JP4985233B2 - 水硬性モルタル(スラリー)の施工方法 - Google Patents

水硬性モルタル(スラリー)の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、土木建築工事に用いられる水硬性モルタル(スラリー)の施工方法および水硬性モルタル(スラリー)が硬化した構造体に関する。
さらに、本発明は、土木建築分野のグラウト工事に用いられる水硬性モルタル(スラリー)の施工方法および水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体に関する。
グラウト組成物と水とを連続混練又は連続混練機を用いて混練して安定した流動性を有するスラリーが得られるグラウト組成物を提供することを目的として、特許文献1には、ポルトランドセメントを含む水硬性無機結合材と流動化剤と膨張剤とを含むグラウト組成物が開示され、さらに前記グラウト組成物を用い、連続混練機を使用して連続混練して得られたスラリーをポンプを用いて施工部に連続して供給するグラウトスラリーの施工方法が開示されている。
特開2006−298662号公報
本発明は、土木建築分野の大規模なグラウト工事でも採用可能な、優れた流動性を有する水硬性モルタル(スラリー)を効率的かつ安定的に製造でき、さらにスラリーポンプを用いて長い距離をスラリーホースを介して安定的にポンプ圧送し、施工箇所へ水硬性モルタル(スラリー)を供給して打設・施工できる水硬性モルタル(スラリー)の施工方法を提供することを目的とした。
本発明は、ポルトランドセメントを含む水硬性成分とポリカルボン酸系流動化剤と特定の粒度構成を有する細骨材とを組合せて用いることにより、水硬性組成物と水とを混練した際の初期混練性が各段に向上し、極めて短時間の混練操作によって良好な流動性を有する水硬性モルタル(スラリー)が得られることを見出した。
そして、前記水硬性組成物を用いて水と連続的に混練して調製したスラリーを、強制攪拌条件下で所定時間養生することによって材料分離を生じさせることなくスラリー状態を安定化させ、スラリーポンプを用いて離れた施工場所に連続的に水硬性モルタル(スラリー)を供給した際にも、圧送過程での材料分離を生じさせることなく、安定して長距離圧送が可能であることを見出した。
即ち、本発明の第一は、
水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、
該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、
リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを
備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること
を特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法である。
本発明の第二は、
水硬性組成物を貯蔵するタンクと、
該水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、
該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、
リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを
備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラックを用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること
を特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法である。
本発明の第三は、
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法によって得られる水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体である。
本発明の水硬性組成物の好ましい態様を以下に示す。本発明ではこれらの態様は組合せることができる。
1)複合攪拌羽根が内接する円筒の内径(直径)は、100mm〜180mmであり、攪拌軸方向の複合攪拌羽根の長さは、300mm〜1200mmであること。
2)水硬性モルタル(スラリー)は、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送されて打設・施工される水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、前記のスラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであること。
3)水硬性組成物は、水硬性成分と細骨材と流動化剤と膨張材とを含み、
細骨材は、細骨材100質量%中に
30μm以上〜150μm未満の粒子を5〜30質量%含み、
150μm以上〜600μm未満の粒子を25〜55質量%含み、
600μm以上〜2000μm未満の粒子を25〜60質量%含むこと。
4)水硬性組成物に含まれる流動化剤は、変性ポリカルボン酸系流動化剤であること。
5)水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Zと、2分間、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Y、X、Wとの比率が、
Y/Z、X/ZおよびW/Z=0.75〜1.00の範囲であること。
6)水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Yと、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間X、Wとの比率が、
好ましくはX/YおよびW/Y=0.90〜1.02の範囲であること。
7)水硬性組成物と水とを混練条件Aで2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)の加圧ブリージング試験(1分加圧時)の脱水量が2〜18mlであること。
8)水硬性組成物は、土木建築用のグラウト材であること。
なお、本発明において混練条件Aとは、20℃において2Lポリ容器に水16質量部を入れ、図6のタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物100質量部を全量投入後(粉体1500g)、780rpmで所定時間混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製することである。
Jロート流下時間Zは、混練条件Aの条件で1分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間である。
Jロート流下時間Yは、混練条件Aの条件で2分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間である。
Jロート流下時間Xは、混練条件Aの条件で4分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間である。
Jロート流下時間Wは、混練条件Aの条件で6分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間である。
本発明で用いる水硬性組成物は、水硬性成分とポリカルボン酸系流動化剤と特定の粒度構成を有する細骨材とを用いることによって、水と混練した際のスラリー化が著しく迅速化され、極めて短時間の混練操作によっても水硬性組成物が均質に分散した流動特性が安定したスラリーを得ることができる。その結果、混練時間の長短に関わらずJ14ロート流下値が安定した水硬性モルタル(スラリー)を製造することができる。
本発明で使用する水硬性組成物を用いて調製した水硬性モルタル(スラリー)は、ポンプを使用してスラリーを長距離圧送するような場合でも、加圧条件下での脱水性状が緩慢で材料分離抵抗性に優れるため、スラリーホースの閉塞現象を大幅に低減することができる。この優れた材料分離抵抗性によって、図1の模式図に示すような水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いることによって、大規模で大量に水硬性モルタル(スラリー)を連続施工するような現場でも、本発明の水硬性組成物を用いることによって効率的にかつ安定性状のグラウトスラリーを製造供給することが可能となる。
本発明では、前記の高分散性を有する水硬性組成物を選択して使用し、さらに、図5の模式図に示すような水硬性組成物を貯蔵するタンクを備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラックを使用し、該トラックに搭載した連続混練ミキサーを用いて、水硬性組成物と水とを連続的に混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製し、前記スラリーを強制攪拌養生したのち、該トラックに搭載されたスラリーポンプによりスラリーホースを介して水硬性モルタル(スラリー)を施工箇所へ連続的に圧送・供給・打設することで、大規模な現場で大量のグラウト(水硬性モルタル・スラリー)を限られた期間内に施工することが可能となった。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法は、水硬性モルタル(スラリー)を連続的に製造して、離れた施工場所へ連続的に供給・施工でき、施工効率および施工品質において優れており、品質の安定した構造物構築に効果を発揮するものである。
本発明は、水硬性成分と特定の粒度構成を有する細骨材と流動化剤と膨張材とを含む水硬性組成物を用いて、
該水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、
該水硬性モルタル(スラリー)を強制攪拌下で養生安定化させるリザーバータンクと、
リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを
備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いる
水硬性モルタル(スラリー)の施工方法及び該施工方法によって得られる水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体である。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法について説明する。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法では、図1の模式図に示すような水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備11を使用する。
水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備11のホッパー13から水硬性組成物12を供給し、これと並行して混練装置(ミキサー)16の給水口15から水17を供給し、該水硬性組成物12と水17とを混練装置(ミキサー)16によって連続的に混練して水硬性モルタル(スラリー)19を製造する。
水硬性モルタル(スラリー)19は、リザーバータンク20に一旦収容されて該タンクに設置された、強力な上下方向の対流攪拌能力を有する螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22を装着した攪拌機によって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性が安定化される。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタル(スラリー)19は、該設備に搭載されたスラリーポンプ24によって圧送され、スラリーポンプ24に接続されたスラリーホースを介して施工箇所へ連続的に圧送・供給され打設・施工される。
水硬性モルタル(スラリー)が一旦収容されるリザーバータンクは、水硬性モルタル(スラリー)を均質化させてその流動性状を安定化させる養生槽の役割をになっている。
リザーバータンクが貯留する水硬性モルタル(スラリー)量は、
好ましくは30〜200リットル、さらに好ましくは35〜150リットル、特に好ましくは40〜100リットルの範囲が、水硬性モルタル(スラリー)を所定の時間リザーバータンク内で強制攪拌養生できることから好ましい。
水硬性モルタル(スラリー)の貯留量が前記の範囲より小さい場合、充分に養生されないままスラリーがポンプ圧送されることがあり、長距離を圧送した場合にはホースが閉塞することがあり、前記範囲を超える場合にはリザーバータンク内での強制攪拌養生時間が長くなりすぎ、スラリーの粘性が増加して流動性が悪くなる傾向が顕著となることから好ましくない。
水硬性モルタル(スラリー)をポンプ圧送する場合に使用するスラリーホースは、特に限定されるものではなく、市販の樹脂製ホースや耐圧ホースなどから圧送距離などの条件を考慮して適宜選択して用いることができる。ポンプ圧送する距離が長い場合には耐圧ホースを用いることが好ましい。
スラリーホースの内径および長さは、施工条件に合わせて選択され、
好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであること、
さらに好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が25mm〜50mmであり、長さが80m〜180mであること、
特に好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が30mm〜45mmであり、長さが90m〜150mであることが好ましく、スラリーホースの内径(直径)と長さが前記範囲の場合に長距離を安定してポンプ圧送することができる。
スラリーホースの内径(直径)が前記範囲より小さい場合、スラリーを圧送した場合のホース内圧力が高くなってホースが閉塞する可能性が高くなることから好ましくなく、前記範囲よりも大きくなるとスラリーの流速が小さくなり過ぎて圧送過程でスラリーが材料分離を生じることがあるため好ましくない。
また、スラリーホースの長さが前記範囲より短い場合、必ずしも本発明で選択して用いる材料分離抵抗性に優れる水硬性組成物を用いなくともスラリー圧送が可能な場合があり、前記範囲よりも長くなるとホース内圧力が高くなってホースが閉塞する可能性が高くなることから好ましくない。
次に、図1の模式図に示す水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備11に備えられた混練スクリュー10、及び、螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22について説明する。
図3は、図1に示す混練装置16の混練スクリュー10の全体構成を示す図である。
混練スクリューは、基端から終端までの長さが混練装置の混練室の長さ程度の軸部材10aと、この軸部材10aの外周面に形成された複数枚の羽根とを有する。そしてこの複数枚の羽根は、26枚の戻し羽根10bと、6枚の送り羽根10cと、を含む。戻し羽根10bと送り羽根10cとの合計枚数は32枚であり、羽根全体に占める戻し羽根10bの割合は81%程度である。
なお、混練スクリューの軸部材10aの基端から終端までの長さは、930mm程度となっている。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法では、混練装置の混練スクリューとして、複数枚の送り羽根と、複数枚の戻し羽根とを有する極めて高い混練力が得られる混練スクリューを使用することにより、水硬性組成物と水とを混合装置を通過する短い時間の間に強力な混練力で均一にスラリー化することが可能となり、速やかに良好な混練状態の水硬性モルタル(スラリー)を得ることができる。
混練装置によって得られた水硬性モルタル(スラリー)は、混練装置の下部に設置されているリザーバータンクに一旦収容されて、螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根によって強制攪拌状態のもと養生される。
次に、リザーバータンク内での水硬性モルタル(スラリー)の養生処理によるスラリー流動性の安定化について説明する。
図4は、図1に示すリザーバータンク20に設置された螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22の模式図である。
複合攪拌羽根は、攪拌軸の周囲にスパイラル状に螺旋状攪拌板が配置されている。螺旋状攪拌板と螺旋状攪拌板との中間の空間には、傾斜角を持ったパドル型攪拌板が軸対称の位置になるように攪拌軸に設置されている。
本発明では前記の螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を、水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクに配備して、該タンク中の水硬性モルタル(スラリー)に強力な上下左右方向の対流、特に上下方向の強力な対流を継続して発生させることにより、モルタル(スラリー)の材料分離を回避するとともに、水硬性成分と水との接水直後の初期水和状態を緩衝・安定化させ、水硬性モルタル(スラリー)を均質な状態に養生することによって、モルタル(スラリー)の流動特性を安定化させる。
水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって、
好ましくは1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること、
さらに好ましくは2分間〜18分間連続的に強制攪拌養生されること、
特に好ましくは2.5分間〜15分間連続的に強制攪拌養生されること
によって、スラリーの均質性が高められ、安定した良好な流動性を有する水硬性モルタル(スラリー)を得ることができる。
強制攪拌養生される時間が前記の範囲より短い場合、スラリーの均質性が充分高められないことがあり、前記範囲より長い場合には水硬性成分の水和反応がスラリーの流動性を阻害する傾向が顕著になり始めることから好ましくない。
本発明で使用する螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根は、前記複合攪拌羽根が内接する円筒の内径(直径:円筒の中心軸と垂直な方向に切断した面の直径)が、
好ましくは100mm〜180mm、さらに好ましくは110mm〜170mm、特に好ましくは115mm〜160mmであり、
攪拌軸方向の複合攪拌羽根の長さは、
好ましくは300mm〜1200mm、さらに好ましくは350mm〜1100mm、特に好ましくは400〜1000mmであること
によって、高い強制攪拌力を持って水硬性モルタル(スラリー)を均質化することか出来る。
複合攪拌羽根の直径と長さが前記範囲より大きい場合、前記の攪拌羽根を収納するリザーバータンク自体が大型化するため、実際に装置を移動・設置する上で制約が多くなり、実用上支障をきたすことがあるため好ましくなく、複合攪拌羽根の直径と長さが前記範囲より小さい場合には、リザーバータンクの容積に対する複合攪拌羽根の大きさが相対的に小さくなり、水硬性モルタル(スラリー)を強制攪拌して均質化する効果を充分に得られないことがあるため好ましくない。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法では、大規模な施工現場で大量のグラウト材を施工するような場合に、安定品質の水硬性モルタル(スラリー)を大量かつ連続的に製造・供給でき、高い施工効率を得ることができることから、図5の模式図に示すような水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31を使用することが好ましい。
水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31は、水硬性組成物37を貯蔵するタンク33と、該水硬性組成物37と水とを連続的に混練するミキサー35と、水硬性モルタル(スラリー)を一旦収容するリザーバータンク43と、前記タンクから水硬性モルタル(スラリー)を圧送するスラリーポンプ44とを搭載している。
次に、図5に示す水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法について説明する。
水硬性組成物37の製造工場において、水硬性成分、特定の粒度構成を有する細骨材、流動化剤及び膨張材などの原材料を混合して水硬性組成物37を製造し、水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31に備えられた水硬性組成物貯蔵タンク33に充填する。
水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31は、水硬性組成物37を積載して水硬性モルタル(スラリー)34を施工する施工現場近傍へ水硬性組成物37を輸送する。
施工現場の近傍に水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31が配置されたのち、水硬性組成物37は貯蔵タンク33下部からスクリューコンベアによって排出されて、スクリューフィーダー38によってホッパー36へ供給され、ホッパー底部から定量的に混練装置(ミキサー)35へ供給される。この時、水硬性組成物37が混練装置(ミキサー)35へ供給されるのに合わせて、水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31に搭載されている水タンク39から水供給ポンプ40によって水供給パイプ41を介して混練装置(ミキサー)35に水が定量的に供給されて、水硬性組成物37と水とは混練装置(ミキサー)35で強力に混練されて均質な水硬性モルタル(スラリー)34が調製される。水硬性組成物37と水との供給割合は、現場毎の施工条件や水硬性モルタル(スラリー)の性状に合わせて調整される。
調製された水硬性モルタル(スラリー)34は、該トラックに備えられたリザーバータンク43に一旦収容され、リザーバータンク43に設置された、強力な上下方向の対流攪拌能力を有する螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根42を装着した攪拌機によって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性が安定化される。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタル(スラリー)34は、該トラックに搭載されたスラリーポンプ44によって圧送され、スラリーホース45を介して施工箇所へ連続的に圧送・供給されて打設・施工される。
次に、本発明で使用する水硬性組成物について説明する。
本発明では、水硬性成分と特定の粒度構成を有する細骨材と流動化剤と膨張材とを含む水硬性組成物を用いる。
水硬性組成物の水硬性成分は、ポルトランドセメントを含み、水硬性成分100質量%中に対して、ポルトランドセメントを好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含むことが好ましい。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して使用することができる。
水硬性組成物の水硬性成分は、ポルトランドセメントの他に、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で石膏やアルミナセメントを含むことができる。
水硬性成分に含まれる成分としては、ポルトランドセメントのみ、ポルトランドセメントと石膏の2種、ポルトランドセメントとアルミナセメントの2種、ポルトランドセメントとアルミナセメントと石膏の3種、から選ぶことができる。
石膏としては、無水、半水等の石膏がその種類を問わず、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。
水硬性組成物は、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、高炉スラグ、シリカヒューム、フライアッシュ、溶融スラグなどの無機成分を含むことができる。
本発明で使用する水硬性組成物は、水と混練することにより速やかに良好な流動性状を有する水硬性モルタル(スラリー)を得ることができ、さらに優れた材料分離抵抗性を有する水硬性モルタル(スラリー)を安定して得るために、最大粒径が2mm未満の特定の粒度構成を有する細骨材を選択して使用する。前記細骨材を用いることによって、良好で安定した流動性状の水硬性モルタル(スラリー)を得られると共に、ポンプ圧送した際に材料分離に伴うスラリーホースの閉塞を回避することができる。
本発明で使用する細骨材は、細骨材100質量%中に
好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を5〜30質量%含み、
150μm以上〜600μm未満の粒子を25〜55質量%含み、
600μm以上〜2000μm未満の粒子を25〜60質量%含むものを好適に使用でき、
さらに好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を8〜28質量%含み、
150μm以上〜600μm未満の粒子を30〜52質量%含み、
600μm以上〜2000μm未満の粒子を30〜55質量%含むものを好適に使用でき、
より好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を9〜26質量%含み、
150μm以上〜600μm未満の粒子を33〜50質量%含み、
600μm以上〜2000μm未満の粒子を33〜52質量%含むものを好適に使用でき、
特に好ましくは、30μm以上〜150μm未満の粒子を10〜25質量%含み、
150μm以上〜600μm未満の粒子を35〜48質量%含み、
600μm以上〜2000μm未満の粒子を35〜50質量%含むものを好適に使用できる。
細骨材の粒度構成が前記の範囲から外れた場合には、水硬性モルタル(スラリー)をスラリーポンプを用いて長距離(100m)圧送した際に、水硬性モルタル(スラリー)中の細骨材が材料分離を生じてスラリーホースを閉塞させることがあるため好ましくない。
細骨材の使用量は、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは20〜200質量部、
さらに好ましくは40〜190質量部、
より好ましくは60〜180質量部、
特に好ましくは80〜170質量部の範囲にすることにより、優れた良好な流動性と材料分離抵抗性、及び、良好な硬化体強度発現性が得られることから好ましい。
細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂、砕砂などの砂類、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒などの無機質材、ウレタン砕、EVAフォーム、発砲樹脂などの樹脂粉砕物、アルミナセメントクリンカー骨材などを用いることができる。
細骨材ついては、珪砂、川砂、海砂、山砂、砕砂などの砂類、石英粉末、廃FCC触媒などを用いることが特に好ましい。
本発明では、水硬性組成物と水とを混練して速やかに良好な流動特性を有する水硬性モルタル(スラリー)を得るために、流動化剤と特定の粒度構成を有する細骨材とを併せて使用する。さらに、本発明では現場での水硬性モルタル(スラリー)の調製の煩雑さや品質変動を回避するため、予め水硬性組成物の構成成分をプレミックスして現場に提供するため、流動化剤についても粉末状の流動化剤を選択して使用する。
本発明で用いる粉末状の流動化剤としては、ポリカルボン酸系の粉末状流動化剤が好ましく、特に変性ポリカルボン酸系の粉末状流動化剤を好ましく用いることができる。
市販品ではBASFコンストラクションシステムズ社製メルフラクスAP101F等を好適に使用できる。
ポリカルボン酸系流動化剤の使用量は、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.03〜2質量部、特に好ましくは0.05〜1質量部の範囲であり、添加量が余り少ないと水硬性成分を速やかに分散させる効果が乏しくなって充分な効果が発現せず、また多すぎても添加量に見合った効果は期待できず単に不経済であるだけでなく、流動性の経時変化やモルタル(スラリー)の粘稠性が大きくなることがあることから好ましくない。
本発明で用いる水硬性組成物は、必須成分のひとつとして膨張材を使用する。
本発明で使用する膨張材としては、金属粉等の金属系膨張材や石灰類等の無機系膨張材の使用が好ましく、特に金属系膨張材及び無機系膨張材を併用して用いることが好ましい。
金属系膨張材の添加量は、用いる水硬性成分により本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.0002〜0.01質量部、
さらに好ましくは0.0005〜0.008質量部、
より好ましくは0.0008〜0.006質量部、
特に0.001〜0.005質量部の範囲で用いることが好ましい。
無機系膨張材の添加量は、
好ましくは1〜30質量部、
さらに好ましくは2〜25質量部、
より好ましくは3〜20質量部、
特に4〜15質量部の範囲で用いることが好ましい。
金属系膨張材としては、アルミニウム粉、鉄粉などの金属粉を使用することができるが、中でも比重の面から、アルミニウム粉の使用が特に好ましい。アルミニウム粉は、JIS・K−5906「塗装用アルミニウム粉」の第2種に準ずるものが好適に使用できる。
無機系膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系ではアウイン、石灰系では生石灰、生石灰−石膏系、仮焼ドロマイト等が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種を使用できる。石灰系膨張材としては、生石灰、生石灰−石膏系が好ましく、特に生石灰−石膏系が好ましい。
無機系膨張材としては、例えば遊離生石灰を膨張成分として含むものや、カルシウムサルホアルミネート等のエトリンガイト形成物質を膨張成分とする市販品を使用することができる。好ましくは、収縮補償効果とともに反応時の水和発熱によって低温環境下の強度増強効果を有する生石灰を有効成分として含む膨張材が特に好ましく、この場合膨張材中の生石灰含有量は特に限定されないが、生石灰含有量が高いもの(100重量%を含む)では水和反応が急激に進行することがあるので80重量%以下の含有量が好ましい。
本発明で用いる水硬性組成物は、水硬性成分、細骨材、流動化剤及び膨張材の他に、必要に応じて本発明の特性を失わない範囲で凝結調整剤、増粘剤、消泡剤、樹脂粉末などの成分を少なくとも1種以上含むことができる。
樹脂粉末としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリル系重合体などの乳化重合した高分子エマルジョンを噴霧乾燥して調製した市販の樹脂粉末を用いることができる。
凝結調整剤は、用いる水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、凝結促進剤及び凝結遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択して、流動性、可使時間、硬化性状などを調整することができる。
増粘剤は、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを用いることが出来、特にセルロース系などを用いることが出来る。
増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。
増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性成分や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、グラウト用途の水硬性モルタル(スラリー)としての特性を向上させるために好ましい。
消泡剤は、シリコン系、アルコール系、ポリエーテル系などの合成物質又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることが出来る。
消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の水硬性組成物を構成する場合に、特に好適な成分構成は、ポルトランドセメントを含む水硬性成分、特定の粒度構成を有する細骨材、変性ポリカルボン酸系の粉末流動化剤、無機系膨張材及び金属系膨張材を含むものである。
本発明では、水硬性成分と、特定の粒度構成を有する細骨材、変性ポリカルボン酸系の粉末流動化剤、無機系膨張材及び金属系膨張材とを含み、必要に応じて、凝結調整剤、増粘剤、消泡剤及び粉末樹脂等から選択される成分を添加し、混合機で混合し、水硬性組成物のプレミックス粉体を得ることができる。
本発明で用いる水硬性組成物は、所定量の水と混練することによって速やかに良好な流動特性を有し、材料分離抵抗性に優れた水硬性モルタル(スラリー)を調製することができる。
本発明で使用する水硬性組成物は、水の添加量を調整することにより、水硬性モルタル(スラリー)の流動性、材料分離抵抗性などを、さらに硬化して得られる硬化体の強度などを調整することができる。
水の添加量は、用いる水硬性成分又は水硬性組成物に応じて、適宜選択して用いることができる。水の添加量は、水硬性成分又はグラウト組成物100質量部に対し、好ましくは8〜50質量部、さらに好ましくは9〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部、特に好ましくは11〜25質量部加えて用いることが好ましい。
本発明では、混練条件Aの条件で水硬性組成物と水とを混練し、混練操作によって得られる水硬性モルタル(スラリー)の流動特性をJロート流下時間によって評価する。
混練条件Aとは、20℃において2Lポリ容器に水16質量部を入れ、図6のタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物100質量部を全量投入後(粉体1500g)、780rpmで所定時間混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製するものである。
本発明では、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Z)、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Y)、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で4分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(X)、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(W)、
とした場合に、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Z)と、2分間、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Y)、(X)、(W)との比率が、
好ましくはY/Z、X/ZおよびW/Z=0.75〜1.00の範囲であり、
さらに好ましくはY/Z、X/ZおよびW/Z=0.76〜0.95の範囲であり、
より好ましくはY/Z、X/ZおよびW/Z=0.77〜0.92の範囲であり、
特に好ましくはY/Z、X/ZおよびW/Z=0.78〜0.90の範囲である
ことが速やかに良好な流動特性安定して有する水硬性モルタル(スラリー)が得られることから好ましい。
Y/Z、X/ZおよびW/Zが上記範囲から外れた場合、1分間混練した場合の水硬性モルタル(スラリー)の流動性状と、2分間、4分間または6分間混練した場合の水硬性モルタル(スラリー)の流動性状とが大きな差異を有することになり、このような水硬性モルタル(スラリー)をポンプ圧送してスラリーホースを介して長距離を圧送した場合には、流動性状が変化しやすく安定しないために圧送距離によって流動特性が異なったり、場合によってはスラリーホースが閉塞することもあるため好ましくない。
また、本発明では、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Y)と、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(X)、(W)との比率が、
好ましくはX/YおよびW/Y=0.90〜1.02の範囲であり、
さらに好ましくはX/YおよびW/Y=0.905〜1.01の範囲であり、
より好ましくはX/YおよびW/Y=0.91〜1.00の範囲であり、
特に好ましくはX/YおよびW/Y=0.92〜0.99の範囲である
ことが速やかに良好な流動特性安定して有する水硬性モルタル(スラリー)が得られることから好ましい。
X/YおよびW/Yが上記範囲から外れた場合、2分間混練した場合の水硬性モルタル(スラリー)の流動性状と、4分間または6分間混練した場合の水硬性モルタル(スラリー)の流動性状とが大きな差異を有することになり、このような水硬性モルタル(スラリー)をポンプ圧送してスラリーホースを介して長距離を圧送した場合には、流動性状が変化しやすく安定しないために圧送距離によって流動特性が異なったり、場合によってはスラリーホースが閉塞することもあるため好ましくない。
本発明の水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間、2分間、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間(Z)、(Y)、(X)及び(W)は、
好ましくは5〜12秒の範囲、
さらに好ましくは5.5〜11秒の範囲、
特に好ましくは6〜10秒の範囲である
ことが速やかに優れた流動性を安定して確保できることから好ましい。
本発明では、
水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)について、土木学会加圧ブリージング試験方法(JSCE・F502−1999)の試験方法でジャッキ圧力を1.0N/mmに設定して1分加圧した時の脱水量は、
好ましくは2〜18mlの範囲、
さらに好ましくは4〜16mlの範囲、
特に好ましくは5〜15mlの範囲であることが、
ポンプ圧送してスラリーホースを介して水硬性モルタル(スラリー)を施工箇所へ供給する際に、加圧条件下で材料分離を生じ難いことから好ましい。
水硬性モルタル(スラリー)の硬化体は、以下の特性の1つ以上有することが好ましい。
1)圧縮強度(材齢1日)が、好ましくは20N/mm以上、より好ましくは25N/mm以上、さらに好ましくは30N/mm以上、特に好ましくは32N/mm以上である。
2)圧縮強度(材齢3日)が、好ましくは35N/mm以上、より好ましくは40N/mm以上、さらに好ましくは43N/mm以上、特に好ましくは45N/mm以上である。
3)膨張率(1日)が、0.00%より大きい、さらに好ましくは+0.01%より大きい、より好ましくは+0.05%より大きい、特に好ましくは+0.10%より大きい範囲である。
本発明で用いる水硬性組成物は、水硬性成分と細骨材と流動化剤と膨張剤とを必須成分とする、土木建築工事に使用されるグラウト用の水硬性組成物であって、水との混練操作によって速やかに良好なスラリー状態が得られ、流動性に優れ、材料分離抵抗性が高い水硬性モルタル(スラリー)を安定して調製することができる。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法は、前記の速やかに混練されて安定した流動性状を示す水硬性組成物と、水とを、強力な混練力が得られる混練装置(ミキサー)を使用して連続的に混練し、水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製してリザーバータンクに一旦収容する。さらに、強力な上下対流を発生させる螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機を用いて、該スラリーを強制攪拌条件下で所定時間攪拌養生することによって、材料分離を生じさせることなくスラリー状態が極めて安定化した水硬性モルタル(スラリー)を調製することが、スラリーポンプを用いて離れた施工場所に連続的に水硬性モルタル(スラリー)を供給した際にも、圧送過程での材料分離を生じさせることなく、安定して施工箇所へ供給・打設することができ、高い施工効率と優れた施工品質を提供するものである。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法は、トンネルやシールドの裏込め、ダムの継ぎ目、橋梁のシュウ、構造物の補修や補強、鉄筋継手、機械基礎の固定、下水道の補修等、土木・建築分野の各種グラウト工事において、高流動性、無収縮性及び高強度といった性能を安定して提供できることからその利用価値は大きい。
特に、大規模な現場で大量のグラウチングを行うような場合に、連続的に水硬性モルタル(スラリー)を調製して、連続的に施工箇所へ供給・打設施工する場合に、その性能を大いに発揮するものである。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(特性の評価方法)
1)J14ロート流下値(秒):
土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993)に準拠して、グラウトスラリーのJ14ロート法による流下値を示す。
2)圧縮強度(N/mm):
温度20℃、湿度65%の条件で混練したグラウトスラリーを用い、温度20℃、湿度95%の条件で硬化させ、翌日脱型後、20℃の水中で養生した試験体φ5×10cmを用い、JIS・A−1108に準拠して評価を行う。
3)加圧ブリージング試験:
温度20℃、湿度65%の条件下、混練条件Aで混練した水硬性モルタル(スラリー)を用い、内径125mm、内高200mmの試験容器を用いて試験を行う。
ジャッキ圧力を1.0N/mmに設定した以外は、土木学会加圧ブリージング試験方法(JSCE・F502-1999)に準拠して評価を行う。
4)ポンプ圧送性:
ミキサー装置の排出ポンプ出口に、内径32mmで長さ50m、75m又は100mのスラリーホースを接続して、ホース筒先より吐出されるスラリーの材料分離状態および閉塞の有無で評価を行う。
ポンプは、モーノポンプ、型番:2NM50(兵神装備社製)を用いて行う。
スラリーの圧送性の評価指標は、○:ホース筒先より吐出されるスラリーの材料分離無し、△:ホース筒先より吐出されるスラリーの材料分離有り、×:閉塞とする。
5)混練条件A:
20℃において2Lポリ容器に16質量部の水を入れ(参考例1〜4の場合は16.4質量部)、図6に示すタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機(新東科学社製、品番:スリーワンモータBL600)を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物(粉体1500g)を全量投入後、780rpmで所定時間(1分間、2分間、4分間又は6分間)混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製することを混練条件Aとする。
原料は以下のものを使用した。
1)水硬性成分:
・ポルトランドセメント(宇部早強セメント、ブレーン比表面積4500cm/g)。
比表面積の評価法は、JIS・R−5201に規定されているブレーン空気透過装置を用いて測定されたものである。
2)細骨材:
細骨材(1)は、珪砂A〜Cを混合して調製する。
・珪砂A : SS5A、宇部サンド工業社製。
・珪砂B : S6、宇部サンド工業社製。
・珪砂C : S7、宇部サンド工業社製。
細骨材(2)は、珪砂D〜Fを混合して調製する。
・珪砂D : 川鉄4号、川鉄鉱業社製。
・珪砂E : N50、瓢屋社製。
・珪砂F : N70、瓢屋社製。
篩を使用して測定した珪砂A〜Fの粒度構成を表5に示す。
また、比較例1で使用した細骨材(珪砂Aと珪砂Bの混合物)、実験1、2で使用した細骨材(珪砂Aと珪砂Bと珪砂Cの混合物)、実施例1で使用した細骨材(珪砂D、珪砂E及び珪砂Fの混合物)の粒度構成を図7及び表6に示す。
3)膨張材:
・無機系膨張材:アサノジブカル(太平洋セメント社製)。
・金属系膨張材:アルミニウム粉(粒度44μm以下60%以上、大和金属粉工業社製)。
4)減水剤:
・流動化剤a: 変性ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラクスAP101F(BASFコンストラクションシステムズ社製)。
・流動化剤b: ナフタレンスルフォン酸系流動化剤、マイティ100(花王社製)。
・流動化剤c: ポリカルボン酸系流動化剤、マイティ21P(花王社製)。
・流動化剤d: ポリエーテル・ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラスクVP2651(BASFコンストラクションシステムズ社製)。
・流動化剤e: ポリエーテル・ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラスクVP2641(BASFコンストラクションシステムズ社製)。
5)増粘剤: メチルセルロース系増粘剤、ハイユーローズ(宇部興産株式会社製)。
(比較例1、実験1〜2、実施例1、参考例1〜4)
表1に示す配合割合で水硬性組成物と水とを混練条件Aにしたがって混練し、780rpmで1分間混練したスラリー、2分間混練したスラリー、4分間混練したスラリー及び6分間混練したスラリーの4種類の水硬性モルタル(スラリー)を調製し、J14ロート流下値(秒)を測定した。水硬性組成物を混練条件Aで2分間混練して調整したスラリーを硬化させた水硬性モルタル(スラリー)硬化体について圧縮強度を測定した。J14ロート流下値(秒)及び圧縮強度の測定結果を表2に示す。
比較例1、実験1〜2及び実施例1の水硬性組成物を用いて、混練条件Aで2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)について、加圧ブリージング試験を行った結果を表3及び図8に示す。
(比較例2、実験3〜4、実施例2〜3)
比較例1、実験1〜2及び実施例1の水硬性組成物を用いて、表4に示す混練条件で、水硬性組成物と所定量の水とをミキサー装置を備えたスラリー製造・供給装置(図1a(実施例1)、図1b(実施例2)、図2(比較例1、実験1〜2)に供給して連続的に混練し、水硬性モルタル(スラリー)を連続製造してスラリーを一旦リザーバータンクに収容した。
比較例2及び実験3〜4の場合、水硬性モルタル(スラリー)は、図2に示すリザーバータンク中で約2分間、緩やかな攪拌状態で保持した後、スラリー製造設備の吐出ポンプ(スラリーポンプ)を用いて吐出した。
また、実施例2と実施例3の場合、水硬性モルタル(スラリー)は、それぞれ図1(a)、図1(b)に示すリザーバータンク中で約2分間、螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって強制攪拌条件下に保持した後、スラリー製造設備の吐出ポンプ(スラリーポンプ)を用いて吐出した。
スラリー製造設備の吐出ポンプ(スラリーポンプ)から吐出した水硬性モルタル(スラリー)は、ポンプから吐出直後を0mとし、ポンプに接続した内径が32mmで長さが50m、75m及び100mのスラリーホースの筒先より吐出させてポンプ圧送性を評価した。また、連続製造してリザーバータンクに収容したスラリーと、吐出ポンプ(スラリーポンプ)を用いて、ポンプからの吐出直後を0mとし、50m、75m及び100mのスラリーホースの筒先より吐出させてスラリーについて、J14ロート流下値(秒)を測定した。
スラリー中に含まれる水分量は、リザーバに収容したスラリーを一部取り出して電子レンジ法により測定した。
ポンプ圧送性の評価結果およびJ14ロート流下値の測定結果を表4に示す。
なお、水硬性モルタル(スラリー)の連続混練に用いたスラリー製造・供給装置のミキサー(混練装置)の仕様、及び、水硬性モルタル(スラリー)の連続製造時の条件は表5に示すとおりである。
Figure 0004985233
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(1)変性ポリカルボン酸系流動化剤と、所定量の微粒分を含む細骨材(図7)とを併せて用いた実験1〜2及び実施例1の場合、表2に示すように、混練条件Aで1分間混練して調製したスラリーと、2分間から6分間混練して調製したスラリーとのJ14ロート流下値の比率が0.80〜0.86と比較的混練度が高い数値で安定しており、
さらに、混練条件Aで2分間混練して調製したスラリーと、4分間及び6分間混練して調製したスラリーとのJ14ロート流下値の比率においては、0.93〜0.99とより混練度が高い数値が得られ、
極めて速やかに良好な混練状態の水硬性モルタル(スラリー)が得られている。
また、表3に示すように、実験1〜実験2及び実施例1は、加圧条件下での脱水量が比較例1と対比して低い数値を示している。(図8)
(2)変性ポリカルボン酸系流動化剤と、微粒分を含まない細骨材(図7)とを用いた比較例1の場合については、表2に示すように、極めて速やかに良好な混練状態の水硬性モルタル(スラリー)が得られたが、表3に示すように、加圧条件下での脱水量が多かった。(図8)
(3)比較例1及び実験1の水硬性組成物を用いて、気温23℃の温度条件で水硬性モルタル(スラリー)の製造・供給装置(図2)による実機評価(流動性評価、圧送性評価)を行った比較例2及び実験3では、表4に示すように比較例2の場合、ポンプ圧送距離が75mの時点でスラリーホースが閉塞したのに対して、実験1では圧送距離100m時点まで可能であり、さらに水硬性モルタル(スラリー)の流動性もJ14ロート流下値が12秒以下と良好な数値が得られた。実験3の場合、細骨材中に含まれる微粒分がペースト粘度を増大させ、ペーストと細骨材の分離抵抗性を高めた結果、圧送過程でのホースの閉塞現象を回避できたものと推察される。
実験1の水硬性組成物を用いて、気温13℃の温度条件で水硬性モルタル(スラリー)の製造・供給装置(図2)による実機評価(流動性評価、圧送性評価)を行った実験4の場合、表4に示すようにポンプ圧送性においては実験3の場合と同様に100mの圧送が可能であったが、リザーバー内及びポンプ吐出直後(0mホース筒先)のJ14ロート流下値が12秒以上と大きな数値を示した。これは低温条件下での混練では、水の粘性が高くなって混練性が低下するとともに、流動化剤の溶解速度が遅くなり、水硬性組成物と水との混練によるスラリーの均質化が遅れたことによるものと推察される。
(4)実施例1の水硬性組成物を用いて、気温15℃または気温12℃の温度条件で、水硬性モルタル(スラリー)の製造・供給装置(図1aまたは図1b)を使用した実機評価(流動性評価、圧送性評価)を行った実施例2および実施例3場合、表4に示すように流動性の指標であるJ14ロート流下値は12秒以下で安定した数値を示し、ポンプ圧送性においても圧送距離100m時点でも良好な吐出性が得られた。これは、リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を、高攪拌力が得られる螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を用いて所定時間強制攪拌養生したことにより、低温条件下での水の粘性が高くなる影響と、流動化剤の溶解速度の遅延の影響とを解消して、短時間に必要充分な混練状態が得られた結果、流動性が安定化したものと推察される。
また、実施例2と実施例3とを比較した場合、より低温条件で試験評価を行っているにもかかわらず、実施例3の方が優れた流動性(J14ロート流下値)を示した。これは、リザーバータンクの螺旋状攪拌板(図1b22)と移送スクリュー(図1b23)との間隙にセパレートプレートを設けて、ミキサーからリザーバータンクへ供給された混練直後の水硬性モルタル(スラリー)の一部が、移送スクリュー部へショートカットするのを防止できたことによるものと考えられる。
本発明(実施例)で用いるスラリー製造・供給装置の構成の一例を説明するための模式断面図である。(図1a:螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を設置、図1b:螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根およびセパレートプレートを設置) 比較例と実験3〜4で用いるスラリー製造・供給装置の構成の一例を説明するための模式断面図である。 本発明で用いる混練スクリューの全体構成を示す図である。 本発明で用いる螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根の全体構成を示す図である。 水硬性組成物を貯蔵するタンク及びスラリー製造・供給装置を搭載した水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラックの全体構成を示す模式図である。 混練条件Aで水硬性モルタル(スラリー)を調製する場合に使用するタービン羽根を示す模式図である。 細骨材の粒度構成を示す図である。(比較例1、実験1〜2、実施例1で使用した細骨材の粒度構成) 水硬性モルタル(スラリー)の加圧ブリージング試験結果(脱水量)を示す図である。
符号の説明
10:混練スクリュー
11:スラリー製造・供給装置
12:水硬性組成物
13:ホッパー
14:ホッパースクリュー
15:給水口
16:混練装置(ミキサー)
17:水
18:モルタル(スラリー)排出口
19:水硬性モルタル(スラリー)
20:リザーバータンク
21:水硬性モルタル(スラリー)
22:スターラースクリュー(螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根)
23:移送スクリュー
24:スネークポンプ(スラリーポンプ)
25:水硬性モルタル(スラリー)
26、27:モーター
28:動力伝達ベルト
29:セパレートプレート(スラリーの収容部と移送部とを部分的に分離)
30:スターラースクリュー(スネッキ攪拌羽根)
31:水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック
32:水硬性組成物の供給口
33:水硬性組成物タンク
34:水硬性モルタル(スラリー)
35:混練装置(ミキサー)
36:ホッパー
37:水硬性組成物
38:スクリューフィーダー
39:水タンク
40:水供給ポンプ
41:水供給パイプ
42:螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根
43:水硬性モルタル(スラリー)タンク(リザーバータンク)
44:スラリーポンプ
45:スラリーホース

Claims (9)

  1. 水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
    水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生され、
    前記水硬性組成物は、水硬性成分と細骨材と流動化剤と膨張材とを含み、
    前記水硬性成分は、ポルトランドセメントを含み、
    前記細骨材は、細骨材100質量%中に、30μm以上〜150μm未満の粒子を5〜30質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を25〜55質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を25〜60質量%含み、
    前記流動化剤は、変性ポリカルボン酸系流動化剤であり、前記流動化剤の使用量は、水硬性成分100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲であり、
    前記膨張材は金属系膨張材及び無機系膨張材を併用して用い、水硬性成分100質量部に対して、前記金属系膨張剤の添加量は0.0002〜0.01質量部の範囲であり、前記無機系膨張材の添加量は1〜30質量部の範囲であり、
    前記複合攪拌羽根の前記螺旋状攪拌板は前記攪拌軸の周囲に螺旋状に配置され、前記複合攪拌羽根の前記パドル型攪拌板は隣り合った前記螺旋状攪拌板の間において傾斜角を持って軸対称の位置になるように前記攪拌軸に配置されている、ことを特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  2. 水硬性組成物を貯蔵するタンクと、該水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラックを用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
    水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生され、
    前記水硬性組成物は、水硬性成分と細骨材と流動化剤と膨張材とを含み、
    前記水硬性成分は、ポルトランドセメントを含み、
    前記細骨材は、細骨材100質量%中に、30μm以上〜150μm未満の粒子を5〜30質量%含み、150μm以上〜600μm未満の粒子を25〜55質量%含み、600μm以上〜2000μm未満の粒子を25〜60質量%含み、
    前記流動化剤は、変性ポリカルボン酸系流動化剤であり、前記流動化剤の使用量は、水硬性成分100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲であり、
    前記膨張材は金属系膨張材及び無機系膨張材を併用して用い、水硬性成分100質量部に対して、前記金属系膨張剤の添加量は0.0002〜0.01質量部の範囲であり、前記無機系膨張材の添加量は1〜30質量部の範囲であり、
    前記複合攪拌羽根の前記螺旋状攪拌板は前記攪拌軸の周囲に螺旋状に配置され、前記複合攪拌羽根の前記パドル型攪拌板は隣り合った前記螺旋状攪拌板の間において傾斜角を持って軸対称の位置になるように前記攪拌軸に配置されている、ことを特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  3. 複合攪拌羽根が内接する円筒の内径(直径)は、100mm〜180mmであり、攪拌軸方向の複合攪拌羽根の長さは、300mm〜1200mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  4. 水硬性モルタル(スラリー)は、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送されて打設・施工され、前記のスラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  5. 水硬性組成物を混練条件Aの条件で1分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Zと、2分間、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Y、X、Wとの比率が、Y/Z、X/ZおよびW/Z=0.75〜1.00の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
    (1)混練条件A : 20℃において2Lポリ容器に水16質量部を入れ、タービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物100質量部を全量投入後(粉体1500g)、780rpmで所定時間混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製すること。
    (2)Jロート流下時間がZ : 混練条件Aの条件で1分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間。
    (3)Jロート流下時間がY : 混練条件Aの条件で2分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間。
    (4)Jロート流下時間がX : 混練条件Aの条件で4分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間。
    (5)Jロート流下時間がW : 混練条件Aの条件で6分間混練された水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間。
  6. 水硬性組成物を混練条件Aの条件で2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間Yと、4分間または6分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)のJロート流下時間X、Wとの比率が、好ましくはX/YおよびW/Y=0.90〜1.02の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  7. 水硬性組成物と水とを混練条件Aで2分間混練して調製した水硬性モルタル(スラリー)の加圧ブリージング試験(1分加圧時)の脱水量が2〜18mlであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  8. 水硬性組成物は、土木建築用のグラウト材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法によって得られる水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体。
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