JP2013175305A - 固体酸化物形燃料電池の製造方法及び固体酸化物形燃料電池、並びに、成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製膜装置10は、ワークホルダ12と、カメラ17と、ディスペンサ18と、乾燥部19と、カメラ17、ディスペンサ18、及び、乾燥部19を、ワーク20の軸方向に移動させる移動部15と、制御部21とを備える。移動部15は、カメラ17の画像に基づいて決定された所定位置にディスペンサ18を移動させる。周方向に回転するワーク20上にディスペンサ18が空気極材料を含むスラリーを吐出し、スラリー膜を形成する。移動部15は、所定位置に乾燥部19を移動させる。乾燥部19は、隣接するセルの間のスラリー膜の端部を乾燥させる。
【選択図】図2
Description
スクリーン印刷法では、スキージを当てたときにスクリーンとセルとの位置がずれることがあるため、成膜精度が低いことが問題となっている。また、スクリーン上に供給されるスラリーは成膜領域以上になるため、原料歩留まりが低い。
そこで本発明では、1つのセルに相当する領域で形成される空気極のスラリー膜の両端部のみを乾燥させる。この乾燥は、成膜と同時期に実施される。その後空気極を形成した基体管を焼結させる。こうすることで、スラリー膜が広がるのを防止し、隣接するセル間が短絡することを防止することができる。
こうすることで、境界部分に位置するスラリーの乾燥を促進させることができる。
このように、変位計を設置してディスペンサとワーク(固体電解質膜またはインターコネクタ)との距離を一定に保持しながら成膜することにより、膜厚と密着性が均一な空気極を形成することができる。
燃料極4は、例えば酸化ニッケル(NiO)とジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。複合材としては、例えば、NiOとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の混合物とされる。例えばNi+YSZの混合粉末と水系ビヒクル(水に分散剤、バインダ、及び消泡剤を添加したもの)とが混合されて、燃料極用スラリーが作製される。上記の燃料極用スラリーは、基体管2の外周面上の周方向に塗布される。NiとYSZの混合比は、燃料極4に要求される性能により適宜選択される。混合粉末と水系ビヒクルとの混合比は、燃料極4の厚さや、スラリー塗布後の燃料極膜の状態などを考慮して、適宜選択される。
固体電解質膜5は、例えばY2O3安定化ZrO2(YSZ)などからなる。YSZ粉末と水系ビヒクルとが混合されて、固体電解質膜用スラリーが作製される。混合比は、固体電解質膜5の厚さや、スラリー塗布後の固体電解質膜の状態や膜厚などを考慮して適宜選択される。
インターコネクタ材料は、LaCrO3、(La,Sr)CrO3、La(Cr,Mg)O3、(La,Ca)CrO3、(Sr,La)TiO3などとされる。上記インターコネクタ材料の粉末と水系ビヒクルとが混合され、インターコネクタ用スラリーが作製される。インターコネクタ用スラリーは、隣接するセル間に相当する位置で、基体管2の外周面の周方向に塗布される。粉末の組成は、インターコネクタに要求される性能に応じて適宜選択される。粉末と水系ビヒクルとの混合比は、スラリー塗布後のインターコネクタの状態などを考慮して適宜選択される。
空気極6は、ディスペンサを用いて形成される。主成分である(La,Sr,Ca)MnO3粉末と水系ビヒクルとを混合し、空気極用スラリーを作製する。粉末と水系ビヒクルとの混合比は、スラリー塗布後の空気極の状態や膜厚などを考慮して適宜選択される。ディスペンサから空気極用スラリーを固体電解質膜5及びインターコネクタ上に吐出し、空気極用スラリーの膜を成膜する。
以下では、空気極の成膜方法を詳細に説明する。
図2は、第1実施形態に係る成膜装置の概略図である。第1実施形態の成膜装置10は、支持台11上にワークホルダ12が設置される。ワークホルダ12は、離間して配置される一対の支持部13を有する。一対の支持部13の間にワーク(共焼結後の基体管)20が配置され、ワーク20の両端部が支持部13により支持される。一方の支持部13にはサーボモータ14が設置され、ワーク20を周方向に回転可能とする。サーボモータ14は、制御部21に接続する。制御部21は例えばコンピュータとされる。
リニアアクチュエータ15の一端部に、ロータリエンコーダ(不図示)が設置される。ロータリエンコーダは、各台車16の位置情報を取得する。台車16及びロータリエンコーダは、制御部21に接続する。
ディスペンサ18は、1つまたは複数設置される。図2では、ディスペンサ18を2つ設置した例を示している。各ジェットディスペンサ18は、制御部21に接続する。
図4のノズル40は、先端42の楕円の長軸がワークの軸方向と略平行となるように配置される。こうすることで、1回の吐出での塗布領域を大きくすることができる。
図5のノズル50は、先端52の楕円の長軸がワークの軸方向と略平行になるように配置されるのが好ましい。
ディスペンサ18は、ワーク20表面と所定距離、好ましくは0.1mm〜10mmの範囲の値で離間して配置される。
乾燥部19の各々は、制御部21に接続する。
ワーク20の周方向から見た場合、ディスペンサ18と乾燥部19とは同一に設置されても良い。あるいは、例えばセル間隔が狭い場合には、乾燥部19の設置位置は、ディスペンサ18の設置位置から周方向にずらして設置されても良い。
温風送給部22は、温風を製造するために、ヒータなどにより空気を加熱しても良いし、成膜装置10で使用されるモータの排熱を利用して空気を加熱しても良い。
まず、ワーク20がワークホルダ12に取り付けられる。
制御部21は、台車16aをワーク20軸方向に移動させる。図2において、台車16aは紙面右方向に移動する。カメラ17は、台車16aによりワーク20の軸方向に沿って移動しながら、ワーク20の表面を撮影する。初期状態では、カメラ17が載置される台車16aは、ワーク上の成膜部分(燃料極等が成膜された領域)よりも端部側に配置されている。このため、カメラ17は、ワーク20上の非成膜部分(基体管)から撮影を開始することになる。台車16aは、カメラ17がワーク20表面の成膜部分のすべてを撮影できる位置まで移動する。撮影後、台車16aは初期位置まで戻される。
制御部21は、メモリから原点の位置データ、セルの位置データ及び成膜範囲のデータを呼び出す。制御部21は、図2において紙面右方向に台車16aをワーク20軸方向に沿って移動させる。
制御部21は、サーボモータ14を作動させ、ワーク20を周方向に回転させる。制御部21は、ディスペンサ18からワーク20上に空気極用スラリーを吐出する。これにより、所定の成膜位置で、ワーク20の周方向に空気極用スラリーの膜が形成される。
制御部21は乾燥部19を作動させる。乾燥部19は、所定の時間で、成膜終了位置での空気極用スラリー膜とインターコネクタとの境界を含む領域に温風または紫外線を当てる。これにより、成膜終了位置での空気極用スラリー膜端部が乾燥する。
次いで、制御部21は、上述と同様の工程で、ディスペンサ18に所定の成膜範囲で空気極用スラリーを成膜させ、乾燥部19に成膜開始位置及び成膜終了位置での空気極用スラリー膜端部を乾燥させる。なお、N番目のセルの成膜終了位置の空気極用スラリー膜端部は、乾燥させる必要が無い。
空気極6は、表面に複数の半球型の凸部8を有している。空気極6は、マクロ的に平滑な表面を有する固体電解質膜5及びインターコネクタ7の上に形成されている。空気極6は、その下層に形成されている燃料極4、固体電解質膜5及びインターコネクタ7よりも膜厚が大きいことから、凸部8の頂上部は下層に設けられる各層の段差の影響を受けない。このため、凸部8は、基体管2の表面から略同じ高さを有している。
なお、隣接する凸部8間は、ディスペンサによるスラリーの吐出ピッチを広げることで、連結部8bが重ならないようにすることもできる。この場合、空気極6の表面に形成される凸部8は緩やかな勾配となると共に、凸部8の高さは低くなり、表面が滑らかな空気極6が形成される。
図8は、第2実施形態に係る成膜装置の概略図である。図8の成膜装置60は、ディスペンサ68と乾燥部69とを1台ずつ設置されているが、図2のように複数台設置されていても良い。図8では、温風送給部は省略されている。
第2実施形態の成膜装置60では、第1実施形態の成膜装置に対して変位計(高さセンサ)72が追加されている。変位計72は、制御部71に接続する。第2実施形態の成膜装置60は、反りの大きなワークに対して空気極を形成する場合に有効である。
第1実施形態と同様の工程にて、制御部71は原点の位置データ、セルの位置データ及び成膜範囲のデータを取得する。制御部71は、取得したデータをメモリに格納する。
制御部71は、第1実施形態と同様の工程で、カメラ67を用いて原点の位置データを取得する。取得した原点の位置データとメモリから呼び出した原点の位置データとを比較し、必要に応じてセルの位置データ及び成膜範囲のデータの補正を行う。
制御部71は、回転速度と変位計でのデータ取得間隔とに基づいて、周方向の計測位置と取得したdiとを関連付ける。
図9は、第3実施形態に係る成膜装置の概略図である。第3実施形態の成膜装置80は、1つの乾燥部89に対して複数のディスペンサ88が設置される点で第1実施形態と異なる。図9では1つの乾燥部と2つのディスペンサ88a,88bとが設置されているが、1つの乾燥部に対して3つ以上のディスペンサが設置されていても良い。また、乾燥部とディスペンサとの組を2つ以上設置しても良い。
ディスペンサ88aとディスペンサ88bとは、それぞれ異なるタンク(不図示)に連絡する。各タンクは、互いに材質が異なるスラリーを収容する。例えば、ディスペンサ88aに連絡するタンクには、固体電解質膜用スラリー、インターコネクタ用スラリー、あるいは、空気極材料含有スラリーが収容される。ディスペンサ88bに連絡するタンクには、上述した空気極用スラリーが収容される。固体電解質膜用スラリーは、上述した固体電解質膜材料を含むスラリーであり、固体電解質膜と空気極との密着を向上させるために用いられる。インターコネクタ用スラリーは、上述したインターコネクタ用材料を含むスラリーであり、インターコネクタと空気極との密着性を向上させるために用いられる。ここでの空気極材料含有スラリーは、上述した空気極材料(LaMnO3系材料、LaFeO3系材料、LaCoO3系材料)と同材料であって、上記空気極用スラリーよりも粒径が小さい粉末を含有する。空気極用スラリーに含有される粉末は、粒径が1〜50μmであるのに対し、空気極材料含有スラリーに含有される粉末は、粒径が1μm以下である。
第1実施形態と同様の工程にて、制御部91は原点の位置データ、セルの位置データ及び成膜範囲のデータを取得する。制御部91は、取得したデータをメモリに格納する。
図10は、第4実施形態に係る成膜装置の概略図である。第4実施形態の成膜装置100は、1台のディスペンサ108に対して複数のノズル112a〜112cが設置される点以外は、図2と同じである。
第1実施形態と同様の工程にて、制御部111は原点の位置データ、セルの位置データ及び成膜範囲のデータを取得する。制御部111は、取得したデータをメモリに格納する。
スラリーB,Cの成膜は、下層の膜の表面が乾燥する前に実施される。このため、膜の境界付近でスラリー同士が混合した状態となる。
2 基体管
3 セル
4 燃料極
5 固体電解質膜
6 空気極
7 インターコネクタ
8 凸部
8a 底部
8b 連結部
10,60,80,100 成膜装置
11,61,81,101 支持台
12,62,82,102 ワークホルダ
13,63,83,103 支持部
14,64,84,104 サーボモータ
15,65,85,105 リニアアクチュエータ(移動部)
16a,16b,16c,16d,66a,66b,86a,86b,86c,106a,106b,106c,106d 台車
17,67,87,107 カメラ
18,68,88a,88b,108 ディスペンサ
19,69,89,109 乾燥部
20,70,90,110 ワーク
21,71,91,111 制御部
22 温風送給部
30,40,50 ノズル
31,41,51 ニードル
32,42,52 ノズルの先端(スラリー吐出部)
33,43,55 空気極用スラリー
53 孔
54 ピン
72 変位計
O 原点
Claims (6)
- 基体管上に、燃料極と固体電解質膜と空気極とを備える複数のセルと、隣接する前記セルを電気的に接続するインターコネクタとを備える固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
前記基体管の外周面上に、前記燃料極と前記固体電解質膜とを形成し、前記複数のセルの間に相当する位置に前記燃料極及び前記固体電解質膜上に前記インターコネクタを形成する工程と、
前記基体管とともに、前記燃料極と前記固体電解質膜と前記インターコネクタとを焼結する工程と、
前記焼結された前記固体電解質膜及びインターコネクタ上の所定位置に前記空気極を形成して、前記空気極を焼結する工程とを含み、
前記空気極を形成する工程が、
前記基体管を周方向に回転させながら、ディスペンサから前記空気極の材料を含むスラリーを吐出するとともに、
前記空気極の形成が行われているセルと、該セルと隣接し前記空気極が形成されたセルとの境界部分に位置する前記スラリーの膜を乾燥させる工程を含む固体酸化物形燃料電池の製造方法。 - 前記境界部分に位置する前記スラリーの膜を乾燥させる間に、前記基体管の内側に温風を流通させる請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 前記スラリーが吐出されている間の前記ディスペンサと前記固体電解質膜または前記インターコネクタとの距離が一定となるように、前記ディスペンサを変位させる請求項1または請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 前記空気極を形成する工程において、互いに材質が異なる複数種類の前記スラリーを用いて、一の前記スラリーの膜を形成した後に、該一のスラリーの膜の表面が乾燥する前に該一のスラリーの膜上に別の前記スラリーの膜を形成して、前記複数種類のスラリーの膜が積層された前記空気極を形成する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
- 基体管上に、燃料極と固体電解質膜と空気極とを備える複数のセルと、隣接する前記セルを電気的に接続するインターコネクタとを備える固体酸化物形燃料電池であって、
前記空気極の前記固体電解質膜と反対側の表面が、複数の半球型の凸部を有する固体酸化物形燃料電池。 - 基体管上に、燃料極と固体電解質膜と空気極とを備える複数のセルと、隣接する前記セルを電気的に接続するインターコネクタとを備える固体酸化物形燃料電池における前記空気極を成膜するための成膜装置であって、
前記基体管上に前記燃料極と前記固体電解質膜と前記インターコネクタとが形成されたワークを支持するとともに、前記ワークの周方向に前記ワークを回転させるワークホルダと、
前記ワークの表面を撮影するカメラと、
前記ワーク上の前記固体電解質膜及びインターコネクタ上の所定位置に、前記空気極の材料を含むスラリーを吐出するディスペンサと、
前記空気極の形成が行われているセルと、該セルと隣接し前記空気極が形成されたセルとの境界部分に位置する前記スラリーを乾燥させる乾燥部と、
前記カメラ、前記ディスペンサ、及び、前記乾燥部を、前記ワークの軸方向に移動させる移動部と、
制御部とを備え、
該制御部は、前記カメラの画像に基づいて各々の前記セルの位置を検出し、前記セルの位置に基づいて成膜範囲を決定し、前記セルの位置と成膜範囲とに基づいて、前記移動部により前記ディスペンサを移動させるとともに、前記成膜範囲で前記ディスペンサから所定量の前記スラリーを吐出させるとともに、
前記セルの位置と前記成膜範囲とに基づいて前記移動部により前記乾燥部を移動させ、前記成膜範囲の端部に位置する前記スラリーの膜を、前記乾燥部を用いて乾燥させる成膜装置。
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