JP2013154742A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステアリング装置の各構成部材に加わった過大な外力に基づく、これら各構成部材に生じた変形、或はこれら各構成部材同士の結合状態の変化を目視で容易に判定できる構造を実現する。
【解決手段】
ステアリングギヤユニットのピニオン軸8bの外周面の、一方の大径部23aから小径部19aを介して、他方の大径部23bに掛けて、ペイント等により目視可能な状態で、このピニオン軸8bの軸方向に平行な直線状の変形判定部21を設ける。そして、この変形判定部21の軸方向の異なる位置同士の円周方向に関する位相のずれにより、前記ピニオン軸8bに変形が生じたか否かを判定可能とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車等の車両の操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置の改良に関する。具体的には、衝突事故時や操舵輪の縁石乗り上げ時に、このステアリング装置の構成部材に加わる過大な外力等に基づいて、これら各構成部材に生じた変形、或はこれら各構成部材同士の結合状態の変化を目視で容易に判定できる構造を実現するものである。
図27は、従来から知られているステアリング装置の1例を示している。このステアリング装置は、車体1に支持された円筒状のステアリングコラム2の内径側にステアリングシャフト3を、回転自在に支持している。そして、このステアリングコラム2の後端開口よりも後方に突出した、前記ステアリングシャフト3の後端部分に、ステアリングホイール4を固定している。このステアリングホイール4を回転させると、この回転が、前記ステアリングシャフト3、後側の自在継手5a、中間シャフト6、前側の自在継手5bを介して、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニット7を構成するピニオン軸8(入力軸)に伝達される。このピニオン軸8が回転すると、このステアリングギヤユニット7を構成するラック軸9の両端部に連結された1対のタイロッド10、10が押し引きされて左右1対の操舵輪に、前記ステアリングホイール4の操作量に応じた舵角が付与される。
又、図27に示したステアリング装置は、電動モータ11を動力源として、前記ステアリングホイール4を操作する為に要する力である操舵力を低減できる様に構成した、電動式パワーステアリング装置としている。即ち、図27に示したステアリング装置は、前記ステアリングホイール4から入力された操舵力を前記両操舵輪に伝達する為の前記ステアリングシャフト3と前記自在継手5aとの間部分に、前記電動モータ11を含んで構成される電動アシスト装置12を組み付けている。この電動アシスト装置12は、前記ステアリングホイール4から前記ステアリングシャフト3にトルクが加わった際に、このトルクの方向及び大きさを検出する。そして、この検出したトルクの方向及び大きさと車速信号とに基づき、前記電動モータ11を動力源とする補助トルクを発生させる事により、前記自在継手5aを、前記ステアリングホイール4から前記ステアリングシャフト3に入力されたトルクよりも大きなトルクで回転させる。この結果、前記ステアリングホイール4を操作する為に要する力である操舵力が低減される。
又、上述の図27に示したステアリング装置の場合、前記ステアリングホイール4の前後位置を調節できる構造と、二次衝突(運転者の身体が前記ステアリングホイール4にぶつかる衝突)時に運転者の保護を図れる構造とを実現可能とする為、前記ステアリングコラム2を、インナコラム13とアウタコラム14とを伸縮可能に組み合わせて構成している。又、同様の理由により、前記ステアリングシャフト3を、互いの端部同士をセレーション係合等によりトルク伝達を可能に組み合わされたインナ、アウタ両シャフト15、16により構成している。更に、一次衝突(車体の前部が他の車両等の物体にぶつかる衝突)時の衝撃が前記ステアリングシャフト3に伝達されない様にして、前記ステアリングホイール4が運転者に向けて突き上げられる事を防止できる構造を実現する為、前記中間シャフト6は、互いの端部同士をセレーション係合等によりトルク伝達を可能に組み合わされたインナ、アウタ両シャフト17、18により構成している。尚、図27に示したステアリング装置の場合、前記ステアリングコラム2を構成するインナ、アウタ両コラム13、14と、前記ステアリングシャフト3を構成するインナ、アウタ両シャフト15、16と、前記自在継手5a、5bと、前記中間シャフト6を構成するインナ、アウタ両シャフト17、18と、前記ピニオン軸8と、前記ラック軸9と、前記両タイロッド10、10とが、それぞれ特許請求の範囲に記載した「構成部材」に相当する。
ところで、上述の様なステアリング装置に関しては、このステアリング装置を搭載した車両が衝突事故を起こしたり、運転操作の誤りにより操舵輪を縁石に乗り上げたりした場合、この操舵輪の側から前記ステアリング装置の構成部材に、操舵時に加わる通常入力の最大値を超える大きさの、衝撃的な外力(圧縮荷重、引っ張り荷重、曲げモーメント、トルク等)が加わる場合がある。この様な場合にも、操舵機能が完全に喪失してしまう様な破壊が発生する事を防止できる様にする為に、前記ステアリング装置に対する、衝撃エネルギの吸収性能の向上要求が高くなっている。
そこで、図28に示す様なステアリング装置の構造が特許文献1に記載されている。このステアリング装置の場合、ステアリングギヤユニット7aを構成するピニオン軸8aの基端寄り部分に、軸方向に隣接する他の部分に比べて外径寸法が小さくなった小径部19(脆弱部)を設けたステアリング装置が記載されている。この様な従来構造の場合、ステアリング装置を搭載した車両が、衝突事故を起こしたり、運転操作の誤りにより操舵輪を縁石に乗り上げる等して、前記ピニオン軸8aに衝撃的なトルクが加わった際、このピニオン軸8aに設けた前記小径部19が、他の部位に優先して捩り変形する。そして、この捩り変形に基づいて、前記操舵輪の側から入力された衝撃エネルギを吸収する。この為、前記ピニオン軸8aのうちで前記小径部19以外の部分や、このピニオン軸8a以外の前記ステアリング装置の構成部材に加わる、衝撃的な外力を緩和できる。
ところが、上述した従来構造の場合、前記小径部19に生じた捩り変形を発見する事が困難である。即ち、前記ピニオン軸8a等のステアリング装置の構成部材に生じた捩り変形は、外見上の変化をほとんど伴わない場合がある。この為、使用者が前記車両を修理工場に持ち込んでも、経験の浅い工員の場合、損傷の程度によっては、前記捩り変形が生じた前記各構成部材の異常を見付けられない可能性がある。
又、上述の様な過大な外力が前記ステアリング装置に加わった際、例えば、前記ピニオン軸8aの基端部、或は前記ステアリングシャフト15を構成するインナシャフト15の前端部と、前記各自在継手5a、5bの基部20a、20bとの結合部等の様に、前記ステアリング装置を構成する各構成部材同士の結合状態が変化する場合がある。但し、前記特許文献1に記載された構造の場合、この様なステアリング装置の各構成部材同士の結合状態の変化の判定に就いても考慮されていない。
特開2007−186185号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、衝突事故や運転操作の誤りによりステアリング装置の構成部材に加わった過大な外力に基づく、これら各構成部材に生じた変形、或はこれら各構成部材同士の結合状態の変化を目視で容易に判定できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリング装置は、ステアリングコラムと、ステアリングシャフトと、後側自在継手と、中間シャフトと、前側自在継手と、ピニオン軸と、ラック軸と、タイロッドとを構成部材として備える。
このうちのステアリングコラムは、車体に支持される。
又、前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングコラムの後端部から突出した部分にステアリングホイールを固定し、このステアリングコラムの内側に回転自在に支持されている。
又、前記後側自在継手は、前記ステアリングシャフトの前端部で前記ステアリングコラムの前端部から突出した部分に結合されている。
又、前記中間シャフトは、前記後側自在継手を介して前記ステアリングシャフトに結合されている。
又、前記前側自在継手は、前記中間シャフトの前端部に結合されている。
又、前記ピニオン軸は、この前側自在継手を介して前記中間シャフトに結合されている。
又、前記ラック軸は、前記ピニオン軸と噛合させる事によりこのピニオン軸の回転を軸方向の変位に変換するものである。
更に、前記タイロッドは、操舵輪に結合され、このピニオン軸により押し引きされる。
特に本発明のステアリング装置に於いては、前記各構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材に、目視可能な状態で変形判定部が設けられている。
この様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項2に記載した発明の様に、前記変形判定部を、この変形判定部が設けられた前記各構成部材の軸方向と平行な状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項3に記載した発明の様に、前記変形判定部を、この変形判定部が設けられた前記各構成部材の軸方向と直交する仮想平面上に存在する状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項4に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材のうち、降伏強度が高い部分と、降伏強度が低い部分とを軸方向に関して連続する軸部を有する構成部材の、この降伏強度が高い部分から、この降伏強度が低い部分に跨る状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項5に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材のうち、大径部と小径部とを段差部を介して連続する軸部を有する構成部材の、少なくともこの小径部の軸方向に関する段差部側端部から中間部に掛けて設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項6に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材に形成された貫通孔を軸方向に関して跨いだ状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項7に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材に形成された貫通孔をこの貫通孔の内面のうちの、少なくとも1つの内面と平行な方向に関して跨いだ状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項8に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材のうちの異なる少なくとも二つの構成部材同士の間に跨る状態で設ける。
又、上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に具体的には、請求項9に記載した発明の様に、前記変形判定部を、前記各構成部材に形成された貫通孔の周囲に、この貫通孔を囲む状態で設ける。
前述の様に構成する本発明のステアリング装置によれば、衝突事故や運転操作の誤りによりステアリング装置の構成部材に加わった過大な外力に基づく、これら各構成部材に生じた変形、或は各構成部材同士の結合状態の変化を目視で容易に判定できる。即ち、本発明の場合、ステアリング装置の各構成部材に目視可能な状態で変形判定部を設けている。この為、これら各構成部材に前記過大な外力に基づく変形が生じた場合に、前記変形判定部自体の変形、或は前記各構成部材のこの変形判定部に対する変化により、これら各構成部材に変形が生じた事を目視で容易に判定できる。
又、前記変形判定部を、組み立て作業、又は加工の目印とする事で、組み立て作業効率及び加工効率の向上を図れる。
又、請求項2に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材の軸方向と平行な状態で設けている。この為、これら各構成部材に上述した様な変形(特に捩り)が生じた場合に、前記変形判定部のうちの軸方向に離隔した位置同士の円周方向に関する位相のずれ(この変形判定部の捩れ等)を判定する事により、前記各構成部材に変形が生じた事を目視で容易に判定できる。
又、請求項3に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材の軸方向と直交する仮想平面上に存在する状態で設けている。この為、前記変形判定部のうちの軸方向に直交する方向に離隔した位置同士の、軸方向に関するずれを判定する事により、前記各構成部材に変形が生じた事を目視で容易に判定できる。
又、請求項4に記載した発明の場合、前記変形判定部を、降伏強度が高い部分と、降伏強度が低い部分とを軸方向に関して連続する軸部を有する構成部材の、この降伏強度が高い部分から、この降伏強度が低い部分に掛けて設けている。この様な降伏強度が低い部分は、曲げ変形、或は捩り変形等の変形が生じ易い部分であり、この部分の変形を、より容易、且つ確実に判定する事で、前記各構成部材の異常を早期に発見できる。
又、請求項5に記載した発明の場合、前記変形判定部を、大径部と小径部とを段差部を介して連続する軸部を有する構成部材の、小径部の軸方向に関する段差部側端部から中間部に掛けて設けている。この様な段付き形状の軸部材は、前記段差部の小径側端部(内径側端部)に応力が集中し、この部分に曲げ変形、或は捩り変形等の変形が生じ易い。従って、この部分の変形を、より容易、且つ確実に判定する事で、前記各構成部材の異常を早期に発見できる。
又、請求項6に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材に形成された貫通孔をこれら各構成部材の軸方向に関して跨いだ状態で設けている。この為、これら各構成部材に加わる過大な外力、或はこの貫通孔の内側に挿通された部材等からこの貫通孔に加わる外力に基づいてこの貫通孔に変形が生じたか否かを、前記変形判定部の変形、或はこの変形判定部とこの貫通孔との相対的な変形に基づいて容易に判定できる。
又、請求項7に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材に形成された貫通孔を、この貫通孔の内面のうちの少なくとも1つの内面と平行な方向に関して跨いだ状態で設けている。この為、これら各構成部材に加わる過大な外力、或はこの貫通孔の内側に挿通された部材等からこの貫通孔に加わる外力に基づいて前記貫通孔の内面の形状が変形したか否かを、前記変形判定部の変形、或はこの変形判定部とこの貫通孔との相対的な変形に基づいて容易に判定できる。
又、請求項8に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材のうちの異なる少なくとも二つの構成部材同士の間に跨る状態で設けている。この為、前述した様な過大な外力に基づいて前記両部材同士の結合状態が変化した場合、変形判定部のうちの、これら両部材同士の一方の部材に設けられた部分と、他方の部材に設けられた部分とが相対的に変位する。この様な相対的な変位を目視で判定する事により、前記結合状態が変化したか否かを容易に判定できる。
又、請求項9に記載した発明の場合、前記変形判定部を、前記各構成部材のうち、これら各構成部材に形成された貫通孔の周囲に、この貫通孔を囲む状態で設けている。この為、前述した様な過大な外力、或はこの貫通孔の内側に挿通された部材等からこの貫通孔に加わる外力に基づいて、この貫通孔の内面の形状が変形したか否かを、この貫通孔と前記変形判定部との関係に基づいて容易に判定できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、ピニオン軸の基端寄り部分を示す部分側面図であって、このピニオン軸に変形が生じていない状態を示す図(a)と、このピニオン軸に変形が生じた状態を示す図(b)。 同第2例を示す、図1(a)と同様の図。 同第3例を示す、図1(a)と同様の図。 同第4例を示す、図1(a)と同様の図。 同第5例を示す、図1(a)と同様の図。 同第6例を示す、図1(a)と同様の図。 同第7例を示す、ピニオン軸の部分側面図。 同第8例を示す、図1(a)と同様の図。 同第9例を示す、図1(a)と同様の図。 同第10例を示す、図1(a)と同様の図。 同第11例を示す、図1(a)と同様の図。 同第12例を示す、図1(a)と同様の図。 同第13例を示す、図1(a)と同様の図。 同第14例を示す、図7と同様の図。 同第15例を示す、図7と同様の図。 同第16例を示す、図1(a)と同様の図。 同第17例を示す、図7と同様の図。 同第18例を示す、図7と同様の図。 同第19例を示す、ステアリングシャフトの後端寄り部分を示す部分側面図。 同第20例を示す、アウタコラムの後端寄り部分を示す部分側面図であって、このアウタコラムのキーロック孔に変形が生じていない状態を示す図(a)と、このキーロック孔に変形が生じた状態を示す図(b)。 同第21例を示す、図20(a)と同様の図。 同第22例を示す、中間シャフトと自在継手との結合部を示す部分側面図であって、この中間シャフトと自在継手との結合状態に変化が生じていない状態を示す図(a)と、この結合状態に変化が生じた状態を示す図(b)。 同第23例を示す、図22(a)と同様の図。 同第24例を示す、タイロッドの側面図。 同第25例を示す、タイロッドのタイロッドエンド部の側面図。 同第26例を示す、タイロッドのタイロッドエンド部の側面図。 ステアリング装置の1例を示す、部分切断側面図。 図27のA−A断面図。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例を含め、本発明のステアリング装置の特徴は、ステアリング装置の構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材(本例の場合、ピニオン軸8b)に変形判定部21を設けた点にある。尚、構成部材とは、このピニオン軸8b以外に、例えば、前記図27に示す、ステアリングコラム2(インナコラム13、アウタコラム14)、ステアリングシャフト3(インナシャフト15、アウタシャフト16)、自在継手5a、5b、中間シャフト6(インナシャフト17、アウタシャフト18)、ラック軸9、タイロッド10、10等が相当する。又、本発明の特徴部分以外の構造は前記図27〜28に示した構造を含め、従来から知られているステアリング装置の構造とほぼ同様であるから、従来と同様に構成する部分に就いては、図示並びに説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例のステアリング装置を構成するラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニット7(図27参照)のピニオン軸8bは、その軸方向中間部に小径部19aを有する。この小径部19aは、前述した従来構造の小径部19(図28参照)と同様に、前記ステアリング装置を搭載した車両が、衝突事故を起こしたり、運転操作の誤りにより操舵輪を縁石に乗り上げる等して、前記ピニオン軸8bに衝撃的な外力(圧縮荷重、引っ張り荷重、曲げモーメント、トルク等)が加わった際、前記小径部19aを、他の部位に優先して捩り変形させる為に形成している。尚、この小径部19aは、特許請求の範囲に記載した小径部、及び降伏強度が低い部分に相当し、この小径部19aの軸方向両端側に、この小径部19aと段差部22a、22bを介して連続した状態で存在する大径部23a、23bが、それぞれ特許請求の範囲に記載した大径部、及び降伏強度が高い部分に相当する。
特に、本例の場合、前記小径部19aの先端側(図1の左側)に存在する大径部23aの外周面の軸方向中間部から、この小径部19aの外周面を介して、この小径部19aの基端側(図1の右側)に存在する大径部23bの外周面の軸方向中間部に掛かる状態で、ペイントにより、前記ピニオン軸8bの軸方向と平行な直線状の、前記変形判定部21を形成している。尚、長期間に亙る使用による摩耗等により、この変形判定部21が見えなくなってしまう可能性がある場合には、ペイントに代えて、この変形判定部21として、突条部或は溝等の構造を、前記ピニオン軸8bの剛性、耐久性に悪影響を及ぼさない範囲で適宜選択できる。このうちの突条部は、例えば、プレス加工等の塑性加工により形成する。一方、溝は、塑性加工の他、例えば、レーザー加工、切削工具等による切削加工により形成する。又、前記ピニオン軸8aの変形を判定し易くする観点から、前記変形判定部21の長さは25mm以上、太さ(幅)は5mm以下が好ましい。
その他のピニオン軸8bの構造は、前述した従来構造のピニオン軸8a(図28参照)の構造と同様である。尚、本例の場合、前記変形判定部21を、前記ピニオン軸8bの円周方向に関して1箇所のみに設けている。但し、後述する実施の形態の第2例の構造の様に、前記変形判定部21を前記ピニオン軸8bの円周方向に関して複数箇所に設ける事もできる。又、この変形判定部21の軸方向に関する長さを、本例の場合よりも長くすれば、前記ピニオン軸の変形を、より広範囲に判定できる。
この様な本例のステアリング装置によれば、衝突事故や運転操作の誤りによりステアリング装置の構成部材に加わる過大な外力に基づく、前記ピニオン軸8bの小径部19aに生じた変形を目視で容易に判定できる。即ち、本例の場合、このピニオン軸8bの小径部19aに目視可能な状態で前記変形判定部21を設けている。この為、このピニオン軸8bに前記過大な外力に基づく変形が生じた場合、図1(b)に示す様に、この変形判定部21の先端寄り部分と、基端寄り部分との円周方向に関する位相にずれが生じる。この様にして目視で前記変形判定部21の変形を確認すれば、前記ピニオン軸8bに変形が生じた事を容易に判定できる。
又、本例の場合、前記変形判定部21を、前記大径部23aの外周面の軸方向中間部から、この小径部19aの外周面を介して、前記大径部23bの外周面の軸方向中間部に掛けて設けている。この様な段付き形状の前記ピニオン軸8bは、前記両段差部22a、22bの前記小径部19a側端部(内径側端部)に応力が集中し、この部分に曲げ変形、或は捩り変形等の変形が生じ易い。従って、この部分の変形を、より容易に、且つ確実に判定する事で、前記ピニオン軸8bの異常を早期に発見できる。
[実施の形態の第2例]
図2は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のステアリング装置の場合、ピニオン軸8cの外周面の軸方向中間部の全周に亙る円周方向等間隔位置に複数個(本例の場合14個)の変形判定部21a、21aを設けている。それぞれの変形判定部21a、21aは、前述した実施の形態の第1例の変形判定部21(図1参照)と同様に、ペイント、突条、溝等(以下「ペイント等」とする)により、前記ピニオン軸8cの軸方向に平行な直線状に形成している。尚、本例のピニオン軸8cは、前述した実施の形態の第1例のピニオン軸8bの様な段付き状ではない。但し、本例の各変形判定部21a、21aを、この第1例と同様のピニオン軸8bに適用する事もできる。
この様な本例のステアリング装置によれば、前記ピニオン軸8cを車両に組み付けた状態で、このピニオン軸8cの変形をより容易に判定できる。即ち、本例の場合、前記各変形判定部21a、21aを、前記ピニオン軸8cの円周方向複数箇所に設けている。従って、前記ステアリング装置を車両に組み付けた状態で前記ピニオン軸8cの回転方向の位相に関係なく、何れかの変形判定部21a、21aを目視できる。この様な本例の構造を、車両への組み付け状態で目視しにくい部分や、回転に伴って目視できる位置が変化する部分等に適用する事で、この部分の変形をより容易に判定できる。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図3は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例のステアリング装置の場合、ピニオン軸8dが、このピニオン軸8dの基端(図3の右側)寄り部分に設けた小径部19bと、この小径部19bの先端側(図3の左側)に、この小径部19bと段差部22cを介して連続した状態で設けた大径部23cとを有する。本例の場合、この小径部19bが、特許請求の範囲に記載した小径部、及び降伏強度が低い部分に相当し、前記大径部23cが、特許請求の範囲に記載した大径部、及び降伏強度が高い部分に相当する。そして、この大径部23cの外周面の基端寄り部分から前記段差部22cを介して、前記小径部19bの外周面の軸方向中間部に掛けて、ペイント等により、前記ピニオン軸8dの軸方向に平行な直線状の変形判定部21bを設けている。尚、この変形判定部21bを前述した実施の形態の第2例と同様に、前記ピニオン軸8dの円周方向複数箇所に設ける事もできる。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第4例]
図4は、請求項1〜2、5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第3例と同様のピニオン軸8dの小径部19bの外周面の軸方向に関する先端側(段差部22c側)から中間部に掛けて、ペイント等により、前記ピニオン軸8dの軸方向に平行な直線状の変形判定部21cを設けている。尚、この変形判定部21cを前述した実施の形態の第2例と同様に、前記ピニオン軸8dの円周方向複数箇所に設ける事もできる。その他の構造、及び作用・効果は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第5例]
図5は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例のステアリング装置の場合、ピニオン軸8eを、このピニオン軸8eの図5の鎖線αよりも先端側(図5の左側)部分に設けた降伏強度が高い部分(高降伏強度部24)と、この鎖線αよりも基端側(図5の右側)部分に設けた降伏強度が低い部分(低降伏強度部25)とを、軸方向に関して連続させた構造としている。前記高降伏強度部24は、加工過程に於いて、例えば、焼入れ等の熱硬化処理を施したり、ショットピーニング等の表面硬化処理を施す等して降伏強度を高くしている。そして、前記高降伏強度部24の外周面の軸方向中間部から前記低降伏強度部25の外周面の軸方向中間部に掛けての円周方向3箇所位置に、ペイント等により、前記ピニオン軸8eの軸方向に平行な直線状の変形判定部21d、21dを設けている。尚、これら各変形判定部部21d、21dを前述した実施の形態の第1例と同様に、円周方向に関する1箇所のみに設ける構造としても良い。又、前記各変形判定部部21d、21dを前述した実施の形態の第2例と同様に、全周に亙り設ける事もできる。その他の構造、及び作用・効果は前記実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第6例]
図6は、請求項1〜2、6に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例のステアリング装置の場合、ピニオン軸8fの軸方向中間部に、このピニオン軸8fを径方向に貫通した状態で、貫通孔26を形成している。そして、前記ピニオン軸8fの外周面に、この貫通孔26を軸方向に関して跨いだ状態で、ペイント等により、このピニオン軸8fの軸方向に平行な直線状の変形判定部21eを設けている。尚、本例の場合、この変形判定部21eを、前記貫通孔26のほぼ中心を通る状態で設けている。但し、この変形判定部21eを、この貫通孔26の中心から円周方向にずらせた位置を通る状態で形成する事もできる。
又、前記ピニオン軸8fの外周面のこの変形判定部21eから円周方向にずれた位置(図6の上方)に、ペイント等によりこのピニオン軸8fの軸方向に平行な直線状の変形判定部21fを設けている。尚、この様な各変形判定部21e、21fを、後述する実施の形態の第14例の様に、複数個の円形の変形判定部素子28e、28e(図14参照)を直線状に配置した構造としても良い。
本例のステアリング装置の場合、他の部分と比べて変形し易い部分である前記貫通孔26の変形を、容易に、且つ確実に認定して、前記ピニオン軸8fの異常を早期に発見できる。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第7例]
図7は、請求項1〜2、6に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第6例と同様のピニオン軸8fの貫通孔26に杆状部材27を圧入している。そして、このピニオン軸8fの外周面及びこの杆状部材27の端面に、前記貫通孔26を軸方向に関して跨いだ状態で、ペイント等により、直線状の変形判定部21gを設けている。又、前記ピニオン軸8fの外周面の前記貫通孔26から円周方向にずれた位置(図7の上方)に、前述した実施の形態の第6例と同様の変形判定部21fを設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第6例と同様である。
[実施の形態の第8例]
図8は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、ペイント、又は塑性加工で形成した凹凸模様により表した、複数個(本例の場合4個)の正方形状の変形判定部素子28、28を、前記ピニオン軸8cの軸方向と平行な方向に、等間隔に配置する事により、直線状の変形判定部21h、21hとしている。尚、前記各変形判定部素子28、28の形状は、隣接する辺同士の成す角度が直角である形状であれば、正方形に限らず、長方形等でも良い。
又、この様な変形判定部21h、21hを軸方向に関して前記各変形判定部素子28、28を1個分ずらせると共に、円周方向に関してこれら各変形判定部素子28、28を1個分ずらせた状態で複数列(本例の場合3列)設けている。
本例の場合も、前述した実施の形態の第2例と同様に、前記各変形判定部21h、21hの軸方向に離隔した位置同士の円周方向に関する位相のずれを確認する事により、前記ピニオン軸8cに変形が生じた事を目視で容易に判定できる。
一方、異なる変形判定部21h、21hの、軸方向に関して整合する位置に配置された前記各変形判定部素子28、28同士の、軸方向のずれを確認する事により、前記ピニオン軸8cに変形が生じた事を目視で容易に判定できる。その他の構造、及び作用・効果は前記実施の形態の第2例と同様である。
[実施の形態の第9例]
図9は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、ペイント、又は塑性加工で形成した凹凸模様により表したそれぞれが正方形状である、複数種類の変形判定部素子28〜28dを、前記ピニオン軸8cの軸方向と平行な方向に、これら各素子28〜28dに関する限り特に規則性を有する事なく、直線状に配置して、変形判定部素子21i、21j、21kとしている。本例の場合、前記各変形判定部素子28〜28dを、図9で正方形状に黒く塗り潰した如く、全面の性状が均一な変形判定部素子28と、正方形の内側を斜線を組み合わせた性状とした変形判定部素子28a、28b、正方形の内側を斜線と横線とを組み合わせた性状とした変形判定部素子28cと、正方形の内側を斜格子を表す性状とした変形判定部素子28dとにより構成している。
又、この様な各変形判定部28〜28dを円周方向に関して前記各変形判定部素子28〜28dの1個分ずらせた状態で複数列(本例の場合3列)設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第8例と同様である。
[実施の形態の第10例]
図10は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、矩形状の変形判定部素子28、28を、前記ピニオン軸8cの軸方向と平行な方向に、等間隔に複数個(本例の場合4個)配置する事により、直線状の変形判定部21m、21mとしている。
又、この様な各変形判定部21m、21mを、軸方向に関して前記変形判定部素子28、28を1個分ずらせると共に、円周方向に関してこれら各変形判定部素子28、28を1個分以上ずらせた状態で複数列(本例の場合3列)設けている。即ち、本例の場合、円周方向に関して、前記各変形判定部21m、21m同士の間には僅かな隙間(ペイント若しくは凹凸が形成されていない部分)を設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第8例と同様である。
[実施の形態の第11例]
図11は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第11例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、前述した実施の形態の第8例と同様の変形判定部21h、21hを設けている。又、この様な各変形判定部21h、21hを、軸方向に関してこれら各変形判定部素子28、28を1個分ずらせると共に、円周方向に関して、これら各変形判定部素子28、28の2/3程度ずらせた状態で複数列(本例の場合3列)設けている。即ち、本例の場合、円周方向に隣り合う前記各変形判定部21h、21h同士は、軸方向に関して、前記各変形判定部素子の1/3ずつ程度重畳した状態で設けられている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第8例と同様である。
[実施の形態の第12例]
図12は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第12例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面の全周に亙り、ペイント等により、斜格子状の変形判定部21nを設けている。
本例の場合、前記変形判定部21nの軸方向、或は円周方向に離隔した異なる位置同士の斜格子部分の形状の変形等に基づいて、前記ピニオン軸8cに過大な外力に基づく変形が生じた事を目視で容易に判定できる。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第13例]
図13は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第13例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、ペイント等により形成した斜格子状の模様を、このピニオン軸8cの軸方向と平行な直線状に形成した変形判定部21pを設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第14例]
図14は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第14例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、ペイント又は塑性変形で形成凹部若しくは突起で表した円形の複数個の変形判定部素子28e、28eを、このピニオン軸の軸方向と平行な直線状に配置した変形判定部21qを設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第15例]
図15は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第15例を示している。本例のステアリング装置の場合、上述した実施の形態の第14例と同様の変形判定部21q、21qを、ピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面の円周方向複数個所(本例の場合4個所)に設けている。
本例の場合も、前述した実施の形態の第2例と同様に、前記各変形判定部21q、21qの軸方向に離隔した異なる位置同士の円周方向に関する位相のずれを確認する事により、前記ピニオン軸8cに過大な外力に基づく変形が生じた事を目視で容易に判定できる。
尚、前記各変形判定部21q、21qの軸方向に関する位置を互いに整合させた状態で設ければ、異なる各変形判定部21q、21qの変形判定部素子28e、28e同士の軸方向に関するずれを確認する事により、前記ピニオン軸8cに変形が生じた事を判定できる。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第16例]
図16は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第16例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第14例と同様の円形状の変形判定部素子28e、28eを、ピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面の全周に亙り設ける事により変形判定部21rとしている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第12例と同様である。
[実施の形態の第17例]
図17は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第17例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、前述した実施の形態の第14例と同様に、複数個の円形の変形判定部素子28e、28eを、前記ピニオン軸8cの軸方向と平行な直線状に設ける事により変形判定部21qとしている。但し、本例の場合、この変形判定部21qを、前記ピニオン軸8cの外周面に直接設けるのではなく、この変形判定部21qが印刷された、ビニル等の可撓性を有するシール部材29を、このピニオン軸8cの外周面に貼り付ける事で設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第14例と同様である。
[実施の形態の第18例]
図18は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第18例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第2例と同様のピニオン軸8cの軸方向中間部の外周面に、全体がこのピニオン軸8cと異なる色の、長方形状で、可撓性を有するシール部材29aを貼り付けている。即ち、本例の場合、このシール部材29aを、前記ピニオン軸8cの外周面に、このシール部材29aの四辺を構成する1対の長辺30、30がこのピニオン軸8cの軸方向に平行な状態、且つ同じく1対の短辺31、31がこの軸方向に直交する仮想平面上に存在する状態で貼り付ける事により、変形判定部21sとしている。尚、前記シール部材29aの色は、前記ピニオン軸8cの外周面の色と区別が容易な色を採用する。
本例の場合、前記シール部材29aの両長辺30、30同士の円周方向に関する位相のずれ、或は、前記両短辺31、31の円周方向に異なる位置同士の軸方向に関するずれを目視により確認する事で、前記ピニオン軸8bに変形が生じた事を容易に判定できる。尚、この様な形状の変形判定部をこのピニオン軸8bに直接設けても良い。その他の構造、及び作用・効果は前記実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第19例]
図19は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第19例を示している。本
例のステアリング装置の場合、ステアリングシャフト3の後端部(ステアリングコラム2のアウタコラム14の後端部から突出した部分)の外周面に、ペイント等により、前記ステアリングシャフト3の軸方向に平行な直線状の変形判定部21tを設けている。
この様な本例の構造によれば、前記ステアリングシャフト3に変形が生じた場合、この変形判定部21tの後端寄り部分と、前端寄り部分との円周方向に関する位相にずれが生じる。この様にして目視で前記変形判定部21tの変形を確認すれば、前記ステアリングシャフト3に変形が生じた事を容易に判定できる。
[実施の形態の第20例]
図20は、請求項1〜3、6、7、9に対応する、本発明の実施の形態の第20例を示している。本例のステアリング装置の場合、ステアリングコラム2のアウタコラム14の軸方向中間部に、イグニッションキー(図示省略)を引き抜くのに伴って、ステアリングシャフト3が前記ステアリングコラム2に対して回動する事を阻止する為のロック装置を設置する為の、長方形状のキーロック孔32を形成している。尚、この様なロック装置の構造は、従来から知られているロック装置の構造と同様である為、詳しい説明を省略する。
又、前記ステアリングコラム2の軸方向中間部の外周面に、ペイント等により、前記キーロック孔32を軸方向に跨る状態で第一の変形判定部33を設けている。尚、この第一の変形判定部33は、前記アウタコラム2の軸方向に平行、且つ、変形が生じていない状態{図20(a)参照}の前記キーロック孔32の内面のうちの1対の長辺34、34と平行な状態で設けられている。
又、前記ステアリングコラム2の軸方向中間部の外周面に、ペイント等により、前記キーロック孔32を円周方向に跨る状態で、第二の変形判定部36を設けている。尚、この第二の変形判定部36は、前記ステアリングコラム2の軸方向に直交する仮想平面上に存在し、且つ変形が生じていない状態{図20(a)参照}の前記キーロック孔32の両短辺35、35と平行な状態で設けられている。
更に、このキーロック孔32の周囲で、このキーロック孔32を囲む位置に、ペイント等により、このキーロック孔32よりも大きな長方形状の、第三の変形判定部37を設けている。尚、この第三の変形判定部37を構成する1対の長辺38、38は、変形が生じていない状態{図20(a)参照}の前記キーロック孔32の両長辺34、34と平行である。一方、前記第三の変形判定部37を構成する1対の短辺39、39は、変形が生じていない状態{図20(a)参照}の前記キーロック孔32の両短辺35、35と平行である。又、前記第一、第二、第三の変形判定部33、36、37は、前述したペイントのみならず、例えば、前記ステアリングコラム2の外周面に形成した凸部、或は凹部により形成しても良い。
この様な本例の場合、前記ステアリングコラム2のアウタコラム14に加わる過大な外力、或は、前記キーロック孔32に挿入したロックキー(図示省略)を介して、このキーロック孔32の内面に加わる衝撃等に基づいて、このキーロック孔32のみに変形が生じた場合、このキーロック孔32の形状が、前記第一、第二、第三の変形判定部33、36、37に対して、図1(b)に示す様に相対的に変形する。
又、前記ステアリングコラム2に加わる過大な外力に基づいて、前記第一、第二、第三の変形判定部33、36、37を形成した位置に変形が生じた場合には、この第一の変形判定部33又は前記第三の変形判定部37の両長辺38、38の軸方向に異なる位置同士の円周方向に関する位相、或は前記第二の変形判定部36又は前記第三の変形判定部37の両短辺35、35の円周方向に異なる位置同士の軸方向に関するずれが生じる。この様にして前記キーロック孔32と、前記第一、第二、第三の変形判定部33、36、37との相対的な変化、或はこれら第一、第二、第三の変形判定部33、36、37の変形を目視で確認すれば、前記ステアリングコラム2に変形が生じた事を容易に判定できる。
[実施の形態の第21例]
図21は、請求項1、9に対応する、本発明の実施の形態の第21例を示している。本例のステアリング装置の場合、ステアリングコラム2の軸方向中間部に形成された円形の貫通孔40の周囲で、この貫通孔40を囲む位置に、ペイント等により円形の変形判定部21uを設けている。その他の構造、及び作用・効果は前記実施の形態の第20例と同様である。
[実施の形態の第22例]
図22は、請求項1〜2、8に対応する、本発明の実施の形態の第22例を示している。本例のステアリング装置を構成する自在継手5bは、従来から知られている構造の自在継手と同様に、1対のヨーク41a、41bを1個の十字軸42を介して、トルク伝達自在に結合して成る。これら両ヨーク41a、41bはそれぞれ、金属材にプレス加工又は鍛造加工を施す事により造られており、それぞれが円筒状の基部20c、20bと、前記両ヨーク41a、41b毎にこれら各基部20c、20bの端部に連続した1対ずつの結合腕部43、43とを備える。
又、これら各結合腕部43、43の先端にそれぞれ円孔44を、前記両ヨーク41a、41b毎に互いに同心に形成している。又、前記十字軸42は、4本の軸部45を、隣り合う軸部45の中心軸同士が互いに直交する状態で設けて成る。
そして、これら各軸部45を前記各円孔44の内側に、それぞれカップシェル型のラジアルニードル軸受46を介して、回転自在に支持し、前記自在継手5bとしている。
又、前記両ヨーク41a、41bのうち、後方(図22の右側)のヨーク41aの基部20cに、中間シャフト6の前端部を内嵌により結合固定している。又、後述する実施の形態の第23例を記載した図23に示す様に、前方(図22、23の左側)のヨーク41bの基部20bに、ピニオン軸8b(図1参照)の基端部(後端部)を内嵌し、更にボルト47(図23参照)により結合固定する。この状態で、前記中間シャフト6と前記ピニオン軸8bとが、前記自在継手5bを介して、トルクの伝達を可能に結合される。
更に、本例の場合、前記一方のヨーク41aの一方(図22の表側)の結合腕部43の側面の先端部(図22の左端部)から、前記十字軸42の軸部45の端面、及び前記ヨーク41aの基部20bの外周面を介して、前記中間シャフト6の外周面の軸方向中間部に掛けて、ペイント等により、前記基部20b及びこの中間シャフト6の軸方向に平行な直線状の変形判定部21vを設けている。尚、本例の場合、この変形判定部21vを、前記ヨーク41aの一方(図22の表側)の結合腕部43側に設けているが、更に、他方の(図22の裏側)の結合腕部43側に設ける事もできる。又、前記変形判定部21vを形成する対象となる部材は、本例の構造の様に、中間シャフト6とヨーク41aとに限定されるものではなく、ステアリング装置の構成部材のうちの互いに結合された構成部材同士を適宜選択できる。又、前記変形判定部21vを、3個以上の異なる部材同士{例えば、自在継手5a(図27参照)、中間シャフト6、自在継手5b)に跨る状態で形成しても良い。
この様な本例の場合、前記変形判定部21vを、前記自在継手5bのヨーク41aと、前記中間シャフト6とに跨る状態で設けている。この為、図22(b)に示す様に、過大な外力に基づいて、前記ヨーク41aと前記中間シャフト6との結合状態が変化した場合、前記変形判定部21vのうちの、前記ヨーク41aに設けられた部分と、前記中間シャフト6に設けられた部分とが、円周方向に関して相対的に変位する。この様な相対的な変位を目視で判定する事により、前記結合状態の変化を容易に判定できる。
又、前記ヨーク41a、或は前記中間シャフト6上の、それぞれの前記変形判定部21vの軸方向に異なる位置の、円周方向に関する位相のずれを目視により確認すれば、前記ヨーク41a、或は前記中間シャフト6に生じた変形を認定できる。
[実施の形態の第23例]
図23は、請求項1〜3、8に対応する、本発明の実施の形態の第23例を示している。本例のステアリング装置の場合、前述した実施の形態の第22例と同様の自在継手5bの他方(図23の左側)のヨーク41bの基部20bの外周面の前端部(図23の右部)からピニオン軸8bの軸方向中間部に跨る状態で、変形判定部21yを設けている。又、本例の場合、一方のヨーク41aの基部20cの外周面の軸方向中間部に、この基部20cの軸方向と直交する仮想平面上に存在する変形判定部21zを設けている。この様に、前記両ヨーク41a、41bの様に複雑な形状から成り、外周面上に、他の部材との組み合わせ時等に基準となる線状の部分が少ない部材に、前記変形判定部21zを設ける事で、この変形判定部21zの変形により前記ヨーク41aの変形を判定可能とすると共に、この変形判定部21zに他の部材との組み合わせ時等の基準線としての役割を持たせている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第22例と同様である。
[実施の形態の第24例]
図24は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第23例を示している。本例のステアリング装置の場合、タイロッド10の一部に、小径部48を形成している。又、このタイロッド10は、基端側(図24の右側)のラックエンド部49と、先端側(図24の左側)のタイロッドエンド部50とを、軸方向に関して直列に接続して成る。即ち、前記ラックエンド部49の先端部に設けた雄ねじ部と、前記タイロッドエンド部50の基端面に開口する状態で設けたねじ孔との螺合に基づいて、前記タイロッド10の長さ寸法を適正にした状態で、ロックナット51を締め付ける事により、前記両エンド部49、50同士を固定している。そして、このうちのラックエンド部49の軸方向中間部に、前記小径部48を形成している。この様な小径部48は、前述した実施の形態の第1例の小径部19a(図1参照)と同様に、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、前記タイロッド10に過大な外力が加わった場合に、他の部位に優先して変形させる為に設けている。
又、本例の場合、ペイント等により、前記タイロッド10の外周面のほぼ全長に亙って(前記ラックエンド部49と前記タイロッドエンド部50とに跨る状態で)、前記タイロッド10の軸方向(図24の左右方向)に平行な直線状の変形判定部21wを設けている。尚、この様な変形判定部21wは、前記タイロッド10を水平な場所に安定して置いた状態で、直線に見える位置に設ける事が好ましい。
この様な本例の場合も、前述した実施の形態の第1例と同様に、他の部位に比べて変形
し易い前記小径部48に、前記変形判定部21wを設けている。この為、この部分の変形をより迅速に、且つ容易に判定する事で、前記タイロッド10の異常を早期に発見できる。
又、前記変形判定部21wを、前記ラックエンド部49と、前記タイロッドエンド部50とに跨る状態で設けている。この為、これら両エンド部49、50同士の相対的な変位を、目視により容易に判定できる。
[実施の形態の第25例]
図25は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第25例を示している。本例のステアリング装置の場合、タイロッド10を構成するタイロッドエンド部50のみに、ペイント等により、このタイロッド10の軸方向に平行な直線状の変形判定部21xを設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第24例と同様である。
[実施の形態の第26例]
図26は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第26例を示している本例のステアリング装置の場合、タイロッド10aを構成するタイロッドエンド部50aの基端寄り部分に、小径部52を形成している。この様な小径部52は、前述した実施の形態の第1例の小径部19a(図1参照)と同様に、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、前記タイロッド10aに過大な外力が加わった場合に、他の部位に優先して変形させる為に設けている。尚、ラックエンド部の構造は、前述した実施の形態の第24例のラックエンド部49(図24参照)と同様に小径部48を設ける構造、或はこの小径部48を設けない構造の何れの構造も採用できる。
何れにしても、本例の場合には、前記タイロッド10aのタイロッドエンド部50aの全長に亙り、このタイロッド10aの軸方向と平行な直線状の第一の変形判定部53を設けている。
更に、前記タイロッド10aを構成する部材であり、前記タイロッドエンド部50aの先端部に組み付けられたボールジョイント54の軸部55の外周面の基端部(図26の下側)から先端部(図26の上側)に掛けて、このボールジョイント54の軸方向に亙り、直線状の第二の変形判定部56を設けている。その他の構造、及び作用・効果は前述した実施の形態の第24例と同様である。
前述した実施の形態の各例の変形判定部は、ペイントにより形成する構造に限らず、プレス加工等により塑性変形させて形成したり、切削加工により形成する事もできる。
又、本発明は、前述した実施の形態の各例の構成部材に限定されるものではなく、ステアリング装置を構成する何れの部材にも適用できる。
1 車体
2 ステアリングコラム
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7、7a ステアリングギヤユニット
8、8a、8b、8c、8d、8e、8f ピニオン軸
9 ラック軸
10、10a タイロッド
11 電動モータ
12 電動アシスト装置
13 インナコラム
14 アウタコラム
15 インナシャフト
16 アウタシャフト
17 インナシャフト
18 アウタシャフト
19、19a、19b、 小径部
20a、20b、20c 基部
21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21m、21n、21p、21q、21r、21s、21t、21u、21v、21w、21x、21y、21z 変形判定部
22a、22b、22c 段差部
23a、23b、23c 大径部
24 高降伏強度部
25 低降伏強度部
26 貫通孔
27 杆状部材
28、28a、28b、28c、28d、28e 変形判定部素子
29、29a シール部材
30 長辺
31 短辺
32 キーロック孔
33 第一の変形判定部
34 長辺
35 短辺
36 第二の変形判定部
37 第三の変形判定部
38 長辺
39 短辺
40 貫通孔
41a、41b ヨーク
42 十字軸
43 結合腕部
44 円孔
45 軸部
46 ラジアルニードル軸受
47 ボルト
48 小径部
49 ラックエンド部
50、50a タイロッドエンド部
51 ロックナット
52 小径部
53 第一の変形判定部
54 ボールジョイント
55 軸部
56 第二の変形判定部















Claims (9)

  1. 車体に支持されたステアリングコラムと、
    このステアリングコラムの後端部から突出した部分にステアリングホイールを固定し、このステアリングコラムの内側に回転自在に支持されたステアリングシャフトと、
    このステアリングシャフトの前端部で前記ステアリングコラムの前端部から突出した部分に結合された後側自在継手と、
    この後側自在継手を介して前記ステアリングシャフトに結合された中間シャフトと、
    この中間シャフトの前端部に結合された前側自在継手と、
    この前側自在継手を介して前記中間シャフトに結合されたピニオン軸と、
    このピニオン軸と噛合させる事によりこのピニオン軸の回転を軸方向の変位に変換するラック軸と、
    操舵輪に結合され、このラック軸により押し引きされるタイロッドとを構成部材として備えたステアリング装置に於いて、
    前記各構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材に、目視可能な状態で変形判定部が設けられている事を特徴とするステアリング装置。
  2. 前記変形判定部が、この変形判定部が設けられた前記各構成部材の軸方向と平行な状態で設けられている、請求項1に記載したステアリング装置。
  3. 前記変形判定部が、この変形判定部が設けられた前記各構成部材の軸方向と直交する仮想平面上に存在する状態で設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  4. 前記変形判定部が、前記各構成部材のうち、降伏強度が高い部分と、降伏強度が低い部分とを軸方向に関して連続する軸部を有する構成部材の、この降伏強度が高い部分から、この降伏強度が低い部分に跨る状態で設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  5. 前記変形判定部が、前記各構成部材のうち、大径部と小径部とを段差部を介して連続する軸部を有する構成部材の、少なくともこの小径部の軸方向に関する段差部側端部から中間部に掛けて設けられている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  6. 前記変形判定部が、前記各構成部材に形成された貫通孔を軸方向に関して跨いだ状態で設けられている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  7. 前記変形判定部が、前記各構成部材に形成された貫通孔をこの貫通孔の内面のうちの、少なくとも1つの内面と平行な方向に関して跨いだ状態で設けられている、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  8. 前記変形判定部が、前記各構成部材のうちの異なる少なくとも二つの構成部材同士の間に跨る状態で設けられている、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  9. 前記変形判定部が、前記各構成部材に形成された貫通孔の周囲に、この貫通孔を囲む状態で設けられている、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
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