JP2007042356A - 燃料電池セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔質セラミックス製のセル管20上に、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜の少なくともいずれかを製膜する燃料電池セルの製造方法において、セル管20上に所定のパターンにマスキングされたスクリーン版1を設置するスクリーン版設置工程と、セル管20の内部から吸引してスクリーン版1を吸着するスクリーン版吸着工程と、セル管20内部を吸引するとともに、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜のいずれかの原料スラリをスクリーン版1に塗布する吸引塗布工程とを有する。
【選択図】図2
Description
図4には、円筒型SOFCに用いる燃料電池セル管(以下、単に「セル管」という。)20の部分断面斜視図が示されている。
セル管20は、基体管(基材)21の外表面に複数のセル25が軸線方向に並べられて形成された構成とされている。セル25は、燃料極膜22、電解質膜23及び空気極膜24から構成される。各セル25間には、インタコネクタ26が設けられている
燃料極膜22は、例えば、ニッケル/イットリア安定化ジルコニアで形成されている。電解質膜23は、例えば、イットリア安定化ジルコニアで形成されている。空気極膜24は、例えば、ランタンマンガネートで形成されている。
スクリーン印刷では、メッシュシート材の所望位置にマスク材を形成することによって得たスクリーン版を用いる。マスク材が形成されずにメッシュシート材が残っている部分をインキ(原料スラリ)が透過する部分とし、マスク材が形成されている部分をインキ(原料スラリ)が透過しない部分とする。そして、印刷時には、スキージでスクリーン版を被印刷面に押圧することにより、所望位置のみスクリーンを介してスラリを透過させて被印刷面に印刷する。
均一に圧力をかけることができないと、谷間部分に製膜をすることが必要なインタコネクタ26(図4参照)の製膜が確実に行われないおそれがある。
すなわち、本発明にかかる燃料電池セル管の製造方法は、多孔質の基材上に、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜の少なくともいずれかを製膜する燃料電池セルの製造方法において、前記基材上に所定のパターンにマスキングされたスクリーン版を設置するスクリーン版設置工程と、前記スクリーン版に対して前記基材の反対側に位置する基材背面側から該基材を吸引して前記スクリーン版を吸着するスクリーン版吸着工程と、前記基材背面側から該基材を吸引するとともに、前記燃料極膜、前記電解質膜、前記空気極膜および前記インタコネクタ膜のいずれかの原料スラリを前記スクリーン版に塗布する吸引塗布工程とを有することを特徴とする。
また、塗布後にも吸引することとすれば、原料スラリの乾燥を促進することができる。
なお、基材としては、例えば多孔質セラミックス製が用いられる。
なお、基材を平板としても良い。
図1には、セル管(基材)20にスクリーン版1を設置する工程が示されている。
セル管20は、例えば直径約30mm、長さ約1500mmの長尺状とされたドーナツ状の横断面を有する多孔質のセラミック管である。基体管21は、例えば、カルシア安定化ジルコニアやイットリア安定化ジルコニアで形成されている。
スクリーン版1は、マスク材3がメッシュシート材4上に形成された構成とされている。
マスク材3は、露光現像などによってメッシュシート材4上に固定化されている。マスク材3が固定化されたマスク部3aは原料スラリが透過しない部分となり、マスク材3が固定化されていない部分すなわちメッシュシート材4が露出している部分は原料スラリが透過する透過部分4aとなる。つまり、透過部分4aが所望の製膜位置となるように、メッシュシート材4がマスク材3によりマスキングされている。
メッシュシート材4は、ナイロン、テトロン、SUS等の材料で形成されており、厚さが約100μmとされた1枚のシートである。メッシュシート材4の大きさは、セル管20の展開面積とほぼ同等とされている。
シールキャッップ5は、金属製とされており、セル管20の下端を気密に固定する。
吸引キャップ7は、金属製とされており、図示しない吸引手段に接続されている。
この吸引キャップ7を介してセル管20内(基材背面側)の空間が吸引され、負圧に保たれる。これにより、多孔質セラミックス製のセル管20壁部を介してスクリーン版1が吸引される。このように、スクリーン版1をセル管20外周面上に吸着することにより、スクリーン版吸着工程が実現される。
スクリーン版1が設置されたセル管20は、セル管20内部が吸引された状態で、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜のいずれかの原料を主成分とする原料スラリ9が貯留されたスラリ貯留タンク(原料スラリ貯留部)10内に浸漬される(吸引塗布工程)。
スクリーン版1が設置されたセル管20は、所定時間浸漬された後に、スラリ貯留タンク10から引き上げられる。そして、スクリーン版1をセル管20から取り外した後に、乾燥工程において塗布された原料スラリを乾燥させて所望の膜を得る。この乾燥工程の際にもセル管20内を吸引することとし、乾燥を促進させる。
次に、さらに積層する膜に対応するようにスクリーン版1をセル管20に巻回し、上述のように、対応する原料スラリが貯留されたスラリ貯留タンク10に浸漬し、第2の膜を得る。これを繰り返し、最終的に、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜が製膜されたセル管20を得る。
そして、各膜が製膜されたセル管20は、電気炉において焼成される。
同図に示すように、スクリーン版1が設置され、吸引が行われているセル管20に対して、スプレーヘッド12が対向配置されている。スプレーヘッド12の先端からは、各膜に応じた原料スラリが噴出するようになっている。
スプレーヘッド12の噴射方式としては、エアガン方式やインクジェット方式を採用することができる。同図には、噴射空気とともにスラリを噴出させるエアガン方式が示されている。インクジェット式は、熱膨張や圧電素子によりスプレーヘッド12内の原料スラリを圧縮してノズルの先端から原料スラリを噴射させるものである。
スプレーヘッド12は、固定配置されたセル管20に対して、セル管20の軸線方向に往復動するとともに、セル管20の円周方向に回転移動する。これにより、セル管20の全体に原料スラリを塗布する。
セル管20の内周側からスクリーン版1を吸引することにより、スクリーン版1はセル管20側に吸引されてセル管20の外表面上に固定される。この状態で原料スラリをスクリーン版1に塗布するので、原料スラリは吸引されてセル管20の外表面上に定着する。これにより、例えば燃料極膜22及び電解質膜23が製膜された上にインタコネクタ膜26を製膜する場合のように、表面に凹凸が形成された複雑な形状になっていても、従来のようにスキージを用いる必要がないので、簡便にかつ均一に製膜することができる。
また、塗布工程中および塗布工程後にもセル管20内部から吸引しているので、塗布された原料スラリの乾燥を促進することができる。
また、セル管20が円管とされているので、円管内を吸引すれば良く、簡便な構成で吸引工程を実現することができる。
また、スラリ貯留タンク10内に浸漬するだけで原料スラリを塗布できるので、簡便な構成で塗布工程を実現することができる。
また、円筒形の燃料電池に限らず、平板型燃料電池のセルに用いることとしても良い。
3 マスク材
10 スラリ貯留タンク(原料スラリ貯留部)
20 セル管(基材)
Claims (5)
- 多孔質の基材上に、燃料極膜、電解質膜、空気極膜およびインタコネクタ膜の少なくともいずれかを製膜する燃料電池セルの製造方法において、
前記基材上に所定のパターンにマスキングされたスクリーン版を設置するスクリーン版設置工程と、
前記スクリーン版に対して前記基材の反対側に位置する基材背面側から該基材を吸引して前記スクリーン版を吸着するスクリーン版吸着工程と、
前記基材背面側から該基材を吸引するとともに、前記燃料極膜、前記電解質膜、前記空気極膜および前記インタコネクタ膜のいずれかの原料スラリを前記スクリーン版に塗布する吸引塗布工程と、
を有することを特徴とする燃料電池セルの製造方法。 - 前記基材は、多孔質セラミックス製とされていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セルの製造方法。
- 前記基材は、円管または平板とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池セルの製造方法。
- 前記吸引塗布工程は、前記原料スラリが貯留された原料スラリ貯留部に前記基材および前記スクリーン版を浸漬することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の燃料電池セルの製造方法。
- 前記吸引塗布工程は、スプレーヘッドの先端から、各膜に応じた原料スラリが噴出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池セルの製造方法。
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