JP2013164121A - 防振吊り減震構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな移動可能空間を必要とせず、入力された振動エネルギーを小スペース内で効率良く吸収でき、設備機器を安定に天吊り支持して保護すること。
【解決手段】設備機器Wを天吊り支持する構造体であって、天井躯体Fに設けられた固定具2に対して上端部が螺着された複数の吊りボルト3と、複数の吊りボルトの下端部にそれぞれ設けられ、設備機器に固定された連結片4に対して連結された連結具5と、を備え、吊りボルト及び連結具のうちの少なくともいずれか一方には、入力された振動の振動エネルギーを消費して、吊りボルト及び連結具に作用する振動負荷を低減させる振動低減部材15を備えている防振吊り減震構造体1を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、設備機器を天吊り支持する防振吊り減震構造体に関するものである。
マンションやビル等の建築物内には各種の設備機器が設置されており、その用途や設置状況等に応じて、天井から吊下げた状態で支持される設備機器が数多く存在する。例えば、空調機器の室内ユニット、照明機器、空調ダクトや配管等が挙げられる。この場合、図27及び図28に示すように、設備機器Wは天吊り構造体100によって天吊り支持される場合が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
この天吊り構造体100は、天井構造物101に取付けられたインサート102に対して上端部が螺着され、且つ下端部が設備機器Wに固定された連結金具103に対して連結された複数の吊りボルト104を具備している。このように構成された天吊り構造体100によって、設備機器Wは安定した天吊り支持がなされている。
ところで、地震は、地球の誕生後、およそ46億年に亘って該地球の内部構造の活動に関連して発生する不可避な自然現象である。そして、自然を制圧し克服するという西洋科学技術思想の下で様々な地震対策が従来からなされてきた。
例えば、その1つとして耐震構造が知られている。これは、強度をもって地震に対抗することを目的としたものであり、例えば上記した天吊り構造体100そのものの強度(剛性)を向上させて、保護対象物である設備機器Wを地震の振動から守る構造方式である。
また、従来における他の地震対策として免震構造が知られている。これは、地震の影響を限りなく零にすることを目的としたものであり、保護対象物を鉛直方向に支持しつつ、且つ水平方向に柔軟に変位可能なアイソレータやスライドレール等の免震機構を設置し、該免震機構がゆっくり移動することにより地震の振動が保護対象物に伝わらないようにするものである。
特開平7−166711号公報
ところで、従来の天吊り構造体100は、上述したように耐震構造の方式を採用しているが、想定される地震の規模に応じて、過大な変形(移動距離)抑制と衝撃力の緩和という観点に欠けていたため、過大な加速度が設備機器Wに作用した際に該設備機器Wを保護するという点においては十分なものではなかった。
具体的には、図28に示すように、地震が発生することで設備機器Wに対して加速度による力Fが作用した場合には、その影響によって吊りボルト104に曲げ変形が生じる。このとき、大きな地震であると過大な加速度が作用するので、吊りボルト104の曲げ変形も増大し、図29に示すように、例えばインサート102との結合部分である吊りボルト104の上端部側に大きな曲げモーメントが発生し易かった。そのため、吊りボルト104に破断や変形等が生じ、設備機器Wを保護することが難しかった。なお、図中のM図は、吊りボルト104に作用する曲げモーメントの応力図である。

また、吊りボルト104の曲げ変形に伴って、図30に示すように、連結金具103の変形(こじれ等)や、連結金具103と吊りボルト104との間の緩み等も発生する場合があり、この点においても設備機器Wを保護することが難しかった。
一方、吊りボルト104を長くした場合には、免震構造としての働きを期待することができるが、大きな地震に対応するためには、吊り長さの確保に加え、設備機器Wを変位移動可能とさせる空間を大きく確保しておく必要がある。しかしながら、天井内の限られた空間内に、例えば複数の設備機器Wを天吊り支持する場合には、吊り長さ及び上記空間を十分に確保することが難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、大きな移動可能空間を必要とせず、入力された振動エネルギーを小スペース内で効率良く吸収でき、設備機器を安定に天吊り支持して保護することができる防振吊り減震構造体を提供することである。
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る防振吊り減震構造体は、設備機器を天吊り支持する構造体であって、天井躯体に設けられた固定具に対して上端部が螺着された複数の吊りボルトと、複数の前記吊りボルトの下端部にそれぞれ設けられ、前記設備機器に固定された連結片に対して連結された連結具と、を備え、前記吊りボルト及び前記連結具のうちの少なくともいずれか一方には、入力された振動の振動エネルギーを消費して、吊りボルト及び連結具に作用する振動負荷を低減させる振動低減部材を備えていることを特徴とする。
本発明に係る防振吊り減震構造体によれば、地震発生等によって設備機器に対して外部から振動が入力されると、該振動は防振吊り減震構造体の全体に伝わりはじめるが、吊りボルト及び連結具のうちの少なくともいずれか一方に設けられた振動低減部材がその振動の振動エネルギーを例えば減衰、吸収によって消費する。これにより、振動の総エネルギー量のうち吊りボルト及び連結具に作用する振動エネルギー量を消費した分だけ低減でき、吊りボルト及び連結具への振動負荷を低減させることができる。つまり、減震させることができる。
その結果、破断や変形等の発生を抑制することができ、設備機器を安定に天吊り支持して保護することができる。
また、吊りボルト及び連結具のうちの少なくともいずれか一方に設けた振動低減部材を利用するので、例えば吊りボルトを長くする等の対策により設備機器を大きく移動させることで振動を吸収させるといった従来の免震構造方式を採用する必要もない。従って、大きな移動可能空間を必要とせずに、上記した作用効果を奏効することができる。
(2)上記本発明に係る防振吊り減震構造体において、前記振動低減部材は、前記吊りボルトに設けられ、該吊りボルトに蓄積される前記振動エネルギーを消費することが好ましい。
この場合には、吊りボルトに生じる変形や破断等を効果的に抑制することができ、設備機器を過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
(3)上記本発明に係る防振吊り減震構造体において、前記振動低減部材は、前記連結具に設けられ、前記連結片と前記吊りボルトとの連結部分に蓄積される前記振動エネルギーを消費することが好ましい。
この場合には、連結片と吊りボルトとの間の緩みや連結具の緩み、連結片や連結具自体に生じる変形や破断等を効果的に抑制することができ、やはり設備機器を過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
(4)上記本発明に係る防振吊り減震構造体において、前記吊りボルトには、該吊りボルトのボルト軸回り、及びボルト軸の径方向に可動可能な関節型継手が設けられ、前記振動低減部材は、前記関節型継手に設けられ、該関節型継手及び前記吊りボルトに蓄積される前記振動エネルギーを消費することが好ましい。
この場合には、関節型継手によって振動を吸収しながら、さらに振動低減部材によって振動エネルギーを消費できるので、吊りボルトに生じる変形や破断等をより効果的に抑制することができ、設備機器を過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
特に、関節型継手は、ボルト軸回り及びボルト軸の径方向に可動可能であるので、設備機器が水平面内においてどの方向に振動によって移動したとしても、その動きに複数の吊りボルトを各別に追従させることが可能である。従って、この点においても、設備機器を安定に天吊り支持することができる。
(5)上記本発明に係る防振吊り減震構造体において、前記振動低減部材は、前記吊りボルトに対して連結された固定部材と、該固定部材と前記設備機器との間に配設され、前記吊りボルトのボルト軸の径方向に移動可能とされた状態で該吊りボルトに連結された可動部材と、前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、該可動部材を前記設備機器側に付勢する付勢部材と、を備え、前記可動部材は、前記吊りボルトに対して前記設備機器が前記径方向に沿って接近移動した際に、該移動に伴って移動させられることが好ましい。
この場合には、振動によって設備機器がボルト軸の径方向に移動して吊りボルトに対して接近すると、可動部材がそれに伴って移動する。この際、可動部材は付勢部材によって設備機器側に付勢されているので、その付勢力によって元の位置に復帰するように径方向の逆方向に移動させられ、設備機器を吊りボルトから離間させるように押し返すことができる。これにより、振動エネルギーを吸収によって消費することができ、設備機器の振動を効果的に抑制して安定的に天吊り支持することができる。
また、例えば大きな地震が発生したとしても、設備機器と吊りボルトとが接触し難いので、接触による変形等が吊りボルトに発生することを効果的に防止し易い。
本発明に係る防振吊り減震構造体によれば、大きな移動可能空間を必要とせず、入力された振動エネルギーを小スペース内で効率良く吸収でき、設備機器を安定に天吊り支持して保護することができる。
本発明に係る防振吊り減震構造体の第1実施形態を示す全体斜視図である。 図1に示すA−A線に沿った断面図である。 図2に示す吊りボルトの上端部付近の拡大断面図である。 第1実施形態における長ナットの変形例を示す図であって、吊りボルトに装着された長ナットの側面図である。 図4に示す長ナットの装着前状態における側面図である。 図5に示す長ナットの上面図である。 図6に示すB−B線に沿った断面図である。 第1実施形態における長ナットの別の変形例を示す図であって、吊りボルトに装着された長ナットの断面図である。 図8に示す長ナットの変形例を示す図である。 第1実施形態の変形例を示す図であって、長ナットに変えてコの字状の金物を採用した場合の断面図である。 第1実施形態の変形例を示す図であって、長ナットに変えて減衰管を採用した場合の断面図である。 本発明に係る防振吊り減震構造体の第2実施形態を示す全体斜視図である。 図12に示す関節型継手の側面図である。 図13に示す関節型継手の縦断面図である。 本発明に係る防振吊り減震構造体の第3実施形態を示す全体斜視図である。 図15に示す吊りボルトの下端部付近の拡大断面図である。 第3実施形態の変形例を示す図であって、連結ユニットが取付けられた吊りボルトを連結片に装着する前の状態を示す断面図である。 図17に示すC−C線に沿った断面図である。 図17に示す状態から、連結ユニットを利用して吊りボルトを連結片に装着した状態を示す断面図である。 図19に示すD−D線に沿った断面図である。 本発明に係る防振吊り減震構造体の第4実施形態を示す全体斜視図である。 図21に示す吊りボルトの下端部付近の拡大断面図である。 図22に示す振動低減部材の拡大図である。 図23に示す振動低減部材の上面図である。 図24に示すE−E線に沿った断面図である。 図22に示す振動低減部材における可動部材の上面図である。 従来の防振吊り減震構造体の一例を示す全体斜視図である。 図27に示す防振吊り減震構造体の側面図である。 図27に示す状態から設備機器に外力が作用し、吊りボルトが曲げ変形した場合の簡略図である。 図28に示す状態から設備機器に外力が作用し、吊りボルトが曲げ変形した場合の状態を示す図である。
以下、本発明に係る防振吊り減震構造体の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1及び図2に示すように、本実施形態の防振吊り減震構造体1は、設備機器Wを天吊り支持(懸垂支持)するユニットであって、天井躯体F(例えば、天井コンクリート構造物)に埋設されたインサート(固定具)2に対して上端部が螺着された4本の吊りボルト3と、これら4本の吊りボルト3の下端部にそれぞれ設けられ、設備機器Wに固定された連結片4に対して連結された連結具5と、を備えている。
なお、本実施形態では、吊りボルト3は天井躯体Fから鉛直方向に垂下されている。そして、各吊りボルト3の中心を貫く軸をボルト軸Oといい、このボルト軸Oに沿って連結片4側から天井躯体F側に向かう方向を上側、その逆向きを下側という。また、ボルト軸Oに直交する方向を径方向という。更に、径方向のうち、設備機器Wを間に挟んで吊りボルト3が並ぶ方向を左右方向L1といい、径方向のうち、左右方向L1に直交する方向を前後方向L2とする。
また、上記設備機器Wとしては、特に限定されるものではないが、例えば空調機器の室内ユニット等が挙げられる。
上記吊りボルト3は、所定の直径及び長さを有するボルトであり、上記したようにその上端部がインサート2に螺着されることで天井躯体Fから垂下されている。この際、各吊りボルト3は、左右方向L1及び前後方向L2にそれぞれ間隔を開けて配置されている。また、各吊りボルト3の下端部は、後述する連結片4の連結孔6内に挿入されている。
連結片4は、例えば設備機器Wの四隅に固定された側面視Z形状の板片であり、設備機器Wの側面から左右方向L1の外側に向けて突出したフランジ部4aに連結孔6が形成されている。そして、この連結孔6内に挿入された吊りボルト3は、フランジ部4aの上面側及び下面側にそれぞれ配設された平板ワッシャ10及びナット11によって該フランジ部4aに対して確実に連結されている。
これにより、設備機器Wは4本の吊りボルト3によって天吊り支持されている。なお、設備機器Wの下面は、図示しない天井内装パネルに対して面一とされている。また、上記した平板ワッシャ10及びナット11は、上記連結具5として機能する。
ところで、本実施形態の防振吊り減震構造体1では、入力された振動の振動エネルギーを消費して、吊りボルト3に作用する振動負荷を低減させる振動低減部材が吊りボルト3に設けられている。
具体的には、図1〜3に示すように、吊りボルト3の上端部側に長ナット(振動低減部材)15が装着されており、インサート2に対して締め付けられている。
この長ナット15は、天井躯体Fとフランジ部4aとの間における、吊りボルト3の実質的な有効長をHからH1に減少させる(図2参照)ための部材であり、ナット本体16と、該ナット本体16に一体的に固定された減衰部17と、を備えている。
ナット本体16は、外形が断面視多角形状に形成されており、内周面に形成されたねじ溝によって吊りボルト3に螺着されている。このナット本体16の内側には、上下方向略中間部から下端部に向かって漸次拡径する切欠き部16aが形成されており、肉抜きされている。より詳細には、この切欠き部16aは、吊りボルト3が上端部(インサート2との結合部分)を中心として径方向に曲げ変形した場合における変形曲線に沿って切り欠かれている。
そして、減衰部17は、上記切欠き部16a内に圧入されることでナット本体16の内側に固着されている。この減衰部17は、弾性と減衰とを合わせ持つ材料、例えば硬度60度以上で且つtanδが0.5以上となる材料によって筒状に形成された高減衰部材であり、その内周面は吊りボルト3を径方向の外側から囲繞している。
このように構成された防振吊り減震構造体1によれば、地震発生等によって設備機器Wに外部から振動が入力されると、該振動は防振吊り減震構造体1の全体に伝わり、吊りボルト3が曲げ変形しはじめるが、該吊りボルト3を囲んでいる長ナット15の減衰部17によって吊りボルト3の振動を減衰させることができ、その振動の振動エネルギーを消費することができる。これにより、振動の総エネルギー量のうち、吊りボルト3に蓄積される振動エネルギー量を上記消費した分だけ低減できる。そのため、吊りボルト3に作用する振動負荷を低減させることができる。つまり、振動を減震させることができる。
その結果、吊りボルト3に生じる曲げ変形や破断等を効果的に抑制でき、設備機器Wを過度に揺らすことなく安定に天吊り支持して保護することができる。
しかも、長ナット15によって、吊りボルト3の実質的な有効長をH1に短くすることができるので、上端部に作用する曲げモーメント応力を低減することができる。この点においても、吊りボルト3の曲げ変形を抑制することができる。また、長ナット15による締め付けによって、インサート2に対する吊りボルト3の緩み防止対策もなされている。
加えて、長ナット15を利用しているので、例えば吊りボルト3を長くする等の対策により設備機器Wを大きく移動させることで振動を吸収させるといった従来の免震構造方式を採用する必要もない。従って、大きな移動可能空間を必要とせずに、上記した作用効果を奏効することができる。
このように、本実施形態に係る防振吊り減震構造体1によれば、大きな移動可能空間を必要とせずに、入力された振動エネルギーを小スペース内で効率良く吸収でき、設備機器Wを安定に天吊り支持して保護することができる。
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態において、長ナット15吊りボルト3に対してワンタッチで取付けることができるように構成することも可能である。
この場合の長ナットについて詳細に説明する。
図4〜図7に示すように、この場合の長ナット20は、ナット本体16が径方向に分離可能に2つに分割された第1ナット部材21及び第2ナット部材22を備えている。これら第1ナット部材21及び第2ナット部材22は、回動軸23を介して互いに回動可能に連結されており、回動操作によって組み合わせ及びその分離が可能とされる。そして、第1ナット部材21と第2ナット部材22とを組み合わせることで、吊りボルト3を径方向の外側から囲繞し、両ナット部材21、22のねじ溝を吊りボルト3に螺着させることが可能となる。
また、第1ナット部材21には、ボルト軸Oを挟んで上記回動軸23とは径方向の反対側に位置する部分に第1連結筒21aが取付けられている。また、第2ナット部材22には、第1連結筒21aを上下から挟み込むように第2連結筒22aが上下方向に間隔を開けて一対設けられている。つまり、両ナット部材21、22を組み合わせた際、第1連結筒21aと第2連結筒22aとは上下方向に沿って一列に配置される。
そして、第1ナット部材21には、これら第1連結筒21a内及び第2連結筒22a内に挿通される連結ピン24が線材25を介して取付けられている。これにより、両ナット部材21、22の組み合わせを固定することが可能とされている。
なお、上記線材25としては、ワイヤや伸縮自在な弾性紐でも良いし、コイルバネ等でも構わない。また、減衰部17は、ナット本体16の分割に伴って同様に2つに分割され、第1ナット部材21及び第2ナット部材22にそれぞれ設けられている。
このように構成された長ナット20の場合には、吊りボルト3の上端部をインサート2に螺着させた後からの段階であっても、容易に取付けることが可能となる。
即ち、第1ナット部材21及び第2ナット部材22が分離した長ナット20を吊りボルト3の上端部に位置させた後、回動軸23回りに両ナット部材21、22を回動させて組み合わせる。そして、第1連結筒21a内及び第2連結筒22a内に連結ピン24を挿通させて、両ナット部材21、22を固定する。
これにより、図4に示すように、長ナット20をワンタッチで吊りボルト3に対して取り付けることができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。特に、防振吊り減震構造体1を設置するにあたって、吊りボルト3に対して事前に長ナット20を取付けておく必要がないので、設置作業がより簡便となる。
(第1実施形態の変形例)
また、上記第1実施形態において、図8に示すように長ナット30を構成しても構わない。
この場合の長ナット30は、円筒状に形成された減衰部31と、該減衰部31の上端部及び下端部にそれぞれ一体的に固着されたリング状のワッシャ部材32と、を備えている。減衰部31は、第1実施形態における減衰部17と同様の材料から形成されている。ワッシャ部材32は、内周面が例えばタップ切り等によって吊りボルト3に螺着可能なねじ溝とされている。これにより、長ナット30は、2つのワッシャ部材32のねじ溝によって吊りボルト3に取付けられていると共に、インサート2に対して締め付けられている。
このように構成された長ナット30の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。
なお、上記長ナット30の場合において、図9に示すように、減衰部31の上端部側にのみワッシャ部材32を設けると共に、減衰部31を下方に向かうにしたがって漸次縮径する外形円錐状に形成しても構わない。
こうすることで、吊りボルト3が上端部を起点として曲げ変形した際、その変形に減衰部31が追従し易くなるので、減衰性能をより向上させることができる。加えて、吊りボルト3の上端部に曲げ応力が集中し難くなる。従って、振動エネルギーをより効率良く消費することができ、設備機器Wをより安定して天吊り支持することができる。
(第1実施形態の変形例)
また、上記第1実施形態では、振動低減部材の一例として長ナットを例に挙げて説明したが、長ナットに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、側面視コの字状の金物40を振動低減部材として採用し、吊りボルト3の上端部側に取付けても構わない。
この金物40は、上下方向に向かい合う上部片40a及び下部片40bと、上下方向に延在して上部片40a及び下部片40bを連設する連設片40cと、で側面視コの字状に形成されている。上部片40a及び下部片40bには、吊りボルト3を挿通させる挿通孔41がそれぞれ形成されている。そして、この金物40は、吊りボルト3に螺着されたナット42によって、上部片40aがインサート2に押し付けられた状態で天井躯体Fとの間で固定されている。
このように構成された金物40を利用した場合には、吊りボルト3が上端部を起点として曲げ変形した際、吊りボルト3に作用するモーメントの応力図(図中のM図)が下部片40bを境にして変化する。これにより、第1実施形態と同様に吊りボルト3の実質的な有効長をH1に短くすることができ、上端部に作用する曲げモーメント応力を低減できる。従って、吊りボルト3の曲げ変形を抑制することができ、やはり設備機器Wを安定的に天吊り支持することができる。
なお、金物40の材料としては、振動エネルギーをより吸収し易い低降伏点鋼材を用いることが好ましい。
(第1実施形態の変形例)
更に、振動低減部材として、図11に示すように減衰管45を採用しても構わない。この減衰管45は、連結片4と天井躯体Fとの間に亘って吊りボルト3を径方向の外側から囲繞して被覆する円筒体であって、弾性と減衰とを合わせ持つ材料、例えば硬度60〜70度で且つtanδが0.5以上となる材料によって形成された高減衰部材とされている。
このように構成された減衰管45を採用した場合には、吊りボルト3の曲げ変形の緩和及び吊りボルト3に蓄積される振動エネルギーを減衰させることができる。これにより、吊りボルト3の曲げ変形を抑制することができ、やはり設備機器Wを安定的に天吊り支持することができる。特に、減衰管45が吊りボルト3を連結片4と天井躯体Fとの間に亘って長尺に被覆するので、上記作用効果を顕著に奏効させ易い。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る防振吊り減震構造体の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の防振吊り減震構造体50は、吊りボルト3の上下方向略中間部において関節型継手51が設けられ、この関節型継手51に振動低減部材として減衰材52が設けられている。
本実施形態の吊りボルト3は、図13及び図14に示すように、途中で上下に分断されており、インサート2に螺着される上部吊りボルト3aと、連結具5を介して連結片4に連結された下部吊りボルト3bと、で構成されている。そして、上部吊りボルト3aと下部吊りボルト3bとを連結するように関節型継手51が設けられている。
この関節型継手51は、ボルト軸O回り及びボルト軸Oの径方向に可動可能な継手であって、上部吊りボルト3a側に連結された上部連結片55と、下部吊りボルト3b側に連結されると共に、球体56を介して上部連結片55に対して相対的に可動可能に連結された下部連結片57と、を備えている。
上部連結片55は、側面視コの字状に形成された板片であり、上下方向に向かい合う上方壁部55a及び下方壁部55bを有している。そして、上方壁部55aに上部吊りボルト3aの下端部が連結されている。また、下方壁部55bには開口部55cが形成されており、この開口部55c内に球体56が部分的に転動自在に嵌合している。
下部連結片57は、上部連結片55と同様に側面視コの字状に形成された板片であり、上下方向に向かい合う上方壁部57a及び下方壁部57bを有している。そして、下方壁部57bに下部吊りボルト3bの上端部が連結されている。また、上方壁部57aには開口部57cが形成されており、この開口部57c内に球体56が部分的に転動自在に嵌合している。
球体56は、上述したように、上部連結片55における下方壁部55bの開口部55c内と、下部連結片57における上方壁部57aの開口部57c内とにそれぞれ部分的に転動自在に嵌合され、上部連結片55と下部連結片57との間で転動自在に挟み込まれた状態とされている。
この際、球体56が転動自在とされているので、この転動を利用して、上部連結片55と下部連結片57とは相対的にボルト軸O回りに回転自在とされていると共に、径方向に相対的に移動可能とされている。
上記減衰材52は、上記球体56を内部に閉じ込めるように、上部連結片55と下部連結片57との間に封入された部材であり、関節型継手51及び吊りボルト3の全体に蓄積される振動エネルギーを減衰によって消費する役割を果している。
このように構成された防振吊り減震構造体50によれば、地震発生等によって設備機器Wに外部から振動が入力されることで吊りボルト3に振動が伝わった際、関節型継手51によってその振動を吸収しながら、さらに減衰材52によって振動エネルギーを減衰させて消費できる。そのため、吊りボルト3に生じる曲げ変形や破断等をより効果的に抑制でき、設備機器Wを過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
特に、関節型継手51は、ボルト軸O回り及び径方向に可動可能であるので、設備機器Wが水平面内においてどの方向に振動によって移動したとしても、その水平面内に沿った外力を球体56の回転エネルギーに変換しながら効率良く消費できる。そのうえ、水平方向の動きに4本の吊りボルト3を各別に追従させることが可能である。従って、第1実施形態と同様に、設備機器Wを安定に天吊り支持することができる。
また、本実施形態の場合であっても、従来の免震構造方式を採用する必要がないので、大きな移動可能空間を必要とせずに、上記した作用効果を奏効することができる。
なお、上記第2実施形態において、関節型継手51を1つの吊りボルト3に対して2つ以上設け、多段式関節としても構わない。この場合、各関節型継手51のそれぞれに減衰材52を設ければ良い。
また、関節型継手51の構成は、上記した場合に限定されるものではなく、ボルト軸O回り及び径方向に可動可能であれば自由に設計して構わない。
<第3実施形態>
次に、本発明に係る防振吊り減震構造体の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、振動低減部材が吊りボルト3に設けられていたが、本実施形態では連結具5に設けられている。
図15及び図16に示すように、本実施形態の防振吊り減震構造体60は、振動低減部材が連結具5に設けられており、両者が一体となった連結ユニット61を備えている。なお、図15ではこの連結ユニット61の図示を簡略化している。
連結ユニット61は、図16に示すように、連結片4のフランジ部4aの下面側に配設された、球面滑りワッシャ62、減衰ワッシャ63、平板ワッシャ10及びナット11と、連結片4のフランジ部4aの上面側に配設された、減衰ワッシャ64、平板ワッシャ10及びナット11と、を備えている。
球面滑りワッシャ62及び減衰ワッシャ63は、吊りボルト3に装着された状態でフランジ部4aの下面側から下方に向けてこの順番で配置されており、吊りボルト3に螺着された上記ナット11によってフランジ部4aの下面に対して締め付けられている。一方、減衰ワッシャ64は、吊りボルト3に螺着された上記ナット11によってフランジ部4aの上面に対して締め付けられている。
これらのことにより、連結片4と吊りボルト3とが連結されている。なお、この連結ユニット61のうち、2つの減衰ワッシャ63、64及び球面滑りワッシャ62が振動低減部材65として機能し、これらを締め付けている平板ワッシャ10及びナット11が連結具5として機能する。
上記2つの減衰ワッシャ63、64は、弾性と減衰とを合わせ持つ材料(例えば硬度40度で且つtanδが0.5以上となる材料)によって環状に形成された高減衰特性を有する減衰部材66と、この減衰部材66の上下面に固着された平板ワッシャ67と、で構成される。
上記球面滑りワッシャ62は、平板ワッシャを例えば型を利用した加熱、加圧成形によって半球面状に作製された部材であり、図示の例では凸状に膨出した側をフランジ部4aの下面側に当接させるように配置されている。
このように構成された防振吊り減震構造体60によれば、地震発生等によって設備機器Wに外部から振動が入力されることで吊りボルト3と連結片4との連結部分に振動エネルギーが蓄積された際、2つの高減衰ワッシャ63、64によって、上下方向の衝撃力を吸収することができる。また、球面滑りワッシャ62によって、水平方向の衝撃力を該球面滑りワッシャ62とフランジ部4aとの間の摩擦減衰によって吸収することができる。
その結果、連結片4と吊りボルト3との間の緩みや、連結片4や吊りボルト3自体に生じる変形や破断等、特に連結片4のこじり現象を効果的に抑制することができ、やはり設備機器Wを過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
また、本実施形態の場合であっても、従来の免震構造方式を採用する必要がないので、大きな移動可能空間を必要とせずに、上記した作用効果を奏効することができる。
なお、上記第3実施形態において、球面滑りワッシャ62をフランジ部4aの下面側に配置したが、フランジ部4aの上面側に配置しても構わないし、フランジ部4aの上面側及び下面側の両面に配置しても構わない。
(第3実施形態の変形例)
なお、上記第3実施形態において、連結ユニット61を予め吊りボルト3に固定しておき、その後に連結片4に対してワンタッチで取付けることができるように構成することも可能である。この場合について詳細に説明する。
図17及び図18に示すように、この場合の連結ユニット70は、吊りボルト3の下端部に上下方向に間隔を開けて螺着された2つのナット11と、上方に位置するナット11側から下方に位置するナット11側に向けて順番に配設された、減衰ワッシャ63、ダミー金具71、球面滑りワッシャ62、ストッパ金具72、コイルバネ73及び平板ワッシャ10と、を備えている。
これら減衰ワッシャ63、ダミー金具71、球面滑りワッシャ62、ストッパ金具72、コイルバネ73及び平板ワッシャ10は、吊りボルト3に挿入されている。このうち減衰ワッシャ63、ダミー金具71、球面滑りワッシャ62及びストッパ金具72は、コイルバネ73による弾性力によって上方に付勢されて上方側のナット11に押し付けられている。一方、平板ワッシャ10は、コイルバネ73による弾性力によって下方に付勢されて下方側のナット11に押し付けられている。
上記ダミー金具71は、連結片4のフランジ部4a側に開口する切欠き部71aが形成された平面視コの字状の部材とされている。そして、この切欠き部71a内に吊りボルト3が位置するように、該吊りボルト3に対して離脱自在に装着されている。このように装着されたダミー金具71は、フランジ部4a側から外力を受けた際に、吊りボルト3が切欠き部71aの開口部分から相対的に抜けるように左右方向L1に移動して、吊りボルト3から離脱可能とされている。
ここで、この場合の連結片4におけるフランジ部4aの連結孔6は、図18に示すように、平面視L字状に形成されており、フランジ部4aの縁部に開口している。そのため、吊りボルト3をこの開口した部分から連結孔6に沿ってL字状に押し込むことが可能とされている。そして、吊りボルト3を連結孔6の最奥部Pに位置させることで、連結片4に対する吊りボルト3の押し込み作業が終了する。また、吊りボルト3がこの最奥部Pに位置している場合には、該吊りボルト3は矢印T方向以外への移動が連結孔6によって規制される。
上記ストッパ金具72は、球面滑りワッシャ62を支持する支持板72aと、該支持板72aから上方に向けて突出した凸部72bと、を備えている。球面滑りワッシャ62は、この支持板72aとダミー金具71との間に凸状に膨出した側をダミー金具71に当接させた状態で配設されている。
凸部72bは、支持板72aとダミー金具71との間に介在されている球面滑りワッシャ62の厚みよりも上方に向けて突出した壁部であり、吊りボルト3をフランジ部4aにおける連結孔6の最奥部Pに位置させ、ダミー金具71が吊りボルト3から離脱した際に、図19及び図20に示すように、コイルバネ73による弾性力によって連結孔6内に嵌り込むと共に、この連結孔6の開口端に当接させられる。
これにより、吊りボルト3は連結孔6の最奥部Pに位置した際、上記矢印T方向についても移動が凸部72bと連結孔6との接触により規制される。その結果、吊りボルト3は、最奥部Pで位置決めされ、連結片4に対して連結がなされる。
ところで、吊りボルト3には、ストッパ金具72と平板ワッシャ10との間において、該吊りボルト3を径方向の外側から囲繞する減衰管74が、コイルバネ73の径方向の内側に位置するように圧縮された状態で外挿されている。この減衰管74は、弾性と減衰とを合わせ持つ材料(例えば硬度40度で且つtanδが0.5以上となる材料)によって環状に形成され、且つ上下方向に伸縮自在とされた高減衰特性を有する部材とされている。本実施形態の場合、下方向に圧縮されて外挿されているので、ダミー金具71の離脱に伴って上方向に伸び、平板ワッシャ10及びストッパ金具72に対してそれぞれ確実に当接することが可能とされている。
なお、上記した連結ユニット70のうち、減衰ワッシャ63、球面滑りワッシャ62、減衰管74が振動低減部材75として機能し、ナット11、ダミー金具71、ストッパ金具72、コイルバネ73が連結具5として機能する。
このように構成された連結ユニット70の場合には、図17及び図18に示すように、ダミー金具71が取付けられている吊りボルト3を、連結片4のフランジ部4aに形成された連結孔6の開口部分から押し込み、連結孔6に沿って最奥部PまでL字状に移動させる。この際、ダミー金具71は、フランジ部4aに押し当たるので、吊りボルト3の移動に伴って相対的に徐々に左右方向L1の外側に移動させられ、吊りボルト3から離脱して外れる。
そして、吊りボルト3を最奥部Pまで移動させると、図19及び図20に示すように、ダミー金具71が取り外された分、ストッパ金具72がコイルバネ73によって上方に移動させられるので、凸部72bが連結孔6内に嵌り込むと共に、連結孔6の開口端に当接する。
これにより、吊りボルト3は、径方向のいずれの方向に対しても移動が規制されて、連結孔6の最奥部Pで位置決めがなされる。その結果、連結ユニット70を連結片4に対してワンタッチで取付けることができる。
特に、ストッパ金具72の凸部72bは、コイルバネ73によって常時上方に付勢されているので、連結孔6内から外れてしまうことがない。従って、吊りボルト3と連結片4とを確実に連結して一体化させることができる。
そして、連結ユニット70の取り付け後、地震発生等によって設備機器Wに外部から振動が入力されることで吊りボルト3と連結片4との連結部分に振動エネルギーが蓄積されたとしても、衝撃をコイルバネ73で緩和すると共に、高減衰ワッシャ63及び減衰管74によって上下方向の衝撃力を吸収することができる。また、球面滑りワッシャ62によって、水平方向の衝撃力を該球面滑りワッシャ62による摩擦減衰によって吸収することができる。
その結果、同様に連結片4と吊りボルト3との間の緩みや、連結片4や吊りボルト3自体に生じる変形や破断等、特に連結片4のこじり現象を効果的に抑制することができ、設備機器Wを過度に揺らすことなく安定に支持することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明に係る防振吊り減震構造体の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、振動低減部材が吊りボルト3に設けられていたが、本実施形態では吊りボルト3の途中に設けられ、該吊りボルト3と設備機器Wとの間で振動エネルギーを減衰により消費することが可能とされている。
図21に示すように、本実施形態の防振吊り減震構造体80では、振動低減部材81が吊りボルト3の途中に設けられると共に、設備機器Wの左右方向L1の外側に位置している。なお、図21では、振動低減部材81の図示を簡略化している。
この振動低減部材81は、図22〜図25に示すように、吊りボルト3に対して連結された固定部材82と、該固定部材82と設備機器Wとの間に配設され、左右方向L1に移動可能とされた状態で吊りボルト3に連結された可動部材83と、固定部材82と可動部材83との間に設けられ、該可動部材83を設備機器W側に付勢するコイルバネ(付勢部材)84と、を備えている。
以下、詳細に説明する。
吊りボルト3には、前後方向L2に長く、左右方向L1に短い平面視長方形状の連結板85が2つのナット86を介して連結されている。この連結板85は、上記した固定部材82及び可動部材83を吊りボルト3に連結させるための中継部材とされている。
固定部材82及び可動部材83は、共に側面視L字状に形成された板片とされており、連結板85の下面に重ねられた天壁部82a、83aと、左右方向L1に向かい合う対向壁部82b、83bと、を備えている。そして、吊りボルト3に対して接触しない位置において、連結板85の下面に可動部材83の天壁部83aが重ねられ、該天壁部83aの下面に固定部材82の天壁部82aが重ねられている。そして、この状態において、連結板85及び両天壁部82a、83aを上下に貫く連結ボルト87によって、連結板85、固定部材82及び可動部材83が一体的に連結されている。
可動部材83の天壁部83aには、図26に示すように、左右方向L1に延びたスリット88が形成されており、該スリット88内に連結ボルト87が挿通されている。これにより、可動部材83は、上記したように左右方向L1に移動可能とされている。つまり、可動部材83の対向壁部83bは、固定部材82の対向壁部82bに対して接近離間自在とされている。
また、図22〜図25に示すように、可動部材83の対向壁部83b及び固定部材82の対向壁部82bには、左右方向L1に延び、且つ前後方向L2に間隔を開けて配置された2本のガイドボルト90が挿通されている。そして、これらガイドボルト90に対して、上記したコイルバネ84が外挿されて両対向壁部82b、83bの間に配設されており、可動部材83を固定部材82から離間する方向、即ち設備機器W側に付勢している。この際、ガイドボルト90の端部にはナット91が螺着されており、設備機器W側への可動部材83の移動量を規制している。
また、可動部材83の対向壁部83bには、減衰板92が取付けられており、この減衰板92と設備機器Wの側面との間に所定の隙間G(図23参照)が開くように設定されている。なお、減衰板92は、弾性と減衰とを合わせ持つ材料で形成された高減衰特性を有する衝撃力吸収部材である。
ところで、連結板85の下面、可動部材83における天壁部83aの上下面、及び固定部材82における天壁部82aの上面は、それぞれ摺動面(滑り面)として機能するが、これらの面には例えばショットブラスト処理等の所定の表面処理がなされている。
また、連結板85と連結ボルト87に螺着されたナット95との間には、連結板85と固定部材82における天壁部82aと可動部材83における天壁部83aとの接触圧を調整する皿ばね97が介在されている。これにより、可動部材83は適度な摩擦抵抗で左右方向L1に移動可能とされている。
このように構成された防振吊り減震構造体80によれば、地震発生等によって設備機器Wに外部から振動が入力され、該振動によって設備機器Wが左右方向L1に移動して吊りボルト3に接近すると、設備機器Wの側面が可動部材83の対向壁部83bに取付けられた減衰板92に接触し、そのまま可動部材83を固定部材82側に押圧する。このとき可動部材83は、コイルバネ84によって設備機器W側に付勢されているので、その付勢力によって元の位置に復帰するように逆方向に移動させられ、設備機器Wを吊りボルト3から離間させるように押し返すことができる。これにより、振動エネルギーを、コイルバネ84の変形及び可動部材83の摩擦抵抗等によって吸収して消費することができ、設備機器Wの振動を効果的に抑制して安定的に天吊り支持することができる。
また、本実施形態の場合であっても、従来の免震構造方式を採用する必要がないので、大きな移動可能空間を必要とせずに、上記した作用効果を奏効することができる。
また、設備機器Wが可動部材83に接触した際、その衝撃力を減衰板92によっても吸収できるので、この点においても振動エネルギーを消費することができる。
更に、本実施形態の場合には、例えば大きな地震が発生したとしても、設備機器Wと吊りボルト3とが直接的に接触し難いので、接触による変形等が吊りボルト3に発生することを効果的に防止し易い。
なお、上記第4実施形態では、コイルバネ84を2つ設けた構成としたが、1つでも構わないし、3つ以上設けても構わない。また、コイルバネ84に限定されるものではなく、可動部材83を設備機器W側に付勢できれば良く、例えばゴム材等の弾性材を採用しても構わない。
また、減衰板92は、必須なものではなく具備しなくても構わない。更には、減衰板92に変えて、ウレタン等のフォーム材、粘弾性材や複合材等を用いて衝撃力を緩和させても構わない。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、各実施形態を適宜組み合わせ、各実施形態における振動低減部材を具備する防振吊り減震構造体としても構わない。また、4本の吊りボルト3を利用して設備機器Wを天吊り支持したが、設備機器Wの種類、用途等に応じて吊りボルト3の本数や配置を適宜変更して構わない。
F…天井躯体
W…設備機器
1、50、60、80…防振吊り減震構造体
2…インサート(固定具)
3…吊りボルト
4…連結片
5…連結具
15、20、30…長ナット(振動低減部材)
40…金物(振動低減部材)
45…減衰管(振動低減部材)
51…関節型継手
52…減衰材(振動低減部材)
65、75、81…振動減衰部材
82…固定部材
83…可動部材
84…コイルバネ(付勢部材)

Claims (5)

  1. 設備機器を天吊り支持する構造体であって、
    天井躯体に設けられた固定具に対して上端部が螺着された複数の吊りボルトと、
    複数の前記吊りボルトの下端部にそれぞれ設けられ、前記設備機器に固定された連結片に対して連結された連結具と、を備え、
    前記吊りボルト及び前記連結具のうちの少なくともいずれか一方には、入力された振動の振動エネルギーを消費して、吊りボルト及び連結具に作用する振動負荷を低減させる振動低減部材を備えていることを特徴とする防振吊り減震構造体。
  2. 請求項1に記載の防振吊り減震構造体において、
    前記振動低減部材は、前記吊りボルトに設けられ、該吊りボルトに蓄積される前記振動エネルギーを消費することを特徴とする防振吊り減震構造体。
  3. 請求項1に記載の防振吊り減震構造体において、
    前記振動低減部材は、前記連結具に設けられ、前記連結片と前記吊りボルトとの連結部分に蓄積される前記振動エネルギーを消費することを特徴とする防振吊り減震構造体。
  4. 請求項1に記載の防振吊り減震構造体において、
    前記吊りボルトには、該吊りボルトのボルト軸回り、及びボルト軸の径方向に可動可能な関節型継手が設けられ、
    前記振動低減部材は、前記関節型継手に設けられ、該関節型継手及び前記吊りボルトに蓄積される前記振動エネルギーを消費することを特徴とする防振吊り減震構造体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の防振吊り減震構造体において、
    前記振動低減部材は、
    前記吊りボルトに対して連結された固定部材と、
    該固定部材と前記設備機器との間に配設され、前記吊りボルトのボルト軸の径方向に移動可能とされた状態で該吊りボルトに連結された可動部材と、
    前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、該可動部材を前記設備機器側に付勢する付勢部材と、を備え、
    前記可動部材は、前記吊りボルトに対して前記設備機器が前記径方向に沿って接近移動した際に、該移動に伴って移動させられることを特徴とする防振吊り減震構造体。
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