JP2013173636A - グラウト組成物の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をバランスよく両立し、優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有すると共に、水中及び気中において優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することができるグラウト組成物の施工方法を提供する。
【解決手段】 グラウトスラリー生成装置を用いて、グラウトスラリーを生成する工程と、該グラウトスラリーを施工現場で施工する工程と、を有するグラウト組成物の施工方法であって、グラウト組成物は、ポルトランドセメント、細骨材、増粘剤及び流動化剤を含み、流動化剤が、側鎖長さ50nm超であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤a)と側鎖長さ50nm以下であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤b)の2種を併用してなり、流動化剤の総量(100質量%)を基準とする流動化剤a及び流動化剤bの含有割合は10:90〜90:10である、施工方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、土木・建築分野の各種工事において水中環境下で用いられるグラウト組成物の施工方法に関する。
水中環境下での土木・建築分野の各種工事は、従来、構造物周囲に堰を設け、水をポンプ等で除去した後に、一般的なセメント組成物やグラウト組成物等を施工するために、施工工程が多く、工期も掛かっていた。近年では、構造物周囲の水を除去することなく施工が可能な水中不分離性能を有するセメント組成物やグラウト組成物が提案されている。
特許文献1では、現場での混合水量の増加や減水剤の多量の添加を行うことなく、極めて高い流動性と自己充填性を有し、初期及び長期に渡って流動性を維持することができ、水中環境下で使用しても、水中不分離性と高流動性が確保できる、セメント系充填組成物を提供することを目的として、普通セメントに、増粘剤及び減水剤を添加し、粒度を調整した細骨材を含有するセメント系充填組成物が開示されている。
特許文献2では、高温環境下においても優れた水中不分離性を備え、短時間で練り上げることができ、且つ経時変化が小さい高温環境用水中不分離性モルタル組成物を提供することを目的として、セメント、骨材、増粘剤、速効性ポリカルボン酸系減水剤及び遅効性メラミン系減水剤を含有する高温環境用水中不分離性モルタル組成物が開示されている。
特開2009−149457 特開2009−161387
しかしながら、グラウト組成物から形成されるグラウトスラリーを、ポンプで圧送して水中環境下の施工箇所に充填するために流動性及び流動保持性を向上すると、水中不分離性が低下し、水中環境下での水中分離度(懸濁物質量)が増加する傾向がある。また、グラウトスラリーの水中不分離性を向上すると、流動性及び流動保持性が低下し、ポンプ圧送性や施工箇所への充填性が低下する傾向がある。特に、流動保持性の低下が大きいとホースの詰まりや作業中断後の再開時においてポンプ圧送性が低下する傾向がある。さらに、使用温度の違いが、流動性及び流動保持性へ影響を与えるため、製造から使用されるまでの期間が長くなり季節が変わると気温が大きく変化することから、水中不分離性、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性が低下する恐れがある。そのため、これらの性能を両立し、且つ水中及び気中における優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することが望まれている。
そこで、本発明は、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をバランスよく両立し、優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有すると共に、水中及び気中において優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することができるグラウト組成物の施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、詳細に検討した結果、側鎖長さの異なる2種のポリカルボン酸系流動化剤を特定の含有割合で併用するグラウト組成物を用いた施工方法により、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、グラウトスラリー生成装置を用いて、グラウト組成物及び水を連続して混練し、グラウトスラリーを生成する工程と、該グラウトスラリーを施工現場で施工する工程と、を有するグラウト組成物の施工方法であって、グラウト組成物は、ポルトランドセメント、細骨材、増粘剤及び流動化剤を含み、流動化剤が、側鎖長さ50nm超であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤a)と側鎖長さ50nm以下であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤b)の2種を併用してなり、流動化剤の総量(100質量%)を基準とする流動化剤a及び流動化剤bの含有割合は10:90〜90:10である、施工方法を提供する。
本発明のグラウト組成物の施工方法によれば、上記特定のグラウト組成物が温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性とをバランスよく両立することから、該グラウト組成物から調製されるグラウトスラリーは極めて優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有するものとなり、水中及び気中において優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することができる。したがって、上記施工方法による施工後において、十分に高い強度を有するコンクリート構造体を得ることができる。また、上記施工方法では、グラウトスラリーを連続して生成することで、施工現場にて大量打設が可能となり、工期を短縮するという効果を奏することができる。
上記増粘剤が、セルロース系増粘剤であり、20℃における前記増粘剤の2質量%水溶液の粘度が30000〜60000mPa・sであると、グラウト組成物の水中不分離性をより確実に向上することができる。
グラウト組成物に含まれる細骨材の粒子径が、150μm以上1200μm未満であると、グラウトスラリーの施工性がより向上し、優れた強度特性を有する硬化体を形成することができる。
本発明の施工方法において、上記グラウトスラリー生成装置は、軸部材の外周面に複数の羽根が形成され、軸部材が回転することにより、上記グラウト組成物及び水を混練しながら軸部材の基端側から終端側に向けてグラウトスラリーを移送する混練スクリューが設けられた混練装置と、混練装置にグラウト組成物を移送するためのホッパースクリューを有するホッパーと、混練装置から吐出されたグラウトスラリーを収容するためのリザーバと、リザーバ内のグラウトスラリーを外部へ吐出するためのスネークポンプと、スネークポンプから吐出されたグラウトスラリーを移送するための移送パイプと、を備えることが好ましい。
このようなグラウトスラリー生成装置を用いることで、グラウトスラリーを連続して生成することができ、施工現場での大量打設がより可能となり、工期を短縮するという効果をより一層確実に得ることができる。
また、グラウトスラリー生成装置が、グラウト組成物をホッパーに供給するグラウト組成物供給装置を更に備えることで、グラウトスラリーの大量打設をより確実にする。
さらに、グラウトスラリー生成装置が、水を混練装置に供給する水供給装置を更に備えることで、水供給設備が無い場所での施工を可能にする。
上記グラウトスラリー生成装置が、車輌に搭載されていると、グラウト組成物の施工現場までの移動や現場での施工をより簡便にできる。
本発明によれば、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をバランスよく両立し、優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有すると共に、水中及び気中において優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することができるグラウト組成物の施工方法を提供することができる。また、本発明の施工方法では、グラウトスラリーを連続して生成することで、施工現場にて大量打設が可能となり、工期を短縮することができる。
グラウトスラリー生成装置を模式的に示す図である。 車輌に搭載したグラウトスラリー生成装置を模式的に示す背面図である。 車輌に搭載したグラウトスラリー生成装置を模式的に示す側面図である。 V漏斗を模式的に示す図である。
本発明のグラウト組成物の施工方法は、グラウトスラリー生成装置を用いて、グラウト組成物及び水を連続して混練し、グラウトスラリーを生成する工程と、該グラウトスラリーを施工現場で施工する工程とを有する。
本発明に係るグラウト組成物の施工方法の好適な実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
<グラウトスラリー生成装置>
図1は、本実施形態に係るグラウトスラリー生成装置を模式的に示す図である。本実施形態に係るグラウトスラリー生成装置は、軸部材の外周面に複数の羽根が形成され、軸部材が所定方向に回転することにより、グラウト組成物及び水を混練しながら軸部材の基端側から終端側に向けて混練物(グラウトスラリー)を移送する混練スクリュー26が設けられた混練装置2bと、混練装置2bにグラウト組成物を移送するためのホッパースクリュー22を有するホッパー2aと、混練装置から吐出されたグラウトスラリーを収容するためのリザーバ2cと、リザーバ2c内のグラウトスラリーを外部へ吐出するためのスネークポンプ2dと、スネークポンプ2dから吐出されたグラウトスラリーを移送するための移送パイプ2eと、を備えることが好ましい。
上記グラウトスラリー生成装置は、図1に示すように、ホッパー2a、混練装置2b、リザーバ2c、スネークポンプ2d、移送パイプ2e、操作盤2f及び給水口27を備えており、グラウト組成物及び水を連続混練してグラウトスラリーを生成する。
ホッパー2aは、投入されたグラウト組成物を混練装置2b側に供給する。ホッパー2aは、広口の投入口21がホッパー2aの本体上部に形成されているとともに、隣接する混練装置2bと連通する開口部をこの本体下部側壁に有する。そして、ホッパー2aの本体内下部にはホッパースクリュー22が略水平に設けられ、ホッパー2aの外部に設置されたモータ23によって回転駆動される。この場合、モータ23による回転駆動力は動力伝達ベルト24を介してホッパースクリュー22側に伝達される。ここで、モータ23は油圧式または電動式のものが用いられる。
ホッパースクリュー22は、螺旋状の羽根が外周面に巻き付くように形成されている。ここで、投入口21に投入されるグラウト組成物は、ホッパースクリュー22の回転運動によって混練装置2bに移送される。
混練装置2bは、混練室25と、混練スクリュー(ミキサスクリュー)26とを有する。混練室25は、筒状(中空の円柱状)を成し、長手方向が略水平となるように設置されている。混練室25は、長手方向における二つの端部のうち、一方の端部にはホッパー2a内の下部に連通する開口部が設けられ、他の端部近傍には吐出部28に連通する開口部が設けられている。そして、混練室25の内部には長手方向に沿ってミキサスクリュー26が設置されている。混練装置2bは、ミキサスクリュー26の回転によってホッパー2aから移送されたグラウト組成物を水とともに混練室25内で混練する。ここで、混練室25の側壁でホッパー2a側に位置する所定箇所には移送パイプ6bに連通する給水口27が形成されており、この移送パイプ6bと給水口27とを介して混練室25内に水が供給される。
また、吐出部28は、混練室25とリザーバ2cとを連通し、混練室25内で混練されたグラウトスラリーをリザーバ2cに吐出するためのものである。また、ミキサスクリュー26は、ホッパー2aのホッパースクリュー22と一体形成されており(或いは、連結固定されている)、ホッパースクリュー22とともに、モータ23によって回転駆動される。
ミキサスクリュー26の回転数は、300rpm以上とするが、400rpmが好ましく、500rpm以上がより好ましく、600rpm以上が更に好ましい。このように、ミキサスクリュー26の回転数が300rpm以上と高いため、グラウトスラリーに対する混練がより十分に行われる。ここで、このミキサスクリュー26の回転数は、操作者が後述の操作盤2fを操作することにより、所望の値に設定することが可能である。
リザーバ2cは、吐出部28を介して混練装置2bから吐出された混練物(グラウトスラリー)を一旦収容するためのものである。このようにグラウトスラリーがリザーバ2cにて一旦収容されるので、スネークポンプ2dによってリザーバ2cから所望とする割合(吐出量)でグラウトスラリーを外部に吐出可能となる。
リザーバ2cは、本体内上部に広口の拡開部29が形成され、さらに、本体内下部にはスターラースクリュー30と移送スクリュー31とが略水平に設けられている。スターラースクリュー30と移送スクリュー31とは何れも、リザーバ2cの本体内下部において、互いに対向する二つの側壁のほぼ一方から他方に至る長さを有する。そして、スターラースクリュー30はモータ32によって回転駆動され、移送スクリュー31はモータ33によって回転駆動される。モータ33による回転駆動力は、動力伝達ベルト34を介して移送スクリュー31側に伝達される。ここで、モータ32,33は油圧式又は電動式のものが用いられる。
リザーバ2cの下部側壁には隣接するスネークポンプ2dに連通する開口部が形成されている。この開口部を介して、リザーバ2c内の移送スクリュー31と、スネークポンプ2d内の図示しないスクリューとが一体的に連結(形成)されている。このため、スネークポンプ2d内のスクリューは、移送スクリュー31の回転に伴って回転する。このようにスネークポンプ2d内のスクリューが回転することによってリザーバ2c内のグラウトスラリーが移送パイプ2eを介して外部に吐出される。
操作盤2fは、ホッパー2a、混練装置2b及びリザーバ2cの各々に設置されたホッパースクリュー22、ミキサスクリュー26、スターラースクリュー30及び移送スクリュー31の各回転駆動を作業者が操作するための各種操作レバーや各種操作スイッチ等を有する。さらに、必要に応じて操作盤2fは、水を移送する移送パイプ6bと連結して、給水口27へ供給する水の供給量を調節する水調整バルブと水量メータを有する。
上記のような構成のグラウトスラリー生成装置では、ホッパー2aに投入されたグラウト組成物が、ホッパースクリュー22の回転により混練装置2bに移送される。そして、混練装置2bでは、ミキサスクリュー26の回転により、ホッパー2aから移送されたグラウト組成物が給水口27を介して供給された水と混練され、所望の性状を有するグラウトスラリーが生成される。混練装置2bによって生成されたグラウトスラリーは、吐出部28を介してリザーバ2cに吐出され、ここで、スターラースクリュー30の転により攪拌されながら一旦収容される。攪拌されたグラウトスラリーは、移送スクリュー31の回転によってスネークポンプ2dに移送され、さらに、スネークポンプ2dから移送パイプ2eを介して外部に吐出される。
グラウトスラリー生成装置は、必要に応じてグラウト組成物供給装置を備えることができる。そして、ホッパー2aに粉体原料を連続して自動供給できる装置であれば、市販の装置を組み合わせて用いることができる。
グラウト組成物供給装置の一例として図2及び図3に示すように、グラウト組成物をミキサポンプに自動供給するためのものであり、グラウト組成物を収容するグラウト組成物タンク5aと、このグラウト組成物タンク5a内のグラウト組成物をホッパー2a側に移送するためのスクリューコンベア5b、5cとを有する。グラウト組成物タンク5aの本体底面に、スクリューコンベア5cが配置され、グラウト組成物をスクリューコンベア5b側に放出するための放出口が形成され、粉体原料タンク5aの本体上部には粉体原料の補充供給を受けるための開口部53が形成されている。
スクリューコンベア5bは、粉体原料タンク5a内のグラウト組成物をホッパー2a側に移送するためのものであり、一端がグラウト組成物タンク5aの本体底面に配置されたスクリューコンベア5cの放出口に位置し、他端にはグラウト組成物を放出するための放出口52が形成されている。そして、この放出口52はホッパー2aの投入口21付近に位置している。このスクリューコンベア5bでは、粉体原料タンク5aの放出口から放出された粉体原料が放出口52まで移送され、そして、この放出口52からホッパー2aに放出される。
グラウトスラリー生成装置は、必要に応じて水供給装置を備えることができる。そして、給水口27と連結して水を供給できる装置であれば、市販の装置を組み合わせて用いることができる。
図2は、車輌に搭載したグラウトスラリー生成装置を模式的に示す背面図であり、図3は、車輌に搭載したグラウトスラリー生成装置を模式的に示す側面図である。
グラウトスラリー生成装置は、必要に応じてトラック等の車輌71に搭載することができる。例えば、図2及び図3に示すように、車輌71の荷台部分に、グラウト組成物供給装置及び水供給装置を備えるグラウトスラリー生成装置を配置することができる。
水供給装置の一例として図2及び図3に示すように、水供給装置は、水を収容する水タンク6aと、この水タンク6aに収容された水を混練装置2bに移送するための移送パイプ6bと、水タンク6aに収容されている水を汲み上げる水供給ポンプ6cと、混練装置2b内に供給する水の供給量を調整する水調整バルブと、流量メータとを有する。水の調整は、操作者が、流量メータを目視で確認しながら水調整バルブをバルブ操作することによって行う。流量メータ及び水調整バルブは、操作盤2fの近辺に配置されるが、特に、操作しやすく、そして見やすい場所に配置されるのが好ましい。例えば、操作盤2fと、水を移送する移送パイプ6bとを連結して、給水口27へ供給する水の供給量を調節する水調整バルブと水量メータを操作盤2fに組み込むことも可能である。
このようなグラウトスラリー生成装置を用いることで、グラウトスラリーを連続して生成することができ、施工現場での大量打設がより可能となり、工期を短縮することができる。
<グラウト組成物>
次に、本実施形態に係るグラウト組成物の一例を説明する。本実施形態のグラウト組成物は、ポルトランドセメント、細骨材、増粘剤及び流動化剤を有し、該流動化剤は側鎖長さの異なる2種のポリカルボン酸系流動化剤を併用されてなり、その含有割合が特定の関係を満たすグラウト組成物である。
ポルトランドセメントとして、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
細骨材として、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類からから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。細骨材は、150μm以上1200μm未満の範囲の粒径を有することが好ましい。
細骨材は、具体的には、粒子径150μm未満の粒子及び粒子径1200μm以上の粒子を含まず、下記粒子径を有する粒子を含むことが好ましい。すなわち、細骨材は、粒子径850μm以上1200μm未満の粒子を0質量%超20質量%以下、粒子径600μm以上850μm未満の粒子を25〜45質量%、粒子径425μm以上600μm未満を35〜55質量%、粒子径300μm以上425μm未満の粒子を5〜25質量%、粒子径212μm以上300μm未満の粒子を0質量%超5質量%以下、粒子径150μm以上212μm未満の粒子を0〜5質量%の割合でそれぞれ含むことがより好ましい。
細骨材は、粒子径850μm以上1200μm未満の粒子を5〜15質量%、粒子径600μm以上850μm未満の粒子を20〜40質量%、粒子径425μm以上600μm未満を40〜50質量%、粒子径300μm以上425μm未満の粒子を10〜20質量%、粒子径212μm以上300μm未満の粒子を0質量%超3質量%以下、粒子径150μm以上212μm未満の粒子を0〜3質量%の割合でそれぞれ含むことが更に好ましい。
本実施形態のグラウト組成物は、粒子径が上述の範囲にある細骨材を含むことによって、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性が得られ、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性をより一層向上することができると共に、優れた水中不分離性をバランスよく両立できる。そして、水中及び気中での圧縮強度が高く、優れた水中気中強度比をより確実に達成する硬化体を得ることができる。
細骨材の粒子径は、JIS Z 8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本明細書において、「粒子径が850μm以上1200μm未満である粒子の質量割合」とは、篩目1200μmの篩いを用いたときに篩目1200μmの篩いを通過し、かつ、篩目850μmの篩を用いたときに篩目850μmの篩上に残る粒子の細骨材全体に対する質量割合をいう。
本実施形態のグラウト組成物における細骨材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは50〜120質量部であり、より好ましくは60〜100質量部であり、更に好ましくは70〜90質量部であり、特に好ましくは75〜85質量部である。
細骨材の含有量を上述の範囲とすることによって、グラウト組成物は、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をより一層バランスよく両立できると共に、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性をより一層向上することができ、水中及び気中での圧縮強度がより一層高く、優れた水中気中強度比を示す硬化体を得ることができる。
増粘剤としては、セルロース系増粘剤を用いることが好ましい。セルロース系増粘剤は特に限定されないが、水中不分離性能を有するセルロース系増粘剤がより好ましい。このようなセルロース系増粘剤を用いることにより、グラウト組成物の流動性及び流動保持性をより向上し、かつ、水中不分離性をもより向上することができる。そして、水中及び気中での圧縮強度が高く、優れた水中気中強度比をより確実に達成する硬化体を作製することができる。
セルロース系増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、グリオキザール付加ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシルエチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体を含む増粘剤を挙げることができ、特に、水中不分離性能を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース系増粘剤を用いることが好ましい。
グラウト組成物は、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をバランスよく両立し、優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有する観点から、増粘剤は、20℃における2質量%水溶液の粘度が、好ましくは30000〜60000mPa・sであり、より好ましくは35000〜55000mPa・sであり、更に好ましくは38000〜52000mPa・sであり、特に好ましくは40000〜50000mPa・sである。
なお、増粘剤の粘度は、増粘剤の2質量%水溶液を、B型粘度計(東機産業社製デジタル粘度計 DVL−B形)を用い、回転速度6rpm、ロータNo.4、20℃の条件で測定した値である。
本実施形態のグラウト組成物における増粘剤の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して0.05〜0.65質量部であることが好ましく、0.15〜0.55質量部であることがより好ましく、0.25〜0.45質量部であることが更に好ましく、0.30〜0.40質量部であることが特に好ましい。
増粘剤の含有量を上述の範囲にすることによって、グラウト組成物は、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性をより一層バランスよく両立できると共に、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性をより一層向上することができ、水中及び気中での圧縮強度がより一層高く、優れた水中気中強度比を示す硬化体を得ることができる。
流動化剤としては、グラウト組成物を水と混合してグラウトスラリーを作製する際の水の配合量を低減し、優れた流動性を示し、硬化後の水中及び気中における優れた圧縮強度を得るために、ポリカルボン酸系流動化剤を用いる。また、グラウトスラリーの混練直後の流動性及び長期(例えば、20〜60分経過後)の流動性(流動保持性)が温度の影響を受けにくく、より向上するために、初期の流動性に優れる側鎖長さ50nm超である流動化剤(以下、「流動化剤a」という。)と、長期の流動性に優れる側鎖長さ50nm以下である流動化剤(以下、「流動化剤b」という。)と、を併用する。
流動化剤aは、側鎖にエステル結合を有しないポリマーを含むことが好ましく、少なくとも下記式(A2)で表される構造単位を有するポリマーを含むことがより好ましく、下記式(A2)及び(B)で表される構造単位を有するポリマーを含むことが更に好ましい。式(A2)中、Rは水素原子又はポリオキシエチレン基を示し、ポリオキシエチレン基であることが特に好ましい。すなわち、流動化剤aは、ポリオキシエチレン鎖(POE:−(OC−)を側鎖として有するポリマーを含むことが好ましい。
Figure 2013173636
ポリオキシエチレン鎖の単位構造であるオキシエチレン基の繰り返し数nは、50〜200であることが好ましく、80〜190であることがより好ましく、120〜180であることが更に好ましく、具体的には160であるとよい。
流動化剤aを構成するポリマーは、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて測定されるナトリウムの含有量が、好ましくは2000μg/g超3500μg/g以下、より好ましくは2200〜3300μg/g、更に好ましくは2400〜3000μg/g、特に好ましくは2600〜2800μg/gであり、具体的には2700μg/gであるとよい。
流動化剤bは、側鎖にエステル結合を有するポリマーを含むことが好ましく、少なくとも下記式(C)で表される構造単位を有するポリマーを含むことがより好ましく、下記式(A)、(B)及び(C)で表される構造単位を有するポリマーを含むことが更に好ましい。すなわち、流動化剤bは、ポリオキシエチレン鎖(POE:−(OC−)の側鎖をエステル結合で有するポリマーを含むことが好ましい。
Figure 2013173636
ポリオキシエチレン鎖の単位構造であるオキシエチレン基の繰り返し数mは、30〜50であることが好ましく、35〜48であることがより好ましく、40〜45であることが更に好ましく、具体的には42であるとよい。
流動化剤bのポリカルボン酸系流動化剤を構成するポリマーの、式(A)で表される構造単位の数と、式(C)で表される構造単位の数との割合は、好ましくは9:1〜5:5、より好ましくは8:2〜6:4、更に好ましくは7.5:2.5〜6.5:3.5、特に好ましくは7.2:2.8〜6.8:3.2であり、具体的には、7:3であるとよい。
流動化剤bを構成するポリマーは、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置により誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて測定されるナトリウムの含有量が、好ましくは3000〜20000μg/g、より好ましくは5000〜15000μg/g、更に好ましくは7500〜12500μg/g、特に好ましくは8500〜11000μg/gであり、具体的には9900μg/gであるとよい。
本実施形態のグラウト組成物における流動化剤の総量(100質量%)を基準とする流動化剤a及び流動化剤bの含有割合は10:90〜90:10であり、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは30:70〜70:30であり、更に好ましくは40:60〜60:40であり、特に好ましくは45:55〜55:45である。
流動化剤中の流動化剤a及び流動化剤bの含有割合を、上述の範囲にすることによって、グラウト組成物の初期の流動性及び長期の流動性(流動保持性)が温度の影響を受けにくく、より一層良好にすることができる。
本実施形態のグラウト組成物における流動化剤の総量の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して0.05〜0.65質量部であることが好ましく、0.15〜0.55質量部であることがより好ましく、0.25〜0.45質量部であることが更に好ましく、0.30〜0.40質量部であることが特に好ましい。
流動化剤の総量の含有量を上述の範囲にすることによって、グラウト組成物は、温度の影響を受けにくい優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性とをバランスよく両立できることから、該グラウト組成物から調製されるグラウトスラリーは温度の影響を受けにくく極めて優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有するものとなり、水中及び気中において優れた圧縮強度を有するグラウト硬化体を形成することができる。したがって、グラウトスラリーを施工後、十分に高い強度を有するコンクリート構造体を得ることができる。また、グラウトスラリーを連続して生成することで、施工現場にて大量打設が可能となるため、工期を短縮することができる。
本実施形態のグラウト組成物は、無機系膨張材を更に含むことができる。無機系膨張材としては、生石灰−石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を用いることができる。このうち、硬化体の水中及び気中における圧縮強度をより向上する観点から、生石灰−石膏系膨張材を含むことが好ましい。
無機系膨張材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは2〜8質量部であり、更に好ましくは3〜7質量部であり、特に好ましくは4〜6質量部である。
無機系膨張材の含有量を上述の範囲に調整することによって、一層適正な膨張性が発現され、グラウト硬化体の過度な収縮を抑制することができると共に、過剰な膨張作用に起因するクラックの発生を十分に抑制することができる。
<グラウトスラリー>
本実施形態のグラウトスラリーは、上述のグラウト組成物と水とを配合し、混練することによって調製することができる。該グラウトスラリーの好適な実施形態を以下に説明する。
本実施形態のグラウトスラリーは、水中不分離グラウトスラリーとして好適に用いることができる。グラウトスラリーを調製する際に、水の配合量を適宜変更することによって、グラウトスラリーのフロー値、60分後のフロー値及び懸濁物質量を調整することができる。ここで、フロー値及び60分後のフロー値とは、JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.6(1)スランプフロー」に記載の試験方法に準拠して混練直後に測定されるフロー値(単位:mm)及び混練60分後に測定されるフロー値(単位:mm)である。ただし、本実施形態では、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載されたフローコーンを用いて、測定している。漏斗流下値とは、JSCE−F 512−2007「高流動コンクリートの漏斗を用いた流下試験方法」に記載の試験方法に準拠して混練直後に測定される漏斗流下値(単位:秒)である。ただし、本実施形態では、図4に示すV漏斗を用いて、測定している。また、懸濁物質量とは、JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、付属書2:水中不分離性コンクリートの水中分離度試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値(単位:mg/L)である。
水の配合量は、グラウト組成物100質量部に対し、好ましくは20〜28質量部であり、より好ましくは21〜27質量部であり、更に好ましくは21.5〜26.5質量部であり、特に好ましくは22〜26質量部である。
本実施形態のグラウトスラリーのフロー値は、好ましくは210〜290mmであり、より好ましくは220〜280mmであり、更に好ましくは225〜275mmであり、特に好ましくは230〜270mmである。
フロー値を上述の範囲とすることによって、一層優れた流動性を有するグラウトスラリーを得ることができる。
本実施形態のグラウトスラリーの60分後のフロー値は、好ましくは200〜260mmであり、より好ましくは205〜250mmであり、更に好ましくは208〜245mmであり、特に好ましくは210〜240mmである。
60分後のフロー値を上述の範囲とすることによって、一層優れた流動保持性を有するグラウトスラリーとすることができる。
本実施形態のグラウトスラリーのフロー値において、5℃、20℃及び30℃におけるフロー値の最大値と最小値との差(フロー差)は、それぞれ、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が更に好ましい。
本実施形態のグラウトスラリーの60分後のフロー値において、5℃、20℃及び30℃におけるフロー値の最大値と最小値との差(フロー差)は、それぞれ、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、45mm以下が更に好ましい。
フロー差を上述の範囲とすることによって、温度の影響を受けにくいより一層優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性とをバランスよく両立できると共に、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性をより一層向上することができるグラウトスラリーを得ることができる。
グラウトスラリーの漏斗流下値は、好ましくは25秒以下であり、より好ましくは24秒以下であり、更に好ましくは23秒以下であり、特に好ましくは22秒以下である。
漏斗流下値を上述の範囲とすることによって、温度の影響を受けにくいより一層優れた流動性及び流動保持性と、水中不分離性とをバランスよく両立できると共に、ポンプ圧送性及び施工箇所への充填性をより一層向上することができるグラウトスラリーを得ることができる。
本実施形態のグラウトスラリーの懸濁物質量は、好ましくは100mg/L以下であり、より好ましくは80mg/L以下であり、更に好ましくは60mg/L以下であり、特に好ましくは50mg/L(リットル)以下である。
懸濁物質量を上述の範囲とすることによって、一層優れた水中不分離性を有するグラウトスラリーを得ることができる。
<グラウト硬化体>
本実施形態のグラウト硬化体は、上述のグラウトスラリーを硬化させることによって得ることができる。該グラウト硬化体の好適な実施形態を以下に説明する。
本実施形態のグラウト硬化体は、水中不分離グラウト硬化体として好適に用いることができる。すなわち、上述のグラウトスラリーが硬化して形成される本実施形態のグラウト硬化体は、水中及び気中での圧縮強度が十分に高く、優れた水中気中強度比(水中での圧縮強度/気中での圧縮強度)を兼ね備える。
ここで、圧縮強度(水中及び気中)は、JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.6(6)圧縮強度」に準拠して測定される値である。ただし、本実施形態では供試体(グラウト硬化体)として、直径50mm、高さ100mmの円柱供試体を用いて、所定の材齢にて測定している。また、水中気中強度比は、水中JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.7(7) 水中気中強度比」に準拠して算出される値である。
本実施形態のグラウト硬化体の材齢7日の圧縮強度(水中)は、好ましくは15.0N/mm以上であり、より好ましくは20.0N/mm以上であり、更に好ましくは30.0N/mm以上であり、特に好ましくは40.0N/mm以上である。
本実施形態のグラウト硬化体の材齢7日の圧縮強度(気中)は、好ましくは19.0N/mm以上であり、より好ましくは25.0N/mm以上であり、更に好ましくは38.0N/mm以上であり、特に好ましくは50.0N/mm以上である。
本実施形態のグラウト硬化体の材齢28日の圧縮強度(水中)は、好ましくは25.0N/mm以上であり、より好ましくは35.0N/mm以上であり、更に好ましくは40.0N/mm以上であり、特に好ましくは44.0N/mm以上である。
本実施形態のグラウト硬化体の材齢28日の圧縮強度(気中)は、好ましくは32.0N/mm以上であり、より好ましくは44.0N/mm以上であり、更に好ましくは50.0N/mm以上であり、特に好ましくは55.0N/mm以上である。
本実施形態のグラウト硬化体の材齢7日及び材齢28日での水中気中強度比(水中での圧縮強度/気中での圧縮強度×100)は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは82%以上であり、更に好ましくは84%以上であり、特に好ましくは85%以上である。
水中及び気中での圧縮強度及び水中気中強度比が上述の範囲であることによって、グラウト硬化体は、施工箇所が水中環境下においても優れた強度特性を有する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
以下(1)〜(5)に示す原材料を準備した。
(1)ポルトランドセメント
・早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、ブレーン比表面積=4500cm2/g)
(2)細骨材
・珪砂:表1に示す粒子径の分布を有する。
Figure 2013173636
(3)増粘剤
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース系増粘剤(信越化学社製、粘度43600mPa・s)
(4)流動化剤
・流動化剤a(BASF社製、側鎖長さ:76nm、式(A2)及び(B)で表される構造単位を有し、オキシエチレン基の繰り返し単位数n:160、Na量:2700μg/g)
・流動化剤b(BASF社製、側鎖長さ:35nm、式(A)、(B)及び(C)で表される構造単位を有し、オキシエチレン基の繰り返し単位数m:42、Na量:9900μg/g)
(5)無機系膨張材
・生石灰−石膏系膨張材(太平洋マテリアル社製)
[グラウト組成物の調製]
上述の(1)ポルトランドセメント、(2)細骨材、(3)増粘剤、(4)流動化剤及び(5)無機系膨張材を表2に示す割合(質量部)で配合し、各実施例及び各比較例のグラウト組成物を調製した。
Figure 2013173636
[グラウトスラリーの調製]
実施例及び比較例で得られた各グラウト組成物2kgに対して、水460g(グラウト組成物100質量部に対して、水23質量部)を配合して混練し、各実施例及び各比較例のグラウトスラリーを調製した。混練は、各恒温室(5、20、30℃)、相対湿度65%の条件下でケミスターラーを用いて、回転数700rpmで2分間行った。
[グラウトスラリーの評価方法]
[グラウトスラリー評価]
調製した実施例及び各比較例のグラウトスラリーのフロー値、フロー差、漏斗流下値及び懸濁物質量を以下の方法により測定した。測定結果を表3に示す。ここで、表3中の「−」は、未測定を表している。
(1)フロー値
JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.6(1)スランプフロー」に記載の試験方法に準拠してフロー値を測定した。フローコーンは、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載のものを使用し、混練直後のグラウトスラリーをフローコーンに充填し、直ぐにフローコーンを引き上げてから5分経過した時点で、フロー値を測定した。また、当該グラウトスラリーを60分間静置した後に上記手順を繰り返し、60分後のフロー値を測定した。フロー値を流動性(初期の流動性)の指標とし、60分後のフロー値を流動保持性(長期の流動性)の指標とした。また、混練直後のフロー値及び60分後のフロー値を施工箇所での充填性の指標とした。
(2)フロー差
上述の試験方法で得られたフロー値及び60分後のフロー値について、5℃、20℃及び30℃におけるフロー値の最大値と最小値との差をフロー差とし、使用温度の違いによる流動性及び流動保持性への影響度、すなわち施工性の指標とした。
(3)漏斗流下値
図4に示すV漏斗を使用し、JSCE−F 512−2007「高流動コンクリートの漏斗を用いた流下試験方法」に記載の試験方法に準拠して、漏斗流下値を測定した。また、漏斗流下値をポンプ圧送性及び施工箇所での充填性の指標とした。
(4)懸濁物質量
JSCE−D 104−2007「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、付属書2:水中不分離性コンクリートの水中分離度試験方法」に記載の試験方法に準拠して懸濁物質量を測定した。懸濁物質量を水中不分離性の指標とした。
Figure 2013173636
[グラウト硬化体の評価]
(3)圧縮強度
実施例1で20℃恒温室にて調製したグラウトスラリーを用いて作製したグラウト硬化体の水中及び気中での圧縮強度を、JSCE−D 104−2007「2.コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.6(6)圧縮強度」に記載の試験方法に準拠して測定した。ただし、供試体(グラウト硬化体)として、直径50mm、高さ100mmの円柱供試体を用いて、7日及び28日の各材齢にて測定した。測定結果を表4に示す。
(4)水中気中強度比
実施例1で20℃恒温室にて調製したグラウトスラリーを用いて作製したグラウト硬化体の水中気中強度比を、JSCE−D 104−2007「2.コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格、6.1.7(7) 水中気中強度比」に記載の試験方法に準拠して算出した。結果を表4に示す。
Figure 2013173636
表3に示すように、実施例1のグラウトスラリーは、温度の影響を受けにくい良好な流動性及び流動保持性を示し、側鎖長さの異なる2種のポリカルボン酸系流動化剤を特定の含有割合で用いるグラウト組成物はポンプ圧送性や施工箇所への良好な充填性を有することが確認された。また、実施例1のグラウトスラリーの懸濁物質量の測定結果から、グラウト組成物が良好な水中不分離性を有することが確認された。
実施例1におけるグラウトスラリーの漏斗流下値の測定結果から、実施例のグラウト組成物が優れたポンプ圧送性及び施工箇所への充填性を有することが確認された。よって、本発明のグラウト組成物の施工方法により、グラウトスラリー生成装置を用いてグラウトスラリーを生成し、施工箇所に大量打設することが可能とある。
また、表4に示すように、実施例1のグラウトスラリーを用いて作製したグラウト硬化体(実施例2)は、水中及び気中において良好な圧縮強度及び水中気中強度比を有していた。
以上のことから、側鎖長さの異なる2種のポリカルボン酸系流動化剤を特定の含有割合で併用するグラウト組成物は、温度の影響を受けにくい優れた流動性、流動保持性、ポンプ圧送性、施工箇所への充填性及び水中不分離性を有し、これを用いた施工方法により、水中及び気中において優れた圧縮強度を有する硬化体を形成することができる。特に本発明の施工方法により、グラウトスラリーの大量打設が可能である。
2a…ホッパー、2b…混練装置、2c…リザーバ、2d…スネークポンプ、2e…移送パイプ、2f…操作盤、21…投入口、22…ホッパースクリュー、23…モーター、24…動力伝達ベルト、25…混練室、26…混練スクリュー、27…給水口、28…吐出口、29…拡開部、30…スターラースクリュー、31…移送スクリュー、32,33…モーター、34…動力伝達ベルト、5a…グラウト組成物タンク、5b,5c…スクリューコンベア、51…グラウト組成物、52…放出口、53…開口部、6a…水タンク、6b…移送パイプ、6c…水ポンプ、71…車輌。

Claims (7)

  1. グラウトスラリー生成装置を用いて、グラウト組成物及び水を連続して混練し、グラウトスラリーを生成する工程と、前記グラウトスラリーを施工現場で施工する工程と、を有するグラウト組成物の施工方法であって、
    前記グラウト組成物は、ポルトランドセメント、細骨材、増粘剤及び流動化剤を含み、
    前記流動化剤が、側鎖長さ50nm超であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤a)と側鎖長さ50nm以下であるポリカルボン酸系流動化剤(流動化剤b)の2種を併用してなり、
    前記流動化剤の総量(100質量%)を基準とする流動化剤a及び流動化剤bの含有割合は10:90〜90:10である、施工方法。
  2. 前記増粘剤は、セルロース系増粘剤であり、20℃における前記増粘剤の2質量%水溶液の粘度が、30000〜60000mPa・sである、請求項1に記載の施工方法。
  3. 前記細骨材の粒子径が、150μm以上1200μm未満である、請求項1又は請求項2に記載の施工方法。
  4. 前記グラウトスラリー生成装置は、
    軸部材の外周面に複数の羽根が形成され、前記軸部材が回転することにより、前記グラウト組成物及び前記水を混練しながら前記軸部材の基端側から終端側に向けてグラウトスラリーを移送する混練スクリューが設けられた混練装置と、
    前記混練装置に前記グラウト組成物を移送するためのホッパースクリューを有するホッパーと、
    前記混練装置から吐出された前記グラウトスラリーを収容するためのリザーバと、
    前記リザーバ内のグラウトスラリーを外部へ吐出するためのスネークポンプと、
    前記スネークポンプから吐出されたグラウトスラリーを移送するための移送パイプと、を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の施工方法。
  5. 前記グラウトスラリー生成装置が、前記グラウト組成物を前記ホッパーに供給するグラウト組成物供給装置を更に備える、請求項4に記載の施工方法。
  6. 前記グラウトスラリー生成装置が、前記水を前記混練装置に供給する水供給装置を更に備える、請求項4又は5に記載の施工方法。
  7. 前記グラウトスラリー生成装置が、車輌に搭載されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の施工方法。
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