JP2007106236A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】要求駆動力に基づく駆動力による車両走行中に内燃機関の回転数を変更するときに駆動力の低下を抑制する。
【解決手段】要求トルクTr*に基づく駆動力による車両走行中に運転者によるダウンシフトに応じてモータMG1によりエンジン回転数を変更するときには(S140)、エンジン回転数の変更が完了するか(S230)、ダウンシフト後に所定時間tが経過するまで(S240)、バッテリ50の入出力制限を拡大補正し(S250)、補正した入出力制限を用いてモータMG2のトルク制限を計算し(S170)、計算したトルク制限でモータMG2のトルク指令Tm2*を制限する(S180)。これにより、ダウンシフト感を与えるべくエンジン回転数を変更するときに、モータMG1の発電電力が減少しても、過大な電力による充放電を抑制しつつモータMG2に十分な電力を供給して駆動力の低下を抑制できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両およびこれを制御するための車両の制御方法に関する。
従来から、この種の車両として、エンジンの出力軸、発電機および駆動出力軸に接続された3つの回転要素を有する遊星歯車機構と、駆動出力軸に連結された電動機と、発電機および電動機と電力のやりとりを行なうバッテリとを備えたハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両の定常走行時には、要求動力に見合う動力が出力されるようにエンジンが制御されると共にエンジンから出力される動力のすべてが遊星歯車機構と発電機と電動機とによってトルク変換されて駆動出力軸に出力されるように発電機と電動機とが制御される。
特開平10−295003号公報
ところで、上述のような車両では、エンジンを任意の運転ポイントで運転することが可能であることから、駆動出力軸に車両を走行させるための駆動力が出力されている最中に、発電機からエンジンの出力軸に出力される動力(トルク)を調整してエンジンの回転数を変化させることにより、有段の自動変速機を備えた車両における変速感に似た走行感覚を運転者らに提供することができる。ただし、発電機から出力される動力を小さくしてエンジンの回転数を高める場合には、発電機の発電電力が小さくなるので、それを補うべく電動機で消費される電力の一部を蓄電装置の放電によりまかなう必要が生じる。この際に、蓄電装置の状態によっては蓄電装置から電動機に十分な電力が供給されず、要求駆動力に応じた駆動力が得られなくなるおそれもある。
そこで、本発明の車両およびその制御方法は、走行に要求される要求駆動力に基づく駆動力により車両が走行している最中に内燃機関の回転数を変更するときに車両を走行させるための駆動力の低下を抑制することを目的の一つとする。また、本発明の車両およびその制御方法は、内燃機関の回転数を変更するときに蓄電装置の過大な電力による充放電を抑制することを目的の一つとする。
本発明による車両およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採っている。
本発明による車両は、
内燃機関と、
車両の何れかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸の何れかである第2車軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機との間で電力をやりとり可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段についての電力の入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づく駆動力による走行中に所定の変更条件の成立に応じて前記電力動力入力手段によって前記内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、前記設定された前記蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って前記内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この車両では、蓄電手段の状態に基づいて当該蓄電手段についての電力の入出力制限を設定すると共に、走行に要求される要求駆動力を設定した上で、設定した要求駆動力に基づく駆動力による走行中に所定の変更条件の成立に応じて電力動力入力手段によって内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、設定した蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する。このように、要求駆動力に基づく駆動力による車両走行中に電力動力入出力手段によって内燃機関の回転数を変更するときに、所定の解除条件が成立するまで蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を行えば、電力動力入出力手段から出力される電力が変化しても、蓄電手段から電動機に十分な電力を供給して駆動力の低下を抑制することが可能となる。そして、この車両において、蓄電手段の入出力範囲を拡大する補正は所定の変更条件の成立から所定の解除条件が成立するまでの間に限定されるので、蓄電装置の過大な電力による充放電を抑制することができる。
また、前記解除条件は、前記内燃機関の回転数の変更が概ね完了することであってもよい。これにより、所定の変更条件の成立から内燃機関の回転数の変更が概ね完了するまでの間、蓄電出段の入出力制限を拡大して車両を走行させるための駆動力の低下を抑制することが可能となる。
更に、前記解除条件は、前記変更条件の成立から所定時間が経過することであってもよい。このように、内燃機関の回転数の変更が概ね完了するか否かに拘わらず、変更条件の成立から所定時間が経過するまで蓄電出段の入出力制限を拡大することにより、蓄電装置の過大な電力による充放電を必要最小限に抑制して蓄電手段の劣化を抑制することが可能となる。
また、本発明による車両は、前記内燃機関の車速と前記内燃機関の回転数との関係を定めるためのシフトポジションを設定するシフト設定手段を更に備えてもよく、前記変更条件は、前記シフト設定手段によってそれまでとは異なるシフトポジションが設定されることであってもよい。これにより、シフトポジションの変更に応じて運転者らに変速感を与えるべく内燃機関の回転数を変更するときに、車両を走行させるための駆動力の低下を抑制することが可能となる。
この場合、前記変更条件は、前記シフト設定手段によってダウンシフト側にシフトポジションが設定されることであってもよい。これにより、ダウンシフトに応じて内燃機関の回転数を高める場合に、電力動力入出力手段から出力される電力が減少しても、蓄電手段から電動機に十分な電力を供給して駆動力の低下を抑制することが可能となる。
そして、前記シフト設定手段は、運転者のシフト操作に応じて前記シフトポジションを設定するものであってもよい。これにより、運転者のダウンシフト要求に応じて内燃機関の回転数を変更するときに、車両を走行させるための駆動力の低下を抑制することが可能となる。
また、前記電力動力入出力手段は、前記第1車軸と前記内燃機関の出力軸と回転可能な第3軸とに接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機とを備えるものであってもよい。
本発明による車両の制御方法は、内燃機関と、車両の何れかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸の何れかである第2車軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機との間で電力をやりとり可能な蓄電手段とを備える車両の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段についての電力の入出力制限を設定するステップと、
(b)走行に要求される要求駆動力に基づく駆動力により前記車両が走行している最中に所定の変更条件の成立に応じて前記電力動力入力手段によって前記内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、前記設定した前記蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って前記内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御するステップと、
を含むものである。
この車両の制御方法によれば、蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段についての電力の入出力制限が設定されると共に、走行に要求される要求駆動力に基づく駆動力により車両が走行している最中に所定の変更条件の成立に応じて電力動力入力手段によって内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とが制御される。これにより、電力動力入出力手段によって内燃機関の回転数を変更するときに、電力動力入出力手段から出力される電力が変化しても、蓄電手段から電動機に十分な電力を供給して駆動力の低下を抑制することが可能となる。また、蓄電手段の入出力範囲を拡大する補正は、所定の変更条件の成立から所定の解除条件が成立するまでの間に限定されるので、蓄電装置の過大な電力による充放電を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油等の炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により燃料噴射制御や点火制御、入空気量調節制御等の運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、何れも発電機として作動することができると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の何れかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。従って、バッテリ50は、モータMG1,MG2の何れかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tb等が入力されており、バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70に出力する。なお、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、計時指令に応じて計時処理を実行するタイマ78と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速V等が入力ポートを介して入力されている。ハイブリッドECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
ここで、本実施例のハイブリッド自動車20では、シフトレバー81のシフトポジションSPとして、駐車時に用いる駐車ポジション、後進走行用のリバースポジション、中立のニュートラルポジション、前進走行用の通常のDポジション、3rdポジション、2ndポジション、1stポジションが用意されている。そして、本実施例のハイブリッド自動車20は、シフトポジションSPとしてDポジションが選択されたときにはエンジン22が効率よく運転されるように駆動制御され、シフトポジションSPとして3rd,2ndまたは1stポジションが選択されたときには車速VとシフトポジションSPとに応じた回転数でエンジン22が回転するように駆動制御される、いわゆるシーケンシャルシフトを模した構成を採用している。これにより、例えば運転者によってシフトレバー81が操作されて3rdポジションから2ndポジションへのダウンシフトがなされた場合には、モータMG1から出力されるトルクTm1を調整することによってエンジン22の回転数Neを高めて、それにより、有段の自動変速機を備えた車両における変速感としてのダウンシフト感に似た走行感覚を運転者らに与えることができる。また、例えば運転者によってシフトレバー81が操作されて2ndポジションから3rndポジションへのアップシフトがなされた場合には、モータMG1から出力されるトルクTm1を大きくすることによってエンジン22の回転数Neを低下させて、それにより、有段の自動変速機を備えた車両における変速感としてのアップシフト感に似た走行感覚を運転者らに与えることができる。なお、アクセル開度が10%以下となるアクセルオフ時には、燃料カットした状態のエンジン22をモータMG1によってモータリングしてシフトポジションSPと車速Vとに応じた回転数で強制的に回転させると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aに制度トルクを出力すれば、いわゆるエンジンブレーキに似た走行感覚をも運転者らに提供することができる。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御モードとしては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようにモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するように運転制御するモータ運転モード等がある。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に運転者によってシフトレバー81が操作されてシフトポジションSPが変更された際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、運転者によりシフトポジションSPとして3rd,2ndまたは1stポジションが選択されたときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。
図2の駆動制御ルーチンが開始されると、ハイブリッドECU70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、車速センサ88からの車速V、エンジン22の回転数Ne、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、バッテリ50が充放電すべき充放電要求パワーPb*、バッテリ50の入出力制限Win,Woutといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量(SOC)等に基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じて入出力制限Win,Woutを設定することができる。図3に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図4にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ステップS100のデータ入力処理の後、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪39a,39bに車軸36を介して接続されたリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると当該マップから両者に対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図5に示す。また、実施例では、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が充放電すべき充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として要求パワーPe*を設定するものとした。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、図示するようにモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除するか、あるいは、車速Vに換算計数kを乗じることにより求められる。
次いで、ステップS100で入力したシフトポジションSPと車速Vとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に、設定した目標回転数Ne*に基づいてエンジン22の目標トルクTe*を設定する(ステップS120)。本実施例では、シフトポジションSPと車速Vとエンジン22の目標回転数Ne*との関係を予め定めて目標回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、シフトポジションSPと車速Vとが与えられると当該マップから両者に対応するエンジン22の目標回転数Ne*を導出して設定するものとした。シフトポジションSPと車速Vと目標回転数Ne*との関係の一例を図6に示す。同図に示すように、車速Vが一定であれば、シフトポジションSPがダウンシフト側に変更されるほどエンジン22の回転数は高められることになる。また、本実施例において、エンジン22の目標トルクTe*は、設定した目標回転数Ne*とステップS110で設定した要求パワーPe*とに基づいて設定される。エンジン22に対する要求パワーが一定であれば、エンジン22の回転数とトルクとは図7に例示するような相関を示すので、ステップS120では、要求パワーPe*(=Ne*×Te*)が一定であることを示す曲線から目標回転数Ne*に対応するトルクの値が目標トルクTe*として設定される。
続いて、シフトポジションSPのダウンシフト側への変更に伴う処理を実行すべきか否かを判定する(ステップS130,S140)。実施例では、ダウンシフトに伴う処理の実行の可否をフラグFの値とシフトポジションSPのダウンシフト側への変更の有無とに基づいて判定するものとした(ステップS130,S140)。フラグFは、ダウンシフトに伴う処理が行なわれているか否かを示すものであり、初期値として値0が設定され、当該処理が行われているときに値1が設定される。また、ダウンシフト(例えば、3rdポジションから2ndポジションへの変更)がなされたか否かは、入力したシフトポジションSPの今回値と前回値とを比較することにより判定される。フラグFが値0であり、かつ、ダウンシフトがなされていないときには、ダウンシフトに伴う処理を実行する必要がないと判断し、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*として設定する(ステップS150)。
更に、ステップS120で設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて次式(1)を用いた計算によりモータMG1の目標回転数Nm1*を設定すると共に、設定した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて次式(2)を用いた計算によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS160)。式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に関連する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素についての回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図8に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。モータMG1の目標回転数Nm1*は、この共線図における回転数の関係を用いれば容易に導くことができる。従って、モータMG1が式(1)から求められる目標回転数Nm1*で回転するようにトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御することによりエンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。なお、図8におけるR軸上の上向きの2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで運転したときにエンジン22からリングギヤ軸32aに直接伝達されるトルク(−1/ρ・Tm1*)と、モータMG2から減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに加えられるトルクTm2*・Grとを示す。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ−Nm2/(Gr・ρ) …(1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*−Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt …(2)
モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを設定すると、それまでに設定したバッテリ50についての制御用出力制限Wout*やステップS100で入力したバッテリ50の入力制限Winと設定したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2max,Tm2minを次式(3)および式(4)を用いて計算する(ステップS170)。更に、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)を用いて計算し(ステップS180)、計算した仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tm2max,Tm2minで制限することによりモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS190)。このようにしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、リングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を基本的にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内に制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、図8の共線図から容易に導き出すことができる。
Tmax=(Wout*−Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tmin=(Win−Tm1*・Nm1)/Nm2 …(4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(5)
エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS200)、駆動制御ルーチンを一端終了させる。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって定まる運転ポイントで運転されるようにエンジン22についての燃料噴射制御や点火制御等を実行する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*に従ってモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
一方、ステップS130でフラグFが値0であり、かつ、ステップS140でダウンシフトがなされたと判断されたときには、フラグFを値1とした上で(ステップS210)、ステップS120で設定したエンジン22の目標回転数Ne*(今回値)とステップS100で入力したエンジン22の現在の回転数Neとの偏差ΔNeを計算し(ステップS220)、更に、計算した偏差ΔNeが予め定められた閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS230)。ステップS230で用いられる閾値αは、ダウンシフトに応じて高められるエンジン22の回転数が目標回転数Ne*に概ね達しているか否かを判定するためのものであり、比較的小さな正の値とされる。ステップS230で偏差ΔNeが予め定められた閾値α以下ではないと判断された場合、運転者によりシフトレバー81が操作されてダウンシフトがなされた時点から所定時間tが経過したか否かを判定する(ステップS240)。そして、ステップS240でダウンシフトがなされた時点から所定時間tが経過していないと判断されたならば、次式(6)に示すように、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Woutに予め定められた補正値ΔWを加算した値を制御用出力制限Wout*として設定し(ステップS250)、ステップS160以降の処理を実行する。なお、実施例では、運転者によりシフトレバー81を介してダウンシフトがなされたときにタイマ78による計時を開始させると共にステップS240にてタイマ78による計時値を読み込むものとした。また、ステップS240における時間tは、補正値ΔWの大きさや、バッテリ50の耐久性等を考慮して定められる。同様に、ステップS250における補正値ΔWは、バッテリ50の特性、バッテリ50の耐久性等を考慮して定められる。所定時間tや補正値ΔWは、一定の値とされてもよく、また、車速V等に応じて変化させられてもよい。
Wout*=Wout+ΔW …(6)
上述のように、運転者によりダウンシフトがなされた場合には、S250で設定した制御用出力制限Wout*(=Wout+ΔW)を用いてモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを設定し(ステップS170)、設定したトルク制限Tm2min,Tm2maxを用いてモータMG2に対するトルク指令Tm2*を制限する。このように、運転者によりダウンシフトがなされた場合にバッテリ50の出力制限Woutに補正値ΔWを加算した値を制御用出力制限Wout*として設定するのは次のような理由による。すなわち、ダウンシフトがなされた場合には、モータMG1からのトルクを小さくしてエンジン22の回転数を高めることにより運転者らにダウンシフト感を与えることになるが、モータMG1からのトルクTm1を小さくすると、モータMG1の発電電力(Tm1×Nm1)も小さくなるため、それを補うべくモータMG2で消費される電力の一部をバッテリ50の放電によりまかなう必要が生じる。この際、バッテリ50の状態すなわちバッテリ50の出力制限Woutの値によっては、バッテリ50からモータMG2に十分な電力を供給し得なくなり、ステップS110で設定した要求トルクTr*に基づく駆動力をリングギヤ軸32aに出力し得なくなるおそれがある。このため、ダウンシフトがなされた場合には、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Woutに補正値ΔWを加算してバッテリ50の入出力制限を拡大することにより、トルク制限Tm2min,Tm2maxの範囲を拡大し、モータMG2に十分な電力を供給できるようにするのである。これにより、要求トルクTr*に基づく駆動力による車両走行中にダウンシフトがなされ、運転者らにダウンシフト感を与えるべくモータMG1によってエンジン22の回転数を高める際に、モータMG1から出力されるトルクが減少しても、バッテリ50からモータMG2に十分な電力を供給してモータMG2からのトルクを大きくし、それにより駆動力の低下を抑制することが可能となる。
さて、運転者によりダウンシフトがなされたことにより、ステップS210にてフラグFが値1に設定されると、次に図2の駆動制御ルーチンが実行された際に、ステップS130にてダウンシフトに伴う処理を実行すべきと判断される。この場合には、ステップS120で設定したエンジン22の目標回転数Ne*(今回値)とステップS100で入力したエンジン22の現在の回転数Neとの偏差ΔNeを計算し(ステップS220)、計算した偏差ΔNeが閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS230)。そして、偏差ΔNeが閾値α以下であり、ダウンシフトに伴うエンジン22の回転数の変更が概ね完了していると判断されたならば、フラグFを値0に設定した上で(ステップS260)、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*として設定する(ステップS150)。すなわち、実施例において、バッテリ50の入出力制限を拡大する補正は、最大で、エンジン22の回転数を変更する条件としての運転者によるダウンシフト時からダウンシフトに応じたエンジン22の回転数の変更が概ね完了するまでの間に限定され、その間、バッテリ50の入出力制限を拡大してハイブリッド自動車20を走行させるための駆動力の低下を抑制することが可能となる。
また、図2の駆動制御ルーチンが実行された際に、ステップS130にてダウンシフトに伴う処理を実行すべきと判断された後、エンジン22の目標回転数Ne*(今回値)と前回値との偏差ΔNeが閾値αを上回っていると判断されても、運転者によりダウンシフトがなされた時点から所定時間tが経過したならば、フラグFを値0に設定した上で(ステップS260)、ステップS100で入力したバッテリ50の出力制限Woutを制御用出力制限Wout*として設定する(ステップS150)。すなわち、実施例において、バッテリ50の入出力制限を拡大する補正は、エンジン22の回転数の変更が概ね完了するか否かに拘わらず、運転者によるダウンシフト時から所定時間tが経過するまでの間に限定される。これにより、バッテリ50の過大な電力による充放電を必要最小限に抑制してバッテリ50の劣化を抑制することが可能となる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、要求トルクTr*に基づく駆動力による走行中に変更条件としての運転者によるダウンシフトに応じてモータMG1によってエンジン22の回転数を変更するときには、バッテリ50の入出力制限を拡大する補正を伴ってエンジン22の回転数が変更されると共に補正後のバッテリ50の入出力制限の範囲内で要求駆動力に基づく駆動力が出力されるようにエンジン22やモータMG1,MG2が制御される。このように、運転者らに変速感を与えるべくモータMG1によってエンジン22の回転数を変更するときにバッテリ50の入出力制限を拡大する補正を行うことにより、モータMG1から出力されるトルクが減少しても、バッテリ50からモータMG2に十分な電力を供給して駆動力の低下を抑制することが可能となる。そして、バッテリ50の入出力範囲を拡大する補正は、運転者によるダウンシフト後、エンジン22の回転数の変更が概ね完了するまで、あるいは、所定時間が経過するまでの間に限定されるので、バッテリ50の過大な電力による充放電を抑制することができる。
なお、上記実施例では、バッテリ50の入出力範囲を拡大する補正を運転者によるダウンシフト後、エンジン22の回転数の変更が概ね完了するまで、あるいは、所定時間が経過するまでの間に限定したが、これに限られるものではない。すなわち、バッテリ50の入出力範囲を拡大する補正を解除するための条件は、バッテリ50の特性等に応じて、ダウンシフト後に前記内燃機関の回転数の変更が概ね完了すること、ダウンシフト後に所定時間が経過することとの何れか一方としてもよい。
また、上記実施例については、運転者によるダウンシフトに応じてエンジン22の回転数を変更する場合の処理について説明したが、要求トルクTr*に基づく駆動力による走行中に運転者によるアップシフトに応じてモータMG1によってエンジン22の回転数を変更する場合に上述の処理と同様の処理を実行してもよい。このようなアップシフトがなされた場合には、モータMG1からのトルクを大きくしてエンジン22の回転数を低下させることにより運転者らにアップシフト感を与えることになるが、モータMG1からのトルクTm1を大きくすると、モータMG1の発電電力(Tm1×Nm1)も大きくなるため、モータMG1の発電電力のうち、モータMG2で消費しきれない余剰電力はバッテリ50に充電されることになる。この際、バッテリ50の状態すなわちバッテリ50の入力制限Winの値によっては、余剰電力によりバッテリ50を充電できず、余剰電力がモータMG2に供給されてしまって、過剰な駆動力がリングギヤ軸32aに出力されてしまい、運転者らにアップシフト感を与えられなくなるおそれもある。このため、要求トルクTr*に基づく駆動力による走行中に運転者によってアップシフトがなされた場合に、ステップS100で入力したバッテリ50の入力制限Winから補正値ΔW′を減じてバッテリ50の入出力制限を拡大することにより、余剰電力によるバッテリ50の充電を可能としてもよい。ただし、こうした制御と異なる制御、例えば、余剰電力がモータMG2に供給されることによって過剰となる駆動力をブレーキ装置による制動力で打ち消す制御を行うのであれば、このようなバッテリ50の入出力制限を拡大する補正を行う必要はない。
更に、本発明は、運転者によるシフト操作が行われた場合に限られず、シフトポジションSPの変更以外の要因によってエンジン22の回転数を急変させる際に適用されてもよい。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記各実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
すなわち、上記実施例のハイブリッド自動車20では、駆動軸としてのリングギヤ軸32aとモータMG2とがモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達する減速ギヤ35を介して連結しているが、減速ギヤ35の代わりに、例えばHi,Loの2段の変速段あるいは3段以上の変速段を有し、モータMG2の回転数を変速してリングギヤ軸32aに伝達する変速機を採用してもよい。
また、上記実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、モータMG2の動力を減速ギヤ35により減速してリングギヤ軸32aに出力しているが、図9に示す変形例としてのハイブリッド自動車120のように、モータMG2の動力を変速機65により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪39c,39dに接続された車軸)に伝達するようにしてもよい。
更に、上記各実施例のハイブリッド自動車20、20Bは、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、図10に示す変形例としてのハイブリッド自動車220のように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものであってもよい。
本発明の実施例であるハイブリッド自動車20の概略構成図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 シフトポジションSPと車速Vと目標回転数Ne*との関係の一例を示す説明図である。 エンジン22の回転数とトルクとの相関を例示する説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の概略構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の概略構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、36 車軸、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、65 変速機、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、78 タイマ、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と、
    車両の何れかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
    前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸の何れかである第2車軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機との間で電力をやりとり可能な蓄電手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段についての電力の入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力に基づく駆動力による走行中に所定の変更条件の成立に応じて前記電力動力入力手段によって前記内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、前記設定された前記蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って前記内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記解除条件は、前記内燃機関の回転数の変更が概ね完了することである請求項1に記載の車両。
  3. 前記解除条件は、前記変更条件の成立から所定時間が経過することである請求項1に記載の車両。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の車両であって、
    前記内燃機関の車速と前記内燃機関の回転数との関係を定めるためのシフトポジションを設定するシフト設定手段を更に備え、
    前記変更条件は、前記シフト設定手段によってそれまでとは異なるシフトポジションが設定されることである、
    車両。
  5. 前記変更条件は、前記シフト設定手段によってダウンシフト側にシフトポジションが設定されることである請求項4に記載の車両。
  6. 前記シフト設定手段は、運転者のシフト操作に応じて前記シフトポジションを設定する請求項4または5に記載の車両。
  7. 前記電力動力入出力手段は、前記第1車軸と前記内燃機関の出力軸と回転可能な第3軸とに接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機とを備える請求項1から6の何れかに記載の車両。
  8. 内燃機関と、車両の何れかの車軸である第1車軸と前記内燃機関の出力軸とに接続されて電力と動力の入出力を伴って前記第1車軸および前記出力軸に動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記第1車軸または該第1車軸とは異なる車軸の何れかである第2車軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機との間で電力をやりとり可能な蓄電手段とを備える車両の制御方法であって、
    (a)前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段についての電力の入出力制限を設定するステップと、
    (b)走行に要求される要求駆動力に基づく駆動力により前記車両が走行している最中に所定の変更条件の成立に応じて前記電力動力入力手段によって前記内燃機関の回転数を変更するときには、所定の解除条件が成立するまで、前記設定した前記蓄電手段の入出力制限を拡大する補正を伴って前記内燃機関の回転数が変更されると共に補正後の入出力制限の範囲内で前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御するステップと、
    を含む車両の制御方法。
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