JP2004311163A - 燃料電池の触媒層膜とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層膜に含まれる不純物の濃度を所定濃度以下に管理して高品質の燃料電池を製造するための触媒層膜とその製造方法を提供する。
【解決手段】触媒層膜に含まれる不純物濃度を所定濃度以下に管理するために、触媒層膜を製造する触媒塗料に反応防止剤を添加して触媒反応による有機系化合物の生成及び除去を促進させ、溶媒及び洗浄に用いる水をアルカリ金属の少ないものとする。
【選択図】 図2
【解決手段】触媒層膜に含まれる不純物濃度を所定濃度以下に管理するために、触媒層膜を製造する触媒塗料に反応防止剤を添加して触媒反応による有機系化合物の生成及び除去を促進させ、溶媒及び洗浄に用いる水をアルカリ金属の少ないものとする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質となる高分子系イオン交換膜(以下、高分子膜)の両面にアノード電極及びカソード電極となる触媒層膜を形成した固体高分子型燃料電池の触媒層膜とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は基本的に電解質とこれを挟む2つの電極から構成され、白金などの触媒化学反応によって燃料となる水素分子を負極側で電子と水素イオンとに解離させた後、水素イオンが電解質中を移動し、正極側で酸素と反応させて水を得ることで正極−負極間に電子が流れ、起電力が発生するように構成される。
【0003】
燃料電池は電解質の種類によって、固体酸化物型、溶融炭酸塩型、燐酸型、アルカリ型、固体高分子型などに大別され、それぞれが適正な動作温度を有している。中でも固体高分子型燃料電池は、その動作温度がおおよそ50〜100℃と他の燃料電池に比して低く、家庭用電力給湯システム、電気自動車用電源、携帯電話機等の携帯電子機器などの新エネルギー源として期待されている。
【0004】
この固体高分子型燃料電池の基本要素は、図5に示すように、固体電解質としての高分子膜1の両側に負極(アノード)及び正極(カソード)となる触媒層膜2,3を接合して構成されている。各触媒層膜2,3は、白金単体あるいはその合金を主体としたものが一般的で、例えば、担体となる炭素粒子に白金もしくはその合金の微粒子を担持した触媒粒子を用いている。負極触媒層膜2側には燃料となる水素分子が、正極触媒層膜3側には酸素分子もしくは空気が供給され、負極触媒層膜2側で水素分子は触媒によって水素イオンと電子とに解離され、水素イオンは高分子膜1を透過して正極触媒層膜3側に移動し、正極触媒層膜3側で酸素と反応して水が生成される。このとき負極側と正極側との間の回路が閉じていれば、負極側から正極側に電子が移動して起電力が発生する。この高分子膜−触媒層電極接合体(以下、触媒電極接合体)から発生する起電力は、1ボルト前後(通常0.7〜0.8V)であり、触媒電極接合体からなる複数の基本構成要素を直列に重ね合わせることにより、実際に利用できる起電力が得られる。
【0005】
前記触媒電極接合体のように、シート状の部材上に厚膜状に物質を付着させる手段として、フィルムなどの基材上に塗工や蒸着等によって付着させた所定厚さの物質をその性状に適した加圧と温度条件下で所定時間部材に接触させることにより、物質のみをフィルム基材上から剥離させ、部材上に付着接合させる転写法が知られている。
【0006】
また、所定の特性(例えば、粘度や密度、表面張力等)に調整された塗料を用いて部材表面に所定の形状を形成するために、パターン加工したマスクによる手段(スクリーン)や、所定形状に加工された表面上に均一に塗料を付着させ、これを部材の表面に接触させて部材に塗料を付着させる手段(例えば、オフセット)に代表される印刷法が知られている。更に、所定の特性に調整された塗料を高圧ガスやポンプを用いて加圧し、筒状の吐出穴やスリットから塗料を噴霧して、部材の表面に塗料を付着させる直接塗布法も知られている。この印刷法及び直接塗布法の技術は、活字文書や電子部品などのデバイス製造技術などの分野に用いられていることは周知のところであるが、燃料電池の製造分野においても、高分子膜に触媒層膜を形成する方法として適用されている。
【0007】
特に、燃料電池の触媒電極接合体の一般的な製造方法として、白金を担持した所定粒径分布をもつ炭素粒子からなる触媒粒子を均一な膜厚に形成した触媒層膜を高分子膜と重ね合わせ、デバイス特性に悪影響を与えない加工条件(温度、圧力、時間等)下で、触媒層膜と高分子膜とを付着接合している。
【0008】
上記転写法による触媒電極接合体の製造方法においては、触媒層膜の材料である触媒粒子をフィルム状の基材に塗布し、多少の取り扱いでも剥がれないような付着力を保ちつつ、高分子膜への熱転写の際には、フィルム状基材から高分子膜へ触媒層膜のみを移動させる付着バランスを制御することが最も難しく、これを解決する転写法が知られている(特許文献1参照)。この転写法は、ブランクシート(触媒層膜を形成したフィルム状基材)を150〜200℃の温度に加熱し、高分子膜を80〜130℃の温度に加熱した状態で重ね合わせて加圧する。加圧は50〜100MPaの圧力下で30〜300秒間、プレス型で挟持するものである。
【0009】
また、印刷法により基材上に形成した触媒層膜を、転写法により高分子膜に接合処理することを連続的に行う触媒電極接合体の製造方法が知られている(特許文献2参照)。この製造方法は、基材となる長尺フィルム上に触媒層をスクリーン版スキージ印刷によって連続して印刷し、触媒インク中の溶媒を蒸発乾燥させて正極及び負極の触媒層シートを形成する工程と、この触媒層シートを高分子膜を間にして両側から挟むように配置し、熱ロール又は熱間プレスによって触媒層を高分子膜に転写する工程とからなる。
【0010】
ところで、現在の燃料電池システム商品としての重要課題は、高品質と低コスト化である。品質を決定する要因の1つに、触媒層中の白金触媒の劣化がある。この白金触媒劣化の原因物質で現在最も影響が大きいと議論されているのは、都市ガスやメタノール等から取り出される水素を生成する反応過程で生じた一酸化炭素で、これが白金触媒に作用して起こることが主な触媒毒とされてきた。しかし、現状では一酸化炭素濃度が100ppm以下であれば問題がないとされている。
【0011】
そのため多くの公開特許において一酸化炭素濃度を100ppm以下にするための提案がなされている。例えば、燃料電池システムの起動及び停止時における燃料供給配管経路の窒素ガス置換方法による不完全酸化反応の防止による一酸化炭素被毒を低減する手段が開示されている(特許文献3参照)。また、メタノール改質反応により生成される様々な物質を選択的に酸化反応させて十分に一酸化炭素を低減させた水素ガスの生成が開示されている(特許文献4参照)。
【0012】
また、触媒層膜中に存在する不純物を除去するために、触媒層膜を水溶性の有機系溶媒中に浸漬し、大気圧もしくは数気圧の加圧窒素中、あるいは13332〜26000Paの減圧雰囲気中で洗浄する方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−353529号公報(第4〜6頁、図1)
【0014】
【特許文献2】
特開平10−64574号公報(第3〜
【0015】
【特許文献3】
特開平04−51469号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平07−315825号公報
【0017】
【特許文献5】
特開平06−275287号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記触媒層膜を製造するための転写法、印刷法、塗布法の各膜形成方法において用いられる触媒塗料は、炭素粒子を担体として白金微粒子を担持させた触媒粒子を主原料として、触媒塗料の特性がそれぞれの膜形成方法に適した塗料にするため溶媒が加えられる。その溶媒が主に水である塗料の場合、塗布状態が不安定なスラリー状になることが多く、印刷法や塗布法では水分変化や塗料特性(粘度、密度、表面張力、粒径等)の経時変化が原因となって安定した品質の触媒層膜の形成が困難となる問題があった。例えば、分散状態の変化や触媒粒子の凝縮等によりスクリーンメッシュやノズルに目詰まりが生じ、高分子膜のキズや印刷ムラが発生しやすくなる。また、オフセット印刷においては、塗料の付着量のバラツキにより均一な触媒層膜厚が形成できない。
【0019】
そこで、安定した塗料特性を得るための手段として、有機系化合物の溶媒を加え、粘度調整や触媒粒子の分散性をよくして塗工性を向上させることが一般的に行われる。しかし、これらの溶媒は製造過程において必要なものではあるが、最終製品である触媒電極接合体の構成材料として全く不要なものが多い。また、この溶媒は製造過程で完全に除去されるものではなく、触媒層膜中に不純物として残留するものであり、触媒電極接合体の特性に対して好ましくないものである。
【0020】
また、燃料である水素ガス中に含まれる一酸化炭素による触媒毒を低減させる方法は種々提案されているが、供給される水素ガス中の一酸化炭素を低減しても触媒劣化は生じており、更に触媒劣化のない高性能な燃料電池システムを実現するためには、システム運転時だけでなく、製造過程で触媒電極接合体に混入するあらゆる不純物を徹底的に除去することが重要である。
【0021】
特に、触媒層膜の製造過程において、触媒塗料中に含まれる白金は、洗浄や塗料調整に用いられる有機系溶媒や塗工時の基材として用いる樹脂フィルムあるいは構成部材である高分子膜などの有機系化合物と酸化反応を生じ、比較的少ないエネルギーを加える処理条件下でも激しく反応し、最悪は火災が発生するほどの激しい酸化反応を起こすことを本願発明者らは観察している。
【0022】
このような酸化反応現象が生じる製造過程は、白金等の触媒金属と担体となる炭素粒子とから触媒粒子を造粒する工程、造粒した触媒粒子に表面加工する工程、その触媒粒子に溶媒を添加して塗料に調合する工程、この触媒塗料を基材や高分子膜等に印刷または塗布する工程、塗布された触媒層膜から溶媒成分を除去する乾燥工程などであり、可燃物となる有機系化合物が存在するところには必ず酸化反応が発生する。従って、これらの工程では、可能な限り支援剤(酸素ガス)などを遮断した雰囲気下で処理されるのが望ましい。
【0023】
また、白金触媒の担体として使われる炭素粒子は化学物質を吸着しやすい多孔質構造を有しているため、塗料に含まれる溶媒などの有機系化合物を長期にわたって吸収吸着し、燃料電池システムとして組み込まれた時点においても触媒層膜中に有機系化合物が残留していることが、本願発明者らによる化学分析により発見された。更に、触媒層膜中に残留した溶媒等の有機系化合物に一部または全部が酸化反応を生じ、その反応家庭の中で不完全酸化物である一酸化炭素を発生させることも見出された。
【0024】
このような有機系化合物が残留する触媒層膜を用いた燃料電池システムを運転させると、触媒層膜に含まれていた有機系化合物は水素と酸素の化学反応により生成された生成水によって幾分かは洗い流され、触媒層膜中の有機系化合物の濃度は低下する傾向にあるが、生成水の再利用(ガス加湿)による長期にわたる暴露や、初期の段階で高濃度に存在することから、触媒電極接合体への影響が大きく作用し、触媒電極接合体の劣化を促進するきっかけになっている。
【0025】
また、生成水は有機系化合物を含んでいるため、燃料電池システムが運転停止した温度低下時に、有機系化合物を栄養源とする微生物が繁殖し、高濃度の有機系化合物が発生しやすい状態となる。この微生物の生命活動で生じる新たな物質や死骸などの有機系化合物の生成により、燃料電池システムの不安定な運転や触媒劣化を加速させることも課題の1つである。
【0026】
触媒層膜中の有機系生成物成分が所定濃度以上になると、電圧劣化率が急激に上昇する傾向がみられる。電圧劣化率の低下を示す触媒層膜に残留する成分を分析したところ、低濃度であるが有機系溶媒成分を起源とするケトン基及びカルボニル基を有する低濃度(約50〜300ppm)の有機系化合物が検出された。更に、水素ガスがアノード電極となる触媒層膜側に供給され、触媒電極接合体で消費されて排出された未反応水素ガスを含む排気ガス中に数ppm程度の微量な一酸化炭素と二酸化炭素が検出された。このように一酸化炭素の触媒毒は、都市ガスやアルコール系の燃料ガスの改質により生成するものばかりでなく、燃料電池の製造過程で使用する様々な有機系の化学物質の酸化反応によっても発生し、燃料電池システムの品質性能に大きく影響していることが見出された。
【0027】
本発明が目的とするところは、触媒層膜の製造過程で触媒材料に混入し、残留する有機系化合物やアルカリ金属等の不純物の濃度を制御して高性能な燃料電池を製造するための触媒層膜とその製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜中に含まれる有機系化合物成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とするものである。白金等の触媒成分による酸化反応によって燃料電池の電池特性に劣化を来す有機系化合物の濃度が所定濃度以下になるように管理することにより、触媒劣化を抑制した触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0029】
より具体的には、上記有機系化合物成分は蟻酸あるいは酢酸あるいは蓚酸であり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で200ppm以下になるように管理することが望ましい。
【0030】
また、本願第2発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とするものである。マグネシウム等のアルカリ金属成分は、触媒層膜中の濃度が高くなると燃料電池の電圧劣化率が大きくなる。アルカリ金属成分は触媒層膜を製造する工程ばかりでなく、中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程に用いる洗浄水からも触媒層膜に混入するので、アルカリ金属成分の濃度が低い水溶媒や洗浄水を使用することにより、電圧劣化率の小さい触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0031】
上記アルカリ金属の主成分がマグネシウムあるいはカルシウムあるいはリチウムあるいはベリウムであり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で20ppm以下となるように管理することにより、電池性能がよく安定した品質の固体高分子型燃料電池を構成することができる。
【0032】
また、本願第3発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜を膜状に形成するために添加した所定濃度の有機系化合物成分の触媒による酸化促進を抑制する反応防止剤を添加することを特徴とするものである。触媒層膜を形成するために添加された有機系化合物に反応防止剤を添加することにより、触媒反応による生成物が生成されにくくなり、より低い温度での乾燥により触媒層膜中の有機系化合物の濃度を管理濃度に低下させることができる。
【0033】
上記反応防止剤は、硫黄酸化物あるいは水素化合物あるいはソルビットが好適なものとなる。
【0034】
また、本願第4発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度の和が重量比で20ppm以下となるように、製造過程で用いる水溶液もしくは洗浄水を用いることを特徴とするものである。触媒層膜中のアルカリ金属成分の濃度が高くなると燃料電池の電圧劣化率が大きくなる。アルカリ金属成分は触媒層膜を製造する工程ばかりでなく、中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程に用いる洗浄水からも触媒層膜に混入するので、アルカリ金属成分の濃度が低い水溶媒や洗浄水を使用することにより、電圧劣化率の小さい触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
燃料電池システムにおける水素ガスと酸素ガスとの化学反応場である触媒電極接合体を構成する触媒層膜に残留する有機化合物成分の濃度が燃料電池性能(電圧特性及び電池寿命)に及ぼす影響について実験分析した。その結果、触媒層膜中には白金等の触媒成分による酸化反応によって様々な種類の有機系化合物成分が含まれていることが判明した。例えば、触媒塗料の塗布特性を調整するために添加される溶媒(混合する原材料の溶液も含む)が、純エタノールまたはエタノールを含む混合液や水溶液である場合、室温付近での温度条件下でも酸化反応によって、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸と変化し、純メタノールまたはメタノールを含む混合液や水溶液の場合、室温付近での温度条件下でも酸化反応によって、メタノール→ホルムアルデヒド→蟻酸へと変化し、酸化していくことがわかった。
【0036】
このエタノールやメタノールばかりでなく、これ以外の有機系溶媒を用いても触媒による化学反応によって容易に様々な有機系化合物成分が生成され、この有機系化合物成分が残留することにより、長期にわたって触媒に対して悪影響を与え、電池特性の劣化をまねいていることがわかった。
【0037】
図1に示すグラフは、触媒層膜中に含まれる蟻酸、酢酸、蓚酸それぞれの成分の濃度と触媒電極接合体の電圧劣化率の関係を示すものである。このグラフは、触媒層膜中の有機系溶媒成分の反応生成物濃度に対し、電池特性の評価方法として、それぞれの有機系溶媒の初期濃度が既知である触媒層膜からなる触媒電極接合体を用いて加湿した純水素と純酸素とを燃料及び支援ガスとする所定の条件下にて電気化学反応を起こさせ、カソード触媒電極とアノード触媒電極との間に発生した初期電圧を基準として、経時的な電圧低下の変化率を示す電圧低下率を示したものである。
【0038】
図に示されるように、触媒層膜中に含まれる有機系化合物の濃度が所定濃度以上であると、触媒電極接合体の電圧劣化率は急激に大きくなることがわかる。従って、触媒層膜中の有機系化合物の濃度を低減させる手段を講じる必要があり、これを製造工程に支障を及ぼさない短時間で実施することが要求される。
【0039】
触媒層膜中の有機系溶媒成分やその生成物成分を限られた製造時間内で触媒層膜中から除去して低濃度にするための手段として、触媒塗料に所定量の酸化防止剤を添加することにより、ある条件下で所望の生成物を選択的に生成して溶媒を蒸発除去することとした。
【0040】
前述のようにエタノールは、酸素雰囲気下において白金触媒の酸化作用によってアセトアルデヒドと酢酸を生成する。それぞれの大気圧下での沸点は、エタノールが78.3度、アセトアルデヒドが20.2℃、酢酸が118.5℃である。つまり、エタノールの中間生成物であるアセトアルデヒドの沸点が最も低く、酢酸は沸点が最も高いという特異な性質を示す。触媒を利用して反応生成物の主成分を溶媒により低沸点であるアセトアルデヒドになるように選択的に反応制御できれば、少ない熱エネルギー且つ短時間で溶媒やその生成物を蒸発除去することが可能となる。
【0041】
メタノールの場合では、酸素雰囲気下において白金触媒の酸化作用によってホルムアルデヒドと蟻酸が生成される。それぞれの大気圧下での沸点は、メタノールが64.5℃、ホルムアルデヒドが97.0℃、蟻酸が100.6℃となっている。つまり、メタノールが最も沸点が低く、続いて中間生成物であるホルムアルデヒドの沸点はメタノールより高く、更に蟻酸は最も沸点が高い性質を示す。従って、沸点が最も低いメタノールをホルムアルデヒドや蟻酸に変化させない、即ち、触媒による酸化を抑制する反応制御ができれば、少ない熱エネルギー且つ短時間で溶媒やその生成物を蒸発除去することが可能となる。
【0042】
そこで、10重量%の白金触媒を含む炭素粉末と、5重量%のフッ素系高分子材料を含む溶液を主材料とする触媒原材料に、70重量%のメタノール水溶液の溶媒を触媒塗料に添加して、更にメタノール溶媒の酸化防止剤として、0〜2体積%の亜硫酸水溶液を様々な量で塗料に添加して高分子系電解質機能膜である基材上に塗布形成し、触媒層膜の乾燥速度(重量変化)を測定する実験を行った。
【0043】
図2は、酸素濃度21体積%の空気を60℃±5℃の温度に制御した熱風を、触媒電極塗布膜に対して3分間吹き付けて乾燥させた乾燥速度の特性図である。図示されるように、低沸点のメタノールの状態で乾燥が進行し、触媒層膜の品質が安定した状態での乾燥速度を大きくすることができ、触媒層膜中の酢酸濃度を所望の管理濃度に低下させることができた。
【0044】
上記第1の実施の形態は、触媒を含まない塗料に対しても応用できるもので、塗料に乾燥促進のために新たに触媒を加えてその触媒作用を利用し、更に適正な酸化防止剤を添加して塗布膜の乾燥速度を制御し、低濃度の触媒層膜を形成することに応用することができる。
(第2の実施の形態)
図3に示すグラフは、一般に水溶液中に含まれるマグネシウムイオン濃度に対する触媒電極接合体の電圧劣化率を示している。図示するように、マグネシウムイオン濃度が高くなると、電圧劣化率が大きくなることがわかる。
【0045】
触媒層膜を形成する触媒塗料に添加する溶媒として、有機系化合物を主成分とする有機系溶媒の水溶液が用いられることが多く、上記マグネシウムイオン等のアルカリ金属成分が触媒層膜に混入されやすくなる。また、触媒塗料を作製する工程ばかりでなく、燃料電池の中間製品や完成製品の洗浄工程に用いられる洗浄水からもアルカリ金属成分が触媒層膜に混入すると考えられる。
【0046】
そこで、有機系溶媒やそれに添加される水溶媒を決定する手段として、▲1▼工業用水、▲2▼水道水、▲3▼イオン交換水、▲4▼蒸留水、▲5▼超純水をそれぞれ用いて水溶媒中の不純物濃度を制御し、触媒層膜中のアルカリ金属成分の濃度を調整した。
【0047】
図4は、前記▲1▼〜▲5▼それぞれの水を用いた水溶媒の添加に対して評価した触媒電極接合体の運転開始から20,000時間後の電圧劣化率を示している。このグラフからわかるように、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ金属成分の濃度が低い蒸留水や超純水を用いると、電圧劣化率は0.5%以下と極めて小さくなる。また、アルカリ金属成分の濃度が20ppm以下であると電圧劣化率が低く、マグネシウムやカルシウム金属濃度に影響されない安定した電圧劣化率を有する触媒層膜が形成できることが判明した。
【0048】
また、不純物の影響は、燃料電池の中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程においても、極力不純物を含まない電気伝導性の極めて低い蒸留水や長純水を洗浄水として使用することが望ましいことが確認された。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、燃料電池システムの品質を決定する要因である触媒層膜中に含まれる有機系化合物成分や水溶媒または洗浄水に含まれるアルカリ金属成分の残留濃度を所定濃度以下になるように製造管理し、反応防止剤の添加やアルカリ金属成分の少ない水の使用により、触媒層膜中の不純物濃度を制御し、所定濃度以上の触媒層膜が後工程に送られないように製造管理することができるので、不純物濃度が少ない触媒層膜を用いて高品質の燃料電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒層膜中の有機系化合物の濃度と電圧劣化率の関係を示す管理濃度特性図。
【図2】触媒塗料に添加した酸化防止剤濃度に対する乾燥速度を示す乾燥速度特性図。
【図3】触媒層膜中に残留するマグネシウム濃度に対する電圧劣化率を示す特性図。
【図4】触媒塗料に添加する各種水溶媒と電圧劣化率との関係を示すグラフ。
【図5】触媒電極接合体の基本的構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 高分子系イオン交換膜(高分子膜)
2、3 触媒層膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質となる高分子系イオン交換膜(以下、高分子膜)の両面にアノード電極及びカソード電極となる触媒層膜を形成した固体高分子型燃料電池の触媒層膜とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は基本的に電解質とこれを挟む2つの電極から構成され、白金などの触媒化学反応によって燃料となる水素分子を負極側で電子と水素イオンとに解離させた後、水素イオンが電解質中を移動し、正極側で酸素と反応させて水を得ることで正極−負極間に電子が流れ、起電力が発生するように構成される。
【0003】
燃料電池は電解質の種類によって、固体酸化物型、溶融炭酸塩型、燐酸型、アルカリ型、固体高分子型などに大別され、それぞれが適正な動作温度を有している。中でも固体高分子型燃料電池は、その動作温度がおおよそ50〜100℃と他の燃料電池に比して低く、家庭用電力給湯システム、電気自動車用電源、携帯電話機等の携帯電子機器などの新エネルギー源として期待されている。
【0004】
この固体高分子型燃料電池の基本要素は、図5に示すように、固体電解質としての高分子膜1の両側に負極(アノード)及び正極(カソード)となる触媒層膜2,3を接合して構成されている。各触媒層膜2,3は、白金単体あるいはその合金を主体としたものが一般的で、例えば、担体となる炭素粒子に白金もしくはその合金の微粒子を担持した触媒粒子を用いている。負極触媒層膜2側には燃料となる水素分子が、正極触媒層膜3側には酸素分子もしくは空気が供給され、負極触媒層膜2側で水素分子は触媒によって水素イオンと電子とに解離され、水素イオンは高分子膜1を透過して正極触媒層膜3側に移動し、正極触媒層膜3側で酸素と反応して水が生成される。このとき負極側と正極側との間の回路が閉じていれば、負極側から正極側に電子が移動して起電力が発生する。この高分子膜−触媒層電極接合体(以下、触媒電極接合体)から発生する起電力は、1ボルト前後(通常0.7〜0.8V)であり、触媒電極接合体からなる複数の基本構成要素を直列に重ね合わせることにより、実際に利用できる起電力が得られる。
【0005】
前記触媒電極接合体のように、シート状の部材上に厚膜状に物質を付着させる手段として、フィルムなどの基材上に塗工や蒸着等によって付着させた所定厚さの物質をその性状に適した加圧と温度条件下で所定時間部材に接触させることにより、物質のみをフィルム基材上から剥離させ、部材上に付着接合させる転写法が知られている。
【0006】
また、所定の特性(例えば、粘度や密度、表面張力等)に調整された塗料を用いて部材表面に所定の形状を形成するために、パターン加工したマスクによる手段(スクリーン)や、所定形状に加工された表面上に均一に塗料を付着させ、これを部材の表面に接触させて部材に塗料を付着させる手段(例えば、オフセット)に代表される印刷法が知られている。更に、所定の特性に調整された塗料を高圧ガスやポンプを用いて加圧し、筒状の吐出穴やスリットから塗料を噴霧して、部材の表面に塗料を付着させる直接塗布法も知られている。この印刷法及び直接塗布法の技術は、活字文書や電子部品などのデバイス製造技術などの分野に用いられていることは周知のところであるが、燃料電池の製造分野においても、高分子膜に触媒層膜を形成する方法として適用されている。
【0007】
特に、燃料電池の触媒電極接合体の一般的な製造方法として、白金を担持した所定粒径分布をもつ炭素粒子からなる触媒粒子を均一な膜厚に形成した触媒層膜を高分子膜と重ね合わせ、デバイス特性に悪影響を与えない加工条件(温度、圧力、時間等)下で、触媒層膜と高分子膜とを付着接合している。
【0008】
上記転写法による触媒電極接合体の製造方法においては、触媒層膜の材料である触媒粒子をフィルム状の基材に塗布し、多少の取り扱いでも剥がれないような付着力を保ちつつ、高分子膜への熱転写の際には、フィルム状基材から高分子膜へ触媒層膜のみを移動させる付着バランスを制御することが最も難しく、これを解決する転写法が知られている(特許文献1参照)。この転写法は、ブランクシート(触媒層膜を形成したフィルム状基材)を150〜200℃の温度に加熱し、高分子膜を80〜130℃の温度に加熱した状態で重ね合わせて加圧する。加圧は50〜100MPaの圧力下で30〜300秒間、プレス型で挟持するものである。
【0009】
また、印刷法により基材上に形成した触媒層膜を、転写法により高分子膜に接合処理することを連続的に行う触媒電極接合体の製造方法が知られている(特許文献2参照)。この製造方法は、基材となる長尺フィルム上に触媒層をスクリーン版スキージ印刷によって連続して印刷し、触媒インク中の溶媒を蒸発乾燥させて正極及び負極の触媒層シートを形成する工程と、この触媒層シートを高分子膜を間にして両側から挟むように配置し、熱ロール又は熱間プレスによって触媒層を高分子膜に転写する工程とからなる。
【0010】
ところで、現在の燃料電池システム商品としての重要課題は、高品質と低コスト化である。品質を決定する要因の1つに、触媒層中の白金触媒の劣化がある。この白金触媒劣化の原因物質で現在最も影響が大きいと議論されているのは、都市ガスやメタノール等から取り出される水素を生成する反応過程で生じた一酸化炭素で、これが白金触媒に作用して起こることが主な触媒毒とされてきた。しかし、現状では一酸化炭素濃度が100ppm以下であれば問題がないとされている。
【0011】
そのため多くの公開特許において一酸化炭素濃度を100ppm以下にするための提案がなされている。例えば、燃料電池システムの起動及び停止時における燃料供給配管経路の窒素ガス置換方法による不完全酸化反応の防止による一酸化炭素被毒を低減する手段が開示されている(特許文献3参照)。また、メタノール改質反応により生成される様々な物質を選択的に酸化反応させて十分に一酸化炭素を低減させた水素ガスの生成が開示されている(特許文献4参照)。
【0012】
また、触媒層膜中に存在する不純物を除去するために、触媒層膜を水溶性の有機系溶媒中に浸漬し、大気圧もしくは数気圧の加圧窒素中、あるいは13332〜26000Paの減圧雰囲気中で洗浄する方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−353529号公報(第4〜6頁、図1)
【0014】
【特許文献2】
特開平10−64574号公報(第3〜
【0015】
【特許文献3】
特開平04−51469号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平07−315825号公報
【0017】
【特許文献5】
特開平06−275287号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記触媒層膜を製造するための転写法、印刷法、塗布法の各膜形成方法において用いられる触媒塗料は、炭素粒子を担体として白金微粒子を担持させた触媒粒子を主原料として、触媒塗料の特性がそれぞれの膜形成方法に適した塗料にするため溶媒が加えられる。その溶媒が主に水である塗料の場合、塗布状態が不安定なスラリー状になることが多く、印刷法や塗布法では水分変化や塗料特性(粘度、密度、表面張力、粒径等)の経時変化が原因となって安定した品質の触媒層膜の形成が困難となる問題があった。例えば、分散状態の変化や触媒粒子の凝縮等によりスクリーンメッシュやノズルに目詰まりが生じ、高分子膜のキズや印刷ムラが発生しやすくなる。また、オフセット印刷においては、塗料の付着量のバラツキにより均一な触媒層膜厚が形成できない。
【0019】
そこで、安定した塗料特性を得るための手段として、有機系化合物の溶媒を加え、粘度調整や触媒粒子の分散性をよくして塗工性を向上させることが一般的に行われる。しかし、これらの溶媒は製造過程において必要なものではあるが、最終製品である触媒電極接合体の構成材料として全く不要なものが多い。また、この溶媒は製造過程で完全に除去されるものではなく、触媒層膜中に不純物として残留するものであり、触媒電極接合体の特性に対して好ましくないものである。
【0020】
また、燃料である水素ガス中に含まれる一酸化炭素による触媒毒を低減させる方法は種々提案されているが、供給される水素ガス中の一酸化炭素を低減しても触媒劣化は生じており、更に触媒劣化のない高性能な燃料電池システムを実現するためには、システム運転時だけでなく、製造過程で触媒電極接合体に混入するあらゆる不純物を徹底的に除去することが重要である。
【0021】
特に、触媒層膜の製造過程において、触媒塗料中に含まれる白金は、洗浄や塗料調整に用いられる有機系溶媒や塗工時の基材として用いる樹脂フィルムあるいは構成部材である高分子膜などの有機系化合物と酸化反応を生じ、比較的少ないエネルギーを加える処理条件下でも激しく反応し、最悪は火災が発生するほどの激しい酸化反応を起こすことを本願発明者らは観察している。
【0022】
このような酸化反応現象が生じる製造過程は、白金等の触媒金属と担体となる炭素粒子とから触媒粒子を造粒する工程、造粒した触媒粒子に表面加工する工程、その触媒粒子に溶媒を添加して塗料に調合する工程、この触媒塗料を基材や高分子膜等に印刷または塗布する工程、塗布された触媒層膜から溶媒成分を除去する乾燥工程などであり、可燃物となる有機系化合物が存在するところには必ず酸化反応が発生する。従って、これらの工程では、可能な限り支援剤(酸素ガス)などを遮断した雰囲気下で処理されるのが望ましい。
【0023】
また、白金触媒の担体として使われる炭素粒子は化学物質を吸着しやすい多孔質構造を有しているため、塗料に含まれる溶媒などの有機系化合物を長期にわたって吸収吸着し、燃料電池システムとして組み込まれた時点においても触媒層膜中に有機系化合物が残留していることが、本願発明者らによる化学分析により発見された。更に、触媒層膜中に残留した溶媒等の有機系化合物に一部または全部が酸化反応を生じ、その反応家庭の中で不完全酸化物である一酸化炭素を発生させることも見出された。
【0024】
このような有機系化合物が残留する触媒層膜を用いた燃料電池システムを運転させると、触媒層膜に含まれていた有機系化合物は水素と酸素の化学反応により生成された生成水によって幾分かは洗い流され、触媒層膜中の有機系化合物の濃度は低下する傾向にあるが、生成水の再利用(ガス加湿)による長期にわたる暴露や、初期の段階で高濃度に存在することから、触媒電極接合体への影響が大きく作用し、触媒電極接合体の劣化を促進するきっかけになっている。
【0025】
また、生成水は有機系化合物を含んでいるため、燃料電池システムが運転停止した温度低下時に、有機系化合物を栄養源とする微生物が繁殖し、高濃度の有機系化合物が発生しやすい状態となる。この微生物の生命活動で生じる新たな物質や死骸などの有機系化合物の生成により、燃料電池システムの不安定な運転や触媒劣化を加速させることも課題の1つである。
【0026】
触媒層膜中の有機系生成物成分が所定濃度以上になると、電圧劣化率が急激に上昇する傾向がみられる。電圧劣化率の低下を示す触媒層膜に残留する成分を分析したところ、低濃度であるが有機系溶媒成分を起源とするケトン基及びカルボニル基を有する低濃度(約50〜300ppm)の有機系化合物が検出された。更に、水素ガスがアノード電極となる触媒層膜側に供給され、触媒電極接合体で消費されて排出された未反応水素ガスを含む排気ガス中に数ppm程度の微量な一酸化炭素と二酸化炭素が検出された。このように一酸化炭素の触媒毒は、都市ガスやアルコール系の燃料ガスの改質により生成するものばかりでなく、燃料電池の製造過程で使用する様々な有機系の化学物質の酸化反応によっても発生し、燃料電池システムの品質性能に大きく影響していることが見出された。
【0027】
本発明が目的とするところは、触媒層膜の製造過程で触媒材料に混入し、残留する有機系化合物やアルカリ金属等の不純物の濃度を制御して高性能な燃料電池を製造するための触媒層膜とその製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜中に含まれる有機系化合物成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とするものである。白金等の触媒成分による酸化反応によって燃料電池の電池特性に劣化を来す有機系化合物の濃度が所定濃度以下になるように管理することにより、触媒劣化を抑制した触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0029】
より具体的には、上記有機系化合物成分は蟻酸あるいは酢酸あるいは蓚酸であり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で200ppm以下になるように管理することが望ましい。
【0030】
また、本願第2発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とするものである。マグネシウム等のアルカリ金属成分は、触媒層膜中の濃度が高くなると燃料電池の電圧劣化率が大きくなる。アルカリ金属成分は触媒層膜を製造する工程ばかりでなく、中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程に用いる洗浄水からも触媒層膜に混入するので、アルカリ金属成分の濃度が低い水溶媒や洗浄水を使用することにより、電圧劣化率の小さい触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0031】
上記アルカリ金属の主成分がマグネシウムあるいはカルシウムあるいはリチウムあるいはベリウムであり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で20ppm以下となるように管理することにより、電池性能がよく安定した品質の固体高分子型燃料電池を構成することができる。
【0032】
また、本願第3発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜を膜状に形成するために添加した所定濃度の有機系化合物成分の触媒による酸化促進を抑制する反応防止剤を添加することを特徴とするものである。触媒層膜を形成するために添加された有機系化合物に反応防止剤を添加することにより、触媒反応による生成物が生成されにくくなり、より低い温度での乾燥により触媒層膜中の有機系化合物の濃度を管理濃度に低下させることができる。
【0033】
上記反応防止剤は、硫黄酸化物あるいは水素化合物あるいはソルビットが好適なものとなる。
【0034】
また、本願第4発明は、電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度の和が重量比で20ppm以下となるように、製造過程で用いる水溶液もしくは洗浄水を用いることを特徴とするものである。触媒層膜中のアルカリ金属成分の濃度が高くなると燃料電池の電圧劣化率が大きくなる。アルカリ金属成分は触媒層膜を製造する工程ばかりでなく、中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程に用いる洗浄水からも触媒層膜に混入するので、アルカリ金属成分の濃度が低い水溶媒や洗浄水を使用することにより、電圧劣化率の小さい触媒層膜を形成することができ、高品質の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
燃料電池システムにおける水素ガスと酸素ガスとの化学反応場である触媒電極接合体を構成する触媒層膜に残留する有機化合物成分の濃度が燃料電池性能(電圧特性及び電池寿命)に及ぼす影響について実験分析した。その結果、触媒層膜中には白金等の触媒成分による酸化反応によって様々な種類の有機系化合物成分が含まれていることが判明した。例えば、触媒塗料の塗布特性を調整するために添加される溶媒(混合する原材料の溶液も含む)が、純エタノールまたはエタノールを含む混合液や水溶液である場合、室温付近での温度条件下でも酸化反応によって、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸と変化し、純メタノールまたはメタノールを含む混合液や水溶液の場合、室温付近での温度条件下でも酸化反応によって、メタノール→ホルムアルデヒド→蟻酸へと変化し、酸化していくことがわかった。
【0036】
このエタノールやメタノールばかりでなく、これ以外の有機系溶媒を用いても触媒による化学反応によって容易に様々な有機系化合物成分が生成され、この有機系化合物成分が残留することにより、長期にわたって触媒に対して悪影響を与え、電池特性の劣化をまねいていることがわかった。
【0037】
図1に示すグラフは、触媒層膜中に含まれる蟻酸、酢酸、蓚酸それぞれの成分の濃度と触媒電極接合体の電圧劣化率の関係を示すものである。このグラフは、触媒層膜中の有機系溶媒成分の反応生成物濃度に対し、電池特性の評価方法として、それぞれの有機系溶媒の初期濃度が既知である触媒層膜からなる触媒電極接合体を用いて加湿した純水素と純酸素とを燃料及び支援ガスとする所定の条件下にて電気化学反応を起こさせ、カソード触媒電極とアノード触媒電極との間に発生した初期電圧を基準として、経時的な電圧低下の変化率を示す電圧低下率を示したものである。
【0038】
図に示されるように、触媒層膜中に含まれる有機系化合物の濃度が所定濃度以上であると、触媒電極接合体の電圧劣化率は急激に大きくなることがわかる。従って、触媒層膜中の有機系化合物の濃度を低減させる手段を講じる必要があり、これを製造工程に支障を及ぼさない短時間で実施することが要求される。
【0039】
触媒層膜中の有機系溶媒成分やその生成物成分を限られた製造時間内で触媒層膜中から除去して低濃度にするための手段として、触媒塗料に所定量の酸化防止剤を添加することにより、ある条件下で所望の生成物を選択的に生成して溶媒を蒸発除去することとした。
【0040】
前述のようにエタノールは、酸素雰囲気下において白金触媒の酸化作用によってアセトアルデヒドと酢酸を生成する。それぞれの大気圧下での沸点は、エタノールが78.3度、アセトアルデヒドが20.2℃、酢酸が118.5℃である。つまり、エタノールの中間生成物であるアセトアルデヒドの沸点が最も低く、酢酸は沸点が最も高いという特異な性質を示す。触媒を利用して反応生成物の主成分を溶媒により低沸点であるアセトアルデヒドになるように選択的に反応制御できれば、少ない熱エネルギー且つ短時間で溶媒やその生成物を蒸発除去することが可能となる。
【0041】
メタノールの場合では、酸素雰囲気下において白金触媒の酸化作用によってホルムアルデヒドと蟻酸が生成される。それぞれの大気圧下での沸点は、メタノールが64.5℃、ホルムアルデヒドが97.0℃、蟻酸が100.6℃となっている。つまり、メタノールが最も沸点が低く、続いて中間生成物であるホルムアルデヒドの沸点はメタノールより高く、更に蟻酸は最も沸点が高い性質を示す。従って、沸点が最も低いメタノールをホルムアルデヒドや蟻酸に変化させない、即ち、触媒による酸化を抑制する反応制御ができれば、少ない熱エネルギー且つ短時間で溶媒やその生成物を蒸発除去することが可能となる。
【0042】
そこで、10重量%の白金触媒を含む炭素粉末と、5重量%のフッ素系高分子材料を含む溶液を主材料とする触媒原材料に、70重量%のメタノール水溶液の溶媒を触媒塗料に添加して、更にメタノール溶媒の酸化防止剤として、0〜2体積%の亜硫酸水溶液を様々な量で塗料に添加して高分子系電解質機能膜である基材上に塗布形成し、触媒層膜の乾燥速度(重量変化)を測定する実験を行った。
【0043】
図2は、酸素濃度21体積%の空気を60℃±5℃の温度に制御した熱風を、触媒電極塗布膜に対して3分間吹き付けて乾燥させた乾燥速度の特性図である。図示されるように、低沸点のメタノールの状態で乾燥が進行し、触媒層膜の品質が安定した状態での乾燥速度を大きくすることができ、触媒層膜中の酢酸濃度を所望の管理濃度に低下させることができた。
【0044】
上記第1の実施の形態は、触媒を含まない塗料に対しても応用できるもので、塗料に乾燥促進のために新たに触媒を加えてその触媒作用を利用し、更に適正な酸化防止剤を添加して塗布膜の乾燥速度を制御し、低濃度の触媒層膜を形成することに応用することができる。
(第2の実施の形態)
図3に示すグラフは、一般に水溶液中に含まれるマグネシウムイオン濃度に対する触媒電極接合体の電圧劣化率を示している。図示するように、マグネシウムイオン濃度が高くなると、電圧劣化率が大きくなることがわかる。
【0045】
触媒層膜を形成する触媒塗料に添加する溶媒として、有機系化合物を主成分とする有機系溶媒の水溶液が用いられることが多く、上記マグネシウムイオン等のアルカリ金属成分が触媒層膜に混入されやすくなる。また、触媒塗料を作製する工程ばかりでなく、燃料電池の中間製品や完成製品の洗浄工程に用いられる洗浄水からもアルカリ金属成分が触媒層膜に混入すると考えられる。
【0046】
そこで、有機系溶媒やそれに添加される水溶媒を決定する手段として、▲1▼工業用水、▲2▼水道水、▲3▼イオン交換水、▲4▼蒸留水、▲5▼超純水をそれぞれ用いて水溶媒中の不純物濃度を制御し、触媒層膜中のアルカリ金属成分の濃度を調整した。
【0047】
図4は、前記▲1▼〜▲5▼それぞれの水を用いた水溶媒の添加に対して評価した触媒電極接合体の運転開始から20,000時間後の電圧劣化率を示している。このグラフからわかるように、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ金属成分の濃度が低い蒸留水や超純水を用いると、電圧劣化率は0.5%以下と極めて小さくなる。また、アルカリ金属成分の濃度が20ppm以下であると電圧劣化率が低く、マグネシウムやカルシウム金属濃度に影響されない安定した電圧劣化率を有する触媒層膜が形成できることが判明した。
【0048】
また、不純物の影響は、燃料電池の中間製品や完成製品を洗浄する洗浄工程においても、極力不純物を含まない電気伝導性の極めて低い蒸留水や長純水を洗浄水として使用することが望ましいことが確認された。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、燃料電池システムの品質を決定する要因である触媒層膜中に含まれる有機系化合物成分や水溶媒または洗浄水に含まれるアルカリ金属成分の残留濃度を所定濃度以下になるように製造管理し、反応防止剤の添加やアルカリ金属成分の少ない水の使用により、触媒層膜中の不純物濃度を制御し、所定濃度以上の触媒層膜が後工程に送られないように製造管理することができるので、不純物濃度が少ない触媒層膜を用いて高品質の燃料電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒層膜中の有機系化合物の濃度と電圧劣化率の関係を示す管理濃度特性図。
【図2】触媒塗料に添加した酸化防止剤濃度に対する乾燥速度を示す乾燥速度特性図。
【図3】触媒層膜中に残留するマグネシウム濃度に対する電圧劣化率を示す特性図。
【図4】触媒塗料に添加する各種水溶媒と電圧劣化率との関係を示すグラフ。
【図5】触媒電極接合体の基本的構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 高分子系イオン交換膜(高分子膜)
2、3 触媒層膜
Claims (7)
- 電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜中に含まれる有機系化合物成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とする燃料電池の触媒層膜。
- 有機系化合物成分は蟻酸あるいは酢酸あるいは蓚酸であり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で200ppm以下である請求項1に記載の燃料電池の触媒層膜。
- 電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体が形成されてなる燃料電池の触媒層膜において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度が所定濃度以下であることを特徴とする燃料電池の触媒層膜。
- アルカリ金属がマグネシウムあるいはカルシウムあるいはリチウムあるいはベリウムであり、それらの触媒層膜中の濃度の和が重量比で20ppm以下である請求項3に記載の燃料電池の触媒層膜。
- 電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜を膜状に形成するために添加した所定濃度の有機系化合物成分の触媒による酸化促進を抑制する反応防止剤を添加することを特徴とする燃料電池の触媒層膜の製造方法。
- 反応防止剤は、硫黄酸化物あるいは水素化合物あるいはソルビットである請求項5に記載の燃料電池の触媒層膜の製造方法。
- 電解質としての特性を有する高分子系イオン交換膜の表面上に膜状に形成された触媒層膜を接合して高分子膜−触媒層膜電極接合体を形成する燃料電池の触媒層膜の製造方法において、前記触媒層膜に含まれるアルカリ金属成分の濃度の和が重量比で20ppm以下となるように、製造過程で用いる水溶液もしくは洗浄水を選択することを特徴とする燃料電池の触媒層膜の製造方法。
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