剤極のうちの一方または双方を構成し、且つ、ガスを拡散させると共に導電性をもつガス拡散層であり、
前記ガス拡散層の下流領域の透気度は、前記ガス拡散層の上流領域の透気度よりも相対的に大きく設定されており、
前記ガス拡散層は、導電性をもつカーボン短繊維をシート状に集積させた集積体を基材として構成されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層。 - 導電性をもつカーボン短繊維を含む液状物と、抄紙用の網状部材とを準備する工程と、
前記液状物を前記網状部材に透過させることにより、前記液状物に含まれているカーボン短繊維を抄紙用の前記網状部材に堆積させて堆積物を形成し、前記堆積物を前記網状部材から分離させてガス拡散層用のシートを形成する工程とを含む固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法において、
前記液状物に対する前記網状部材の厚み方向の通液抵抗は、
前記ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に大きく設定され、
前記ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に小さく設定されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法。 - 請求項3において、前記網状部材の通液抵抗は、前記網状部材の積層枚数または単位面積当たりの網目密度を変更することにより実現されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法。
- 導電性をもつカーボン短繊維を含む液状物を貯留可能な容器と、抄紙用の網状部材とを準備する工程と、
前記液状物を前記網状部材に透過させることにより、前記液状物に含まれているカーボン短繊維を抄紙用の前記網状部材に堆積させ、堆積物を前記網状部材から分離させてガス拡散層用のシートを形成する工程とを含む固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法において、
前記容器内における液状物の液面と前記網状部材との間の距離をLとすると、
前記距離Lは、
前記ガス拡散層の下流領域に相当する領域では相対的に小さく設定され、前記ガス拡散層の上流領域に相当する領域では相対的に大きく設定されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法。 - 請求項5において、前記距離Lの大小関係は、前記液状物を貯留する前記容器を前記網状部材と共に仮想水平線に対して傾斜させることにより実現されていることを特徴とする固体高分子電解質形の燃料電池用のガス拡散層の製造方法。
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