JP2016195058A - ガス拡散層、その製造方法、およびガス拡散層ロール状物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のガス拡散層は、以下の工程[1]〜[4]を含む製造方法によって製造することができる。
使用するカーボン粉としては、たとえば、黒鉛粉やカーボンブラックなどを用いることができる。例えばカーボンブラックとしてはアセチレンブラック(例えば電気化学工業(株)製のデンカブラック)、ケッチェンブラック(例えばライオン(株)製のKetjen Black EC)、ファーネスブラック(例えばCABOT社製のバルカンXC72)などを用いることができる。より高い導電性を発現するといった観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
<<多孔質炭素電極基材の処理>>
多孔質炭素電極基材に撥水性を付与すべく行う撥水処理には、フッ素樹脂などの撥水剤の粒子を溶媒中に分散させた分散液を用いる。溶媒として水を用いる場合、撥水剤は、そのままでは水には分散しないため、適当な界面活性剤によって水中に分散させる。また、分散液としてはあらかじめ撥水剤が分散されたディスパージョン等を用いることもできる。
多孔質炭素電極基材上に塗工膜を形成するための塗工液を塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えばバーコート法、ブレード法、スクリーン印刷法、スプレー法、スロットダイコート法、カーテンコーティング法およびロールコート法などがあげられる。これらの方法により、多孔質炭素電極基材上に均一な塗工膜を形成することができる。本発明においては、未処理部を形成するため、スロットダイコート法を適用することが好ましい。塗工膜の厚みは、50〜2000μmであることが好ましい。塗工膜の厚みが50μmよりも薄すぎると厚みの均一な膜を得ることが困難となり、2000μmより大きいと乾燥後に意図しない大きなクラックをコーティング層に生じやすくなるため、好ましくない。より好ましい塗工膜の厚みの範囲は50〜1000μmである。塗工速度は、生産性の観点から1〜20m/分の範囲内であることが好ましい。
本発明で使用するスロットダイは塗工可能幅が80〜1400mm幅の範囲内にあることが好ましく、均一な塗膜を得るためにリップの真直度は0.3μm/mであることが好ましい。吐出口は複数あってもよく、複数の吐出口を有するスロットダイを用いる場合、吐出口の間隔が5〜200mmであることが好ましい。
乾燥方法は例えばプレートヒーター、加熱ロールや、熱風乾燥機やIRヒーターなどを用いることができる。乾燥させる際の雰囲気温度としては、50℃〜250℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜200℃である。乾燥温度が50℃よりも小さいと、塗膜の乾燥速度が遅くなり、効率よくガス拡散層を製造することができない、また、乾燥温度が250℃よりも大きくなると、溶媒の蒸発速度が大きくなりすぎるため、意図しない大きなクラック等の欠陥が塗膜に生じてしまい、塗工膜の強度が低下してしまう。乾燥時間としては、生産性を考慮すると0.5分〜20分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10分である。
本発明においては、乾燥後の「塗工膜を形成した多孔質炭素電極基材」を200〜400℃の環境下において焼成させることでガス拡散層を製造する。
本発明の製造方法により、多孔質炭素電極基材から電気抵抗が低く、排水性の良い固体高分子形燃料電池用の多孔質炭素電極を製造することができる。多孔質炭素電極基材であれば、どのようなものであっても本発明の技術を使用することにより、従来の製造技術を使用するよりも上記の効果を発現することができる。
シート状物を製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素繊維(A)を分散させて抄造する湿式法、空気中に、炭素繊維(A)を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。
炭素繊維(A)としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。炭素繊維(A)の平均直径は、ガス拡散層としての表面平滑性と導電性の観点から、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。炭素繊維(A)の長さは、抄紙時の分散性とガス拡散層としての機械的強度の観点から、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。
炭素繊維前駆体繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。炭素繊維前駆体繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。炭素繊維前駆体繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体繊維(b)の直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることが好ましい。
フィブリル状繊維(b´)は、天然繊維、合成繊維の区別なく、いかなる繊維を用いることも出来る。たとえば、アクリル等を主成分とするフィブリル状炭素前駆体(b´−1)から天然繊維である木材パルプまで含む。中でも含有する金属分が少ないことが好ましいため、フィブリル状繊維(b´)は、合成繊維であることが好ましい。より好ましくはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)などを用いることができる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、炭素化収率を向上させるには、以下に示すフィブリル状炭素前駆体繊維(b´−1)を用いることが好ましい。
抄紙体の製造にあたっては、以下の方法をとることもできる。好適な長さに切断した炭素繊維(A)を水中に均一に分散させ、分散している炭素繊維を網上に抄造し、抄造した炭素繊維シートをポリビニルアルコールの水系分散液に浸漬し、浸漬したシートを引き上げて乾燥させる。前記ポリビニルアルコールは、炭素繊維同士を結着するバインダーの役目を果たし、炭素繊維が分散した状態において、それらがバインダーにより結着された状態の炭素繊維のシートが製造される。バインダーとしては、他に、スチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂などを用いることが出来る。
抄紙体に含浸させる樹脂としては、炭素化した段階でガス拡散層の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材を製造する場合は、炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際に炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。炭素化工程を有さない多孔質炭素電極基材を製造する際には、熱可塑性・熱硬化性樹脂を問わず、使用することができる。多孔質炭素電極基材の撥水性を高める観点から、フッ素樹脂が好ましい。また、炭素化工程の有無に関わらず、多孔質炭素電極基材の導電性をさらに向上させることを目的として、これらの樹脂に炭素粉を混合することも有効である。炭素粉としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、葉片状黒鉛、塊状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛粒子、更には、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。特に限定はされないが、上記炭素粉のうちでも、黒鉛粒子、カーボンブラックがより好ましい。これらを単数あるいは複数用いてもよい。
熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、公知の方法を用いることが出来る。たとえば、ディップ法やキスコート法、スプレー法、カーテンコート法などを用いることが出来る。とりわけ製造コストの観点から、スプレー法やカーテンコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法としては、公知の技術を用いることが出来る。加熱されたロールに接触させて乾燥させるドラム乾燥や熱風による乾燥方法などを用いることが出来る。メンテナンスの簡便さから、非接触方式による乾燥が好ましい。乾燥温度としては、樹脂が硬化しない温度範囲60〜110℃、より好ましくは70〜100℃が好ましい。
炭素化処理は前駆体シート中の炭素繊維前駆体繊維(b)および/またはフィブリル状炭素前駆体繊維(b´)および熱硬化性樹脂を炭素化する。炭素化処理は多孔質炭素電極基材の導電性を高めるために、不活性ガス中で行うことが好ましい。炭素化処理は、通常1000℃以上の温度で行なわれる。炭素化処理温度範囲は、1000〜3000℃が好ましく、1000〜2200℃がより好ましい。炭素化処理時間は、例えば10分間〜1時間程度である。また、炭素化処理の前に、300〜800℃の程度の不活性雰囲気での焼成による前処理を行うことができる。
炭素化工程を省略することで、炭素化を行う場合に比べてエネルギーコストを大幅に低減することができる。炭素化工程の省略による導電性の低下を抑制するため、さらなる導電性物質を導入することが必要である。上述した、炭素繊維が分散した抄紙体に前記導電性物質などを添加・定着させる方法や、導電性物質とバインダー樹脂からなるスラリーを調製し、それらを製膜後、熱処理を行って多孔質炭素電極基材を製造する方法がある。前者の方法であれば、上述した炭素化工程を有する多孔質炭素電極基材の製造方法に準じて、抄紙体に樹脂含浸を行う要領で、導電性物質を添加し、その後にプレス成形することで定着させて多孔質炭素電極基材を製造することができる。また、後者の製造方法においても、上記抄紙体を製造する際のスラリー調製方法と同様にして、導電性物質を単数もしくは複数選択し、バインダー物質と溶液中で混合することでスラリーを調製し、公知のコーティング技術を用いて製膜後、乾燥・熱処理を施すことで多孔質炭素電極基材を製造できる。また、これらに供する導電性物質は、特に限定されるものではなく、例えば、炭素繊維であればポリアクリロニトリル系(PAN系)炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、その他、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを適宜用いることができる。用いる種類は限定されず、単独で使用してもよくあるいは複数選択して用いてもよい。導電性物質を決着させるバインダーとしては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、撥水性を有するフッ素系、あるいはシリコン系樹脂などが好適である。上記スラリーを調製するにあたっては、スラリーの溶媒として、水、アセトン、エタノール、メタノールなどを適宜用いることができるが、環境負荷の低減、製造装置のコスト低減の観点から、溶媒としては水を用いることが最も好ましい。また、スラリー中における導電性物質およびバインダー物質の分散性を向上させるべく、界面活性剤や粘剤などの添加剤を適宜用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる多孔質炭素電極は、炭素繊維が炭素により結着された多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と繊維化された撥水剤からなるコーティング層が形成されたガス拡散層である。
本発明においては、「多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層が形成されたもの」を「ガス拡散層」という。コーティング層は多孔質炭素電極基材の一方の面上、もしくは両面に形成されていてもよい。多孔質炭素電極基材の一方の面のみにコーティング層を形成する場合は、触媒層と多孔質炭素電極基材間の接触抵抗を低減する観点から、固体高分子形燃料電池内の触媒層と接する側の多孔質炭素電極基材の面上にコーティング層を設けることが好ましい。
ここで言う未処理部とは、コーティング層が形成されていない多孔質炭素電極基材が露出した領域のことを指す。この未処理部は、コーティング層が形成された領域よりも表面粗さが大きいため、他部材との接合が容易になる。また、未処理部を形成することで、多孔質炭素電極基材の全幅にコーティング層を形成した場合に比べ、小径の芯材に巻き取ることが可能になる。これは、コーティング層厚み分だけ未処理部には曲げに対する応力緩和が起こるためであり、未処理部分の曲げ強度が、コーティング層が形成された部分に比して高くなることで巻取りが実現できる。これにより、従来品より1ロール当たりのガス拡散層の巻長さを拡張できる点からも生産性の向上が期待できる。多孔質炭素電極基材は、撥水処理されていても未処理であってもよい。未処理部の算術平均表面粗さは4〜30μmであれば好ましく、より好ましくは4〜15μmである。算術平均表面粗さが、4μmよりも小さいと平滑性が高すぎて、他部材と接合することが困難になり、一方で30μmより大きいと、接合性は高くなる一方、多孔質炭素電極基材上に平滑なコーティング層を形成することが困難となる。未処理部を有するコーティング層を形成する方法としては、塗工幅を任意に設定可能なスロットダイコート法を用いる。
ガス拡散層の厚みは、良好な電気導電性と排水性を発現するために、55〜350μmの範囲にあることが好ましい。55μm以上であれば、ハンドリング可能であり、350μm以下であれば良好な電気伝導性が得られる。さらに好ましい厚みは、100〜250μmの範囲である。ガス拡散層を構成する多孔質炭素電極基材の厚みが50〜250μmであることが好ましく、さらに少なくとも一方の面に形成されたコーティング層の平均厚みが5〜100μmであることが好ましい。多孔質炭素電極基材の厚みが50μmより小さいと搬送が困難であり、コーティング層を設けることが困難である。また、多孔質炭素電極基材の厚みが350μmよりも大きいと取扱い性は向上するが、電気抵抗が大きくなるため、発電性能が低下してしまう。コーティング層の厚みは、5μmよりも小さいと、多孔質炭素電極基材を構成する炭素繊維がコーティング層を突き破り、触媒層や電解質膜まで到達する恐れがあるため好ましくない。100μmよりも厚すぎるとコーティング層による電子抵抗が増大し、発電性能の低下を招くこととなるため好ましくない。
ガス拡散層の全幅は、特に制限はないが、一般的には100〜1450mmである。
製造した多孔質炭素電極基材、およびガス拡散層から、48mmφの試験片を10点、ランダムに取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより各サンプルに対して5点ずつ測定して平均厚みを算出し、ガス拡散層の平均厚みより多孔質炭素電極基材の平均厚みを差し引くことで、コーティング層の厚みを算出した。
ガスケットとしてPTFEシートを用いガス拡散層との接着性を評価した。PTFEとPTFEシートの接着層には瞬間接着剤および両面テープを適用した。PTFEシートと両面テープ、ガス拡散層の順に重ね、ガス拡散層のコーティング層の形成された面が接着層に接するように重ね合わせ、0.2MPaの面圧を付与して接合体を形成した。この接合体のサイズはガス拡散層の幅のサイズと同様とし、未処理部を有するガス拡散層については接合面の両端部あるいは外周部に未処理部を含むよう配してある。シートの長さ方向は100mmとした。試験サンプルの両面から、万能試験機を用いて試験サンプルを厚み方向に引っ張る向きに試験力を加え、試験サンプルに剥離が生じるまでの試験力を測定した。ガス拡散層によって試験片の幅が異なるため、下式の通り、測定された試験力を測定サンプルの面積で除することにより、接着性の評価指標とした。
各ガス拡散層について10点試験を行い、その平均値を採用した。試験力を面積で割った値が25mN/mm2以上となるサンプルは接着力が十分であり、接着性は合格と判断した。
本発明のガス拡散層を芯材へ巻き取り可能かテストを実施した。芯材には外径84.2mmのロールを用い、巻取り速度10m/minにて巻取りを行った。巻取り方向は、コーティング層がロールの外層に来る場合、コーティング層が内層に来る場合の両方で試験を実施した。巻き取り前後でガス拡散層の電極基材側及びコーティング層に変化が生じない場合のみ合格とした。
(多孔質炭素電極基材)
多孔質炭素電極基材は、市販のカーボンペーパーやカーボンクロスなどを用いることが出来るが、本発明では平滑な多孔質炭素電極基材を得るべく、多孔質炭素電極基材から製造を行った。
炭素繊維(A)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(SA)とした。
炭素繊維前駆体繊維(b)を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散して、ミキサーを通して離解処理し、離解スラリー繊維(Sb)とした。
前記易割繊性アクリル系海島複合繊維を、繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へ分散させミキサーを通して叩解・離解処理し、離解スラリー繊維(Sb´)とした。
炭素繊維(A)と炭素繊維前駆体繊維(b)およびフィブリル状繊維(b´)とが、質量比70:10:20で、かつスラリー中の繊維の濃度が、1.44g/Lとなるように離解スラリー繊維(SA)、離解スラリー繊維(Sb)、離解スラリー繊維(Sb´)、希釈水を計量し、分散させた。抄紙には、ネット駆動部及び幅60cm×長さ585cmのプラスチックネット製平織メッシュをベルト状につなぎあわせて連続的に回転させるネットよりなるシート状物搬送装置、スラリー供給部幅が48cm、ネット下部に配置した減圧脱水装置からなる処理装置を用いた。処理装置の下流に下記の3本のウォータージェットノズルを備えた加圧水流噴射処理装置を配置した。
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
幅方向孔間ピッチ1mm(1001孔/幅1m)
1列配置、ノズル有効幅500mm
幅方向孔間ピッチ1.5mm
3列配置、列間ピッチ5mm、ノズル有効幅500mm
得られた抄紙体にフェノール樹脂ディスパージョンを含浸させ、熱風乾燥機を用いて雰囲気温度100℃にて乾燥させた。
次に、この抄紙体の両面を、シリコーン系離型剤をコートした紙で挟み込むように配置し、ダブルベルトプレス装置にて190℃、ベルト速度0.2m/分にてプレス成形を行った。
その後、この前駆体シートを炭素化炉にて、窒素ガス雰囲気中、2000℃の条件下で炭素化処理して多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材は反りやうねりが生じておらず平滑であった。得られた多孔質炭素電極基材の厚みは155μmであった。
デンカブラック(電気化学工業株式会社製)、イオン交換水、イソプロピルアルコールをそれぞれ5:100:80の割合で混合し、ホモミクサーMARK−II(プライミクス株式会社製)を用いて、冷却しながら15000rpmで30分間撹拌を行って、コーティング液1を得た。
コーティング液1に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンをカーボンブラック1に対し、0.3の割合で添加しディスパーによって5000rpmで5分間の撹拌を行い、コーティング液2を得た。
多孔質炭素電極基材用の撥水処理液の作成には、PTFEディスパージョン(31−JR、三井デュポンフロロケミカル製)と界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)および蒸留水を用いた。撥水処理液における固形分濃度が、PTFEは1wt%、界面活性剤は2wt%となるように調整した後、蒸留水を添加して、ディスパーを用いて1000rpm、10分間撹拌することによって撥水処理液を作成した。
多孔質炭素電極基材を上記の撥水処理液に浸漬することによって含浸させた。含浸後の多孔質炭素電極基材をニップすることで、多孔質炭素電極基材に付着した余分な撥水処理液を取り除き、連続式乾燥機にて180℃5分間多孔質炭素電極基材を乾燥処理することで撥水処理が施された多孔質炭素電極基材を得た。
さらに、300mm幅の多孔質炭素電極基材に対し、コーティング液2をスロットダイを用いて塗工幅290mm、コーティング層の厚みが15μm前後となるように塗工ギャップを設定し、塗工速度5m/minにて塗工し、すぐさま100℃に設定した熱風乾燥炉を用いて20分間乾燥させた。さらに、乾燥後焼結炉にて360℃1時間焼結処理をおこなってコーティング層を形成したガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
多孔質炭素電極基材の幅を1000mmとしたことと、塗工幅を800mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
コーティング層の厚みが30μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を200mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
コーティング層の厚みが30μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を950mmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
コーティング層の厚みが50μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を250mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
コーティング層の厚みが50μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を700mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
シート流れ方向にも未処理部を形成するため、間欠塗工を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、実施例1よりもさらに接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
シート流れ方向にも未処理部を形成するため、間欠塗工を行ったこと以外は、実施例2と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、実施例2よりもさらに接着性は良好であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけ前後で外観に異常は見られず、良好に巻きつけることが可能であった。その他結果は表1のようになった。
ロールコーターを用いて多孔質炭素電極基材の全幅にわたってガス拡散層を形成したこと以外は、実施例1と同様にガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着力はいずれの接着剤を使用した場合も、25mN/mm2未満で低く、接着性は不合格であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻き付け時に端部に亀裂が生じるケースがあり、巻きつけ前後で変化を生じず巻き取ることは不可能であった。
ロールコーターを用いて多孔質炭素電極基材の全幅にわたってガス拡散層を形成したこと以外は、実施例4と同様にガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着力はいずれの接着剤を使用した場合も、25mN/mm2未満で低く、接着性は不合格であった。また得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻き付け時に端部に亀裂が生じるケースがあり、巻きつけ前後で変化を生じず巻き取ることは不可能であった。
コーティング層の厚みが20μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を180mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着性は良好であった。しかしながら、得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻きつけは可能であったが、巻出した際にコーティング層に応力が集中したため、欠陥が生じてしまった。その他結果は表1のようになった。
コーティング層の厚みが25μm前後となるように塗工ギャップを設定したことと、塗工幅を980mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層に対し接着性の試験を行ったところ、接着力はいずれの接着剤を使用した場合も、25mN/mm2未満で低く、接着性は不合格であった。また、得られたガス拡散層を外径84.2mmの紙管へ巻きつけたところ、巻き付け時に端部に亀裂が生じるケースがあり、巻きつけ前後で変化を生じず巻き取ることは不可能であった。
2:コーティング層
W:全幅
M1、M2、M3、M4:未処理部
M、M’:未処理部幅
Claims (8)
- 多孔質炭素電極基材の少なくとも一方の面上に、カーボン粉と撥水剤からなるコーティング層を設けたガス拡散層であって、コーティング層の少なくとも両端部、または外周部にコーティング層の形成されていない未処理部を有するガス拡散層。
- 前記ガス拡散層を構成する多孔質炭素電極基材の厚みが50〜250μmであり、少なくとも一方の面に形成されたコーティング層の厚みが5〜100μmである請求項1に記載のガス拡散層。
- 前記未処理部が、同一方向に2本以上形成されている請求項1または2に記載のガス拡散層。
- 前記ガス拡散層の全幅Wに対する未処理部の幅の合計Mを比率で表した幅占有率(M/W×100)%が、2.5〜30%である請求項1〜3のいずれかに記載のガス拡散層。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のガス拡散層が、外径が84.2〜167.4mmの芯材にロール状に巻き付けられたガス拡散層のロール状物。
- シート長手方向に沿ってコーティング層の形成されていない未処理部を有するガス拡散層の製造方法であって、多孔質炭素電極基材の幅よりも小さな塗工幅にて吐出するスロットダイを用いて両端部に未塗工部ができるようにコーティング液を塗工するガス拡散層の製造方法。
- シート幅方向に対して複数の吐出口を有するスロットダイを用いてコーティング液を塗工する請求項6に記載のガス拡散層の製造方法。
- 前記吐出口の間隔が5〜200mmである請求項7に記載のガス拡散層の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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