JP2012091645A - ハイブリッド自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリの蓄電割合SOCに拘わらず、モータからのトルクにより遊星歯車機構の歯打ちの発生を抑制させる。
【解決手段】停車時にエンジンを運転させる際には、バッテリの蓄電割合SOCが閾値SOChi未満のときには(S180)、モータMG1から負トルク−Tsetを出力すると共にエンジンがアイドリング回転数Nidleで回転するようエンジンとモータMG1とを駆動制御し(S190〜S210)、バッテリの蓄電割合SOCが閾値SOChi以上のときにはモータMG1から正トルクTsetを出力すると共にエンジンがアイドリング回転数Nidleで回転するようエンジンとモータMG1とを駆動制御する(S220〜S240)。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、プラネタリギヤのキャリアにエンジンのクランクシャフトが、サンギヤに第1のモータの回転軸が、リングギヤに第2のモータの回転軸に連結された駆動軸(車軸)がそれぞれ接続されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、停車時にエンジンを始動する際には、最遅角よりも若干進角寄りの点火時期をもってエンジンを始動することにより、エンジンのトルク変動に起因してプラネタリギヤの各ギヤの歯同士が衝突を繰り返す歯打ちの発生を防止している。なお、停車時には、通常、エンジンの運転は停止されるが、エンジンの暖機や二次電池の充電が要求されたときなどにエンジンが始動される場合がある。
特開2007−126097号公報
上述したタイプのハイブリッド自動車では、エンジンが始動されると、エンジンはその負荷を高くした方が燃焼状態が安定するため、エンジンを負荷運転しながら第1のモータからエンジンの回転数を押さえ込む方向のトルク(負トルク)を出力することにより、プラネタリギヤの各ギヤを片側に押し当てた状態(ガタ詰め状態)とすることができ、歯打ちの発生を抑制することができる。しかしながら、第1のモータからの負トルクの出力は二次電池の充電を伴うため、二次電池が満充電や満充電に近い状態では、第1のモータから負トルクを出力することができない結果、プラネタリギヤの各ギヤのガタ詰めができずに、歯打ちが発生してしまう。なお、二次電池は満充電であるがエンジンの運転が要求される場合としては、エンジンの暖機が要求された場合や、エンジンで発生する熱を用いて暖房する暖房装置を備える自動車では暖房要求がなされた場合などが該当する。
本発明のハイブリッド自動車は、二次電池の蓄電割合に拘わらず、電動機からのトルクにより遊星歯車機構のガタ詰めを適切に行って歯打ちの発生を抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、発電が可能な第1の電動機と、該内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸の3軸が接続された遊星歯車機構と、前記第1の電動機と電力のやり取りが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合としての蓄電割合を検出する蓄電割合検出手段と、
停車中に前記内燃機関の運転が要求されたときには、前記検出された蓄電割合が予め定められた所定割合未満の場合には前記内燃機関の回転数を減少させる方向のトルクが前記第1の電動機から出力されるよう該第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関と該第1の電動機とを制御し、前記検出された蓄電割合が前記所定割合以上の場合には前記内燃機関の回転数を増加させる方向のトルクが前記第1の電動機から出力されるよう該第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関と該第1の電動機とを制御する停車時制御を実行する停車時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、停車中に内燃機関の運転が要求されたときには、二次電池の蓄電割合が所定割合未満の場合には内燃機関の回転数を減少させる方向のトルクが第1の電動機から出力されるよう第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で内燃機関が運転されるよう内燃機関と第1の電動機とを制御し、二次電池の蓄電割合が所定割合以上の場合には内燃機関の回転数を増加させる方向のトルクが第1の電動機から出力されるよう第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で内燃機関が運転されるよう内燃機関と第1の電動機とを制御する。これにより、二次電池の蓄電割合に拘わらず、第1の電動機からのトルクにより遊星歯車機構のギヤを片側に押し当てることができ、歯打ちの発生を抑制することができる。
前記駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機を備え、前記内燃機関の運転を伴って走行しているときには前記二次電池の蓄電割合が予め定められた制御中心に近づくよう充放電電力を設定して前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する本発明のハイブリッド自動車において、前記所定割合は、前記制御中心よりも高い割合に定められてなるものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記所定割合は、前記制御中心を含む制御目標範囲の上限よりも低い割合に定められてなるものとすることもできる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関の運転に伴って生じる熱を用いて乗員室内を暖房する暖房装置を備え、前記停車時制御手段は、停車中に前記暖房装置の暖房要求がなされたときに前記停車時制御を実行する手段であるものとすることもできる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 蓄電割合SOCと充放電要求パワーとの関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停車時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータMG1から負トルクを出力してエンジン22を回転数Nidleで運転させるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 モータMG1から正トルクを出力してエンジン22を回転数Nidleで運転させるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して複数のピニオンギヤ33を連結したキャリア34が接続されると共に駆動輪39a,39bにギヤ機構37とデファレンシャルギヤ38とを介して連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aにリングギヤ32が接続されて遊星歯車機構として構成された3軸式の動力分配統合機構30と、例えば周知の同期発電電動機として構成されて動力分配統合機構30のサンギヤ31にロータが接続されたモータMG1と、例えば周知の同期発電電動機として構成されて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介してロータが接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するの駆動回路として構成されたインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやり取りするバッテリ50と、乗員室内の温度が設定された設定温度より低いときにエンジン22を冷却する図示しない冷却水の熱を用いて乗員室内を設定温度まで暖房する暖房装置60と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24によりその燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御がなされている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力されており、エンジンECU24からは、図示しないスロットルバルブや燃料噴射弁,点火プラグ,可変バルブタイミング機構などへの駆動制御信号が出力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン回転数Neも演算している。
モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50から放電可能な蓄電量の全容量に対する割合としての蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりする。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、暖房装置60への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。ここで、充放電運転モードでは、バッテリ50の充放電に必要な電力(充放電要求パワー)としては、蓄電割合SOCが制御目標範囲内(例えば、制御下限値が40%で制御上限値が70%)となるよう設定される。図2に、蓄電割合SOCと充放電要求パワーとの関係の一例を示す。充放電要求パワーは、図示するように、蓄電割合SOCが制御中心SOC*(例えば、60%)よりも高いときには高くなるほど大きくなる傾向に放電側の電力が設定され、蓄電割合SOCが制御中心SOC*よりも低いときには低くなるほど絶対値が大きくなる傾向に充電側の電力が設定される。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、停車時にエンジン22を運転する際の動作について説明する。図3は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される停車時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、停車時、即ち、車速センサ88からの車速Vが所定車速未満(例えば、時速10kmなど)のときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
停車時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数Neやバッテリ50の蓄電割合SOCなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいて演算されたクランクシャフト26の回転数をエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、エンジン22が運転中であるか否かを判定し(ステップS110)、エンジン22が運転中であると判定されたときには、エンジン22の停止条件が成立しているか否かを判定し(ステップS120)、停止条件が成立していれば、エンジン22の運転を停止して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。ここで、エンジン22の停止条件は、実施例では、バッテリ50の蓄電割合SOCが所定割合Sref1(例えば、50%など)以上でバッテリ50の充電が不要であり、且つ、エンジン22の冷却水の温度が所定温度以上でエンジン22の暖機が不要であり、暖房装置60からの暖房要求もなされないときに成立するものとした。
エンジン22が運転中でない、即ち運転停止中と判定されると、エンジン22の始動条件が成立しているか否かを判定し(ステップS140)、始動条件が成立していないときには、何もせずに本ルーチンを終了し、始動条件が成立しているときには、モータMG1によりエンジン22をクランキングすることによりエンジン22を始動する(ステップS150)。ここで、エンジン22の始動条件は、実施例では、バッテリ50の蓄電割合SOCが所定割合Sref2(例えば、30%)未満でバッテリ50の充電要求がなされているか、エンジン22の冷却水の温度が所定温度未満でエンジン22の暖機が必要であるか、暖房装置60からの暖房要求がなされているかのいずれかが成立しているときに成立するものとした。
エンジン22を始動すると、バッテリ50の充電要求がなされているか否かを判定し(ステップS160)、バッテリ50の充電要求がなされているときには、エンジン22を負荷運転してモータMG1で発電してバッテリ50を充電するバッテリ充電制御を実行して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。バッテリ充電制御は、バッテリ50を充電するための充電用パワーPch(例えば、5kwなど)を設定し、設定した充電用パワーPchを動力換算してエンジン22から出力すべき要求パワーPe*を設定し、設定した要求パワーPe*がエンジン22から効率良く出力されるようエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定すると共に目標回転数Ne*でエンジン22が回転するようフィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*でエンジン22を運転制御すると共にトルク指令Tm1*でモータMG1を駆動制御することにより行なわれる。
一方、バッテリ50の充電要求がなされていないときには、入力した蓄電割合SOCが閾値SOChi未満か否かを判定し(ステップS180)、蓄電割合SOCが制御中心(例えば、60%)よりも大きく且つ制御目標範囲の上限値(例えば、70%)よりも若干小さな閾値SOChi(例えば、68%や69%など)未満と判定されると、モータMG1のトルク指令Tm1*に所定の負トルク−Tsetを設定すると共に(ステップS190)、アイドリング用の回転数Nidleをエンジン22の目標回転数Ne*として設定し(ステップS200)、設定した目標回転数Ne*と現在のエンジン22の回転数Neとに基づいて次式(1)によりエンジン22の目標トルクTe*を設定し(ステップS210)、設定した目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信し、設定したトルク指令Tm1*についてはモータECU40に送信して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。目標トルクTe*を受信したエンジンECU24は、エンジン22から目標トルクTe*が出力されるよう燃焼噴射制御や点火制御を行ない、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、モータMG1からトルク指令Tm1*に相当するトルクが出力されるようインバータ41のスイッチング素子をスイッチング制御する。ここで、式(1)は、エンジン22をアイドリング用の回転数Nidleで回転させるためのフィードバック制御の関係式であり、「kp」は比例項のゲインを示し、「ki」は積分項のゲインを示す。図4は、モータMG1から負トルクを出力してエンジン22を回転数Nidleで運転させるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。図示するように、モータMG1は、その回転方向とは逆方向のトルクを出力するから、発電し、発電電力はバッテリ50に充電される。いま、バッテリ50の充電が不要な場合を考えているから、エンジン22をアイドリング回転数Nidleで自立運転させればよいが、この場合、エンジン22のトルク変動によって動力分配統合機構30の各ギヤ同士が衝突を繰り返して歯打ちし、振動や異音が発生する場合がある。本実施例では、モータMG1から負トルク−Tsetを出力しながらエンジン22をアイドリング回転数Nidleで運転制御することにより、動力分配統合機構30(遊星歯車機構)の各ギヤを片側に押し当てた状態(ガタ詰め状態)とし、歯打ちの発生を防止している。ここで、所定の負トルク−Tsetには、動力分配統合機構30のガタ詰めに必要十分なトルクが定められており、バッテリ50への充電量は前述したバッテリ充電制御に比して極めて小さなものとなる。
Te*=kp・(Nidle-Ne)+ki・∫(Nidle-Ne)dt (1)
一方、蓄電割合SOCが閾値SOChi以上と判定されると、モータMG1のトルク指令Tm1*に所定の正トルクTsetを設定すると共に(ステップS220)、アイドリング用の回転数Nidleをエンジン22の目標回転数Ne*として設定し(ステップS230)、設定した目標回転数Ne*でエンジン22が運転されるよう式(1)により目標トルクTe*を設定し(ステップS240)、設定した目標トルクTe*をエンジンECU24に、トルク指令Tm1*をモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。図5は、モータMG1から正トルクを出力してエンジン22を回転数Nidleで運転させるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。図示するように、モータMG1は、その回転方向と同方向のトルクを出力するから、バッテリ50の放電を伴って電力を消費する。このように、蓄電割合SOCが閾値SOChi以上でバッテリ50を充電する余裕がないと判断されるときでも、モータMG1から正トルクTsetを出力することにより、動力分配統合機構30のガタ詰めを行なって歯打ちの発生を防止しているのである。ここで、所定の正トルクTsetには、動力分配統合機構30のガタ詰めに必要十分なトルクが定められており、バッテリ50の放電量は十分に小さなものとなる。なお、こうしたステップS220〜S250の処理が繰り返され、蓄電割合SOCが閾値SOChi未満となると、モータMG1のトルクは正トルクTsetから負トルク−Tsetに切り替えられる。この場合、モータMG1のトルクが頻繁に切り替わらないよう閾値SOChiにヒステリシスを持たせるものとしてもよいことは勿論である。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、停車時にエンジン22を運転させる際には、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値SOChi未満のときにはモータMG1から負トルク−Tsetを出力すると共にエンジン22がアイドリング回転数Nidleで回転するようエンジン22とモータMG1とを駆動制御し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値SOChi以上のときにはモータMG1から正トルクTsetを出力すると共にエンジン22がアイドリング回転数Nidleで回転するようエンジン22とモータMG1とを駆動制御するから、バッテリ50の蓄電割合SOCに拘わらずモータMG1からのトルクにより動力分配統合機構30の各ギヤをガタ詰めすることができ、歯打ちの発生を抑制することができる。この結果、歯打ちに起因する振動や異音の発生を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図6の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図6における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「第1の電動機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50から放電可能な蓄電量の全容量に対する割合としての蓄電割合SOCを演算するモータECU40が「蓄電割合演算手段」に相当し、停車時にエンジン22を運転する際には、蓄電割合SOCが閾値SOChi未満のときにはモータMG1のトルク指令Tm1*に所定の負トルク−Tsetを設定すると共にエンジン22の回転数Neと目標回転数であるアイドリング回転数Nidleとに基づいてフィードバック制御によりエンジン22の目標トルクTe*を設定し、蓄電割合SOCが閾値SOChi以上のときにはモータMG1のトルク指令Tm1*に所定の正トルクTsetを設定すると共にエンジン22の回転数Neと目標回転数であるアイドリング回転数Nidleとに基づいてフィードバック制御によりエンジン22の目標トルクTe*を設定し、設定した目標トルクTe*をエンジンECU24に送信し、設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する図3の停車時制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信した目標トルクTe*でエンジン22を運転制御したりエンジン22を始動したりエンジン22を運転停止したりするエンジンECU24と、受信したトルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41をスイッチング制御するモータECU40とが「停車時制御手段」に相当する。また、モータMG2が「第2の電動機」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「第1の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「蓄電割合演算手段」としては、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50の蓄電割合SOCを演算するものに限定されるものではなく、二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合を演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「停車時制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。停車時にエンジン22を運転する際には、蓄電割合SOCが閾値SOChi未満のときにはモータMG1のトルク指令Tm1*に所定の負トルク−Tsetを設定すると共にエンジン22の回転数Neと目標回転数であるアイドリング回転数Nidleとに基づいてフィードバック制御によりエンジン22の目標トルクTe*を設定し、蓄電割合SOCが閾値SOChi以上のときにはモータMG1のトルク指令Tm1*に所定の正トルクTsetを設定すると共にエンジン22の回転数Neと目標回転数であるアイドリング回転数Nidleとに基づいてフィードバック制御によりエンジン22の目標トルクTe*を設定してエンジン22とモータMG1とを制御するものに限定されるものではなく、停車中に内燃機関の運転が要求されたときには、蓄電割合が予め定められた所定割合未満の場合には内燃機関の回転数を減少させる方向のトルクが第1の電動機から出力されるよう第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で内燃機関が運転されるよう内燃機関と第1の電動機とを制御し、蓄電割合が所定割合以上の場合には内燃機関の回転数を増加させる方向のトルクが第1の電動機から出力されるよう第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で内燃機関が運転されるよう内燃機関と第1の電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 暖房装置、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (4)

  1. 内燃機関と、発電が可能な第1の電動機と、該内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸の3軸が接続された遊星歯車機構と、前記第1の電動機と電力のやり取りが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合としての蓄電割合を検出する蓄電割合検出手段と、
    停車中に前記内燃機関の運転が要求されたときには、前記検出された蓄電割合が予め定められた所定割合未満の場合には前記内燃機関の回転数を減少させる方向のトルクが前記第1の電動機から出力されるよう該第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関と該第1の電動機とを制御し、前記検出された蓄電割合が前記所定割合以上の場合には前記内燃機関の回転数を増加させる方向のトルクが前記第1の電動機から出力されるよう該第1の電動機が駆動されると共に目標回転数で該内燃機関が運転されるよう該内燃機関と該第1の電動機とを制御する停車時制御を実行する停車時制御手段と
    を備えるハイブリッド自動車。
  2. 前記駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機を備え、前記内燃機関の運転を伴って走行しているときには前記二次電池の蓄電割合が予め定められた制御中心に近づくよう充放電電力を設定して前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
    前記所定割合は、前記制御中心よりも高い割合に定められてなる
    ハイブリッド自動車。
  3. 請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
    前記所定割合は、前記制御中心を含む制御目標範囲の上限よりも低い割合に定められてなる
    ハイブリッド自動車。
  4. 請求項1ないし3いずれか1項に記載のハイブリッド自動車であって、
    前記内燃機関の運転に伴って生じる熱を用いて乗員室内を暖房する暖房装置を備え、
    前記停車時制御手段は、停車中に前記暖房装置の暖房要求がなされたときに前記停車時制御を実行する手段である
    ハイブリッド自動車。
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