JP2012239282A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電装置をより適正に放電させて走行に要求される要求駆動力をより良好に満たす。
【解決手段】バッテリ50から放電される電力の推定値である推定放電電力Pbestが取得されると共に(ステップS1510)、バッテリ50から実際に放電される電力である実放電電力Pbが取得され(ステップS1520)、推定放電電力Pbestが実放電電力Pbよりも大きいときには、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づいて出力制限Woutよりも放電電力として大きくなるように制御用出力制限Woutfが設定される(ステップS1530〜S1610)。
【選択図】図7

Description

本発明は、走行用の動力を出力可能な電動機と、電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置とを有する車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンからの動力の少なくとも一部を用いて発電可能なモータMG1と、変速機を介して駆動軸に動力を入出力可能なモータMG2と、モータMG1,MG2と電力をやりとり可能なバッテリとを備え、アクセルオフに伴ってモータMG1によりエンジンをモータリングしている最中に変速段をダウンシフトする際に、バッテリの出力制限からモータMG1により消費される電力を減じて得られる余裕電力が所定電力未満であるときには、当該バッテリの出力制限を増加させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、上述のような制御を実行してバッテリの出力制限を増加させることで、当該出力制限の範囲内でモータMG1によるエンジンのモータリングを継続しながらダウンシフトに伴うモータMG2の回転数の同期制御を実行するのに必要な電力を確保し、変速時に生じうる変速ショックを抑制している。
特開2008−247227号公報
ところで、上述のような車両では、例えば制御遅れといった様々な要因により、バッテリから放電すべき電力に対して当該バッテリから実際に放電される電力が小さくなってしまうことがある。そして、実際にはバッテリから放電可能な電力に余裕があるにも拘わらず、モータMG1,MG2に対する出力の指令値が上記出力制限で制限されてしまうと、モータMG1,MG2の出力を充分に確保できずに走行に要求される駆動力を満たせなくなってしまうおそれがある。
本発明の車両およびその制御方法は、蓄電装置をより適正に放電させて走行に要求される要求駆動力をより良好に満たすことを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置と、前記蓄電装置の状態に基づいて該蓄電装置の放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容放電電力設定手段と、前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求駆動力に基づくトルクが得られるように前記電動機を制御する制御手段とを有する車両において、
前記蓄電装置から放電される電力の推定値である推定放電電力を取得する推定放電電力取得手段と、
前記蓄電装置から実際に放電される電力である実放電電力を取得する実放電電力取得手段と、
前記推定放電電力が前記実放電電力よりも大きいときに、該推定放電電力と該実放電電力との差に基づいて放電電力として大きくなるように該許容放電電力を補正する許容放電電力補正手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明の車両では、推定放電電力取得手段により蓄電装置から放電される電力の推定値である推定放電電力が取得されると共に、実放電電力取得手段により蓄電装置から実際に放電される電力である実放電電力が取得される。そして、推定放電電力が実放電電力よりも大きいときに、推定放電電力と実放電電力との差に基づいて放電電力として大きくなるように許容放電電力が補正される。これにより、蓄電装置から放電可能な電力に余裕があるときに、許容放電電力を必要以上に増加させないようにしながら、より適正に増加させることができるので、補正された許容放電電力の範囲内で電動機を制御することで電動機の出力を良好に確保することができる。従って、本発明の車両では、蓄電装置をより適正に放電させて走行に要求される要求駆動力をより良好に満たすことが可能となる。
また、前記許容放電電力補正手段は、前記推定放電電力と前記実放電電力との差に基づく値と、前記許容放電電力設定手段により設定された許容放電電力が小さいほど大きくなるように定められる反映率との積を該許容放電電力に加算するものであってもよい。このように、許容放電電力が小さいほど大きくなるように当該許容放電電力を補正することにより、電動機の出力が制限されやすいときに許容放電電力をより適正に増加させて、電動機の出力をより良好に確保することが可能となる。
更に、前記反映率は、前記蓄電装置の温度が所定温度以上であるときには、該温度が高いほど小さくなるように定められると共に、前記蓄電装置の充電割合が所定割合以下であるときには、該充電割合が小さいほど小さくなるように定められてもよい。これにより、蓄電装置の温度が高いときに許容放電電力が放電電力として大きくなり過ぎないようにして蓄電装置の放電を抑制し、蓄電装置の温度が過剰に上昇しないようにすることができる。また、蓄電装置の充電割合が低いときに許容放電電力が放電電力として大きくなり過ぎないようにして蓄電装置の放電を抑制し、蓄電装置の充電割合が過剰に低下しないようにすることができる。
また、前記許容放電電力補正手段は、前記推定放電電力と前記実放電電力との差に緩変化処理を施して得られる値と前記反映率との積を前記許容放電電力設定手段により設定された許容放電電力に加算するものであってもよい。このように、推定放電電力と実放電電力との差に緩変化処理を施して得られる値に基づいて許容放電電力を補正することにより、許容放電電力の急変を抑制することができる。
更に、本発明の車両は、通常走行用の第1のモードと、該第1のモードよりも走行用の動力の出力応答性を優先する第2のモードとの選択を運転者に許容する運転モード選択手段を更に備えてもよく、前記反映率は、運転者により前記第2のモードが選択されているときには、前記第1のモードが選択されているときに比べて大きくなるように定められてもよい。これにより、第1のモードよりも走行用の動力の出力応答性を優先する第2のモードが選択されているときに、電動機の出力を確保しやすくして、運転者の駆動力要求により良好に応えることが可能となる。
また、本発明の車両は、前記蓄電装置からの電力により駆動される複数の補機を更に備えてもよく、前記推定放電電力は、前記電動機により消費される電力の推定値に少なくとも前記複数の補機により消費される電力の推定値を加算することにより取得されてもよい。これにより、推定放電電力をより適正に取得することが可能となる。
更に、本発明の車両は、内燃機関と、該内燃機関から出力される動力の少なくとも一部を用いて発電可能な第2の電動機とを更に備えてもよく、前記推定放電電力は、前記電動機により消費される電力の推定値に少なくとも前記第2の電動機により消費される電力の推定値を加算することにより取得されてもよく、前記電動機により消費される電力の推定値は、該電動機のトルク指令値および回転数の積であり、前記第2の電動機により消費される電力の推定値は、該第2の電動機のトルク指令値および回転数の積であってもよい。
本発明の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置と、前記蓄電装置の状態に基づいて該蓄電装置の放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容放電電力設定手段とを備えた車両の制御方法であって、
(a)前記蓄電装置から放電される電力の推定値である推定放電電力を取得すると共に、前記蓄電装置から実際に放電される電力である実放電電力を取得し、
(b)前記推定放電電力が前記実放電電力よりも大きいときに、該推定放電電力と該実放電電力との差に基づいて前記許容放電電力が放電電力として大きくなるように該許容放電電力を補正し、
(c)補正後の前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求駆動力に基づくトルクが得られるように前記電動機を制御する、
ことを特徴とする。
本発明の車両の制御方法によれば、蓄電装置から放電可能な電力に余裕があるときに許容放電電力を必要以上に増加させないようにしながら、より適正に増加させることができるので、補正された許容放電電力の範囲内で電動機を制御することで電動機の出力を良好に確保することができる。従って、蓄電装置をより適正に放電させて走行に要求される要求駆動力をより良好に満たすことが可能となる。
本発明の一実施例に係る車両であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。 バッテリ温度Tbとバッテリ50の出力制限の温度依存値との関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の充電割合SOCと出力制限用補正係数との関係の一例を示す説明図である。 ハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ノーマルモード時アクセル開度設定用マップとパワーモード時アクセル開度設定用マップとを例示する説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 ステップS150の出力制限補正処理を示すフローチャートである。 出力制限Woutの範囲内でモータMG1,MG2および複数の補機92を制御した場合のバッテリ50の推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの時間変化の様子を示すタイムチャートである。 制御用出力制限Woutfの範囲内でモータMG1,MG2および複数の補機92を制御した場合のバッテリ50の推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの時間変化の様子を示すタイムチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る車両であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料を用いて動力を出力するエンジン(内燃機関)22と、エンジン22を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24と、サンギヤ(第1要素)31、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続されたリングギヤ(第2要素)32、および複数のピニオンギヤ33を支持すると共にダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト(出力軸)26に接続されたプラネタリキャリア(第3要素)34を有するシングルピニオン式のプラネタリギヤ30と、プラネタリギヤ30のサンギヤ31に接続されると共に主として発電機として作動するモータMG1と、減速ギヤ機構35およびリングギヤ軸32aを介してリングギヤ32に接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aにギヤ機構37やデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動輪39a,39bと、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42に接続されたバッテリ50と、インバータ41,42を介してモータMG1およびMG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52と、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52等と通信しながら車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70とを備える。
モータMG1およびMG2は、周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやり取りを行う。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1およびMG2の何れか一方により発電される電力を他方のモータで消費可能とする。また、電力ライン54には、モータMG1,MG2やインバータ41,42等を冷却するための冷却媒体を循環させる冷却ポンプや乗員室の空調装置を構成するコンプレッサといった高電圧系の複数の補機92がハイブリッドECU70や他の電子制御ユニット等により制御される駆動回路90を介して接続される。
バッテリ50は、実施例ではリチウムイオン二次電池あるいはニッケル水素二次電池として構成される。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50に設置された温度センサ51からのバッテリ温度Tbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に設置された電流センサ55からの充放電電流Ib(以下、バッテリ50からの放電電流が正の値を示すと共にバッテリ50の充電電流が負の値を示すものとする)、バッテリ50の出力端子間に設置された電圧センサ56からの端子間電圧Vb等が入力される。また、バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70やエンジンECU24に出力する。更に、バッテリECU52は、電流センサ55により検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて充電割合(残容量)SOCを算出したり、充電割合SOCと予め定められた充放電制約とに基づいてバッテリ50の充放電要求パワーPb*を算出したり、充電割合SOCとバッテリ温度Tbとに基づいてバッテリ50の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Win(実施例では負の値)とバッテリ50の放電に許容される電力である放電許容電力としての出力制限Wout(実施例では正の値)とを算出する。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの温度依存値を設定し、設定した入出力制限Win,Woutの温度依存値にバッテリ50の充電割合SOCに基づく補正係数を乗じることにより設定することができる。図2にバッテリ温度Tbと出力制限Woutbの温度依存値との関係の一例を示し、図3にバッテリ50の充電割合SOCと出力制限用補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッドECU70は、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、図示しない入出力ポートおよび通信ポート等を備える。ハイブリッドECU70は、上述したようにエンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52等と通信し、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52等と各種信号やデータのやり取りを行う。また、ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置(シフトポジション)に対応したシフトレンジSRを検出するシフトレンジセンサ82からのシフトレンジSR、アクセルペダル83の踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルストロークセンサ86からのブレーキペダルストロークBS、車速センサ87からの車速V等が入力ポートを介して入力される。また、ハイブリッドECU70からは、高電圧系の補機92を駆動する駆動回路90への駆動信号等が出力ポートを介して出力される。
更に、ハイブリッドECU70には、ハイブリッド自動車20の運転モードの選択を可能とするモードスイッチ88からのモード信号が入力される。実施例において、モードスイッチ88は、図示しない車室内のスイッチパネル等に配置されており、走行用の動力の出力応答性よりも燃費の向上を優先させながらハイブリッド自動車20を走行させる通常走行用のノーマルモードと、燃費の向上よりも走行用の動力の出力応答性を優先させながらハイブリッド自動車20を走行させるパワーモードとの選択を運転者に対して許容する。運転者がモードスイッチ88を介してノーマルモードを選択したときには、モードスイッチフラグFmsが値0に設定されると共にエンジン22を効率よく運転して燃費を向上させることができるようにエンジン22、モータMG1およびMG2が制御される。また、運転者がモードスイッチ88を介してパワーモードを選択したときには、モードスイッチフラグFmsが値1に設定されると共に、基本的にノーマルモード選択時に比べて車軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを高めると共にエンジン22の回転数を高めて運転者によるアクセル操作に対するトルク出力の応答性が向上するようにエンジン22、モータMG1およびMG2が制御される。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20では、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*が計算され、この要求トルクTr*に応じたトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の制御モードとしては、要求トルクTr*に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を制御すると共にエンジン22から出力されるパワーのすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求トルクTr*とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合うパワーがエンジン22から出力されるようにエンジン22を制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力されるパワーの全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22を停止して要求トルクTr*に基づくトルクをリングギヤ軸32aに出力するようにモータMG2を駆動制御するモータ運転モード等がある。
次に、上述のように構成されたハイブリッド自動車20の動作について説明する。図4は、エンジン22が運転されているときに実施例のハイブリッドECU70により所定時間(例えば、数msec)毎に実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
駆動制御ルーチンの実行が開始されると、ハイブリッドECU70は、車速Vやアクセル開度Acc、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、バッテリ50の充放電要求パワーPb*、入出力制限Win,Wout、充放電電流Ib、端子間電圧Vb、充電割合SOC、バッテリ温度Tb、複数の補機92により消費される電力の推定値である推定補機消費電力Ph、本ルーチンが前回実行された際に設定されたモータMG1,MG2のトルク指令である前回トルク指令Tm1*last,Tm2*last、モードスイッチフラグFmsの値といった制御に必要なデータを入力する(ステップS100)。なお、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータECU40により計算されると共に、モータECU40から通信により入力される。また、バッテリ50の充放電要求パワーPb*や入出力制限Win,Wout,充放電電流Ib,端子間電圧Vb,充電割合SOCおよびバッテリ温度Tbは、バッテリECU52から通信により入力される。更に、推定補機消費電力Phは、例えば補機92ごとに予め定められた想定消費電力(比較的大きめに見積もられた一定値)と補機92の稼働状態(稼働または非稼働)とに基づいてハイブリッドECU70により別途算出されるものである。
ステップS100にて制御に必要なデータを入力した後で、ハイブリッドECU70は、モードスイッチフラグFmsが値0であるか否かを判定し(ステップS110)、モードスイッチフラグFmsが値0であってハイブリッド自動車20の実行用運転モードをノーマルモードとすべき場合には、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accとノーマルモード時アクセル開度設定用マップとを用いて制御上のアクセル開度である実行用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS120)。一方、モードスイッチフラグFmsが値1であって実行用運転モードをパワーモードとすべき場合には、アクセル開度Accとパワーモード時アクセル開度設定用マップとを用いて制御上のアクセル開度である実行用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS130)。ノーマルモード時アクセル開度設定用マップは、0〜100%の範囲でアクセル開度Accに対して実行用アクセル開度Acc*が線形性をもつように予め作成されてROM74に記憶されている。実施例において、ノーマルモード時アクセル開度設定用マップは、図5に例示するようにアクセル開度Accをそのまま実行用アクセル開度Acc*として設定するように作成されている。一方、パワーモード時アクセル開度設定用マップは、図5に例示するように、低車速時における車両の飛び出し感を抑制すべく任意の低アクセル開度領域にあるアクセル開度Accに対してはノーマルモード時アクセル開度設定用マップにより設定されるものと同一の値を実行用アクセル開度Acc*として設定すると共に、低アクセル開度領域以外の100%までのアクセル開度Accに対してはアクセル操作に対するトルク出力の応答性を向上させるべく同一のアクセル開度Accに対する実行用アクセル開度Acc*をノーマルモード時アクセル開度設定用マップにより規定されるものよりも大きな値として設定するように作成されてROM74に記憶されている。
ステップS120またはS130の処理の後、設定した実行用アクセル開度Acc*と車速センサ87からの車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する(ステップS140)。実施例では、実行用アクセル開度Acc*と車速Vと要求トルクTr*との関係が予め定められて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられた実行用アクセル開度Acc*と車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図6に要求トルク設定用マップの一例を示す。
続いて、ハイブリッドECU70は、図7に示すバッテリ50の出力制限Woutの補正処理を実行して制御用出力制限Woutfを設定する(ステップS150)。出力制限Woutの補正に際しては、まず、次式(1)に従ってバッテリ50の放電電力の推定値である推定放電電力Pbestを計算する(ステップS1510)。推定放電電力Pbestは、バッテリ50に現在要求されていると推定される放電電力を示し、式(1)に示すように、モータMG1,MG2の前回トルク指令Tm1*last,Tm2*lastとモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とに基づくモータMG1,MG2により消費される電力の合計(Tm1*last×Nm1+Tm2*last×Nm2)と、ステップS100にて入力した推定補機消費電力Phと、予め定められた損失分の電力Lossとを合算することにより算出される。更に、バッテリ50の充放電電流Ibと端子間電圧Vbとを乗じることによりバッテリ50から実際に放電されている電力である実放電電力Pbを計算する(ステップS1520)。そして、ステップS1510にて計算した推定放電電力PbestとステップS1520にて計算した実放電電力Pbとの差分Pbdを計算する(ステップS1530)。
こうして差分Pbdを計算したならば、差分Pbdに次式(2)のなまし処理を施して、なまし処理済差分Pbdnを設定する(ステップS1540)。式(2)中の“前回Pbdn”は、本ルーチンが前回実行されたときに設定されたなまし処理済差分Pbdnの値であり、“n”は、なまし処理における時定数であり、例えば、n=2と設定される。更に、ステップS1540にて設定したなまし処理済差分Pbdnから本ルーチンが前回実行されたときに設定されたなまし処理済差分Pbdnを減じた値と、予め定められたレートリミット値ΔPbdnとの小さい方をレートリミット処理済差分Pbdrとして設定し(ステップS1550)、当該レートリミット処理済差分Pbdrと予め定められた上限値Pbdlimとの小さい方と、値0との大きい方とをガード処理済差分Pbdgとして設定する(ステップS1560)。
Pbest = Tm1*last・Nm1 + Tm2*last・Nm2 + Ph + Loss …(1)
Pbdn=前回Pbdn+(Pbd-前回Pbdn)/ n …(2)
次いで、モードスイッチフラグFmsが値0であるか否かを判定し(ステップS1570)、モードスイッチフラグFmsが値0であって運転者によりノーマルモードが選択されていると判定されたときには、バッテリ50の充電割合SOCとバッテリ温度Tbと予め定められたノーマルモード時反映率設定用マップとを用いて反映率αを設定する(ステップS1580)。一方、ステップS1570にてモードスイッチフラグFmsが値1であって運転者によりパワーモードが選択されていると判定されたときには、バッテリ50の充電割合SOCとバッテリ温度Tbと予め定められたパワーモード時反映率設定用マップとを用いて反映率αを設定する(ステップS1590)。
ノーマルモード時反映率設定用マップは、充電割合SOCおよびバッテリ温度Tbに対応した反映率αを基本的にバッテリ50の出力制限Woutが小さくなるほど大きな値に規定するように予め作成され、パワーモード時反映率設定用マップと共にハイブリッドECU70のROM74に記憶されている。また、パワーモード時反映率設定用マップは、充電割合SOCおよびバッテリ温度Tbに対応した反映率αを基本的にバッテリ50の出力制限Woutが小さくなるほど大きな値に規定すると共にノーマルモード時反映率設定用マップに比べて同一の充電割合SOCおよびバッテリ温度Tbに対応した反映率αを大きな値に規定するように予め作成される、更に、実施例のノーマルモード時反映率設定用マップおよびパワーモード時反映率設定用マップは、バッテリ50のバッテリ温度Tbが所定温度Tbref以上であるときにバッテリ温度Tbが高くなるほど反映率αを小さな値に規定すると共に、バッテリ50の充電割合SOCが所定割合SOCref以下であるときに充電割合SOCが小さくなるほど反映率αを小さな値に規定するように定められている。なお、所定温度Tbrefや所定割合SOCrefは、ノーマルモード時反映率設定用マップとパワーモード時反映率設定用マップとで異なっていてもよい。
そして、ステップS1560にて設定したガード処理済差分Pbdgに反映率αを乗じることにより制御用差分Pbdfを計算し(ステップS1600)、当該制御用差分Pbdfを出力制限Woutに加算することにより補正された出力制限としての制御用出力制限Woutfを設定する(ステップS1610)。上述のようなステップS1510〜S1610の処理が実行されることにより、推定放電電力Pbestが実放電電力Pbよりも大きく差分Pbdが正の値になるときには、制御用出力制限WoutfがステップS100にて入力した出力制限Woutよりも制御用差分Pbdfだけ大きな値に設定される。また、推定放電電力Pbestが実放電電力Pb以下であって差分Pbdが負の値になるときには、ステップS1560にてガード処理済差分Pbdgが値0に設定されることから、制御用出力制限WoutfはステップS100にて入力した出力制限Woutに一致することになる。
ステップS150の出力制限Woutの補正処理を実行して制御用出力制限Woutfを設定したならば、ステップS140にて設定した要求トルクTr*やバッテリ50の充放電要求パワーPb*、推定補機消費電力Phおよび予め定められた損失分のパワーLoss′に基づいて次式(3)に従いエンジン22に要求される要求パワーPe*を設定する(ステップS160)。なお、式(3)中の“Gr”は減速ギヤ機構35のギヤ比である。次いで、エンジン22を効率よく動作させるために予め定められた図示しない動作ラインとエンジン要求パワーPe*とに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS170)。続いて、設定した目標回転数Ne*を用いて次式(4)に従いモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づく次式(5)に従いモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS180)。なお、式(5)中の“ρ”はプラネタリギヤ30のギヤ比(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)である。また、式(5)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(5)中の“k1”は比例項のゲインであり、“k2”は積分項のゲインである。
モータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定したならば、次式(6)に従いモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮モータトルクTm2tmpを計算する(ステップS190)。更に、トルク指令Tm1*や回転数Nm1、推定補機消費電力Ph、上述の損失分の電力Lossに基づいて次式(7)および(8)に従い入力制限Winおよび制御用出力制限Woutの範囲内でモータMG2から出力してもよいトルクの上下限値としてのトルク制限Tmax,Tminを計算する(ステップS200)。そして、次式(9)に従いモータMG2に対するトルク指令Tm2*をトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値に設定する(ステップS210)。これにより、実施例のハイブリッド自動車20では、損失分の電力Lossを考慮すると共に複数の補機92による推定補機消費電力Phの消費を許容しつつバッテリ50の放電電力が制御用出力制限Woutfを超えないようにモータMG2に対するトルク指令Tm2*を設定することができる。こうして目標回転数Ne*や目標トルクTe*、トルク指令Tm1*およびTm2*を設定したならば、目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、トルク指令Tm1*およびTm2*をモータECU40に送信して(ステップS220)、本ルーチンを一旦終了する。
Pe*=Tr*・Nm2/Gr-Pb*+Ph+Loss´ …(3)
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(4)
Tm1*=-ρ/(1+ρ)・Te*+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt …(5)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(6)
Tmax=(Woutf-Tm1*・Nm1-Ph-Loss)/Nm2 …(7)
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1-Ph-Loss)/Nm2 …(8)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tmax),Tmin) …(9)
ハイブリッドECU70から目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受け取ったエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントでエンジン22が運転されるようにエンジン22における吸入空気量調節制御や燃料噴射制御、点火制御等の制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受け取ったモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング制御を行なう。更に、複数の補機92は、当該補機92ごとに設定された目標稼働状態となるようにハイブリッドECU70や他の電子制御ユニットにより制御される。
図8は、制御用出力制限Woutfを得るための出力制限Woutの補正処理(図7)を実行せずに図4のステップS200にて制御用出力制限Woutfの代わりにステップS100にて入力した出力制限Woutを用いたときのバッテリ50の推定放電電力Pbestおよび実放電電力Pbの時間変化の様子を示すタイムチャートである。また、図9は、制御用出力制限Woutfを得るための出力制限Woutの補正処理(図7)を伴う図4の駆動制御ルーチンが実行されたときのバッテリ50の推定放電電力Pbestおよび実放電電力Pbの時間変化の様子を示すタイムチャートである。図8に示すように、例えばハイブリッド自動車20の状態が過渡的に変化した際に制御遅れが発生したり、複数の補機92により実際に消費される電力が推定補機消費電力Phよりも小さかったり、損失分の電力の見積もりにズレを生じていたりすると、バッテリ50の実放電電力Pb(図中破線参照)が推定放電電力Pbest(図中実線参照)よりも小さくなることがある。この際、図4のステップS200にて制御用出力制限Woutfの代わりにステップS100にて入力した出力制限Woutを用いてトルク制限Tmax,Tminを設定すると共に上記式(9)に従ってトルク指令Tm2*を設定することにより、トルク指令Tm2*が仮モータトルクTm2tmpよりも小さな値に設定されると、実際にはバッテリ50から放電可能な電力に余裕があるにも拘わらず、モータMG2の出力が制限されてしまい(推定放電電力Pbestが図示するように出力制限Woutに一致し)、運転者によって要求されている要求トルクTr*を満たせなくなってしまうおそれがある。
これに対して、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50の推定放電電力Pbestが実放電電力Pbよりも大きいときに、当該推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づいてバッテリ50の出力制限Woutよりも放電電力として大きくなるように制御用出力制限Woutfが設定される(ステップS150、図7)。そして、損失分の電力Lossを考慮すると共に複数の補機92による推定補機消費電力Phの消費を許容しつつバッテリ50の放電電力が制御用出力制限Woutfを超えないようにモータMG2に対するトルク指令Tm2*が設定される(ステップS190〜S210)。これにより、モータMG2に対するトルク指令Tm2*が仮モータトルクTm2tmpよりも小さな値に設定されてしまうのを抑制し(推定放電電力Pbestを図示するように制御用出力制限Woutf以下に抑え)、図9に示すように、実放電電力Pbをバッテリ50の状態に応じた出力制限Woutにより近づけることが可能となる。従って、実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の出力を良好に確保して運転者により要求される要求トルクTr*をより良好に満たすことができる。また、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づいて制御用出力制限Woutfを設定することにより、バッテリ50が過剰な放電を抑制して、バッテリ50の実放電電力Pbがバッテリ50の状態に応じた出力制限Woutを超えないようにすることができる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50から放電される電力の推定値である推定放電電力Pbestが取得されると共に(ステップS1510)、バッテリ50から実際に放電される電力である実放電電力Pbが取得される(ステップS1520)。そして、推定放電電力Pbestが実放電電力Pbよりも大きいときには、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づいて出力制限Woutよりも放電電力として大きくなるように制御用出力制限Woutfが設定される(ステップS1530〜S1610)。すなわち、実施例のハイブリッド自動車20では、推定放電電力Pbestが実放電電力Pbよりも大きいときに、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づいて出力制限Woutが補正され(制御用出力制限Woutfが設定され)、補正された出力制限としての制御用出力制限Woutfの範囲内で要求トルクTr*に基づくトルクが得られるようにモータMG2が制御される(ステップS190〜S210)。これにより、制御遅れや、補機92により実際に消費される電力が推定補機消費電力Phを下回ったこと、損失分の電力Lossの見積もりのズレ等に起因してバッテリ50から放電可能な電力に余裕を生じたときに、出力制限Woutを必要以上に増加させないようにしながら、より適正に増加させることができるので、補正された出力制限Woutすなわち制御用出力制限Woutfの範囲内でモータMG2を制御することでモータMG2の出力を良好に確保することができる。従って、実施例のハイブリッド自動車20では、バッテリ50をより適正に放電させてハイブリッド自動車20の走行に要求される要求トルクTr*をより良好に満たすことが可能となる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに基づく制御用差分Pbdfと、出力制限Woutが小さいほど大きくなるように定められる反映率αとの積を出力制限Woutに加算することにより制御出力制限Woutfが設定される(ステップS1600およびS1610)。このように、出力制限Woutが小さいほど大きくなるように制御出力制限Woutfを設定することにより、モータMG2の出力が制限されやすいときに制御出力制限Woutfをより適正に増加させて、モータMG2の出力をより良好に確保することが可能となる。
更に、実施例のハイブリッド自動車20において、反映率αは、バッテリ50のバッテリ温度Tbが所定温度Tbref以上であるときには、バッテリ温度Tbが高いほど小さくなるように定められると共に、バッテリ50の充電割合SOCが所定割合SOCref以下であるときには、充電割合SOCが小さいほど小さくなるように定められる(ステップS1580,S1590)。これにより、バッテリ50のバッテリ温度Tbが高いときに制御出力制限Woutfが放電電力として大きくなり過ぎないようにしてバッテリ50の放電を抑制し、バッテリ50の温度が過剰に上昇しないようにすることができる。また、バッテリ50の充電割合SOCが低いときに制御出力制限Woutfが放電電力として大きくなり過ぎないようにしてバッテリ50の放電を抑制し、バッテリ50の充電割合SOCが過剰に低下しないようにすることができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、推定放電電力Pbestと実放電電力Pbとの差分Pbdに緩変化処理(ステップS1540〜S1560)を施して得られる制御用差分Pbdfと反映率αとの積を出力制限Woutに加算することにより制御用出力制限Woutfが設定されるので、制御出力制限Woutfの急変を抑制することができる。
更に、実施例のハイブリッド自動車20は、通常走行用のノーマルモード(第1のモード)と、ノーマルモードよりも走行用の動力の出力応答性を優先するパワーモード(第2のモード)との選択を運転者に許容するモードスイッチ88を備えており、反映率αは、運転者によりパワーモードが選択されているときには、ノーマルが選択されているときに比べて大きくなるように定められる(ステップS1570〜S1590)。これにより、ノーマルモードよりも走行用の動力の出力応答性を優先するパワーモードが選択されているときに、モータMG2の出力を確保しやすくして、運転者の駆動力要求により良好に応えることが可能となる。
また、実施例のハイブリッド自動車20は、バッテリ50からの電力により駆動される複数の補機92を備えており、推定放電電力Pbestは、モータMG1,MG2により消費される電力の推定値(Tm1*last×Nm1+Tm2*last×Nm2)に少なくとも複数の補機92により消費される電力の推定値である推定補機消費電力Phを加算することにより取得される。これにより、推定放電電力Pbestをより適正に取得することが可能となる。
なお、ハイブリッド自動車20のモータ走行中に図4のステップS150〜S220と同様の処理を実行してもよいことはいうまでもない。また、上記実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22と、当該エンジン22からの動力の少なくとも一部を用いて発電可能なモータMG1と、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力を出力可能なモータMG2とを備えるものであるが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。すなわち、本発明の車両は、走行用の動力を出力可能な少なくとも1つのモータと、当該モータと電力をやり取り可能な蓄電装置とを備える車両であればよく、ハイブリッド自動車であってもよく、電気自動車であってもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、走行用の動力を出力可能なモータMG2が「電動機」に相当し、モータMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50が「蓄電装置」に相当し、バッテリ50の状態に基づいてバッテリ50の放電に許容される電力である出力制限Woutを設定するバッテリECU52が「許容放電電力設定手段」に相当し、図4の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッドECU70やモータECU40等が「制御手段」に相当し、図7のステップS1510の処理を実行するハイブリッドECU70が「推定放電電力取得手段」に相当し、図7のステップS1520の処理を実行するハイブリッドECU70が「実放電電力取得手段」に相当し、図7のS1530〜S1610の処理を実行するハイブリッドECU70が「許容放電電力補正手段」に相当し、エンジン22が「内燃機関」に相当し、エンジン22から出力される動力の少なくとも一部を用いて発電可能なモータMG1が「第2の電動機」に相当する。
ただし、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、走行用の動力を出力可能な電動機と、当該電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置とを有する車両の製造産業に利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、34 プラネタリキャリア、35 減速ギヤ機構、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、55 電流センサ、56 電圧センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、81 シフトレバー、82 シフトレンジセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルストロークセンサ、87 車速センサ、88 モードスイッチ、90 駆動回路、92 補機、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置と、前記蓄電装置の状態に基づいて該蓄電装置の放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容放電電力設定手段と、前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求駆動力に基づくトルクが得られるように前記電動機を制御する制御手段とを有する車両において、
    前記蓄電装置から放電される電力の推定値である推定放電電力を取得する推定放電電力取得手段と、
    前記蓄電装置から実際に放電される電力である実放電電力を取得する実放電電力取得手段と、
    前記推定放電電力が前記実放電電力よりも大きいときに、該推定放電電力と該実放電電力との差に基づいて放電電力として大きくなるように該許容放電電力を補正する許容放電電力補正手段と、
    を備えることを特徴とする車両。
  2. 前記許容放電電力補正手段は、前記推定放電電力と前記実放電電力との差に基づく値と、前記許容放電電力設定手段により設定された許容放電電力が小さいほど大きくなるように定められる反映率との積を該許容放電電力に加算することを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 前記反映率は、前記蓄電装置の温度が所定温度以上であるときには、該温度が高いほど小さくなるように定められると共に、前記蓄電装置の充電割合が所定割合以下であるときには、該充電割合が小さいほど小さくなるように定められることを特徴とする請求項2に記載の車両。
  4. 前記許容放電電力補正手段は、前記推定放電電力と前記実放電電力との差に緩変化処理を施して得られる値と前記反映率との積を前記許容放電電力設定手段により設定された許容放電電力に加算することを特徴とする請求項2または3に記載の車両。
  5. 通常走行用の第1のモードと、該第1のモードよりも走行用の動力の出力応答性を優先する第2のモードとの選択を運転者に許容する運転モード選択手段を更に備え、
    前記反映率は、運転者により前記第2のモードが選択されているときには、前記第1のモードが選択されているときに比べて大きくなるように定められることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載の車両。
  6. 前記蓄電装置からの電力により駆動される複数の補機を更に備え、
    前記推定放電電力は、前記電動機により消費される電力の推定値に少なくとも前記複数の補機により消費される電力の推定値を加算することにより取得されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の車両。
  7. 内燃機関と、該内燃機関から出力される動力の少なくとも一部を用いて発電可能な第2の電動機とを更に備え、
    前記推定放電電力は、前記電動機により消費される電力の推定値に少なくとも前記第2の電動機により消費される電力の推定値を加算することにより取得され、
    前記電動機により消費される電力の推定値は、該電動機のトルク指令値および回転数の積であり、前記第2の電動機により消費される電力の推定値は、該第2の電動機のトルク指令値および回転数の積であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の車両。
  8. 走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電装置と、前記蓄電装置の状態に基づいて該蓄電装置の放電に許容される電力である許容放電電力を設定する許容放電電力設定手段とを備えた車両の制御方法であって、
    (a)前記蓄電装置から放電される電力の推定値である推定放電電力を取得すると共に、前記蓄電装置から実際に放電される電力である実放電電力を取得し、
    (b)前記推定放電電力が前記実放電電力よりも大きいときに、該推定放電電力と該実放電電力との差に基づいて前記許容放電電力が放電電力として大きくなるように該許容放電電力を補正し、
    (c)補正後の前記許容放電電力の範囲内で走行に要求される要求駆動力に基づくトルクが得られるように前記電動機を制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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