JP2013170607A - 変速指示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力伝達系に電動機を備えた車両において、電動機の過熱を回避することが可能な変速指示装置を提供する。
【解決手段】シーケンシャルシフトモードを有する電気式無段変速機構を搭載したハイブリッド車両において、第2モータジェネレータの温度が所定温度まで上昇した場合(ステップST23でYES判定された場合)には、変速指示装置のシフトアップランプを点灯し(ステップST25)、運転者に対してシフトアップ操作を指示する。この指示にしたがってシフトアップ操作が行われることで、エンジン回転速度および第1モータジェネレータ回転速度が共に低下し、第2モータジェネレータの過熱を回避することができる。
【選択図】図10

Description

本発明は、運転者(ドライバ)による手動変速が可能な変速部を備えた車両に適用され、運転者に対して変速指示を行う変速指示装置の改良に係る。特に、本発明は、動力伝達系に電動機(モータ)を備えた車両における変速指示の改良に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1および特許文献2に開示されているように、手動変速機(マニュアルトランスミッション)を搭載した車両において、走行中のエンジン負荷や車速などから求まる適正な変速段(例えば燃料消費率を改善できる変速段)に対し、それとは異なる変速段が選択されている場合に、適正な変速段に向けての変速操作を行うべきことを運転者に指示する変速指示装置(一般に、ギヤシフトインジケータ(GSI)と呼ばれている)が知られている。
この種の変速指示装置は、一般的な手動変速機を搭載した車両に限らず、下記の特許文献3に開示されているようなシーケンシャルシフトモードを有する電気式無段変速機構を備えたハイブリッド車両や、シーケンシャルシフトモードを有する電気自動車等にも適用が可能である。
以下、ハイブリッド車両に変速指示装置を適用した場合の一例について説明する。
先ず、このハイブリッド車両は、エンジンと、このエンジンの出力により発電された電力やバッテリ(蓄電装置)に蓄えられた電力により駆動する電動機(例えば、モータジェネレータまたはモータ)とを備え、それらエンジンおよび電動機のいずれか一方または双方を駆動力源として走行することが可能である。
そして、この種のハイブリッド車両に上記変速指示装置を適用した場合、上記シーケンシャルシフトモードでの走行中に、エンジン負荷や車速などから求まる適正な変速段(例えば、燃料消費率を最適化できる推奨変速段)に対し、それとは異なる変速段が選択されている場合に、運転者に推奨変速段への変速操作(シフトアップ操作またはシフトダウン操作)を促す変速指示(変速案内)が行われることになる。そして、この変速指示にしたがって運転者によるシフトレバーの操作(シフトアップ操作またはシフトダウン操作)が行われると、エンジンの回転速度が調整可能な電動機(特許文献3の場合にはモータジェネレータMG1)を制御し、その操作変速段での変速比(変速機出力軸回転速度に対するエンジン回転速度の比である変速比)を実現するべく目標エンジン回転速度が調整される。
特開2007−315535号公報 特開2007−315536号公報 特開2010−13001号公報 特開2004−257511号公報
ところで、上述したハイブリッド車両や電気自動車において電動機が過熱する状況になると、この電動機の性能低下を招き、運転者が要求する動力が得られなくなってしまう可能性がある。例えば、電動機に対する負荷が大きく、電動機の発熱量が多い場合や、ハイブリッド車両において内燃機関の発熱量が多く、電動機の収容空間の雰囲気温度が高い場合等である。
なお、上記特許文献4には、ハイブリッド車両において、インバータに対して予測される温度状態が温度上昇領域である場合には、変速機を高段側へ切り替える変速動作の実行を運転者に促すことが開示されている。しかしながら、この特許文献4にあっては、電動機自体の温度上昇に関する対策については何ら考慮されておらず、上述した如く、電動機が過熱する状況になった場合の電動機の性能低下に対しては解決できるものとはなっていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、動力伝達系に電動機を備えた車両において、電動機の過熱を回避することが可能な変速指示装置を提供することにある。
−発明の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、電動機の温度が上昇する状況であって、その温度が所定温度に達した場合や、所定温度に達する可能性がある場合には、運転者に対してシフトアップ操作の指示を実行し、そのシフトアップに伴う電動機の回転速度の低下など(ハイブリッド車両の場合にはエンジン回転速度の低下も行われる)により、電動機の温度が上記所定温度を超えてしまうことがないようにして、過熱による電動機への悪影響を防止するようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、駆動輪に動力を伝達する動力伝達系に電動機および手動変速可能な変速部を備えた車両に適用され、上記変速部の手動による変速操作を促す変速指示装置を前提とする。この変速指示装置に対し、上記電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときには、非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する構成としている。
具体的には、上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、上記変速部の変速比を小さくする側への変速操作を促す変速指示を実行することにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減る構成としている。
上記電動機の温度が所定温度まで上昇すると、電動機の性能低下を招いてしまう可能性がある。このため、電動機の温度が所定温度まで上昇した際、または、電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測される際には、変速部の変速比を小さくする側への変速操作を促す変速指示(シフトアップ指示)を実行する。そして、運転者が、その変速指示にしたがった変速操作を行えば、電動機の回転数が低下したり、駆動力源として内燃機関を備えたものにあっては内燃機関の回転速度が低下したりすることにより、電動機の温度上昇を抑えることが可能になる(電動機自体の発熱量が低下したり、内燃機関からの受熱量が低下したりすることで、電動機の温度上昇を抑えることが可能になる)。これにより電動機の性能が高く維持され、運転者が要求する性能を十分に確保することが可能となる。また、変速部の変速比を小さくする側への変速操作を促す変速指示(シフトアップ指示)を実行することで、運転者が、変速部の変速比を大きくする側への変速操作(シフトダウン操作)を行ってしまうことが抑制でき、この変速操作が行われることによる電動機の温度上昇を抑えることも可能になる。
また、運転者が、変速部の変速比を大きくする側への変速操作(シフトダウン操作)を行うことで電動機の温度上昇が生じてしまうことを抑制する構成として以下のものが挙げられる。つまり、上記変速部の実変速段と推奨変速段とが異なっている場合に、運転者に対し推奨変速段への変速を促す変速指示を行うようになっており、上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、上記変速部の実変速段が、推奨変速段に対して変速比が小さい変速段であっても、上記変速部の変速比を大きくする側への変速操作を促す変速指示を非実行とすることにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減る構成としている。
つまり、通常(電動機の温度が所定温度まで上昇していない場合)の変速指示動作にあっては、運転者に対し推奨変速段への変速を促す変速指示を行う。つまり、変速部の実変速段が、推奨変速段に対して変速比が小さい変速段である際には、変速部の変速比を大きくする側への変速操作を促す変速指示を実行する。これに対し、電動機の温度が所定温度まで上昇した際、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測される際にあっては、変速部の変速比を大きくする側への変速操作を促す変速指示を非実行とする。このように、変速部の変速比を大きくする側への変速操作を促す変速指示の実行と非実行とを、電動機の温度条件に応じて切り換えるようにしている。これにより、運転者が、変速部の変速比を大きくする側への変速操作(シフトダウン操作)を行うことで電動機の温度上昇が生じてしまうことを抑制することが可能になり、電動機の性能を高く維持できる。
加えて、上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、運転者による変速部の変速比を大きくする側への変速操作を無効にすることにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るようにすることが好ましい。
これによれば、電動機の温度が所定温度まで上昇した際や、電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測される際に、変速部の変速比が大きくなることを回避でき、電動機の温度上昇を確実に防止することができる。
上記変速部として具体的には、自動変速モードおよび手動変速モードでの変速が可能となっているとともに、変速比を無段階に切り換え可能となっており、上記手動変速モードでは、上記変速部で設定される変速比が複数段階に切り換えられる構成としている。
なお、ここでいう手動変速モードとは、例えばシフトレバーがシーケンシャル(S)位置に操作されている場合である。さらに、レンジ位置として「2(2nd)」「3(3rd)」等を備えている場合には、これら「2(2nd)」や「3(3rd)」のレンジ位置にシフトレバーが操作されている場合も手動変速モードとなる。
また、車両が、走行用の駆動力源として内燃機関を備えたハイブリッド車両である場合に、上記動力伝達系には、上記内燃機関の出力軸が連結されるプラネタリキャリアと、第1の電動機が連結されるサンギヤと、第2の電動機が連結されるリングギヤとを備えた遊星歯車機構により構成される動力分割機構が備えられ、上記第1の電動機を制御することによって内燃機関の回転速度を変更することで動力伝達系における変速比が変更可能な構成とされている。
このようなハイブリッド車両においては、第1の電動機および第2の電動機の何れの温度上昇に対しても本発明を適用することが可能である。具体的には、上記第2電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときに、第2電動機が非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更するものである。
また、上記第1電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときに、第1電動機が非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更するものである。
さらには、上記第1電動機が高温状態となったこと、または、第1電動機が高温状態へと至ることが予測されることの第1条件と、上記第2電動機が高温状態となったこと、または、第2電動機が高温状態へと至ることが予測されることの第2条件とのうち、少なくとも一方の条件が成立したときに、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更するものである。
本発明では、電動機が高温状態となる状況では、変速部の低速側変速段の使用頻度が減るようにしている。これにより、電動機の回転数が低下するなどして、電動機の温度上昇を抑えることが可能になり、その結果、電動機の性能を高く維持することが可能となる。
実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成を示す図である。 ハイブリッド車両の制御系の概略構成を示すブロック図である。 ハイブリッド車両の基本制御の手順を示すフローチャート図である。 要求駆動力設定マップの一例を示す図である。 目標エンジン回転速度設定マップの一例を示す図である。 目標変速段設定マップの一例を示す図である。 車速および変速段に応じて得られるエンジンブレーキの特性を示す図である。 コンビネーションメータを示す図である。 シフトアップランプおよびシフトダウンランプの点灯状態を示す図であって、図9(a)はシフトアップ指示時を、図9(b)はシフトダウン指示時をそれぞれ示す図である。 第1実施形態における変速段指示制御の手順を示すフローチャート図である。 シフトアップに伴う第1モータジェネレータおよびエンジンそれぞれの回転速度の変化を説明するための共線図であって、図11(a)はシフトアップ前の状態を、図11(b)はシフトアップ後の状態をそれぞれ示す図である。 第2実施形態における変速段指示制御の手順を示すフローチャート図である。 第3実施形態に係る車両のパワートレーンのスケルトン図である。 第3実施形態に係る車両の自動変速機における各クラッチ、各ブレーキおよび各ワンウェイクラッチの変速段毎の係合状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。本実施形態では、2つのモータジェネレータを備えたFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。
図1は本実施形態に係るハイブリッド車両1の概略構成を示す図である。この図1に示すように、ハイブリッド車両1は、前輪(駆動輪)6a,6bに駆動力を与えるための駆動系として、エンジン2と、エンジン2の出力軸としてのクランクシャフト2aにダンパ2bを介して接続された3軸式の動力分割機構3と、この動力分割機構3に接続された発電可能な第1モータジェネレータMG1と、動力分割機構3に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸3eにリダクション機構7を介して接続された第2モータジェネレータMG2とを備えている。これらクランクシャフト2a、動力分割機構3、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、リダクション機構7およびリングギヤ軸3eによって本発明でいう動力伝達系が構成されている。
また、上記リングギヤ軸3eは、ギヤ機構4および前輪用のデファレンシャルギヤ5を介して前輪6a,6bに接続されている。
また、このハイブリッド車両1は、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)という)10を備えている。
−エンジンおよびエンジンECU−
エンジン2は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン2の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)11によって、燃料噴射制御、点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御が行われる。
エンジンECU11は、ハイブリッドECU10と通信を行っており、このハイブリッドECU10からの制御信号に基づいてエンジン2を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU10に出力する。なお、エンジンECU11は、クランクポジションセンサ56や水温センサ57等が接続されている。クランクポジションセンサ56は、クランクシャフト2aが一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。このクランクポジションセンサ56からの出力信号に基づいてエンジンECU11はエンジン回転速度Neを算出する。また、水温センサ57はエンジン2の冷却水温度に応じた検出信号を出力する。
−動力分割機構−
動力分割機構3は、図1に示すように、外歯歯車のサンギヤ3aと、このサンギヤ3aと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ3bと、サンギヤ3aに噛み合うとともにリングギヤ3bに噛み合う複数のピニオンギヤ3cと、これら複数のピニオンギヤ3cを自転かつ公転自在に保持するプラネタリキャリア3dとを備え、サンギヤ3aとリングギヤ3bとプラネタリキャリア3dとを回転要素とし差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。この動力分割機構3では、プラネタリキャリア3dにエンジン2のクランクシャフト2aが連結されている。また、サンギヤ3aに第1モータジェネレータMG1のロータ(回転子)が連結されている。さらに、リングギヤ3bに上記リングギヤ軸3eを介して上記リダクション機構7が連結されている。
そして、このような構成の動力分割機構3において、プラネタリキャリア3dに入力されるエンジン2の出力トルクに対して、第1モータジェネレータMG1による反力トルクがサンギヤ3aに入力されると、出力要素であるリングギヤ3bには、エンジン2から入力されたトルクより大きいトルクが現れる。この場合、第1モータジェネレータMG1は発電機として機能する。第1モータジェネレータMG1が発電機として機能するときには、プラネタリキャリア3dから入力されるエンジン2の動力が、サンギヤ3a側とリングギヤ3b側とにそのギヤ比に応じて分配される。
一方、エンジン2の始動要求時にあっては、第1モータジェネレータMG1が電動機(スタータモータ)として機能し、この第1モータジェネレータMG1の動力がサンギヤ3aおよびプラネタリキャリア3dを介してクランクシャフト2aに与えられてエンジン2がクランキングされる。
また、動力分割機構3において、リングギヤ3bの回転速度(出力軸回転速度)が一定であるときに、第1モータジェネレータMG1の回転速度を上下に変化させることにより、エンジン2の回転速度を連続的に(無段階に)変化させることができる。つまり、動力分割機構3が変速部として機能する。
−リダクション機構−
上記リダクション機構7は、図1に示すように、外歯歯車のサンギヤ7aと、このサンギヤ7aと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ7bと、サンギヤ7aに噛み合うとともにリングギヤ7bに噛み合う複数のピニオンギヤ7cと、これら複数のピニオンギヤ7cを自転自在に保持するプラネタリキャリア7dとを備えている。このリダクション機構7では、プラネタリキャリア7dがトランスミッションケースに固定されている。また、サンギヤ7aが第2モータジェネレータMG2のロータ(回転子)に連結されている。さらに、リングギヤ7bが上記リングギヤ軸3eに連結されている。
−パワースイッチ−
ハイブリッド車両1には、ハイブリッドシステムの起動と停止とを切り換えるためのパワースイッチ51(図2参照)が設けられている。このパワースイッチ51は、例えば、跳ね返り式のプッシュスイッチあって、押圧操作される毎に、スイッチOnとスイッチOffとが交互に切り替わるようになっている。
ここで、ハイブリッドシステムとは、エンジン2およびモータジェネレータMG1,MG2を走行用の駆動力源とし、そのエンジン2の運転制御、モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御、エンジン2およびモータジェネレータMG1,MG2の協調制御などを含む各種制御を実行することによってハイブリッド車両1の走行を制御するシステムである。
パワースイッチ51は、運転者を含む搭乗者により操作された場合に、その操作に応じた信号(IG−On指令信号またはIG−Off指令信号)をハイブリッドECU10に出力する。ハイブリッドECU10は、パワースイッチ51から出力された信号などに基づいてハイブリッドシステムを起動または停止する。
具体的には、ハイブリッドECU10は、ハイブリッド車両1の停車中に、パワースイッチ51が操作された場合には、後述するPポジションで上記ハイブリッドシステムを起動する。これにより車両が走行可能な状態となる。なお、停車中のハイブリッドシステムの起動時には、Pポジションでハイブリッドシステムが起動されることから、アクセルオン状態であっても、駆動力が出力されることはない。車両が走行可能な状態とは、ハイブリッドECU10の指令信号により車両走行を制御できる状態であって、運転者がアクセルオンすれば、ハイブリッド車両1が発進・走行できる状態(Ready−On状態)のことである。なお、Ready−On状態には、エンジン2が停止状態で、第2モータジェネレータMG2でハイブリッド車両1の発進・走行が可能な状態(EV走行が可能な状態)も含まれる。
また、ハイブリッドECU10は、例えば、ハイブリッドシステムが起動中で、停車時にPポジションであるときに、パワースイッチ51が操作(例えば、短押し)された場合にはハイブリッドシステムを停止する。
−シフト操作装置および変速モード−
本実施形態のハイブリッド車両1には、図2に示すようなシフト操作装置9が設けられている。このシフト操作装置9は、運転席の近傍に配置され、変位操作可能なシフトレバー91が設けられている。また、シフト操作装置9には、パーキングポジション(Pポジション)、リバースポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、ドライブポジション(Dポジション)、および、シーケンシャルポジション(Sポジション)を有するシフトゲート9aが形成されており、運転者が所望のポジションへシフトレバー91を変位させることが可能となっている。シフトレバー91が、これらPポジション、Rポジション、Nポジション、Dポジション、Sポジション(下記の「+」ポジションおよび「−」ポジションも含む)の各ポジションのうちのいずれに位置しているかは、シフトポジションセンサ50によって検出される。
上記シフトレバー91が「Dポジション」に操作されている状態では、ハイブリッドシステムは「自動変速モード」とされ、エンジン2の動作点が後述する最適燃費動作ライン上となるように変速比が制御される電気式無段変速制御が行われる。
一方、上記シフトレバー91が「Sポジション」に操作されている状態では、ハイブリッドシステムは「手動変速モード(シーケンシャルシフトモード(Sモード))」とされる。このSポジションの前後には「+」ポジションおよび「−」ポジションが設けられている。「+」ポジションは、マニュアルシフトアップを行う際にシフトレバー91が操作されるポジションであり、「−」ポジションは、マニュアルシフトダウンを行う際にシフトレバー91が操作されるポジションである。そして、シフトレバー91がSポジションにあるときに、シフトレバー91がSポジションを中立位置として「+」ポジションまたは「−」ポジションに操作(手動による変速操作)されると、ハイブリッドシステムによって成立される擬似的な変速段(例えば第1モータジェネレータMG1の制御によってエンジン回転速度を調整することで成立される変速段)がアップまたはダウンされる。具体的には、「+」ポジションへの1回操作毎に変速段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→3rd→4th→5th→6th)される。一方、「−」ポジションへの1回操作毎に変速段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→4th→3rd→2nd→1st)される。なお、この手動変速モードにおいて選択可能な段数は「6段」に限定されることなく、他の段数(例えば「4段」や「8段」)であってもよい。
なお、上記手動変速モードの概念は、上述した如くシフトレバー91がSポジションにあるときに限らず、シフトゲート9a上のレンジ位置として「2(2nd)」や「3(3rd)」等を備えている場合に、これら「2(2nd)」や「3(3rd)」のレンジ位置にシフトレバー91が操作されている場合も含まれる。例えば、シフトレバー91がDポジションから「3(3rd)」レンジ位置に操作された場合には、自動変速モードから手動変速モードに切り換えられる。
また、運転席の前方に配設されているステアリングホイール9b(図2参照)には、パドルスイッチ9c,9dが設けられている。これらパドルスイッチ9c,9dはレバー形状とされ、手動変速モードにおいてシフトアップを要求する指令信号を出力するためのシフトアップ用パドルスイッチ9cと、シフトダウンを要求する指令信号を出力するためのシフトダウン用パドルスイッチ9dとを備えている。上記シフトアップ用パドルスイッチ9cには「+」の記号が、上記シフトダウン用パドルスイッチ9dには「−」の記号がそれぞれ付されている。そして、上記シフトレバー91が「Sポジション」に操作されて「手動変速モード」となっている場合には、シフトアップ用パドルスイッチ9cが操作(手前に引く操作)されると、1回操作毎に変速段が1段ずつアップされる。一方、シフトダウン用パドルスイッチ9dが操作(手前に引く操作)されると、1回操作毎に変速段が1段ずつダウンされる。
このように、本実施形態におけるハイブリッドシステムでは、シフトレバー91が「Dポジション」に操作されて「自動変速モード」になると、エンジン2が効率よく運転されるように駆動制御される。具体的には、エンジン2の運転動作点が、後述する最適燃費ライン上となるようにハイブリッドシステムが制御される。一方、シフトレバー91が「Sポジション」に操作されて「手動変速モード(Sモード)」になると、リングギヤ軸3eの回転速度に対するエンジン2の回転速度の比である変速比を、運転者の変速操作に応じて例えば6段階(1st〜6th)に変更することが可能となる。
−モータジェネレータおよびモータECU−
モータジェネレータMG1,MG2は、いずれも、発電機として駆動できるとともに電動機として駆動できる周知の同期発電電動機により構成されており、インバータ21,22および昇圧コンバータ23を介してバッテリ(蓄電装置)24との間で電力のやりとりを行う。各インバータ21,22、昇圧コンバータ23およびバッテリ24を互いに接続する電力ライン25は、各インバータ21,22が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ24は、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータジェネレータMG1,MG2により電力収支がバランスしている場合には、バッテリ24は充放電されない。
モータジェネレータMG1,MG2は、いずれも、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)13により駆動制御される。このモータECU13には、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータジェネレータMG1,MG2のロータ(回転軸)の各回転位置を検出するMG1回転速度センサ(レゾルバ)26およびMG2回転速度センサ27からの信号や電流センサにより検出されるモータジェネレータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されている。また、モータECU13からは、インバータ21,22へのスイッチング制御信号が出力されている。例えば、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかを発電機として駆動制御(例えば、第2モータジェネレータMG2を回生制御)したり、電動機として駆動制御(例えば、第2モータジェネレータMG2を力行制御)したりする。また、モータECU13は、ハイブリッドECU10と通信を行っており、このハイブリッドECU10からの制御信号にしたがって上述した如くモータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するとともに、必要に応じてモータジェネレータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU10に出力する。
−バッテリおよびバッテリECU−
バッテリ24は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)14によって管理されている。このバッテリECU14には、バッテリ24を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ24の端子間に設置された電圧センサ24aからの端子間電圧、バッテリ24の出力端子に接続された電力ライン25に取り付けられた電流センサ24bからの充放電電流、バッテリ24に取り付けられたバッテリ温度センサ24cからのバッテリ温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ24の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU10に出力する。
また、バッテリECU14は、バッテリ24を管理するために、電流センサ24bにて検出された充放電電流の積算値に基づいて電力の残容量SOC(State of Charge)を演算し、また、その演算した残容量SOCとバッテリ温度センサ24cにて検出されたバッテリ温度Tbとに基づいてバッテリ24を充放電してもよい最大許容電力である入力制限Win,出力制限Woutを演算する。なお、バッテリ24の入力制限Win,出力制限Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入力制限Win,出力制限Woutの基本値を設定し、バッテリ24の残容量SOCに基づいて入力制限用補正係数と出力制限用補正係数とを設定し、上記設定した入力制限Win,出力制限Woutの基本値に上記補正係数を乗じることにより設定することができる。
−ハイブリッドECUおよび制御系−
上記ハイブリッドECU10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)40、ROM(Read Only Memory)41、RAM(Random Access Memory)42およびバックアップRAM43などを備えている。ROM41は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU40は、ROM41に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。RAM42は、CPU40での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM43は、例えばIG−Off時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU40、ROM41、RAM42およびバックアップRAM43は、バス46を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース44および出力インターフェース45と接続されている。
入力インターフェース44には、上記シフトポジションセンサ50、上記パワースイッチ51、アクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するアクセル開度センサ52、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するブレーキペダルセンサ53、車体速度に応じた信号を出力する車速センサ54、上記第1モータジェネレータMG1の温度を検出するMG1温度センサ58、上記第2モータジェネレータMG2の温度を検出するMG2温度センサ59等が接続されている。
これにより、ハイブリッドECU10には、シフトポジションセンサ50からのシフトポジション信号、パワースイッチ51からのIG−On信号やIG−Off信号、アクセル開度センサ52からのアクセル開度信号、ブレーキペダルセンサ53からのブレーキペダルポジション信号、車速センサ54からの車速信号、MG1温度センサ58からの第1モータジェネレータ温度信号、MG2温度センサ59からの第2モータジェネレータ温度信号等が入力されるようになっている。なお、MG1温度センサ58およびMG2温度センサ59によって検出される各モータジェネレータ温度は、それぞれモータジェネレータMG1,MG2の外壁温度であってもよいし、内部温度であってもよい。
また、入力インターフェース44および出力インターフェース45には、上記エンジンECU11、モータECU13、バッテリECU14、後述するGSI(Gear Shift Indicator)−ECU16が接続されており、ハイブリッドECU10は、これらエンジンECU11、モータECU13、バッテリECU14およびGSI−ECU16との間で各種制御信号やデータの送受信を行っている。
−ハイブリッドシステムにおける駆動力の流れ−
このように構成されたハイブリッド車両1は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて、駆動輪6a,6bに出力すべきトルク(要求トルク)を計算し、この要求トルクに対応する要求駆動力により走行するように、エンジン2とモータジェネレータMG1,MG2とが運転制御される。具体的には、燃料消費量の削減を図るために、要求駆動力が比較的低い運転領域にあっては、第2モータジェネレータMG2を利用して上記要求駆動力が得られるようにする。一方、要求駆動力が比較的高い運転領域にあっては、第2モータジェネレータMG2を利用すると共に、エンジン2を駆動し、これら駆動力源(走行駆動力源)からの駆動力により、上記要求駆動力が得られるようにする。
より具体的には、車両の発進時や低速走行時等であってエンジン2の運転効率が低い場合には、第2モータジェネレータMG2のみにより走行(以下、「EV走行」ともいう)を行う。また、車室内に配置された走行モード選択スイッチによって運転者がEV走行モードを選択した場合にもEV走行を行う。
一方、通常走行(以下、HV走行ともいう)時には、例えば上記動力分割機構3によりエンジン2の動力を2経路に分け、その一方の動力で駆動輪6a,6bの直接駆動(直達トルクによる駆動)を行い、他方の動力で第1モータジェネレータMG1を駆動して発電を行う。このとき、第1モータジェネレータMG1の駆動により発生する電力で第2モータジェネレータMG2を駆動して駆動輪6a,6bの駆動補助を行う(電気パスによる駆動)。
このように、上記動力分割機構3が差動機構として機能し、その差動作用によりエンジン2からの動力の主部を駆動輪6a,6bに機械的に伝達し、そのエンジン2からの動力の残部を第1モータジェネレータMG1から第2モータジェネレータMG2への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される電気式無段変速機としての機能が発揮される。これにより、駆動輪6a,6b(リングギヤ軸3e)の回転速度およびトルクに依存することなく、エンジン回転速度およびエンジントルクを自由に操作することが可能となり、駆動輪6a,6bに要求される駆動力を得ながらも、燃料消費率が最適化されたエンジン2の運転状態を得ることが可能となる。
また、高速走行時には、さらにバッテリ24からの電力を第2モータジェネレータMG2に供給し、この第2モータジェネレータMG2の出力を増大させて駆動輪6a,6bに対して駆動力の追加(駆動力アシスト;力行)を行う。
さらに、減速時には、第2モータジェネレータMG2が発電機として機能して回生発電を行い、回収した電力をバッテリ24に蓄える。なお、バッテリ24の充電量(上記残容量;SOC)が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン2の出力を増加して第1モータジェネレータMG1による発電量を増やしてバッテリ24に対する充電量を増加する。また、低速走行時においても必要に応じてエンジン2の動力を増加する制御を行う場合もある。例えば、前述のようにバッテリ24の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン2の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合などである。
また、本実施形態のハイブリッド車両1においては、車両の運転状態やバッテリ24の状態によって、燃費を向上させるために、エンジン2を停止させる。そして、その後も、ハイブリッド車両1の運転状態やバッテリ24の状態を検知して、エンジン2を再始動させる。このように、ハイブリッド車両1においては、パワースイッチ51がON位置であってもエンジン2は間欠運転(エンジン停止と再始動とを繰り返す運転)される。
なお、本実施形態において、エンジン間欠運転は、例えば、Sモード時の変速段がエンジン間欠運転許可段以上である場合に許可(エンジン間欠許可)され、Sモード時の変速段が上記エンジン間欠運転許可段よりも低い場合に禁止(エンジン間欠禁止)される。
−ハイブリッド車両の基本制御−
次に、上述の如く構成されたハイブリッド車両1の基本制御について説明する。
図3は、ハイブリッド車両1の基本制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、ハイブリッドECU10において所定時間(例えば数msec)毎に繰り返し実行される。
ステップST1において、アクセル開度センサ52からの出力信号により求められるアクセル開度Acc、車速センサ54からの出力信号により求められる車速V(リングギヤ軸3eの回転速度に相関がある)、前回ルーチンにおけるシーケンシャル変速段(前回ルーチンが手動変速モードであった場合に、その前回ルーチンにおいて認識されていた変速段)Ylastの取得を行う。
ステップST1における各種情報の取得後、ステップST2に進み、入力されたアクセル開度Accおよび車速Vに基づいて要求駆動力を設定する。本実施形態では、アクセル開度Accと車速Vと要求駆動力との関係が予め定められた要求駆動力設定マップがROM41に記憶されており、この要求駆動力設定マップが参照されて、アクセル開度Accおよび車速Vに対応した要求駆動力が抽出される。
図4に要求駆動力設定マップの一例を示す。この要求駆動力設定マップは、車速Vおよびアクセル開度Accをパラメータとして運転者が要求する駆動力を求めるためのマップであって、異なるアクセル開度Accに対応させて複数の特性ラインが規定されている。これら特性ラインのうち、最上段に示された特性ラインはアクセル開度Accが全開(Acc=100%)である場合に相当している。また、アクセル開度Accが全閉である場合に相当する特性ラインは、図中に「Acc=0%」で示されている。
この要求駆動力設定マップに基づいて要求駆動力を設定した後、ステップST3に進み、エンジン2に要求される要求パワーPeおよび目標エンジン回転速度Netrgを設定する。具体的には、上記ステップST2で設定された要求駆動力と、車速センサ54により検出された車速Vとに基づいて要求パワーPeを設定する。また、目標エンジン回転速度Netrgは、上記設定された要求パワーPeと、図5に示す目標エンジン回転速度設定マップ(目標エンジン回転速度Netrgを設定するためのマップ)とに基づいて設定される。具体体には、この目標エンジン回転速度設定マップ上に設定されているエンジン2の最適燃費動作ラインと要求パワーライン(等パワーライン;図中に二点鎖線で示す)とに基づいて目標エンジン回転速度Netrgを設定する。この最適燃費動作ラインは、通常走行用(HV走行用)運転動作点の設定制約として予め定められたエンジン2を効率よく動作させるための動作ラインである。このため、上記要求パワーPeを満たし且つエンジン2を効率よく動作させるためのエンジン2の運転動作点としては、この最適燃費動作ラインと、エンジン回転速度NeとトルクTeとの相関曲線である上記要求パワーラインとの交点(図中における点A)として求められることになる。図5に示すものの場合、目標エンジン回転速度はNetrg1として求められる。
このようにしてエンジン2の要求パワーPeおよび目標エンジン回転速度Netrgを設定した後、ステップST4に進み、目標変速段Xを設定する。具体的には、上記設定された要求駆動力(ステップST2)と、アクセル開度センサ52により検出されたアクセル開度Accと、車速センサ54により検出された車速Vと、図6に示す目標変速段設定マップとに基づいて目標変速段Xが設定される。この図6に示す目標変速段設定マップは、要求駆動力と車速Vとアクセル開度Accとをパラメータとし、これら要求駆動力、車速V、アクセル開度Accに応じて、適正な変速段(最適な燃費となる目標変速段(以下、「推奨変速段」という場合もある))を求めるための複数の領域(変速切替ラインにて区画された第1変速段(1st)から第6変速段(6th)までの領域)が設定されたマップであって、ハイブリッドECU10のROM41に記憶されている。
本実施形態における目標変速段設定マップにあっては、アクセルオン(Acc>0%)の状態では、要求駆動力が高いほど、また、車速が低いほど、Lowギヤ段(変速比が大きいギヤ段)が目標変速段Xとして設定される。
また、アクセルオフ(Acc=0%)の状態では、第1変速段(1st)から第4変速段(4th)の間では、要求駆動力が低いほど(負の要求駆動力が大きいほど)、また、車速が低いほど、Lowギヤ段(変速比が大きいギヤ段)が目標変速段Xとして設定される。また、第4変速段(4th)から第6変速段(6th)の間では、アクセルオフの状態での駆動力は互いに一致している。このため、アクセルオフの状態において、第1変速段(1st)から第4変速段(4th)の間では、選択される変速段が変化する度に駆動力が変化する。これに対し、第4変速段(4th)から第6変速段(6th)の間では、選択される変速段が変化しても駆動力は不変となる。
このため、アクセルオフ時に発生するエンジンブレーキトルク(駆動輪6a,6bに対して制動力として作用するトルク)の大きさとしては、図7に示すように、所定車速以上において、第1変速段(1st)から第4変速段(4th)の間ではLowギヤ段ほど大きくなるのに対し、第4変速段(4th)から第6変速段(6th)の間では略一定となる。
目標変速段Xを設定した後、ステップST5に進み、現在の走行モードが手動変速モード(Sモード)であるか否か、すなわち手動変速モードの実行中であるか否かを判定する。具体的には、シフトレバー91の位置をシフトポジションセンサ50によって検出し、その検出されたシフトレバー91の位置がSポジションであるか否かを判定するようにしている。
そして、手動変速モードではなくステップST5でNO判定された場合には、ステップST14に進み、前回ルーチンにおけるシーケンシャル変速段Ylastをクリアする。つまり、運転者の操作によりシフトレバー91がSポジション(「+」ポジションおよび「−」ポジションを含む)以外のポジションに操作された、または、Sポジション以外のポジションに操作されているとしてシーケンシャル変速段Ylastをクリアする。
その後、ステップST13に進み、目標エンジントルクTetrg、目標MG1回転速度(第1モータジェネレータMG1の目標回転速度;指令回転速度)Nm1trg、目標MG1トルク(第1モータジェネレータMG1の目標トルク;指令トルク)Tm1trg、目標MG2トルク(第2モータジェネレータMG2の目標トルク;指令トルク)Tm2trgを設定する。
ここでは、上記ステップST2において設定された要求駆動力と、上記ステップST3において設定された要求パワーPeおよび目標エンジン回転速度Netrgとに基づいて、目標エンジントルクTetrg、目標MG1回転速度Nm1trg、目標MG1トルクTm1trg、目標MG2トルクTm2trgを設定する。
具体的には、上記ステップST3で設定された要求パワーPeを目標エンジン回転速度Netrgで除することにより目標エンジントルクTetrgを設定する。また、上記設定した目標エンジン回転速度Netrgとリングギヤ軸3eの回転速度Nrと動力分割機構3のギヤ比ρ(サンギヤ3aの歯数/リングギヤ3bの歯数)とを用いて第1モータジェネレータMG1の目標回転速度である上記目標MG1回転速度Nm1trgを計算した上で、この計算した目標MG1回転速度Nm1trgと現在のMG1回転速度Nm1とに基づいて第1モータジェネレータMG1の目標トルクである上記目標MG1トルク(指令トルク)Tm1trgを設定する。さらに、バッテリ24の入出力制限Win,Woutと、上記目標MG1トルクTm1trgおよび現在の第1モータジェネレータMG1の回転速度Nm1の積として得られる第1モータジェネレータMG1の消費電力(発電電力)との偏差を第2モータジェネレータMG2の回転速度Nm2で除することにより第2モータジェネレータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算する。そして、上記目標エンジントルクTetrgと目標MG1トルクTm1trgと動力分割機構3のギヤ比ρとリダクション機構7のギヤ比Grとに基づいて第2モータジェネレータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを計算し、第2モータジェネレータMG2の指令トルクである目標MG2トルクTm2trgを、上記計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値として設定する。このようにして目標MG2トルクTm2trgを設定することにより、リングギヤ軸3eに出力するトルクが、バッテリ24の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定される。
以上の如く設定された目標エンジン回転速度Netrgおよび目標エンジントルクTetrgをエンジンECU11に出力し、また、上記設定された目標MG1回転速度Nm1trg、目標MG1トルクTm1trg、目標MG2トルクTm2trgをモータECU13に出力する。そして、エンジンECU11は、設定された目標エンジン回転速度Netrgおよび目標エンジントルクTetrgに基づいてエンジン2の運転制御を行う。また、モータECU13は、設定された目標MG1回転速度Nm1trg、目標MG1トルクTm1trgに基づいて第1モータジェネレータMG1を駆動制御し、設定された目標MG2トルクTm2trgに基づいて第2モータジェネレータMG2を駆動制御することになる。
一方、上記ステップST5の判定において、手動変速モードの実行中であってYES判定された場合には、ステップST6に進み、前回のシーケンシャル変速段Ylastが存在しているか否かを判定する。ここでは、前回のシーケンシャル変速段Ylastが存在しているか否かを判定することで、手動変速モードの開始時であるか、あるいは手動変速モードが継続中であるかを判定する。
前回のシーケンシャル変速段Ylastが存在しており、ステップST6でYES判定されると、ステップST7に進み、そのシーケンシャル変速段Ylastを現在のシーケンシャル変速段Yとして設定する。つまり、手動変速モードが継続中であると判定されたことで、前回ルーチンで設定されたシーケンシャル変速段Ylastを現在のシーケンシャル変速段Yとして設定する。
一方、前回のシーケンシャル変速段Ylastが存在しておらず、ステップST6でNO判定された場合には、ステップST8に進み、上記ステップST4で設定された目標変速段Xをシーケンシャル変速段Yとして設定する。つまり、手動変速モードが開始された直後である(例えばシフトレバー91がDポジションからSポジションへ操作された直後である)と判定されたことで、要求駆動力等に基づいて設定された目標変速段X(ステップST4で設定された目標変速段X)を手動変速モード開始時のシーケンシャル変速段Yとして設定する。
このようにしてシーケンシャル変速段Yが設定された後、ステップST9に進み、運転者による変速操作が行われたか否かを判定する。ここでは、運転者の操作によりSポジションに位置するシフトレバー91が「+」ポジションまたは「−」ポジションに向けて操作されたことや、シフトアップ用パドルスイッチ9cまたはシフトダウン用パドルスイッチ9dが操作されたことがシフトポジションセンサ50によって検出された場合にYES判定されることになる。
運転者による変速操作が行われ、ステップST9でYES判定されると、ステップST10に進んで、変速操作に基づいてシーケンシャル変速段Yを変更する。ここでは、運転者の操作によりSポジションに位置するシフトレバー91が「+」ポジションに操作された(またはシフトアップ用パドルスイッチ9cが操作された)とシフトポジションセンサ50が検出した場合には、シーケンシャル変速段Yを、現在設定されているシーケンシャル変速段Yに1段(1速)増加して設定する(Y=Y+1)。また、運転者の操作によりSポジションに位置するシフトレバー91が「−」ポジションに操作された(またはシフトダウン用パドルスイッチ9dが操作された)とシフトポジションセンサ50が検出した場合には、シーケンシャル変速段Yを、現在設定されているシーケンシャル変速段Yに1段(1速)減少して設定する(Y=Y−1)。このようにシーケンシャル変速段Yを変更した後、ステップST11に進む。なお、運転者による変速操作が行われず、ステップST9でNO判定された場合には、シーケンシャル変速段Yを変更することなくステップST11に進む。
ステップST11では、上記設定されたシーケンシャル変速段Yと、上記取得された車速Vとに基づいて目標エンジン回転速度Netrgを再設定する。ここでは、手動変速モードであると判定されたことにともなって、設定されたシーケンシャル変速段Y(変速が行われていない場合は前回のシーケンシャル変速段Y(=Ylast)、変速が行われている場合は変速後のシーケンシャル変速段Y(=Y±1))と、車速センサ54により取得された車速Vとに基づいて目標エンジン回転速度Netrgが設定される。例えば、上記変速段毎に変速比を予め設定しておき、シーケンシャル変速段Yと一致する変速段に対応する変速比と、取得された車速Vとに基づいて目標エンジン回転速度Netrgを設定するようにしている。
次に、ステップST12に進み、上記設定された目標エンジン回転速度Netrgに基づいて要求駆動力を再設定する。ここでは、手動変速モードであると判定されたことにともなって、上記設定されたシーケンシャル変速段Yに基づいて設定された目標エンジン回転速度Netrgに応じて要求駆動力を設定する。
その後、ステップST13に進み、上述と同様にして、目標エンジントルクTetrg、目標MG1回転速度Nm1trg、目標MG1トルクTm1trg、目標MG2トルクTm2trgを設定する。ここでは、手動変速モード実行中であると判定されたことにともなって、上記ステップST11においてシーケンシャル変速段Yに基づいて設定された目標エンジン回転速度Netrgと、ステップST12において設定された要求駆動力とに基づいて、目標エンジントルクTetrg、目標MG1回転速度Nm1trg、目標MG1トルクTm1trg、目標MG2トルクTm2trgが設定されることになる。
上述のように、本実施形態にかかるハイブリッド車両1においては、手動変速モードでない場合には、アクセル開度Accと車速Vに基づいて要求駆動力が設定され、要求駆動力に基づいて目標エンジン回転速度Netrgが設定され、設定された要求駆動力および目標エンジン回転速度Netrgに基づいてエンジン2の運転制御、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御が行われる。一方、手動変速モードである場合、運転者がシフトレバー91を操作することにより設定されたシーケンシャル変速段Yと車速Vとに基づいて目標エンジン回転速度Netrgが設定され、設定された目標エンジン回転速度Netrgに基づいて要求駆動力が設定され、この設定された目標エンジン回転速度Netrgおよび要求駆動力に基づいてエンジン2の運転制御、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御が行われる。
−変速指示装置−
本実施形態に係るハイブリッド車両1には、手動変速モード(Sモード)において、運転者に対して変速を促す変速指示(変速案内)を行う変速指示装置が搭載されている。以下、この変速指示装置について説明する。
図8に示すように、車室内の運転席前方に配置されたコンビネーションメータ6には、スピードメータ61、タコメータ62、ウォータテンパラチャゲージ63、フューエルゲージ64、オドメータ65、トリップメータ66、および、各種のウォーニングインジケータランプなどが配置されている。
そして、このコンビネーションメータ6には、ハイブリッド車両1の走行状態に応じて燃費向上等を図る上で適した変速段(ギヤポジション)の選択を指示する表示部として、変速段をアップ指示する際に点灯するシフトアップランプ67(変速指示部)、変速段をダウン指示する際に点灯するシフトダウンランプ68(変速指示部)が配置されている。これらシフトアップランプ67およびシフトダウンランプ68は、例えばLED等で構成されており、GSI−ECU16(図1参照)によって点灯および消灯が制御される。これらシフトアップランプ67、シフトダウンランプ68、GSI−ECU16およびハイブリッドECU10によって、本発明でいう変速指示装置が構成されている。なお、GSI−ECU16を備えさせず、上記エンジンECU11または図示しないパワーマネージメントECUがシフトアップランプ67およびシフトダウンランプ68の点灯および消灯を制御する構成としてもよい。
この変速指示装置の基本制御としては、車速センサ54の出力信号から現在の車速Vを求めるとともに、アクセル開度センサ52の出力信号から現在のアクセル開度Accを求め、それら車速Vおよびアクセル開度Accを用いて、図4に示す要求駆動力設定マップを参照して要求駆動力を求める。また、この要求駆動力と上記車速VとアクセルAccとに基づいて図6に示す目標変速段設定マップを参照して推奨変速段(目標変速段)を求める。そして、その推奨変速段と現変速段(例えば上記図3のフローチャートにおける現在のシーケンシャル変速段Y)とを比較し、推奨変速段と現変速段とが同じであるか否かを判定する。そして、推奨変速段と現変速段とが同じである場合には、変速指示を非実施とする。つまり、シフトアップランプ67およびシフトダウンランプ68をともに非点灯とする。一方、現変速段が推奨変速段よりも低い変速段である場合には、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指示を実施するための制御信号を送信してシフトアップランプ67を点灯する(図9(a)参照)。また、現変速段が推奨変速段よりも高い変速段である場合には、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトダウン指示を実施するための制御信号を送信してシフトダウンランプ68を点灯する(図9(b)参照)。
また、本実施形態における変速指示装置は、上記第2モータジェネレータMG2のみで駆動輪6a,6bを駆動するEV走行時にも、上記と同様にして変速段の変更を運転者に促す動作を実行する構成となっている。
−変速段指示制御−
次に、本実施形態において特徴とする動作である変速段指示制御について説明する。
先ず、この変速段指示制御の概略について説明する。
上記第1モータジェネレータMG1や第2モータジェネレータMG2の温度が上昇して過熱する状況になると、これらモータジェネレータMG1,MG2の性能低下を招き、運転者が要求する動力が得られなくなったり、必要な回転速度が得られなくなったりする可能性がある。例えば、モータジェネレータMG1,MG2に対する負荷が大きく、これらモータジェネレータMG1,MG2の発熱量が多い場合や、高負荷運転時などであってエンジン2の発熱量が多く、モータジェネレータMG1,MG2の収容空間(トランスアクスルケース内部空間)の雰囲気温度が高い場合等である。
本実施形態では、この点に鑑み、上記第1モータジェネレータMG1や第2モータジェネレータMG2が過熱する状況や、過熱する可能性のある状況(本発明でいう、「電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるとき」に相当)にあっては、仮に、実変速段が推奨変速段と一致している場合であっても、また、実変速段が推奨変速段よりも高い変速段となっていても、変速指示装置によるシフトアップ指示を実行する(シフトダウンランプ68を消灯し、シフトアップランプ67を点灯する)ようにしている(本発明でいう、「非高温状態のときに比較して、変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する」ことに相当)。
以下、具体的に説明する。以下の説明では、MG2温度センサ59によって検出される第2モータジェネレータMG2の温度が所定値以上であった際に、変速指示装置によるシフトアップ指示を実行する場合を例に挙げて説明する。
図10は、上記変速段指示制御の手順を示すフローチャート図である。このフローチャートは上記パワースイッチ51がON操作された後、所定時間(例えば数msec)毎に繰り返し実行される。
先ず、ステップST21において、現在の走行モードが手動変速モードであるか否かを判定する。具体的には、シフトレバー91の位置をシフトポジションセンサ50によって検出することにより判定する。つまり、検出されたシフトレバー91の位置がSポジションであるか否かを判定するようにしている。
そして、シフト操作装置9のシフトレバー91がドライブ(D)位置にあるなどして、現在の走行モードが手動変速モードではなく、ステップST21でNO判定された場合には、ステップST22に移り、変速段指示制御の必要はないとして、シフト指示を非実施としてリターンされる。
一方、シフト操作装置9のシフトレバー91の位置がSポジションにあり、現在の走行モードが手動変速モードである場合には、ステップST21でYES判定され、ステップST23に移り、上記MG2温度センサ59によって検出される第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上であるか否かを判定する。この所定値αは、第2モータジェネレータMG2の性能が低下する温度範囲(第2モータジェネレータMG2が過熱状態である範囲)における下限値として、実験やシミュレーションに基づいて予め設定されている。また、この第2モータジェネレータMG2の性能が低下する温度範囲の下限値よりも所定温度(例えば10℃)だけ低い温度を上記所定値αとして設定するようにしてもよい。この場合、第2モータジェネレータMG2の温度が所定値αに達したことで、第2モータジェネレータMG2が過熱状態となる温度まで上昇することが予測されることになる。
第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α未満であって、ステップST23でNO判定された場合には、ステップST24以降の変速指示動作に移る。
ステップST24では、現在、上記シフト操作装置9において手動で選択されている変速段(現変速段)と、現在の車速およびアクセル開度等から求められる推奨変速段とを対比し、現変速段が推奨変速段よりも低い変速段(現変速段<推奨変速段)、つまり、変速比が大きいLowギヤ側の変速段となっているか否かを判定する。なお、現変速段については、例えば、動力分割機構3の入力軸(プラネタリキャリア3d)の回転速度(エンジン回転速度)と、リングギヤ軸3eの回転速度(車速センサ54または出力軸回転速度の出力信号から認識)との比(変速比)を算出し、その算出した変速比から認識することができる。また、シフトポジションセンサ50の出力信号に基づいて、シフトレバー91をSポジションに操作したときに設定される変速段(上記図3のフローチャートにおいてステップST7またはST8で設定された変速段)、または、Sポジションでの「+」ポジションや「−」ポジションへの操作によって設定された変速段(上記図3のフローチャートにおいてステップST10で設定された変速段)によって認識することも可能である。
そして、現変速段が推奨変速段よりも低い変速段であって、ステップST24でYES判定された場合には、ステップST25に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指令を実施するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトアップランプ67を点灯させる。このシフトアップランプ67の点灯にしたがって、運転車がシフトレバー91を「+」位置へ操作、または、シフトアップ用パドルスイッチ9cを操作すると、ハイブリッドシステムではシフトアップ動作が行われる。このシフトアップ動作にともなって上記シフトアップランプ67は消灯される。
一方、ステップST24において、現変速段が推奨変速段よりも低い変速段とはなっていない場合には、ステップST26に移り、現在、上記シフト操作装置9において手動で選択されている現変速段と、現在の車速およびアクセル開度等から求められる推奨変速段とを対比し、現変速段が推奨変速段よりも高い変速段(現変速段>推奨変速段)、つまり、変速比が小さいHiギヤ側の変速段となっているか否かを判定する。
そして、現変速段が推奨変速段よりも高い変速段であって、ステップST26でYES判定された場合には、ステップST27に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトダウン指令(低速側変速段へのシフト操作指令)を実施するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトダウンランプ68を点灯させる。このシフトダウンランプ68の点灯にしたがって、運転車がシフトレバー91を「−」位置へ操作、または、シフトダウン用パドルスイッチ9dを操作すると、ハイブリッドシステムではシフトダウン動作が行われる。このシフトダウン動作にともなって上記シフトダウンランプ68は消灯される。
そして、上記ステップST26において、現変速段が推奨変速段よりも高い変速段とはなっていない場合には、このステップST26でNO判定されてステップST22に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指令およびシフトダウン指令を共に禁止するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトアップランプ67およびシフトダウンランプ68を共に消灯する。つまり、変速段が適切に設定されているとして、変速指示動作を非実行とする。
一方、第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上になっており、ステップST23でYES判定された場合には、ステップST25に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指令を実施するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトアップランプ67を点灯させる。このシフトアップランプ67の点灯にしたがって、運転車がシフトレバーを「+」位置へ操作、または、シフトアップ用パドルスイッチ9cを操作すると、ハイブリッドシステムではシフトアップ動作が行われる。このシフトアップ動作にともなって上記シフトアップランプ67は消灯される。
なお、この場合(第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上になっている場合)のシフトアップ指示(ステップST25)は、現変速段が、推奨変速段よりも高い変速段、つまり、変速比が小さいHiギヤ側の変速段となっている場合であっても実行される。
このように第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上になっている場合に、シフトアップランプ67を点灯させ、運転者に対してシフトアップ操作を指示し(シフトアップ操作を促し)、この指示にしたがって運転者がシフトアップ操作を行うと、エンジン回転速度の低下に伴ってエンジン2の発熱量が少なくなる(燃料噴射量の減少や単位時間当たりの燃焼行程回数の減少により発熱量が少なくなる)。このため、エンジンコンパートメント(エンジンルーム)内および図示しないトランスアクスルケース(各モータジェネレータMG1,MG2等が収容されているケース)内の温度上昇を抑えることができ、第2モータジェネレータMG2の温度が上記所定値αにまで上昇してしまうことを防止できる。これにより第2モータジェネレータMG2の性能が高く維持され、運転者が要求する駆動力を十分に確保することが可能となって、運転者が要求する動力を得ることができ、また、必要な回転速度を得ることができる。
図11は、上記シフトアップ動作に伴う各モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン2それぞれの回転速度の変化を説明するための共線図である。図11(a)はシフトアップ前の状態における共線図を、図11(b)はシフトアップ後の状態における共線図をそれぞれ示している。
これら共線図における左側のS軸は第1モータジェネレータMG1の回転速度Nm1であるサンギヤ3aの回転速度を表し、C軸はエンジン2の回転速度Neであるキャリア3dの回転速度を表し、R軸は第2モータジェネレータMG2の回転速度Nm2をリダクション機構7のギヤ比Grで除したリングギヤ7bの回転速度Nrを表している。なお、これら共線図では、回転速度「0」のラインよりも上側が正回転となっており、回転速度「0」のラインよりも下側が逆回転となっている。
これら共線図に示すように、エンジン2の回転速度Neは、シフトアップ前の回転速度よりもシフトアップ後の回転速度の方が低くなっている(車速が一定の場合)。このため、上述したようにエンジン2の発熱量が少なくなり、第2モータジェネレータMG2の温度が上記所定値αにまで上昇してしまうことを防止できる。また、エンジン2の発熱量が少なくなることにともなって第1モータジェネレータMG1の温度を低下させることも可能になり、この第1モータジェネレータMG1の性能も高く維持することも可能である。
また、エンジン2の回転速度Neの低下にともなって第2モータジェネレータMG2に対する上記電気パス量が低減されることになり、これによっても第2モータジェネレータMG2の温度を低下させることが可能となる。
さらには、上記エンジン2の回転速度Neを低下させるために第1モータジェネレータMG1の回転速度Nm1が低下することから(図11を参照)、この第1モータジェネレータMG1の発熱量も少なくなり、これによっても、両モータジェネレータMG1,MG2の温度を低下させることが可能となる。
また、上記シフトアップ操作を指示することにより、運転者がダウンシフト操作(低速側変速段へのシフト操作)を行ってしまうといった状況を抑制でき、このダウンシフト操作が行われることによるモータジェネレータMG1,MG2の温度上昇を招くことも抑制できる。
なお、上述した如くMG2温度センサ59によって第2モータジェネレータMG2の温度を検出する場合、MG1温度センサ58は必ずしも必要ではない。
(変形例1)
次に、上記第1実施形態の変形例1について説明する。上述した第1実施形態では、MG2温度センサ59によって第2モータジェネレータMG2の温度を検出し、その検出温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにしていた。
本変形例は、第2モータジェネレータMG2の負荷状況などに基づいて、その温度を推定するものである。具体的には、上記アクセル開度センサ52によって検出されるアクセル開度、上記車速センサ54によって検出される車速、上記バッテリECU14によって演算されるバッテリ24の蓄電残量SOC、現在選択されている変速段等をパラメータとし、これらパラメータから第2モータジェネレータMG2の温度を推定する演算式やマップを上記ECU10のROMに記憶させておくことで、第2モータジェネレータMG2の温度を推定するようにしている。
そして、この推定された第2モータジェネレータMG2の温度が上記所定値α以上であった場合には、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにする。その他の構成および制御動作は上述した第1実施形態のものと同様である。
本変形例によっても、上述した第1実施形態のものと同様の効果を奏することができる。それに加えて、本変形例では、第2モータジェネレータMG2の温度を検出するためのMG2温度センサ59が不要になり、システム構成の簡素化を図ることもできる。
(変形例2)
次に、上記第1実施形態の変形例2について説明する。上述した第1実施形態の制御動作に加えて、本変形例では、第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上であった場合には、運転者が仮にシフトダウン操作を行ったとしても、その操作を無効にして、シフトダウン動作が行われないようにするものである。
具体的には、例えば運転者がシフトレバー91を上記「−」位置へ操作した場合や、シフトダウン用パドルスイッチ9dを操作した場合であっても、シフトポジションセンサ50からハイブリッドECU10への操作検知信号の出力を行わないか、または、シフトポジションセンサ50からの操作検知信号をハイブリッドECU10が受信しても、このハイブリッドECU10がモータECU13に対して指令信号(シフトダウン指令信号)の出力を行わないようにすることで、運転者の操作を無効にする。
これにより、シフトダウン動作が行われて、エンジン2の回転速度Neが上昇したり、第1モータジェネレータMG1の回転速度Nm1が上昇したりすることによって、第2モータジェネレータMG2の温度が上記所定値α以上になってしまうといった状況を回避することができる。また、第1モータジェネレータMG1の回転速度Nm1の上昇が防止されるため、この第1モータジェネレータMG1の温度が上昇してしまうといった状況を回避することもできる。
なお、この変形例2は、上記変形例1と組み合わせることも可能である。
(変形例3)
次に、上記第1実施形態の変形例3について説明する。上述した第1実施形態では、MG2温度センサ59によって第2モータジェネレータMG2の温度を検出し、その検出温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにしていた。
本変形例は、上記MG1温度センサ58によって第1モータジェネレータMG1の温度を検出し、その検出温度が所定値α以上であった場合には、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにするものである。
上記MG1温度センサ58によって検出された第1モータジェネレータMG1の温度に応じた変速段指令制御の手順は、上述した第1実施形態における第2モータジェネレータMG2の温度検出を、第1モータジェネレータMG1の温度検出に置き換えるものであるため、ここでの詳細な制御動作およびそれによる効果については説明を省略する。
なお、この変形例3は、上記変形例2と組み合わせることも可能である。
また、このように第1モータジェネレータMG1の温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにするものにおいて、上述した変形例1の場合と同様に、第1モータジェネレータMG1の温度を推定し、この推定された第1モータジェネレータMG1の温度が上記所定値α以上であった場合には、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにすることも可能である。これによれば、第1モータジェネレータMG1の温度を検出するためのMG1温度センサ58が不要になり、システム構成の簡素化を図ることができる。
なお、このようにMG1温度センサ58によって第1モータジェネレータMG1の温度を検出する場合、MG2温度センサ59は必ずしも必要ではない。
(変形例4)
次に、上記第1実施形態の変形例4について説明する。上述した第1実施形態および変形例1では、第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにしていた。また、上記変形例3では、第1モータジェネレータMG1の温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにしていた。
本変形例では、第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上であること、および、第1モータジェネレータMG1の温度が所定値β以上であることのうち、少なくとも何れか一方が成立した場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにするものである。
図12は、本変形例における変速段指示制御の手順を示すフローチャート図である。このフローチャートは上記パワースイッチ51がON操作された後、所定時間(例えば数msec)毎に繰り返し実行される。また、ここでは、上述した第1実施形態において図10で示したフローチャートとの相違点を主に説明する。また、以下では、図12において図10で示したフローチャートと同一のステップについては同ステップ番号を付し、その説明を省略する。
現在の走行モードが手動変速モードであってステップST21でYES判定された場合には、ステップST23Aに移り、上記MG2温度センサ59によって検出される第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上であるか否かを判定する。
第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α以上になっており(本発明でいう第2条件の成立)、ステップST23AでYES判定された場合には、ステップST25に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指令を実施するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトアップランプ67を点灯させる。つまり、シフトアップ指示を実行する。
一方、上記MG2温度センサ59によって検出される第2モータジェネレータMG2の温度が所定値α未満であって、ステップST23AでNO判定された場合には、ステップST23Bに移り、上記MG1温度センサ58によって検出される第1モータジェネレータMG1の温度が所定値β以上であるか否かを判定する。
第1モータジェネレータMG1の温度が所定値β以上になっており(本発明でいう第1条件の成立)、ステップST23BでYES判定された場合には、ステップST25に移り、ハイブリッドECU10からGSI−ECU16に対してシフトアップ指令を実施するための制御信号が送信され、このGSI−ECU16はシフトアップランプ67を点灯させる。つまり、シフトアップ指示を実行する。
第1モータジェネレータMG1の温度が所定値β未満であって、ステップST23BでNO判定された場合には、上述したステップST24以降の変速指示動作に移る。
なお、上記所定値αおよびβは、各モータジェネレータMG1,MG2それぞれにおいて性能が低下する温度範囲における下限値として、実験やシミュレーションに基づいて予め設定されている。これら所定値αおよびβは、互いに同一の値であってもよいし異なる値であってもよい。
本変形例によれば、各モータジェネレータMG1,MG2それぞれの性能低下を防止することが可能である。
なお、この変形例4は、上記変形例1の如くモータジェネレータMG1,MG2の温度を推定するものとしてもよい。また、この変形例4は、上記変形例2と組み合わせることも可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、1つのモータジェネレータを備えたFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式のハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。
図13は、本実施形態に係る車両のパワートレーンのスケルトン図である。
この図13に示すように、このパワートレーンには、エンジン(内燃機関)2、1つのモータジェネレータMGおよび自動変速機60が備えられている。
上記エンジン2の出力軸CSと上記自動変速機60の入力軸ISとの間にはクラッチK0が設けられている。このクラッチK0は図示しない変速機ECUが油圧制御装置を制御することによって作動される油圧式のクラッチであって、解放状態では、エンジン2と入力軸ISとの間での動力伝達を遮断し、係合状態では、エンジン2と入力軸ISとの間での動力伝達を可能にする。なお、このクラッチK0は電磁式クラッチであってもよい。
上記自動変速機60は、上記クラッチC1を含み、エンジン2およびモータジェネレータMGから入力軸ISに入力される回転動力を変速し、出力軸OSを介して駆動輪に出力するもので、主として、変速機構部70、油圧制御装置等を含んで構成されている。
変速機構部70は、主として、第1プラネタリ71、第2プラネタリ72、第3プラネタリ73、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、ワンウェイクラッチF0〜F3等を含んで構成されており、前進6段、後進1段の変速が可能になっている。
第1プラネタリ71は、ダブルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギヤS1と、リングギヤR1と、複数個のインナーピニオンギヤP1Aと、複数個のアウターピニオンギヤP1Bと、キャリアCA1とを含む構成となっている。
サンギヤS1は、クラッチC3を介して入力軸ISに選択的に連結される。このサンギヤS1は、ワンウェイクラッチF2およびブレーキB3を介してハウジングに選択的に連結され、逆方向(入力軸ISの回転と反対方向)の回転が阻止される。キャリアCA1は、ブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結されるとともに、そのブレーキB1と並列に設けられたワンウェイクラッチF1により、常に逆方向の回転が阻止される。リングギヤR1は、第2プラネタリ72のリングギヤR2と一体的に連結されており、ブレーキB2を介してハウジングに選択的に連結される。
第2プラネタリ72は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギヤS2と、リングギヤR2と、複数個のピニオンギヤP2と、キャリアCA2とを含む構成となっている。
サンギヤS2は、第3プラネタリ73のサンギヤS3と一体的に連結されており、クラッチC4を介して入力軸ISに選択的に連結される。このサンギヤS2は、ワンウェイクラッチF0およびクラッチC1を介して入力軸ISに選択的に連結され、その入力軸ISに対して相対的に逆方向へ回転することが阻止される。キャリアCA2は、第3プラネタリ73のリングギヤR3と一体的に連結されており、クラッチC2を介して入力軸ISに選択的に連結されるとともに、ブレーキB4を介してハウジングに選択的に連結される。このキャリアCA2は、ブレーキB4と並列に設けられたワンウェイクラッチF3により、常に逆方向の回転が阻止される。
第3プラネタリ73は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギヤS3と、リングギヤR3と、複数個のピニオンギヤP3と、キャリアCA3とを含む構成である。キャリアCA3は、出力軸OSに一体的に連結されている。
クラッチC1〜C4およびブレーキB1〜B4は、オイルの粘性を利用した湿式多板摩擦係合装置(摩擦係合要素)により構成されている。
油圧制御装置は、変速機構部70におけるクラッチC1〜C4ならびにブレーキB1〜B4を個別に係合、解放させることにより適宜の変速段(前進1〜6速段、後進段)を成立させるものである。この油圧制御装置の基本構成は公知であるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
ここで、上述した変速機構部70における各変速段を成立させる条件について、図14を用いて説明する。
図14は、変速機構部70の変速段毎でのクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4およびワンウェイクラッチF0〜F3の係合状態または解放状態を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合」、×印は「解放」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合」、△印は「動力伝達を行わない係合」を示す。
なお、クラッチC1は、前進クラッチ(入力クラッチ)と呼ばれ、図14の係合表に示すように、パーキングポジション(P)、リバースポジション(R)、ニュートラルポジション(N)以外であって車両が前進するための変速段を成立させる際に係合状態で使用される。
そして、上記変速機構部70が上述した実施形態のものと同様に、自動変速モードと手動変速モードとの間での切り換えが可能な構成とされている。
以上のようなパワートレーンを備えた車両に対し、上述した第1実施形態、変形例1、または、変形例2を組み合わせて、モータジェネレータMGの温度を検出または推定し、その温度が所定値α以上であった場合に、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにする。これによっても上述と同様の効果を奏することが可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、電気自動車(EV)に本発明を適用した場合について説明する。例えば、モータジェネレータの出力軸に自動変速機(例えば上記第2実施形態における自動変速機60と同様のもの)が接続され、この自動変速機が、自動変速モードと手動変速モードとの間で切り換え可能な構成とされたパワートレーンを備えた車両に本発明を適用するものである。電気自動車の構成は周知であるため、ここでの説明は省略する。
そして、手動変速モードが選択されており、モータジェネレータの動力を使用した車両の走行中において、このモータジェネレータの温度が上記所定値α以上になった場合には、シフトアップランプ67の点灯によるシフトアップ指示を行うようにする。
この実施形態においても上述した各実施形態や各変形例と同様の効果を奏することができる。
−他の実施形態−
上記第1実施形態では、2モータ式のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両の制御に本発明を適用した例を示し、上記第2実施形態では、1モータ式のFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式のハイブリッド車両の制御に本発明を適用した例を示した。本発明はこれに限られることなく、1モータ式のFF方式のハイブリッド車両や、2モータ式のFR方式のハイブリッド車両の制御にも適用が可能である。また、4輪駆動方式のハイブリッド車両の制御にも適用できる。また、3つ以上のモータジェネレータが搭載されたハイブリッド車両の制御にも本発明は適用可能である。
また、本発明は、シリーズハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両に対しても適用可能である。
さらには、変速システムとしては、レンジホールドタイプのもの(選択された変速段に対し、Lowギヤ段側への自動変速が可能なもの)やギヤホールドタイプ(選択された変速段が維持されるもの)に対しても本発明は適用可能である。ここでいうレンジホールドタイプとは、シフトレバーがSポジションにある場合に、ハイブリッドECU10が、現在の変速段を上限変速段とし、その上限変速段を最も高い側の変速段(最も低い側の変速比)とする制限変速段範囲内で自動変速を行うものである。例えば、手動変速モードにおける変速段が、第3変速段(3rd)である場合、その第3変速段を上限変速段とし、第3変速段(3rd)〜第1変速段(1st)の間において自動変速が可能な状態となる。このようなレンジホールドタイプのものやギヤホールドタイプのものであっても、本発明にあっては、モータジェネレータの温度が上記所定値α以上になった場合には、そのホールド範囲を超えてシフトアップ指示を行うことを可能にする。
また、上記実施形態における目標変速段設定マップでは、第4変速段(4th)から第6変速段(6th)の間では、アクセルオフの状態で要求される駆動力は互いに一致しているものとしていた。本発明はこれに限らず、第1変速段(1st)から第6変速段(6th)の全ての変速段同士の間で、Lowギヤ段(変速比が大きいギヤ段)ほど駆動力が低く(負の駆動力が大きく)設定されるようにしたものであってもよい。
本発明は、動力伝達系にモータジェネレータを備えると共に、シーケンシャルシフトモードでの変速操作が可能な車両において、運転者に対して変速指示を行う変速指示装置に適用可能である。
1 ハイブリッド車両
2 エンジン(内燃機関)
2a クランクシャフト
3 動力分割機構(変速部)
3a サンギヤ
3b リングギヤ
3d プラネタリキャリア
3e リングギヤ軸(エンジンの出力軸)
58 MG1温度センサ
59 MG2温度センサ
6a,6b 前輪(駆動輪)
67 シフトアップランプ
68 シフトダウンランプ
7 リダクション機構
9 シフト操作装置
10 ハイブリッドECU
16 GSI−ECU
MG1 第1モータジェネレータ(第1の電動機)
MG2 第2モータジェネレータ(第2の電動機)

Claims (9)

  1. 駆動輪に動力を伝達する動力伝達系に電動機および手動変速可能な変速部を備えた車両に適用され、上記変速部の手動による変速操作を促す変速指示装置であって、
    上記電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときには、非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する構成となっていることを特徴とする変速指示装置。
  2. 請求項1記載の変速指示装置において、
    上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、上記変速部の変速比を小さくする側への変速操作を促す変速指示を実行することにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るよう構成されていることを特徴とする変速指示装置。
  3. 請求項1または2記載の変速指示装置において、
    上記変速部の実変速段と推奨変速段とが異なっている場合に、運転者に対し推奨変速段への変速を促す変速指示を行うようになっており、
    上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、上記変速部の実変速段が、推奨変速段に対して変速比が小さい変速段であっても、上記変速部の変速比を大きくする側への変速操作を促す変速指示を非実行とすることにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るよう構成されていることを特徴とする変速指示装置。
  4. 請求項1、2または3記載の変速指示装置において、
    上記電動機の温度が所定温度まで上昇したとき、または、上記電動機の温度が所定温度まで上昇することが予測されるときに、運転者による変速部の変速比を大きくする側への変速操作を無効にすることにより上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るよう構成されていることを特徴とする変速指示装置。
  5. 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の変速指示装置において、
    上記変速部は、自動変速モードおよび手動変速モードでの変速が可能となっているとともに、変速比を無段階に切り換え可能となっており、
    上記手動変速モードでは、上記変速部で設定される変速比が複数段階に切り換えられる構成とされたハイブリッド車両に搭載されていることを特徴とする変速指示装置。
  6. 請求項5記載の変速指示装置において、
    上記ハイブリッド車両は、走行用の駆動力源として内燃機関を備えており、
    上記動力伝達系には、上記内燃機関の出力軸が連結されるプラネタリキャリアと、第1の電動機が連結されるサンギヤと、第2の電動機が連結されるリングギヤとを備えた遊星歯車機構により構成される動力分割機構が備えられており、
    上記第1の電動機を制御することによって内燃機関の回転速度を変更することで動力伝達系における変速比が変更可能となっていることを特徴とする変速指示装置。
  7. 請求項6記載の変速指示装置において、
    上記第2電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときには、第2電動機が非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する構成となっていることを特徴とする変速指示装置。
  8. 請求項6記載の変速指示装置において、
    上記第1電動機が高温状態のとき、または、高温状態へと至ることが予測されるときには、第1電動機が非高温状態のときに比較して、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する構成となっていることを特徴とする変速指示装置。
  9. 請求項6記載の変速指示装置において、
    上記第1電動機が高温状態となったこと、または、第1電動機が高温状態へと至ることが予測されることの第1条件と、上記第2電動機が高温状態となったこと、または、第2電動機が高温状態へと至ることが予測されることの第2条件とのうち、少なくとも一方の条件が成立したときには、上記変速部の低速側変速段の使用頻度が減るように変速指示規則を変更する構成となっていることを特徴とする変速指示装置。
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