JP2004179156A - 固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒層内での反応性を均一化することができ、電池性能の低下を招くことのない固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体を得る。
【解決手段】 触媒粒子を溶媒に分散させて電極用インクを調整する工程と、調整された電極用インクを高分子電解質膜1にインクジェットノズル2を用いて塗工する工程とを少なくとも備える。好ましくはインクジェット塗工を重ね塗り塗工として行い、塗工するときのインク液滴の塗工距離を5mm以下として、塗布後のインク液滴が流動しうるようにする。また、電極用インクとして、触媒粒子を構成する担持体として凝集物生成の原因となる不純物の含有量が少ない担持体を用いた電極用インクを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池の電極としては、一般に、触媒粒子である白金のような貴金属を担持したカーボン粒子を固体高分子電解質膜の上に配した膜−電極接合体が用いられる。これらの膜−電極接合体の製造は、貴金属を担持したカーボン粒子を有機溶媒を用いてインク化し、この電極用インクをグラビア印刷法やスクリーン印刷法などを用いて基材上に塗布する方法(例えば、特許文献1(特表平9−501535号公報)参照)や前記電極用インクを基材上にスプレーにより吹き付け塗布する方法(特許文献2(特開2001−68119号公報)参照)などにより行われている。また、電極用インクをテフロンシートのような転写シートに一旦配した後、転写シート上の電極用インクを基材上に転写して膜−電極接合体とすることも行われる。
特表平9−501535号公報 特開2001−68119号公報
接触式膜直印刷(グラビア印刷等)は、膜が膨潤し品質を確保することができない。スプレーにより微粒化して吹き付ける方法では、そのような不都合は解消されるが、吹き付け時に、インク微粒子の滴径が一定でなくばらつきが生じるのを避けられない。インクの滴径にばらつきがあると、細孔に大小の差が生じる、あるいは微小滴径のインクが細孔を塞ぐために、ガス拡散性が一様でなく偏りが生じる。その結果、触媒層内での反応性に差が生じ、電池性能の低下を招く。また、スプレー塗工の場合、原理的に完全な付着効率は得られないことから、電極用インクの無駄が生じると共に、飛散する電極用インクを回収するための設備を別途必要とする。さらに、形成面(塗工面)の輪郭がどうしてもぼやけたものとなる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、均一な粒径での電極用インクの塗布を可能とし、それにより、触媒層内での反応性を均一化でき、電池性能の低下を招くことのない固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、電極用インクの無駄をなくすとともに、任意のパターンあるいは厚みの塗工面をはっきりした輪郭を持つ状態で得ることのできる膜−電極接合体の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するための本発明による固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法の第1の態様は、触媒粒子を溶媒に分散させて電極用インクを調整する工程と、調整された電極用インクを高分子電解質膜にインクジェット塗工する工程とを少なくとも備えることを特徴とする。本発明の第2の態様は、触媒粒子を溶媒に分散させて電極用インクを調整する工程と、調整された電極用インクを転写シートにインクジェット塗工する工程と、転写シート上の電極用インクを高分子電解質膜に転写する工程とを少なくとも備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様によれば、高分子電解質膜に対してインクジェット塗工により直接電極用インクを吹き付け、所要の乾燥工程を経ることにより、触媒層を備えた膜−電極接合体が形成される。第2の態様では、一旦、転写シートに対して同様にして触媒層を形成し、それを従来知られた方法により高分子電解質膜に転写することにより、触媒層を備えた膜−電極接合体が形成される。
いずれの態様でも、触媒層はインクジェット塗工により形成される。インクジェット塗工の場合、塗布される電極用インクの粒径は主にインクジェット塗工装置のノズル径、印加電圧、撓み振動、インク組成、等に依存するので、従来のスプレー方式での塗布と比較して、粒径は均一化する。本発明者らの実験では、スプレー塗工方式の場合は20%以上のバラツキがあったのに対して、インクジェット塗工の場合は5%以内であった。それにより、形成される触媒層は均質化しかつ一定の細孔径のものが得られ、結果として、層内のガス拡散性が一様となり触媒層全体が一様に反応に寄与するようになり、高い電池性能が得られる。
また、一般に、インクジェット塗工装置はノズルからの噴射パターンをコンピュータ制御により任意に設定することが可能である。そのために、適宜のパターンデータをコンピュータに記憶させ、コンピュータからの制御信号によりノズルの噴射を適宜制御することにより、任意のパターンの触媒層を高分子電解質膜上あるいは転写シート上に形成することができる。インクジェット塗工装置を多段に配置する場合には、平面形状に加えて厚みも制御することができる。
また、インクジェットヘッドを多段に配置して、または、1つまたは複数のインクジェットヘッドを同じ領域で2回以上移動させるようにして、インクジェット塗工を塗布面全体にわたり重ね塗り塗工として行うこともできる。その際に、インクジェットヘッドのノズルピッチ間を2回以上のスキャンで行うように噴射パターンをコンピュータ制御するようにしてもよい。それにより塗り重ねピッチが狭くなり、結果として、重ね塗りしたときの表面の平滑さを細かく制御することでき、塗布面に生じるうねりを小さく抑えることができる。本発明者らはこの塗布態様をとることにより、インクジェット塗布面のうねり(凹凸)を5μm以下に抑制できることができた。
また、インク液滴間の距離を調整する制御を行うよう噴射パターンをコンピュータ制御することも好ましい態様である。インクジェット塗工は基本的に均一径の液滴が得られることに加えて、さらにこのような制御を行うことにより、転写法など他の塗布方法と比較して、塗布層(触媒層)内部に計画した大きさの隙間を作りやすくなり、ガス拡散性の向上を確保したり、また、セル環境条件が低加湿条件の場合でも、触媒層の隙間に水分を入り易くして触媒層を濡れ易くすることが容易となる。それらのことから、性能のよい膜−電極接合体が製造し易くなる。
また、インクジェット塗工は非接触型の塗工であり、インク液滴がノズルから被塗布膜に到達する間に溶媒を蒸発させることができるので、高分子電解質膜あるいは転写シートが溶媒により損傷を受けることも回避できる。さらに、スプレー塗工方式に比べて塗工面輪郭はシャープとなり、高性能の膜−電極接合体を得ることができる。
一方において、インク液滴がノズルから被塗布膜に到達する間に溶媒を蒸発することから、インクジェット塗工するときのインク液滴の塗工距離が長すぎると塗布後の流動性に乏しくなり、塗布面にうねり(凹凸)が生じた場合に、それがそのまま残ることが生じかねない。従って、インク液滴がインクジェットヘットのノズルから被塗布膜(電解質膜)に到達するまでの塗工距離を、塗布後の電極用インクが塗布面で流動しうる距離とすることは好ましい。それにより、塗布後のインク液滴は流動可能となり、塗布面の平滑化が進行する。結果として、膜−電極接合体の耐久性が向上する。用いる電極用インクにもよるが、本発明者らの実験では、電極用インクの塗工距離が5mm以下である場合に、ほぼ満足できる流動性を確保することができた。
本発明において、インクジェット塗工方式には、従来知られたバルブ方式およびピエゾ方式のいずれをも用いることができる。また、インクジェットヘッドもそれぞれの方式に対応した従来知られたヘッドを用いることができる。得ようとする膜−電極接合体の特性に応じて適宜選択する。
本発明を実施するに際して、触媒粒子を溶媒に分散させた電極用インクを、インクジェットヘッドのノズルから支障なく噴射されるような物性値を持つものとして調整することは必要となる。本発明者らは、多くの実験を行うことにより、諸物性値の中でも、インクの粘度と表面張力が適切な噴射を得るのに重要なファクターであり、その値は、従来の塗工方式やスプレー方式で用いる電極用インキと比較して、大きく異なり、いずれも数値が低い値であることを知見した。その値は、例えばピエゾ方式による場合には、粘度は20(m・Pa・s)以下であり、表面張力は20〜40(mN/m)の範囲であることが好適であった。従来の塗工方式あるいはスプレー方式による場合での電極用インキの粘度は50〜5000(m・Pa・s)程度であり、表面張力が40〜70(mN/m)であるのと比較して顕著な違いがある。なお、電極用インクの調整に用いる触媒粒子や溶媒の種類は従来知られた電極用インクにおけると同じである。
また、本発明は、上記したインクジェット塗工による固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法において、電極用インクとして、触媒粒子を構成する担持体として凝集物生成の原因となる不純物の含有量が少ない担持体を用いた電極用インクを用いることを特徴とする膜−電極接合体の製造方法をも開示する。
従来、電極用インクを用いて電解質膜上に触媒層を形成した場合、触媒層の表面に存在する微細な凹凸(「触媒ダマ」あるいは「凝集物」)によって電解質膜が損傷を受け、膜−電極接合体の性能低下や寿命の短縮化を引き起こすことは知られていた。本発明者らは、その原因を追及すべく電極用インクを塗布して形成される触媒層の表面性状を顕微鏡写真やレーザ顕微鏡によって解析したところ、触媒ダマ(凝集物)は、担体(触媒担持体)に含まれる不純物に起因して生じ、不純物の量が多くなると、インクにおける触媒ダマの量も多くなることを知った。このことは、触媒担持体(カーボン担体)の不純物リッチな部分がカーボンの固い凝集物を生成し、これが回避することのできない触媒ダマとしてインク中に残留しているものと解される。
そこで、異なった種類のカーボン担体に含まれる不純物の種類をXRF法により調査したところ、不純物として、S,V,Fe,Ni,Naが主なものとして検出でき、その量はカーボン担体によって異なっており、表1に示すようであった。
Figure 2004179156
本発明者らは、さらに、触媒担持体として上記の各カーボン担体A〜Fをそれぞれ用いた以外は他の条件はほぼ同様にして作られた6種類の電極用インクにおける塗布面の状態を顕微鏡写真により精査したところ、それぞれにおける触媒ダマの発現量は表2のようであり、全体としての不純物の量(重量%)と触媒ダマの発現率とは明らかに相関関係があることがわかった。また、不純物の種類によって、その量の多寡が触媒ダマの発現率に大きな影響を与えるもの(V,Fe,Ni)と、さほどの影響を与えないもの(S,Na)があることもわかった。
Figure 2004179156
上記した本発明は、従来回避することができないものとされていた微細な突起物は、担持体に含まれる不純物の存在が主たる要因であるという知見に基づいており、当初から不純物の含有量が少ない担持体を用いようとするものである。インクジェット塗工による膜−電極接合体の製造方法においても、このような担持体を含むインクを選択して使用することにより、結果として、塗布形成される触媒層において凝集物(触媒ダマ)の少ない塗面を形成することができ、耐久性が改善された膜−電極接合体を得ることができる。
担持体がカーボン担体の場合、含まれる不純物の中でも、V,Fe,Niが触媒ダマ(凝集物)の発現に大きく関与していることは前記のように本発明者がはじめて得た知見であり、従って、不純物のうち、特にV,Fe,Niの少なくとも1つの含有量が少ないカーボン担体を触媒担持体として用いることは、発明の好ましい態様となる。
そして、表1、表2に示すように、不純物であるV,Fe,Niの重量%がそれぞれある値(Vの場合には0.3〜0.1重量%程度の間、Feの場合には0.1〜0.05重量%程度の間、Niの場合には0.2〜0.1重量%程度の間)を境として、触媒ダマの発現量に顕著な違いが現れることも、本発明者が得た新たな知見であり、従って、特に不純物がVである場合には0.1重量%以下、Feである場合には0.05重量%以下、Niである場合には0.1重量%以下を含んでいるカーボン担体を含有する電極用インクを用いることも、本発明の好ましい態様である。
本発明の製造方法によれば、触媒層内での反応性を均一化することができ、電池性能の低下を招くことのない固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体を得ることができる。また、電極用インクの無駄をなくすとともに、任意のパターンあるいは厚みの塗工面をはっきりした輪郭を持つ状態で形成された膜−電極接合体の製造を得ることができる。
以下、本発明を実施の形態により説明する。図1は、本発明による固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法を実施するための装置の一例を示している。図において、1は電極用インクが塗布される基材であり、従来知られた高分子電解質膜上あるいは転写シートが用いられる。この例において、基材1は矢印A方向に適宜の手段により連続して移動している。
基材1の移動方向上流側にはインクジェットヘッド2が位置しており、図示しないコンピュータから送られるパターンデータに基づく制御信号に応じて、各ノズルのバルブが開閉し基材1上に所定パターンの電極用インク3を噴射する。それにより、基材1には上にはパターンデータに基づく形状のインク塗膜が形成される。インクジェットヘッド2は基材1の移動方向に複数個並置されており、個々にバルブの開閉制御が行われる。それにより、平面的な形状と共に厚みをも変化した塗膜が得られる。図示しないが、基材1の幅よりもインクジェットヘッド2の幅が小さい場合には、基材1の幅方向に並べるようにしてもよい。インクジェットヘッド2は従来知られたものであり詳細な説明は省略するが、ノズル径は30〜150μm程度であり、各ヘッドでのノズルピッチは200〜1000μm程度である。
所定パターン4に塗布されたインクは、基材1の移動とともに乾燥炉5を通過し、そこで残存する溶剤が除去され、触媒層6が形成される。溶剤種によっては、乾燥炉を省略することもできる。
径の一定したノズルからインク1滴量の安定化した電極用インクが噴射されるので、その粒径(滴径)は一定しており、基材1上に触媒粒子(例えば、白金担持カーボン粒子)間距離が一定となった触媒層6が形成される。そのために、得られる膜−電極接合体を用いた単位電池において、燃料ガスもしくは酸化ガスが電極全体に均一に供給されるようになり、電極全体で効率よく電気化学エネルギー変換(燃料電池反応)が行われる。また、インクジェット塗工であることから、付着効率は実質的に100%であり、無駄な電極用インクの消費を省くことが可能となり、効率よく膜−電極接合体を製造することが可能となる。
図2は、インクジェット塗工により形成された膜−電極接合体の断面を模式的に示している。この例において、電解質膜1の両側にインクジェットによる重ね塗り塗工された触媒層6が形成されている。各重ね塗り層は、ノズルから噴射された液滴7・・が層状に積み重なったものが集積して形成されるので、液滴7どうしの間には隙間8が形成され、それがガス拡散用の通路あるいは水分保持空間として効果的に機能する。
さらに、インクジェット塗工では、前記したように、液滴径はインクジェット装置のノズル径、印加電圧、撓み振動などに依存するが、それらを制御することにより、インク液滴7の径を均一化することができ、触媒層の一様なガス拡散性を容易に確保することができる。また、インクジェットヘッドのノズルピッチ間を図3に示すように複数回(図の例では8回)のスキャンで行うように噴射パターンをコンピュータ制御することにより、塗り重ねピッチを狭くすることができ、重ね塗りしたときの表面の平滑さを細かく制御することできる。それにより、塗布面に生じるうねり(凹凸)を小さく抑えることができる。また、塗布工程中に、液滴間の距離を変化させるよう噴射パターンを制御したり、液滴径を変化させるよう噴射パターンを制御も可能となる。
なお、図3の例では、ノズルピッチ間が678μmであり、それを8回のスキャンで行うようにしている。それにより、塗り重ねヒッチは84μm/ドットと狭い間隔とすることができ、さらに、図示の例では、直径80〜100μmの液滴が交差する方向では20μm間隔での重ね塗りとなっており、このように塗り重ねピッチを狭くすることができるので、結果として、重ね塗りしたときの表面の平滑さを細かく制御することでき、塗布面に生じるうねりを小さく抑えることが可能となる。
[実施例1]
本発明で用いる電極用インキの組成の一例を、従来の塗工機方式あるいはスプレー方式で使用している電極用インキの組成の一例とともに、表3に示す。なお、表において、組成を示す数値はすべて重量部である。
Figure 2004179156
表3のインクジェット方式の欄に示した組成を持つ電極用インキを用いて、ピエゾタイプのインクジェットノズルにより従来知られた高分子電解質膜上に噴射塗布する作業をおこなったところ、長時間にわたり連続的に塗膜を形成することができた。形成された塗膜は、触媒粒子間距離が従来のスプレー方式による場合と比較して一定となっており、表面の平滑度も向上していた。
[実施例2]
実施例1で用いたと同じ高分子電解質膜を加熱吸引定盤(温度40℃)にセットし、その膜に表4に示す種類のカソード電極用インクおよびアノード電極用インクをピエゾタイプのインクジェット装置により表5に示す条件でインクジェット塗布した。カソード側塗布面の顕微鏡写真を図4aに示す。
その後、拡散層(カーボンクロス)を形成した触媒層のホットプレスで接合して膜−電極接合体とした。接合条件は180℃、4MPaで4分間とした。その膜−電極接合体をセパレータにセットしてモジュールとし、放電耐久性評価試験を行った。その結果を図5、図6に示す。なお、図5は時間とクロスリーク量の関係であり、図6は時間と各セル電圧降下の関係である。
[比較例1]
実施例1で用いたと同じ高分子電解質膜を加熱吸引定盤(温度40℃)にセットし、その膜に表4に示す種類のカソード電極用インクおよびアノード電極用インクをスプレー法により表5に示す条件で塗布した。カソード側塗布面の顕微鏡写真を図4bに示す。
その後、実施例2と同様にしてモジュールとし、実施例2と同様にして放電耐久性評価試験を行った。その結果を図5,図6に示す。なお、図5は時間とクロスリーク量の関係であり、図6は時間と各セル電圧降下の関係である。
Figure 2004179156
Figure 2004179156
[評価]
図4の顕微鏡写真からわかるように、実施例2による塗膜の表面は比較例1のものよりも高い平滑度を有している。これは、インクジェット塗工時のノズルと電解質膜との距離を狭くしたことにより、塗布後の液滴の流動が生じて平滑化したこと、かつ、カーボン担体種として不純物の少ないものを用いたことによりダマの発生が抑えられたこと、が大きな要因となっていると考えられる。また、その結果、図5,図6に示すように、実施例でのモジュールの耐久性は比較例のものよりも高くなっており、本発明の有効性が示される。なお、表5において、「層オフセット」は、層を重ね塗りするときの各層の横方向へのズレ量を表している。
[実施例3]
実施例1で用いたと同じ高分子電解質膜を加熱吸引定盤(温度40℃)にセットし、その膜に表6、表7に示す種類のカソード電極用インクおよびアノード電極用インクを下記仕様であるインクジェット装置(日立プリンティングソリューションズ社製)により表8に示す条件でインクジェット塗布した。
その後、拡散層(カーボンクロス)を形成した触媒層のホットプレスで接合して膜−電極接合体とした。接合条件は180℃、4MPaで4分間とした。その膜−電極接合体をセパレータにセットしてモジュールとし、放電耐久性評価試験を行った。その結果を図7,図8に示す。
[インクジェット装置の仕様]
・ベッド仕様:GEN3E1、解像度:300dpi、ヘッド・ノズルピッチ:0.67mm
・ノズル数/ベッド:96個、ノズル径:50μm、液滴60ピコリットル
・インクジェット吐出周波数:1.5KHz
[比較例2]
実施例1で用いたと同じ高分子電解質膜に実施例1と同じ種類のカソード電極用インクおよびアノード電極用インクを用いて転写法により触媒層を形成した。転写シートはテフロンシートを用い、ダイ式塗工機でインクを塗布し、乾燥(乾燥温度100℃)させたもので電解質膜を挟み、130℃、4MPa、4分間の条件で熱圧転写した。その後、実施例2と同様にしてモジュールとし、実施例3と同様にして放電耐久性評価試験を行った。その結果を図7(低加湿ランプ波放電評価結果)、図8(低加湿ホールド波放電結果)に示す。
Figure 2004179156
Figure 2004179156
Figure 2004179156
[評価]
図7,図8からわかるように、転写法によるものと比較して実施例3であるインクジェット塗工によるものは、電流密度1A/cmで約20mv高性能であり、また、耐久性も高くなっている。これは、転写法に比較して、インクジェット塗工により触媒層内部に小さな隙間、計画した隙間でできたことにより、反応ガスの拡散性が向上したり、セル環境条件が低加湿条件においても、触媒層の隙間に水分が入りやすくなり、濡れ易くなり、触媒層の抵抗値が少なくなって出力が向上するためと解される。それにより、本発明の有効性が示される。
本発明による固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法を実施するための装置の一例を示す概念図。 本発明の製造方法により作られる固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体を模式的に示す図。 インクジェット塗工による塗工膜を模式的に示す図。 実施例2と比較例1でのカソード側塗布面の顕微鏡写真による図。 実施例2と比較例1のモジュールにおける時間とクロスリーク量の関係を示すグラフ。 実施例2と比較例1のモジュールにおける時間とセル電圧降下の関係を示すグラフ。 実施例3と比較例2のモジュールに低加湿ランプ波放電評価結果を示すグラフ。 実施例3と比較例2のモジュールにおける低加湿ホールド波放電結果を示すグラフ。
符号の説明
1…電極用インクが塗布される基材(電解質膜)、2…インクジェットヘッド、3…電極用インク、4…塗布されたインクのパターン、5…乾燥炉、6…形成された触媒層、7…インクジェットノズルから噴射された液滴、8…液滴間の隙間

Claims (10)

  1. 触媒粒子を溶媒に分散させて電極用インクを調整する工程と、調整された電極用インクを高分子電解質膜にインクジェット塗工する工程とを少なくとも備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法。
  2. 触媒粒子を溶媒に分散させて電極用インクを調整する工程と、調整された電極用インクを転写シートにインクジェット塗工する工程と、転写シート上の電極用インクを高分子電解質膜に転写する工程とを少なくとも備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜−電極接合体の製造方法。
  3. インクジェット塗工を、重ね塗り塗工として行うことを特徴とする請求項1または2に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  4. インクジェット塗工を、ノズルピッチ間を2回以上のスキャンで行うことを特徴とする請求項3に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  5. インクジェット塗工に当たり、インク液滴間の距離を調整する制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  6. インクジェット塗工するときのインク液滴の塗工距離を塗布後のインク液滴が流動しうる距離とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  7. 電極用インクの塗工距離が5mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  8. 電極用インクとして、触媒粒子を構成する担持体として凝集物生成の原因となる不純物の含有量が少ない担持体を用いた電極用インクを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  9. 担持体がカーボン担体であり、不純物がV,FeまたはNiの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  10. 不純物が、Vである場合に0.1重量%以下、Feである場合に0.05重量%以下、Niである場合に0.1重量%以下を含んでいるカーボン担体を用いることを特徴とする請求項10に記載の膜−電極接合体の製造方法。
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