JP2010260195A - 水硬性モルタル調製・施工用設備及びそれを用いた施工方法 - Google Patents

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健之 松原
Sei Eto
聖 江頭
Makoto Nukita
誠 貫田
Takeshi Higuchi
毅 樋口
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Abstract

【課題】土木建築分野の大規模なグラウト工事でも採用可能な、優れた流動性を有する水硬性モルタルを効率的かつ安定的に製造する。
【解決手段】水硬性組成物と混練水とを混練して水硬性モルタルを連続的に調製するための、直列に接続される二つの混練装置と、水硬性モルタルを強制攪拌下で養生安定化させるためのリザーバータンクと、リザーバータンク内の水硬性モルタルを連続的に圧送するためのスラリーポンプとを含む、水硬性モルタル調製・施工用設備である。
【選択図】図1

Description

本発明は、土木建築工事に用いられる水硬性モルタル調製・施工用設備及びそれを用いた水硬性モルタルの施工方法、並びその施工方法によって得られる構造体に関する。
グラウト組成物と水とを連続混練又は連続混練機を用いて混練して安定した流動性を有するスラリーが得られるグラウト組成物を提供することを目的として、特許文献1には、ポルトランドセメントを含む水硬性無機結合材と流動化剤と膨張剤とを含むグラウト組成物が開示され、さらに前記グラウト組成物を用い、連続混練機を使用して連続混練して得られたスラリーを、ポンプを用いて施工部に連続して供給するグラウトスラリーの施工方法が開示されている。
特許文献2には、水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されることを特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法が開示されている。
特開2006−298662号公報 特開2008−265269号公報
本発明は、土木建築分野の大規模なグラウト工事でも採用可能な、優れた流動性を有する水硬性モルタルを効率的かつ安定的に製造するための水硬性モルタル調製・施工用設備及びそれを用いた水硬性モルタルの施工方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、水硬性モルタル調製・施工用設備が、直列に接続される二つの混練装置を有することにより、水硬性組成物と混練水とを混練した際の混練性が大幅に向上し、良好な流動性を有する水硬性モルタルが得られることを見出し本願発明に至った。
すなわち、本発明は、水硬性組成物と混練水とを混練して水硬性モルタルを連続的に調製するための、直列に接続される二つの混練装置と、水硬性モルタルを強制攪拌下で養生安定化させるためのリザーバータンクと、リザーバータンク内の水硬性モルタルを連続的に圧送するためのスラリーポンプとを含む、水硬性モルタル調製・施工用設備である。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)二つの混練装置が、それぞれ一つの混練スクリューを有し、混練スクリューが、軸部材と、軸部材の外周面に形成された複数枚の戻し羽根及び複数枚の送り羽根とを有する。
(2)混練装置の混練スクリューが、戻し羽根の数及び送り羽根の数の合計数に対し50〜90%の数の戻し羽根を有する。
また、本発明は、上述の水硬性モルタル調製・施工用設備を用いて、水硬性組成物と混練水とを混練して水硬性モルタルを連続的に調製する工程と、調製された水硬性モルタルを、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送して打設・施工する工程とを含む、水硬性モルタルの施工方法である。
本発明の水硬性モルタルの施工方法において、好ましくは、水硬性組成物が、土木建築用のグラウト材である。
また、本発明は、上述の水硬性モルタルの施工方法によって得られる、水硬性モルタルを充填・硬化した構造体である。
本発明によって、土木建築分野の大規模なグラウト工事でも採用可能な、優れた流動性を有する水硬性モルタルを効率的かつ安定的に製造するための水硬性モルタル調製・施工用設備を得ることができる。また、その水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた本発明の水硬性モルタルの施工方法は、水硬性モルタルを連続的に製造して、離れた施工場所へ連続的に供給・施工でき、施工効率及び施工品質において優れており、品質の安定した構造物構築に効果を発揮するものである。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備の模式図である。 本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備に含まれる、直列に接続される二つの混練装置の全体構成を示す図である。 従来の水硬性モルタル調製・施工用設備の模式図である。 リザーバータンク内での攪拌時間と、J14ロート流下時間との関係を示す図である。 多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根の全体構成を示す図である。 従来の水硬性モルタル調製・施工用設備の構成の一例を説明するための模式断面図である。(多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を設置) 水硬性組成物を貯蔵する水硬性組成物貯蔵タンク及び水硬性モルタル調製・施工用設備を搭載した水硬性モルタル調製・施工用トラックの全体構成を示す模式図である。 混練条件Aで水硬性モルタル(スラリー)を調製する場合に使用するタービン羽根を示す模式図である。
本発明は、水硬性組成物12と混練水17とを混練して水硬性モルタル19又は水硬性スラリーを連続的に調製するための、直列に接続される二つの混練装置16(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)と、水硬性モルタル19を強制攪拌下で養生安定化させるためのリザーバータンク20と、リザーバータンク20内の水硬性モルタル19を連続的に圧送するためのスラリーポンプ44とを含む、水硬性モルタル調製・施工用設備11である。本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11は、二つの混練装置16(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)を有し、それらの二つの混練装置16a及び16bが直列に接続されることに特徴がある。本明細書において、「水硬性モルタル」は、水硬性組成物と混練水とを混練して得られるペースト状のものを意味し、同じく水硬性組成物と混練水とを混練して得られるペースト状のものを意味する「水硬性スラリー」と言い換えることもできる。以下、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11について詳しく説明する。
図1に示すように、水硬性モルタル調製・施工用設備11は、水硬性組成物12を供給するためのホッパー13、水硬性組成物12と混練水17とを混練するための混練装置16a及び16b、水硬性モルタル19を一旦収容するためのリザーバータンク20、水硬性モルタル19をポンプ圧送する場合に使用する圧送配管(例えば、スラリーポンプ44及びスラリーホース45)などから構成される。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11は、水硬性組成物12と混練水17とを混練して水硬性モルタル19を連続的に調製するための、直列に接続される二つの混練装置16a及び16bを含むことに特徴がある。なお、本明細書では、二つの混練装置16a及び16bのうち、水硬性モルタル19の流れる方向に沿って、上流側の混練装置16を「第一混練装置16a」、下流側の混練装置16を「第二混練装置16b」という。
図3に、従来の水硬性モルタル調製・施工用設備11の模式図を示す。図3に示すように、従来の水硬性モルタル調製・施工用設備11は、一つの混練装置16しか有していない。一方、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11は、図1に示すように二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)を有する。また、二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)は直列に接続されているため、従来の水硬性モルタル調製・施工用設備11と比較して、水硬性組成物12と混練水17との混練を、より十分に行なうことができ、得られる水硬性モルタル19の流動性を向上することができる。また、リザーバータンク20内での水硬性モルタル19の養生時間を減少することができる。なお、図1において、矢印の向きは、設備作動時の水硬性組成物12、混練水17及び水硬性モルタル19等の流れの向きを示す。
図2に模式図を示すように、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11に含まれる二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)は、それぞれ一つの混練スクリュー10を有する。また、混練スクリュー10は、軸部材10aと、軸部材10aの外周面に形成された複数枚の戻し羽根10b(黒く図示されている)及び複数枚の送り羽根10c(白く図示されている)とを有する。図2に示す構造の混練スクリュー10を用いることにより、水硬性組成物12及び混練水17が混合装置を通過する間に強力な混練力で均一にスラリー化することが可能となる。また、高い混練力を得るために、第一混練装置16a及び第二混練装置16bの混練スクリュー10は、戻し羽根10b及び送り羽根10cの合計数に対し50〜90%の数の戻し羽根10bを有することが好ましい。この場合、戻し羽根10b及び送り羽根10cのそれぞれは同様の形状及び大きさであり、軸部材10a対してそれぞれ同様の角度で設置される。なお、図2において、矢印の向きは、設備作動時の水硬性組成物12、混練水17及び水硬性モルタル19等の流れの向きを示す。また、図2において、第一混練装置16aのAはホッパースクリュー14に接続され、第二混練装置16bのBはリザーバータンク20に接続される。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11では、混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)の混練スクリュー10として、複数枚の送り羽根10cと、複数枚の戻し羽根10bとを有する極めて高い混練力が得られる混練スクリュー10を使用することにより、水硬性組成物12と混練水17とを混合装置を通過する短い時間の間に強力な混練力で均一にスラリー化することが可能となり、速やかに良好な混練状態の水硬性モルタル19を得ることができる。また、混練スクリュー10の軸部材10aの基端から終端までの長さは、930mm程度とすることができる。
次に、混練装置16に対して水硬性組成物12及び混練水17を供給するための水硬性組成物供給手段及び混練水供給手段について説明する。
水硬性組成物12供給手段としては、例えば図1に示す装置において、ホッパー13及びホッパースクリュー14を用いることができる。例えば、ホッパースクリュー14の回転速度を調節することにより、水硬性組成物12の混練装置16への供給速度を調節することができる。
混練水供給手段としては、例えば、ポンプ、あるいは水供給配管に配置した可変開閉弁等を用いることができる。ポンプの水吐出量、あるいは可変開閉弁の開閉度を調節することにより、混練水17の供給速度を調節することができる。
次に、リザーバータンク20について説明する。混練装置16によって得られた水硬性モルタル19は、混練装置16の下部に設置されているリザーバータンク20に一旦収容される。リザーバータンク20には、特許文献2により開示されている多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根(スターラースクリュー)22を設置することができる。複合攪拌羽根22によって強制攪拌状態のもと、水硬性モルタル19は養生される。
図5に、特許文献2により開示されている多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22の模式図を示す。また、図6に、複合攪拌羽根22を用いた従来の水硬性モルタル調製・施工用設備を示す。図1に示す本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11においても、図6に示す配置と同様に複合攪拌羽根22を設置することができる。
次に、特許文献2により開示され、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11に用いることができる多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根(スターラースクリュー)22について説明する。複合攪拌羽根22は、攪拌軸の周囲にスパイラル状に攪拌羽根が配置され、さらに隣り合った螺旋状攪拌板の間には軸対称の位置にプレートが溶接されて配置されている。また、螺旋状攪拌板と螺旋状攪拌板との中間の空間には、傾斜角を持ったパドル型攪拌板が軸対称の位置になるように攪拌軸に設置されている。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11では、前記の多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を、水硬性モルタルを収容するリザーバータンク20に配備して、リザーバータンク20中の水硬性モルタルに強力な上下左右方向の対流、特に上下方向の強力な対流を継続して発生させることにより、水硬性モルタルの材料分離を回避するとともに、水硬性成分と水との接水直後の初期水和状態を緩衝・安定化させ、水硬性モルタルを均質な状態に養生することによって、モルタルの流動特性を安定化させることができる。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11では、水硬性モルタルは、リザーバータンク20内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22を有する攪拌機によって、好ましくは1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること、さらに好ましくは2分間〜18分間連続的に強制攪拌養生されること、特に好ましくは2分間〜10分間連続的に強制攪拌養生されることによって、スラリーの均質性が高められ、安定した良好な流動性を有する水硬性モルタルを得ることができる。本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11は、上述のように二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)を有するので、混練装置出口の粘度を低減することができ、リザーバータンク20内での養生時間を短縮することができる。
強制攪拌養生される時間が前記の範囲より短い場合、水硬性モルタルの均質性が充分高められないことがあり、前記範囲より長い場合には水硬性成分の水和反応が水硬性モルタルの流動性を阻害する傾向が顕著になり始めることから好ましくない。
本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11で使用する多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22は、複合攪拌羽根22が内接する円筒の内径(直径:円筒の中心軸と垂直な方向に切断した面の直径)が、好ましくは100mm〜180mm、さらに好ましくは110mm〜170mm、特に好ましくは115mm〜160mmであり、攪拌軸方向の複合攪拌羽根22の長さは、好ましくは300mm〜1200mm、さらに好ましくは350mm〜1100mm、特に好ましくは400〜1000mmであることによって、高い強制攪拌力を持って水硬性モルタルを均質化することかできる。
複合攪拌羽根の直径と長さが前記範囲より大きい場合、前記の攪拌羽根を収納するリザーバータンク20自体が大型化するため、実際に装置を移動・設置する上で制約が多くなり、実用上支障をきたすことがあるため好ましくなく、複合攪拌羽根の直径と長さが前記範囲より小さい場合には、リザーバータンク20の容積に対する複合攪拌羽根の大きさが相対的に小さくなり、水硬性モルタル(スラリー)を強制攪拌して均質化する効果を充分に得られないことがあるため好ましくない。
水硬性モルタル19が一旦収容されるリザーバータンク20は、水硬性モルタル21を均質化させてその流動性状を安定化させる養生槽の役割を担っている。リザーバータンク20が貯留する水硬性モルタル量は、好ましくは30〜200リットル、さらに好ましくは35〜150リットル、特に好ましくは40〜100リットルの範囲であることが、水硬性モルタルを所定の時間、リザーバータンク20内で強制攪拌養生できることから好ましい。水硬性モルタルの貯留量が前記の範囲より小さい場合、充分に養生されないままスラリーがポンプ圧送されることがあり、長距離を圧送した場合にはスラリーホース45が閉塞することがある。また、前記範囲を超える場合には、リザーバータンク20内での強制攪拌養生時間が長くなりすぎ、スラリーの粘性が増加して流動性が悪くなる傾向が顕著となることから好ましくない。
また、リザーバータンク20内のスラリーの温度上昇を防止するために、リザーバータンク20の周囲に断熱材を配置することにより、スラリーへの熱の流入を抑制することが好ましい。
スラリーホース45は、リザーバータンク20から水硬性モルタル25を施工箇所にポンプ圧送するために使用する。スラリーホース45の種類は、特に限定されるものではなく、市販の樹脂製ホースや耐圧ホースなどから圧送距離などの条件を考慮して適宜選択して用いることができる。ポンプ圧送する距離が長い場合には耐圧ホースを用いることが好ましい。スラリーホース45の内径及び長さは、施工条件に合わせて選択される。
次に、本発明の水硬性モルタルの施工方法について説明する。本発明の水硬性モルタルの施工方法では、図1の模式図に示すような水硬性モルタル調製・施工用設備11を使用する。水硬性モルタル調製・施工用設備11のホッパー13から水硬性組成物12を供給し、これと同期して混練装置16の給水口15から混練水17を供給し、水硬性組成物12と混練水17とを混練装置16によって連続的に混練して水硬性モルタル19を製造する。本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11の混練装置16は、直列に接続された二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)を有しているので、水硬性モルタル19は、第一混練装置16aにより混練された後、さらに第二混練装置16bによって混練される。
第一混練装置16a及び第二混練装置16bによって混練された水硬性モルタルは、リザーバータンク20に一旦収容され、攪拌機によって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性をさらに安定化される。また、必要に応じて、強力な上下方向の対流攪拌能力を有する多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22を装着した攪拌機用いることによって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性をさらに安定化される。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタルは、設備に搭載されたスラリーポンプ24によって圧送され、スラリーポンプ24に接続されたスラリーホース45を介して施工箇所へ連続的に圧送・供給され打設・施工される。
本発明の水硬性モルタルの施工方法では、大規模な施工現場で大量のグラウト材を施工するような場合に、安定品質の水硬性モルタル19を大量かつ連続的に製造・供給でき、高い施工効率を得ることができることから、図1に示すような本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11を、図7の模式図に示すような水硬性モルタル調製・施工用トラック31として使用することが好ましい。水硬性モルタル調製・施工用トラック31は、水硬性組成物37を貯蔵する水硬性組成物貯蔵タンク33と、水硬性組成物37と混練水17とを連続的に混練する混練装置(ミキサー)35と、水硬性モルタル19を一旦収容するリザーバータンク43と、リザーバータンク43から水硬性モルタル19を圧送するスラリーポンプ44とを搭載することができる。
次に、図7に示す水硬性モルタル調製・施工用トラック31を用いた水硬性モルタルの施工方法について説明する。なお、図7では混練装置の図示を簡略化し、一つの混練装置のみが図示されているが、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備11を用いた水硬性モルタル調製・施工用トラック31は、図1と同様に、直列に接続される二つの混練装置を含む。
まず、水硬性組成物37の製造工場において、水硬性成分、特定の粒度構成を有する細骨材、流動化剤及び膨張材などの原材料を混合して水硬性組成物37を製造し、水硬性モルタル調製・施工用トラック31に備えられた水硬性組成物貯蔵タンク33に充填する。
水硬性モルタル調製・施工用トラック31は、水硬性組成物37を積載して水硬性モルタル34を施工する施工現場近傍へ水硬性組成物37を輸送する。
施工現場の近傍に水硬性モルタル調製・施工用トラック31が配置されたのち、水硬性組成物37は水硬性組成物貯蔵タンク33下部からスクリューコンベアによって排出されて、スクリューフィーダー38によってホッパー36へ供給され、ホッパー36底部から定量的に混練装置35の第一混練装置16aへ供給される。この時、水硬性組成物37が第一混練装置16aへ供給されるのに合わせて、水硬性モルタル調製・施工用トラック31に搭載されている水タンク39から水供給ポンプ40によって水供給パイプ41を介して第一混練装置16aに混練水17が定量的に供給される。水硬性組成物37と混練水17とは混練装置35(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)で強力に混練されて均質な水硬性モルタル34が調製される。水硬性組成物37と混練水17との供給割合は、現場毎の施工条件や水硬性モルタル19の性状に合わせて調整される。
調製された水硬性モルタル34は、トラックに備えられたリザーバータンク43に一旦収容され、所定の攪拌機によって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性が安定化される。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタル34は、トラックに搭載されたスラリーポンプ44によって圧送され、スラリーホース45を介して施工箇所へ連続的に圧送・供給されて打設・施工される。
次に、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備において使用することが好ましい水硬性組成物について説明する。本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備で用いる水硬性組成物は、土木建築用のグラウト材であることが好ましい。具体的には、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備では、水硬性成分と特定の粒度構成を有する細骨材と流動化剤と膨張材とを含む水硬性組成物を用いることができる。
水硬性組成物の水硬性成分は、ポルトランドセメントを含み、水硬性成分100質量%中に対して、ポルトランドセメントを好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含むことが好ましい。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して使用することができる。
水硬性組成物の水硬性成分は、ポルトランドセメントの他に、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で石膏やアルミナセメントを含むことができる。水硬性成分に含まれる成分としては、ポルトランドセメントのみ、ポルトランドセメントと石膏の2種、ポルトランドセメントとアルミナセメントの2種、ポルトランドセメントとアルミナセメントと石膏の3種、から選ぶことができる。
石膏としては、無水、半水等の石膏がその種類を問わず、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、いずれも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。
水硬性組成物は、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、高炉スラグ、シリカヒューム、フライアッシュ、溶融スラグなどの無機成分を含むことができる。
本発明で使用する水硬性組成物は、水と混練することにより速やかに良好な流動性状を有する水硬性モルタルを得ることができ、さらに優れた材料分離抵抗性を有する水硬性モルタルを安定して得るために、最大粒径が2mm未満の特定の粒度構成を有する細骨材を選択して使用することができる。前記細骨材を用いることによって、良好で安定した流動性状の水硬性モルタルが得られるとともに、ポンプ圧送した際に材料分離に伴うスラリーホースの閉塞を回避することができる。
本発明で使用する細骨材は、細骨材100質量%中に、好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を5〜30質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を25〜55質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を25〜60質量%含むものを好適に使用でき、さらに好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を8〜28質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を30〜52質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を30〜55質量%含むものを好適に使用でき、より好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を9〜26質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を33〜50質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を33〜52質量%含むものを好適に使用でき、特に好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を10〜25質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を35〜48質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を35〜50質量%含むものを好適に使用できる。
細骨材の粒度構成が前記の範囲から外れた場合には、水硬性モルタルを、スラリーポンプを用いて長距離(100m)圧送した際に、水硬性モルタル中の細骨材が材料分離を生じてスラリーホースを閉塞させることがあるため好ましくない。
細骨材の使用量は、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは40〜190質量部、より好ましくは60〜180質量部、特に好ましくは80〜170質量部の範囲にすることにより、優れた良好な流動性と材料分離抵抗性、及び、良好な硬化体強度発現性が得られることから好ましい。
細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂、砕砂などの砂類、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒などの無機質材、ウレタン砕、EVAフォーム、発砲樹脂などの樹脂粉砕物、アルミナセメントクリンカー骨材などを用いることができる。細骨材ついては、珪砂、川砂、海砂、山砂、砕砂などの砂類、石英粉末、廃FCC触媒などを用いることが特に好ましい。
本発明では、水硬性組成物と混練水とを混練して速やかに良好な流動特性を有する水硬性モルタルを得るために、流動化剤と特定の粒度構成を有する細骨材とを併せて使用する。さらに、本発明では現場での水硬性モルタルの調製の煩雑さや品質変動を回避するため、予め水硬性組成物の構成成分をプレミックスして現場に提供するため、流動化剤についても粉末状の流動化剤を選択して使用することが好ましい。
本発明で用いる粉末状の流動化剤としては、ポリカルボン酸系の粉末状流動化剤が好ましく、特に変性ポリカルボン酸系の粉末状流動化剤を好ましく用いることができる。市販品ではBASFポゾリス社製メルフラクスAP101F等を好適に使用することができる。
ポリカルボン酸系流動化剤の使用量は、水硬性成分100重量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.03〜2質量部、特に好ましくは0.05〜1質量部の範囲であり、添加量が余り少ないと水硬性成分を速やかに分散させる効果が乏しくなって充分な効果が発現せず、また多すぎても添加量に見合った効果は期待できず単に不経済であるだけでなく、流動性の経時変化やモルタル(スラリー)の粘稠性が大きくなることがあることから好ましくない。
本発明で用いる水硬性組成物は、膨張材を含むことができる。本発明で使用する膨張材としては、金属粉等の金属系膨張材や石灰類等の無機系膨張材の使用が好ましく、特に金属系膨張材及び無機系膨張材を併用して用いることが好ましい。
金属系膨張材の添加量は、用いる水硬性成分により本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.0002〜0.01質量部、さらに好ましくは0.0005〜0.008質量部、より好ましくは0.0008〜0.006質量部、特に0.001〜0.005質量部の範囲で用いることが好ましい。
無機系膨張材の添加量は、好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは2〜25質量部、より好ましくは3〜20質量部、特に4〜15質量部の範囲で用いることが好ましい。
金属系膨張材としては、アルミニウム粉、鉄粉などの金属粉を使用することができるが、中でも比重の面から、アルミニウム粉の使用が特に好ましい。アルミニウム粉は、JIS・K−5906「塗装用アルミニウム粉」の第2種に準ずるものが好適に使用できる。
無機系膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系ではアウイン、石灰系では生石灰、生石灰−石膏系、仮焼ドロマイト等が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種を使用できる。石灰系膨張材としては、生石灰、生石灰−石膏系が好ましく、特に生石灰−石膏系が好ましい。
無機系膨張材としては、例えば遊離生石灰を膨張成分として含むものや、カルシウムサルフォアルミネート等のエトリンガイト形成物質を膨張成分とする市販品を使用することができる。好ましくは、収縮補償効果とともに反応時の水和発熱によって低温環境下の強度増強効果を有する生石灰を有効成分として含む膨張材が特に好ましく、この場合膨張材中の生石灰含有量は特に限定されないが、生石灰含有量が高いもの(100重量%を含む)では水和反応が急激に進行することがあるので80重量%以下の含有量が好ましい。
本発明で用いる水硬性組成物は、水硬性成分、細骨材、流動化剤及び膨張材の他に、必要に応じて本発明の特性を失わない範囲で凝結調整剤、増粘剤、消泡剤、樹脂粉末などの成分を少なくとも1種以上含むことができる。
樹脂粉末としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリル系重合体などの乳化重合した高分子エマルジョンを噴霧乾燥して調製した市販の樹脂粉末を用いることができる。
凝結調整剤は、用いる水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、凝結促進剤及び凝結遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択して、流動性、可使時間、硬化性状などを調整することができる。
増粘剤は、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを用いることができ、特にセルロース系などを用いることができる。増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性成分や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、グラウト用途の水硬性モルタルとしての特性を向上させるために好ましい。
消泡剤は、シリコン系、アルコール系、ポリエーテル系などの合成物質又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることができる。消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の水硬性組成物を構成する場合に、特に好適な成分構成は、ポルトランドセメントを含む水硬性成分、特定の粒度構成を有する細骨材、変性ポリカルボン酸系の粉末流動化剤、無機系膨張材及び金属系膨張材を含むものである。
本発明では、水硬性成分と、特定の粒度構成を有する細骨材、変性ポリカルボン酸系の粉末流動化剤、無機系膨張材及び金属系膨張材とを含み、必要に応じて、凝結調整剤、増粘剤、消泡剤及び粉末樹脂等から選択される成分を添加し、混合機で混合し、水硬性組成物のプレミックス粉体を得ることができる。
上述の水硬性組成物は、所定量の混練水と混練することによって速やかに良好な流動特性を有し、材料分離抵抗性に優れた水硬性モルタルを調製することができる。
本発明で使用する水硬性組成物は、混練水の添加量を調整することにより、水硬性モルタルの流動性、材料分離抵抗性などを、さらに硬化して得られる硬化体の強度などを調整することができる。
混練水の添加量は、用いる水硬性成分又は水硬性組成物に応じて、適宜選択して用いることができる。混練水の添加量は、水硬性成分又はグラウト組成物100質量部に対し、好ましくは8〜50質量部、さらに好ましくは9〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部、特に好ましくは11〜25質量部加えて用いることが好ましい。
水硬性モルタルの流動特性は、混練条件Aの条件で水硬性組成物と混練水とを混練し、混練操作によって得られる水硬性モルタルの流動特性をJ14ロート流下時間によって評価することによって行なうことができる。混練条件Aとは、20℃において2Lポリ容器に水16質量部を入れ、図8のタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物100質量部を全量投入後(粉体1500g)、780rpmで所定時間混練して、水硬性モルタルを調製するものである。
本発明では、水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Z)、水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Y)、水硬性組成物を混練条件Aの条件で4分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(X)、水硬性組成物を混練条件Aの条件で6分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(W)、とした場合に、水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Z)と、2分間、4分間又は6分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Y)、(X)、(W)との比率が、好ましくはY/Z、X/Z及びW/Z=0.75〜1.00の範囲であり、さらに好ましくはY/Z、X/Z及びW/Z=0.76〜0.95の範囲であり、より好ましくはY/Z、X/Z及びW/Z=0.77〜0.92の範囲であり、特に好ましくはY/Z、X/Z及びW/Z=0.78〜0.90の範囲であることが速やかに良好な流動特性安定して有する水硬性モルタルが得られることから好ましい。
Y/Z、X/Z及びW/Zが上記範囲から外れた場合、1分間混練した場合の水硬性モルタルの流動性状と、2分間、4分間又は6分間混練した場合の水硬性モルタルの流動性状とが大きな差異を有することになり、このような水硬性モルタルをポンプ圧送してスラリーホースを介して長距離を圧送した場合には、流動性状が変化しやすく安定しないために圧送距離によって流動特性が異なったり、場合によってはスラリーホースが閉塞したりすることもあるため好ましくない。
また、本発明では、水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Y)と、4分間又は6分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(X)、(W)との比率が、好ましくはX/Y及びW/Y=0.90〜1.02の範囲であり、さらに好ましくはX/Y及びW/Y=0.905〜1.01の範囲であり、より好ましくはX/Y及びW/Y=0.91〜1.00の範囲であり、特に好ましくはX/Y及びW/Y=0.92〜0.99の範囲であることが速やかに良好な流動特性安定して有する水硬性モルタルが得られることから好ましい。
X/Y及びW/Yが上記範囲から外れた場合、2分間混練した場合の水硬性モルタルの流動性状と、4分間又は6分間混練した場合の水硬性モルタルの流動性状とが大きな差異を有することになり、このような水硬性モルタルをポンプ圧送してスラリーホースを介して長距離を圧送した場合には、流動性状が変化しやすく安定しないために圧送距離によって流動特性が異なったり、場合によってはスラリーホースが閉塞したりすることもあるため好ましくない。
水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間、2分間、4分間又は6分間混練して調製した水硬性モルタルのJ14ロート流下時間(Z)、(Y)、(X)及び(W)は、好ましくは5〜12秒の範囲、さらに好ましくは5.5〜11秒の範囲、特に好ましくは6〜10秒の範囲であることが速やかに優れた流動性を安定して確保できることから好ましい。
水硬性モルタルの硬化体は、以下の特性の1つ以上有することが好ましい。
1)圧縮強度(材齢1日)が、好ましくは20N/mm以上、より好ましくは25N/mm以上、さらに好ましくは30N/mm以上、特に好ましくは32N/mm以上である。
2)圧縮強度(材齢3日)が、好ましくは35N/mm以上、より好ましくは40N/mm以上、さらに好ましくは43N/mm以上、特に好ましくは45N/mm以上である。
3)膨張率(1日)が、0.00%より大きい、さらに好ましくは+0.01%より大きい、より好ましくは+0.05%より大きい、特に好ましくは+0.10%より大きい範囲である。
本発明で用いる水硬性組成物は、水硬性成分と細骨材と流動化剤と膨張剤とを必須成分とする、土木建築工事に使用されるグラウト用の水硬性組成物であることができ、水との混練操作によって速やかに良好なスラリー状態が得られ、流動性に優れ、材料分離抵抗性が高い水硬性モルタルを安定して調製することができる。
本発明の水硬性モルタルの施工方法は、前記の速やかに混練されて安定した流動性状を示す水硬性組成物と、水とを、強力な混練力が得られる直列に接続された二つの混練装置(第一混練装置16a及び第二混練装置16b)を使用して連続的に混練し、水硬性モルタルを連続的に調製してリザーバータンク20に一旦収容する。さらに、強力な上下対流を発生させる多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22を有する攪拌機を用いて、水硬性モルタルを強制攪拌条件下で所定時間攪拌養生することによって、材料分離を生じさせることなくスラリー状態が極めて安定化した水硬性モルタルを調製することができる。また、スラリーポンプ24を用いて離れた施工場所に連続的に水硬性モルタルを供給した際にも、圧送過程での材料分離を生じさせることなく、安定して施工箇所へ供給・打設することができ、高い施工効率と優れた施工品質を提供するものである。
水硬性モルタルの施工方法によって、水硬性モルタルを充填・硬化した構造体を得ることができる。具体的には、本発明の水硬性モルタルの施工方法は、トンネルやシールドの裏込め、ダムの継ぎ目、橋梁のシュウ、構造物の補修や補強、鉄筋継手、機械基礎の固定、下水道の補修等、土木・建築分野の各種グラウト工事において、高流動性、無収縮性及び高強度といった性能を安定して提供できることからその利用価値は大きい。特に、大規模な現場で大量のグラウチングを行なうような場合に、連続的に水硬性モルタルを調製して、連続的に施工箇所へ供給・打設施工する場合に、その性能を大いに発揮するものである。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
<特性の評価方法>
1)J14ロート流下時間(秒):
J14ロート流下時間(秒)は、土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993)に準拠した、グラウトスラリーのJ14ロート法による流下値である。
2)フロー値
フロー値は、JASS・15M−103に準拠して測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ102mmの塩化ビニル製パイプ(内容積200ml)を置き、練り混ぜた水硬性モルタル組成物を充填した後、パイプを引き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。
3)粘度
混練装置出口粘度は、TOKIMEC社製DIGITAL VISCOMETER
DVH−B型粘度計を用いて測定した。
原料は以下のものを使用した。原料の配合比を表1に示す。
1)水硬性成分:
・ポルトランドセメント(宇部早強セメント、ブレーン比表面積4500cm/g)。
比表面積の評価方法は、JIS・R−5201に規定されているブレーン空気透過装置を用いて測定されたものである。
2)細骨材:
細骨材(1)は、以下の珪砂を表1の配合比率のように混合して調製する。
・細粒砂A : 川鉄4号、川鉄鉱業社製。
・細粒砂B : N50、瓢屋社製。
・微粒砂 : N70、瓢屋社製。
3)減水剤:
・流動化剤: 変性ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラクスAP101F(BASFポゾリス社製)。
4)増粘剤: メチルセルロース系増粘剤、ハイユーローズ(宇部興産株式会社製)。
5)膨張材:
・無機系膨張材:太平洋ジブカル(太平洋マテリアル社製)。
・金属系膨張材:アルミニウム粉(粒度44μm以下60%以上、大和金属粉工業社製)
<実施例1及び比較例1>
水硬性組成物は、表1記載の配合比率の水硬性組成物を用いた。この水硬性組成物と所定量の混練水とを、所定の混練装置を備えた水硬性モルタル調製・施工用設備に供給して連続的に混練し、水硬性モルタルを連続製造した。
実施例1の水硬性モルタルを得るために、図1および図2に示すような、直列に接続される二つの混練装置を含む水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた。また、比較例1の水硬性モルタルを得るために、図3に示すような、一つの混練装置を含む水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた。実施例1及び比較例1に用いた水硬性モルタル調製・施工用設備の混練スクリューの羽根数等の混練装置の仕様及び混練条件を、表2に示す。
得られた水硬性モルタルをリザーバータンクに収容し、所定時間(1分〜7分)攪拌した後に、J14ロート流下時間及びフロー値を測定した。結果を表3に示す。また、表3のJ14ロート流下時間を、図4に示すようにグラフ化した。
表3及び図4から明らかなように、二つの混練装置を含む水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた実施例1の水硬性モルタルの場合には、リザーバータンク内での攪拌2分後には、10秒以下のJ14ロート流下時間を得ることができた。これに対し、一つの混練装置を含む水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた比較例1の場合には、リザーバータンク内での攪拌を7分間という長時間行った場合であっても、10秒以下のJ14ロート流下時間を得ることができなかった。また、混練装置出口粘度を比較すると、実施例1の方が比較例1に比べて低くなっていることを確認できた。したがって、本発明の水硬性モルタル調製・施工用設備を用いた場合には、優れた流動性を有する水硬性モルタルを効率的かつ安定的に製造でき、養生時間を減少することができることが明らかとなった。
10 : 混練スクリュー
10a: 軸部材
10b: 戻し羽根
10c: 送り羽根
10d: 掻き出し用部材
11 : 水硬性モルタル調製・施工用設備
12 : 水硬性組成物
13 : ホッパー
14 : ホッパースクリュー
15 : 給水口
16 : 混練装置(ミキサー)
16a: 第一混練装置
16b: 第二混練装置
17 : 混練水
18 : モルタル(スラリー)排出口
19 : 水硬性モルタル
20 : リザーバータンク
21 : 水硬性モルタル
22 : 複合攪拌羽根(スターラースクリュー)
23 : 移送スクリュー
24 : スラリーポンプ(スネークポンプ)
25 : 水硬性モルタル
26、27 : モーター
28 : 動力伝達ベルト
30 : スターラースクリュー(スネッキ攪拌羽根)
31 : 水硬性モルタル調製・施工用トラック
32 : 水硬性組成物の供給口
33 : 水硬性組成物貯蔵タンク
34 : 水硬性モルタル
35 : 混練装置(ミキサー)
36 : ホッパー
37 : 水硬性組成物
38 : スクリューフィーダー
39 : 水タンク
40 : 水供給ポンプ
41 : 水供給パイプ
42 : 多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根
43 : 水硬性モルタルタンク(リザーバータンク)
44 : スラリーポンプ
45 : スラリーホース

Claims (6)

  1. 水硬性組成物と混練水とを混練して水硬性モルタルを連続的に調製するための、直列に接続される二つの混練装置と、
    水硬性モルタルを強制攪拌下で養生安定化させるためのリザーバータンクと、
    リザーバータンク内の水硬性モルタルを連続的に圧送するためのスラリーポンプと
    を含む、水硬性モルタル調製・施工用設備。
  2. 二つの混練装置が、それぞれ一つの混練スクリューを有し、混練スクリューが、軸部材と、軸部材の外周面に形成された複数枚の戻し羽根及び複数枚の送り羽根とを有する、請求項1記載の水硬性モルタル調製・施工用設備。
  3. 混練装置の混練スクリューが、戻し羽根の数及び送り羽根の数の合計数に対し50〜90%の数の戻し羽根を有する、請求項2記載の水硬性モルタル調製・施工用設備。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の水硬性モルタル調製・施工用設備を用いて、水硬性組成物と混練水とを混練して水硬性モルタルを連続的に調製する工程と、
    調製された水硬性モルタルを、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送して打設・施工する工程とを含む、水硬性モルタルの施工方法。
  5. 水硬性組成物が、土木建築用のグラウト材である、請求項4記載の水硬性モルタルの施工方法。
  6. 請求項4又は5記載の水硬性モルタルの施工方法によって得られる、水硬性モルタルを充填・硬化した構造体。
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