JP2013164291A - 電子顕微鏡観察用試料の作製方法 - Google Patents

電子顕微鏡観察用試料の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の結晶方位や結晶構造を高精度に解析し、短時間で電子顕微鏡観察用試料を作製する。
【解決手段】 板状の試料台1の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料2を樹脂3で包埋させ、樹脂3で包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するように加工し、長手方向Lの断面2Aが表出した電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aを含む観察面4にアルゴンイオンエッチングを施す。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子顕微鏡などで観察される電子顕微鏡観察用試料の作製方法に関する。
集合組織を有する金属材料、セラミックス材料等は、結晶情報、例えば、形成する組織の大きさ、組織の結晶配向、結晶内の転位、粒界の状態等により、機械的特性を代表とする基本的な性質が決定される。そのため、材料の結晶情報を解析することが重要であり、例えば、ワイヤー状の材料においては、長手方向の断面の結晶情報を解析することが好ましい。
材料の結晶情報を解析する方法としては、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:以下、SEMと称する)による電子線後方散乱パターン(Electron Back Scattering Diffraction:以下、EBSDと称する)法が多く利用されている。EBSD法とは、SEM内で試料表面に細く絞った電子線を入射させた際に生じる反射電子回折パターンを用いて、局所領域の結晶方位や結晶構造を解析するものである。
EBSDパターンは、結晶の僅かな傾きによってその位置が大きく変わるので、高精度の結晶方位や結晶構造の解析が可能となる。高精度の結晶方位解析をするためには、対象となる試料の前処理が重要となる。EBSD測定では、試料表面から数十nmの深さの範囲における情報が得られるため、前処理中に生成した加工による歪(加工歪)が結果に大きく影響する。
特許文献1には、電子顕微鏡用の試料作製方法としてGaイオンを利用した集束イオンビーム(Focused Ion Beam:以下、「FIB」とも称する)加工装置による加工方法が記載されている。
しかしながら、集束イオンビーム加工装置による加工方法では、Gaイオンによって加工断面に傷がつき加工歪が生成されやすい。そのため、加工歪が影響して、EBSD測定により試料の結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができない。また、集束イオンビーム加工装置による加工方法では、試料の加工に長時間がかかってしまうため、短時間で電子顕微鏡観察用試料を作製することができない。
特開2011−204367号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができ、短時間で電子顕微鏡観察用試料を作製することができる電子顕微鏡観察用試料の作製方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法は、板状の試料台の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料を樹脂で包埋させる包埋工程と、樹脂で包埋させた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面が表出するように加工する加工工程と、長手方向の断面が表出した電子顕微鏡観察用試料の断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施すエッチング工程とを有する。
本発明に係る電子顕微鏡観察用試料は、板状の試料台の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料を樹脂で包埋させ、樹脂で包埋させた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面が表出するように加工し、長手方向の断面が表出した電子顕微鏡観察用試料の断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施すことによって得られたものである。
本発明によれば、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面が表出した状態で、この断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、加工工程で生じる電子顕微鏡観察用試料の断面の歪を除去することができる。したがって、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができ、また、短時間で電子顕微鏡観察用試料を作製することができる。
本発明に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法の一例を説明するための工程図である。 加工工程後の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の電子顕微鏡写真である。 加工工程後の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面を含む観察面の電子顕微鏡写真である。 エッチング工程において電子顕微鏡観察用試料の断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施す方法の一例を模式的に示す図である。 エッチング工程後の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の電子顕微鏡写真である。 エッチング工程後の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面を含む観察面の電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の電子顕微鏡写真である。 実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面の電子顕微鏡写真である。 実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面のEBSD測定の結果であり、(A)は金属組織を示し、(B)は方位分布を示す。
以下、本発明を適用した電子顕微鏡観察用試料の作製方法について、図面を参照しながら以下の順序で詳細に説明する。
1.電子顕微鏡観察用試料の作製方法
1−1.包埋工程
1−2.加工工程
1−3.エッチング工程
2.電子顕微鏡観察用の試料
<1.電子顕微鏡観察用試料の作製方法>
図1は、本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法の一例を説明するためのフローチャートである。図2は、本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法の一例を説明するための工程図である。
本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用の試料作製方法は、図1に示すように、包埋工程S1と加工工程S2とエッチング工程S3とを有する。
<1−1.包埋工程S1>
包埋工程S1においては、図2(A)に示すように、板状の試料台1の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料2を樹脂3で包埋させる。
試料台1は、その上に電子顕微鏡観察用試料2を配置するためのものである。試料台1は、例えば、板状に形成されていることが好ましい。このように、試料台1が板状に形成されていることにより、試料台1をEBSD測定の際の試料台として用いたときに、電子線の入射方向に対する電子顕微鏡観察用試料2の観察面の角度をより正確に制御することができる。また、試料台1は、EBSD測定の際の試料台としても用いる観点から、導通性を有し磁性を有しない材料、例えば、アルミニウムで構成されていることが好ましい。
電子顕微鏡観察用試料2は、電子顕微鏡で観察するための対象物である。電子顕微鏡観察用試料2は、特に限定されないが、例えば、金属、セラミックス等で構成されている。電子顕微鏡観察用試料2の形状は、例えば、細長い円柱状、細長い多角柱状のようなワイヤー状である。
樹脂3は、試料台1上に電子顕微鏡観察用試料2を固定させるためのものである。樹脂3としては、例えば、熱硬化性樹脂や常温硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、50℃付近で硬化し、取扱いが容易である観点から、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂は、1液型エポキシ樹脂や2液型エポキシ樹脂を用いることができる。樹脂3の量は、特に限定されず、例えば、電子顕微鏡観察用試料2が樹脂3で包埋させる程度の量を用いればよい。樹脂3を固化させる方法としては、例えば、樹脂3として熱硬化性樹脂を用いた場合には、加熱装置を用いて加熱すればよい。
<1−2.加工工程S2>
加工工程S2においては、図2(B)、図2(C)に示すように、樹脂3に包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するように加工する。図2(C)に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aと樹脂3の断面3Aとを含む観察面4が表出されるため、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの結晶情報を解析することが可能となる。
ここで、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aとは、樹脂3が載せられている試料台1の表面と平行な電子顕微鏡観察用試料2の断面である。すなわち、加工工程S2においては、図2(B)の二点鎖線に示すように、樹脂3に包埋させた電子顕微鏡観察用試料2を、樹脂3が載せられている試料台1の表面と平行に加工して、図2(C)に示すように断面2Aと樹脂3の断面3Aとを含む観察面4を表出させる。図2に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の形状がワイヤー状である場合には、電子顕微鏡観察用試料2の軸方向と平行な断面2Aの形状は、細長い矩形状となる。電子顕微鏡観察用試料2の軸方向とは、例えば、電子顕微鏡観察用試料2が円柱形状の場合には、回転軸方向であり、多角柱形状の場合には、外接する円柱若しくは内接する円柱の回転軸方向である。
加工工程S2における加工方法は、特に限定されないが、ミクロトームを用いて、樹脂3に包埋された電子顕微鏡観察用試料2を加工する方法が好ましい。ミクロトームを用いた加工方法は、ダイヤモンドナイフを用いて、電子顕微鏡観察用試料2を切削する方法であり、迅速な加工が可能となる。ミクロトームを用いた加工方法では、ダイヤモンドナイフの刃角を小さくし、切削速度を遅くし、切り込み量を浅くすることが好ましい。このような条件とすることにより、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの歪の量を抑えることができ、短時間で電子顕微鏡観察用試料2を加工して、長手方向Lの断面2Aを表出させることができる。
<1−3.エッチング工程S3>
エッチング工程S3においては、図2(C)に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aが表出した状態で、この断面2Aを含む観察面4にアルゴンイオンエッチングを施す。
ここで、図3及び図4は、加工工程S2後の電子顕微鏡観察用試料2の観察面4の電子顕微鏡写真である。図3に示すように、加工工程S2後に得られる電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aには加工歪が生じる。すなわち、加工工程S2後の断面2Aは、組織が歪んでしまっている。
また、図2(C)に示すように、加工工程S2後の電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aを含む観察面4には、絶縁物である樹脂3が存在している。このように、観察面4に絶縁物である樹脂3が存在すると、観察面4を走査電子顕微鏡で観察する際に、走査電子顕微鏡像のコントラストが変化して観察しにくくなる帯電が発生してしまう。例えば、図4に示すように、観察面4における樹脂3が帯電してしまう。樹脂3が帯電したままの状態では、観察面4を電子顕微鏡で観察する際に走査電子顕微鏡像のコントラストが変化してしまうため、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの全体を観察することが困難となる。
一般に、試料表面(観察面)に導電性を確保するためには、導電性の膜、例えば、金属やカーボンの膜で絶縁物を被覆させる必要がある。しかし、試料表面に導電性の膜を形成させると、観察面を覆い隠すことになり、試料の最表面状態を観察することができなくなってしまう。また、導電性の蒸着膜を形成する際には、30分程度を要してしまう。
そこで、エッチング工程S3において、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aが表出した状態で、この断面2Aを含む観察面4にアルゴンイオンエッチングを施す。これにより、短時間で、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの加工歪を除去するとともに、帯電を除去することができる。
エッチング工程S3において、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施す際には、例えば、クロスセクションポリッシャ(CP)や、プラズマコーティング・エッチング装置(PECS)を用いることができる。
図5は、エッチング工程S3において電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施す方法の一例を模式的に示す図である。
エッチング工程S3においては、図5に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aに対して1〜30°の入射角でアルゴンイオンを照射することが好ましい。電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aに対して1°以上の入射角でアルゴンイオンを照射することにより、アルゴンイオンが断面2Aの表面に十分に当たらなくなることを防止することができる。また、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aに対して30°以下の入射角でアルゴンイオンを照射することにより、電子顕微鏡観察用試料2を削り過ぎてしまい、断面2Aの表面が損失してしまうことを防止することができる。
エッチング工程S3においては、図5に示すように、アルゴンイオンの照射中に、電子顕微鏡観察用試料2を、アルゴンイオンの照射面である観察面4に対して直交する方向を回転軸として回転させることが好ましい。具体的には、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4に対して直交する方向をVとしたときに、方向Vに平行であって電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aのほぼ中心を通る軸aを回転軸として、電子顕微鏡観察用試料2を回転させることが好ましい。このように、観察面4に対して直交し、断面2Aのほぼ中心を通る軸aを回転軸として、電子顕微鏡観察用試料2を回転させることにより、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの凹凸に影響されずに、断面2Aに対して均一にエッチング処理を施すことができる。
エッチング工程S3においては、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4に、アルゴンイオンを1〜10分間照射することが好ましい。アルゴンイオンの照射時間を1分以上とすることにより、断面2Aの加工歪を確実に除去することができるため、エッチング処理が不十分となることを防止することができる。また、アルゴンイオンの照射時間を10分以下とすることにより、電子顕微鏡観察用試料2を削り過ぎてしまい、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4が損失してしまうことを防止することができる。
図6及び図7は、エッチング工程S3後の電子顕微鏡観察用の試料の観察面4の電子顕微鏡写真である。図6に示すように、エッチング工程S3において、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、加工工程S2後の電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aに生じていた加工歪を除去することができる。
また、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、図7に示すように、加工工程S2後の電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの近傍の樹脂3に発生していた帯電が除去されるため、走査電子顕微鏡像のコントラストが変化してしまうことを防止することができる。したがって、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの全体について、結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法では、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出した状態で、この断面2Aを含む観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、加工工程S2で生じる電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの歪を除去することができる。
本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法によれば、エッチング工程3において、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、短時間で電子顕微鏡観察用試料2を作製することができる。また、本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法によれば、加工工程S2において、集束イオンビームではなく、例えばミクロトームを用いて、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するように加工することにより、より短時間で電子顕微鏡観察用試料2を作製することができる。
本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法によれば、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、コンタミネーションを防止することができる。コンタミネーションとは、走査電子顕微鏡による観察において電子顕微鏡観察用試料2の観察面が汚れている場合に、同一の視野を観察し続けると、電子線による周辺の汚染物質が引き寄せられて、観察面4に堆積してしまうことをいう。コンタミネーションが発生すると、本来の電子顕微鏡観察用試料2の形状を観察することができなくなってしまう。
一般に、コンタミネーションの防止には、走査電子顕微鏡にある液体窒素を用いたトラップを用意し、観察面近くのガス分子を吸着する方法や、試料を100℃に加熱して試料に付着している汚染物質を放出させる方法が用いられている。しかし、前者の場合、すなわち、観察面近くのガス分子を吸着する方法は、装置にトラップが設置されていないときに、装置を改造してトラップを設置する必要がある。また、後者の場合、すなわち、試料を100℃に加熱して試料に付着している汚染物質を放出させる方法は、試料によっては、温度をかけると変質してしまう場合があり、全ての試料に適用することが困難である。また、いずれの方法も観察前の準備として数時間を要するため、迅速な観察が困難である。
一方、本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法によれば、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことにより、コンタミネーションを防止することができる。そのため、装置を改造してトラップを設置する必要がなく、試料が変質してしまうこともなく、迅速に、電子顕微鏡観察用試料2の結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができる。
<2.電子顕微鏡観察用の試料>
本実施の形態に係る電子顕微鏡観察用試料2は、上述した電子顕微鏡観察用の試料作製方法によって作製することができる。電子顕微鏡観察用試料2は、試料台1の上に、電子顕微鏡観察用試料2を樹脂3で包埋させ、包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するように加工し、長手方向Lの断面2Aが表出した電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施すことによって得られたものである。
電子顕微鏡観察用試料2は、長手方向Lの断面2Aが表出した電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングが施されているので、図6に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの歪が除去されている。このような電子顕微鏡観察用試料2は、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aの結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、下記のいずれかの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。本実施例では、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面についてSEM観察及びEBSD観察を行い、結晶方位や結晶構造を解析した。
(実施例)
実施例では、まず、包埋工程S1において、図2(A)に示すように、試料台1(板状の試料台:縦0.5mm、横1mm、高さ0.2mm)の上に、電子顕微鏡観察用試料2(ワイヤー状の金属線(長さ0.5mm、線径20μm))を樹脂3(エポキシ樹脂)で包埋させた。続いて、加工工程S2において、図2(B)に示すように、樹脂3に包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するようにミクロトームを用いて電子顕微鏡観察用試料2を加工した。具体的には、まず、刃角45°のダイヤモンドナイフを用いて、ミクロトームの加工速度1mm/sec、切込み量0.35μmとし、25回切削した。次に、切り込み量を0.7nmにし5回切削した。次に、刃角25°のダイヤモンドナイフに切り替え、加工速度1mm/sec、切込み量0.2nmとし、4回切削した。続いて、エッチング工程S3において、図2(C)に示すように、長手方向Lの断面2Aが表出した電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aを含む観察面4に、5°の角度で5分間アルゴンイオンエッチングを施した。アルゴンイオンエッチングは、プラズマコーティング・エッチング装置(PECS、型式:モデル682 ガタン社製)を用いて、アルゴンイオン条件を6kV、150mAとして行った。アルゴンイオン照射中は、試料台1の上に樹脂3で包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の観察面4に対して直交し、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aのほぼ中心を通る軸aを回転軸として、電子顕微鏡観察用試料2を回転させた。回転速度は、60rpmとした。以上により、電子顕微鏡観察用試料2を作製した。電子顕微鏡観察用試料2を作製するのに要した時間は、12分であった。
(比較例1)
比較例1では、エッチング工程S3を行わなかったこと以外は、実施例と同様にして電子顕微鏡観察用試料2を作製した。すなわち、比較例1では、包埋工程S1において、試料台1の上に、電子顕微鏡観察用試料2(ワイヤー状の金属線)を樹脂3(エポキシ樹脂)で包埋させた。続いて、加工工程S2において、樹脂3に包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するようにミクロトームを用いて加工して電子顕微鏡観察用試料2を作製した。電子顕微鏡観察用試料2を作製するのに要した時間は、12分であった。
(比較例2)
比較例2では、加工工程S2において、ミクロトームではなく集束イオンビーム加工装置(FB−2100:日立ハイテクノロジーズ製)を用いて加工したこと、エッチング工程S3を行わなかったこと以外は、実施例と同様にして電子顕微鏡観察用試料2を作製した。すなわち、比較例2では、包埋工程S1において、試料台1の上に、電子顕微鏡観察用試料2(ワイヤー状の金属線)を樹脂3(エポキシ樹脂)で包埋させた。続いて、加工工程S2において、樹脂3に包埋させた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aが表出するように集束イオンビーム加工装置を用いて加工して電子顕微鏡観察用試料2を作製した。電子顕微鏡観察用試料2を作製するのに要した時間は、60分であった。
(SEM観察の結果)
図8は、比較例1で得られた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aの電子顕微鏡写真である。図9は、実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aの電子顕微鏡写真である。SEM観察は、走査型電子顕微鏡(ULTRA55:カールツァイス製)を用いて行った。
比較例1で得られた電子顕微鏡観察用試料2は、図8に示すように、断面2Aに縞模様状の加工歪が生じていた。すなわち、比較例1で得られた加工工程S2後の電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aは、組織が歪んでしまっていることが分かった。
一方、実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料2は、エッチング工程S3において、電子顕微鏡観察用試料2の観察面4にアルゴンイオンエッチングを施したため、図9に示すように、比較例1で得られた電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aに生じていた加工歪が除去されていることが分かった。
(EBSD観察の結果)
図10は、実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面のEBSD測定の結果である。図10(A)は、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの金属組織を示す。図10(B)は、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの方位分布を示す。EBSD測定は、SEM(ULTRA55:カールツァイス製)に搭載されたEBSDシステム(CHANEL5)を用いて行った。実施例では、上述したように、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの歪を除去することができたため、図10に示すように、電子顕微鏡観察用試料2の長手方向Lの断面2Aの結晶方位や結晶構造を高精度に解析することができることが分かった。
以上のように、実施例では、長手方向Lの断面2Aが表出した電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aを含む観察面4に、アルゴンイオンエッチングを施すことにより、電子顕微鏡観察用試料2の断面2Aの歪を除去できることが分かった。したがって、実施例で得られた電子顕微鏡観察用試料2は、長手方向Lの断面2Aの結晶方位や結晶構造を高精度に解析できることが分かった。また、実施例では、短時間で電子顕微鏡観察用試料2を作製できることが分かった。
1 試料台、2 電子顕微鏡観察用試料、2A 断面、3 樹脂、4 観察面

Claims (6)

  1. 板状の試料台の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料を樹脂で包埋させる包埋工程と、
    上記樹脂で包埋させた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面が表出するように加工する加工工程と、
    上記長手方向の断面が表出した電子顕微鏡観察用試料の断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施すエッチング工程と
    を有する電子顕微鏡観察用試料の作製方法。
  2. 上記エッチング工程では、上記電子顕微鏡観察用試料に対して1〜30°の入射角でアルゴンイオンを照射することを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡観察用試料の作製方法。
  3. 上記エッチング工程では、アルゴンイオンの照射中に、上記観察面に対して直交し、上記長手方向の断面のほぼ中心を通る軸を回転軸として、上記長手方向の断面が表出した電子顕微鏡観察用試料を回転させることを特徴とする請求項2記載の電子顕微鏡観察用試料の作製方法。
  4. 上記エッチング工程では、上記電子顕微鏡観察用試料に、アルゴンイオンを1〜10分間照射することを特徴とする請求項3記載の電子顕微鏡観察用試料の作製方法。
  5. 上記加工工程では、ミクロトームを用いて、上記樹脂に包埋させた電子顕微鏡観察用試料を加工することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の電子顕微鏡観察用試料の作製方法。
  6. 板状の試料台の上に、ワイヤー状の電子顕微鏡観察用試料を樹脂で包埋させ、上記樹脂で包埋させた電子顕微鏡観察用試料の長手方向の断面が表出するように加工し、上記長手方向の断面が表出した電子顕微鏡観察用試料の断面を含む観察面にアルゴンイオンエッチングを施すことによって得られた電子顕微鏡観察用試料。
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