JP2007115532A - 燃料電池用膜電極接合体製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池用膜電極接合体において触媒層のポーラス度を向上させることである。
【解決手段】燃料電池用膜電極接合体は、触媒材料を溶媒に分散させた触媒層用インク10を生成してスプレー装置20に供給し、液滴化した噴霧12を中間保持体40の片側表面に散布して触媒材料を含む塗布層30を形成し、その後乾燥工程によって乾燥させた塗布層32とし、ついで、電解質膜70の上面及び下面にそれぞれ、乾燥させた塗布層32を向かい合わせて中間保持体40を積み重ねてホットプレス60で加熱加圧し、触媒材料を含む塗布層を電解質膜70に転写して製造される。乾燥温度は110℃以上170℃以下、触媒層用インクの固形分濃度は8.5質量%以上15質量%以下、ノズル先端と中間保持体表面との距離は55mm以上90mm以下に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池用膜電極接合体製造方法に係り、特に、中間保持体に触媒材料を含むインクをスプレーし塗布層を形成するスプレー工程と、塗布層を電解質膜上に転写する転写工程とを含む燃料電池用膜電極接合体製造方法に関する。
固体高分子電解質型燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electorode Assembly:MEA)と呼ばれる基本構成を有する。MEAは、イオン交換膜である固体高分子電解質膜の両面に触媒層を形成し、導電性の多孔体膜からなる燃料ガス供給層と空気供給層でこれを挟み込んだものである。MEAを製造するには、固体高分子電解質膜の両側の面にそれぞれ触媒層を積層し、さらにその上に燃料ガス供給層または空気供給層をそれぞれ積層する。
固体高分子電解質膜の上に触媒層を積層するには、触媒粉末を含むインクをダイヘッドと呼ばれる塗布ヘッドから固体高分子電解質膜の上に直接塗布するダイコート法、触媒粉末を含むインクをスプレーヘッドから固体高分子電解質膜の上に直接スプレーするスプレー法等を用いることが出来る。また、触媒粉末を含むインクをプラスチックフィルム等の中間保持体にダイヘッドまたはスプレーヘッドにより塗布または散布して中間保持体の面上に塗布層を形成し、この塗布層を中間保持体から固体高分子電解質膜の上へホットプレス等により転写する転写法を合わせて用いることも知られている。
例えば、特許文献1には、触媒粉末及び含フッ素イオン交換樹脂をエタノール等の溶媒に溶解または分散して含む粘性混合物を、スプレードライ法等により、平均粒径30μm、嵩密度0.5g/cmの粒子に造粒し、これをイオン交換膜の表面に散布し、加熱圧着することにより触媒層を含むガス拡散電極を製造する方法が述べられている。
また、特許文献2には、水を主成分とした触媒インクとして、触媒粒子の平均粒子径が1μm以下、粘度50CP、固形分含有比率17〜19重量%の触媒インクを用いて、ノズルからの噴射圧力0.5MPa以上、被塗着面とノズルの距離である飛行距離を10〜20mm程度とすることで、ノズルから噴出した触媒インク中の触媒粒子塊がスプレー時に電解質膜に叩き付けられて細かく分離され、所望の平滑度を得ることが述べられている。
また、特許文献3には、触媒層の形成方法としてスプレー塗布法を用い、液滴の形成装置として、エアーアトマイジングスプレーノズル、インクジェットノズルを用い、また液滴からの溶剤蒸発量又は液滴の吸湿量を制御することが述べられている。その手段として、加熱した電解質材料に液滴を適用すること、ノズルと電解質材料との間の温度・湿度を制御すること、ノズルと電解質材料との間の距離を制御することが述べられている。
また、特許文献4には、高分子電解質型燃料電池の電解質の劣化を抑制するため、触媒層に、水素と酸素との反応を促進して水を生成する触媒層を配置することが述べられている。そして、水素と酸素との反応を促進して水を生成する触媒層は、スプレードライ式装置を用いて水素イオン伝導性高分子でコーティングされ、このコーティングされた触媒と電極用触媒と溶媒とを含む混合液を用い、中間保持体上に噴霧又は塗布して乾燥した後に、水素イオン伝導性高分子電解質膜に転写し、これを電極触媒層としてMEAを作成することが述べられている。
特開2001−185163号公報 特開2005−116308号公報 特開2003−173786号公報 特開2003−109602号公報
上記の従来技術のうち、特許文献1から3は、スプレー法により電解質膜に直接触媒層を形成する。特許文献4は、中間保持体に噴霧又は塗布により触媒塗布層を形成し、これを電解質膜に転写する。また、これらの特許文献1から4において、従来から知られている技術として、上記のダイコート法、スプレー法による電解質膜への触媒層の直接形成、あるいはダイコート法、スプレー法による中間保持体への触媒塗布層の形成と、これの電解質膜への転写法について、言及がなされている。このように、MEAにおける触媒層の形成には多くの製造方法が知られている。
燃料電池、特にMEAの特性に影響を与える要素として、触媒層のポーラス度、すなわち、触媒層における空孔の占める度合いがある。ダイコート法で用いる触媒層用インクは流動性を確保するため粘性をある程度低く抑える必要があり、したがって平坦に塗られるため、ポーラス度を向上させにくい。スプレー法により電解質膜に直接触媒層を形成する方法はポーラス度を向上させることができるが、電解質膜が一般的に膨潤しやすく形状変形を起こしやすいため、作成上の管理が大変である。
このように、従来技術の膜電極接合体の転写法による製造方法においては、MEAの特性に影響を与える触媒層のポーラス度を十分には考慮されていない。また、スプレー法で用いる触媒層用インクは固形分濃度を上げることが出来るが、その後の処理条件によりポーラス度が左右される。
本発明の目的は、触媒層のポーラス度を向上させることが出来る燃料電池用膜電極接合体の製造方法を提供することである。他の目的は、スプレー法と転写法を用いて、触媒層のポーラス度を向上させることが出来る燃料電池用膜電極接合体の製造方法を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係る燃料電池用膜電極接合体製造方法は、中間保持体に触媒材料を含むインクをスプレーし塗布層を形成するスプレー工程と、塗布層を中間保持体から電解質膜上へ転写する転写工程とを含む燃料電池用膜電極接合体製造方法において、スプレー工程と転写工程との間に、触媒材料を含むインクの溶媒の共沸点温度以上中間保持体の軟化点以下の温度雰囲気の下で、塗布層が形成された中間保持体を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする。
また、乾燥工程は、110℃以上170℃以下の温度雰囲気であることが好ましい。
また、スプレー工程は、触媒材料を含むインクの固形分濃度が8.5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。また、スプレー工程は、スプレー装置から中間保持体へのインク飛翔距離が55mm以上90mm以下であることが好ましい。
上記構成により、スプレー工程と転写工程との間に、触媒材料を含むインクの溶媒の共沸点温度以上中間保持体の軟化点以下の温度雰囲気の下で、塗布層が形成された中間保持体を乾燥する乾燥工程を含むので、以後の転写工程の製造条件にある程度左右されずに、スプレー工程において形成されたポーラス度を維持することが出来る。
また、乾燥工程は、110℃以上170℃以下とする。110℃は、触媒材料を含むインクの溶媒の共沸点温度以上の例であり、170℃は中間保持体の軟化点以下の例である。
また、スプレー工程は、触媒材料を含むインクの固形分濃度が8.5質量%以上15質量%以下とする。実験によれば、スプレー法により塗布層を形成すると、インク飛翔時間や塗布雰囲気等により、塗布膜の固形分濃度はインクの固形分濃度より高くなる。インク固形分濃度を上記の範囲とすることで、ダイコート法で可能な限度である固形分濃度15%をはるかに超えた固形分濃度を有する塗布層を安定して形成することが出来る。したがって、ダイコート法のように空孔を余り含むことが出来ない平坦な膜内構造と異なり、空孔を多く含む立体的膜内構造を形成でき、ポーラス度を向上させることが出来る。なお、スプレー工程における塗布雰囲気としては、塗布層上において、50℃以上70℃以下の温度雰囲気に保つことが好ましい。
また、スプレー工程は、スプレー装置から中間保持体へのインク飛翔距離が55mm以上90mm以下とする。実験によれば、インク飛翔距離が短ければ、インク液滴の飛翔時間が短く、塗布層の固形分濃度が向上しない。飛翔距離を上記の範囲とすることで、ダイコート法で可能な限度である固形分濃度15%をはるかに超えた固形分濃度を有する塗布層を安定して形成することが出来る。
上記のように、本発明に係る燃料電池用膜電極接合体の製造方法によれば、触媒層のポーラス度を向上させることが出来る。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下において、特に重要な要素は、スプレー工程と転写工程に関する条件であり、それ以外の条件、例えば、触媒の材料、触媒層用インクの溶媒、触媒層用インクに添加する添加物、スプレー装置の形式及び具体的装置構造、乾燥工程における具体的装置構造、転写工程における具体的装置構造等は、一例を述べるが、それ以外のものであっても、具体的なMEA構造に適合するものを適宜選択することが出来る。
図1(a)から(e)は、燃料電池用膜電極接合体の製造方法の手順を示すフロー図である。燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、図1(a)の触媒層用インクの生成工程、(b)のスプレー工程、(c)の乾燥工程、(d)のホットプレスによる転写工程をへて、(e)のMEA構造形成工程を含んで構成される。
図1(a)の触媒層用インクの生成工程は、触媒材料を粒子状に溶媒に分散させた触媒層用インク10を生成する工程である。粒子状の触媒材料としては、触媒合金担持炭素粉末を用いることが出来る。例えば、Pt/C、PtCo/C、PtRu/C、PtCoIr/C等を用いることが出来る。触媒合金と炭素との割合である担持率としては40%以上が好ましい。溶媒としては、例えば、水とエチルアルコールの混合物を用いることができ、水44質量%、エチルアルコール56質量%の混合液体を用いることができる。これ以外にも、メチルアルコール等の極性溶媒、あるいは複数の極性溶媒の混合物を用いることができる。触媒層用インク10としては、触媒合金担持炭素粉末の他の添加物をさらに加えてもよい。例えば、ナフィオンの商品名で広く知られるプロトン伝導性ポリマーを適当量添加することができる。触媒層用インクの粒子径は、0.1μm以上20μm以下の範囲のものを用いることができ、好ましくは0.1μm以上5μm以下を用いることがよい。
触媒層用インク10の粘度は、15cp以上500cp以下とすることができ、好ましくは15cp以上150cp以下とすることがよい。触媒層用インク10の固形分濃度は、次のスプレー工程の条件と共に、触媒層のポーラス度に影響を与えるので、所定の範囲内のものを用いることが必要である。具体的な数値については、次のスプレー工程における実験結果の説明のところで詳細に述べる。
図1(b)のスプレー工程は、触媒層用インク10をスプレー装置20に供給し、所定の条件で液滴化した噴霧12を中間保持体40の片側表面に散布して、触媒材料を含む塗布層30を形成する工程である。
中間保持体40は、次の転写工程において塗布層30を電解質膜に移すために中間的に用いるキャリア材である。中間保持体40の材料としては、転写工程の前工程の熱処理に耐えることと、転写工程において塗布層が容易に剥離することを満たすものを用いる。かかる材料としては、適当なプラスチックフィルムを用いることができ、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン等のフィルムを用いることができる。中間保持体40の厚さは、例えば100μm程度のものを用いることができる。
スプレー装置20としては、汎用のスプレーガンを用いることができる。汎用のスプレーガンとしては、窒素ガス等のキャリアガスに触媒層用インクを乗せて液滴化して噴霧する方式、または、ノズルの周囲に窒素ガス等を噴出させてその負圧によって触媒インクを引き出して液滴化し噴霧する方式を用いることができる。液滴径は、50μm以上500μm以下が好ましい。これ以外のスプレー装置として、公知のインクジェットノズルを備える装置、エアーアトマイズスプレーノズルを備える装置等を用いてもよい。
スプレー工程の条件は、触媒層のポーラス度に影響する塗布層30の固形分濃度を考慮して定められる。塗布層30の固形分濃度に影響を与える条件としては、触媒層用インク10の固形分濃度と、スプレー装置20のノズル先端から中間保持体40の表面までの距離であるインク液滴の飛翔距離と、スプレー工程における温度雰囲気とがある。ここで、スプレー工程における温度雰囲気は、作業性等を考慮し、塗布層30における温度として50℃以上70℃以下とすることが好ましい。この温度雰囲気は、中間保持体40を適当なヒータ上に置くことでもよく、あるいは、スプレー工程全体をこの温度雰囲気で行うこととしてもよい。
図2は、スプレー工程の温度雰囲気を50℃とし、触媒層用インク10の溶媒を水44質量%とエチルアルコール56質量%の混合液体とし、触媒層用インク10の固形分濃度と、スプレー装置20のノズル先端から中間保持体40までの距離とをパラメータとして、スプレー後の中間保持体40上の塗布層30の固形分濃度を測定した結果を示すグラフである。触媒層用インク10の固形分濃度は、スプレー前の触媒層用インク10全体に対する触媒層用インク10中の固形分の質量%で示されている。塗布層30の固形分濃度は、塗布層30全体に対する塗布層30中の固形分の質量%で示されている。
図2から分かるように、触媒層用インク10の固形分濃度と塗布層30の固形分濃度とは大きく異なり、塗布層30の固形分濃度の方が触媒層用インク10の固形分濃度よりも高い値を示す。これは、触媒層用インク10を液滴化する過程、液滴が飛翔する過程、スプレー工程の温度雰囲気等によって、固形分濃度が濃縮されるものと考えることができる。
また、図2の結果から、塗布層30の固形分濃度に対する触媒層用インク濃度の影響は、触媒層用インク濃度が8.5質量%以上となると、ダイコート法で可能な限度である固形分濃度15%以上をほぼ達成して安定することが分かる。図示されていないが、実験は、触媒層用インク濃度が15質量%の条件まで行い、その範囲では塗布層30の固形分濃度が図2のように安定しているので、触媒層用インク10の固形分濃度としては、8.5質量%以上15質量%以下が好ましいことが確かめられた。
また、図2の結果から、塗布層30の固形分濃度に対する、ノズル先端と中間保持体表面との距離の影響は、その距離が小さいと塗布層30の固形分濃度が小さい値にとどまることが分かる。従来のダイコート法においては、流動性を確保するため、塗布層の固形分濃度は15%前後がせいぜいであることが分かっているので、ダイコート法より優れた塗布層固形分濃度とするためには、ノズル先端と中間保持体表面との距離を55mm以上にすることがよい。図示されていないが、実験は、ノズル先端と中間保持体表面との距離が90mmの条件まで行い、その範囲では図2と同様な傾向が維持されているので、ノズル先端と中間保持体表面との距離としては、55mm以上90mm以下が好ましいことが確かめられた。
再び図1(c)に戻り、乾燥工程は、塗布層30を片面表面上に有する中間保持体40を適当な温度条件の下で処理し、塗布層30に含まれる溶媒を蒸散させ、乾燥させた塗布層32とする工程である。乾燥工程は、適当なヒータ50の上に塗布層付きの中間保持体40を置くことで処理することができる。乾燥工程は、乾燥させた塗布層32の有しているポーラス度確保の能力を損なわない範囲で行う必要がある。したがって、乾燥させた塗布層32の乾燥度合いとともに、転写後の触媒層34の固形分濃度、ポーラス度の評価によって、乾燥条件を定めることができる。
乾燥条件を述べる前に、図1(d)の転写工程を説明する。転写工程は、乾燥工程を施して乾燥させた塗布層32を片面表面に有する中間保持体40を2つ用意し、電解質膜70の上面及び下面のそれぞれに、乾燥させた塗布層32を向かい合わせて、積み重ね、これをホットプレス60で加熱加圧し、触媒材料を含む塗布層を、中間保持体40から電解質膜70に転写する工程である。電解質膜はプロトン導電性ポリマーで、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸膜等を用いることができる。ホットプレス60の転写条件は、圧力を1MPa以上5MPa以下、温度を140℃以上170℃以下、加圧加熱時間を1分以上10分以下とすることができる。好ましくは、3MPa、140℃、4分の条件で行うことがよい。図1(e)は、転写工程のあと装置から取り外した様子を示す図で、電解質膜70の両面に触媒層34が積層された燃料電池用膜電極接合体80であるMEA構造体が形成されている。
図3は、乾燥させた塗布層32の固形分濃度に対する乾燥工程の温度の影響を示す図である。ここでは、図2で説明した塗布層30の中で、触媒層用インク10の固形分濃度を9.8%、ノズルから中間保持体表面までの距離を55mmとするものについて示されている。乾燥させた塗布層32の固形分濃度は、乾燥させた塗布層32全体に対する固形分の質量%で示してある。乾燥条件は、乾燥温度をパラメータとし、乾燥時間は3分で行った。乾燥時間は好ましくは1分以上5分以下の範囲で定めることもできる。
図3から分かるように、乾燥させた塗布層32の固形分濃度は、乾燥工程の温度が80℃で急に上昇し、それ以上ではほぼ一定となり安定して90質量%程度が得られている。この80℃というのは、触媒層用インク10の溶媒が急蒸散する温度、すなわち溶媒の共沸点温度である。実験は170℃まで行ったが、これは、中間保持体40として用いたPTFEフィルムがその温度では軟化してしまうからである。したがって、図3の結果からは、乾燥工程の温度条件として、80℃以上170℃以下が望ましい。この範囲は、触媒層用インク10の溶媒の共沸点以上中間保持体40の軟化点以下に相当する。
図4は、転写後における塗布層である触媒層34のポーラス度に対する乾燥工程の温度の影響を示す図である。条件は図3と同様で、触媒層用インク10の固形分濃度を9.8%、ノズルから中間保持体表面までの距離を55mmである。ポーラス度の評価は、Hgポロシ法として一般に知られている方法により行った。Hgポロシ法の原理は、試験材料を容器中に入れてHgを圧入し、その圧力とHgの容積の減少との関係から、試験材料に含まれる気孔に侵入するHgの体積を求めるものである。圧力が小さいときにHgが侵入できる気孔は大きい径を有し、小さい径の気孔ほどHgの侵入には高い圧力を要するので、圧力とHgの体積減少の関係から、試験材料における気孔径とその体積の分布が分かる。適当な範囲の気孔径についてその体積を合計し、試験材料の全体積との比から、ポーラス度を求めることができる。ポーラス度を求めるための気孔径の範囲は、例えば0.01μm以上1μm以下等とすることができる。図4において触媒層ポーラス度は、0.01μm以上1μm以下の範囲でポーラス度を算出した。
図4の結果から分かるように、乾燥温度が80℃以上でポーラス度は10%以上となり、特に110℃を超えるとほぼ一定となって安定したポーラス度の向上が見られる。このことから、乾燥工程の条件は、図3で説明した乾燥温度80℃以上170℃以下の条件をさらにポーラス度の向上の観点から絞って、乾燥温度を110℃以上170℃以下とすることが好ましいことが分かる。この場合のポーラス度は、およそ20%である。乾燥温度50℃の場合は、図3からも推測されるように、触媒層34の固形分濃度が十分に向上しておらず、従来技術のダイコート法で得られる8%に近い。したがって、図4のポーラス度の向上は、従来技術のダイコート法によって得られる触媒層のポーラス度に対する向上度を示すものと評価することができる。
図5は、乾燥工程の条件を乾燥温度110℃としたときにおいて、触媒層34のポーラス度に対する触媒層用インク10の固形分濃度及びノズル先端と中間保持体表面との距離の影響を示す図である。すでに、図2において、触媒層用インク10の固形分濃度としては、8.5質量%以上15質量%以下が好ましく、ノズル先端と中間保持体表面との距離としては、55mm以上90mm以下が好ましいことを説明したが、図5の結果からも、燃料電池用膜電極接合体80であるMEA構造体の触媒層34のポーラス度の向上の面において、触媒層用インク10の固形分濃度は8.5質量%が好ましく、またノズル先端と中間保持体表面との距離は55mm以上とすることが好ましいことが確認される。
このように、スプレー法と転写法を用いる燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、スプレー工程と転写工程との間に乾燥工程を設けて、乾燥温度、触媒層用インクの固形分濃度、ノズル先端と中間保持体表面との距離等の条件を適切に管理することで、触媒層のポーラス度を従来技術に比べ向上させることができる。
触媒層における目付時間は、中間保持体40上の乾燥させた塗布層32における触媒材料の面積密度を目安に定められる。1つの目安は、触媒材料の面積密度を0.8mg/cmとするもので、上記の触媒層用インク10の固形分濃度、ノズル高さ、乾燥条件の範囲からは、乾燥させた塗布層32の厚さ11μm以上17μm以下が得られる。ちなみに、流動性を確保することが必要なため、粘度を高くすることに制限のあるダイコート法においては、同じ触媒材料の面積密度の下で、塗布層の代表的な厚さは、8μmから10μmの範囲である。したがって、スプレー法の方がダイコート法に比較して同じ触媒材料の面積密度の下で厚さを約1.5倍にでき、その分だけポーラス度を向上し得ることが分かる。
燃料電池用膜電極接合体を、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2として作成し、その燃料電池としての電圧−電流密度特性を比較した。実施例1、実施例2、比較例1はスプレー工程−乾燥工程−転写工程によって作成し、比較例2は、従来技術であるダイコート法によって作成した。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2における製造条件は以下の通りである。触媒層用インクは、触媒材料としてPtの担持率が50質量%のPt/Cを用い、水とエチルアルコールとの質量比率が44:56の混合物溶媒に、プロトン伝導ポリマーを触媒材料のカーボン質量と同量加えて分散させ、インク平均粒径を1μmとしたものを用いた。触媒層用インクの固形分濃度は8.5質量%で、その粘度は80cpである。スプレー工程は、汎用スプレーガンを用い、厚さ100μmのPTFEフィルムを中間保持体としてその表面に塗布層を目付0.8mg/cmとなるように5層塗り重ねて作成した。PTFEフィルムは50℃以上70℃以下の温度に保持してある。
ノズル先端と中間保持体表面との距離は、実施例1について80mm、実施例2について55mmとした。これに対し、比較例1は、ノズル先端と中間保持体表面との距離を30mmとした。
比較例2は、上記インクを用いてPTFEフィルムに目付0・8mg/cmとなるようにバーコーダーを用いてコーティングした。
乾燥工程は、ホットプレート型のヒータを用い、塗布層付きPTFEフィルムの温度は110℃、乾燥時間が3分である。転写工程は、汎用のホットプレス装置を用い、電解質膜としての厚さ50μmのパーフルオロカーボンスルホン酸膜の両面にPTFEフィルム上の塗布層を転写した。ホットプレス装置の転写条件は、圧力が3MPa、温度が140℃、加圧加熱時間が4分である。
このように、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2はいずれも、触媒層用インクの固形分濃度を8.5質量%とし、乾燥温度を110℃とした。そして、ノズル先端と中間保持体表面との距離を、実施例1について80mm、実施例2について55mmとし、比較例1は、ノズル先端と中間保持体表面との距離を30mmとした。作成された各サンプルのポーラス度は、Hgポロシ法で測定し、その結果は、比較例2が8%、実施例1は23%、実施例2は18%、比較例1は9%であった。
図6は、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のそれぞれの電圧−電流密度特性を1つの図に示したものである。このように、実施例1、実施例2は、比較例1、比較例2に比べ、電圧−電流密度特性において優れた特性が得られた。
本発明に係る実施の形態における燃料電池用膜電極接合体の製造方法の手順を示すフロー図である。 本発明に係る実施の形態において、スプレー後の中間保持体上の塗布層の固形分濃度の測定結果を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、転写後における塗布層である触媒層の固形分濃度に対する乾燥工程の温度の影響を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、転写後における塗布層である触媒層のポーラス度に対する乾燥工程の温度の影響を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、触媒層のポーラス度に対する触媒層用インクの固形分濃度及びノズル先端と中間保持体表面との距離の影響を示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のそれぞれの電圧−電流密度特性を1つの図に示したものである。
符号の説明
10 触媒層用インク、12 液滴化した噴霧、20 スプレー装置、30 塗布層、32 乾燥させた塗布層、34 触媒層、40 中間保持体、50 ヒータ、60 ホットプレス、70 電解質膜、80 燃料電池用膜電極接合体。

Claims (4)

  1. 中間保持体に触媒材料を含むインクをスプレーし塗布層を形成するスプレー工程と、塗布層を中間保持体から電解質膜上へ転写する転写工程とを含む燃料電池用膜電極接合体製造方法において、
    スプレー工程と転写工程との間に、触媒材料を含むインクの溶媒の共沸点温度以上中間保持体の軟化点以下の温度雰囲気の下で、塗布層が形成された中間保持体を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする燃料電池用膜電極接合体製造方法。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体製造方法において、
    乾燥工程は、110℃以上170℃以下の温度雰囲気であることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体製造方法。
  3. 請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体製造方法において、
    スプレー工程は、触媒材料を含むインクの固形分濃度が8.5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体製造方法。
  4. 請求項3に記載の燃料電池用膜電極接合体製造方法において、
    スプレー工程は、スプレー装置から中間保持体へのインク飛翔距離が55mm以上90mm以下であることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体製造方法。
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